平成27年度 事業計画書 Ⅰ.事業方針 政府が知的財産立国の実現を標榜して以来、約10年間に亘る目標であった 「2013年度(平成25年度)に特許審査順番待ち期間(FA期間)を11ヶ月にす る」が昨年3月に達成され、次なる目標として「世界最速・最高品質の特許審 査」が設定されました。 この新たな目標達成に向け特許庁は、平成26年度に本格実施に移行した 先行技術調査の外注における「外国特許文献を対象とした先行技術調査」を、 平成27年度向け公募で更に拡大し、外注件数の約65%に相当する約10万件 としました。また、先行技術調査の環境整備のため、平成26年度に規模を3倍 超に増やした「公開後文献 F ターム付与事業(約60万件)」及び「中国公開特 許文献への分類付与事業(約10万件)」についても、平成27年度もその規模を 維持する方針を示しました。 以上のような状況から、創立以来、長年に亘り分類付与事業や先行技術調 査事業で培ってきたノウハウや経験を有する一般財団法人 工業所有権協力 センター(以下、「IPCC」)に寄せる特許庁の期待はこれまで以上に、高まって いるといえます。 平成27年度、IPCCは、昨年度から引き続き主席部員の採用強化や雇用上 限年齢の引き上げを実施するとともに、在宅で一部の業務ができる新たなシス テムを導入して、IPCCのOB人材の活用を促すことによって受注能力を増強さ せ、上記の拡大する期待に応えてまいります。具体的には、従来型の先行技術 調査の規模も増やしつつ、外国特許文献を対象とした先行技術調査を5.1万 件から6.9万件と大幅に拡大させて、事業を実施します。また、これらに加えて、 「公開後文献 F ターム付与事業」及び「中国公開特許文献への分類付与事業」 についても、昨年度と同規模で実施します。 この他、今後も引き続き特許庁からの期待に応えるため、必要な人材確保に 向けて、関西地域にオフィスを開設する検討を進めます。 また、将来に亘る経営安定化に資するため、特許庁の特許審査迅速化にも 寄与する特定登録調査機関としての事業を新たな民需事業として開始します。 さらに、内閣府の承認を前提に、新たな公益目的支出事業として、大学にお ける知的財産取得・活用の支援事業を実施します。 以上のように、平成27年度も特許行政の大きな変化が続く中、その変化を次 なる発展につなげるために積極的に取組を進める観点から、経営目標につい ては、前年度の全体目標である「変革を飛躍につなげる積極的な取組」を含め、 以下の3つの個別目標をそれぞれ継承することとします。 第1の個別目標である「拡大する事業分野への積極的な対応」については、 外国特許文献調査等の更なる拡充、公開後文献Fターム付与事業等の分類付 与事業、新規の特定登録調査機関事業の着実な実施を通じて達成を図りま す。 また、第2の目標である「業務基盤の一層の強化」に向けては、関西地域を 含めた人材確保の積極的な取り組み、内部登用を活用した人材育成の強化、 及びシステム化による業務効率化等を行います。 第3の目標である「品質の向上とコンプライアンスの強化」については、審査 官評価結果の迅速な情報共有を通じた品質向上に向けた取組の強化、情報セ キュリティの管理徹底、及び法令・規程類の遵守を図ります。 平成27年12月3日にIPCCは、創立30周年を迎えます。この節目となる平 成27年度においても、これまで以上に特許庁からの期待に応えるべく、先行技 術調査事業と分類付与等のインフラ整備事業をはじめ、各種事業遂行に邁進 するとともに、新たな挑戦と基盤作りを進め、我が国の知的財産立国への貢献 に全力で努めて参ります。 Ⅱ.事業概要 平成27年度において、以下の事業を計画し、実施します。 1.「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律」に基づく調査事業 (1) 特許庁からの受託事業(先行技術調査事業) ① Fタームの検索等による特許文献の先行技術文献調査 約10.2万件(約9.2万件:平成26年度当初契約、以下同様) 内、検索結果を審査官に対面して報告する対話型検索調査 約10.1万件(約8.9万件) ② 上記①の先行技術文献調査に対する次の付加的調査 i) ~ v) i) 内国特許文献のFターム検索に加えて実施する外国特許文献調査 約6.9万件 (約5.1万件) ii) 区分4、5、27、30においてFターム検索に加えて実施する化学構造検 索調査 約 650件 (約 530件) iii) 区分4においてFターム検索に加えて実施するレンズ設計に係る検索 調査 約 130件 (約 90件) iv) 区分24、25においてFターム検索に加えて実施するバイオ分野・医薬 