星形成レガシープロジェクト W40 領域の分子輝線観測 ○秦野義子、片倉翔、山日彬史、下井倉ともみ、土橋一仁 ( 東京学芸大学 )、原千穂美 ( 東京大学 ) 島尻芳人 (CEA/Saclay)、西谷洋之、中村文隆 ( 国立天文台 )、他 45m 星形成レガシーチーム Observations Introduction Herschel/PACS 160 μm Aquila rift に位置する W40 は、太陽系近傍に位置する大質量星形 成領域で、そこには OB 型星を含むクラスター、HⅡ領域、分子雲が存 望遠鏡 在する。W40 は銀河面から 3.5°ほど離れていて、かつ太陽系近傍の 観測期間 2014 年 2 月〜4 月 数少ない大質量性形成領域である。HⅡ領域の励起星のそばでは 受信機 TZ outflow (Wu et al. 2004) や H2O メーザー (Esimbek et al. 2005)、 分光計 HH 天体 (Wu et al. 2006) が見られる。しかし、正確な距離は分かっ 速度分解能 0.02 km/s 2008)。また、高い角分解能による広範囲の分子輝線観測は少なく、分 子雲全体の速度構造も必ずしも明らかになっていなかった。そこで我々 は、W40 領域の分子雲全体を高い角分解能で描き出し、ガスの分布や 速度構造を詳細に調べるため、野辺山 45m 鏡を用いて W40 を含む 20′×15′の領域について観測を行った。この観測では TZ 受信機と SAM45 分光計を用い、8 種類の分子輝線による観測を行った。観測した 分子輝線のうち、 CO (J =1-0)、C O (J =1-0)、CS (J =2-1)、C S (J 13 18 34 野辺山 45m 電波望遠鏡 -1o45' SAM45 ノイズレベル ∆Ta* = 0.54 K 較正手法 チョッパーホイール法 観測手法 On The Fly (OTF) 観測領域 5′× 5′× 11 box( 図 1) 総観測時間 22 hour 割当時間 102 hour 観測ライン 13 100 15' 観測ボックス 30' CO (J =1-0), C18O (J =1-0), -2o45' CS (J =1-0), C34S (J =1-0) =2-1) の 4 つの分子輝線が検出された。本ポスターでは、これまでに 00' Declination (2000) ておらず、おおむね 600±300 pc とされている (Rodney & Reipurth 101.4 18h32m Right Ascension (2000) ...etc 8 lines 得られた観測データの状況を報告する。 10-1.4 Jy/beam 30m 図 1:Herschel 160μm map と観測領域 Results ●積分強度図 ●速度構造 観測により検出された分子輝線の積分強度図をそれぞれ示す。 W40 100 15 ③ ④ o 00 s 31 40 Right Ascension (2000) m s 20 7.5 -2 10’ 18h 32m 20s 0 s 20 -1 55’ s 31m40s 20s 00s 0 -10 K km/s 20 -1 55’ o W40 C 34 S(J=2 1) 40 00’ 10 05’ Declination (2000) Declination (2000) 0 ③ 10 Vlsr (km/s) 5 km/s 成分 4 Tmb (K) o 00 0 図 3:C18O(J =1-0) 積分強度図 W40 C18O 20 0 Right Ascension (2000) 図 2:13CO(J =1-0) 積分強度図 CS(J=2 1) 40 CO 13 05’ o K km/s 00 s ② 00’ ① -2 10' 18h32m20s ① Tmb (K) 50 05' W40 40 ② 00' -1 55’ o 3 つの速度成分が見られ、複雑な速度構造をしていることが分かる。 20 -10 10 km/s 成分 20 0 Vlsr (km/s) 10 20 10 20 ④ 40 7 km/s 成分 Tmb (K) Declination (2000) CO(J=1-0) C 18 O(J=1 0) Tmb (K) -1 55' o Declination (2000) 13 図 2 の①〜④の 4 カ所の 13CO 及び C18O のプロファイルを示す。Vlsr = 5, 7, 10 km/s の 20 00’ 2 0 0 05’ -10 0 Vlsr (km/s) 10 -10 20 0 Vlsr (km/s) 図 8:①〜④の各点の 13CO 及び C18O のプロファイル -2o10’ 18h 32m 20s 00 s 31m40s Right Ascension (2000) 20s 00s 0 K km/s -2o10’ 18h 32m 20s 図 4:CS(J =2-1) 積分強度図 00 s 31m40s Right Ascension (2000) 20s 00s 0 K km/s CO と C18O の channel map を示す。 