彩の国さいたま人づくり広域連合 平成26度 行政課題連続セミナー「第1回」 「ソーシャルビジネスが地域を救う ~社会貢献型事業による地域協働づくり~」 超少子高齢・人口減少社会の到来等による買い物難民や待機児童問題など、 「課題先進国」 とも言われる日本。こうした中、地域やコミュニティの課題解決にビジネスとして取り組 む「ソーシャルビジネス(SB)」といわれる社会貢献型事業が盛んになっている。 そこで、SB の現状や成功の秘訣を知るとともに、自治体が社会的課題を解決していくた めの連携のあり方について考察する。 1 日時 平成26年7月24日(木) 13:00~16:20 2 会場 彩の国さいたま人づくり広域連合 自治人材開発センター 3階講堂 3 講師 特定非営利活動法人 コミュニティビジネス サポートセンター代表理事 永沢 映氏 永沢 映氏プロフィール ◆所属・役職 特定非営利活動法人 コミュニティビジネスサポートセンター代表理事 広域関東圏コミュニティビジネス推進協議会 代表幹事 一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク 常務理事 ◆経歴 1968年埼玉県生まれ。会社経営の経験を活かし1999 年より社会貢献型事業をはじめとしたNPO・民間 企業等のマネジメント・自立化支援を実施。 ◆著書 「コミュニティビジネスの成功法則」など。 ◎ 基調講義 最初にソーシャルビジネスとは、社会的課題の 解決に対して事業性を見出し、 「新たな産業・新た な働き方」を創出する主体であると説明されまし た。このような活動が、近い将来には行政、企業、 市民の協働パートナーとなることが期待されてい るという説明があり、受講者はSBの必要性につ いて意識を高めました。 最近は各省でも課題解決に向けた手法としてS Bを活用していますが、SBが推進されている背 景として、主にSB・CBの創出は「地域経済の 循環、地域雇用、協働、コスト削減、多様化する 課題への対応」などにもつながっていることを挙 げられました。このように経済活性化・地域雇用 等の面からもSBの推進は不可欠になってきてい ると説明されました るとお話がありました。 SB・CBの事例としては、木の葉や小枝を料理に 添える「ツマモノ」需要を受け、その供給を産業化し た「彩(いろどり)」事業について説明がありました。 徳島県上勝町では、高齢者の多い生産者にも簡単に扱 える専用パソコンを使い、それぞれが得意な品目で対 応できる環境を提供したところ、初売上120万円だ った事業は、5年後には 5,000 万円、現在は 2.5~ 3億円の規模まで成長しているようです。高齢者にと っては、病院に行っている暇があったら働きたい、と いうビジネスだからこそのモチベーションが原動力 になっているとのことでした。 「わが町には何もない」 という課題を「葉っぱをビジネスにする」ことで解決 した成功事例です。 しかし、このようなCBは顔が見える人間関係の中 で成り立つビジネスであり、他の自治体がこのような 成功事例を参考にしようとしてもなかなかうまくい かないのが現状だということでした。 自治体によってSBをコーディネートするステッ プとしては以下の3点を挙げられました。 ①人材育成(講座)からのコーディネート ②テーマを絞った委員会、協議会形式からのスター ト ③委託・補助などの予算をベースとした機会の活用 ◎ 意見交換 続いて、人口オーナスについて話をされました。人 (主な意見交換) 口減少が始まりしばらくすると、人口に占める働く人 【質 問】ソーシャルビジネスを実施する場合の注意点はどのようなところでしょうか。 の割合が高くなり、これを人口ボーナスという。更に 【講師回答】どのような社会的課題を解決するのか明確にすることが一番大事です。そして、今あ 時間が経過すると、人口に占める働く人の割合が低く る課題だけでなく今後もずっと課題足り得るかどうか考えることが必要です。 なり、これを人口オーナスという。現在は、人口オー また、株式会社のように利益を社員に還元するのではなく、課題解決のために活用し ナスの局面に入っているとし、人口オーナス下での日 ていくことが必要です。 本経済社会の経済的影響、社会的影響、政治的影響に 【質 問】ソーシャルビジネスを展開する上で、必要となる情報、その情報の入手先はどのよう ついての説明をされました。 なところでしょうか。 【講師回答】関東経済産業局流通・サービス産業課で事例集など無料配布している。情報の支援も そして地域問題について、どこの地域でも苦労して 大切だが、事例をいくつ研究してもソーシャルビジネスは失敗することも多い。コミ おり、それぞれの地域が自力で考えなくてはならない ュニティビジネスを行ううえで大事なのは①地域性②人③ビジネスモデルである。 「誰 とし、地域の成功事例から導かれることについて① がどこで何をするか」が重要なので、事例等をもとに地域性等によってマニュアルチ 「人」が鍵を握る。②持続的成長のためには民間の活 ェンジ出来る人にサポートしてもらうのが良いです。 力が重要。③経済社会の大きな流れに乗る。と3つの 【質 問】赤字の法人も含め、色々なNPO法人があるが、行政はどのような支援をしていけば 点について話をされました。そして、農林水産業が注 良いのでしょうか。 目されていることを、先進国での事例やアベノミクス 【講師回答】解決手法として必ずしもソーシャルビジネスが有益とは言えないこともあります。 の成長戦略を取り上げて説明されました。 ミスマッチのアドバイスをしないことが大事です。
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