GYOS E I NO MADO - 水産庁

G YO S E I
水産庁施策情報誌
NO
MADO
2014.10
112
漁政の窓
vol.
通巻529号
〒100-8907 東京都千代田区霞が関1-2-1合同庁舎1号館 代表 03-3502-8111(内線6505)URL http://www.jfa.maff.go.jp/
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漁業就業支援フェア「漁師の仕事!まるごとイベント」の様子
C O N T E N T S
国際捕鯨委員会(IWC)第 65 回本委員会の結果について................................................ 2
資源管理部 国際課 ウナギの国際的資源保護・管理に係る第 7 回非公式協議の結果について........................ 4
増殖推進部 漁場資源課 おしらせ ~ Fish -1 グランプリ 2014 in 築地市場まつりの開催~............................... 6
回遊魚......................................................................................................................................... 7
漁政部 企画課 水産業体質強化推進室長 石川 治 平成 26 年 9 月分のプレスリリース..................................................................................... 8
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国際捕鯨委員会(IWC)第 65 回本委員会の結果について
資源管理部 国際課
1.はじめに
国際捕鯨委員会(IWC: International Whaling Commission)は、鯨類資源の保存及び持続的な利用を目的
とする国際機関です。
第 65 回本委員会は、平成 26 年 9 月 15 日(月曜日)から 18 日(木曜日)まで、スロベニア(ポルトロー
ジュ)において開催されました。
今次会合には、加盟国 88 カ国のうち 64 カ国が参加し、森下丈二 IWC 日本政府代表(国際水産資源研究所
所長)に加え、水産庁からは、香川謙二次長、諸貫秀樹国際課漁業交渉官ほか、外務省からは平山達夫外務省経
済局漁業室長ほかが出席しました。
2.主な結果
(1)議長・副議長の選出
今次会合は、コンプトン IWC セントルシア政府代表が議長を務めました。会合最終日に、マイニーニ IWC
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スイス連邦政府代表が次期議長に、森下 IWC 日本政府代表が次期副議長に選出されました。
(2)ニュージーランド(NZ)決議(鯨類捕獲調査)
NZ が提案した IWC 本委員会(隔年開催のため、次回は 2016 年開催)が検討するまで捕獲調査の許可を
発給しないよう勧告する決議案が投票に付され、採択されました。(賛成 35、反対 20、棄権 5)
この結果を受け、我が国は、決議は締約国政府の特別許可の発給の権利を制限しようとしていると指摘する
とともに、国際司法裁判所の判決を踏まえた新たな南極海鯨類捕獲調査を 2015 年度から実施すべく、その
ための取組みを着実に進めていくこと、我が国の取組みは、国際捕鯨取締条約の規定に完全に合致した国際法
及び科学的根拠に基づくものであることを説明しました。
(3)サンクチュアリー
ブラジル、アルゼンチン等が共同提案した南大西洋サンクチュアリー設置提案(南大西洋を鯨類の保護区域
とし、一切の商業捕鯨を禁止するもの)が投票に付され、否決されました。(賛成 40、反対 18、棄権 2)
(4)先住民生存捕鯨
デンマークが提案したグリーンランド先住民生存捕鯨の 2015 年から 2018 年までの年間の捕獲枠(ミン
ク鯨 176 頭、ナガス鯨 19 頭、ホッキョク鯨 2 頭、ザトウ鯨 10 頭)が投票に付され、採択されました。(賛
成 46、反対 11、棄権 3)
(5)社会経済的影響と小型捕鯨
我が国より、昨年の IWC 科学委員会の試算結果を踏まえて、科学的根拠に基づくミンク鯨の捕獲枠(17 頭)
を設定する提案を行い、投票にかけましたが、否決されました。(賛成 19、反対 39、棄権 2)
