高効率冷凍機システムの導入による省エネルギー

地球温暖化対策シンポジウム2014
C
L
I
M
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H
A
N
G
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T
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発表内容
1. 調査の概要
2. JCM事業の概要
事業対象地, GHG削減技術, プロジェクトのフロー
3. JCM方法論
(1) 用語および定義
(2) 適格性要件
(3) リファレンス排出量の算定方法
(4) リファレンス/プロジェクト排出量の算定
(5) GHG削減量の定量化
(6) モニタリング
4. 今後のスケジュールと課題
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E
地球温暖化対策シンポジウム2014
1. 調査の概要 (1/3)
調査名:
高効率冷凍機システムの導入による省エネルギー
調査の目的 :
高効率冷凍機の更新/新規導入による省エネルギーを進めるために、
インドネシアの紡績工場を対象にJCM方法論を開発する。
調査団 :
日本工営株式会社
荏原冷熱システム株式会社
Ebara Indonesia社
Primatexco Indonesia社
Argo Pantes社
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1. 調査の概要 (2/3)
電気式ターボ冷凍機とは?
(i) 電気を動力源とし、フロンなどの冷媒を圧縮して効率的に冷熱を
作り出す機械。
(ii) 冷凍能力は主に200冷凍トン(USRt)以上。インドネシアでは500
冷凍トン規模のものが多い。
(iii) 繊維・化学工場や大規模ショッピングモールなどの空調、冷却に
使われる。
(iv) 日本では地域冷暖房(みなとみらい21地区、スカイツリータウン、
品川インターシティ)等でも大型のターボ冷凍機が使用されてい
る。
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地球温暖化対策シンポジウム2014
1. 調査の概要 (3/3)
調査の背景①: 冷凍機のニーズの拡大
(i) インドネシアの高い経済成長に伴う着実な冷凍機市場の拡大(工
場や大規模商業施設など)
(ii) 30-40年前にインドネシアに進出を開始した日系紡績工場におけ
る冷凍機更新ニーズの高まり
(iii) 環境への負荷が大きい冷媒の規制強化の流れ
調査の背景②: 高効率冷凍機の普及における課題
(i) インドネシアを含む途上国市場では通常の効率の冷凍機が普及。
(ii) 本邦企業製の高効率機は、定期点検の努力などが評価され徐々
に普及しているが、一般的な冷凍機に対し初期費用が高額であ
ることが課題となっている。
JCM事業による本邦高効率冷凍機の導入促進に大きな可能性
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2. JCM事業の概要 –Primatexco社 (1/2)
ジャカルタ
ジャワ島
スラバヤ
ジョグジャカルタ
デンパサール
Pekalongan市
Primatexco社
中部ジャワ州
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地球温暖化対策シンポジウム2014
2. JCM事業の概要–Primatexco社 (2/2)
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2. JCM事業の概要 – Argo Pantes社 (1/2)
ジャカルタ
ジャワ島
スラバヤ
ジョグジャカルタ
デンパサールr
Argo Pantes社
タンゲラン工場
ジャカルタ
Argo Pantes社
ブカシ工場
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地球温暖化対策シンポジウム2014
2. JCM事業の概要 –Argo Pantes社 (2/2)
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2. JCM事業の概要 – GHG削減技術
プロジェクト冷凍機の特長
1. 環境に優しい冷媒 (HFC 245fa)の使用
2. COP (成績係数) 6.0以上
3. 最新の高効率コンプレッサーやボールベアリングの採用による
低騒音、低振動および高信頼性、高耐久性の達成
