Oracle WebLogic Server on ODA ホワイト・ペーパー (PDF)

Oracleホワイト・ペーパー
2014年1月
Oracle WebLogic Server on Oracle
Database Appliance
Oracle WebLogic Server on Oracle Database Appliance
はじめに
このホワイト・ペーパーでは、Oracle WebLogic Server on Oracle Database Appliance(ODA)の仮
想環境のアーキテクチャについて説明し、この製品が提案する価値について紹介します。
Oracle Database Appliance(ODA)は、ハードウェアとソフトウェアで構成されたOracleエンジニ
アド・システムであり、高可用性データベースと中間層のWebLogicソリューションのデプロイ、保
守、サポートを簡素化する目的で設計されています。
最新バージョンのODAアプライアンス(Oracle Database Appliance Manager v2.7およびv2.8)では、
この簡素化された手頃な価格のデータベース・ソリューションを物理環境または仮想環境のいずれ
かに導入できます。
ODA物理環境では、引き続き、物理ハードウェア上に高可用性のOracle Databaseをデプロイできま
す。この導入方法について、詳しくはOracle Database Applianceのホワイト・ペーパーを参照して
ください。
ODA仮想環境では、Oracle DatabaseとOracle WebLogic Serverをデプロイし、ODAアプライアンス
内でアプリケーション層とデータベース層を統合することで、さらに資本支出予算を削減できます。
この場合、顧客はエンタープライズ・アプリケーション・インフラストラクチャ全体を単一アプラ
イアンス内に構築できます。
また、ODA仮想環境では、ODAアプライアンス内にプロビジョニングしたOracle Databaseと
WebLogic Serverに対して、顧客に固有のPay-as-you-grow(システム規模に応じた支払い)ソフト
ウェア・ライセンス・モデルを利用できます。これにより、顧客はソフトウェア・ライセンス・コ
ストを効率的に管理しながら、データベースと中間層を拡張して、アプライアンスで提供されてい
るプロセッサ・コアを十分に活用できます。
このエンジニアド・システムとODA仮想化プラットフォームの主要な目的は、以前と同様に次の3つ
です。
•
簡便性
•
信頼性
•
手頃な価格
この製品は、簡便性を重視し、高可用性のデータベース・ソリューション導入における複雑さやコ
スト、リスクを避けたいと考える顧客にとって理想的なアプライアンスです。さらに、ODAの仮想
化プラットフォームでは、特別なスキルやHAの専門知識がなくても、非常に簡単な方法で、2、4、
または8ノードのWebLogicクラスタとともに、これらのクラスタのフロントエンドとなるソフト
ウェア・ロードバランサをプロビジョニングできます。
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Oracle WebLogic Server on Oracle Database Appliance
容易な実装、管理、サポート
容易な実装
Oracle Database Applianceを代表する特徴は簡便性です。サーバー、ストレージ、ネットワークの
機能を備えた単一ボックスは包括的なシステムとして一体で設計されており、組立てや配線は必要
ありません。
Oracle Database Applianceの導入と使用に必要な手順は、ボックスの梱包を解き、電源につなぎ、
ネットワーク・ケーブルに接続し、Oracle Appliance Managerのインストールを実行して、クラスタ
化された高可用性データベースとWebLogic Serverを作成するだけです。
容易な管理と保守
システムを保持し、関連するすべてのソフトウェア要素に最新パッチを適用して最新状態を維持す
ることは、多くの場合、管理者にとって、もっとも時間がかかり、エラーの発生しやすいタスクの1
つです。Oracle Database Applianceと専用のソフトウェアを使用すると、ファームウェアやオペレー
ティング・システムから、クラスタウェア、ストレージ・マネージャ、データベース・ソフトウェ
アまでにわたるすべてのソフトウェア・スタック要素に対して、"ワンボタン"でパッチを適用できま
す。
Oracle Database Applianceはパフォーマンスと可用性の問題を自動的に検出し、修正アクションを
実行することで、ストレージ管理を簡素化します。ディスクは管理的な作業を伴わずに交換可能で
あり、ストレージ・デバイスに障害の兆候やパフォーマンスへの影響を示す動作が見られた場合は、
アプライアンスによってディスクがオフラインにされ、冗長化の再構築が行われます。
