マーケットウィークリー・813号 産業ニュース 2015.1.30 活躍が期待されるサービスロボット 作成者:池田隆行 活躍が期待される サービスロボット 今年は「Pepper(ペッパー)」が一般発売されるなど、サービス分野のコミュ ニケーションロボットが話題を集めそうであり、ロボット関連企業が注目される。 世界初の感情認識 パーソナルロボッ トPepper Pepper は感情認識パーソナルロボット。ソフトバンク(9984)グループのソフ トバンクモバイルと人型ロボット工学の世界的な先駆者であるALDEBARAN Robotics SAS(アルデバラン)が共同で開発した。アルデバランは2012年に出資さ れ、ソフトバンクグループの一員となっている。 Pepper は周囲の状況を把握し て自律的に行動する、独自のアルゴリズム(計算方法)を搭載。最新の音声認識 技術や滑らかな動きを実現する関節技術、人の表情や声のトーンを分析して、感 情を推定する感情認識機能を搭載するなど、人とのコミュニケーションに特化し た機能とインターフェイスを備えている。一般販売では人との日々のコミュニケ ーションを通じて学習し、成長していく機能も実装する予定。360度どちらの方向 にも移動できる特殊な車輪「オムニホイール」を採用。頭脳にはクラウド上の人 工知能(AI)である「クラウドAI」を採用。複数のPepperから、人に喜ばれたな どの情報を集合知として集積し、AIで知性へと進化させる。デベロッパーやクリ エーター向けに200台限定で抽選販売しており、ロボアプリの開発が一般販売に先 駆けてはじまっている。ロボアプリ開発に関する知識やドキュメントをインター ネット上で共有する「Pepper Creator Community」を開設。ユーザーがスマホの ようにアプリをダウンロードして、カスタマイズできる仕組みとなる。 Pepper は す で に 様々なシーンで活 躍 Pepperはすでに、テレビCMに出演し ◇「Pepper(ペッパー)」 ているほか、一部ショップ(表参道店 など24都道府県の90店舗)で展示され ており、接客も担当している。法人向 けでは、ネスレ日本がネスレ製品を扱 う全国の量販店などの売り場に配置 し、15年末までに1,000店規模で導入 する予定。売り場を通りかかる人をセ ンサーで感知して、声をかけたり、コ ーヒーマシンの説明などの接客、さら に顧客にあったコーヒーマシンの提 案をする。14年12月に公開され大ヒッ ト上映中のディズニー映画「ベイマッ クス」では、一言だけだが、声優とし て活躍。さらに、米国IBMとソフトバ ンクはロボット分野で協業している。 米国IBMの人工知能型コンピューター 「ワトソン」との連携も進められてい る。14年9月の「Pepper Tech Fes 2014」 では日本にいるPepperと米国オース チィンのワトソンをつなぎ、Pepper の頭脳としてワトソンが質問に答え (出所)ソフトバンク るデモが行われた。 マーケットウィークリー・813号 タカラトミーが 「ロビジュニア」 を発売 パロはFDAから 医療機器として承 認済 タカラトミー(7867)は2月28日に、デアゴ スティーニ・ジャパンから刊行された週刊「ロ ビ」(高橋智隆氏がデザイン・設計)とコラ ボしたパーソナルトークロボット「Robi jr.(ロビジュニア)」を発売する。価格は1万 5,000円。人の言葉を理解する音声認識機能や 自社開発の人感センサーを搭載し、約1,000 フレーズの会話ができる。週刊「ロビ」は200 フレーズであり、人とのコミュニケーション に特化したモデルとなっている。カラーLE Dアイが10色に変化し感情を表現。時計・カ レンダー機能で誕生日を祝ってくれるなど 様々な会話が楽しめる。約50曲の歌やじゃん けんなどゲームも楽しめる。デアゴスティー ニでは週刊「ロビ」の第3版を発売している。 2015.1.30 ◇「ロビジュニア」 (出所)タカラトミー&デアゴスティーニ 大和ハウス(1925)はセラピー用アザラシ型ロボット「パロ」を取り扱ってい る。パロは人と動物とのふれあいにより効果が期待できるアニマルセラピー効果 (元気づけやストレスの軽減、コミュニケーションの活性化等)が期待できるロ ボット。09年には米国食品医療薬品局(FDA)により、医療機器としての承認を得 ている。多くの医療施設や介護福祉施設などに採用され、自閉症の子供達や認知 症の高齢者などのセラピーに効果をあげている。多数のセンサーや人工知能によ って、人の呼びかけに反応し、抱きかかえると喜んだりするほか、動物らしい愛 くるしい行動で、人を和ませ、心を癒す。体長は57cm、体重は2.7㎏。価格は3 年保証で42万円。メンテナンスパックが付いている。大和ハウスではパロだけで なく、サイバダイン(7779:マ)の歩行機能の回復支援をする「HAL(ハル)」 や自動排泄処理の「マインレット爽」など様々なロボットを取扱っている。少子 高齢化社会に役立つ商品やサービスを増やしており、ロボットは新事業の1つとし て取り組んでいる。 電通はコミュニケ ーションメディア として育成 電通(4324)と電通テックは新しくノンヒューマンタレント開発事業「デジタ レ」を立ち上げた。第1弾として、タレントのマツコ・デラックスさんの等身大の アンドロイドである「マツコロイド」を開発した。アンドロイド研究の第1人者で ある大阪大学の石黒浩教授(エーラボ技術顧問)の監修のもと、エーラボとナチ ュラルエイトと共同開発した。マツコロイドはアンドロイドタレントとしてデビ ューした後、番組出演にとどまらず、イベントやCMでの出演など多方面での活 動が期待されている。すでに、電通では「電通ロボット推進センター」を立ち上 げており、ロボットを新しいコミュニケーションメディアとして育成する方針。 ◇株価とコメント (単位:円、倍) 銘柄 コード 株価 PER コメント 大和ハウス 1925 2,183.0 13.3 少子高齢化に対応するサービスとしてロボットを育成 電 通 4324 4,765 46.7 ロボットを新しいコミュニケーションメディアに サイバダイン 7779:マ 3,110 - 歩行機能の回復支援など様々な分野向けに開発 タカラトミー 7867 672 - パーソナルトークロボット「Robi jr.」を発売 エイチ・アイエス 9603 3,940 24.1 ロボットが受付をつとめるスマートホテルを7月開業 ソフトバンク 9984 7,335.0 - Pepperを第1弾として、ロボット事業を展開 (注)マは東証マザーズ。その他は東証。株価は1月26日の終値、PERは今期予想(出所)各社資料よりCAM作成
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