精巣機能とその異常

精巣機能とは
精巣機能とその異常
~精巣機能障害と男性不妊症~
(精巣の模式図)

精子形成



NTT東日本札幌病院
泌尿器科・鏡視下手術センター

精細管にて形成される
精細胞が分化・増殖する
セルトリ細胞に支持される
精細管
間質
男性ホルモン(androgen)産生

間質にあるライディッヒ細胞にて産生さ
れる
伊藤直樹
Dept. of Urology, NTT-East Sapporo Medical Center
精巣機能の調節
(視床下部ー下垂体ー精巣系)
精巣機能とは
 精子形成:父親となるために必要
(Fatherhood)

視床下部
欠如した場合-男子不妊症
LH-RH (LH-releasing hormone)
 男性ホルモン産生:男となるために必要
下垂体
(Manhood)

欠如した場合-2次性徴(陰毛発育、外性器発
育、射精、声変わりなど)の欠如、性機能障害
(Erectile dysfunction: ED)
テストステロン
LH (Luteinizing hormone)
FSH (Follicular stimulating
hormone)
精巣
LH:黄体ホルモン、FSH:卵胞刺激ホルモン
精巣機能の発現(思春期)
精巣機能障害の診断
 問診:2次性徴(思春期)の有無、既往歴
視床下部
テストステロン
LH-RH
下垂体
LH, FSH
精巣
いずれのレベルに異常があっても2次性徴が欠如する。
 診察:陰毛、陰茎、精巣、前立腺
 内分泌学的検査
LH, FSH, テストステロン基礎値
LH-RH test: LH, FSHの反応性を見る(下垂体
機能検査)
 hCG test: テストステロンの反応性を見る(精巣
機能検査)



hCG: ヒト胎盤性ゴナドトロピン(LH作用を有する)
 精液検査
1
低ゴナドトロピン性精巣機能低下症(原因)

低ゴナドトロピン性精巣機能低下症
原因


特発性低ゴナドトロピン性類宦官症(視床下部)
Prader‐Willi synd.

視床下部からのLH-RH分泌不全、あるいは下
垂体異常でゴナドトロピン(LH, FSH)が分泌さ
れず、結果的に精巣機能が発現しないもの。

Laurence‐Moon‐Biedl synd.(視床下部性)


性腺機能不全(Hypogonadism)、筋緊張低下(Hypotonia)、知能障
害(Hypomentia)、肥満(Obesity),15q11‐13欠損
性腺機能不全、知能障害、肥満、奇形(多指)、網膜色素変性
下垂体腫瘍、頭部外傷(視床下部、下垂体性)
低ゴナドトロピン性精巣機能低下症(症状)
低ゴナドトロピン性精巣機能低下症(検査所見)
 思春期前に発症している場合
 身体所見
思春期徴候がおとずれない(二次性徴の欠落)
 15~16歳になっても声変わり、陰茎増大、陰毛
発育、射精などがない

 思春期後に発症した場合
原因は脳腫瘍、外傷
 性欲の喪失、髭が伸びない、勃起・射精障害

低ゴナドトロピン性精巣機能低下症(治療)
 目的:Manhood,
fatherhoodの獲得
 ゴナドトロピン補充療法が基本
LH-RHの持続皮下投与
 LH(hCG)+FSH併用療法(週に1~3回の皮下
注射が必要)


陰毛欠如、矮小陰茎、小さな精巣、前立腺はほと
んど触れない
 内分泌所見
LH, FSH, テストステロンは測定感度以下
LH-RH test:多くは視床下部性であり、理論的
には反応するが、LH, FSHの上昇は不良
 hCG(LH作用) test: 反応するがテストステロン
の上昇は不良