ハードウェアに障害が発生するか、または発生しそうになると、自動サービス・リクエスト機能
(Phone Home)がディスクや電源、ファンなどの交換部品に対して自動的に要求を生成します。
実際に問題が起きると、Oracle Database Applianceは関連するすべてのログを収集し、ひとつにま
とめてサポート・リクエストに提供します。サポート・リクエストを発行する際、DBAやシステム
管理者がすべてのログやシステム履歴を手作業で探してまとめる必要はなく、Oracle Appliance
Managerが関連ログや履歴を自動的に収集してまとめるため、問題に対処する手順、分析、修正が
大幅に迅速になります。
ODAの仮想化プラットフォーム
顧客はそれぞれの要件に合わせて、Oracle Database Applianceのプロビジョニング・モデル、つま
りODA物理プラットフォームまたはODA仮想化プラットフォームを自由に選択できます。
ODA物理プラットフォームでは、ODAのAppliance Managerを利用することで、少ない手順で、物理
ハードウェア内に高可用性データベースをデプロイできます。この環境では、データベース・アプ
リケーションがこのハードウェアにデプロイされる唯一のアプリケーションであるため、ハード
ウェア内で利用できるすべての物理コアとメモリを消費するまで拡張できます。
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Oracle WebLogic Server on Oracle Database Appliance
ODA仮想化プラットフォームでは、Oracle WebLogicクラスタやOracle Database Real Application
Clustersなどの複数の階層化製品やアプリケーションを、いくつかの簡単な手順でプロビジョニング
して管理できるため、ODAのハードウェア機能を効率的に活用できます。この環境でOracle VMテク
ノロジーを利用すると、基盤となるODAハードウェア内で、 Oracle WebLogic Server やOracle
Databaseなどのエンタープライズ・インフラストラクチャを分離して実行できます。
ODA仮想化プラットフォームには次のコンポーネントが含まれます。
•
ODA仮想化イメージ - ODAのハードウェア機能を有効活用するために特別設計されたODA向け
のOracle VMサーバーです。
°
ODA仮想化イメージはコアの仮想化テクノロジーを提供することで、同じハードウェア上に
複数のアプリケーションをデプロイし、ホストできるようにします。
•
ODAベース・ドメイン - ODA仮想化イメージ内の"特権付きVMドメイン"です。
°
ODAベース・ドメインを利用することで、顧客はODA物理環境と同様の方法でOracleデータ
ベースをデプロイして拡張できます。
°
ODAベース・ドメインが利用できる有効ストレージは、最大で9TBです。
°
ODA Appliance ManagerはODAベース・ドメイン内にOracle Databaseをプロビジョニングす
ることで、ネイティブのディスク・パフォーマンスを実現します。
°
データベース・ワークロードは、ODAハードウェア内でユーザーが指定した物理コアに関連
付けられるため、信頼性の高いパフォーマンスとその他のアプリケーション・ワークロード
からの独立性が確保されます。
•
ODAゲスト・ドメイン - ODA仮想化イメージ内にプロビジョニングされた、WebLogic Serverな
どの中間層製品とアプリケーション固有のVM。
°
Oracle WebLogic Server configuration for Oracle Database Applianceを使用すると、1つのク
ラスタ内に1つまたは複数のWebLogicサーバーをODAゲスト・ドメインとしてプロビジョニ
ングできます。サポートされるのは、2、4、または8ノードのクラスタです。また、WebLogic
Serverのワークロードはユーザーがライセンスを持つ物理コアに固定されるため、信頼性の高
いパフォーマンスとその他のアプリケーションやデータベース・ワークロードからの独立性
が確保されます。
•
ODA仮想化プラットフォーム上のアプリケーションとデータベース
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Oracle WebLogic Server on Oracle Database Appliance
顧客は次の手順に従って、ODA仮想化プラットフォームを構成できます。
•
My Oracle SupportからODA仮想化イメージをダウンロードします。ダウンロードした仮想化イ
メージ・ファイルを使用して、ODAの再イメージングを実行します。
•
•
My Oracle SupportからODAベース・テンプレートをダウンロードし、これをデプロイします。
ODAベースのコンフィギュレータを実行して、ファイルシステムとOracle Grid Infrastructureを作
