2014 年 12 月 17 日 ファッション・インテリア・雑貨 EC 市場 に関する調査結果 2014 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内のファッション・インテリア・雑貨 EC 市場の調査を実施した。 1.調査期間:2014 年 6 月~11 月 2.調査対象:日本国内(日本語対応)においてインターネット上で公式販売を展開するブランドホルダー企業、 ファッションモール運営企業等 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用 <本調査におけるファッション・インテリア・雑貨 EC 市場とは> 本調査における EC 市場とはインターネットを介して行われる消費者向け電子商取引(E-Commerce)である。対 象分野は①アパレル・服飾雑貨(レディス、メンズ、子供・ベビー)、②鞄・袋物・革小物、③靴・履物、④宝飾・時 計、⑤インテリア・生活雑貨・家具の主要 5 分野とし、市場規模は小売金額ベースにて算出した。 【調査結果サマリー】 2013 年度のファッション・インテリア・雑貨の EC 市場規模は 前年度比 125.8%の 1 兆 512 億円と大幅に拡大 2013 年度のファッション・インテリア・雑貨の EC 市場規模(主要 5 分野の合計)は、小売金額ベースで前 年度比 125.8%の 1 兆 512 億円と大幅に拡大した。 事業者側によるサービス向上や、消費者の行動変化を背景にオムニチャネル戦略が活発化 事業者側による顧客の視点に立ったサービス向上の取組みの本格化により、消費者にとって EC が販 売チャネルとして新たに認識されつつある。またスマートフォンにより、以前に比べてファッション商品や情 報に対する接触時間が大幅に拡大していることから、多くの事業者においてはあらゆるチャネルを連携さ せて顧客との接点をもつ、オムニチャネル戦略が活発化しはじめている。 2014 年度の市場規模は前年度比 120.0%の 1 兆 2,614 億円と堅調な成長を予測 2014 年度のファッション・インテリア・雑貨の EC 市場規模は前年度比 120.0%の 1 兆 2,614 億円を予測 する。成長率はやや鈍化するものの、自社におけるオムニチャネル化のさらなる加速と、EC を絡めた新た な「売り方」の創出、また外部モール(主にファッションモール型、総合モール型、アウトレット型)における 技術革新の進展や更なる顧客サービス向上等により、市場規模は堅調に拡大するものと予測する。 ◆ 資料体裁 資料名:「ブランド ネット戦略調査 2014」 発刊日:2014 年 11 月 21 日 体 裁:B5 判 339 頁 定 価:120,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報宣伝グループ迄お問合せ下さい。 Copyright © 2014 Yano Research Institute Ltd. 2014 年 12 月 17 日 【 調査結果の概要 】 1. 市場概況と将来予測 2013 年度のファッション・インテリア・雑貨の EC 市場規模(主要 5 分野の合計)は、小売金額ベースで 前年度比 125.8%の 1 兆 512 億円であった。この背景には、配送料無料や返品可等、事業者側による顧 客の視点に立ったサービス向上の取組みの本格化がある。こうした顧客サービスの向上は長らく消費者 の抱いていた、インターネット購買における心理的不安解消の一助になった。例えばこれまで EC 展開が 難しいとされていた靴でも、自宅で試着可能になったことで気軽に試せるようになり、自身の持つワードロ ーブとのコーディネートができるなど、消費者にとって EC は実店鋪以上に顧客満足を提供する新たなチ ャネルとして認識されつつある。 またスマートフォンにより、以前に比べてファッション商品や情報との接触時間が大幅に拡大している点 も大きいものとみる。2013 年度までに、多くのファッションブランドにおいてスマートフォン専用サイトが開 設・整備され、なかでも若年層ターゲットのブランドほど、スマートフォンのアクセス率を考慮した EC サイト 戦略が見受けられる。 こうした事業者側による環境整備や消費者の行動変化を背景に、あらゆるチャネルを連携させて顧客 との接点をもつ、オムニチャネル※戦略が活発化しはじめている。 2014 年度のファッション・インテリア・雑貨の EC 市場規模は前年度比 120.0%の 1 兆 2,614 億円を予測 する。成長率はやや鈍化するものの、自社におけるオムニチャネル化のさらなる加速とそれに伴う、EC を 絡めた新たな「売り方」の創出、また外部モール(主にファッションモール型、総合モール型、アウトレット 型)における技術革新の進展や更なる顧客サービス向上等により、市場規模は堅調に拡大するものと予 測する。 ※オムニチャネルとは実店舗、インターネット(モバイル端末を含む)、カタログ、TV、イベントなどあらゆるチャネルで顧客 (消費者)と接点を持ち、共通体験を提供しようとする考え方や戦略をさす。