[4] 確率分布 [4-1] 二項分布 [4-2] 二項分布の平均と分散 [4-3] 正規分布 [4-4] 二項分布の正規分布による近似 [4-5] その他の確率分布 ※「正規分布表」 、 「 t 分布表」 、 「 分布表」 、 2 「 F 分布表」 (1%と 5%)を配布 [4-1]B 二項分布 [復習] 異なる n 個のものから異なる r 個を取り出し て作る組合せの総数を n Cr とすると、 Pr n(n 1) (n r 1) が成立。 n Cr r! r (r 1) 1 n ●ある試行で事象 A が起こる確率を p とし、この試行 を n 回繰り返す反復試行において、事象 A が起こる 回数を X とすると、 X r となる確率は P( X r )n Cr p r (1 p)n r (r 0,1,..., n) ● B(n, p) : 確率 p に対する次数 n の二項分布 [4-1a]B 二項分布 ●二項分布の各確率の和は1に等しい。 n r nr 0 n n 1 C p ( 1 p ) C p ( 1 p ) C p ( 1 p ) n r n 0 n 1 r 0 n Cn p n (1 p)0 { p (1 p)}n 1 ●たとえば、1個のさいころを4回繰り返し投げると き、1の目が出る回数を X とすると、確率変数 X は 1 二項分布 B 4, に従い、 X の確率分布は以下。 6 1の目が 出る回数 確率 0 1 2 3 4 合計 0.482 0.386 0.116 0.015 0.001 1 [4-1b]B 二項分布 ●二項分布の例 [4-2]B 二項分布の平均と分散 ●確率変数 X が二項分布 B(n, p) に従うとき、以下が 成り立つ(証明は次項) 。 E( X ) np, V ( X ) np(1 p) [例題 1] 赤玉2個と白玉1個が入っている袋から1個 の玉を取り出し、色を調べて袋に戻す。これを 10 回繰 り返すとき、赤玉を取り出す回数 X の分散を求めよ。 2 [解答 1] X は B10, に従うから、 3 2 1 20 V ( X ) 10 . 3 3 9 [4-2a]B 二項分布の平均と分散 ●確率変数 X が二項分布 B(n, p) に従うとき、以下が 成り立つ。 X X1 X n とする。 E ( X1 ) p, ..., E ( X ) p,.... 2 1 V ( X1 ) E( X ) {E( X1 )} p(1 p) E ( X ) E ( X1 X n ) E ( X1 ) E ( X n ) p p np 2 1 2 V ( X ) V ( X1 X n ) V ( X1 ) V ( X n ) p(1 p) p(1 p) np(1 p) [4-3]B 正規分布 ●「正規分布は代表的な連続型の確率分布であって、 自然界や人間社会の中の数多くの現象に対して当て はまり、統計学の理論上も応用上も非常に重要であ る。正規分布なしに近代の統計理論はありえない」 ( 「統計学入門(東大出版会)p.120」 [4-3a]B 正規分布 ●平均 で分散 2 の正規分布の確率密度関数は 1 f ( x) exp{( x ) 2 / 2 2 } 2 ( x ). ただし、 exp x e x . ●正規分布A(平均0分散1)とB(平均2分散4) [4-3b]B 正規分布 ●平均 で分散 2 の正規分布を N ( , 2 ) で表す ●確率変数 X が正規分布 N ( , 2 ) に従っていると き、その線形変換で得られた別な確率変数 Y ( aX b) は N (a b, a 2 2 ) に従う ●標準化変数 Z ( ( X ) / ) は 標準正規分布 N (0,1) に従う。 ●標準正規分布の確率密度関数は 1 f ( x) e 2 x2 2 ( x ) であり、 次項の通り、分布表がある。 [4-3c]B 正規分布 ●たとえば、確率変数 u が 0.25 以上の値をとる確率は 0.40129 であり、これを Z0.40129 0.25 と表記する。 [4-3d]B 正規分布 [例題 2] 確 率 変 数 X が 正 規 分 布 N (50,100) に 従 う と き 、 P(70 X 80) を求めよ。 [解答 2] X 50 とすると、 Z は N (0, 1) に従う。