Nara Women's University Digital Information Repository Title 膠に関する願書資料:「古梅園造墨資料」翻刻と解題(7) Author(s) 六車, 美保 Citation 六車美保:古代学(奈良女子大学古代学学術研究センター), 第6号, pp. 56(19)-49(26) Issue Date 2014-03-31 Description URL http://hdl.handle.net/10935/3616 Textversion publisher This document is downloaded at: 2015-01-31T23:34:42Z http://nwudir.lib.nara-w.ac.jp/dspace 勝に関する願書資料 上白梅園造墨資料 翻刻と解題︵ 7︶| 六車 美保︵奈良女子大学︶ て欲しいと訴えている。また、この資料には貼紙があり、これまでに広東謬を 一匁当り どれくらいの銀の価格で購入していたかが記されている。当時の腰の価格を知る上で貴 重な資料であるといえよう。 泉は八代元孝である。宛名は記されていないが、記載の年号から 当時の長崎奉行であっ 資料 二は、寛政 二年︵ 一七九O︶の年号があることから、資料に−記されている松井和 古梅園の造墨関係資料では 、 これまで製墨に関する歴代当主の考察やその考察を基 た永井筑前守直廉︵在職期間 一七八九| 一七九 二︶が考えられる。 この 書状には 、古 ︶ て、ほぼ定型化した文 言になったことが見てとれる。 O ︶ 資料三と資料四は 、同じく穆購入に関する願書 であるが、資料 一、資料 二の時代を経 は、政治手腕だけでなく人格も優れていたと伝えられている人物である ︵5 斤の惨を、落札価格に 二割増しした値段で購入したいと記されている。萩原伯番守美雅 梅園に対して広東勝の購入を初めて認めた萩原伯者守美雅の名を挙げ、これまで通り千 にした 、長崎に来航した来舶清人への問答などが明らかになっている ︵1 O本稿では 、 古梅園造墨関係資料の第七として 、勝に関する願書資料をとりあげる。 製墨に欠かせない材料である惨を古梅園はどのように入手していたのか 。そのことが ︶ 最初に分かる記録は、﹃古梅園記録﹄に−記されている ︵2 O﹃古梅園記録﹄巻之 二による と、元文五年︵ 一七四O︶、六代当主である松井元泰が、 二年前に長崎に来舶清人を訪 ねて問答した際、来舶清人から譲り受けた謬が製墨に適していたので、今後御用墨と家 資料四は、 書状端裏書 により、文化十四年︵ 一八 一七︶に長崎奉行筒井和泉守政憲宛 資料三は、八代元孝から長崎奉行牧野大和守成傑︵在職期間 一八 二二||一八 一五 原伯者守美雅︵在職期間 一七三六| 一七四 ︶に願い出た 。 この元泰の願いは翌寛保 二 一 一元年︵ 一七四 一︶には許可されていたことが、記録に見える。以上のことから、元文玉 てに提出した願書と考えられる。 ただ、文化十四年は、 元孝が逝去した年であるため 、 製墨には広東謬を用いたいので購入したい旨を、加藤遠江守を通して長崎奉行である萩 年︵ 一七四O︶よりも後に造られた古梅園の 塁には、広東腰が使用されている可能性が 提出したのが八代元孝か九代元誼であるかは判然としない 。 本稿では、古梅園では六代元泰が幕府の許可を得て長崎に出向き、来泊清人との問答 J IV (19) に文化十 一年︵ 一八 一四︶に宛てたものである。 高いといえよう︵3る また、﹃古梅園記録﹄巻之四では、長崎奉行新見加賀守正栄︵在職 一七七四︶に、広東惨を落札価格の 二割増しの値段で購入したい旨を を行った 二年後の元文五年︵ 一七四O︶以降、製墨には輸入品である広東惨を使用して 期間二七六五 ﹃古梅園記録﹄巻之四の著者は七代当主である松井元 ︶ いたこと 、また製墨に広東惨を用いていたことは七十七年後の文化十四年︵ 一八 一七 ︶ O 葉 であり、また長崎奉行新見加賀守正栄の在職期聞から考えて、この 書状を 書 いたのは まで継続して行われていたことを明らかにした 。