1 ライン確認整備士からのメッセージ ì 「人間の (俺の)体は機械ではない!」 航空整備士の過労死裁判をめぐって ・スカイマーク社、航空整備士 猪又さんの 労働災害の実態を訴えるホームページです。 ・私たちは、不規則な交代制で働き倒れた多 くの仲間の労働災害が認定され、このような 不幸な事件を再発させない社会が作られるよ う、この問題を訴えます。 『猪又労災裁判を勝利させる会』 2015年2月 2 労働災害が認められない構造 労働時間の量だけを尺度にした認定 ◆労働災害の申請→棄却(認めない)理由は ì ①時間外労働時間が認定基準に比べ少ない。 ì ②猪又さんが受けていた精神的・肉体的スト レスの大きさを「普通にある程度」と過小評価 ì ③交代制(シフト)勤務の健康に与える悪影 響を過小評価 ì ④もともと血圧が高く、業務とは関係なく自 然に発病した 3 色々な作業を担う航空整備士の日常の一例 出頭:引き継ぎ。担当す る飛行機にかかる一連の 作業内容を確認 指定作業の処理記録をコ ンピューターに入力し朝 の到着便、出発便の点検 確認作業 到着便受け入れと、翌日 の就航開始までに、指定 された修理、部品交換な どを含む整備作業 到着便の受け入れと飛行 間整備。或は/更に定期便 の出発前整備作業など。 整備作業の記録をコン ピューターに入力。 4 猪又さんが受けていた精神的ストレス 重大人身事故に直結 する複雑な構造に取 り組む整備作業 飛行機の安全(生 命・財産を守る事) を確認する責任の重 大さ 「事故発生」への不 安 時間的制約の中であ と回しできない作業。 一方、社会的要請で もある定時運航の実 現は大きな負担。 SKY社ではギリギリ の人員での作業に加 え、後輩の教育も担 い作業中目を離せな い整備作業 過大な精 神的スト レスに 機体の損傷や故障に よる欠航、遅れなど は会社にも、社会に も重大な損失。 5 日勤の事務作業者と大きく異なる 肉体的ストレス 勤務開始・終了が不規 則。徹夜もあり良質な 睡眠を得られず食事時 間も不規則 屋外作業で の強風、降 雨、降雪の 厳しい環境。 エンジン音 などの強烈 な騒音にも 重量物の扱 いや高所作 業などで緊 張感伴う重 労働を強い られる作業 猛暑、極寒での屋外作 業。北海道千歳空港へ の出張業務も多かった 6 相乗的に過労状態に陥った 疲労回復条件は限りなく削られ 良質 疲労の負荷は幾重にも な睡 休養 の条 眠 件 肉体 的負 荷 高血 圧症 悪化 の 7 猪又さんの倒れるまでの経過 ì 航空整備士の猪又さん は、航空会社スカイマーク社に勤務し、航空整備士の業 務に従事していましたが、2008年(平成20年)6月28日、自動車で通勤する途中、 自家用車の中で、脳動脈瘤破裂に伴うくも膜下出血を発症しその後、亡くなりま した。 ì 猪又さんは35年間、航空整備士として働き、2000年12月に全日空からスカイマー ク社に移籍し7年半後でした。当時53歳でした。 ì (風雨に曝され温度差が激しい)屋外作業・(仮眠のない)深夜長時間勤務・千 歳空港への繰り返し出張など厳しい労働環境に耐えながら、担っている重大な責 任をまっとうしようと働いてきました。 ì コスト削減を最優先とするこの会社で、切り詰められた人員の中でさらに、ほ とんど毎日のように航空整備経験が非常に乏しい若手 後輩の指導を担いながら、 航空機の安全を支え、ライン整備の責任を一手に引き受けて働いていました。 ì こうした大きなストレスに加え、深夜交代勤務による疲労を抱えながら体調を 崩し夜勤のない日勤勤務を希望したにもかかわらず、その希望が叶えられた期間 は一月と続かず、 再び夜勤を指示され、その直後に発病し亡くなったのです。 8 くも膜下出血は整備作業のストレスと 疲労が回復できない状況で起きた ì 労基署は、そもそも猪又さんが高血圧症で脳血管に変形 が生じていたために発症したもので仕事との関係はない との主張をしています。 ì 本当にそうでしょうか??? *猪又さんは高血圧とは言え、2年前まではコントロールさ れ健康を保っていた。 *破裂し出血した血管の瘤(こぶ)変形(※)は通常のストレ スでは破れない程度のものだった。 *次が発症に至るプロセスです。 ※大きさは4.8〜3.4mmであった。 9 不規則な勤務で疲労が進行、 業務のストレスで血圧上昇 労働の実態と経過を見れば、発症と仕事に明らかに因果関係が 本人が避けた 責任の重い、 かった夜間シ 資格者であり、 フト勤務が継 少ない人数で 続。血圧が上 過重な業務量。 昇傾向へ。 良質な睡眠を 奪われた結果、 血管修復が間 に合わず くも膜下血管 変形部分が絶 えられず出血 10 格安航空会社で何が起きているか ì 飛行機の運航体制は、脆弱です。 <事例> ・・・予備機が無い。整備確認資格者数が大手 航空会社に比べ圧倒的に少ない。 ・・・社内の技術教育体制が貧弱で技術者が育 たない。 ・・・故障修理時に必要となる部品数が少ない。 ・・・大手であれば格納庫内の作業が屋外で。 ì 現場整備士、パイロットらはそうした環 境で必死に安全運航を守ろうと努めている。 11 利用者にも考えてほしい! 格安航空会社が抱える影の部分 ì 「LCC拡大」「競争激化」の環境で ì 運航を支える現場は、人員不足、高稼働、貧弱 体制 ì パイロットや整備士、客室乗務員(CA)の労働 安全の確保は、利用者の安全、公共機関として の社会的要請に応えるためにも必要 少数派であっても夜間シフト勤務者の健康問題は社 会全体の課題ではないでしょうか?
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