7 シリーズ FPGA GTX/GTH トランシーバーの 適応型ロック

ア プ リ ケーシ ョ ン ノ ー ト : Kintex-7 および Virtex-7 フ ァ ミ リ
7 シ リ ーズ FPGA GTX/GTH ト ラ ン シーバーの
適応型ロ ッ ク デザイ ン
XAPP895 (v1.0) 2014 年 2 月 4 日
著者 : Jayesh Patil
概要
こ のアプ リ ケーシ ョ ン ノ ー ト は、 ザ イ リ ン ク ス 7 シ リ ーズ FPGA の GTX/GTH ト ラ ン シーバーを対象
と し た適応型 ロ ッ ク デザ イ ン について説明 し ま す。 こ のデザ イ ンは、 リ ン ク の動的なエ ラ ー フ リ ー動
作を維持 し なが ら 帯域幅を変化 さ せ る こ と で、 判定帰還等化器 (DFE) モー ド の自動ゲ イ ン制御 (AGC)
の収束、 お よ び低消費電力モー ド (LPM) におけ る 低/高周波ループ補正 (KL と KH) のループ収束を高
速化 し ま す。 適応型 ロ ッ ク デザ イ ン は、 チ ャ ネルのダ イ ナ ミ ッ ク リ コ ン フ ィ ギ ュ レ ーシ ョ ン ポー ト
(DRP) を使用 し て、 ユーザー ク ロ ッ ク と ラ イ ン レー ト に基づ く 特定の時間間隔で、 AGC、 KL、 KH 帯
域幅の値を設定 し ます。 デザ イ ンは ウ ィ ザー ド に組み込ま れ、 Verilog フ ァ イ ルは ツールか ら 生成で き
ます。
は じ めに
7 シ リ ーズ FPGA の RX 物理媒体ア タ ッ チ メ ン ト (PMA) DFE モー ド では、 AGC がほかの適応ループ
すべての上位にあ る 、 最 も 外側のループです。 し たがっ て、 こ のループが最 も 低速です。 ただ し 、 AGC
の推奨設定では、 AGC ループ収束の整定時間が増加 し ます。 同様に、 LPM モー ド では、 KL お よ び KH
ループが最 も 低速の帯域幅に設定 さ れ ます。 ラ イ ン レー ト に基づいて適応型 ロ ッ ク デザ イ ン を追加す
る こ と で、 収束時間を短縮で き ます。 適応型 ロ ッ ク デザ イ ンの設計、 コ ンパ イ ル、 シ ミ ュ レーシ ョ ンに
は、 ザ イ リ ン ク ス ISE® Design Suite 14.1 を使用 し ま し た。 ま た、 ChipScope™ お よ び イ ン テ グ レ イ
テ ッ ド ロ ジ ッ ク アナ ラ イ ザ (ILA) を使用 し てハー ド ウ ェ ア上で検証 し ま し た。
イ ン プ リ メ ン テー
シ ョ ンの詳細
図 1 に、 適応型 ロ ッ ク デザ イ ンの実装概略図を示 し ます。 デザ イ ンは、 特定のカ ウ ン ト 値で信号を生成
す る ダ ウ ン シ フ タ ー、 帯域幅属性の変更のみをす る Read-Modify-Write 有限 ス テー ト マシ ン (FSM)、
お よ び DRP ア ク セ ス モジ ュールか ら 構成 さ れます。
X-Ref Target - Figure 1
Down
Shifter
Dynamic
Reconfigurable
Port
RD_MOD_WR_FSM
Gear 1
BW 1
DADDR[8:0]
DO[15:0]
DADDR[8:0]
DO[15:0]
RESET
Gear 2
BW 2
CLOCK
Gear 3
BW 3
READ
WRITE
DEM
DWE
Gear 4
BW 4
DRDY
DRDY
X895_01_112612
図 1 : 適応ロ ッ ク デザイ ンのブ ロ ッ ク 図
こ の後のセ ク シ ョ ンでは、 こ れ ら のブ ロ ッ ク について説明 し ます。
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イ ン プ リ メ ン テーシ ョ ンの詳細
ダウン シ フ タ ー
ダ ウ ン シ フ タ ー は 32 ビ ッ ト カ ウ ン タ ー に よ っ て 構成 さ れ、 ユ ー ザ ー ク ロ ッ ク 、 動作 モ ー ド
(DFE/LPM)、 ラ イ ン レー ト に基づ く カ ウ ン ト 値で 4 つの信号を生成 し ます。 カ ウ ン ト は、 式 1 で計算
さ れます。
12.5