この時期、古梅園で使用していた謬は、 日本国内で調達していたのではなく、海外からの輸入品であったことは、 当時の経済や 願い出たことが記されている2 一冗葉である。 今回、翻刻した資料四紙は、記載された年号から 、八代当主であった松井元孝が活躍 流通、動物利用を考える上で特筆すべき事であるといえる。また 、江戸期の製墨に用い なく、製墨を考える上でもその歴史的価値は極めて高いといえよう。広東腰の輸入をど した時代を中心に、広東惨を購入するにあたり、歴代の長崎奉行に願い出た 書類の控で 資料 一は、天明 三年︵ 一七八 三︶に八代元孝から長崎奉行土屋駿河守守直︵在職期間⋮ のような経緯で萩原伯者守に願い出ることになったのか、その詳細について六代元泰は る修の入手経路が明らかになったことは、当時の 一商家の活動が明らかになっただけで 一七八 三| 一七八四︶に提出した願書 である。これまでは長崎奉行が了承した落札価格 ﹁崎陽記に委﹂と記している ︵6E 今後古梅園資料の翻刻が増えることを待って検討し あると考えられる。 にさらに 二割増しした値段で購入していたのが、近年価格が高くなっているので、先の 10 − ナ F 長崎奉行であった石谷備後守や新見加賀守が在職していた当時と同じ適切な価格にし 5 6 [ 凡例] 一、翻刻に際しては、以下の 事項を除き、原本の表記に従うことを原則とした 。 天明三年八月七日付土屋駿河府嘆願書﹂ ﹁長崎方用書 一紙。未装丁。椿紙。 一紙。未装丁。椿紙。 A5 ∞ の自×コ − AFの 自 端裏書。 ・ 一、上部に底本の画像を掲載し、該当の翻刻を下部に記した。 一、翻刻者による注記は︵︶を付して記した。 一、判読困難な箇所は口で示した。 一、字問 ・行間 ・改行については原本の体裁に従わなかったところがある。 一、 旧字 ・異体字 ・精濁 ・改行は原則として本文通り記した 。 ﹁広東勝頂戴願下書﹂ ﹁広東修頂戴願下書﹂ 5・ ・ ∞の Nの A 自×ロ 自 ﹁広東惨買上願書付の控﹂ 一紙。未装丁08 ・ PE×お−Nの B 書状 一紙。未装丁。ピ −PE× 常B 貼紙5 f 日 0・ rE ・ E× NAF − 各資料の 書誌は以下の通り。 資料四 平 成 幻 年 度j平成 異分野融合による方法的革 松尾良樹 ・的場美帆 ・松尾譲見﹁古梅園造墨資料﹂﹃文化財に含まれる惨の自然 科学的分析による古代文化史および技術史の解明 新を目指した人文 ・社会科学研究推進事業 研 究 成 果 報 告書 研究代表者宮路淳子﹄ 二O 一一年 基盤研究︵ B︶研究成 大谷俊太﹁奈良古梅園所蔵資料の目録 化と造 墨事業をめぐる東アジア文 化交流 お年度 ︶ 科学研究費補助金 (2 0 ) 註 ︵ ﹃ 二O O九1 二O 一一年度 の研究﹂ 資料 ・解題編] 果報告書 2[ ﹄ 二O 二 一年 二O O五年 鈴木康子﹁長崎奉行萩原伯者守美雅元禄時代の貨幣改鋳から寛保期の長崎貿 前掲註︵ 2︶ 勾 頁 お 頁 ︶ 前掲註︵2︶日頁 2 ︵ 易政策までの軌跡﹂﹃花園史学﹄第 二六号 前掲註︵ 3 江戸時代 なお、歴代長崎奉行の在職期間等 については 、﹃国史大辞典﹄︵吉 川弘文館︶を参 照した 。 参 日 キーワード 古梅園 里 ニ主二 5 3 5 5 資 料 資 料 資 料 1 4 6 b M U矛均 仇 、同 L 7A Fq 93 々 れjZ ゆみ??