JAXAが目指す国際宇宙探査 - 月・惑星探査プログラムグループ

Symposium on International Space Exploration 2014
JAXAが目指す国際宇宙探査
JAXA’s vision for International Space
Exploration
July 31, 2014
Tetsuo Tanaka
Associate Director General, JAXA
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日本のこれまでの宇宙探査の取組み History of Space Explora0on of Japan
n  国際宇宙ステーション(ISS)参加を通じ有人宇宙技術を蓄積。 Human explora0on capability accumulated through ISS n  「かぐや」「はやぶさ」「はやぶさ2」の探査ミッションを通じ、国際宇宙探査
の基礎となる観測データや探査技術を獲得。 Observa0on data and technologies for Interna0onal Explora0on obtained through Kaguya, Hayabusa, and Hayabusa2 Interna0onal Space Explora0on
国
際
宇
宙
探
査
はやぶさ2プロジェクト Hayabusa2 Project
n  炭素質小惑星から標本を取得。太陽系の生い立ちや生命の起源に迫る。 Sample return from carbonaceous asteroid to address evolu0on of Solar System and Origin of Life.
n  「はやぶさ」で実証した深宇宙を往復する探査技術を発展させる。 Evolu0on of deep space round trip technology. n  新たな試み New Experience
•  衝突体で人工クレータを作って、サンプルを採取。 Ar0ficial Crater by Impactor and Sample collec0on •  小型ローバ「MASCOT」(DLR/CNES)による表面調査。 In-­‐Situ Research of asteroid surface by MASCOT (DLR/ CNES) 今年、種子島より打上げ予定。 To be launched this year from Tanegashima 3
宇宙探査とは?
What is “Space Explora0on”?
〈安全で豊かな社会〉
<Prosperous society>
〈フロンティアへの挑戦〉
<Challenge to the frontiers>
知の源として 着想の源として 技術の源として
Source of Knowledge, Inspiration and technology
〈技術開発〉
<Technology development>
n  「宇宙への旅立ち」を実現するための技術開発を通じて「安全で豊か
な社会」を実現する。
n  未来社会に向けたイノベーションエンジンの一つではないか。
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フロンティアへの挑戦 (人類の活動領域の拡大)
Challenge to the fron6er (Extending the sphere of human ac6vi6es)
開拓
Cultivation
冒険/探検
Exploration/Expedition
常駐/定住
Habitation/Settlement
(Permanent Base)
小惑星、火星
Asteroids, MARS無人機による予備調査
Precursor robotics
missions
月
MOON
地球低軌道
LEO
南極
Antarctica
国際宇宙探査 Interna0onal Space Explora0on
アポロ
Apollo
マーキュリー、ジェミニ
Mercury, Gemini
ボストーク
Vostok
ソユーズ
Soyuz
アムンゼン、白瀬矗(のぶ),・・・
Amundsen, N. Shirase,・・・
ミール Mir
スペースシャトル、スペースラブ
Space Shuttle, Space lab
Dragon
Dream Chaser
CST-100
ISS
南極基地建設
Base construction
基地運用
Operation
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人類の活動領域の拡大(月) Extending the sphere of Human ac0vi0es 民間輸送機
有人宇宙船
地球-月ラグランジェ点
有人ステーション
発電・蓄電システム
物資輸送着陸機 (無人)
月着陸船 (有人)
離着陸ポート
資源採取・抽出
居住施設 (民間人も滞在)
有人移動ビークル
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10年後の国際宇宙探査活動は?
International Space Exploration in Next Decade
n  新たな国際パートナーの参加 •  中国、インドやこれから宇宙を目指そうとする国々が参画し、全人
類型の事業へ。 New interna0onal partners. Enterprise of all mankind. n  民間による有人宇宙活動が本格化 •  地球低軌道近傍は、人が当たり前に常駐する時代。 民間による有人活動が本格化。 •  民間の有人宇宙活動領域も月以遠をターゲットに(グーグルXプラ
イズ)。 Private sector engagement for human explora0on.
各国宇宙機関だけでなく、民間企業の活動も含めた新たな宇宙開発の時代へ New age of space development with emerging powers and private sectors 7
日本は何を目指すべきか?
What is the target of Japan?
