ふつうの海洋マントル(NOMan)プロジェクト:機器回収航海の

ノサップフラクチャーゾーンにおける 重力・地磁気・海底地形調査の概要 ○島 伸和・中東 和夫・飯塚絵梨・北川 高行(神戸大学),藤井 昌和,沖野 郷子(東京大学), 野木 義史(国立極地研究所),奈須 俊勝(日本海洋事業株式会社) 水は、固体地球内部にも存在し、循環しながら固体地球のダイナミクスに大きな影響を与える.本研
究は、フラクチャーゾーンが、海洋リソスフェアによるマントルへの水輸送において果たす役割を調
べる最初の試みである.具体的には、沈み込む直前の古い太平洋プレートにあるノサップフラクチャ
ーゾーンを研究対象にした.ノサップフラクチャーゾーンの北緯 38 度 40 分〜 北緯 40 度 40 分におい
て、AUV「うらしま」による深海での地磁気観測および、海上での地球物理学的調査を実施した.AUV
「うらしま」の調査により、ノサップフラクチャーゾーンを横切る 4 潜航で地磁気のデータが得られ
た(図).各潜航の測線長は約 17 マイルで、そのうち約 13 マイルは 3300m の深度での観測である.1
潜航だけは、AUV「うらしま」が自己浮上したため、測線の真ん中付近までしかデータを得ることがで
きなかった.海上での地球物理学的調査では、重力・地磁気・海底地形調査を実施し、調査海域での
全測線長は、約 1,200 マイルである.その中には、ノサップフラクチャーゾーンを横切る 17 本の概ね
40 マイルの測線と、フラクチャーゾーンの両側で、フラクチャーゾーンに沿った約 110 マイルの測線
のデータを含んでいる(図).現在、得られたデータの解析を進めており、含水により蛇紋岩化したマ
ントル領域を推定し、その含水量を見積もることによって、フラクチャーゾーンが海洋リソスフェア
による水輸送にどの程度貢献しているかを定量的に示すことで、その役割を明らかにする計画である. 図.潜航海域の場所(上図の□)と潜航海域での測線図(右
図).海上での地球物理学的調査の測線を破線で、AUV
「うらしま」の潜航測線を実線で示している.