CM EYES 2013年テレビCM動向

■ 明るい話題の多かった 2013 年
テレビ CM 動向 CM Eyes 2013
CM EYES
2013 年は、2020 年の東京オリンピック・パ
ラリンピックの開催が決定し、滝川クリステルさん
の「おもてなし」が流行語大賞に選ばれたことで大
きな話題となりました。流行語大賞には他にも
「じぇ
じぇじぇ」や「倍返し」などテレビから発信された
言葉が多数選出されています。中でも、林修先生の
「今でしょ」ブームのきっかけがテレビ CM だった
ことはご存知の通りです。
このように、時には世相を反映し、あるいは人々
を元気付けるように、2013 年も多くの CM(関
東地区では、約 149 万本)が出稿されました。そ
こで今回は関東地区テレビ広告出稿統計データか
ら、2013 年を振り返ってみたいと思います。
■ CM 総量は微増
⇒スポット CM は増加、番組 CM は減少
関東地区の年間総 CM 出稿量をみると、CM の
総秒数は 2,697 万秒となりました。2012 年の総
このたび、2013 年のテレビ
出稿量が 2,693 万秒でしたので、前年と比べると
広告出稿統計データがまとま
わずかながら増加しています。
りました。五輪開催決定など
では、番組・スポット別に目を向けるとどうでしょ
比較的明るい話題も多かった
う。関東地区で出稿された 2,697 万秒のうち、番
この 1 年の出稿状況やタレン
組 CM は 666 万秒、スポット CM は 2,031 万秒
トの露出量を速報として、ご紹
で、比率でいうと 24.7%対 75.3%となっていま
介します。
す。東日本大震災のあった 2011 年を除き、番組
CM の割合は 2006 年から減少傾向をたどってい
ます。
【図表 1】
【図表 1】年間 CM 出稿量(関東地区・秒数ベース)
(万秒)
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
writer
ビデオリサーチコムハウス
河野 大輝
16
0
2008年
2009年
スポットCM
2010年
2011年
番組CM
2012年
2013年
秒数合計
Video Research Digest 2014.4
■ 商品種類別出稿量は?
⇒「通信・web 系サービス」をおさえ
【図表 2】商品種類別出稿ランキング ( 上位 20 位 ) 関東地区
順位 商品種類
秒数(千秒) 昨年比(%) 昨年順位
1
郵便・電信・電話
967
109.1
3
2
通信・web系サービス
926
89.0
1
3
普通乗用車
858
85.0
2
2013 年の CM 年間出稿秒数ランキングをみる
4
生命保険
792
110.8
5
と、
「郵便・電信・電話」が「通信・web 系サービス」
5
住宅・建材総合
685
116.2
7
647
141.1
15
「郵便・電信・電話」がトップ
(前年 1 位)
「普通自動車」
(前年 2 位)を上回り、
他の金融
(クレジットカード・銀行ローン等)
6
トップとなっています。
7
他の特殊小売店
632
81.2
4
これは、携帯キャリア、ケイディーディーアイの
8
玩具・テレビゲーム
606
103.4
8
9
他の食品(サプリメント等)
580
87.3
6
576
105.1
9
大幅増 ( 前年の約2倍)が寄与した結果で、大躍進
といえます。
10
他の化粧品
(洗顔フォーム・美容液等)
11
スーパー・コンビニ
514
103.9
12
12
飲食業
503
99.7
10
他のサービス
13
(税理会・法律事務所等)
493
179.7
─
14
携帯電話・電話・ファクシミリ
481
107.5
16
また、3位の「普通自動車」もスズキ(約8割)
15
ビール・発泡酒・
ビールテイスト飲料
481
102.8
14
の減少により、前年割れとなっています。一方、
「生
16
学校
460
110.1
17
17
軽乗用車
454
113.9
18
他の非アルコール飲料
18
(青汁・ミネラルウォータ等)
427
85.2
11
19
CD・LD・DVDソフト
392
79.5
13
20
家庭用品機器総合
391
145.3
─
ここ数年1位※をキープしていた「通信・web
系サービス」ですが、グリー(前年の6割)
、ディー
エヌエー(9割)の減少により2位に留まり、モバ
イル系ゲームの出稿は鈍化傾向となっています。
命保険」ではメットライフアリコ生命保険、アメリ
カンホーム保険、
「住宅・建材総合」では積水ハウス、
大和ハウスの出稿増により、ベスト5にランクイン
