電波の日記念講演会 講演 3 FM 放送の現状と課題 株式会社エフエム東京 代表取締役社長 千代 勝美 氏 FM放送の現状と課題 2014年5⽉26⽇ 代表取締役社長 千代勝美 ビューティフルという環境保護の公共広告でし 千代でございます。よろしくお願いいたしま す。 た。 私のキャリアはちょっと変わり種でございま 1975 年という時代にもう既にアメリカは公 して、電波に純粋培養された男ではないんです 共広告をガンガンやっていた。この電波に非常 が、今日この場に立たせていただいております。 に魅せられて、いつか電波に関わる仕事に就き 前職は、航空会社とホテルということでござ たいなとずっと過ごしておりましたら、今日こ ういう立ち位置になったわけでございます。 いまして、ただ人生の大半が広告とマーケティ それでは、 「FM 放送の現状と課題」というこ ングで、しかも電波に非常にかかわりある仕事 とで、この本題に入ります前に日本の広告費と の中で送ってまいりました。 1975 年に米国の広告事情を研修したときに、 いうのがどういう状況になって推移をしてきた 当時テレビのコマーシャルで華々しく公共広告 のか、その辺を少し簡単にレビューしてみたい がガンガン流れていました。キープ・アメリカ・ と思います。 1 1 Ⅰ ⽇本の広告費動向 Ⅰ ⽇本の広告費動向 2 媒体別広告費推移 1兆6793億円 2兆793億円 2013年 1兆2474億円 1兆3445億円 1兆7913億円 9381億円 3866億円 前年比 TV +0.9% ▲13.9% ▲2880億円 ネット +1590.0% +8791億円 +8.1% 4369億円 2071億円 2406億円 1991年 6170億円 新聞 ▲50.5% ▲6304億円 ▲1.2% 2499億円 雑誌 ▲42.8% ▲1870億円 ▲2.0% 1243億円 TV:ラジオ =7:1 対2000年比 91年から 22年後の 2013年 590億円 TV:ラジオ =14.4:1 ラジオ ▲40.0% ▲828億円 ▲0.2% 4媒体合計 2000年 3兆9707億円 2013年 2兆7825億円 差額=▲1兆1882億円(▲30.0%) 2012年度AM全局売上げ=約865億円(99.6%) FM全局売上げ=約611億円(102.0%) 1111111111111(差額▲254億円) 非常に細かくてわかりにくい図でございます は、2000 年の 2,071 億円から下げ止まることが が、ここでポイントはマス 4 媒体の広告費。こ ありませんで、13 年には 1,243 億円と何と 40% れは、今日インターネット広告の急速な伸長と、 も減少しているという実情にあります。 ちなみに 4 媒体の中で、テレビですが 2000 そして国内の景気低迷によりずっと低迷をして 年対比で昨年は 13.9%の減少、新聞は 50.5%の まいりました。 このマス・メディア 4 媒体の広告費の最高値 減少、そして雑誌は 42.8%の減少ということで、 は、この図で見られますように 2000 年の 3 兆 新聞、雑誌に続いてラジオの減少というのが非 9,707 億円でございましたが、昨年 2013 年は 2 常に大きいものがあるわけですが、半面、イン 兆 7,825 億円と何と 30%も減少をしております。 ターネット広告ですが、2000 年の 590 億円か しかしながらラジオ広告の費用に関しまして ら昨年は 9,331 億円と何と約 16 倍に近い成長 2 TOKYO FM では、今、音声メディアのいわ を見せているという事実がございます。 ラ ジ オ 広 告 費 の ピ ー ク で す が 、 1991 年 の ゆる聴覚である音の強さや効果が、映像メディ 2,406 億円でございまして、当時のテレビ広告 アの視覚、映像と比べるとどのような優位性が 費とラジオ広告費の比率というのは約 7:1 で あるのかということを脳科学的に解析する産学 ございます。これが何と昨年 2013 年には 14: 協同のプロジェクトを金沢工業大学と一緒にな 1 ということで、テレビ広告費とのバランスも ってやっておりまして、その結果次第では、今 大幅に拡大されているという事態にあります。 後のラジオ CM それからラジオ番組をつくる上 アメリカを見てみますと、テレビとラジオの での 1 つのヒントになっていくのかなと思って 広告費比率というのは大体 4:1 でありまして、 おります。 ヨーロッパが平均的に 6:1 と言われておりま 次に TOKYO FM の事業別の収支の推移であ す。世界全体でも大体 6:1 のバランスが通常 りますが、2000 年代は厳しい事業関係の中で、 でございますが、これだけ 14:1 のように開き 当社におきましても減益傾向でございました。 があるのは、日本とブラジルぐらいなものかな しかしながら、東日本大震災においてラジオ が再評価される中で、2011 年度から 13 年度の と思います。 3 期連続で増収増益の見通しでございます。 