低ゴナドトロピン性精巣機能低下症(治療)
 テストステロン補充療法
ゴナドトロピン療法に対する反応性が悪い場合考
慮する
 Manhoodを早急に獲得することは患者のQOL
向上にきわめて重要である(テストステロン補充
を行うと、急速に声変わり、髭などが出現し、男ら
しくなる)
 骨端線の閉鎖を促進するので、身長発育には十
分注意する。

2
高ゴナドトロピン性精巣機能低下症
 Klinefelter症候群
高ゴナドトロピン性精巣機能低下症
 原発性精巣機能不全
 Mumpus精巣炎
 薬剤性(抗癌剤)
精巣機能に異常があり、視床下部・下垂体への
フィードバックがかからず、ゴナドトロピンが上昇して
いる病態
 放射線への暴露
 男子不妊症
高ゴナドトロピン性精巣機能低下症(症状)
高ゴナドトロピン性精巣機能低下症(治療)
低ゴナドトロピン性精巣機能低下症ほど男性化徴候
が全く欠落することは稀。
 症状は男性ホルモンの産生能障害の程度による
 男性ホルモンがある程度維持されていると、全く症
状がなく、不妊症に対する精査中に偶然発見される
こともある
 テストステロン補充療法
Klinefelter症候群
抗癌剤投与による精子形成能障害



染色体:47XXY(2本以上のX、1本以上のY)
約800人に1人
種々の程度の類宦官症、小さな精巣、女性化乳房、
不妊症(無精子症)、悪性腫瘍(乳癌、精巣外胚細
胞腫瘍)
 テストステロンは低下~正常、LH FSHは上昇
 診断は染色体検査(要informed consent)


治療:男性ホルモン補充療法、精巣内精子採取術
(Testicular sperm extraction: TESE)
テストステロンデポー剤(2-3週間毎筋注):日本
で最もよく使用されている
 経口剤:肝機能障害の少ないものは未承認
 経皮剤(パッチ、ジェル):日本では未承認

 ゴナドトロピン補充療法は当然無効

生殖年齢男性に対する抗癌剤治療

精巣腫瘍、白血病、悪性リンパ腫
抗癌剤投与中は全例無精子症となる
 治療後、精子形成は回復するが、回復の程度は治療
前の状態に依存する
 治療後1年間は避妊したほうがよいとされている
 小児に対する抗癌剤治療の将来的な妊孕能への影
響は不明

3
男性ホルモンの作用臓器
男性更年期障害
女性では閉経期に女性ホルモンが急速に低下し、
ほてり、イライラ感などの特有の症状が出現
 男性にも更年期障害はあるのか
 LOH (late‐onset hypogonadism)症候群
脳


男性ホルモン低下により引き起こされる生化学的症候群

最近メタボリックシンドローム、死亡率と男性ホルモンとの
関係が明らかとなりつつある
筋肉
心血管系
腎臓
肝臓
骨
陰茎、精巣、前立腺
男性ホルモン低下により出現する症状








性欲低下、性機能低下、射精消失
不妊
抑うつ、注意力低下、イライラ感
筋力低下、骨密度低下
体毛減少
倦怠感、調子が悪い
女性化乳房、ほてり
記憶力、認知力低下
加齢に伴う血中遊離テストステロンの低下
30
25
20
Free
testosterone 15
(pg/ml)
10
5
0
0
20
40
60
80
100
年齢(歳)
血中testosteroneと諸症状
Bone
血中テストステロン低下は死亡率増加と関係する
40歳以上、退役軍人858例
2回のテストステロン値で3群に分ける
Bone loss
Body composition and strength
TRTによるlean body mass 増加、fat mass 減少
Physical function
Frailty
Cognitive function
(plausible)
Mood and depression
(plausible)
Sexual function
Sexual dysfunction
Health-related QOL
(plausible)
Cardiovascular disease
Risk factor
Metabolic syndrome
Testosterone
(ng/dl)
<250
DM, insulin resistance, W:H ratio,
(Testosterone and aging: what have we learned since the Institution of Medicine report
and What lies, ahead? Int J Clin Pract 61: 622‐632, 2007.)
250<
●●
Normal
Equivocal
●
Low
●●
HR
●
1
1.31
1.68*
(Arch Intern Med 166: 1660-1665, 2006)
4
不妊症とは