これを受け、我が国より、反対票を投じた国は科学的根拠に基づく捕獲枠を受け入れず、鯨類資源の持続可
能な利用を否定したとの理解であり、次回の本委員会までに、専門家会合を含め、様々なレベルで当該国と持
続可能な利用のあり方等について議論を行いたい旨を表明しました。
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(6)海上の安全
我が国から、シー・シェパード(SS)による我が国の鯨類捕獲調査に対する妨害行為について、映像を用
いたプレゼンテーションを行い、関係国が実効的な措置を講じるよう、強く要請しました。また、太地町より、
イルカ追い込み漁に関する SS の妨害行為につき説明し、妨害があろうとも、この漁を止めることは無い旨表
明しました。
3.次回会合
次回の IWC 本委員会は、2 年後(平成 28 年)に開催されることになりました(場所未定)。
なお、IWC 科学委員会が、平成 27 年 5 月 20 日~ 6 月 4 日に米国サンディエゴで開催されることになりま
した。
4.その他
会合の結果や会議文書については、IWC 事務局のホームページでもご覧になれます(英語)。
http://iwc.int/iwc65docs
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国際捕鯨委員会(IWC)第 65 回本委員会の議場写真
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ウナギの国際的資源保護・管理に係る第7回非公式協議の
増殖推進部 漁場資源課
結果について
平成 26 年 9 月 16 日及び 17 日に、東京都内において、「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第 7 回非公
式協議」が開催されました。本非公式協議において、日本、中国、韓国及び台湾の 4 者は、以下を内容とする共
同声明を発出しました。
(1)各国・地域はニホンウナギの池入れ量を直近の数量から 20% 削減し、異種ウナギ(ニホンウナギ以外
のウナギ属)については近年(直近 3 カ年)の水準より増やさないための全ての可能な措置をとる。
(2)各国・地域は保存管理措置の効果的な実施を確保するため、各 1 つの養鰻管理団体を設立する。それぞ
れの養鰻管理団体が集まり、国際的な養鰻管理組織を設立する。
(3)各国・地域は、法的拘束力のある枠組みの設立の可能性について検討する。
ニホンウナギは、縄文時代の貝塚から骨が発見されるなど、日本人にとって古くより身近な食材ですが、江戸
時代には「ヤマイモが変じてウナギになる」と言われるなど謎の多い生き物でもあります。近年の研究によりよ
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うやく、マリアナ海溝付近の海山で産卵し、孵化後レプトケファルス幼生が北赤道海流、黒潮に乗って東アジア
に接岸してシラスウナギに変態し、河川や陸近くの水域で生育することがわかってきました(図 1)が、その生
態には未だ不明な点が多く、資源の評価には至っていないのが現状です。
図1
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しかしながら、その資源については、日本でのシラスウナギの漁獲量が中長期的にみて減少傾向にあることか
ら減少が懸念されており、資源管理が喫緊の課題となっています(図 2)。ニホンウナギは、日本、中国、韓国
及び台湾で養殖用の種苗として利用されており、同一の資源を利用していることから、資源管理のためには、こ
れらの国・地域が共同して取り組む必要があります。
なお、本年 6 月には、国際自然保護連合(IUCN)がニホンウナギを絶滅危惧種に指定するなど、国際的にも
その資源動向が注目されています。
図2 ニホンウナギ稚魚 国内採捕量の推移
トン
出典:農林水産省「漁業・養殖業生産統計年報」(昭和32年~平成14年)、平成15年以降は水産庁調べ
このような背景から、平成 24 年 9 月より、日本、中国、台湾の三者によるニホンウナギの国際的な資源管理
についての非公式協議が開始されました。平成 25 年 9 月の第 4 回協議からは、ニホンウナギの生息国である
韓国及びフィリピンも加わり、また、ニホンウナギ種苗の不足やヨーロッパウナギの貿易規制にともない、東南
アジアに生息するビカーラ種等の異種ウナギの導入が進んでいることから、本協議ではニホンウナギだけでなく
