静岡県公共事業生産性向上推進プログラムの計画期間全体の評価 (評価時点:平成 25 年度末) 1.評価の趣旨 急激に変化する社会経済状況の中で「県民幸福度」の最大化を実現する社会資本の整備を 効率的、効果的に進めていく必要があることから、公共事業の全ての執行段階において品質 とコストの最適化を目指す「静岡県公共事業生産性向上推進プログラム(計画期間:H21~ H25)」を平成 21 年 3 月に策定し、プログラムへの取組状況の評価を毎年度実施してきた。 本プログラムは、平成 25 年度末に計画期間終了を迎えたことから、計画期間全体の評価 を行い、次期プログラムの策定及び今後の公共事業における更なる生産性の向上に向けた取 組に反映していく。 2.プログラムの体系 公共事業の執行段階ごとに品質の向上に必要となる施策(16 施策)を策定し、各施 策の目的に沿った具体的な取組(109 取組)を実施。 各施策の品質向上効果を明確にするため、品質向上対策分類(4 分類)として整理。 公共事業執行段階 品質向上対策分類 施策№ 計 画 事業執行効率化対策 設 計 工事品質確保対策 施策 5、施策 6、施策 7 用地取得 積 算 発 注 施 工 維持管理 プログラム全体 施策 1、施策 2、施策 3、施策 4 施策 8 事業執行効率化対策 施策 9 施策 10、施策 11、施策 12 工事品質確保対策 施策 13 環境負荷軽減対策 施策 14、施策 15 長期負担軽減対策 施策 16 【品質向上対策分類数:4、 施策数:16施策 取組数:109】 事業執行 効率化対策 工事品質 確保対策 環境負荷 軽減対策 長期負担 軽減対策 3.プログラムの評価方法 (1)品質向上対策(取組進捗成果の評価) 各施策の目的に寄与する具体的な取組について、計画期間内の進捗成果を実施数量 や割合などで数値化し、平成 20 年度を基準とした経年変化や達成度により、以下の 区分により評価を行った。 システム開発や計画策定など、進捗成果が止むを得ず定性的となる取組は、取組の 状況で評価している。 <取組進捗成果の評価区分> 評価 区分 ◎ ○ 評価の内容 進捗成果が施策目的に対して 計画期間内の目標値を達成している、もしく 十分発揮されている は進捗成果が経年的に増加している。 進捗成果が施策目的に対して ほぼ発揮されている 進捗成果が施策目的に対して △ 計画期間内の目標をほぼ達成している(目標 値の 90%以上) 、もしくは進捗成果が経年的に 維持されている 計画期間内の目標達成が困難である(目標値 、もしくは進捗成果が経年的に維持 ある程度は発揮されているが、 90%未満) 一層の推進を要する 進捗成果が施策目的に対して × 評価の基準 発揮されておらず、取組の見直 しを要する されていない、あるいは減少している 進捗成果が認められない、もしくはわずかで ある (2)コスト縮減 コスト縮減額は、プログラム内の各取組のうちコスト縮減効果として貨幣換算でき るものを算定して取りまとめた。 建設発生土の現場内流用や二次製品の活用など、平成 20 年度時点で既に定着してい た取組については算定していない。 (3)県内発注工事における施策の取組 各発注機関では、全ての工事・委託業務において施策目的に合致した取組を個別に 行っており、その取組数を施策毎に取りまとめた。 4.品質向上対策の評価 <品質向上対策分類別の取組進捗成果の評価の割合> 2.8% プログラム 全体 <109取組> 38.5% 40.4% 2.0% 事業執行 効率化対策 <51取組> 35.3% 工事品質 確保対策 <25取組> 36.0% 環境負荷 軽減対策 <14取組> 47.1% 35.7% 20% 40% ○ 60% △ 8.0% 21.4% 42.1% ◎ 28.0% 47.4% 0% 15.7% 28.0% 42.9% 長期負担 軽減対策 <19取組> 18.3% 10.5% 80% 100% × プログラム全体 109 の取組のうち、取組の進捗成果が施策目的に対して「十分発揮 されている」と「ほぼ発揮されている」として評価されているものが約8割となっ ている。 一方、設計施工一括発注方式等による調達の実施をはじめとする3つの取組では計 画期間中の実績がわずかであり、取組の見直しを要するという評価になっているほ か、県認定新技術情報の活用の推進や山村部における境界保全の取組の促進など約 18%の取組では一層の推進を要する状況にある。 