もちろん米国など車社会でございますので、 JFN(JAPAN FM NETWORK)という私ど ラジオの位置付けが高いとはいえ日本のラジオ のリーチ、接触時間を米国と比較してみますと、 もの全国ネットワーク 38 局全体でも、2010 年 大体 7 割程度でございますので、広告費も 6:1 度には経常赤字社が 23 社もございましたが、 ぐらいでよいのではないかと、これはラジオの ネットワークを挙げて経営改善に取り組んでま メディア側からの評価ということであります。 いりまして、この 2 年で経常赤字社を 3 社まで いずれにしましても、ラジオの価値をもう一 大幅に減少させることができたということがご 回再認識させるラジオの再価値化というのは、 ざいます。さらに、ネットワーク全体で財務体 業界全体の課題でもあります。 質、体力の強化に取り組んでいくという計画で おります。 3 3 ラジオ業界を取り巻く市場環境 Ⅱ Ⅱ ラジオ業界を取り巻く市場環境 4 超多メディア時代のラジオ聴取の変化 ラジオ国内出荷台数推移 (千台) 25,000 20,000 カーラジオ カーCD※ カーステレオ(カセット)※ カーナビ※ ステレオセット※ ラジカセ(CD付き) ラジオ受信機 15,000 10,000 5,000 0 カーラジオ カーCD※ カーステレオ(カセット)※ カーナビ※ ステレオセット※ ラジカセ(CD付き) ラジオ受信機 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 1,140 6,300 2,040 1,916 2,718 3,415 2,474 1,109 6,566 1,540 2,223 2,537 2,609 2,213 1,018 6,532 1,116 2,829 2,525 2,094 2,174 902 6,329 894 3,505 2,271 1,903 2,202 779 6,641 710 3,876 1,889 1,701 2,421 708 6,632 582 4,014 1,374 1,492 2,072 0 6,415 480 4,437 1,117 1,451 2,006 0 6,134 390 4,489 807 1,313 1,870 0 3,682 137 4,578 663 1,048 1,599 0 4,175 133 5,263 735 945 1,491 0 3,614 64 4,874 655 817 2,245 (年) ●旧来のラジオ受信端末は減少傾向。 スマートデバイスの拡⼤を機に、SNSなど外部サービスとシームレスに連携。 「ラジオ番組作り」⇒メディア統合型の「コンテンツ開発」へ それでは本題に入りまして、ラジオ業界を取 ットの急速な普及に伴いまして、IP サイマルに り巻く市場環境というものはどういう状況にあ よる聴取が伸びており、例えばご存じの radiko るかということでございますが、ここに出てお (ラジコ)のような IP サイマルは非常に伸び ります画像が超多メディア時代のラジオ聴取の ておりまして、月間のユニークユーザーも現在 変化について説明をしている表でございます。 では 1,300 万人を超えていると発表をされてお 左のグラフがラジオのデバイス、いわゆる端 ります。 末の普及の推移でございます。これを見まして これを機に SNS などのサービスとシームレ も従来のラジカセやカーステレオといったデバ スに連携する必要があるということで、 イスは減少する一方、スマートフォンやタブレ TOKYO FM では、ラジオの番組づくりという 4 概念から、多様なメディアを統合したコンテン この表の中で、左の表の一番下がラジオの通 ツ開発という概念に大きくシフトをしていると 常の端末でございますが、2011 年を契機に少し ころでございます。具体的にはどういうコンテ 右肩に上がっている。これは大震災を契機に、 ンツづくりかということは、後ほど具体的な例 ラジオの価値というものが再評価されたという をとりましてご説明をしたいと思います。 ことを示すと思います。 Ⅱ ラジオ業界を取り巻く市場環境 5 ⽶国のラジオ業界 ・FM開局ラッシュ ・メディアグループによる 買収、統合 ・衛星ラジオの登場 ・競合サービスの台頭 ・ラジオ局のサービス進化 (放送+⾳楽配信+イベント連携) さて、米国のラジオ業界はどういう状況に推 するわけであります。 移しているのかということでございますが、車 その下でございますが、90 年代以降につきま 社会のアメリカでは、日本に先駆けてラジオ業 しては、IT 革命によって通信サービスがラジオ 界のイノベーションが活発に進んでおりまして、 に近い音楽配信サービスを始めました。中でも、 現在、米国では約 1 万 5,000 局のラジオがござ 左にパンドラと書いてありますが、2000 年にサ います。 ービスを開始したパンドラは、ユーザーが好む 80 年代以降、上から 2 番目のところにありま 楽曲を自動選曲で配信するサービス、いわゆる すように、クリアチャンネルというマンモスの パーソナライズド・ラジオと呼んでおりますが、 局がございまして、このクリアチャンネルによ 急速に加入者を増やしまして今では登録者 2 億 って買収が進み、何と 1,300 局を要する巨大グ 5,000 万人を超える世界最大のオンラインラジ ループができ上がっております。そして、それ オになっております。 を生かして音楽イベント事業等を急速に拡大し それに追随するかのように、サービスが続々 と立ち上がる中で、2008 年にクリアチャンネル て、力をつけてまいりました。 