特集 永久ミニ電源 × マイクロワット作戦 ナノ・アンペア級 倹約 OP アンプの使い方 中野 正次 −D コンバータに直結できないこともよくあります. そんなときは何らかのアンプ,フィルタ,インピーダ ンス変換回路などが必要です. (フ 本章では,A−D コンバータの前に入れるアンプ ィルタなども含む)をプリアンプと呼び,消費電力の 小さいプリアンプの作り方について解説します. スリープさせるのが基本 プリアンプを常時動作させると,当然消費電力が増 えます.データのサンプリング頻度が低ければ,アン プ部も休止させたほうが有利です.このような間欠動 作にはいくつかの方法が考えられます. ❶電源を ON/OFF する 図 1 のようなコンデンサ結合の交流アンプを,電源 2015 年 2 月号 アンプA1の消費電流が少ないと,このコン デンサの蓄電で動作し続けてしまう アンプA1の電源 をON/OFFする Tr1 V+ 内部抵抗 R1 C1 + rS 信号源︵センサなど︶ ● マイコンを利用してセンシングするにはアンプや フィルタが要る CPU の動作時の消費電力はたいへん少なくなって います. 低消費電力化を図る常套手段は,回路 (主に CPU) を短時間のみ動作させ,大半を休止状態にしておくこ とです.CPU 自体,必要のない内部の回路ブロック を動かさないなど省エネ機能が充実しています.休止 状態から起き上がるときに使われるタイマも,特別に 消費電力が少なくなる工夫がなされています. しかし,常にタイマで休止状態から復帰する動作で 良いとは限りません.低消費電力が必要な例として, 何かの現象を常時監視して,異常があったら知らせる, といった応用も考えられます.CPU は外界の変化を センサなどで感知する必要があり,そのセンサは常時 動いている必要があります. センサとマイコンを繋ぐ場合,ディジタル出力のセ ンサが使えれば手軽ですが,すべてのセンサがディジ タル化しているわけではありません.それどころか, 出力電圧が小さかったり,出力インピーダンスが高か ったりして,アンプなしではマイコンに内蔵された A Masatsugu Nakano − R2 A1 C3 Vout R4 R3 C2 VA コント ロール 出力 CPU A-D 変換 入力 イントロダクション 第3章 10 MΩ ノイズにも負けない超低消費電力 超の高イン センサ・アナログ回路の作り方 ピーダンス・ ワールド 1 2 3 4 5 6 大容量にすると省エネにならない アンプA1の出力が安定するセトリング・タイムに影響する 図 1 マイコンを使ったセンシング・システムを低消費電力化し たいならアナログ回路の電源を OFF できる回路が有効 コンデンサ結合の交流アンプは,電源が入ってから動作点が安定するま でに時間がかかる.電源のバイパス・コンデンサに溜まった電荷で回路 は動き続けるので,短時間に ON/OFF しても省エネにならない ON/OFF で低電力化する場合は,思ってもみないと ころで電流が消費されます. 図 1 のC 1 とC 2 は,信号にかかわらず A1 の動作点を 一定に保つためのものです.電源 OFF 時には電荷が ないので,ON 後に動作点まで変化します.この変化 が許容誤差の範囲に落ち着くまでには,CPU の動作 スピードから見るとかなりの時間がかかります. C 3 はアンプの安定動作上必要なものですが,大容 量にするとアンプは動作したままになって消費電力は 減りません. ❷アンプや A−D 変換の安定をスリープで待つ プリアンプの出力が安定するまでの時間が長い場合, CPU を動作させた状態で待っていると,余分な電力 を費やします.このようなときは,図 2 のようにアナ ログ電源を ON にした後,いったん CPU をスリープ に戻して待つ方法もあります. 71 7
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