男性不妊症

-病態、診断、治療について-


1排卵周期に妊娠する確率は15%。
1年後には85%で妊娠する。
夫婦の妊孕性が低下すると1排卵周期あたりの妊
娠率も低下する。
不妊期間が長いほど子供はできにくい。
原因は夫、妻、両方の要因、原因が明らかでない場
合もある。
Dept. of Urology, NTT-East Sapporo Medical Center
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精巣機能とは
不妊症の原因(WHO 1996)
(精巣の模式図)
男性のみ:24%
不明:11%
女性のみ:41%

精子形成




精細管にて形成される
精細胞が分化・増殖する
セルトリ細胞に支持される
精細管
間質
男性ホルモン(androgen)産生

間質にあるライディッヒ細胞にて産生さ
れる
男女両方:24%
Dept. of Urology, NTT-East Sapporo Medical Center
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精子形成
成熟しつつ内側
へ進んでいく
男性の内性器
精原(祖)細胞
(精液の産生)
精嚢(70%)
前立腺(30%)
精母細胞
精子細胞
精子
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(精子形成と精路)
射精管
精管
精巣上体
精巣
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5
男性不妊症の原因

無精子症(閉塞性・非閉塞性)

乏精子症

精子無力症

膿精液症



精子が少ない

精子の動きが悪い
500g 15分間遠心

閉塞性と非閉塞性とに分けられる

精液が出ないのは違う病気、、、、(射精感はあるの
に、、、)

勃起しない
射精障害

多くの場合、精液量は正常(2.0ml以上)だが、精液
中に精子が認められないもの
遠心分離し、沈渣に精子が認められないことを確認
する

精液が感染してる
性機能障害



精子がいない


無精子症とは
精液がでない、膣内射精できない
病態は全く異なるので鑑別診断が重要
Dept. of Urology, NTT-East Sapporo Medical Center
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閉塞性無精子症






閉塞性無精子症に対する治療
精管精管吻合術
精巣での精子形成は正常だが、精路の閉塞、欠損があるもの
精巣容積は正常
血中FSH, テストステロンは正常
精管の閉塞
 精管結紮(パイプカット)後
 鼠径ヘルニア術後
 射精管閉塞(精液量も減少、1.0ml以下)
 精巣あるいは精巣上体レベルでの閉塞
精管の欠損
 先天性両側精管欠損症
外科的に治癒可能な場合が多い
精管:内腔が狭い
内腔:10-0ナイロン、6針
筋層:9-0ナイロン、6針
非常に難しい
片側2時間(切るのは5分)
Dept. of Urology, NTT-East Sapporo Medical Center
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閉塞性無精子症に対する治療
閉塞性無精子症に対する治療
経尿道的射精管開放術

先天性両側精管欠損症



切開中
(精液が出てきた)
精路再建は不可能
精巣内精子採取術(TESE)しかない
採取した精子を用いて顕微授精(ICSI)行う
開放後
Dept. of Urology, NTT-East Sapporo Medical Center
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6
非閉塞性無精子症






精巣での精子形成が不良のため
精巣容積が小さい
血中FSHが上昇、テストステロンは正常
Y染色体の微小異常が認められる場合が多い
クラインフェルター症候群も疑う
 精巣容積は非常に小さい
精巣内精子採取術 (TESE) を行う
 精子が得られた場合は顕微授精 (ICSI) を行う
精巣機能の調節
(視床下部ー下垂体ー精巣系)
視床下部
LH-RH (LH放出ホルモン)
フィードバックが
不十分
(フィードバック)
テストステロン
インヒビン↓
精子↓
下垂体
LH (黄体ホルモン)
FSH (卵胞刺激ホルモン)↑
精巣
Dept. of Urology, NTT-East Sapporo Medical Center
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精巣内精子採取術
(Testicular sperm extraction:TESE)



