©NSCA JAPAN Volume 15, Number 4, pages 41-45 f r o m W e b S i t e / NSCA’s Performance Training Journal Core Training アスリートのための コアトレーニングの漸進法 Core Training Progression for Athletes Todd Brown 何百万人ものアスリートが多種多様 示す。 来るように床につける。上の脚を下 なスポーツに参加する米国では、トレ ーニングのアドバイスを求める声が多 とる。肘と前腕を、肩より少し上に ・伸筋テスト(伸筋群の持久力) の脚の前に置いて交差させる。腰を く、教材を用いた質の高いトレーニン ベンチで仰臥位をとる。上半身を 浮かせ、その姿勢をできる限り維持 グプログラムに対するニーズも非常に ベンチの端から出し、両脚を固定す する。時間を計測し、背中を真っ直 多い。コアトレーニングに関しては、プ る。全身が一直線になるように上半 ぐ伸ばした姿勢が崩れて、腰が下に ログラムの選択肢が無数に存在する。 身を床に対して水平にし、できる限 ほとんどのアスリートが最も重視する りその姿勢を保つ。姿勢が崩れたら 2つの目標(健康とパフォーマンスの向 終了し、時間を記録する。 上)を達成するためには、有効かつ現実 的なトレ―ニング法を、数週間から数 ・屈筋テスト(屈筋群の持久力) カ月間にわたって慎重に進行させる必 床に対して60 ° に設置したサポー 要がある。McGill によると、正確な評 ト板に、背中をつけて座る。膝と股 価のためのテストとして、以下の例が 関節を90 ° 屈曲させた状態で足を固 挙げられる(2) 。 定する。前腕を胸の前で交差させ、 両手をそれぞれ反対側の肩に置く。 ・プッシュアップ・テスト(ねじれの制 御) プッシュアップの姿勢をとる。正 しいアライメントがとれたら、左手 サポート板を背中から10cm 後ろに ずらし、時間を計測し始める。背中 がサポート板に少しでも触れたら計 測を止め、テストを終了する。 を右手の上に置く。さらに左右の手 を入れ替えて行う。骨盤が上がった り、片側に傾くような場合、体幹の ねじれの制御ができていないことを ・サイドブリッジ(左右)テスト(側筋群 の持久力) 側臥位でサイドブリッジの姿勢を May 2008•Strength & Conditioning 写真 1 ブレーシング 41 着いた時点で終了する。 ブレーシング 筋群と背筋筋の両方を活性化させて、 ミナルブレースの教授法(2)は以下の通 脊椎の周囲に筋のガードルをつくる。こ りである。 れに対し、Gracovetsky らが1981 年に 安定性を強化する上で、ブレーシン 発表した研究を起源とするホローイン グとホローイング(へそを引っ込める) グは、腰椎を安定させるために腹横筋 のどちらが効果的かはトレーニング関 を単独で動員しようとする試みである 係者の間でも意見が分かれているが、バ (1) 。現在、単一の筋を動員するという イオメカニクス的な観点と直観からみ 考え方は、スポーツで観察される多種 た場合、ブレーシングの方が確実な方 多様な動作を考慮した場合、あまりに 法と考えられる。ブレーシングは、腹 単純すぎると考えられている。アブド ・立位で腰を少し曲げた状態で、腰椎 伸筋群の下部に触れる ・モーメントが収まり、伸筋の活動が 写真 4 スクワットのブレーシング姿勢(開始) 写真 2 バードドッグ(開始姿勢) 写真 5 スクワットのブレーシング姿勢(ボト 写真 3 バードドッグ(完了) 42 ムポジション) May 2008•Strength & Conditioning 完了するまでゆっくりと腰を伸ばす 習得したら、さらにトレーニングのレ 腰が引き上がる感覚がよくわからない ・このときの姿勢が脊椎の安静位であ ベルを上げる。最初に、四つんばいの 場合は、腰の上にウレタンフォーム製 り、最も症状が少ない姿勢として報 姿勢で動的なブレーシングを学習する のハーフローラーを乗せ、落とさない 告されることが多い ・この時点で身体を動かさずに腹筋群 (写真2) 。アブドミナルブレースを維 ようにエクササイズを行う。 持しながら、従来の「バードドッグ」を スクワット を収縮させると、ブレーシングが完 行う。