しています。
※(─)はランク外
ベスト 20 の中において、顕著な伸びを示した商
・
「他の金融」
(141.1%)
品種類と寄与したCMは、
→クレジットカード・銀行ローン
・
「他のサービス」
(前年比 179.7%)
2013 年のベスト 20 の顔ぶれに大きな変化は
→税理会、法律事務所
ありませんでしたが、ジャンルによって出稿量はか
・
「家庭用品機器総合」
(145.3%)
なり変動し、順位の入れ替わりが顕著です。
→アミューズメント系エンターテインメント ゲーム機器
【ちょっとしたトピック①】
2014 年1月からスタートしました少額投資非課税制度
NISA ですが、2013 年後半、テレビCMでも金融各社か
ら多数の出稿がみられました。その背景には、NISA 口座
の開設をするには、金融機関の口座を持つ必要があるため、
各社は口座開設による顧客拡大等を目指して広告出稿して
いることがわかります。
2013 年 NISA に関する CM を出稿したのは計 8 社(関
東地区)
。2012 年と比較すると、8 社中全社が出稿量を
増やしています。
※ 2011 年は東日本大震災の影響によって1位となった
「ACジャパン」を除いたランキング。
関東地区 NISA 出稿状況
順位
広告主
[単位:秒数]
2013 年 2012 年 前年比(%)
1
三菱東京UFJ銀行
70,635
41,985
168.2
2
野村證券
20,085
2,040
984.6
3
大和証券
15,000
5,850
256.4
4
SMBCフレンド証券
14,265
4,545
313.9
5
SMBC日興証券
8,445
1,920
439.8
6
日本証券業協会
7,260
-
-
7
フィデリティ証券
3,960
-
-
8
水戸証券
795
-
-
17
注目ジャンル pick up
◎クレジットカード・銀行ローンの「他の金融」
◎「コーヒー」
ベスト 20 の中でも前年 140%以上の出稿量を
日経トレンディの調査によると、2013 年のヒッ
みせた「他の金融」を銘柄でみると、
クレジットカー
ト商品ランキングでコンビニコーヒーが上位にラン
ドを扱う会社の出稿が多く、それ以外に日本宝くじ
クインし話題となりましたが、その人気を反映して
協会や日本スポーツ振興センターが上位にランクイ
か、
「コーヒー」出稿量は前年比 112.5%(25 位)
ンしています【図表3】
。
の伸びを示しています。
その中でも最も多く出稿
銘柄別で見ると、花王から発売された「ヘルシア
されたのが、口座が無くて
コーヒー」の出稿量の多さが目立ちます。また全体
も即座にカードが作れる三
的には、サントリーのボスやキリンビバレッジの
菱東京 UFJ 銀行の「バン
FIRE をはじめとする缶コーヒーの出稿が上位を占
クイック」となっており、
めています【図表4】
。
次位の「プロミス」ともに
今年に入り、発売されたサントリー「ボスグリー
前年比 170%以上の出稿量となっています。
ン」の CM 出稿は、既に活発化しており、今後も
3位にランクインした「楽天カード」は、新規入
各社からこのようなヘルシー路線のコーヒーの発売
会によるポイント付与や、貯まったポイントを楽天
が予想されます。そして、それに伴う広告展開も気
市場で使えることを訴求して、前年比 800%以上
になるところです。
の驚異的な伸びを示しています。
このようにクレジットカード会社が出稿量を伸ば
した背景には、
「アベノミクス」や「消費税増税」
の効果を期待した広告主の思惑が見てとれます。
【図表3】
「他の金融」ジャンルの銘柄ベスト 10(関東地区)
順位
前年比
(%)
【図表4】コーヒー銘柄出稿量ベスト 20(関東地区)
順位 銘柄
2013 年
(秒)
前年比
(%)
1
三菱東京 UFJ 銀行バンクイック
60,240
172.3
1
花王ヘルシアコ-ヒ-
22,905
2
プロミス
56,145
177.1
2
ネスレコ-ヒ-製品
16,770
-
3
楽天カード
50,580
814.5
3
サントリ-ボスレインボ-マウンテンブレンド
16,110
240.8
4
アコム
35,745
136.0
4
キリンビバレッジFIRE挽きたて微糖
15,780
-
5
BIG
33,435
98.6
5
アサヒ飲料ワンダモ-ニングショット
13,980
100.4
6
日本宝くじ協会 LOTO7
31,200
-
6
アサヒ飲料ワンダ金の微糖
13,800
159.7
7
新生銀行新生銀行カードローンレイク
27,390
130.4
7