1. 精索に麻酔
2. 穿刺部位に麻酔
3. 精巣を穿刺
4. 圧迫止血
Needle TESE

Needle TESE
局所麻酔、日帰り
片側、無作為に穿刺、15分程度
Microdissection TESE (MD-TESE)
腰椎麻酔下、2泊3日
両側、顕微鏡下
 太目の精細管を探す、1-2時間


Dept. of Urology, NTT-East Sapporo Medical Center
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TESE連携施設
MD(microdissection)-TESE
NTT東日本札幌病院
エナレディースクリニック
(10.8km、8例)
顕微鏡下
精巣を陰嚢外へ脱転
白膜を切開
太い精細管をさがす
札幌東豊病院
(4.5km、20例)
神谷レディースクリニック
(1.9km、82例)
札幌医科大学(0.1km、3例)
アップルレディースクリニック
(2.0km、2例)
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7
Micro‐TESEにおける生検病理所見と
精子採取率との関係
Micro‐TESEでの血中FSH値と精子採取率
(%)
(%)
4/4
(100%)
7/7
(100%)
4/6
(66.7%)
7/20
(35.0%)
4/12
(33.3%)
6/26
(23.1%)
2/8
(25%)
5/24
(20.8%)
13/56
(23.2%)
0/6
(0%)
FSH (mIU/ml)
(2013/11/16 第58回日本生殖医学会学術講演会)
考案
精子形成
成熟しつつ内側
へ進んでいく
精原(祖)細胞
• 精子採取予測因子
– 年齢、Klinefelter症候群、停留精巣の既往
(Ramasamy R, et al. J Urol 189; 638‐642, 2013)
精母細胞
• Sertoli cell onlyでの精子採取率
報告者
精子細胞
Okada, et al.
精子
採取率
33.9%
Tsujimura, et al.
22.5%
Ramasamy, et al.
41.4%
Hussein, et al.
28.6%
本研究
23.2%
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乏精子症





一般成人男性の精子数はどの程度か
精子数が少ないもの
WHOによる正常精液所見
 精液量
2ml以上
 精子濃度
2000万個/ml以上
 運動率
50%以上(直進精子25%以上)
精索静脈瘤が原因の4割を占める
精巣容積は正常か若干小さめ
FSHは正常か軽度上昇
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(万個/ml)
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8
ー精索静脈瘤ー
一般成人男性に無精子症、乏精子症は
どの程度いるのか?

男性不妊症の約4割に認められる

90%は左側
グレード分類
(%)
妊孕能を有する男性でも1割に認める(ほとんどグレード1)


グレード1:立位かつ腹圧をかけると認める
グレード2:立位で認める
グレード3:臥位で認める





治療による精液所見の改善:約70%
治療による妊娠率:40-50%
最近の臨床研究では1年後の妊娠率が手術群で60%、非手
術群で10%
Dept. of Urology, NTT-East Sapporo Medical Center
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手術前後での精子濃度、精子運動率の比較
精索静脈瘤に対する顕微鏡下低位結紮術
(術後3ヵ月以上経過例:術前術後平均値の比較)
精子濃度
(x106/ml)
P<0.001
精子運動率
(%)
32.1
p=0.019
33.8
+10.4
23.4
+21.7
10.4
低侵襲手術である
再発が少ない
リンパ管の温存が可能である
手術時間:60-90分
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妊娠率
術前後の精子濃度と妊娠との関係
不妊症例55例中、術後3ヵ月以上経過し、フォローできた33例
(x106/ml)
妊娠率:63.4%
自然妊娠
6例(18.2%)
AIH
5例(15.2%)
自然妊娠
AIH
ICSI
なし
術後精子濃度
なし
12例(36.4%)
●
●
●
●
IVF ICSI
10例(30.3%)
術前精子濃度
(x106/ml)
9
乏精子症に対する薬物治療は有効か?