右腕を前方に上げると同時に、 了する(写真1) 反対側の脚(この場合は左脚)を上げて さらにレベルを上げるには、アブド 後方へ伸ばす(写真3) 。ブレーシング ミナルブレースを維持しながら従来の で脊椎のニュートラルポジションを維 自重スクワットを行う(写真4、5) 。 持し、腰を引き上げないようにする (2) 。 スクワットを習得したら、次に示すフ バードドッグ 静的なアブドミナルブレーシングを 写真 6 フォロー・ザ・リーダー 写真 8 V の開始姿勢 写真 7 フォロー・ザ・リーダー(片足) 写真 9 右側への V ローテーション May 2008•Strength & Conditioning 43 写真 10 左側への V ローテーション 写真 11 スプリットスクワットのローテーション(開始) ォロー・ザ・リーダーなど、レジスタ ンスベース以外のエクササイズを行っ てもよい。 フォロー・ザ・リーダー 両足を肩幅に広げ、片手を前方に伸 ばす。その手でパートナーの手の動き を模倣する。手の動きは、上下、左右、 およびこれらの組み合わせが挙げられ る(写真6) 。片足立ちで行ったり、前 後または左右に移動しながら行えばレ ベルを上げることができる(写真7) 。 写真 12 スプリットスクワットのローテーション(終了) V’ s コアへの要求を増大させるために、立 位やウォーキングなど、様々な動作に 44 スプリットスクワット 替えて行う。レベルを上げるには、ラ 抵抗を加えてもよい。V’ s は、立位姿勢 固定したレジスタンスバンドを利用 に抵抗を加え、様々なレベルの動作を したもう1つのエクササイズは、スプ 組み合わせるエクササイズである。ま リットスクワットの姿勢で行う。レジ ず両足を肩幅に広げて立つ。レジスタ スタンスバンドを、腰の高さに取り付 ここまで、アスリートに対するコア ンスバンドを壁の下方、身体の正面に ける。スプリットスクワットの姿勢を トレーニングの一般的なレベルアップ 取り付け、両手でバンドをつかむ(写真 とり、両手でバンドをしっかりとつか について説明してきた。基本的なこと 8) 。両手を左右に動かし、 「V 字」動 み(写真11) 、身体を壁と踏み出し脚か ではあるが、最も重要な要素はテスト 作を行う(写真9、10) 。 ら離すように回転させる(写真12) 。開 と評価であることに留意してほしい。そ 始姿勢に戻ったら完了とし、脚を入れ のような情報を収集できればトレーニ May 2008•Strength & Conditioning ンジのようにステップを追加して同様 に行う。 ングは確実にレベルアップし、安定性 を改善し、最終的にはパフォーマンス From NSCA’s Performance Training Journal Volume 5, Number 5, pages 12-18 を向上させることができるだろう。◆ 著者紹介 References 1. Gracovetsky S, Farfan HF, Lamy C. (1981). The mechanism of the lumbar spine. Spine, 6(1):249262. 2. McGill SM. (2004). Ultimate Back Fitness and Performance. Ontario: Wabuno Publishers. Todd Brown : Project G.O.A.L.S ディレクター。 パフォーマンス強化を目的としたフィールドトレー ニングに従事し、NFL や MLB、NCAA のアスリー トを対象にコンサルティングを行っている。 information Category C CPR BASIC + AED セミナー スケジュール(NSCA ジャパン共催) CEU 0.5 0.5 NSCA ジャパンでは、国際救命救急協会と共催で CPR Basic + AED セミナーを以下 の日程で実施します。スケジュールなどの最新情報はウェブサイトをご覧ください。 