特に、工事品質確保対策では、長引く景気の悪化や急激な社会経済情勢の変化、こ れに伴う公共事業費の削減などの影響により、目標達成に至らない若しくは毎年一 定の進捗が得られない、という状況が、他の対策分野よりも多くなっている。 長期負担軽減対策については概ね順調に進捗が図られたが、今後は、既存ストック の有効活用や予防保全型管理の導入を戦略的に推進し、更なる生産性の向上を図っ ていく必要がある。 「△」や「×」の評価となった取組については、プログラム策定後の環境変化など の要因の分析と対策を検討して、今後の取組に反映していく。 5.コスト縮減の評価 <コスト縮減額の推移> 年 度 全体額 コスト縮減額 縮減率 平成 21 年度 205,300 百万円 2,273 百万円 1.1% 平成 22 年度 172,200 百万円 2,077 百万円 1.2% 平成 23 年度 189,475 百万円 2,363 百万円 1.3% 平成 24 年度 182,289 百万円 2,098 百万円 1.2% 平成 25 年度 188,275 百万円 3,063 百万円 1.6% (全体額:静岡県予算の投資的経費+災害復旧費) <事業執行段階別のコスト縮減額の割合> 0.7%0.4% 計画期間 全体 45.3% 43.2% 10.5% 1.8% 1.1% 50.2% H21年度 34.7% 12.1% 0.9%0.3% 65.7% H22年度 27.3% 5.8% 1.8% 0.8% 41.5% H23年度 H24年度 56.0% 30.4% 59.6% 10.1% 0.3% 41.0% H25年度 0% 10% 20% 計画 39.4% 30% 設計 40% 用地 50% 積算 60% 発注 19.4% 70% 施工 80% 90% 100% 維持管理 各年度の投資的経費等に対する縮減率は 1.1~1.6%で推移しており、計画期間全体 にわたり継続的にコスト縮減に取り組まれた。 事業執行段階別では、設計段階及び施工段階以外の執行段階における算出事例が少 なかった。 公共事業における生産性の向上度をより定量的に評価するため、これまで同様に設 計段階や施工段階における直接コストの縮減を図る取組を更に推進するとともに、 維持管理段階における長期的なコストの縮減額など、様々な執行段階における貨幣 換算算定方法の検討を進める必要がある。 6.県内発注工事における施策の取組 <県内発注工事における1工事あたりの施策取組数の推移> 3.6 3.2 2.8 2.4 3.1 3.2 H23 H24 3.3 2.8 2.4 2.0 H21 H22 H25 <県内発注工事における品質向上対策分野別の施策取組数の推移> 201 年度 ※()内は工事件数 H21 (3,678) 5,465 1,193 1,070 <68.9%> <15.0%> <13.5%> H22 (5,629) H23 (5,545) H24 (5,132) <2.5%> 10,326 1,990 3,119 308 <65.5%> <12.6%> <19.8%> <2.0%> 10,497 2,075 4,443 <60.4%> <11.9%> 316 <25.6%> <1.8%> 9,575 1,838 <58.8%> 4,397 147 <11.3%> <27.0%> <0.9%> H25 (5,874) 0 11,326 2,282 5,310 284 <58.3%> <11.8%> <27.4%> <1.5%> 5,000 10,000 15,000 20,000 施策取組数 ※<>内は当該年度の取組割合 事業執行効率化対策 年 度 工事品質確保対策 H21 年度 H22 年度 環境負荷軽減対策 H23 年度 長期負担軽減対策 H24 年度 H25 年度 工事件数 3,678 5,629 5,545 5,132 5,874 施策取組数 7,929 15,743 17,331 15,957 19,202 県内発注工事における 1 工事あたりの施策取組数は毎年増加している。 特に、環境負荷軽減対策については、建設資材としての木材使用や低騒音・低振動 型建設機械の使用など、工事における取組数が毎年増加しており、プログラム期間 中に約 2 倍の取組割合まで増加した。 