原木シイタケ栽培における適品種選定と施設利用に関する試験

原木シイタケ栽培における適品種選定と施設利用に関する試験
大矢信次郎、一ノ瀬幸久、竹内嘉江
設化が急速に進んできている。例えば、平地の人
1 緒言
長野県は南北に長く、また標高差も大きいこと
工ほ だ場でほだ化させる方式、田畑などの裸地で
から、地域によって気象条件が異なり(図-1、
)
仮伏せと本伏せを一貫して行う集中ほだ化方式、
原木シイタケ栽培にも多様な方式がみられる。南
パイプハウスを利用して早期ほだ化を図る短期栽
信の下伊那地方は温暖で降水量が多く、林内ほだ
培方式、ほだ木の移動を省力化するほだ木懸垂式
場での乾シイタケ栽培が中心に行われている。そ
など、栽培方式は多岐にわたっている 2)。
れに対して、上伊那地方から中信・東信・北信 に
本試験では、こうしたシイタケ栽培に関わる情
かけては概して冷涼であり、施設あるいは林内を
勢をふまえ、長野県に適した市販品種の選定を行
利用した 生シイタ ケ栽培が中心に行われている 。
)
¥
うとともに、栽培の施設化がほだ化と子実体発生
こうした地域差がある中で、シイタケ栽培者から
に与える影響を調査した。
なお本稿は、本試験の主担当者であった元当所
は各地域に適したシイタケの品種の選定と栽培技
職員の 一 ノ瀬幸久氏の研究結果をもとに取りまと
術の確立が求められている。
めたものである。
また近年の生シイタケ栽培は、気象条件を克服
するため、あるいは省力化を図るために栽培の施
n
前3
年 2
5
0
0 I
降
間 2
0
0
0
-長野
ロ
・松本
企飯図
十
•
平 1
0
0
0
年
f
轟 5
0
0
6
8
+軽井沢
企
企
x林業総合セント
<
>
:
.
:
。盛岡
司.
ロ静岡
,.
C
1
0
1
2
1
4
1
6
&大分
1
8
年平均気温 (
平年値)
国一 1 年平均気温と年間降水量の関係 3)
2 研究の方法
(長さ 1m 、直径 13~16cm) を使用し、
2.
1 適品種の選定試験
に種駒を植菌した。仮伏せは植菌直後から当セン
3 月中旬
長野県は他県のゾイタケ産地に比べ冷涼で乾燥
ターのビニールハウス内で行い、地上 15cmから
する地域が多く、その条件は当センターにも当て
約 90cmの高さで棒積みとし、ビニールで被覆し
はまる。したがって本試験では、当センターの気
散水管理を行った。本伏せは 6月上旬から人工ほ
象条件下でも比較的栽培しやすい、低温でもほだ
だ場で行い、地上 1
5cmから約 1mの高さで粗い
化しやすく乾燥に強い品種を検索することとした。
井桁積みとし、降雨を含め週 2回程度の散水管理
2.
1
.1 乾シイタケ用市販品種の栽培試験
を行った。 2年目の初夏からは、発生に備え林内
乾シイタケ栽培用の市販低温性品種 (3メーカー、
ほだ場に移動し低いヨロイ伏せとした。以後散水
6品種)について、当センターで試験栽培を行い、
は行わず、秋にはほだ倒しを行って原基形成を促
発生量を比較した 。
し、主に春に自然発生した子実体を品種 ζ とに採
原木は 、 冬 期 に 伐 倒 し即玉切りされた コナラ
取し個数と生重量を記録した。
phu
!
長
{
木
y
イタケ栽培にお ける適品種選定と施設利用に関する試験
その翌年 の95年に発生 の ピークをむかえ、以後発
2.
1.
2 生シイタケ用市販品種の栽培試験
生シイタケ栽培用の市販高温性品種 (5メーカ一、
生量は減少傾向であ った。特に発生量が多かった
1
4品種)について、 当センターで試験栽培を行い、
品種は森 123号 で、ほだ木 1本あたりの 5年間の
発生量を比較した。
発生量 の合計は、雨 子 での採取を 含 め 1kg以上
原木は前述と同様 の コナラ購入原木で、直径 8
であ った
。
93年に植菌したほだ木は、
~12cm 程のものを使用した。種菌は種駒あるい
2夏経過後の 95年か
はオガコ種菌を用い、オガコ種菌の植菌後には封
6・9
7年 はどの品種も
ら主に発生が始まったが、 9
ロウを施した。 ほだ木の育成手順は乾シイタケ用
発生量が少な く、発生のピークは植菌から 5年後
品種の栽培試験と同様である。人工ほだ場での本
の98年となった。合計発生量 はど の品種も 400-
伏せは、植菌後 2年目の初夏あるいは初秋まで行
500g程度で、十分な収量は得られなか った。
い、順次浸水発生操作を行った。浸水時間は約 1
6
92年植菌ほだ木と 93年植菌ほだ木の発生のピー
時間とし、水温が20C
以上の場合はウォータークー
クに 2年もの 差があ った原因は、図 -3に示した
ラーを使用した。
ように、発生時期(4月)の降水量 によるものと
2
.