もちろん後年において、この音楽イベント事 が保有するラジオ局の IP サイマルとパーソナ 業というのは、クリアチャンネルの放送事業の ライズド・ラジオをセットにしたアイ・ハート・ 方からスピンアウトしまして、ライブ・ネイシ レディオというのをスタートさせ、地上波ラジ ョンという形で後には巨大なチケット販売ネッ オやイベント事業と連動させて、パンドラの事 トワークでありますチケットマスターを買収し 業を猛追しているというのが今日でございます。 て、巨大なエンターテインメント企業に発展を 5 Ⅱ ラジオ業界を取り巻く市場環境 6 ⽇本国内の新たな動き V-Lowマルチメディア放送 AMのFM帯域活⽤ 地デジ化で空いた電波帯域を活⽤した 新しい放送サービス。 TOKYO FMが主体的に取り組み、 ⾳声・映像・データを組み合わせた コンテンツで全く新しいサービスを 展開する。(詳細後述) 東京のAM局を中⼼に、 ⾼層ビルの乱⽴などによる 都市型難聴取対策として、 左記のアナログTVの跡地を⼀部使い、 AM局の番組をFM波に乗せて 放送する制度整備が進んでいる。 実現した場合は実質的に FMとして受信できる放送局が増加し、 TOKYO FMを含む既存FM局にとっては 直接競合が増えることになる。 FM事業の 競争激化!? 図:地上デジタル放送完全移行による 空き周波数帯域の利用用途 V-LOW 帯域 V-HIGH 帯域 なって新しい産業の創出をすべく準備を進めて 次のこの表は、日本国内の新たな動きでござ いるところであります。 います。様々なサービスがデジタル化される中 で、ラジオだけがアナログのままでいるという V-Low マルチメディアにつきましては、後ほ ことでは時代に取り残されてしまう。そういう ど少し詳しくご説明をしようと思っております。 ことで、当社では 20 年ほど前から、 “見えるラ 一方で右のほうですが AM 局、東京でいえば、 ジオ”などデジタル化の道を模索してまいりま TBS ラジオ、日本放送、文化放送。AM は、都 した。 市型難聴の解消と、それから防災の対策として 今日はマルチメディアの責任者、スタッフが 中継局の FM 波の活用を進めており、制度化さ 来ておりますが、現在、取り組んでおりますの れましたのでいよいよこれが実現すると、来年 が V-Low マルチメディア放送でございまして、 にでも我々の既存の FM 局にとっては、この ご存じの通りテレビの地デジ化の跡地を活用い AM 局の FM への転換によりまして、競争環境 たしまして、放送と通信の長所を併せ持ったテ が激変するという転換期を迎えようとしており レビでもラジオでもない、いわば第 3 の放送制 ます。 度として多様な業種の企業パートナーと一緒に 6 Ⅱ ラジオ業界を取り巻く市場環境 7 ⽇本国内の新たな動き ⾳楽配信のビジネスモデル変化 国内 国外 ・・・ ⾳楽は無料で楽しめる時代へ ↓ 各⾳楽サービスはラジオの直接競合に ↓ ⾳楽放送だけでは 優位性を産み出せない環境 楽しめる時代へと移行しております。 日本国内の新たな動きとして、音楽配信サー FM=音楽、こういう図式だけで FM 放送事 ビスのビジネスモデルの変化というのがありま 業の優位性は保つことができなくなっている、 す。 これが現状であろうかと思います。 先ほども申し上げましたように、アメリカ同 様に日本においても携帯キャリアを中心といた FM ステーションは音楽ステーション、とい しまして、音楽配信サービスが急増しておりま う既存の概念を越えて独自性の価値もあるコン すのは、皆様方ご承知のとおりでございます。 テンツ、このコンテンツづくり、すなわちコン かつて FM 局が担っていた音楽文化の主導権 テンツイノベーションを進化させる、このこと は、通信の世界に移っていったと言っても過言 によってのみ新しいメディア状況を生き抜いて ではないと思います。音楽は今や無料や定額で いくことができると思います。 7 Ⅱ ラジオ業界を取り巻く市場環境 8 FM放送事業のあり⽅ 課題① ラジオ広告費の減少 課題② 競合サービスの氾濫 課題③ 競合局のFM化? 放送局としてのPerceptionがこれまで以上に重要 独⾃の価値 社会的・⽂化的使命を果たす為の理念・思想 ⽴体的な独⾃の事業構造 FM 放送事業のあり方を少し考えてみたいと いうことで、いわゆる命の大切さの啓蒙活動に 取り組んでまいりました。これらをステーショ 思います。 1 つの課題、ラジオ広告費の減少、これは申 ン理念として、番組づくりなどすべての活動の ベースにしてまいりました。 し上げたとおりでございます。それから、競争 サービスが氾濫をしている。それから、競業局 活動の一端をご披露すれば、世界遺産にもな いわゆる AM 局の FM 化がこれからスタートす りました富士山の清掃プロジェクトでございま る。 すとか、東日本大震災の後の瓦礫を活かす森の こういうような予見の中で環境変化を踏まえ 長城プロジェクト、そして子宮頸がん予防のハ ると、超多メディア時代においては放送局とし ロースマイルプロジェクトなど多くの運動に現 てのパーセプションが今まで以上に重要であろ 在も継続的に取り組んでおります。 うと思います。