ダイド-ダイド-ブレンドブレンド BLACK
13,530
-
8
アイフル
24,255
155.5
8
ダイド-ダイド-ブレンド製品
12,990
64.2
9
農林中金 JA バンク
23,520
114.1
9
コカコ-ラジョ-ジア製品
12,720
56.0
VISA インターナショナル VISA カード
17,520
207.8
10
ダイド-ダイド-ブレンドブレンド微糖
11,370
51.1
10
18
銘柄
2013 年
(秒)
-
Video Research Digest 2014.4
■ 2013 年 CM 新女王は「剛力彩芽」
20 位中 13 名が女性で占められており、ここ数
⇒露出量は「上戸 彩」を大きく上回る
年の女性の勢いをあらためて感じる結果となってい
ます。加えて、2013 年は携帯キャリアの CM が
2013 年関東地区で最も CM 露出が多かったタ
多かったため、それらの CM に出演しているタレ
レント(秒数ベース)は、
「剛力彩芽」で、
ケイディー
ントが露出を伸ばしたといえます。
ディーアイやヤマザキパンなど 14 社の CM に起
■ 2013 年 CM 総評
用され、初の1位となりました。2012 年1位だっ
た「上戸 彩」は、
起用社数(15 社)で「剛力彩芽」
2013 年は増税が現実味を帯びてきたこともあ
を上回ったものの、秒数では大きく水をあけられ、
り、住宅や車などといった耐久消費財の出稿量が増
2位に留まっています。3位は「井川 遥」で、
ケー
加しています。特に、
「軽乗用車」は 2014 年正月
ディーディーアイauスマートバリュー、三菱自動
三が日において、商品種類別で最も多く CM が出稿
車出演が寄与し 53 位からのランクインとなりまし
されました。今後、消費税増税に伴ってどのような
た。
「井川 遥」は今年に入りユーキャンやサント
CM が、どれくらい展開されるかが注目されます。
リー角瓶の女性マスター役として活躍していますの
また、日経BPコンサルティング調べによると、
で、2014 年の露出量が注目されます。
スマートフォンの国内普及率が高まり、携帯・スマー
一方、
男性タレントで最も露出が多かったのが「高
トフォン市場は4兆円を突破したとのこと。それに
田純次」
(全体で7位)で、ウィルコム、BIG の
伴い、スマートフォンなどのモバイル系ゲームを展
CM に出演しています。注目すべきは、707 位か
開している企業が注目されます。今回は 2013 年
ら 12 位へとジャンプアップした「前田旺志郎」で
の CM 動向の一部をご紹介しました。詳細につい
す。お笑いコンビ「まえだまえだ」の弟で CookDo
ては 4 月中旬発行予定の「テレビ調査白書 2013
の CM が印象的でした。
年」でご紹介します。
[ 図表5] 2013 年タレント CM 露出量(関東地区)
順位
タレント名
秒数計
起用社数
[単位 秒数]
主な出演銘柄
1
剛力 彩芽
336,080
14
ケイディーディーアイ/ KDDI au スマートバリュー/ヤマザキパン
2
上戸 彩
231,955
15
ソフトバンクモバイル/アサヒ クリアアサヒ
3
井川 遥
193,740
5
4
大島 優子
185,495
18
NTT ドコモ 応援学割/ユーキャン/グリー
5
武井 咲
184,605
22
イオン/イオン 店舗案内/積水化学
6
森三中
174,360
2
KDDI au スマートバリュー/久光サロンパス A
7
高田 純次
167,490
6
ウィルコム だれとでも定額/ WILLCOM / BIG
8
島崎 遥香
150,945
16
KDDI au スマートバリュー/ケイディーディーアイ/三菱自動車
NTT ドコモ 応援学割/ユーキャン/グリー
前年順位
3
1
53
6
2
486
7
164
9
役所 広司
150,930
6
ダイハツ MOVE /大和ハウス工業/マルちゃん正麺
10
佐々木 希
150,765
12
ウィルコム だれとでも定額/ WILLCOM /青山商事
11
渡辺 麻友
147,945
16
NTT ドコモ 応援学割/ユーキャン/グリー
12
前田 旺志郎
146,910
3
13
篠田 麻里子
145,485
18
NTT ドコモ 応援学割/ユーキャン/ベルーナ
14
きゃりーぱみゅぱみゅ
142,095
17
ケイディーディーアイ/ KDDI au スマートバリュー/ジーユー
15
阿部 寛
140,925
9
三菱東京 UFJ 銀行 バンクイック/積水化学
16
バナナマン
139,020
7
ウィルコム だれとでも定額/ WILLCOM /アイフル