Timer = DCLK Frequency (in MHz)  ---------------------------------------------Line Rate in Gb/s
式1
初期セ ッ ト ア ッ プ時に、 式 1 か ら 得 ら れた値を ウ ィ ザー ド で指定 し ます。
RD_MOD_WR_FSM
ギ ア シ フ タ ーに よ っ てギ ア信号がアサー ト さ れ る たびに、有限ス テー ト マシ ン (FSM) が実行 さ れます。
ギ ア信号 1 ~ 4 は、 こ の順で最大設定~最小設定へ と 帯域幅を変更す る FSM を ト リ ガー し ます。 FSM
はループの DRP ア ド レ ス か ら 内容を読み出 し 、 ほかのユーザー固有情報を変化 さ せ る こ と な く 帯域幅
関連のポー ト を変更 し 、 同 じ ア ド レ ス に変更 し た値を書き 戻 し ます。 複数のループが存在す る場合 (例 :
LPM、 KL、 KH)、 対象 と な る 各ループに対 し て、 同 じ シーケ ン ス を順次実行する 必要があ り ます。 図 2
に Read-Modify-Write の ス テー ト マシ ン を示 し ます。
X-Ref Target - Figure 2
Start
DRDY
Read DRP
Modify
DRDY
Write DRP
End
X895_02_112612
図 2 : 帯域幅調整のための Read-Modify-Write ス テー ト マシ ン
開始 (Start) ス テー ト
開始ス テー ト では、 DFE モー ド の動作時に ス テー ト マシ ンが KL お よ び KH ループに対 し て ホール ド
信号を アサー ト し ます。
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イ ン プ リ メ ン テーシ ョ ンの詳細
DRP 読み出 し (Read DRP) ス テー ト
DRP 読み出 し ス テー ト では、 ス テー ト マシ ンが DRP の読み出 し シーケ ン ス を開始 し ます。 DEN 信号
をパル ス し 、 DRP か ら の DRDY 信号がアサー ト さ れ る の を待ち ます。 こ の信号がアサー ト さ れ る と 、
DRP の内容が変更の た めに ロ ー カ ル レ ジ ス タ に格納 さ れ ま す。 DRP 読み出 し シーケ ン ス の概要は、
『7 シ リ ーズ FPGA コ ン フ ィ ギ ュ レーシ ョ ン ユーザー ガ イ ド 』 (UG472) に記載 さ れてい ます。
DRP 変更 (Modify) ス テー ト
DRP 変更ス テー ト では、 ロ ーカル レ ジ ス タ の内容の う ちユーザー情報は保持 し た ま ま、 帯域幅を制御
す る ビ ッ ト だけが変更 さ れます。
書き込み (Write DRP) ス テー ト
書 き 込みス テー ト では、 DRP への書き 込みシーケ ン ス が開始 さ れます。 DWE 信号をパルス し 、 DRP か
ら の DRDY 信号がアサー ト さ れ る のを待ち ます。 こ の信号がアサー ト さ れ る と 、 ロ ーカル レ ジ ス タ の
内容が DRP に書 き 込ま れます。 DRP 書 き 込みシーケ ン ス の概要は、 『7 シ リ ーズ FPGA コ ン フ ィ ギ ュ
レーシ ョ ン ユーザー ガ イ ド 』 (UG472) に記載 さ れてい ます。
終了 (End) ス テー ト
終了ス テー ト では、 AGC ループの収束後に RXAGCHOLD に対 し て、 さ ら に KL お よ び KH ループに
対 し て ホール ド 信号がアサー ト さ れます。 図 3 に DFE モー ド の FSM、 図 4 に LPM モー ド の FSM を
示 し ます。
X-Ref Target - Figure 3
Start Counter
Yes
Gear 1
RD_MOD_WR_FSM
AGC
BW 1
No
Yes
Gear 2
RD_MOD_WR_FSM
AGC
BW 2
No
Yes
Gear 3
RD_MOD_WR_FSM
AGC
BW 3
No
Yes
Gear 4
RD_MOD_WR_FSM
AGC
BW 4
No
End
X895_05_112612
図 3 : DFE モー ド の FSM
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物理イ ン タ ー フ ェ イ ス