また、事業執行効率化対策では、取組割合が継続的に高くなっており、各発注機関 における取組の定着が伺える。 一方で、工事品質確保対策と長期負担軽減対策では取組割合が低くなっており、生 産性向上に向けた、より一層の改善が必要である。 7.品質向上対策分類別の評価 (1)事業執行効率化対策 (1)-1.施策の役割と体系 事業執行効率化対策 <役割> 必要な社会資本を 適切な時期に実現 事業進捗に併せた 用地取得 適切な価格での 施策1 合意形成手続き及び協議手続きの改善 施策2 事業の透明性の向上 施策3 事業効果の早期発現 施策4 事業間連携等による事業の推進 施策8 用地取得、建物等補償の円滑な実施 施策9 市場の動向を的確に反映した積算の見直し 効率的な積算 発注事務の効率化と 施策 10 電子情報化の推進による事業執行の効率化 適切な企業の選定 施策 11 企業の持つ技術力・経営力の適切な評価 施策 12 受発注者のパートナーシップ構築による 建設システムの生産性向上 (1)-2.取組進捗成果の評価 施策名 取組数 取組進捗成果の評価 ◎ ○ △ 摘 要 × 施策1 17 9 6 2 0 施策2 2 0 1 1 0 施策3 6 1 5 0 0 施策4 3 1 2 0 0 施策8 5 3 0 2 0 施策9 1 0 1 0 0 施策 10 6 1 5 0 0 ◎:県民と協働で進める社会資本整備の普及啓発活動 △:ふじのくに美農里プロジェクトの推進 △:流域委員会(河川整備計画)を活用した新規事業採 択時評価の実施 ◎:「ふじのくにの“みちづくり”」における事業着手準備 制度に基づく事業実施 ◎:特定都市河川浸水被害対策法による総合的な浸水 被害対策の推進 ◎:事業ごとの用地取得状況の公表の実施 △:山村部における境界保全の取組の促進 ○:市場を的確に反映した積算価格の説明性向上及び 積算に係る労力削減に向けた取組 ◎:庁内各業務における地理情報システムの整備と統 合実施と活用 施策名 取組数 取組進捗成果の評価 ◎ ○ △ 摘 要 × ◎:総合評価活用ガイドラインの継続的な見直しと総合 施策 11 6 1 2 2 1 評価方式による調達の促進 ×:設計施工一括発注方式等による調達の実施 施策 12 計 5 2 2 1 0 51 18 24 8 1 ◎:ワンデーレスポンスモデル事業の拡大 △:CM 方式の試行 <施策ごとの主な評価(コメント)> (施策1)地域住民や NPO、企業など多様な組織との協働による公共事業の展開や、 タウンミーティング、出前講座等の戦略的な広報の実施により、県民との合意形成 手続きの改善や、県民の公共事業への理解促進を図った。 (施策1)地域住民等による農地や農業用施設の保全活動については、保全管理面 積は着実に増加しているものの、保全管理する農地が住居から離れている樹園地で の取組が水田に比較し伸びなかったなどの理由により、期間内の目標値達成には至 らなかった。 (施策2)河川事業の新規着手時において、地域住民の意見を反映した整備計画策 定を進める流域委員会を活用した第三者評価を緊急度の高い水系から順次進めたが、 事業費削減や地元合意の遅延などにより、期間内の目標値達成には至らなかった。 (施策3)道路の事業化に先立ち地元と事業の効果や課題を話し合う「事業着手準 備制度」を活用して新規着手箇所の決定を行い、事業の効率化と円滑化を推進した。 (施策4)特定都市河川の指定を受けた巴川流域では、協議会による関係機関の進 捗管理を行うことで雨水貯留浸透施設や麻機遊水地の整備等が順調に進捗し、事業 間連携による流域一体となった治水対策を推進した。 (施策8)事業効果の早期発現のため、HPで主要事業の用地の進捗状況や事業の 見通し並びに事業期間を延長する場合の理由や対応等を公開することにより、事業 の進行管理の適正化を図った。 (施策8)地籍調査では、街区基準点等を活用した官民境界先行調査については目 標とおり進捗したが、第 6 次十箇年計画に基づく地籍調査や、森林組合と連携した GPS 等の簡易な調査手法を採用した調査については、調査面積は着実に増加してい るものの、事業費削減等により目標達成には至らなかった。 (施策9)静岡県GIS統合基本計画に基づく地理空間情報システムの整備は、庁 内関係部局各システムの統合が目標どおり完了し、電子情報の共有化による公共事 業の効率性の向上が図られた。 (施策 11)公共事業における総合評価落札方式による発注は、工事のほか委託業務 への適用を開始するとともに、適用範囲の拡大や事務手続きの簡素化によって、順 調に実施件数が増加して、より品質に優れた適切な公共調達が推進された。 (施策 11)設計施工一括発注方式による調達は、実施に適した案件が少なく、計画 期間内の実績は1件にとどまった。 (施策 12)受発注者間が相互の問い合わせ等に対して適切な期限で対応するワンデ ーレスポンスの取組は、適用範囲を順次拡大して目標どおり全ての案件で実施し、 受発注者間の役割分担明確化と情報共有化向上により施工品質の確保が図られた。 (1)-3.今後に向けた課題 多様な主体の参画・連携による事業の展開(協働) 多様に変化する地域ニーズに応じた課題の解決やきめ細やかなサービスの提供、 相互相乗的な効率性の向上を図るため、構想から維持管理に至るあらゆる段階で、 地域住民やNPO、企業など、多様な主体の公共事業への参画や、国や市町など を含めた様々な分野の事業や施策との連携を更に推進する必要がある。 PR・広報活動の推進 県民の公共事業への理解促進や公共施設の利用価値向上を推進するため、ソー シャルメディア等、新たな情報発信ツールを活用して、公共事業への関心が低い、 若い世代等に対しての公共事業の広報を展開していく必要がある。 災害時への対応力の向上 大規模災害被災時の迅速な復旧・復興に備えていくため、官民境界調査などを 活用した津波浸水域における地籍調査を推進するとともに、実効性の高い災害対 応システムの構築や、災害時に復旧・復興活動の担い手となる建設産業とのパー トナーシップ強化などを促進する必要がある。 ICTを活用したソフト施策の推進 公共事業のあらゆる執行段階において更なる業務の効率化を図るため、電子入 札システムの活用促進のほか、情報化施工やCIM等の導入を検討するとともに、 より効果的、効率的な整備を推進していくため、ハード施策と一体となったソフ ト施策の充実・強化に取り組んでいく必要がある。 公共工事における多様な入札契約方式の導入と活用 総合評価落札方式の実施内容の拡充を図りつつも、時代のニーズや事業の特性 等に応じた多様な入札契約方式への導入と活用を検討していくとともに、高度な 技術力や複数の受発注者間の連携を要する工事においてはコンストラクション・ マネジメント(CM方式)を適用するなど、新たな方式による公共調達を検討し ていく必要がある。 (2)工事品質確保対策 (2)-1.施策の役割と体系 工事品質確保対策 <役割> 必要な機能を最適な コストで設計 施工の効率化と 施策5 設計VE等による計画・設計の見直し 施策6 技術基準の弾力的運用 施策7 民間技術の積極的活用 施策 13 建設副産物対策等の推進 資源の有効活用 (2)-2.取組進捗成果の評価 施策名 施策5 取組数 5 取組進捗成果の評価 ◎ ○ 3 △ 2 摘 要 × 0 0 ◎:設計 VE 検討の促進 ◎:1.5 車線的道路整備の推進 施策6 3 1 1 0 1 ×:中小河川における計画高水位の見直しと大臣特認 制度の活用 施策7 施策 13 計 5 0 3 2 0 12 5 1 5 1 25 9 7 7 2 ○:橋梁補修工の新技術の活用促進 △:県認定新技術データベースの活用推進 ◎:リサイクル認定製品の活用促進 ×:海岸侵食対策として浄水発生土の有効活用 <施策ごとの主な評価(コメント)> (施策5)利用者の視点から要求される機能を資源の有効活用により効率的に調達 することで利用者の満足度を高めていく考え方であるVEの活用を、公共事業の計 画・設計段階から取り組み、地域要求に即した公共調達を促進した。 (施策6)山間地部で交通量の少ない道路の整備では地元や道路利用者の理解を得 たうえで 1.5 車線的な道路整備を実施するなど、現地の状況に応じた各種基準類の 弾力的な運用によって、より合理的な公共施設整備を推進した。 (施策6)掘込河道の中小河川では、下流河道の条件を考慮して計画高水位を地盤 高程度に設定し、併せて既存橋梁等の桁下高を大臣特認制度の活用により見直すこ とが出来るが、上流部に流木等発生源が無いなど、取組可能となる河川整備工事が 計画期間内に行われなかったため、取組進捗は無かった。 (施策7)県認定新技術・新工法の活用については、データベースの情報更新や国 の支援情報の提供を継続的に実施してきたが、新技術・新工法の設計・施工段階に おける手続きが明確では無かったため、計画期間内の活用実績数は伸び悩んだ。 (施策 13)特定建設資材廃棄物を資材としたリサイクル認定製品の認定を着実に進 め、説明会の開催やイベント等で製品の展示・PRを行って利用促進を図ることで、 循環型社会の構築を推進した。 (施策 13)企業局浄水場の発生土を、国土交通省との連携により近隣海岸の養浜材 として利用する計画であったが、養浜事業の休止により取組が進まなかった。なお、 発生土の全量は、園芸用土や路盤材などにリサイクル活用した。 (2)-3.今後に向けた課題 地域特性や利用者ニーズに応じた弾力的な計画・設計 コスト縮減効果や改善効果が大きいとされる計画・設計段階における取組を更 に推進するため、VEを活用した機能本位な検討や各種技術基準類の弾力的な運 用など、地域特性や利用者ニーズに応じた様々な取組をより効率的な方法で実施 する必要がある。 新技術・新工法の活用 新技術・新工法の活用は、品質の確保や自然環境への配慮、施工性の向上など に大きく寄与するものであるが、計画期間中の活用実績は伸び悩んだ。 このため、より一層の活用を目指して、設計、施工段階における手続きや活用 促進体制の改善を図るとともに、公共施設の効率的な維持管理に寄与する民間技 術を積極的に導入して、持続性のある社会資本整備を図る必要がある。 資源の循環利用の推進 循環型社会の構築に向けて、限られた資源の有効活用に向けた取組を更に推進 するため、土砂やアスファルト・コンクリート殻、建設発生木材などの建設副産 物の発生抑制に努めるとともに、リサイクル認定製品の活用など、公共事業にお ける再生資材としての活用を徹底する必要がある。 (3)環境負荷軽減対策 (3)-1.施策の役割と体系 環境負荷軽減対策 <役割> 自然環境の保全と 施策 14 社会負担の軽減 事業に伴う CO2 排出の抑制等による 地球温暖化対策の一層の推進 施策 15 事業に伴う環境負荷の低減 (CO2 排出による影響以外) (3)-2.取組進捗成果の評価 施策名 取組数 取組進捗成果の評価 ◎ ○ △ 摘 要 × ◎:ダムを活用した管理用小水力発電の推進 施策 14 12 5 4 3 0 △:CO2削減アクションプログラム登録箇所における渋 滞対策の推進 施策 15 計 2 1 1 0 0 14 6 5 3 0 ◎:入札参加資格申請において、ISO14000 シリーズ及 びエコアクション 21 の取得を評価 <施策ごとの主な評価(コメント)> (施策 14)県有施設において、照明、空調設備等の省エネルギー化を推進するとと もに、奥野ダムでの管理用小水力発電の運用開始や、農業水利施設を活用した小水 力発電計画を8地区で策定するなど新エネルギー導入を進めた。 (施策 14)道路の渋滞対策を進め、自動車から排出される CO2 削減に努めたが、用 地取得の難航等により事業の完了が遅れ、期間内の目標達成には至らなかった。 (施策 15)事業所全体で環境負荷の低減に取り組むISO14000 シリーズ及びエコ アクション 21 の取得の評価を、入札参加資格申請時に目標とおり完全実施して、環 境に配慮した民間の事業活動を促進させた。 (3)-3.今後に向けた課題 県有施設における温室効果ガス排出抑制 県有施設の維持管理における CO2 等排出抑制を更に推進するため、高効率かつ 省エネルギー効果の高い機器の導入を推進するとともに、小水力発電やバイオマ ス等の県有施設への活用などに積極的に取り組んでいく必要がある。 温室効果ガスの吸収源対策の推進 温室効果ガスの森林吸収対策をより一層推進するため、森林育成や公共工事にお ける木材利用の拡大に係る取組を積極的に展開していく必要がある。 (4)長期負担軽減対策 (4)-1.施策の役割と体系 長期負荷軽減対策 <役割> 施設の機能を効率的 施策 16 に維持管理 公共施設の長寿命化及び効率的な維持管理 の推進 (4)-2.