之同 内引の Lι也あ hfJ dJ rほ 哩ゆ九品工 旬、a 作jr で rMk T 2 zル勾市f q てヘ y 命符 J m そ 円 司 ﹃ 、〆tE U EU tvL圃 叫 喧 ・ 1 & 引 がL 4 14 h f4 す符k亀 ? 91伶ιaZ仏 市 ヴMJKZね 命トA号、タがすて 万btj令公え 43乃ル机内ゼ仇弘、ト 尺吟4ゆ抗争ふん咋 JVZ y p d長 ?の九防車Z A判官。 チ令市 −天 $A8巧htA42キ布佐官伊丹守町内F え ’? 1 人4 piybh与 ア2礼izbmV9 Eろ州 、 、 各印公タけすす2? d句会実バ印判官 ifpq w ぷ今 41品j リM 4 u − 芸 乃争処i 代 hmれザ今必島中ヘfM州f 制州 b 4 プ糾サリω −場陀雌門扮呼研都円子付 応 ク符 Mね えdlh144 ‘71 傘r円安沼署崎北芝山一宏容 州 市川ず品川叫ん斗A mLL んほど一広・古川代 − 叶 − ヲもh 同地t tセ 乍恐奉願上候 一贋東腰持渡り頂戴仕候節御直段 先年広 一斤一一付銀四匁宛ニ而御渡し被為 成下候庭石谷備後守様新見加賀守様 御在役之瑚御内々被仰渡候ハ落札直段一 一 二割増を以御願申上候様被仰付候而承知仕 罷在候御存知之所ハ前年之通直段ハ九四匁 位ノ事可有御座候而四匁一一武割増一一仕候てハ 四匁八分一一相成候義と被存罷在候慮落札 直段如何仕候哉八匁壱分一一御聞候故右一一武割増 を以九匁七分頁丁相成り申候左候得者先年頂戴 仕候直段とは格別相増商人広相調申旨 直段広猶更高直一一相成甚難義仕候恐多 仰付被下候ハ\千万 御願一一御聞候得共何卒先年被為下置候 御 直段位一一市頂戴仕候様被為 難有可奉存候則先年頂戴仕候直段左 ニ 奉 申上候 ︵貼り紙︶ 右之通一一御座候得者何分宜鋪御聞済被為 成下候様呉々奉願上候以上 御用御墨師 天明 三葵卯 年 松 井 和 泉 八月七日 土屋駿河守様 御用人中様 御用人 宮野藤十郎殿へ向 此願書差出ス (21) . zr ゐZ L f ’ ・ふ/正経宮品店叫 −A ~r 5 4 資 料 −q均時 J bb− 市司会 p h円札 rt リ AVi a t −、 平z Fp ’ k l札 4E t 一陣 包ヰ凡 UF岡 ﹄週 dk 覚 寛 延 四 年 未 三番 船 持 渡 奉 頂 戴 候 斤 H 口 贋東開砂 石胃 n + ; −武 百 九 十 三斤 四百四斤五合 代銀壱千六百拾八匁 一斤一一付四匁口 一 宝 暦三年酉十四番船持渡頂戴被下候 代 銀 七 百 七 十東 匁 一斤ニ付四匁口 一 宝 暦 三 年 酉 一番 船 持 渡 頂 戴 被 候 代銀八百八十武匁 斤 在出入ノ分 (2 2 ) ほFF − 一 内 2 品行 叫事プ ゆ凶 守 孔 有 kr h F S 5 3 資 料 ー’ 司 − 内1凧 t い 吟 負 す よ 崎市 IR 川??々木巧 vah 仏 孔’た点 、古?名小島町ム喰 [ 差今 、 写桜必殺す 萩信句キ与は旬 4茶 巾 門 町‘ ρ ム可持kt tロ η小、剥 けtr 情司 h W 1お 判 湖1 hゐ d 威 、T 恨 ミ 町六ス、4q 内向.ゐ 却水・行抹 2 fJ1 、Ji ︵ノ 乍 恐 以書 付奉願上候 成下候一 一 付其後御代々 萩原伯香守様江御願申上候所 一御 用 墨井 家 製 唐 方 墨ニ 用 申 候 贋 東 謬 之儀先年 御聞届被為 御 奉 行 様 江御 願 申 上 候 持 渡 之 節 頂 戴 仕 候 ァ 一 一 右一貫東勝年々相用残少一 一者 一相成候一 付恐多御願一 御買被為 御座候得共嘗節持渡御座候ハ\千斤前々之通 商 人 落 札 直 段 ニ武 割 増 を 以 為 松井和泉 仰付被下候ハ\ 仰 付 被 下候様 ニ奉願上候若又嘗時持渡無御座候ハ\ 江 渡 来 之 節 持 渡 候 様一 一唐 人 被 為 成下候ハ\千高難有仕合可 難有仕合奉存候右之趣 御聞届被為 奉存候以上 寛 政 二年成十月十五日 (23) / ノ / t h応 tた善命令 ヤ マi f AS74 ~ 5 2 4 kh則 市 人 為 的 貿 バゆ μ町 、 寸 J 2 - , 兵 陪a 民地一ゅー古島’有 、 H 司ソ tJq B 庁− 寸q宥 tL4−− ・ ゐ人あ礼金 官 T九川浩小品用よ巾万九 Jへ I ¥ J U−− Y ZEty 日 吋 ? 