独自の社会的、文化的理念を立 また、昨年からはアジアの各国にこれらの問 体的な事業構造の中で展開をし、独自の価値を 題を共有化、連帯を呼びかけております。 生み出さなければいけない、そういう時代にあ EARTH×HEART というライブイベントを通 ると思います。 じて、まさに音楽を通じて連携するアジアネッ TOKYO FM では、1990 年から「アースコン トワークづくりの取り組みを進めております。 シャス~地球を愛し、感じるこころ~」、いわゆ 今年は、シンガポール、台湾、韓国の FM 局 る地球環境保護の取り組みをやってまいりまし がアーティストと共に参画をし、今後アジアの た。また、2005 年からは「ヒューマン・コンシ 他の国々に輪を広げていくという計画でござい ャス~生命(いのち)を愛し、つながる心」と ます。 8 9 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 10 資本政策と株主の安定化 ⽇本のラジオ市場は成熟市場 持続的成⻑に向けて新しい分野への投資が必要 投資環境を創るために安定的な事業運営を⽀える株主との関係構築、 新しいパートナーとの協業関係構築が必要 外部企業とのパートナーシップ=資本関係、協業関係を 能動的に構築しなければならない 安定的な財務⼒を背景に積極的な外部との協業で 既存市場に加えて新たな市場を創造 TOKYO FM の経営課題と中長期戦略につい めには安定的な事業運営を支える株主との関係 て、触れてみたいと思います。 強化とか、新たな市場を生み出すための外部企 まずは資本政策と株主の安定化という当たり 業との協業、パートナーシップの拡大が必要で 前の課題でございますが、ラジオ市場は既に成 あります。 先ほど触れました V-Low マルチメディアの 熟的な発展をした市場でございます。新たな分 野での投資が今まさに必要な時期にございます。 取り組みは、他の様々な産業から多くの企業の デジタル放送に向けたインフラの整備や、超 参画をいただいて、現在進んでいるところでご 高音質音源放送に向けた設備投資等々、そのた ざいます。 9 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 11 JFN38局のネットワーク維持・強化 JFNネットワークは加盟38局にとってのコア・コンピタンス この価値の維持・強化が必要 キー局として営業、コンテンツ、財務・・ あらゆる⾓度からバックアップできる体制構築が必要 TOKYO FMの経営⽬標 「収益・財務⼒向上」 「価値あるコンテンツ創造」 「新しい収益事業構築」 JFN38 局のネットワークの維持・強化という 不可欠なテーマであります。このキー局として 点でございますが、先ほどもちょっと触れまし 38 局の連携を強化して、経営基盤を強化してい たように、JAPAN FM NETWORK、いわゆる くなどのあらゆる角度からのバックアップ体制 JFN38 局は全国をカバーしておりますが、この の構築が必要になってきております。 すなわち、財務体質の向上、価値あるコンテ 全国ネットワークは私どもの経営にとりまして、 また私どもの 38 局にとりまして、コア・コン ンツの創造、新たな収益事業の構築、これらを ピタンスであります。 共通の経営目標として取り組んでいる最中でご ざいます。 メディア競争力の観点からも、維持・強化は Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 「防災 安⼼・安全ネットワーク」 2011.3.11 地震発⽣ ライフラインとしてのメディア価値 第1期 【震災直後】 1週間にわたりCM全⾯休⽌ (AC含む) 1,700台のラジオを緊急⽣産、 被災地(情報過疎地)へ 地域放送 県域放送 全国ネット放送 キーステーション 12 第2期 【復興にむけての移⾏期】 様々な番組を被災地から放送。 被災者の声を全国へ。 FM岩⼿の要請により釜⽯市に サテライトスタジオ開設。 釜⽯市の要請により 臨時災害FM局開設。 コミュニティ、県域、全国の 3層レイヤーによる 新しい情報循環のあり⽅に取組む 第3期 【復興期】 ⻑期化する避難所⽣活に対し、 現地で⼼と体のケアを⾏う ヒューマンケア・プロジェクト (カウンセリング、整体、紙芝居 等々) 森の⻑城プロジェクトに放送局 として唯⼀参画。 総合防災ネットワークへ JFNと⽇本郵便(2013年9⽉1⽇)、イオン(11⽉1⽇)、JCBA⽇本コミュニティ放送協会(2014年1⽉17⽇) 「災害時における地域情報ネットワーク構築に関する協定」を締結 JFN38局+コミュニティFMの連携、また防災意識の⾼い⼀般企業・団体との連携により ⽇本最⼤の総合防災ネットワーク構築を⽬指す ラジオの機能の中で、防災・安全・安心のネ ットワーク、いわゆるライフプランとしての 10 メディア価値ということがあると思います。 を進めております。 東日本大震災の際に私どもは震災直後に、 また、ソフト面では、防災意識が高く全国に これは国難であり商売抜きでやるんだ、こうい 強靭な災害対応能力がある一般企業や団体との う即座の判断で 1 週間 CM の全面休止を決断い 情報協力を行う協定の締結を現在進めている最 たしまして、AC 素材いわゆる公共広告の素材 中でございます。 