分野における商用DBを用いた検索調査 約 280件 (約 100件) v) 区分20においてFターム検索に加えて実施するガラス組成・特性値に 係る検索調査 〈新規〉 約 100件 (2) 特許庁からの受託事業(一元付与事業) ① 特許出願に係る出願書類データに対する特許分類及びFタームの一 元付与並びに出願公開の際に必要な公開前特許出願に関する要約 チェック等の予備的調査 ② 次の i) ~ ii) 約32.6万件 (約35.0万件) 約 1.0万件 ( 約2.1万件) i) 実用新案公報が発行される前の実用新案登録出願に係る出願書類 データに対するFタームの付与 ii) 出願公開される前の合金の 技術分野の特許に係る出願書類データ に対する合金タームの付与 ③ 出願公開される前の特許又はPCT-RO出願に係る出願書類データ であってDNA配列コードを作成すべきものに対するDNA配列コード データ編集及びデータフォーマットに基づく加工 約4.9千件 (約 4.9千件) 2.工業所有権情報の分類の開発及び分類付与に関する技術の調査・研究・ 開発事業 (1) 特許庁からの受託事業(公開後文献へのFターム付与事業)として、開 発されたFタームの特許文献への再付与 5分野 約59.5万件 (約59.9万件) (2) 特許庁からの受託事業(Fタームリスト作成事業)として、特許文献検索 用のFタームリストの作成 1テーマ (9テーマ) (3) 一般財団法人 日本特許情報機構からの受託事業として、中国公開特 許文献の和文抄録及び機械翻訳文に対するFI及びFターム付与 約10.4万件 (約10.4万件) 3.公益目的支出計画に基づく事業 (1) 公益目的支出計画に基づき、特許検索競技大会、同フィードバックセミ ナーの東京、大阪、仙台3会場での実施(2,500万円) (2) 内閣総理大臣の認可を前提に公益目的支出計画に基づき、大学にお ける知的財産の取得・活用促進につながる取組への助成事業実施(3,0 00万円) 4.その他 (1)特定登録調査機関としての先行技術調査事業(民需)の実施 (2)関西地域へのオフィス開設に向けた検討 (3)12月3日に迎える創立30周年に向けた記念事業等の検討・準備 (4)外国特許文献調査等の事業を円滑に実施するための新たなシステム開 発に資する外部委託先との共同研究事業 Ⅲ.経営目標別の重点的取組事項 平成26年度の全体目標・個別目標を継続し、全体目標「変革を飛躍につな げる積極的な取組」を実現するために、3つの個別目標のそれぞれに即して各 担当部署が重点的取組事項を「平成27年度経営目標達成計画」としてとりまと めて実施し、その実施状況を定期的にレビューします。 1.拡大する事業分野への積極的な対応 (1)平成27年度に更に件数規模が拡大される外国特許文献調査の充実化 を図るため、独自の品質指標の導入や必要なシステム開発等を行い、事 業を円滑に進めます。 (2)「公開後文献Fターム付与事業」等の分類付与事業において、外部人材 を活用できるシステムの導入、業務スケジュール管理の徹底等により着実 な事業実施を図ります。 (3)財団の長年の知見を活かし、特定登録調査機関として民需の先行技術 調査事業を開始し、着実な事業遂行を図ります。 2.業務基盤の一層の強化 (1)人的基盤の強化のため、採用に向けた財団のPR、民間企業への人材 提供の働きかけを積極的に行うとともに主席部員の採用を通年で実施しま す。また、採用した者に対する育成の充実化を図ります。 (2)今後見込まれる主席部員をはじめとする財団役職員の増加に対応する ため、木場本部内外を含めた業務スペースの確保・最適化を図ります。 (3)既開発の業務システムの活用を図ると共に、新たなシステムの導入や開 発を行うことにより、競争力を強化します。また、人事管理システム、文書管 理システムの導入など事務分野の業務効率化を進めます。 3.品質の向上とコンプライアンスの強化 (1)特許庁による検索者評価結果の情報提供環境を整備し、主幹等がこれ を活用してきめ細かい指導を行うことで、検索業務における品質の維持・ 向上に努めます。 (2)情報セキュリティマネジメントの国際標準規格であるISO27001(ISMS) と個人情報保護マネジメントシステム(PMS)に即して、情報セキュリティの 管理を徹底します。特に、RFタグ管理の導入により、公開前案件のセキュ リティ管理を徹底します。 (3)競争力確保を図る一方で、勤務時間等に関する法令及び内部規程類の 遵守を徹底します。 以 上
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