平成26年12月 よくわかる統計トピックス 青森の人が日本一食べているものは何? 今回は、総務省が全国約 9 千世帯を対象として実施している家計調査の「品目別都道府 県庁所在市及び政令指定都市ランキング 2011 年~2013 年平均」から、全国で1位となっ ている本県の食べ物に関する特徴的なデータを紹介し、その背景を探ってみたいと思いま す。 表1 1 炭酸飲料購入金額 炭酸飲料 (金額:円) 統計分析課が毎年発行している「ピカイチデータ~数 1位 青森市 6,748 2位 宇都宮市 5,424 字で読む青森県~」にも掲載されていますので知ってい 3位 山形市 5,385 る方も多いと思いますが、青森市は炭酸飲料の購入金額 4位 山口市 5,338 が全国で 1 位となっています。その考えられる理由とし 5位 札幌市 5,290 て、下記にいくつか挙げてみました。 ~ ~ ~ 47位 北九州市 3,379 ① 飲料業界では、夏場の最高気温が 28 度位までは炭 48位 名古屋市 3,351 酸飲料がよく売れるが、30 度を超えると口の中がべ 49位 長崎市 3,255 とつかないような無糖茶やミネラルウォーターが売 50位 津市 3,109 れると言われている。このため、青森の夏の暑さに 51位 神戸市 2,973 (全国平均) 4,359 は炭酸飲料が合っている。 「総務省:家計調査2011~2013平均」 ② 元々、甘い飲み物が好まれている。リンゴジュー スなどの果実・野菜ジュース購入金額が1位、コーヒー飲料購入金額が3位に対し、 無糖の飲み物のミネラルウォーター購入金額が最下位、茶飲料が22位となってい る。 表2 果実・野菜ジュース 1位 青森市 2位 横浜市 3位 高松市 4位 松山市 5位 水戸市 (全国平均) 12,475 10,081 10,034 9,987 9,755 8,660 コーヒー飲料 (金額:円) 福井市 6,274 新潟市 4,769 青森市 4,743 松山市 4,659 金沢市 4,590 3,791 「総務省:家計調査2011~2013平均」 ③ 表3 ミネラルウォーター (金額:円) 1位 東京都区部 6,308 2位 さいたま市 5,623 3位 福島市 4,937 4位 千葉市 4,814 5位 那覇市 4,769 ~ ~ ~ 51位 青森市 1,290 (全国平均) 3,173 県内には昔からリンゴジュースの加工場が各地に 「総務省:家計調査2011~2013平均」 存在し、そこでは同時にサイダーも製造しているところが多かったため、以前から 家庭ではサイダーが飲まれていたようである。本県では今でもサイダーを製造する 地元のメーカーが4~5社あり、全国でも地サイダーの種類の多さではトップクラ ス。 ④ 県立郷土館の資料によると、冷蔵庫のない時代には清涼感を出すために炭酸を強 めに調整したサイダーに人気があり、また、炭酸飲料を飲み多くの「ゲップ」を出 すことで「農薬の毒が消える」「喉のイガイガが取れる」という俗説が農家に広ま ったこともあり、昔から農村部では強めの炭酸飲料が好まれていたという説もある。 -1- 表4 2 カップめん購入数量 カップめん (金額:円) この品目も2位以下を引き離して1位となっていま 1位 青森市 5,418 す。理由としては以下のものが考えられます。 2位 山形市 4,584 3位 秋田市 4,390 ① 県民所得が低いことから、価格の安い食品で食費を 4位 新潟市 4,311 抑えている。 5位 仙台市 4,258 ② 冬期間は積雪で外出が億劫になるため、家庭で保存 (全国平均) 3,380 がきくカップめんを買いだめする。いつもはランチを 「総務省:家計調査2011~2013平均」 外食にしている会社員も降雪時は社内で手軽にカップめんで済ます。寒いから温かい ものが好まれる。 ③ そもそも青森市民はラーメン好きである。中華めん(生めん)購入数量が2位、即 席めん(袋麺)購入数量が3位である。また、外食全体(そば・うどん、すし、和食、 洋食などを含む)の金額が最下位にもかかわらず、中華そばの外食費だけは10位で あることから、家でも外でもかなりの頻度でラーメンを食べているようである。 