取組進捗成果の評価 施策名 取組数 取組進捗成果の評価 ◎ ○ △ 摘 要 × ◎:基幹的農業水利施設の補修計画の策定と効率的な 施策 16 19 9 8 2 0 更新 △:水道事業・工業用水道事業の長期修繕・改良計画 に基づく効率的な維持管理の実施 計 19 9 8 2 0 <施策ごとの主な評価(コメント)> (施策 16)優先的な工種を定めて、順次、長寿命化計画を策定しており、橋梁や舗 装、水門、基幹的農業水利施設、漁港などでは、計画に基づく補修工事を実施した。 (施策 16)公共建築物では、保全支援システムを活用した劣化診断を実施して施設 管理者への助言を行うことで計画的な維持管理や修繕に取り組むと共に、県営住宅 では、県営住宅再生計画に基づく全面的改善工事を順調に実施した。 (4)-3.今後に向けた課題 公共施設の的確な維持管理・更新の実施 長寿命化計画に基づく予防保全型の管理に早急に移行するため、計画に基づく 補修・更新工事を的確に実施していくとともに、施設情報を一元的に管理・運用 していくシステム構築など、維持管理の効率化と高度化を目指す取組をより一層 推進する必要がある。 公共資産の有効活用 施設を適切に保全、管理するのみならず、経営的な視点から県有資産を総合的 に管理・活用していくため、既存施設の機能や運用方法の改善、多目的な利用な ど、限られた資産を最大限に賢く有効に活用していく取組を促進する必要がある。 民間活力の積極的導入 多様化する県民ニーズへの対応や効率的な施設運営、サービス向上等を目指し、 県有施設の維持管理や運営管理などにおいて、民間の創意工夫やノウハウ、資金 等を最大限に活用したPFIやPPP手法の導入を図るように検討していく必要 がある。 8.公共事業の生産性向上に向けた今後の課題(まとめ) (1)公共事業を取り巻く課題 プログラムの計画期間内には、人口減少・少子高齢化に伴う県内活力の低下や、 急速に進行する社会資本の老朽化など、公共事業を取り巻く様々な課題は深刻さを 増しており、今後も、これら課題に対応しつつ、投資に対して最も価値の高いサー ビスを提供することを目指していく必要がある。 公共事業を取り巻く課題 人口減少・少子高齢化の進行 厳しさを増す財政状況 進行する社会資本の老朽化 切迫する巨大地震への対応 気候変動に伴う災害激甚化 地球温暖化の進行 等々 課題を踏まえた留意事項 既存施設の有効活用 災害時の対応力強化 真に必要な社会資本の効率的・効果的な整備 低炭素・循環型社会の構築 生産性向上に向けた視点 1.多様な連携・協働による社会資本整備の推進 ・多様な主体の参画・連携による事業の展開 ・PR・広報活動の推進 ・ICTを活用したソフト施策の推進 2.社会資本整備の効率性の向上 ・地域特性や利用者ニーズに応じた弾力的な計画・設計 ・新技術・新工法の活用 ・公共施設の的確な維持管理・更新の実施 3.公共工事の入札及び契約の適正化 ・公共工事における多様な入札契約方式の導入と活用 4.社会資本ストックの有効活用 ・公共資産の有効活用 ・民間活力の積極的導入 5.災害時対応力の強化 ・災害時への対応力の向上 6.環境にやさしい社会の構築 ・資源の循環利用の推進 ・県有施設における温室効果ガス排出抑制 ・温室効果ガスの吸収源対策の推進 等々 (2)次期プログラムの方向性 公共事業の全ての執行段階で生産性の向上を推進 多様な主体の参画・連携による事業の展開や社会資本ストックの長寿命化に向け た取組など、引き続き、公共事業の構想段階から維持管理段階までの全ての執行段 階で生産性の向上に向けた具体的な取組を行っていく必要がある。 公共事業を取り巻く課題に対応した視点から生産性の向上を推進 公共事業を取り巻く課題であり、公共事業の各執行段階に共通する「公共資産の 有効活用」、「災害時対応力の強化」、「環境にやさしい社会の構築」といった視点か らも、生産性の向上に向けた具体的な取組を行っていく必要がある。 県民に対する分かりやすい説明 生産性向上対策の更なる推進を図りつつ、取組の内容を県民に分かりやすく示し ていくため、各取組の経年的な進捗を確認できるアウトプットの設定やなるべく多 くの執行段階における貨幣換算による提示が必要であり、次期プログラムの策定に 際しては、県民や有識者等の意見を広く取り入れた体制で行う必要がある。
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