も外して、メディアの公共的な役割を果たすた これまで防災ネットワークへという帯の下に めに、会社全体が報道局となってそして JFN38 掲げておりますように、全国に 2 万 4,000 を超 局が一丸となって災害報道に徹するんだという える郵便局を有する日本郵便株式会社、それか ことで対応してまいりました。 ら災害時に避難者を受け入れ、物資を供給する この結果、国民の皆様方からは多くの熱い反 防災拠点店舗を 2020 年までに 100 店舗以上構 響をいただくことができましたが、同時に多く 築をしようという計画を持っているイオン株式 の教訓も得ることができたと思います。この教 会社、そして災害時に市区町村エリアの詳細な 訓をベースに、災害時のファーストインフォー 災害情報を担うコミュニティ FM 局、213 社が マーとしてのラジオの使命をきちっと果たすべ 加盟します JCBA いわゆる日本コミュニティ放 く、災害報道を拡充していこうという取り組み 送協会と協定を締結いたしまして、JFN38 局が を現在やっております。 それぞれの地域で災害時の情報連携ができるよ ハード面では、非常用電源の増強でございま うに仕組みの構築を、現在こういった皆さん方 すとか、それから JFN38 局の非常時のときの と協議をして進めているところであります。 3.11 の東日本大震災の特番と連動して、防災 キー局の体制をどうするのかという非常時対応 ハンドブック 50 万部を作成いたしまして、現 について議論を深めてまいりました。 例えば、首都直下型の地震があって、TOKYO 在、全国の郵便局で配布をするなど、過去の教 FM の送信設備が破壊されたとき、大阪が第 2 訓を生かしたハンドブックの制作という具体的 のキー局として機能する。また、南海トラフ大 な運用もスタートしております。 地震が同時に起こって大阪もだめになったとき このようなことを通じて、これからもまだ、 に、福岡という地からキー局機能を果たしてい こういった企業や団体と連携を深めていこうと く。こういう体制を構築する中で、更に緊急時 考えておりまして、日本最大の防災ネットワー の速報の強制割り込みシステムなどの設備投資 クの構築を目指しております。 11 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 13 クリエイティブ・イノベーションとリスナー開拓 ●主⼒事業である放送事業において、 SNSなどあらゆるメディアを統合したコミュニケーションをデザインし、 メディア影響⼒拡⼤、リスナーの⽀持拡⼤、グループ収益⼒の向上を⽬指す。 ●グループ総合⼒を活かした新事業を構築する。 ●外部クリエイターを起⽤した新しい商品作りにより新たなファンを作り、 ムーブメントを創り出す・・・など。 クリエイティブな視点・感性で事業の⾰新を図り、新しい独⾃価値を創造する。 2012年〜「統合メディア戦略」を推進 合メディア戦略と呼んでおりますが、この統合 クリエイティブイノベーションとリスナーの メディア戦略を推進しております。 開拓という課題であります。ラジオを取り巻く 環境や今後のデジタル化も踏まえまして、単に 昨年の新しいところでは、番組で申し上げれ 番組を面白くすることに留まらず、SNS などの ば、SNS 融合型のコミュニケーションデザイン 様々なメディアを統合したコミュニケーション によるラジオの中の会社という設定の番組「ス デザインを進める、これによって、コンテンツ カイロケットカンパニー」や、秋葉文化の発信 開発により独自の価値を創造していく、そして 番組であります「AKIBA NOISE」という番組 発信力を強化していく。この考え方を私ども統 などが誕生しております。 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 14 クリエイティブ・イノベーションとリスナー開拓 モデル事例① HPアクセス数 ⽉間6000万PV超を誇る、 10代向け統合メディアプログラム「SCHOOL OF LOCK!」(2005年10⽉〜) そういう今日的な 1 つの課題の中で、放送と ていこう、この 1 つの結実が、 「スクール・オブ・ 通信を 1 つのコンテンツづくりの中で融合させ ロック!」という 10 代向けの番組であります。 12 これをご紹介することによりまして、私ども 発展をさせていく。このモデルの最初のケース が今、単に既存の FM 放送として一方的に電波 が「スクール・オブ・ロック!」という番組で を通じて番組を流していくメッセージを流して ございます。 いくという時代から、SNS を融合しまた他のメ 2005 年当時でございますが、10 代のいじめ ディアとも融合して、放送局とリスナーの関係 や家庭内暴力がクローズアップされました。10 だけではなくして、それがリスナーとリスナー 代の心の問題にどう向き合うかという社会的な の関係を呼んで、共感型のコミュニティをつく テーマから、私どもがつくり出したのが「スク る、こういうコミュニケーションデザインまで ール・オブ・ロック!」という番組です。 