計量経済学 (2014) 練習問題 3 解答例 TA: 坂口翔政 (修士 2 回)、大畠一輝 (修士 1 回) 1 (a) 与えられたモデルにおいて V ar[ui | Xi ] =E[u2i | Xi ] = Xi2 となり、誤差項 ui は明らかに Xi の関数であるので、不均一分散である。 (b) β˜1 の期待値をとると 1 ∑ Yi E[ ] n i=1 Xi n E[β˜1 ] = Yi β1 Xi + ui ] = E[ ] Xi Xi ui =β1 + E[ ] Xi =E[ Yi n となる。ここで、2 つ目の等号は、{(Xi , Yi )n i=1 } は i.i.d. より { Xi }i=1 も i.i.d. であることから成 り立つ。 ui 次に、E[ X ] に対して、 i E[ ui ui ] =E[E[ | Xi ]] Xi Xi 1 =E[ E[ui | Xi ]] Xi =0 最後の等式は、与えられた仮定 E[ui | Xi ] = 0 より成り立つ。 以上より、E[β˜1 ] = β1 となり、β˜1 は β1 の不偏推定量であることが分かる。 (c) Yi n β˜1 の分散を求めると、{ X } は i.i.d. であることから i i=1 n 1 Yi Yi 1 ∑ V ar[ ] = · V ar[ ] V ar[β˜1 ] = 2 n i=1 Xi n Xi となる。この式の最初の等号の成立については、練習問題 2 の問 1(b) における議論が当てはまる Yi n ので、そちらを参考にしていただきたい。2 番目の等号が成り立つことは、{ X } は i.i.d. であ i i=1 ることによる。 1 Yi 次に V ar[ X ] を求める。 i V ar[ Yi ui ] =V ar[β1 + ] Xi Xi ui u2 =V ar[ ] = E[ i2 ] Xi Xi 1 =E[ 2 E[u2i | Xi ]] Xi 1 =E[ 2 · Xi2 ] = 1 Xi となる。3 つ目と 5 つ目の等式は、それぞれ与えられた仮定 E[ui | Xi ] = 0, E[ui | Xi2 ] = Xi2 に よる。 以上より、β˜1 の分散は 1 V ar[β˜1 ] = n となる。 2 (a) OLS の正規方程式において、Yˆi = βˆ0 + βˆ1 Xi より −2 n n ∑ ∑ (Yi − βˆ0 − βˆ1 Xi ) = 0 ⇔ − 2 (Yi − Yˆi ) = 0 i=1 i=1 n 1∑ˆ Yi = Y¯ ⇔ n i=1 が成り立つ。 (b) TSS を分解すると T SS = n ∑ (Yi − Y¯ )2 i=1 n ∑ = {(Yi − Yˆi ) + (Yˆi − Y¯ )}2 i=1 n ∑ = {ˆ ui + (Yˆi − Y¯ )}2 i=1 = n ∑ i=1 u ˆ2i + n n ∑ ∑ (Yˆi − Y¯ )2 + 2 (Yˆi − Y¯ )ˆ ui i=1 i=1 n ∑ = SSR + ESS + 2 (Yˆi − Y¯ )ˆ ui i=1 2 となる。3番目の等式は残差 u ˆi の定義から、最後の等式は SSR と ESS の定義からそれぞれ得ら ∑n ˆ ∑n ¯ れる。ここで、T SS = SSR + ESS が成り立つことを示すには、 Yi u ˆi と Yu ˆi の値が i=1 i=1 それぞれ 0 となることを示すことができれば十分である。 ∑n ˆ Yi u ˆi に対しては、Yˆi = βˆ0 + βˆ1 Xi より i=1 n ∑ Yˆi u ˆi = n ∑ (βˆ0 + βˆ1 Xi )ˆ ui i=1 i=1 =βˆ0 n ∑ u ˆi + βˆ1 i=1 n ∑ Xi u ˆi i=1 =0 となる。最後の等式は、OLS の正規方程式から ∑n ¯ 同様に、 Yu ˆi に対しても ∑n i=1 ∑n u ˆi = 0、 i=1 Xi u ˆi = 0 となることによる。 i=1 n ∑ n ∑ Y¯ u ˆi =Y¯ i=1 u ˆi = 0 i=1 となる。 ∑n 以上より、 i=1 (Yˆi − Y¯ )ˆ ui の値は 0 となることが示されたので、T SS = ESS + SSR が成り立 つことが示される。 3 (a) β1 の推定値は βˆ1 = 3.2、βˆ1 の標準誤差は SE(βˆ1 ) = 0.52 なので、H0 : β1 = 0 を両側検定する ための t 統計量の値は、t = (3.2 − 0)/1.5 = 2.13 となる。よって、|t| = 2.13 > 1.96 より有意水準 5%で帰無仮説は棄却される。 (b) β1 の 95%信頼区間は [βˆ1 − 1.96SE(βˆ1 ), βˆ1 + 1.96SE(βˆ1 )] =[3.2 − 1.96 × 1.5, 3.2 + 1.96 × 1.5] =[0.26, 6.14] となる。 (c) 与えられたモデルにおいて Cov(Yi , Xi ) = β1 V ar(Xi ) となる。ここで、β1 ̸= 0 のとき、V ar(Xi ) = 0 でない限り、Cov(Yi , Xi ) ̸= 0 となり Xi と Yi は独 立とはいえない。 問 (a) では、β1 = 0 となる帰無仮説は、有意水準 5%の検定で棄却されている。よって、この統 計的仮説検定のもとでは、Xi と Yi は独立であるという意見は、妥当ではないと考えられる。 3 (d) Xi と Yi が独立であるとき、β1 = 0 となる。 よって、(a) の有意水準 5%の検定では、帰無仮説 H0 : β1 = 0 が棄却される確率はおよそ 5%と なる。よって、標本が 100 回得られたとすると、5 回程度帰無仮説は棄却されると考えられる。 また、(b) の信頼区間については、(b) で求めた信頼区間が β1 を含む確率はおよそ 95%となる。 よって、標本が 100 回得られたとすると、95 回程度 β1 = 0 は信頼区間に含まれると考えられる。 4
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