成し、高可用性設定のデータベースをプロビジョニングします。
•
My Oracle SupportまたはeDeliveryからOracle WebLogic ServerのOracle VMイメージをダウン
ロードします(Oracle WebLogic Server 11g(10.3.6)または12c(12.1.1および12.1.2)オプショ
ンを使用)。
•
WebLogic Configuration for Oracle Database Applianceを実行して、2、4、または8ノードのクラ
スタから選択したWebLogicクラスタをプロビジョニングし、WebLogicのリソースとサービス
(データソースやJMS宛先など)を構成します。
•
ODA仮想化イメージに含まれるODA Appliance Managerインタフェースを使用して、ゲストVMと
テンプレートを構成します。
Oracle Database Appliance Managerを利用すると、あたかもODAハードウェア上のWebLogicクラス
タのように、Oracle VMをプロビジョニングおよび管理できます。
Oracle WebLogic Configuration for Oracle Database Appliance
Oracle WebLogic Serverは、基盤となるODAハードウェアを顧客が効率的に活用できるようにするた
め、ODA仮想環境内のユーザー・ドメインへのデプロイを目的としてカスタマイズされたOracle VM
です。
ODA仮想環境に付属するデータベース・コンフィギュレータと同様のWebLogic構成ユーティリティ
を使用すると、Oracle WebLogicクラスタと、WebLogicクラスタのフロントエンドとして機能する
高可用性のソフトウェア・ロードバランサをわずか数ステップでプロビジョニングできます。
WebLogic仮想アプライアンス・ソフトウェアには次のコンポーネントが搭載されています。
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Oracle WebLogic Server on Oracle Database Appliance
•
カスタマイズされたOracle VM 3.1.1テンプレート - ODA仮想プラットフォームの利用向け
•
WebLogic Configuration for Oracle Database Appliance - VMとWebLogicクラスタを簡単な手順
でプロビジョニング
•
WebLogic 10.3.6、12.1.1、または12.1.2 – アプリケーション・インフラストラクチャ
•
Oracle Traffic Director 11.1.1.7 - HA VIPを使用した、バックエンド・アプリケーションに対する単
一エントリ・ポイント
WebLogic Configuration for ODAを利用すると、2、4、または8ノードのクラスタ環境にWebLogic
クラスタをプロビジョニングし、ODAベース環境内でホストされたOracle DatabaseとWebLogicクラ
スタ間にデータベース接続を構成できます。WebLogic Configuration for ODAは、Oracle Database
への接続オプションとして、マルチ・データソース、GridLinkデータソース、または汎用データソー
スのいずれかをサポートします。これは、データベース・インストール時のオプションによって異
なります。
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Oracle WebLogic Server on Oracle Database Appliance
たとえば、4ノードのWebLogicクラスタ導入において、ODAハードウェア内で各種中間層製品とア
プリケーションがどのようにプロビジョニングされるかを下図に示します。
ODA仮想化プラットフォームでの4ノードのWebLogicクラスタとOracle Database
ユーザーが、WebLogicバージョン、ネットワーク関連情報、WebLogicサーバーとデータベース・
アプリケーション間で使用される接続を入力すると、WebLogic Configuration for ODAはODAハード
ウェア内での複数のOracle VMのプロビジョニングを開始します。
WebLogic Configuration for ODAは、それぞれのWebLogic管理対象サーバーがOracle VM内で個別に
実行されるようにプロビジョニングします。また、高可用性を実現するため、これらのWebLogic VM
は、ODAハードウェアに含まれる2つのコンピュート・ノードに対して別々にデプロイされます。た
とえば、4ノードのWebLogicクラスタで、4つの異なるOracle WebLogic管理対象サーバーVMがプロ