究 / ) ~ h 宵町、白山々人 hh角 怜 守 ほえ / f m1 ノ 司 市有川内心不 Lザ弘A L 議、 ti~ 庁前ゐれ角風下旬?イ高司有官川 糸 ・ ら t 以ム 司 資 料 資料三 V 芯 争被よlV4す −伽刊 Am d 哲也相場 十L 他局忌伊丹 d k 之 脚 本 行 体 内 久氏 i咋 v 内総 fιゆ bお 交付供向ーヅ阿川市哨 ・先キ今行地裁同冶品不京勝 井 l判azp政 相眠4z可 、 ノ 訂 乍恐奉 願上候口上 書 一御 用 墨ニ 相用申候慶東勝 之儀 御 奉 行様御交代之節御願 申上候而拝受仕候儀一 一御座候 先年千斤頂戴仕候慶東謬 一 一 付 年々相用候而残 少一 一相成候 何 卒千斤頂戴仕度奉願候 此段乍恐 奉 願上候持渡之節 一 武割増 先規之通落札直段 一 之直段を以為御買被下候様 奉 願上候恐多御願一 一御座候得共 何 卒早 々 持 渡 候 様 被 為 仰 付 被下候者難有奉 願候右之趣去ル 酉 年 八月 牧野大和守様御通行之瑚茂 御墨所 奉 願上候得共猶又奉 願上候以上 成八月 松井和泉 (2 4 ) e 主再 : 笈 5 1 、 門、井手作﹄,沼教 M 円 負?ね札 ι 町 民T 法手泊料ム 依持府− 令 い主件、税引 え械l温及川 V 品川純伐 に司 r Nb 札 i 華 民 ﹃ういみ門広ヘ’vTゆ作 品切 Y 品 介 拍4仏 一 芯 − 何 芽 子 持ぼ必ずv q l 法処売 f ほt紛糾脅争制作弘的 法 品非八、川 J 政針久 BV− ぜ 休府川通行twkは 手踊明ι 内情﹄椅ヲヘ手拍末以よ 地 川 民\﹁サ 立 資料四 品 。 告 企r,潤 LA守よ宮 ﹃・併点差 z判 明吊申成 品 川来語説的 、 之 政 、 払何亭行総昨夫氏 ー 持岬州側 、 ι?ι 完治加 坪交法依、 t柑漏出島 流 布・ λ 川 崎 綱 試川 えキふ﹁行埼戴 Mf供 h宴 勝 井 j 乍恐奉 願上候口上 書 一御 用 墨ニ 相用申候慶東墨勝 之儀 御 奉 行様御交代之節御願 申上拝受仕候儀一 一御座候様処 先 年 千 斤 頂 戴 仕 候墨 惨 年々相用候而残少一 一相成候間 何卒此度千斤頂戴仕度奉 願候 此段乍恐 奉 願上候持渡之節 仰付 一 試割増 先 規 之 通 落 札直 段 一 之直段を以買受被為 被下候様奉 願上候自然此節 持渡之 墨修無御座候ハ\ 恐多御願一 一御座候得共何卒 早 々持渡り候様唐 人江被為 仰付被下候者難有奉 願候右 之趣去子九月 金津大蔵少輔様御通行之節も 松井和泉 御塁所 奉願候得共猶又奉 願 上 候 以 上 丑八月 (2 5 ) 門、早川・式会﹃ pA枇 行地裁伊kb 崎市伏ぜ松本ぬι県特 防相iH 旬 k 企長作・圭凶作、 ・ え 根’ t 対一 引 市 ︵圭件セ 川 のぞ局長、品作句 ち﹁地点、手撤ムAF a針 仙北 脅 .持政lef府身昨A4 7 局ぇ叩 浮 −a 砂タ計回m −仰K ・他 1 将司 ゑ‘治体今 k A d庁i 作一晶子 hy 内 ?ふ初背1 れ竹d lh V4 ・ぇ, N IiHE ’ K c t縮 川町・曜のを 小J 7hvbp JηJ 斗 Jbr, おk ω ι 奇 可制がうそり叫・1 dA’崎川 1 5 0 資料四︵裏書︶ 付 41 心品’ 貯蓄 hi 御奉 行 筒井 丑八 月差上候願書 (2 6 ) 町 f 1 a内品川品。 4 9
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