表5 中華めん 1位 盛岡市 2位 青森市 3位 那覇市 4位 山形市 5位 秋田市 (全国平均) 即席めん 鳥取市 高知市 青森市 佐賀市 大分市 12,560 11,658 11,332 11,267 10,625 9,270 (数量:g) 4,211 3,880 3,800 3,765 3,638 2,844 「総務省:家計調査2011~2013平均」 表6 外食(全体) (金額:円) 1位 東京都区部 236,800 2位 川崎市 204,743 3位 岐阜市 199,643 ~ ~ ~ 49位 和歌山市 127,884 50位 那覇市 121,923 51位 青森市 98,124 (全国平均) 159,154 「総務省:家計調査2011~2013平均」 表7 外食(中華そば) (金額:円) 1位 山形市 12,077 2位 福島市 11,348 3位 宇都宮市 9,643 ~ ~ ~ 10位 青森市 7,664 (全国平均) 5,492 外食(日本そば・うどん) 1位 高松市 2位 仙台市 3位 静岡市 ~ ~ 46位 青森市 (全国平均) (金額:円) 14,578 8,431 8,332 ~ 4,210 5,376 外食(すし) (金額:円) 1位 岐阜市 19,250 2位 宇都宮市 18,164 3位 金沢市 17,747 ~ ~ ~ 43位 青森市 10,731 (全国平均) 13,387 「総務省:家計調査2011~2013平均」 そのほか、東奥日報の取材(2014 年 10 月 26 日付あおもり経済調査隊)によると、 ④ カップめんの県内小売店での平均販売単価が全国でも1、2位の安さに加え、割引セ ールが多い。 ⑤ 農繁期には畑でカセットコンロを使ってお湯を沸かしカップめんを食べるなど、屋外 でご飯を食べる機会が多い第一次産業に従事する人の割合が高い。 表8 3 ウイスキー購入数量 ウイスキー (数量:ml) 1位 青森市 3,073 酒類全体の購入金額が2位なので、お酒好きな県 盛岡市 1,794 民性ではありますが、なぜかウイスキーについては、 2位 3位 秋田市 1,683 2位以下を引き離してのダントツの1位となって 4位 札幌市 1,561 います。理由としては以下が考えられます。 5位 千葉市 1,517 (全国平均) 960 「総務省:家計調査2011~2013平均」 -2- ① 外で飲む飲酒代が43位と低いことから、酒は家 表9 外食(飲酒代) (金額:円) で買って飲む人が多い。 1位 高知市 34,550 ② 晩酌はビールよりも水で割って飲めるウイスキー 2位 東京都区部 26,580 の方が経済的である。同じように割って飲める焼酎 3位 長野市 26,386 の購入数量が焼酎の本場の宮崎県(1位)に次ぐ2 ~ ~ ~ 43位 青森市 13,385 位となっており、鹿児島県(3位)より多いのは驚 17,037 き。それに対して、意外と順位が低かったのは、割 (全国平均) 「総務省:家計調査2011~2013平均」 って飲めない清酒(6位)。 ③ 冬期間の積雪により、職場の飲み会があっても1次会は参加するが、スナックに行 くことが多い2次会には参加せず、家に帰ってからスナックで飲むはずだったウイス キーを飲んでいる。 表10 酒類 (金額:円) 焼酎 (数量:ml) 1位 盛岡市 53,987 宮崎市 22,910 2位 青森市 53,471 青森市 17,029 3位 秋田市 52,846 鹿児島市 15,642 4位 新潟市 52,731 秋田市 14,368 5位 広島市 49,238 山口市 14,074 (全国平均) 41,263 9,869 表11 清酒 (数量:ml) 1位 新潟市 13,808 2位 秋田市 12,393 3位 盛岡市 10,642 4位 長野市 9,814 5位 福島市 9,722 6位 青森市 9,637 7位 金沢市 9,504 (全国平均) 7,604 「総務省:家計調査2011~2013平均」 ビール(数量:リットル) 盛岡市 30.97 札幌市 30.79 大阪市 29.24 京都市 28.72 広島市 28.52 秋田市 27.60 青森市 26.57 23.24 「総務省:家計調査2011~2013平均」 4 生鮮魚介の購入数量 本県は、生鮮魚介(乾燥や塩漬の保存用の加工をし ない魚介)の購入数量が1位となっています。