ゆえに、 Z 10 P(70 X 80) P(2 Z 3) =0.02276-0.00135 = 0.0214 [4-4]B 二項分布の正規分布による近似 ●たとえば、 B(n, 0.2) と N (0.2n, 0.16n) は似ている (出典)俣野ほか編「数学 B」 (数研出版)140 頁 ● B(n, p) に従う確率変数を X とすると、 n が十分大 ( X np) きいとき、 Z は N (0,1) に従う、とみな np(1 p) してよい。このことは第5回で説明する。 [4-4a]B 二項分布の正規分布による近似 [例題 3] 1 個のさいころを 180 回投げるとき、1の目が 40 回以上出る確率を求めよ。 1 [解答 3] 1の目が出る回数 X は B180, に従うから、 6 X の平均 m と標準偏差 は以下のようになる。 1 1 5 m 180 30, 180 5 6 6 6 X 30 Z は N (0, 1) に従うから、 Z 2 である確率 5 は、正規分布表によれば 0.02275 である。 [4-5]C その他の確率分布 ●一様分布 (例)サイコロを振ったときに出る目の分布 ●定式化 f ( x) 1/ N , x 1,2,..., N (離散一様分布) f ( x) 1/(b a), a x b (連続一様分布) [4-5a]C その他の確率分布 ● 2 分布: 自由度 k の 2 分布は、標準正規分布から 独立に発生した k 個の確率変数 X1 ,..., X k を用いて 2 (k ) X12 X k2 と表される確率変数の分布 である(北川源四郎「時系列プログラミング」P.357)。 ●自由度とは一般に、 「自由に動ける変数の数」とい う意味である(「統計学入門」p.184)。 [4-5b]C その他の確率分布 v は自由度。たとえば自由度2の 2 分布に従う確率変 数が 1.38629 以上をとる確率は 0.5 である。これを 02.5 (2) 1.38629 と表記する。 [4-5c]C その他の確率分布 ●t分布の定式化は難しいが、次のようにして生成 される( 「統計学入門」p.202) 。 N(0,1)に従う確率変数 Z と 2 (k ) に従う確率変 数 Y が独立であるとき、 次の変数 t は自由度 k の Z t 分布に従う。 t (k ) Y /k ●t分布は自由度によって変わるが、自由度が無限 大のとき標準正規分布に一致する。 [4-5d]C その他の確率分布 ●自由度によるt分布の相違 [4-5e]C その他の確率分布 v は自由度。たとえば自由度2の t 分布に従う確率変 数が 1.061 以上をとる確率は 0.2 である。これを t0.2 (2) 1.061 と表記する。 [4-5f]C その他の確率分布 ●F分布 F分布の定式化は非常に難しいが、次のようにし て生成される( 「統計学入門」p.207) 。 2 (a) に従う確率変数 A と 2 (b) に従う確率変 数 B が独立であるとき、次の変数Fは自由度 (a, b) の F 分布に従う。 bA F ( a, b) aB [4-5g]C その他の確率分布 ●自由度によるF分布の相違 [4-5h]C その他の確率分布 v1 , v2 は自由度。たとえば自由度(2,3)の F 分布に従う確 率変数が 9.552 以上をとる確率は 0.05 である。これを F0.05 (2,3) 9.552 と表記する。 [4-5i]C その他の確率分布 ●ポアソン分布 (例)交通事故件数、大量生産の不良品数など ●ある事象が x 回発生する確率は Po( ) : f ( x) e x / x!で期待値も分散も である [4-5j]C その他の確率分布 [例題 1] 分布表から次の値を求めよ。 Z 0.05, t0.01(3), 02.1 (5), F0.05 (5,4), F0.01(3,6) ただし、該当する数値がない場合は、最も近い値にせ よ。 [解答 1] Z0.05 1.64, t0.01(3) 4.541, F0.05 (5,4) 6.256, 02.1 (5) 9.23636, F0.01(3,6) 14.735
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