白い楕円で示すように、 フィラメント状の構造が幾 13 図 5:C S(J =2-1) 積分強度図 34 つか見られる。 13 CO (J =1-0) channel map W40 C18O (J =1-0) channel map 40 W40 9 ●Herschel 160μm map Herschel 160μm map と、 CO、 C18O の map を比較すると、 Herschel のデータと 13CO、 C18O の 13 2 <Vlsr< 3 [km/s] 3 <Vlsr< 4 [km/s] 4 <Vlsr< 5 [km/s] 2 <Vlsr< 3 [km/s] map はよく一致していることがわかる。 今後は Herschel のデータと比較しながら、 クランプやフィラ 00' 15 05' -1 55' o W40 5 <Vlsr< 6 [km/s] 30 6 <Vlsr< 7 [km/s] 7 <Vlsr< 8 [km/s] 00 s 31 40 Right Ascension (2000) m s 20 s 00 s Jy/beam -2o0'0" -2o5'0" 9 <Vlsr< 10 [km/s] 18h32m0s 18h31m40s 18h31m20s Right Ascension (2000) 10 <Vlsr< 11 [km/s] 0 18h31m0s 9 <Vlsr< 10 [km/s] 10 <Vlsr< 11 [km/s] K km/s -2o0'0" -2o5'0" 8 <Vlsr< 9 [km/s] -2o10'0" 18h32m20s 18h32m0s 18h31m40s 18h31m20s Right Ascension (2000) 図 9 : 13CO channel map 15 18h31m0s 00 s 31 40 Right Ascension (2000) m s 20 s 00 s 図 10 : C18O channel map CO のデータから分子雲の質量を見積もった。 13 0 Jy/beam 図 7:Herschel 160μm map と C O の積分強度のコントア。 コントアの最小値は 20 Kkm/s、コントア間隔は 5 Kkm/s。 コントアの最小値は 5 Kkm/s、コントア間隔は 2 Kkm/s。 18 距離 励起温度 ピークの N(13CO) ピークの N(H2) LTE 質量 [pc] [K] [cm-2] [cm-2] [M ] 600 30※ 1.89×1017 9.43×1022 ◉ 3.98×103 ※励起温度は 30 K と仮定した (Zhu et al. 2006)。 Summary Prospects *Herschel のデータと 13CO や C18O のデータはよく一致していることがわかった。 *観測で得られた 13CO や C18O のデータと Herschel のデータを比較し、フィラメントを同定する。 *Vlsr = 5, 7, 10 km/s の速度成分が存在し、 複雑な速度構造をしていることが分かった。 *分子雲の空間分布と複雑な速度構造を明らかにする。 *13CO のデータから局所熱力学平行を仮定して分子雲の質量を見積もったところ、 総質量は 4.0×103 M◉ *W40 の全体的な星形成の様子を調査する。 と推定される。 0 K km/s ●LTE 質量 05' 図 6:Herschel 160μm map と CO の積分強度のコントア。 13 7 <Vlsr< 8 [km/s] -1 55'0" 8 <Vlsr< 9 [km/s] -2o10' 18h32m20s 6 <Vlsr< 7 [km/s] o 局所熱力学平衡を仮定して、 0 5 <Vlsr< 6 [km/s] -1 55'0" o -2o10'0" 18h32m20s 00' 4.5 Declination (2000) 30 Herchel/PACS 160μm & C18O contour Declination (2000) W40 Declination (2000) Declination (2000) Herschel/PACS 160μm & 13CO contour -2o10' 18h32m20s 4 <Vlsr< 5 [km/s] 20 メントの同定を行う。 -1o55' 3 <Vlsr< 4 [km/s]
© Copyright 2024 ExpyDoc