n  最先端科学技術で世界をリードする国として、国際宇宙探査活動へ貢献す
る。 •  日本ならではの科学技術での貢献 •  国際的な協力枠組み作り •  日本人宇宙飛行士による貢献 Contribu0on to interna0onal space explora0on based on on Japan’s dis0nc0ve and advanced technologies . n  有人宇宙探査へのチャレンジによるイノベーション •  過酷な宇宙環境への挑戦は、我が国の課題解決に直結するコア技術
のブレークスルーを生み出す。 •  技術的な課題・リスクを産・学・官の力を結集したオールジャパンで解決
することで、日本のイノベーションを創出。 •  宇宙探査への民間参入を後押し。 Promote the innova0on through human explora0on. 8
JAXAのこれからの宇宙探査への取組み JAXA’s approach for future space explora0on
国際協働有人宇宙探査
ISSを使った探査技術の実証 Technology development at ISS
無人月面探査による準備活動 International Human space Exploration
有⼈人⽉月探査
2020年年代半ば以降降
EML2*有⼈人拠点
Robo0c Lunar missions to prepare
有⼈人⽉月⾯面拠点
有⼈人⽕火星探査
2030年年以降降
有人宇宙探査にむけたチャレンジ Challenges for human space explora0on
①
②
深宇宙での飛行士の長期滞在 (長期間(2~3年)の旅行) Long Dura6on Human Stay ③
惑星への正確かつ安全な着陸 (有人拠点へのピンポイント着陸) Precise landing ④
深宇宙でのランデブ・ドッキング 惑星地表での拠点構築と踏破掘削探査 (現地資源を利用した活動) (火星上空での組立や補給) RVD in Deep Space Basement Formula6on and mobility / drilling explora6on on planet surface 10
① 宇宙に長期滞在する宇宙飛行士の命を守る。 Human Health in Long Dura6on Mission 地球低軌道(LEO)
火星(Mars)
月(Moon)
宇宙医学・健康管理
・ 宇宙放射線(バンアレン帯内側)・ 宇宙放射線(バンアレン帯外)側
・ 放射線遮蔽・防御
・ 微小重力
・ 低重力(1/6G)
・ 閉鎖環境
・ 低重力(1/3G)
生命維持・居住環境制御技術
• 水再生技術
• 空気再生技術
・ 月面からの水・酸素抽出
・ 火星表面からの水・酸素
メタン等の抽出
② 深宇宙でのランデブー・ドッキング Rendezvous and Docking in Deep Space
地球低軌道(LEO)
次期こうのとり
月(Moon)
地球-月ラグランジェ点
有人ステーション
火星(Mars)
火星上空でのランデブ・
ドッキング
物資補給技術(ランデブ・ドッキング)
・ 低軌道(GPSあり)
・ 有人協調型
・ 深宇宙(GPSなし)
・ 自動追尾・結合
・ ドッキングシステムの標準化 ③ 惑星表面への正確かつ安全な着陸と帰還 Pin-­‐point and Safe Landing & Return from Planet Surface
地球低軌道(LEO)
月(Moon)
火星(Mars)
重力天体への着陸・離陸
・ 月面着陸・離陸(1/6G)
・ 高精度着陸(100m誤差)
・ 障害物自動回避
・ 月サンプルリターン ・ 有人輸送対応 ・火星着陸・離陸(1/3G) ・火星大気突入
(安全設計)
④ 過酷な環境での拠点建設と探査技術 Basement formula6on and explora6on in Harsh Environment
地球低軌道(LEO)
月(Moon)
ロボティクスによる拠点構築
火星(Mars)
有人拠点構築
・ メタン抽出
・ 有人探査に向けた予備調査 ・ 水・空気再生
・ その場資源(水、レゴリス)から 技術
・ 月面での食糧生産
らの資源抽出
・ 超夜技術(燃料電池等)
・ ロボティクスによる有人拠点の構築
踏破掘削技術
・ 移動探査機(ローバー)
・ 掘削技術
科学
・ 月の科学
・ 月で可能となる科学
(月面天文台、1/6G下の物理科学)
技術チャレンジとその展開 Technical Challenges and its evolu0on
n  ISS利用とロボティクス月面探査は、今後の有人国際協働宇
宙探査の準備活動 ISS u0liza0on and Robo0c lunar missions to prepare future human interna0onal explora0on. n  国際宇宙探査に必要な技術は、日本の産業競争力や課題解
決につながるコア技術。 •  宇宙医学や滞在技術は究極の予防医学や省資源・エネルギー技術 •  月面着陸、ローバ、ランデブーは極限ロボット技術。
•  輸送システムとしての産業競争力 ISSへの物資輸送から、月面への物資輸送へ。 Key technologies of interna0onal space explora0on is core technologies lead to foster industrial compe00veness and to resolve social problem. 15
宇宙探査によるイノベーション Innovation Driven by Space Exploration
①人類のフロンティアの拡大
Expanding the sphere of humanity
②新たな市場、
ベンチャーの創出
Creation of New Market
自動運転・衝突自動回避技術
活動領域の拡大
車・列車の事故対策 安全開発保証
地上の過酷環境対応
精細作業先進ロボット
生命の探索
災害支援ロボット、原子炉ロボットな
ど
遠隔操作技術
手術用ロボット
宇宙ビジネス
③社会的課題の解決
Solution of Social Problem
地上での放射線対策
リアルタイムモニタや建築物への応用
高齢者医療・予防医学
介護医療、リハビリ
遠隔医療・ストレス対策
災害時の遠隔医療、精神心理ケア
水不足の解消
家庭普及型水再生装置
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有人月面基地への展開 Evolu0on towards Human Lunar Base
国際協力により、有人月面基地の構築をめざす。 Human lunar basement through Interna6onal coopera6on
STEP1.ロボティクス技術で電気、畜熱、通信等の拠点を設置。 STEP2. 中期は、短期滞在可能な有人滞在モジュールを設置。 レゴリスから基地資材を自動製造。 STEP3. 常時滞在型有人拠点の建設 ①探査サービスステーション Unmanned Service sta6on ②短期滞在型有人拠点 Man-­‐tended Human sor6e
③常時滞在型有人拠点 Permanent Human o17
utpost
まとめ Summary
•  火星は探検の時代。月は開拓の時代。 Mars is in Expedi0on Stage. Moon in Cul0va0on Stage. •  JAXAは、これまで培った宇宙技術を結集して国際宇宙探
査に貢献する。 JAXA contributes to Interna0onal Space Explora0on with all capabili0es fostered through past programs. •  まずは月探査を通じて、火星探査に向けた技術の蓄積と、
社会的なイノベーションの実現を目指すのが良いのでは
ないか。 Lunar explora0on would be a good approach to accumulate capability for Mars explora0on and realize social innova0on. -月は宇宙探査の国際的な実験場- Moon is the interna0onal test field of space explora0on.
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ISSと有人月面基地のアナロジー
Analogy between ISS and Human Lunar Base
1998 Func6onal Cargo Block (FGB)
2019 Robo6c Lunar Lander
2005
2025 Man-­‐tended Capability
2011 Assembly Complete 2030? Permanently Manned Capability 19