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 15 クリエイティブ・イノベーションとリスナー開拓 Radio Event Mobile Site PC Site Book CD Product App それまで、10 代といえば深夜放送という図式 到します。するとその書き込みに対して別のリ が一般的でございましたが、当社では携帯電話 スナーがレスを書き込むという、従来の番組対 の急速な普及にポイントを置いて、10 代とどう リスナーの 2 ウェイに留まらずに、番組対リス コミュニケ ーションを 取るかを考 え、当時は ナーそしてリスナー対リスナーという、まさに SNS もありませんでしたので BBS といいまし SNS 的なコミュニケーションが活性化をして ょうか、いわゆる掲示板を立ち上げて、24 時間 まいりました。 そこに自由に書き込んでもらうことからコミュ どちらが補完でもないどちらが主体でもない、 2 つを有効に組み合わせた、いわゆる初めて放 ニケーションをスタートさせました。 そして、書き込んだ中高生と電話でつなぎ音 送と通信を融合させたコンテンツというわけで 声をラジオを通して紹介することで、この掲示 あります。 板に血を通わせる役割を担わせました。番組は 番組はラジオの中の学校という形態をとりま 深夜ではなく、携帯電話のトラフィックが最も した。パーソナリティーは、校長先生であり教 多い時間帯の 22 時から 24 時の 2 時間として展 頭先生、リスナーは全員生徒そういう設定であ 開をさせました。 り、部活動として出版があったりスポンサーと 掲示板から浮かび上がるテーマは、番組企画 の商品開発があったり、いろいろな活動を展開 にして放送すると、それに対する書き込みが殺 している中で、“10 代の音楽の甲子園”とでも 13 言うべきか、今年で実は 7 回を迎えるわけでご ウェブのアクセスでございますが、月間 8,000 ざいますが、“閃光ライオット”という、10 代 万ページビューというお化け番組に成長して、 のアマチュアバンド限定でバンドコンテストを 今日、あります。 全国で展開しております。 営業的にも単なる提供ではなく、スポンサー 全国から 1 万件を超える応募がありました。 と話し合って番組の企業として一緒になって展 現在では、プロのミュージシャンを続々と輩出 開をしていく、まさにスポンサー、番組、リス している企画でございます。 ナーによる共創型マーケティングを具現化した 掲示板への登録者ですが 30 万人を超えて、 ものになっております。 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 16 クリエイティブ・イノベーションとリスナー開拓 2013年4⽉〜 統合メディアコンテンツを追加投⼊ ■働く若者を応援するラジオの中の会社「Skyrocket Company」 Web tools Radio ⇒ 全てスマートフォンを⼊り⼝に楽しめる枠組みを推進 + Web movie Event App SNS Game リスナー同⼠の交流 (SNS機能) 番組への参加でポイント蓄積 (ゲーミフィケーション機能) O2O Check In 位置情報の取得 (チェックイン機能) クーポン配信 (O2O機能) 次に、クリエイティブイノベーションとリス このサービスをラジオ番組で初めて展開するな ナーの開拓という点でございます。昨年は、ラ ど、SNS 機能を活用したリスナー同士が交流す ジオの中の会社として、 「スクール・オブ・ロッ る、まさに共感型コミュニティを「スカイロケ ク!」を聞いていた世代のリスナーが、今日、 ットカンパニー」という番組を通じて形成をし 20 代の給与生活者になっております。この 20 ているところであります。 代の給与生活者のリスナーをターゲットとする 次のポイントは、放送外の事業を開発すると 「スカイロケットカンパニー」というのを立ち いう点であります。 上げました。 先ほどの広告費の推移のところでも申し上げ 夕方 5 時から、番組を会議と称しまして、社 ましたように、放送事業は今後も事業構造の中 員であるリスナーと掲示板を通じて様々なコミ 核であり続けますが、事業の収益構造的には、 ュニケーションを行っております。 ラジオの広告費が大きく成長することは期待で 現在は公式アプリをリリースして、社員登録 きない、そういう中でラジオ局間のシェア競争 としてリスナーの属性を把握して、チェックイ にも限界があります。 ン機能やクーポン配信機能を持つ、放送からス 現在、東京地区での AM3 局、FM2 局の 5 局 マホを経由 して店頭へ の誘導を行 う、まさに における TOKYO FM の市場シェアというのは、 O2O2O(On air to On line to Off line)という 売り上げベースで約 29%ございます。順調に成 14 長してきてはおりますが、1 つの限界点という 源を開発する、開拓する、このことが急務であ ものがあるわけで、広告費が伸びない。したが ると思います。 って、シェア競争になる。しかし、シェア競争 「スカイロケットカンパニー」のアプリは、 にも限界がある。 