その内 訳をみても、さけ、さんま、いか、ほたて貝の購入数 量が 1 位、かれいが2位、しじみが4位など地元で獲 れる魚介類が軒並み上位にランクしています。理由と しては以下が考えられます。 表12 生鮮魚介 1位 青森市 2位 鳥取市 3位 秋田市 4位 松江市 5位 富山市 (全国平均) (数量:g) 48,769 42,589 40,278 39,601 38,172 31,224 「総務省:家計調査2011~2013平均」 表13 さけ 1位 青森市 2位 札幌市 3位 新潟市 4位 長野市 5位 盛岡市 (全国平均) 5,142 4,808 4,401 4,212 4,052 3,026 さんま 青森市 秋田市 札幌市 仙台市 盛岡市 3,106 3,099 2,832 2,663 2,584 1,526 いか 青森市 鳥取市 札幌市 秋田市 盛岡市 5,107 3,608 3,567 3,439 3,350 2,371 ほたて貝 青森市 札幌市 秋田市 盛岡市 新潟市 3,256 1,526 1,283 1,182 896 668 かれい 鳥取市 青森市 金沢市 松江市 新潟市 4,539 3,636 2,605 2,556 2,463 1,112 しじみ(数量:g) 松江市 1,380 秋田市 901 水戸市 802 青森市 750 甲府市 750 322 「総務省:家計調査2011~2013平均」 ① 本県は、日本海、太平洋、陸奥湾と三方を海に囲まれ、日本海を北上した対馬暖 流が津軽海峡に入り、太平洋の沖合で北からの親潮(寒流)と、南の黒潮とがぶつ かりあい、魚の餌となるプランクトンが多く発生することで、魚が集まり豊かな漁 場がつくられている。このため、魚介類の種類が豊富で四季を通じて新鮮な旬の魚 介が手に入る。 ② 本県は、外食にかける金額が全国で最も少ないことから、他県よりも家庭で食事 をすることが多い。更に調理食品(惣菜や冷凍食品など)の購入金額が50位と全 -3- 国でも下位のレベルにあることから、食材を使 表14 ってしっかり手作りしている家庭が多く、その 調理食品 1位 浜松市 際、比較的安い食材である魚介類を使って、刺 2位 静岡市 身、焼き魚、煮つけ、鍋物などとして食卓に上 3位 川崎市 ~ ~ っている。 福岡市 ③ 県内各地では魚介に関する多くの祭りがあり、 49位 50位 青森市 地元の食文化として根付いている。 51位 札幌市 例.「大間超マグロ祭り」、「日本一のおい (全国平均) (金額:円) 131,525 126,339 124,555 ~ 91,238 89,854 81,188 103,859 「総務省:家計調査2011~2013平均」 あんこう らせ鮭まつり」、「風間浦村鮟鱇まつり」、「三 沢ほっきまつり」、「蟹としろうお祭り(外ヶ浜町)」など。 また、日本最大級の縄文集落跡である青森市の三内丸山遺跡からは50種類以上 の魚の骨が発掘されていることから、青森では古代から魚食が盛んであったと推測 される。 ※水産振興課では青森の魚介類を紹介した「青森おさかな自慢」という冊子を作成しています。 以上、食べ物に関する青森の日本一のデータを紹介してきましたが、平成25年度学校 保健統計調査によると、幼稚園から高等学校までの各学年の肥満傾向児の出現率のランキ ングで本県は毎年上位にいるという現状があります。冬場の運動不足の影響もありますが、 食生活が与える影響も見過ごせません。 県民の皆さん、糖分・塩分・アルコールを控え、地元の新鮮な魚介類や農産物をたくさ ん食べて短命県返上を目指しましょう。 総務省統計局 家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング (平成 23 年(2011 年)~25 年(2013 年)平均) http://www.stat.go.jp/data/kakei/5.htm -4-
© Copyright 2024 ExpyDoc