日程 開催地・会場名 日程 開催地・会場名 日程 開催地・会場名 2008 年 7/13(日) 名古屋市千種区・今池ガスビル 10/13(祝) 青森市・未定 5/3 (祝) 東京都中央区・新川区民館 7/20(日) 福岡市中央区・電気ビル 10/18(土) 東京都中央区・新川区民館 5/4 (日) 東京都中央区・新川区民館 7/25(金) 長野県上田市・クレスM 10/25(土) 名古屋市千種区・今池ガスビル 5/11(日) 名古屋市中区・愛知県青年会館 7/27(日) 北海道上川郡鷹栖町・サンホールはぴ 11/2 (日) 石川県金沢市・石川ハイテク交流セン 5/17(土) 大阪市東淀川区・新大阪丸ビル新館 ター ねす 5/18(日) 大阪市東淀川区・新大阪丸ビル新館 8/2 (土) 東京都中央区・新川区民館 11/8 (土) 福岡市中央区・電気ビル 5/24(土) 福岡市博多区・福岡朝日ビル 8/9 (土) 大阪市東淀川区・新大阪丸ビル新館 11/9 (日) 沖縄県那覇市・かんぽレクセンター 5/31(土) 沖縄県那覇市・かんぽレクセンター 8/10 (日) 宮城県仙台市青葉区・青葉カルチャー 11/15(土) 大阪市東淀川区・新大阪丸ビル新館 11/22(土) 東京都中央区・新川区民館 センター 6/7 (土) 東京都中央区・新川区民館 6/14(土) 広島市南区・広島オフィスセンター 8/30 (土) 新潟市・新潟土地改良会館 11/23(日) 東京都中央区・新川区民館 6/15(日) 大阪市東淀川区・新大阪丸ビル新館 9/6 (土) 大阪市東淀川区・新大阪丸ビル新館 11/24(祝) 岡山市・未定 6/28(土) 静岡市葵区・ふしみや貸会議室 9/14 (日) 東京都中央区・新川区民館 11/30(日) 北海道札幌市中央区・タカオカビル 6/29(日) 栃木県宇都宮市・栃木県青少年会館コ 9/21 (日) 名古屋市千種区・今池ガスビル 12/6 (土) 大阪市東淀川区・新大阪丸ビル新館 9/28 (日) 福岡市中央区・電気ビル 12/13(土) 東京都中央区・新川区民館 7/5 (土) 東京都中央区・新川区民館 10/4 (土) 大阪市東淀川区・新大阪丸ビル新館 12/20(土) 名古屋市千種区・今池ガスビル 7/12(土) 大阪市東淀川区・新大阪丸ビル新館 10/11(土) 熊本市・未定 ンセーレ *会場は予定であり、変更される場合があります。あらかじめご了承ください。 ■ 募集人数:10 ∼60 名(参加希望者が10 名に満たない場合は開催を中 止することがあります) ■ 講習時間: [新規]9 :00 ∼18 :00 [継続]13 :00 ∼18 :00 ■ 受 講 料: [新規]一般 24,000 円 → NSCA ジャパン会員価格 / 20,000 円 (税込) [継続]一般 15,000 円 → NSCA ジャパン会員価格 / 12,000 円 (税込) ■ 取得資格:CPR BASIC 及びAED(有効期限1年) ■ 受 付:講習会の2 カ月前から受付開始、開催10 日前まで。電話、 Fax、メールにてNSCA ジャパン事務局までお申し込みく ださい。 ■ お支払い方法:お申し込み後、1 週間以内にNSCA ジャパン事務局宛 てにお振込みください。 郵便振替口座:00100−6−39167 加入者名:NSCA ジャパン ■ C E U :カテゴリーC 0.5 ■ 主 管:国際救命救急協会 http://www.i-e-m-a.org ■ 共 催:NSCA ジャパン ※現在有効な国際救命救急協会のCPR Basic 認定をお持ちの方は、継続 としての受講が可能です。 ※有効期限が切れてから30 日以内であれば、継続としての受講が可能で す。30 日を過ぎると新規での受講となります。ご了承ください。 ※日時、会場は予定であり、変更される場合があります。 ※それぞれ定員になり次第、締め切ります。 ※キャンセルについての規定は、NSCA ジャパンのウェブサイトをご参 照ください。 日本ストレングス&コンディショニング協会 特定非営利活動法人 NSCA ジャパン 事務局 National Strength & Conditioning Association Japan 〒 105-0023 東京都港区芝浦 1-13-16 森永芝浦ビル内 Tel: 03-3452-1684 Fax: 03-3452-1690 E-mail:[email protected] http://www.nsca-japan.or.jp 特定非営利活動法人 NSCA ジャパン May 2008•Strength & Conditioning 45
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