大日本印刷株式会社と共同開発したものであり こういう中で、放送外の事業で収益構造をプ ますが、このように、外部のテクノロジーと連 ラスに転換していくということが中長期の課題 携してシナジーを生むような、新たな協業ビジ の 1 つであります。イベント事業、物販事業、 ネスを開発するオープンイノベーションによっ インターネット事業、これらを初め、リソース て、新たな収入源を開拓していきたいと考えて を活用して事業シナジーを創造する可能性のあ おります。 る分野へ果敢な挑戦をする、そして新たな収益 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 17 V-Lowマルチメディア放送 V-LOWマルチメディア放送とは? ※アナログテレビ 1-3ch (90-108MHz)のうち「95-108MHz」帯域 地デジ化で空いた周波数を再開発。 空いた帯域=V-LOW帯域を活⽤し、 さまざまなマルチメディア放送が可能となる。 リアルタイム放送、蓄積型の放送に加え、 テレビ・ラジオの既存メディアと異なり送るものに対しての 義務、制限がなく、⾳楽、電⼦新聞、電⼦チラシ、電⼦書籍、ゲームア イテム、強制起動などの制御データ、地図データや、位置連動データを 送ることができるようになる。 少し先ほど触れましたが、V-Low マルチメデ 当社は、この特性をまず活用できるのは、安 ィア放送について、お話をさせていただこうと 全・安心・防災という、このテーマであると考 思います。 えております。東日本大震災のときに、通信は 最大のテーマ、V-Low マルチメディア放送は、 寸断をされ、またトラフィックが急激に増加し 実現と成功にこれからの放送事業の発展にかか たために、通信は輻輳を起こしてしまいました。 っていると言っても過言ではないと思います。 また一方では、放送はアンテナさえ生きてい 最大のポイントですが、テレビは映像と音声、 れば輻輳することなく受信が可能である。コミ ラジオは音声、こういう規定されているのに対 ュニティ FM、圏域の FM、そして全国のネッ しまして、V-Low マルチメディア放送は、デジ トという、三層レイヤーによる新しい情報循環 タルデータであれば、音楽、電子新聞、書籍、 のあり方というものを経験いたしました我々と 画像、テキスト、制御データ、何でも放送波で いたしましては、この V-Low マルチメディアの 送れることになります。テレビでもなく、ラジ 防災機能というものに大きく価値を注目してい オでもない、全く新しい第 3 の放送制度として る次第であります。 位置づけられております。 放送波で端末を強制起動して、音声だけでな 15 くテキストや画像で防災情報を配信する、そし しまして、防災無線の進化版として、普及、推 て、防災端末を最近開発したところでございま 進に皆さんの力をお借りして、議論を進めてい すが、現在、多くの自治体と連絡会を開設いた るところであります。 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 18 V-Lowマルチメディア放送 既存放送事業者や携帯キャリア以外の企業・団体が参⼊可能になる 「V-LOW」 V-LOWマルチメディア放送を活⽤したTOKYO FMの取り組み デバイスは⾞載型としてカーナビへの搭載を⽬指すほか、スマートフォンやタブレット、I Pデータ放送を活⽤した家庭でのWifiルーターへの搭載など、様々なものに対応すると共に、 地⽅⾃治体の防災無線を⾼度化した サービスとして災害時の情報端末としても 機能させることで普及推進を図って⾏きます。 V-LOWマルチメディア放送の具体的な展開イメージ ●⾼速道路会社と共に→ドライバーに特化した専⾨チャンネル ●観光会社と共に→地元に密着した地域住⺠のためのコンテンツ ●公共スペースによる、デジタルサイネージへの情報配信サービスなど、 異業種パートナーと提携し、それぞれの資源を組み合わせてハード/ソフト/CP事業と 新規事業の開発に取り組みます。 2020 年の東京オリンピック、パラリンピックに また V-Low マルチメディア放送は、放送事業 目がけて、多言語の対応で進めていく。 者以外の企業にも参加をしていただく、そうい う可能性があることから、例えば、下のほうに また、さらに現在のアナログの FM 放送を超 サマリーが書いてありますように、高速道路会 える高音質音楽配信のチャンネル構想というの 社とドライバーに特化した専門チャンネルをや も、これからの V-Low マルチメディアを進めて ることによって、道路サービスまたは道路情報、 いく上で、コンテンツの大きなリスナーのため これらをタイムリーに提供する。 になる、市民のためになる切り口だろうと思い ます。 また、公共スペースや公共交通機関でのデジ タルサイネージへの情報配信サービス、しかも 16 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 19 V-Lowマルチメディア放送 76MHz 85MHz 90MHz 95MHz 99MHz ガードバンド ← FM放送 (従来通り) ← →← FM放送、AM放送の 難聴対策等 →← AM放送の難聴対策等 108MHz → 混信発生時に地方 ブロック向けマルチ メディア放送が用いる → 2013年7⽉17⽇より、総務省より、 「V-LOWマルチメディア放送及び放送 ネットワークの強靱化に係わる 周波数の割当て・制度整備に関する 基本的⽅針(案)」が発表されました。 