ウナギ属全体を対象として議論を進めることとしました。
今回、2 年間 7 回に亘る非公式協議の結果、東アジアの関係国・地域が養鰻の制限や管理の枠組み等に係る共
同声明を発出するに至ったことは、ニホンウナギを含むウナギ属の資源管理における大きな一歩だと考えていま
す。
我が国では、今回の共同声明を受け、本年 6 月に成立した内水面漁業の振興に関する法律に基づく届出制を活
用し、池入れ数量等の報告を義務付けることにより養鰻業を管理するとともに、国際的には関係国・地域にも管
理措置の遵守を働きかけ、実効性のある資源管理が行われるよう努めることとしています。
なお、今回の声明による管理措置は強制力のない自主的な取組ですが、ウナギ属の資源管理のための法的拘束
力のある枠組みの設立の可能性について、できるだけ早く検討を開始することとしており、現在、関係国・地域
と調整を行っているところです。水産庁では、今後も引き続き、ウナギ属の国際的な資源管理のため取組んでま
いります。
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お 知 ら せ
Fish-1 グランプリ 2014 in 築地市場まつりの開催
日本の水産物に光を当てた魚の祭典「Fish-1(フィッシュワン)グランプリ」、2 年目となる今
年は、例年、数万人規模の来場者が訪れる「築地市場まつり」とのコラボレーションが実現し、
11 月 2 日(日)に築地市場内において開催されます。
今回は、昨年に引き続いて行われる「地域を元気にする“国産魚ファストフィッシュ”商品コ
ンテスト」に、新たに、「魚の本当のおいしさの再認識」をテーマに掲げて発足した「漁師自慢の
魚≪プライドフィッシュ≫プロジェクト」の一環である「漁師自慢の魚プライドフィッシュ料理
コンテスト」が加わり、魅力あふれる盛りだくさんな内容となっております。
また、ステージでのイベントとして、次代を担う水産・海洋高校生による地元水産物普及に向
けた活動のプレゼンテーションが行われるほか、タッチプールやおさかなシャトルなどのキッズ
スペースも設けられております。
ご家族みなさまで、是非足をお運びください。
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回 遊 魚
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子供の名前
恥ずかしながら齢 50 にして子供を授かることになった。まったく人生どうなるかわか
らないものである。子供が生まれることになって事前に名前を考えておこうということに
なり、夫婦で話し合ったのであるが、これがなかなかの難儀であった。お互いにそれぞれ
思いがあるのでなかなかまとまらない。男なら妻が付けて、女なら私が付けるという至極
公平な提案もしてみたのだが、首を縦に振らない、一緒に考えたいのだそうだ。ご承知の
向きもあろうが、当家の夫婦間の力関係は日米関係のようなものである。どちらが日本で
どちらが米国かは言うまでもないのだが、結局米国側の主張により、名前は米国側の提案
が採択され、日本側に残されたのは漢字の提案権だけであった。ならばと知恵を絞ってキ
ラキラしない読みやすい漢字を探すのだが、ここで米国側は画数なる新たなハードルを課
してくるのであった。なんでも画数により将来の運勢が決まってくるというのだ、日本側
漁政部 企画課
水産業体質強化推進室長
いし かわ
おさむ
石 川 治
はすぐさま反論し、画数と言うがそれは漢字圏だけの話であり、そんなもので運命が決ま
るのであれば、外国人はどうなのだ、ジョージやデビッドの立場はどうなるのだと科学的根拠に基づき反証したが、
科学が必ずしも受け入れられないのは、ご承知のとおりである。最終的に子供の名前は米国側提案に基づき日米合
意の運びとなり、5 月に誕生した男の子は、合意された名前でつつがなく命名されたのであった。その後は徐々に
子供の名前にもなじみつつ子育てに多忙な日々を過ごしていたが、そんな折りに父の一周忌のため初めて息子を連
れて名古屋に帰省することになった。一周忌の法要も無事終わり実家に帰って一息ついたときに母がポツリと「そ
ういえば○○(息子)の名前はどうやって付けたの」と聞いてきた。こちらは当然「日米協議の上(意訳)」と答え
たが母は「お父さんの戒名から取ったのかと思った。」と言った。気づけば図らずも父の戒名と同じ漢字を選んでい
たのだった。息子の懐妊の報告の直後に父が逝去したこともあり、縁を感じてはいたが、最後の親孝行になったか
なと思い名古屋を後にした。