4. タッチパネルによる操作・状態確認機能
荏原冷熱システム社製 : 高効率ターボ冷凍機 RTBFモデル
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地球温暖化対策シンポジウム2014
2. JCM事業の概要 – プロジェクトのフロー
冷却塔
ポンプ
冷凍機
工場/商業施設
ナショナルグリッド
ポンプ
冷却水
返送冷却水・冷水
冷水
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3. JCM方法論 – 用語および定義
概要 :
本方法論はインドネシアの紡績工場や商業施設等において高効率冷凍
機を更新/新規導入することにより、当該工場・施設における冷凍機運
転に係る省エネルギーを図るプロジェクトに適用する。
表1 : 用語および定義
ヒートポンプの原理により熱を移動させ冷熱を作り出す熱源設備で
ある。また、冷凍機周辺設備である冷却塔やポンプ等は含まない。
リファレンス JCM事業の実施に伴い、対象とする工場や商業施設等にて更新
または新規導入される冷凍機。
冷凍機
プロジェクト JCM事業が実施されない場合、対象とする工場や商業施設等にて
更新または新規導入が想定される、市場占有率の高い冷凍機(主
冷凍機
要複数社がホスト国で販売している冷凍機の平均的な機能を持つ
冷凍機を仮定したもの)。
成 績 係 数 冷凍能力[kW]を主電動機入力[kW]で除した、定格時COPとする。
本方法論では、JIS規格の温度条件とした場合の主電動機入力で
(COP)
COPを計算する。
冷凍機の性能を維持するため、冷凍機製造業者、もしくは製造業
定期点検
者が保証する代理店による冷凍機の性能評価を定期的に行うこと。
冷凍機
注 * : JISの温度条件は以下の通り。
冷水
: 出口温度 : 7 度、入口温度 : 12 度
冷却水 : 出口温度 : 32 度、入口温度 : 37 度
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3. JCM方法論 – 適格性要件 (1/2)
要件1 プロジェクト冷凍機は、ターボ式圧縮機を用いた電気式冷凍
機とする。
要件2 プロジェクト冷凍機の成績係数(COP)が6.0以上である。
(図1参照)
出典: 製造者のカタログおよび製品情報をインドネシアの電力基準
(400V/50Hz)、JIS温度条件(冷水入口温度12℃、出口温度7℃及び
冷却水入口温度37 ℃、出口温度32℃)に揃えたもの
図1 : インドネシアで使用されている冷凍機の成績係数 (COP)
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3. JCM方法論 – 適格性要件 (2/2)
要件3
冷凍機製造業者(又は製造業者が保証する代理店)と、定期
点検もしくはそれと同等のサービスを含んだ契約を結んでい
る。なお、定期点検の頻度は年4回以上とする。
要件4
冷 凍 機 の 冷 媒 は 、 オ ゾ ン 層 破 壊 係 数 ( Ozone Depletion
Potential : ODP)がゼロである。(表2参照)
要件5
プロジェクト冷凍機の冷媒に対し、適切な回収・破壊計画が
策定されている。
表2 : 冷凍機で使用される冷媒の特徴
ODP
GWP
CFC11
CFC12
HCFC123
1.00
1.00
0.02
4,750
10,900
77
HFC134a
0.00
1,430
HFC245fa
HC717 (NH3)
0.00
0.00
1,030
<1
冷媒
出典 : IPCC第4次報告書をはじめとした各種資料より作成
注 : GWP: 地球温暖化係数, ODP: オゾン層破壊係数
生産の規制状況
製造業者
先進国
途上国
全廃
全廃
全廃
全廃
-----
2020年迄
2040年迄
C社
未規制
未規制
A社, B社, E社, F社
未規制
未規制
D社
未規制
未規制
---
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地球温暖化対策シンポジウム2014
3. JCM方法論 – リファレンス排出量の算定方法
排出量
BAU
リファレンスシナリオ
プロジェクトによる
排出削減量
プロジェクトシナリオ
時間軸
冷凍機の
導入/更新
Business-as-usual (BAU) :
更新 : 対象の工場および商業施設において既存の冷凍機がそのまま
利用され続けること。
導入 : リファレンスシナリオと同一
リファレンスシナリオ :
プロジェクトが実施されない場合、インドネシアで高い市場占有率を持つ
