農業経営支援クラウドサービス導入事例 株式会社 関東地区

農業経営支援クラウドサービス 導入事例
株式会社 関東地区 昔がえりの会 様
農業を持続可能な産業にするための仕組みを構築
経営視点の生産管理と若手への栽培ノウハウの継承を実現
農業生産法人 関東地区 昔がえりの会様(以下、昔がえりの会様)は、農業を産業化するための経営手法の確立、栽培ノウハウや技術
の継承を目指し、NECと共同で「農業経営支援クラウドサービス」を構築しました。これにより、出荷日から逆算した栽培工程の立案
や、圃場ごとの栽培・収穫・出荷状況の把握、さらには原価管理を基に最適なコストシミュレーションなどを行える仕組みが実現。
この仕組みを基にベテラン生産者が長年にわたって培ってきた栽培ノウハウを、若手生産者とも容易に共有できる環境を整備しました。
課題と成果
株式会社 関東地区 昔がえりの会
代表取締役社長
小暮 郁夫
氏
株式会社 関東地区 昔がえりの会
所長
辻村 公秀
単に農作物を生産するだけでなく、農業を産業と
して捉え、綿密な原価管理、品質と納期管理、リ
スク管理に基づく農業経営管理を行える環境が
必要だと感じていました。
経験の少ない生産者でも、マスターデータを基に、
出荷日から逆算した適切な栽培計画の立案が可能
になります。また、各工程の原価が可視化されるこ
とで、採算性を意識した生産が可能になりました。
農業従事者の高齢化が進んでいることもあり、ベ
テラン生産者が長年の経験の中で蓄積してきた
暗黙知のような「勘」を見える化し、若手に継承し
ていきたいと考えていました。
暗黙知となってしまいがちなベテラン農業 従事
者の栽培ノウハウ、知見を若手生産者と可視化・
共有化することができました。
持続可能な産業にするための
農業経営手法の確立と共有を目指す
に意識を向けがちです。農業を1つの産業として
氏
株式会社 関東地区 昔がえりの会
農産生産部
藤巻 里佳子
氏
社
名:株式会社 関東地区 昔がえりの会
所 在 地:〒369 - 0311 埼玉県児玉郡上里町勅使河原 717
設
立 1999 年 7月
資 本 金:6000 万円
従 業 員 数:23 人(パート含む)
株
主:44 名
概
要:「健康な農産物づくり」と「より良い農業ができる
仕組みづくり」を目指して設立された農業生産法
人。会員である農家に対して幅広い領域での営農
支援を行うほか、自社所有地や地主から借り受け
た農地での農作物生産にも携わっている。
U R L:http://mukashigaeri.jp/
持続可能なビジネスにするには、播種や栽培、肥
培に関わる経費や人件費、農機経費、運搬費、地
埼玉県児玉郡上里町を中心に同郡美里町、さら
代などの原価を定量的に捉え、自然災害などの
には隣接する本庄市などに23戸の会員農家を抱
リスクも織り込みながら、
『いくらで販売すれば
える農業生産法人の昔がえりの会様。スーパーや
ビジネスとして成立するのか』適切な取引価格
デパートを通じて農作物を消費者に販売するだ
を設定し、面積あたりの収益拡大や人時生産性
けでなく、全国にチェーン店を展開する大手外食
の向上を目指していく必要があります」と昔がえ
企業と販売契約を結び、カット野菜向けのキャ
りの会の小暮 郁夫氏は強調します。
ベツ、白菜、レタス、青ネギなどを供給していま
続けて同社の辻村 公秀氏も、ノウハウや技術の
す。農作物の生産に当たっては、緑肥の作付けや
継承について、
次のように語ります。
良質な堆肥と、稲わら、籾殻、落葉などの天然有
「これまで、農業に関するノウハウや技術は、長
機物を活用した「生きた土づくり」を行っている
年の経験の中で『ベテランの勘』として生産者個
上、農薬の使用量を減らすなどして「健康な農産
人が蓄積してきました。しかし、農業従事者の高
物づくり」を実践。
「おいしい」
「高栄養価」
「安全・
年齢化が急速に進んでいることを考えれば、若
安心」な農作物を消費者に提供しています。
手育成は大きな課題。その知見をしっかりと次
このような農作物へのこだわりに加えて、農業
世代に引き継いでいかなければなりません」
。
経営手法の確立、ノウハウや技術を次世代の生
そこで、同社が取り組んだのが、原価管理など
産者に継承していくことも現在、同社の重要な
を適正に行いつつ、生産に関するノウハウを見
テーマとなっています。
える化、共有化できる農業経営支援システムの
「ともすれば、農家は農作物を生産することだけ
構築です。
農業経営支援クラウドサービス 導入事例
株式会社 関東地区 昔がえりの会 様
実績の入力だけでなく、
原価や収益を管理できる点を評価
ごとの必要経費などを自動算出。作業に関わる
人件費や必要となる資材コストなどを踏まえて、
採算性をシミュレーションした上で、作業実績を
実は小暮氏は、納期管理、原価管理、収益管理、品
入力・管理していくことが可能です。
質管理にまつわる様々な工夫を実践し、ムダをな
同時に、圃場ごとの栽培・収穫・出荷状況の把握
くしながら、求められる品質の農作物を予定通り
も容易。栽培計画と実績を対比しながら、農業経
に納品するためのノウハウを蓄積。それらをExcel
営の評価・分析を実施して、収益率向上に向けた
に反映して、独自の仕組みを構築していました。
改善策の検討を進めることもできます。
そこで、新しいシステムの構築に当たっては、そ