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プレスリリース
9 月分
発表年月日
担当課
H26.9.1
「2014 年 IWC/ 日本共同北太平洋鯨類目視調査」の結果について
国際課
H26.9.2
「2014 年度第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(秋季沿岸域調査)」の実施について
国際課
H26.9.4
「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第 10 回北小委員会」の結果について
国際課
H26.9.5
漁協系統金融機関の平成 25 事業年度末におけるリスク管理債権等の状況について
水産経営課
H26.9.8
「水産政策審議会 第 18 回 総会」、「水産政策審議会 第 67 回 資源管理分科会」、「水
産政策審議会 第 51 回 企画部会」の開催及び一般傍聴について
漁政課
H26.9.8
「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第 7 回非公式協議」の開催について
H26.9.10
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発表事項名
高度衛生管理基本計画(境港地区)の策定について
H26.9.12
「国際捕鯨委員会(IWC)第 65 回会合」の開催について
H26.9.16
「全国資源評価会議」の開催及び一般傍聴について
H26.9.17
「日・ソロモン漁業協議」の開催について
H26.9.17
「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第 7 回非公式協議」の結果について
H26.9.19
「国際捕鯨委員会(IWC)第 65 回会合」の結果について
H26.9.19
漁場資源課
栽培養殖課
計画課
国際課
漁場資源課
国際課
漁場資源課
栽培養殖課
国際課
平成 26 年度 第 2 回 太平洋スルメイカ長期漁況予報
漁場資源課
H26.9.19
「日・ソロモン漁業協議」の結果について
国際課
H26.9.22
「27 年漁期 漁獲可能量(TAC)設定に関する意見交換会(まあじ及びまいわし)」の
開催について
管理課
H26.9.24
第 2 回「水門・陸閘等の安全かつ適切な管理運用検討委員会」の開催及び一般傍聴に
ついて
防災漁村課
H26.9.30
H26.9.30
「2014 年度第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(秋季沿岸域調査)」の終了について
太平洋クロマグロの加入量水準速報(2014 年 9 月)について
国際課
漁場資源課
編 集 後 記 窓辺のカーテン
大型の台風が通り過ぎた途端、急に肌寒さを感じ、あわてて長袖の衣類を取り出した方もおられるのではないでしょ
うか。季節の変わり目は体調を崩しやすい時期でもありますが、このようなときには、十分な睡眠を取り、美味しい
季節の食材を食するのが一番です。
今号では、
「Fish-1 グランプリ 2014 in 築地市場まつり」のお知らせを掲載しましたが、この他にも「実りのフェ
スティバル」(10 月 31 日及び 11 月 1 日)などのイベントが開催され、全国の旬な食材が顔をそろえます。秋は
まさに「実りの季節」、全国の海・川・山・田畑などから届けられる豊富な種類の食材を堪能し、暑さで疲れた心と
体に活力がよみがえらせ、寒さが増してくるこれからの時期を乗り越えましょう。
「漁政の窓」では、皆様に水産庁施策についてわかりやすくお伝えできるよう努めていきますので、どうぞ宜しく
お願いいたします。
ご意見やご質問がありましたら、以下にお願いいたします。
編集・発行 水産庁漁政部漁政課広報班
水産庁施策情報誌
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代表 03-3502-8111(内線6505)
URL http://www.jfa.maff.go.jp/
ご意見 ご質問はこちらへ URL http://www.maff.go.jp/j/apply/recp/index.html
本冊子は水産庁ホームページでも掲載しています。 URL http://www.jfa.maff.go.jp/j/koho/pr/mado/index.html
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