内分泌療法







定義 (WHO):精液1ml中に100万個/以上の白血球の存在
原因:前立腺炎と考えられるが、会陰部不快感、排尿痛、頻
尿などの有症状者は少ない
白血球が産生する活性酸素 (ROS)が妊孕性・運動率を低下
させるとする説があるが明らかではない
原因菌:マイコプラズム、クラミジア
治療
 ニューキノロン薬、ST合剤、テトラサイクリンなど4週間
 精液所見の改善:40-80%
 治療による妊娠率の向上は不明

hCG +/- hMG
クエン酸クロミフェン(クロミッド)
男性ホルモン
アロマターゼ阻害薬
DB (-)
DB 有意差なし
DB (-)
DB 有意差なし
非内分泌療法

膿精液症



カリクレイン
ビタミン B12(メチコバール)
漢方薬
DB 有意差なし
DB 有意差なし
DB (-)

DB:double-blind study(二重盲検試験)
乏精子症に有効な薬物療法はない
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男性不妊症例における性機能障害
性機能障害
(東邦大学 2,147例)

精索静脈瘤
(21.4%)
閉塞性無精子症
(3.3%)
その他
(4.0%)

心因性(機能性)、器質性
EDを有する男性不妊症例:ほとんど心因性であろう
乏精子症・非閉塞性無精子症
(42.4%)






子どもを作ることへのプレッシャー
タイミング法「今日あたり排卵日だからしっかりね、、、、」
AIH:「一杯出してね、、、、」
子どもができないことへの不満を聞かされ、、、、
帰宅が恐怖に、、、
性欲(対妻)も低下、、、、
勃起障害
(28.9%)
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男性不妊症における射精障害
性機能障害に対する治療

フォスフォジエステラーゼ type 5阻害剤






バイアグラ:食後は効果減弱、行為の1時間前服用
レビトラ:高脂肪食の影響受ける、 1時間前服用
シアリス:36時間作用、食事の影響受けない



不妊治療のプレッシャーを減らすことが大切

現実には難しいかも、、、、
逆行性射精


膣内射精障害



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射精感あるが、精液が出てこない。膀胱側へ射精される。
病態:膀胱頸部機能不全
DM、脊髄損傷、骨盤内手術
治療:抗うつ薬(イミプラミン)
ハッチキス法:マスターベーション後に膀胱内精液を回収
妻とのsexで射精できない
近年、急増している(タイミング法が契機)
マスターベーション方法の誤り
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10
男性不妊症診療の特徴






肉体的健康を害する疾患ではないが、精神的・社会的に重
大な問題。
不妊症診療に対する熱意、治療選択は夫婦の人生観によっ
て異なるため十分なInformed consentが必要。
仕事が忙しく、来院しにくい。
妻の情報も重要(問診表で確認)
性生活の情報も重要。たまにセックスレス夫婦もいる。ED、
射精障害も十分確認する必要がある。
非閉塞性無精子症では遺伝子異常が関与している可能性
がある。遺伝カウンセリングも重要である。
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ART時代






ART: Assisted Reproductive Technology
補助生殖技術
具体的には顕微授精
極論を言えば1匹の精子で妊娠可能
保険外診療のため非常に高額(補助あり、しかし百万
円単位の出費を覚悟)
ART時代の泌尿器科医の役割は??
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ART時代における泌尿器科医の役割






閉塞性無精子症に対する精路再建術
非閉塞性無精子症に対する精巣内精子採取術
(TESE)
精索静脈瘤に対する根治術
性機能不全 (ED)に対する精査・治療
逆行性射精患者での精子回収
男性不妊症患者に対するカウンセリング
外科的治療でARTをもっと回避できるはず!!
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