マルチチャネルが各チャネル間の連携がない ことに対し、オムニチャネルはあらゆる顧客接点をシームレスに連携させる。 2. 主要 EC サイト別の動向 2-1. 自社 EC サイト 前述のように事業者側による環境整備や消費者の行動変化を背景にオムニチャネル化が大きく動きは じめている。大手小売業によるカタログ通販専業企業の買収をはじめとする、オムニチャネル強化を狙い とした買収・提携が活発化しており、今後もますますこうした動きが想定される。ここで主軸となるのは、自 社つまり自社 EC サイトである。ブランド展開企業や小売業各社では自社 EC サイトの開設やリニューアル が続いており、実店鋪との相乗効果を目的に、自社 EC サイトの売上獲得の位置づけは更に大きくなるも のと考える。 2-2. ファッションモール型 EC サイト 2013 年度を中心に大手総合モール運営企業や大手通信会社によるファッションモール型 EC の子会 社化など、業界再編が行われた。いずれも、これまでとは異なる顧客層の獲得や高価格帯の商品が売れ 始めるなどしており、同サイトにおける出店ブランド自体も手応えを感じるなど、提携側の狙い通りの動き となった。 一方、大手ブランド展開企業では、オムニチャネル戦略における自社サイト重視の理由から外部モー ルへの出店を絞り込んでいる。今後もこうした動きが継続すれば、中小規模のファッションモール型 EC サ イトは淘汰され、大手モール運営企業に集約されることが予想される。 Copyright © 2014 Yano Research Institute Ltd. 2014 年 12 月 17 日 2-3. アウトレット型 EC サイト インターネット上におけるブランド商品を展開する「アウトレットモール」という仮想店舗が 1 つの販売チ ャネルとして認識されるようになってきている。 またフラッシュセールサイトと呼ばれる欧米発ファミリーセール型サイトも 2009 年~2010 年にかけて上 陸し、年々その売上規模を拡大している。アウトレットモールの実店舗でも手に入らないようなブランド商 品が掘り出し物感覚で見つけられることや、「限定期間」で開催されるちょっとしたゲーム感覚がインター ネットとの親和性が高いと思われる。 実店舗のアウトレットモールが飽和状態である中、アウトレット型 EC サイトは、立地や時間にとらわれな いといった利便性のみならず、その売り方の仕掛けやディスプイ(見せ方)の工夫といったエンターテイメ ント性の高さから、今後も成長が期待される分野であり、市場規模拡大の可能性は大きいものと考える。 2-4. 総合モール型 EC サイト 総合モール型 EC サイトでは様々な商材が取り扱われるため、ブランド展開企業のなかには消費者の ブランドイメージ構築・維持への懸念から出店を拒む企業も多かったが、昨今ではこうしたブランド展開企 業への配慮や、全体的な顧客(消費者)サービスの強化が図られている。 総合モール型 EC サイトの巨大な売上規模と集客力、日用品等あらゆる商材を扱う品揃えなど、身近な 総合スーパーマーケットのような存在感は圧倒的で、今後も引き続き安定的な位置づけを維持するものと 考える。 図 1. ファッション・インテリア・雑貨の EC 市場規模(主要 5 分野の合計) 億円 14,000 12,614 12,000 112.0% 119.1% 125.0% 121.0% 10,000 125.8% 120.0% 8,356 100% 6,906 80% 5,525 6,000 4,142 140% 120% 10,512 8,000 160% 4,640 60% 4,000 40% 2,000 20% 0 0% 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 (予測) ファッション・インテリア・雑貨EC市場規模 前年度比 矢野経済研究所推計 注1. 本市場規模は①アパレル・服飾雑貨(レディス、メンズ、子供・ベビー)、②鞄・袋物・革小物、③靴・履物、 ④宝飾・時計、⑤インテリア・生活雑貨・家具の主要 5 分野とし、小売金額ベースにて算出 注2. (予測)は予測値 表 2. ファッション・インテリア・雑貨 EC におけるショップ型別詳細 ショップ型別 内容 ブランド展開企業が直営するブランド単位、および複数ブランド単位で開設・運営する 自社 EC EC サイト ファッションモール型 EC 様々な企業のファッションブランドを集めたインターネットネットモール(ZOZOTOWN 等) 総合モール型 EC 多種多様な商品を扱う総合型インターネットネットモール(Amazon、楽天等) アウトレット型 EC アウトレット商品を集めたインターネットモール、および GILT 等招待制ファミリーセールサイト カタログ通販型 EC カタログ通販企業が開設・運営する EC サイト(ベルメゾン等) 矢野経済研究所作成 Copyright © 2014 Yano Research Institute Ltd.
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