冷凍機が更新または導入されること。
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3. JCM方法論 – リファレンス/プロジェクト排出量の算定
リファレンス排出量:
リファレンス冷凍機の運用時の電力消費による温室効果ガスの排出量
RE = ECPJ x (COPPJ / COPRE) x EF
RE
: リファレンス排出量 [tCO2]
ECPJ : プロジェクト冷凍機の電力消費量 [MWh]
COPPJ : 成績係数 (プロジェクト冷凍機) [---]
COPRE : 成績係数 (リファレンス冷凍機) [---]
EF
: グリッド排出係数 [tCO2/MWh]
プロジェクト排出量:
プロジェクト冷凍機の運用時の電力消費による温室効果ガスの排出量
PE = ECPJ x EF
PE
: プロジェクト排出量 [tCO2]
ECPJ : プロジェクト冷凍機の電力消費量 [MWh]
EF
: グリッド排出係数 [tCO2/MWh]
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地球温暖化対策シンポジウム2014
3. JCM方法論 – データ及びパラメータ (1/2)
表3 : 事前に確定したデータ及びパラメータ (1/2)
パラメータ
データの説明
出典
EF
デフォルト値:
国家気候変
グ リ ッ ド 排 対象工場・商業施設等が接続するグリッド(系統)の 動 協 議 会
出係数
排出係数 [tCO2/MWh]
(DNPI) ウ ェ ブ
サイト
COPPJ
事業設定値:
事業者向け
成績係数
プロジェクトで更新/新規導入する冷凍機のCOP値 仕様表等
( プロジェク [---]
ト冷凍機)
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3. JCM方法論 – データ及びパラメータ (2/2)
表3 : 事前に確定したデータ及びパラメータ (2/2)
パラメータ
COPRE :
成績係数
(リファレン
ス冷凍機)
データの説明
出典
事業設定値:
事業者向け
プロジェクト冷凍機と同等の冷凍能力を持つリファレンス 仕様表等(冷
冷凍機のJIS条件下COPRE_JIS値 [---] に冷却水出口温度 却水・冷水条
と冷水出口温度を乗じて算出する。
件)
(1) COPRE_JISは冷凍能力に応じ、下表から適切な数
値を選択する。
表:COPRE_JIS値
冷凍トン(USRt)
0
~
300
301
~
600
601
~
900
901
~
1,200
1,201
~
COPRE_JIS
5.05
5.49
5.65
5.60
5.77
(2) COPRE =
COPRE_JIS x 33.0 / (Tcooling-out – Tchilled-out + 3.0)
COPRE_JIS : JIS温度条件下におけるリファレンス冷凍機のCOP値 [---]
Tcooling-out : 冷却水出口温度 [℃]
Tchilled-out : 冷水出口温度 [℃]
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3. JCM方法論 – GHG削減量の定量化
ER = RE – PE
ER : 排出削減量 [tCO2]
RE : リファレンス排出量 [tCO2]
PE : プロジェクト排出量[tCO2]
項目
Primatexco社
Argo Pantes社
プロジェクト冷凍機による年間電
力消費量 [MWh/y]
1,947
2,064
プロジェクト冷凍機の成績係数
[---]
8.37
7.09
リファレンス冷凍機の成績係数
[---]
7.55
6.25
排出係数 [tCO2/MWh]
0.741
0.741
排出削減量 [tCO2/chiller/y]
156.99
205.99
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3. JCM方法論 – モニタリング
モニタリング方法
現在:電圧・電流等のモニタリング
フロー(例)
工場長
データの
確認と承認
現在:アナログ計測
JCM事業:電力消費量のモニタリング
管理職者
データの
確認
報告
冷凍機担当者
注:
モニタリングのフローと頻度は、
基本的に事業者がこれまで実施
してきている定期モニタリングに従う
JCM事業:デジタル計測
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4. 今後のスケジュールと課題
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