エリア展開 (2015年度には 九州・沖縄ブロッ クに拡⼤) 103.5MHz 地方ブロック向けマルチメディア放送 AM放送の難聴 (都市型難聴、地理的・地形的 難聴、外国波混信)対策 空中線電力が大きいものは 別に定める AM放送の難聴(地理的・ 地形的難聴、外国波混信)対策 空中線電力が小さいもの 2014年度 福岡でスタート →← 半年程度後に 近畿エリアに 拡⼤ 1年程度後に 関東エリアに 拡⼤ 2016年度に 東名、名神⾼速に 拡⼤ 2016年度末に 全国の主要⾼速に 拡⼤ ※地図は、総務省発表資料を基に作図。 ⾼速道路展開 2015年度に NEXCO⻄⽇本内 ⾼速をカバー 東北道 関越道 2018年 中央道 本四高速 大分道 九州道 山陽道 山陽道 山陽道 長崎道 長崎道 東名 長崎道 本四高速 大分道 九州道 東名 本四高速 大分道 九州道 5年かけて全国カバー げてきた福岡地区からサービスをスタートする。 異業種パートナーとの新規事業開発が、現在、 こういう計画でありますが、間を置かずに近 進行中であります。 V-Low マルチメディア放送、これは、V-High 畿、中部、関東、こういった地域へ拡大をし、 が携帯電話向け有料テレビ放送で全国 1 波に対 5 年をかけて全国をカバーしていくという計画 しまして、V-Low は、ここに書かれております でございます。 ように、デジタルデータを用いた多様なサービ もちろん、先ほどの車載のところでも触れま スを全国 7 ブロックごとに分けて展開できるた したように、並行して高速道路にもギャップフ めに、各ブロックの地元企業も参画が可能とな ィラーを設置して、車でシームレスに受信でき ります。また地域に応じた多彩な事業の創造が るように、交通情報なり防災情報が受信できる 期待できるところであります。 ように整備していくよう今後も働きかけを続け しかしながら、V-High は現在も事業がチャレ たいと思っております。 ンジングに展開中でありますが、リスナーのダ 今、お話し申し上げましたように、ラジオ放 イナミックな開拓のために、V-High、V-Low が 送事業、特に FM 放送事業というのは、大変厳 連携してリスナーの開拓に当たっていく、そう しい事業環境の真っただ中にありまして、これ いう可能性を私どもとしては勝手に感じている から放送事業として放送事業者として生き抜い というところでございまして、是非同じ目的を ていくためには、幾多の課題があります。 持つ者同士として協議が進められればなと、こ ただ、この課題と申しますのは、放送事業者 ういうふうに勝手に思っているわけでございま だけが解決する課題ではなくして、大きなテー す。 マであるがゆえに、いろいろな産業いろんな企 この V-Low マルチメディアは、現在、福岡で 業の人と協業して解決をしていく、そういうエ リアがあると思っております。 の実験放送が終わりまして、実証実験を積み上 17 Ⅲ TOKYO FMの経営課題と中⻑期戦略とは 20 オープン・イノベーションの時代へ ? 新たな外部要素 の発掘 外部技術 ? 新しい商品価値 ⾃社単独の 事業活動範囲 ? 外部アイデア 新規事業 外部⼈材 ⾃社 ? 共同出資 外部資本 パートナー群の 事業活動範囲 外部の良質な技術、アイデア、⼈材、資本と 柔軟にパートナーシップを組み、新たな価値を創る オープン・イノベーションを積極的に実践。 資本⼒、商品⼒のダイナミズムを⽣み、 収益⼒を向上させ、より堅固な財務体質へ。 FM 放送を強化しながら、厳しい事業環境の 外部の良質な最新技術でございますとかアイ 中で新たな事業分野を開拓しなければいけない デア、そして、人材、資本、こういった枠組み というのは、先ほどご説明したとおりでござい に対しまして、柔軟に発想していく、そして、 ますが、私は、時代はオープンイノベーション 柔軟にパートナーシップを組んでいく。そして、 の中にあると思います。 従来の枠組みにとらわれない自由な発想でこの radiko(ラジコ)が最近、有料でエリアフリ オープンイノベーションを実現するところに、 ー化されましたが、一方でアメリカのチューン FM ラジオ事業の体質の強化の 1 つのポイント インというオンラインラジオのプラットホーム があると思っております。 では、世界で 10 万局に近いラジオ局の IP サイ 放送と通信の融合という、ずっと言い続けら マルが既に無料で聞けるようになっている。世 れてきたテーマに向かって、本格的にかつ具体 界はすごい勢いで変化を起こしている、このこ 的に融合するということを、コンテンツだけで とに目を向けていかなければいけないと思いま はなくして事業の枠組みの中で実現をしていく す。 ということが中長期的な課題であるということ ラジオが生き残るためには、まず既存の枠組 を申し上げまして、私のほうからのご説明とさ みとかボーダーを越えた発想が不可欠だろうと せていただきます。 思います。 ありがとうございました。 18 21 Fin. 19
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