れらのノウハウをベースにシステム要件を整理
し、コンセプトをまとめた上で複数のベンダーに
ベテラン農業従事者のノウハウを
若手がスムーズに生かせる
提案を依頼しました。
多くの生産者の「経験」や「勘」がシステム上で見える化され、
藤巻氏のような若手生産者に継承されていく
スマートデバイス活用などを見据えた
システム拡充を継続
各社の提案を綿密に比較検討した結果、昔がえ
現在、昔がえりの会様は、
「 農業経営支援クラウ
りの会様が採用を決めたのがNECの提案です。
ドサービス」のパイロット運用を開始。農業を持
最大の決め手となったのが、NECがすでに農業
続可能なビジネスにし、その方法論を若手生産
昔がえりの会様は、パイロット運用を通じてマス
経営支援のベースとなるシステムを保有してい
者や多くの農家で共有するための第一歩を踏み
ターデータの入力やシステムの改善を実施した
たことです。
出しました。
後、会員農家全体へとサービスの利用範囲を拡
「他のベンダーが農業支援として提供しているシ
「契約栽培では、いつまでに、どの野菜を、どれだ
大していく考えです。
「 利用が拡大すれば、各会
ステムのほとんどは作業実績の入力をメインと
け納品してほしいという依頼に正確に対応しな
員が培ってきた多くのノウハウを集約し、共有し
する営農日誌や農薬散布管理などの延長線上の
ければならないのですが、出荷日を入力すれば、
ていける体制が整います。会員農家の経営や野
もの。私たちが求めているものではありませんで
いつ、何を行えばいいのかがわかり、私のように
菜の品質もさらに向上するでしょう」と小暮氏は
した。一方、NEC のソリューションは、生産管理
経 験の少ない生 産者でも迷うことがありませ
語ります。
に加えて原価や収益管理の考え方も盛り込まれ
ん。また、各工程で発生する経費などもシステム
機能面では、土壌の水はけの善し悪し、作付け履
ており、このソリューションをベースとすれば、
上に明示されるため、
『 これまでは、肥料を使い
歴、肥料の残留度や酸性度などを調べた土壌診
我々の理想とする農業経営管理を行えると感じ
すぎていたんだな』ということに気付き、自ずと
断結果など、各圃場の特性を記録した「圃場カル
ました。また、我々と協働で最適なシステムを作
原価意識をもって作業に当たる習慣がつきまし
テ」や、各栽培工程における行動指針をまとめた
り上げていくというNEC の姿勢も心強く、採用
た」と運用を担当している若手生産者の一人で
「栽培マニュアル」の整備などを進め、農業経営
を決めました」
と小暮氏は話します。
広範な側面から農業経営を
強力に支援するソリューション
ある藤巻 里佳子氏は言います。
支援クラウドサービスと併用。また、農業経営支
外食産業などの求める加工業務用野菜は、高い
援クラウドサービス上のデータをExcelにイン
価格競争力が求められますが、システムを通じ
ポートして、グラフや表を多用したレポートにま
た原価管理、意識の変化によって、要求に対応で
とめ、
「 圃場の年度ごとの収量やコスト比率」な
きる原価管理力を身に付けることができたと考
どを直感的に把握していけるような分析の仕組
昔がえりの会様とNECが共働で開発した「農業
えています。
みも整備していくと言います。
経営支援クラウドサービス」は、農作物の品質や
また、昔がえりの会様は、土壌の栄養バランスを
さらに、将来的には、圃場からスマートフォンや
収 量 の管 理、さらには 収 益という経営 視 点に
加味しながら、最適な輪作体系をパターン化し、
タブレットで情報の閲覧ができればとも考えて
立った計画の立案をサポートするソリューション
システムに登録しています。
「生産者は、最適なパ
です。
ターンを選択し、速やかに生産に取りかかれるよ
「デバイスの GPS 機能や地図機能を活用し、自
例えば、あらかじめ生産者の経験に基づいて生
うになっています。こうした知恵は、ベテラン農業
動で圃場の情報画面が立ち上がるなど、アイディ
産マスタープランを登録さえしておけば、必要収
生産者の暗黙知となってしまいがちなもの。それ
ア次第で様々な可能性が広がります。NECの支
量と出荷日の入力により、そこから逆算して播
が、システム上で見える化され、経験の浅い若手
援の下、農業経営を強力に支援する、より使いや
種やトラクターによる耕耘、施肥、収穫など各栽
でもスムーズに実践していける点も大きな魅力で
すい仕組みを実現していきたいですね」と最後
培工程の時期や期間を提示するとともに、工程
す」と辻村氏は、大きな成果を感じています。
に小暮氏は力強く語りました。
います。
農業経営支援クラウドサービスについてのお問い合わせは下記へ
NEC 第二金融ソリューション事業部
E-mail: neoagri 3@ 2kn.jp.nec.com
農業ICT全般についてのお問い合わせは下記へ
NEC 新事業推進本部
E-mail: [email protected]
URL: http://jpn.nec.com/solution/agri/
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2015年2月現在
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