X-Ref Target - Figure 4
Start Counter
Yes
Gear 1
RD_MOD_WR_FSM
KH
BW 1
RD_MOD_WR_FSM
KL
BW 1
RD_MOD_WR_FSM
KH
BW 2
RD_MOD_WR_FSM
KL
BW 1
RD_MOD_WR_FSM
KH
BW 3
RD_MOD_WR_FSM
KL
BW 1
RD_MOD_WR_FSM
KH
BW 4
RD_MOD_WR_FSM
KL
BW 1
No
Yes
Gear 2
No
Yes
Gear 3
No
Yes
Gear 4
No
End
X895_06_112612
図 4 : LPM モー ド の FSM
物理イ ン タ ー フ ェ
イス
デザ イ ンは、現在 ウ ィ ザー ド に組み込まれてい ます。使用 さ れ る FPGA リ ソ ース は、使用する GTX/GTH
ク ワ ッ ド 数 と 選択す る モー ド (LPM/DFE) に よ っ て異な り ます。
特性
表 1 に、 デザ イ ンの詳細を示 し ます。
表 1 : デザイ ンの詳細
パラ メ ー タ ー
説明
全般
開発者
Jayesh Patil
タ ーゲ ッ ト デバ イ ス
GTX/GTH ト ラ ン シーバー搭載の7 シ リ ーズ デバ イ ス
ソ ース コ ー ド の提供
あり
ソ ース コ ー ド の形式
Verilog
シ ミ ュ レーシ ョ ン
論理シ ミ ュ レーシ ョ ンの実施
あり
タ イ ミ ン グ シ ミ ュ レーシ ョ ンの実施
あり
テ ス ト ベンチの形式
Verilog/ChipScope
使用 し た シ ミ ュ レー タ /バージ ョ ン
ISE Design Suite 14.1 ま たはそれ以降
SPICE/IBIS シ ミ ュ レーシ ョ ンの実施
なし
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ま とめ
表 1 : デザイ ンの詳細 (続き )
パラ メ ー タ ー
説明
イ ン プ リ メ ン テーシ ョ ン
使用 し た合成ツール/バージ ョ ン
ISE Design Suite 14.1 ま たはそれ以降
使用 し た イ ン プ リ メ ン テ ー シ ョ ン ツ ール/ ISE Design Suite 14.1 ま たはそれ以降
バージ ョ ン
ス タ テ ィ ッ ク タ イ ミ ン グ解析の実施
あり
ハー ド ウ ェ ア検証
ま とめ
ハー ド ウ ェ ア検証の実施
あり
使用 し たハー ド ウ ェ ア プ ラ ッ ト フ ォーム
VC7203
デザ イ ンは ロ ジ ッ ク シ ミ ュ レーシ ョ ン と ラ ボでのテ ス ト に よ っ て検証 し ま し た。デザ イ ンは ウ ィ ザー ド
に組み込まれ、 Verilog フ ァ イ ルはツールか ら 生成で き ます。 こ の ロ ジ ッ ク は、 DFE モー ド の 10G では
適用前の時間 2.9ms に対 し て 4 倍高速化、 LPM モー ド の 10G では適用前の 10ms に対 し て 2 倍高速化
を実現 し ます。 表 2 お よ び表 3 に結果を ま と め ます。 第 1 列は、 帯域幅の倍率を示 し 、 1x は最小帯域
幅設定、 64x は最大帯域幅設定です。 N1 は DRP ク ロ ッ ク サ イ ク ル数を表 し ます。
表 2 : DFE モー ド ― AGC ループの結果
ス ピー ド
サイ クル
時間 (秒)
64x
N1 = 100
4.00 x 10–5
16x
4 x N1 = 400
1.60 x 10-4
4x
16 x N1 = 1600
6.40 x 10-4
1x
無限大
∞
表 3 : LPM モー ド ― KL または KH ループの結果
改訂履歴
ス ピー ド
サイ クル
時間 (秒)
16x
N1 = 4500
1.80 x 10-3
8x
2 x N1 = 9000
3.60 x 10-3
4x
3 x N1 = 13500
5.40 x 10-3
1x
無限大
∞
次の表に、 こ の文書の改訂履歴を示 し ます。
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日付
バージ ョ ン
2014 年 2 月 4 日
1.0
内容
初版
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