17
櫻井 翔
136,470
13
アメリカンファミリー 生きるためのがん保険 Days /大塚製薬 オロ
ナミン C / JINS
22
18
向井 理
131,810
16
アサヒ クリアアサヒ/味の素 丸鶏がらスープ
12
19
小嶋 陽菜
129,390
15
NTT ドコモ 応援学割/グリー GREE /資生堂 ツバキ
12
20
高橋 惠子
128,715
5
アデランス フォンテーヌイヴ/アデランス
28
KDDI au スマートバリュー/味の素 CookDo
43
4
15
707
8
65
23
271
19
【ちょっとしたトピックス②】
2013 年 10-12 月に出演した CM が年間の約半
2013 年は「あまちゃん」
、
「半沢直樹」が大ヒッ
分を占めていることから、彼女にもドラマ効果が見
トし、ドラマで使用された「じぇじぇじぇ」や「倍
られました。それに比べ、主演の「能年玲奈」
、母
返し」が流行語大賞に選ばれました。放送終了後、
親役の「小泉今日子」はドラマによる影響はあまり
両番組の出演タレントが多数CMにも起用されてい
大きくなく、年間を通して CM 露出があったこと
ます。そこで、
「あまちゃん」と「半沢直樹」に出
がうかがえます。
演したタレントの CM 露出状況を調べてみました。
両作品を通して特筆すべきは、
「半沢直樹」
「あま
ドラマが終わった 2013 年 10-12 月で最も CM
ちゃん」の脇を固めた片岡愛之助、石丸幹二、片桐
露出が多かったのは、半沢直樹主演の「堺 雅人」
はいり、滝藤賢一など、人気ドラマ出演後急激に
です。2013 年 10-12 月のCM露出は、年間に出
CM 出演を増したタレントが何人もいることです。
演した全CMの 6 割を占めており、ドラマを契機に
ドラマの影響が CM につながった顕著な例といえ
CM 露出が大幅に増えたことがうかがえます。これ
ます。
も、ドラマ「半沢直樹」の効果といえるでしょう。
大ブレイクしたふたつのドラマに出演したタレン
一方「あまちゃん」で 2013 年 10-12 月に最
トが、今後どのような CM に出演していくのか楽
も多く CM 出演していたのは、
「有村架純」で、
しみです。
半沢直樹出演タレントの CM 露出状況(関東地区)
[単位:秒数]
2013 年 10-12 月
タレント名
順位
秒数計
2013 年間
年間シェア
順位
秒数計
堺 雅人
2
60,795
60.1%
40
101,170
上戸 彩
6
47,575
20.5%
2
231,955
52
23,010
40.1%
100
57,360
香川 照之
103
14,730
30.2%
141
48,810
壇蜜
165
10,920
64.3%
451
16,995
片岡 愛之助
366
5,895
100.0%
1178
5,895
及川 光博
571
3,930
24.7%
472
15,900
滝藤 賢一
889
2,055
87.3%
1955
2,355
宇梶 剛士
1177
1,050
17.1%
1138
6,150
赤井 英和
1433
540
9.1%
1175
5,910
駿河 太郎
1522
420
3.6%
653
11,760
石丸 幹二
1949
120
100.0%
3578
120
笑福亭 鶴瓶
あまちゃん出演タレントの CM 露出状況(関東地区)
[単位:秒数]
2013 年 10-12 月
タレント名
20
順位
秒数計
2013 年間
年間シェア
順位
秒数計
有村 架純
43
24,500
51.8%
146
47,285
平泉 成
74
17,685
43.8%
171
40,410
小泉 今日子
109
14,220
37.4%
188
38,040
片桐 はいり
195
9,645
100.0%
794
9,645
吹越 満
214
9,225
16.4%
106
56,145
能年 玲奈
494
4,665
33.7%
547
13,830
尾美 としのり
557
4,035
36.8%
705
10,950
古田 新太
597
3,735
16.8%
333
22,245
松田 龍平
757
2,610
10.1%
294
25,780
塩見 三省
966
1,770
16.7%
724
10,575
福士 蒼汰
1002
1,620
17.5%
837
9,255
杉本 哲太
1088
1,350
12.0%
687
11,220
でんでん
1433
540
6.8%
954
7,995
橋本 愛
1495
465
0.7%
75
68,670