表面実装型デバイス用高耐食性シールリング (PDF: )

新製品紹介
表面実装型デバイス用高耐食性シールリング
High Corrosion Resistant Seal Ring for Surface Mount Device
Seal ring :Clad ring Ex
水晶振動子,
水晶発振器,
水晶フィ
スで打ち抜く工程を経て製造される
用いられている銀ろうは,Ag-Cu 合
ルター等,水晶デバイスは電子機器
が,打ち抜いたままでは図 2(b)の
金であるが,Ag は Cu より耐食性を
にとって重要な部品である。その水
ように,銀ろう層が,KV 層を覆っ
有するので,耐食性を高めるには,
晶素子を納めるデバイスとして,セ
ている。このため,SR の銀ろう層
表層の Ag を濃化させる必要がある。
ラミックスパッケージを使い,セラ
を溶融させ,セラミックスパッケー
そこで Ag よりも Cu を優先的にエッ
ミックと熱膨張が近いコバール
ジと SR を融着した際に,融着に寄
チングする液を用いた。その結果,
(Fe-Ni-Co 合 金,以 下,KV)製 の 蓋
与しない銀ろうが,デバイス内に飛
耐食性試験において,開発品の外観
( リッド)を用いて気密封止を行う。
散し,素子に付着することにより,
変化は少なく,当社比較品に対して
その際,KVリッドとセラミックス
水晶デバイスの周波数特性が変動す
腐食度合が低かった( 図 3)。
パッケージを融着させる基材として,
る恐れがある。そこで,図 2(a)に
図 4 の耐食試験後のオージェ電
KV と銀ろうを貼り合わせたシール
示すように,打ち抜き加工後,融着
子分光測定結果においても,開発品
リング
(以下,SR)
を使用する
(図 1)
。
に寄与しない銀ろうをあらかじめ
は表層に Ag が濃化していることが
日立金属ナノテックは,KV への
エッチングで除去することで周波数
わかる。そのため,高温高湿雰囲気
銀 ろ う の 飛 散 を 抑 制 し た SR「 ク
特性の安定化を図った。
下でも,酸化を回避することが可能
ラッドリング Ex」を開発した。SR
また,水晶デバイス用の SR では,
となる。
は銀ろう/ KV のクラッド材をプレ
耐食性も重要な特性である。SR に
( 株式会社日立金属ナノテック)
After corrosion resistant test (1,000 h) Condition:85℃−85%RH pure water
Silver
solder
Silver
solder
KV Lid (Ni plated)
KV
Seal Ring
Seal Ring
(b)
(a)
KV
Device
Ceramic package
1 mm
図 1 表面実装型デバイスの構造
Fig. 1 Schematic structure of surface mount device
1 mm
図 3 シールリング耐食性試験結果(a)開発品(b)当社比較品
Fig. 3 Results of SR corrosion resistant tests (a) developed SR
(b) our comparative SR
(a)
Silver solder
Silver solder
(a)
50 μm
(b)
Silver solder
Concentration (at%)
50 μm
100
100
KV
80
Ag
60
40
20
C
Cu
Silver solder
0
KV
Concentration (at%)
KV
(b)
0.1
80
Cu
60
Ag
40 O
C
20
O
0.2
0.3
Depth of AES analysis (μm)
0
0.1
0.2
0.3
Depth of AES analysis (μm)
KV
50 μm
図 2 シールリングの断面図と側面図
(a)開発品(b)当社比較品
Fig. 2 Cross section view and side view of SR
(a) developed SR (b) our comparative SR
66
日立金属技報 Vol. 31(2015)
50 μm
図 4 シールリング耐食試験後の表層濃度プロファイル比較
(a)開発品(b)当社比較品
Fig. 4 Comparison of surface concentration profile after SR corrosion
resistant tests (a) developed SR (b) our comparative SR