ビジョニングされている場合、2つのVMは最初のコンピュート・ノードにデプロイされ、残りの2つ
のVMは2番目のコンピュート・ノードにデプロイされます。
それぞれのWebLogic管理対象サーバーVMは、次のとおりに構成されます。
•
6GB RAMと2つの仮想CPU(vCPU)
•
仮想マシンごとに1つの管理対象サーバーとノード・マネージャ
•
WebLogic管理対象サーバーに割り当てられた3GbのJavaヒープ
•
最小限の管理作業でVMを再起動するための起動時開始サービスの有効化
WebLogic管理サーバーは独立したVMとしてプロビジョニングされ、WebLogicドメイン内でプロビ
ジョニングされた管理対象サーバーとこれに関連するクラスタの管理を行います。
WebLogicクラスタは'ユニキャスト'を使用して構成されます。このクラスタ環境のWebLogicプロビ
ジョニング・プロセスでは、デフォルトで、'サーバー全体'の移行は有効化されていません。ただし、
必要に応じて、プロビジョニング後にこの機能を有効化できます。
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Oracle WebLogic Server on Oracle Database Appliance
また、ODAハードウェアに含まれる2つのコンピュート・ノード間で別々にVMがホストされている
ため、WebLogic Configuration for ODAは、高可用性(HA)設定のソフトウェア・ロードバランサ
であるOracle Traffic Director(OTD)のプロビジョニングも行います。この設定では、2、4、または
8ノードのWebLogicクラスタのフロントエンドとしてOTDを利用し、1つの仮想IP(VIP)アドレスを
介してバックエンドのWebLogic管理対象サーバー全体にアクセスできます(下図を参照)。
WebLogic Configuration for ODAにより、OTD(ロードバランサVM)は次のとおりに構成されます。
•
4 GB RAMと2つの仮想CPU(vCPU)
•
仮想マシンごとに1つの管理ノードとロードバランサ・サービス
•
最小限の管理作業でVMを再起動するための起動時開始サービスの有効化
•
ロードバランシング・サービスはデフォルトでラウンドロビン方式の負荷分散を使用
•
アクティブ-パッシブのHA設定。アクティブ・ノードは、物理コンピュート・ノードで稼働する1
つのOTD VMであり、受信リクエストのロードバランシングを行います。パッシブ・ノードはも
う一方のOTD VMであり、フェイルオーバーを提供するためのものです。
WebLogic Configuration for ODAは、WebLogicと同様に、OTD管理サーバーが独立したVMとして実
行されるように構成し、いずれかのコンピュート・ノードにデプロイします。
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Oracle WebLogic Server on Oracle Database Appliance
結論
Oracle WebLogic Server for ODAの仮想環境を利用すると、顧客はODAハードウェアの機能を有効活
用し、いくつかの簡単な手順で、フロントエンドにソフトウェア・ロードバランサを備えたWebLogic
クラスタをプロビジョニングできます。この構成は、単一ハードウェア・アプライアンスでの中間
層インフラストラクチャとアプリケーション、およびデータベース層の統合を可能にします。
つまり、ODA仮想化プラットフォームとWebLogic Configuration for ODAを使用すると、次の利点が
もたらされます。
•
単一サーバーへの、データベース、WebLogic Server、Oracle Traffic Director、アプリケーション
のデプロイ
•
設置面積と消費電力に関するITデータセンターのフットプリントの縮小
•
自動構成された仮想化プラットフォーム・インフラストラクチャ
•
VMとテンプレートのリポジトリ、ネットワーク、ストレージ
•
統合コマンドラインによるOracle Database ApplianceとVM/テンプレートの管理
•
Oracle VMサーバー・マネージャ用の追加ハードウェア・リソースの不要化
•
Oracle Database、WebLogic Server、アプリケーションに対するPay-as-you-grow(システム規模
に応じた支払い)価格モデル
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Oracle WebLogic Server on Oracle Database
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Appliance
2013年3月
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