クローズアップ

特集
特集
Close Up
の
現
場
か
ら
診療情報管理室
診療情報管理室長
高血圧・腎臓内科部長 担当課長
渋谷 祐子
田中 秀明
国に1,863病院(2014年4月見込み)あり、そ
当院では、原則、診療録は全面開示の方針
のすべてのDPC病院において厚生労働省が定
になっていますが、その手続きのための事務
めた130項目を超える入院患者さんデータを
局は、私たちの部署です。年間50件ほどの開
匿名化して厚生労働省に提出しております。
示申請がありますが、私たちは、その開示のた
厚生労働省においてはこのDPCデータを基礎
めに必要な手続きの全てに関わっています。
資料として用いて医療政策や診療報酬制度改
また、裁判、事件などに関連して、官公署
定に対する検討を行っております。またこの
などからの患者さんの病状照会も、年間50
病院毎のデータは公表されておりますので自
件余りあります。これらに対しても、私たち
院と他院との比較を行うことができます。この
が窓口になって、個人情報保護法を遵守しな
DPCデータを作成し厚生労働省へ提出するこ
がら、文書で回答しています。
わせや患者さんからの閲覧・開示のご要望が
とも私たちの重要な業務のひとつです。さら
以上、診療情報管理室の仕事を紹介してき
とって、病院の中でも、特に馴染みが薄い部
あった場合には、迅速に検索抽出ができるよ
に最近は、病院の医療の質の評価を行うため
ました。私たちは、「診療情報管理士」とい
署かもしれません。私たちが、皆さんと直接
うに定められた保管基準で管理しておりま
にこうしたDPCデータや電子カルテに蓄積し
う資格を持っています。この資格は、大学や
お会いするのは、診療録(カルテ)開示の時
す。電子カルテの導入前から比べて一つ一つ
たデータに基づき指標を作成して、他病院と
専門学校または通信教育で一定の教育を受け
ぐらいでしょうか。しかし、近年、私たちの部
の紙カルテの厚さは薄くはなりましたが、製
の比較を行おうという動きがあります。こうし
た後に、認定試験に合格すると(財)医療研
署の仕事は、特に注目されるようになってきて
本・保管・管理にかかる手数は以前と変わり
た指標を臨床指標(クリニカルインディケー
修推進財団と四病院団体協議会によって認定
います。当院では、早くからこの部署を独立さ
はありません。また、日々増え続ける紙カル
ター)と呼んでいますが、平均在院日数、疾患
されます。2012年度の認定試験の全国平均
せ、その機能の充実につとめてきました。私た
テの保管場所には限りがあり、紙カルテの電
別の死亡率、予定しない再入院率、予期せぬ
合格率は、43.7%でした。2012年度現在、
ちは、「診療録は、患者さんのもの」を合い言
子化保存について検討しているところです。
再手術率、クリニカルパス作成数・適用率な
約26,000人の管理士が認定されています
葉に、仕事に励んでいます。以下に、その仕
このようにカルテの「物の管理」に加えて「質
どがあります。これらの指標の作成・公表にも
が、わが国の病院の中には、1人も配置され
事の概略を、紹介しましょう。
の管理」もカルテ管理の重要な業務です。入院
私たちは関与しています。
ていない病院も稀ではありません。当院の診
患者さんの場合は、入院毎に退院サマリーを作
診療録(カルテ)の管理
成することが義務づけられていますが、退院後
勤務しています。
わが国のがん対策を総合的かつ計画的に推
私たちの仕事は、病院に直接的な収入をも
タッフ(医師ばかりでなく、看護師、薬剤
内容・問題点が簡潔に、
進するために、がん対策基本法が策定されたの
たらしませんが、病院の「品格」を高めるも
師、検査技師、理学療法士など、たくさんの
漏らさず記載されている
は記憶に新しいと思います。しかし、残念なこ
のだと自負しています。私たちの仕事もまだ
職種の人が関わります)が書く記録、各種検
か、JCI(※)の基準に基
とに、その土台となる現状把握(わが国にどの
十分とは言えませんが、わが国のこの分野の
査で得られた情報などを整理保存したもの
づいた内容が記載されて
くらいのがん患者さんがいて、どのような医療
リーダーになれるよう、頑張っていきたいと
が、診療録(カルテ)です。昔は、紙に記載
いるかなどの監査を、私
を受けているのか、その生存率はどうなってい
思います。
され、外来の記録、入院毎の記録が綴じ込ま
たちがしています。
るのか、など)は全くできていません。現在、
各病院で診療したがん患者さんの情報を、決
診療録に含まれる情報の活用
まった書式で登録(院内がん登録)し、中央の
いように思われがちですが、問診票や同意書
充実した内容の診療録を管理することに劣ら
機関で集計するという取り組みが始まっていま
など患者さん等の自筆の書類等は引き続き紙
ず重要なのは、医療の安全管理・質の向上、ひ
す。わが国には、当院を含め397のがん診療連
の診療録として整理・保管を行っておりま
いては病院の経営管理や医学の進歩に寄与す
携拠点病院(2013年4月現在)がありますが、
す。その量は入院では毎日約40人分、外来
るように、その情報を活用することです。
この院内がん登録が義務づけられています。
では毎日約70人分の紙カルテが作成されま
昨今は、この診療録の中の情報の加工・編
2007年診断症例から、国立がんセンターに全
す。患者さんによって紙カルテの内容は様々
集・分析に対して私たちが力を発揮すること
国の拠点病院のデータが集められ、解析される
ですが、保存中にカルテが破損したというよ
を求められております。
ようになっています。この院内がん登録も、私
うなことが無いように定められた手順により
当院は、2012年4月からDPC準備病院とな
たちが医師の協力を得ながら、行っています。
2014.May./Jun.
※JCI:Joint Commission International(国際病院評価機構)
NEW FACE 紹介 もしもしフォーラム
NEW FACE 紹介 もしもしフォーラム
システムを導入していますので紙カルテが無
検査まるわかり
検査まるわかり
早期に作成されているか、また、入院中の診療
れて保存されていました。当院は電子カルテ
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療情報管理室には、9人の診療情報管理士が
院内がん登録
患者さんが病院を受診された際の医療ス
外来紙カルテ保管庫
気になるメディカル ハロー!健康
気になるメディカル ハロー!健康
製本するとともに、後に診療科からの問い合
耳より情報
耳より情報
「診療情報管理室って、何をするところ?」
と思われる人も少なくないでしょう。皆さんに
3大疾病
診療情報管理室の紹介
診療録等の開示や
各種問い合わせへの対応
診療情報管理室の紹介
療
た。DPC病院(準備病院+対象病院)は、全
クローズアップ
診療情報管理室の紹介 3大疾病
クローズアップ
医
り2014年4月からはDPC対象病院となりまし
診療情報管理室スタッフ
2014.May./Jun.
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