2 栽培方法と施設の改善試験
考えられた。 92年植菌ほだ木は、 95年と 98年には
0
雨に恵まれたため発生量は増加し、 9
6年は乾燥が
生シイタケ栽培は近年施設化が進み、散水 ・暖
房設備を備えた ノfイプハウス内などで本伏せを行
著しかったため発生量が減少したと考えられる 。
うことによって原木内にシイタケ菌を速やかに蔓
それに対して 93年植菌ほだ木は 、十分な降水量が
延させ、 早期に収穫を得る栽培形態が増加してい
あった 95年にはほだ木がまだ完熟にな っておらず、
る。本試験では、こうした施設内での本伏せ管理
その後ほだ化が遅れ気味で推移した後、 98年の豊
がほだ化と発生量 に与 える影響を調査 した。
富 な雨によ って正常の発生量が得られたものと推
察される。
生シイタケ栽培用の高温性品種のオガコ種菌を
接種し、ビニールハウス内で仮伏せしたほだ木を、
以上の結果か ら、乾シイタケ栽培における春子
異 なる環境のほだ場で本伏せ管理を行い、ほだ化
の発生は、特に散水管理をしない場合には降水量
の進行状況と発生量を調査した。
に大きく影響されることが確認された。そのよう
な中でも、森 123・菌興 115・明治 904などは比較
3 研究の結果と考察
的発生量が多かった 。 ただし、 気象条件によって
3.
1 適品種の選定試験
は同一品種でもほだ化が同じように進まないため、
3
.
1.
1 乾 シイタケ用市販品種の栽培試験
本伏せ中の散水管理を適切に行う必要があると考
92年および 93年に植菌した低温性品種について、
えられた。また、県内の多 くの地域では、発生時
例年から 98年までの 5年間の春子の発生量(生重
期に十分な降雨が得にくいため、発生時期の散水
量)を表 - 1と図 - 2に示した。 92年に植菌した
と乾燥防止対策が特に必要と考えられた。
ほだ木は、 2夏経過後の 94年から発生が始まり、
表 -1 低温性品種の春子発生状況
纏 菌年
9
2年
品種
菌輿 1
1
5 5
1
明 治9
04 6
6
2
1 2
森1
4
森1
2
3 2
2
薗興 1
1
5 5
9
明治9
08 2
8
93年
95年
個数 重量 E
96年
個数重量 g
9
7年
個数 重 量 g
98年
個数 重 量 g
6.
3
1
6
.
5 41
1
8
.
3 3
9
8.
0
2
5.
7
8.
9 1
9
.
4 1
2
2.
7
2
.
3
2
.1
4
6.
3
4
2.
7
2.
5
2
.
0
8
3.
3
8
18
7.
9 1
10 2
7
2
.1
1
.
7 2
2
.
8 6
45.
0
2
.
4 4
5.
9 2
.7 2
0
7.1
0.1
1
.
7 6
1
.8 7
5.
4
5.
2 1
3
8.1
3.
3 4
3.
3
0
0.
0
7
.
3 1
2
.
4 3
3.
4
1
.4 1
5.
7
0.
3
2
.
7 4
3
.
5
O.
8
0.
6
2
.0
O.
4
O.
5
71
.
7
3
5.
9
1
4.
1
8.
9
3
7
.
7
1
7.
1
7
.
9
2.
7
1
2.
8
2.
8
1
.6
1
1
0.
2
1
5.
5
1
5.
2
1
0
8.
3
3
2
0.
5
1
1
1
.
9
3
57
.
1
2
9
0.
3
4
0
0.
0
3
8
9.
3
供試
例年
本数 個数 重 量 g
21 3
1
森1
1
.
9
2
.
5
4
7
.
5
6
5
.
0
森1
23 2
8
森1
4
7 2
8
O
.4
j
主) ほだ木 1本 あたり 、重量 l
立生重量
1
.
6
1
.
4
7
.
5
8
.
9
- 27-
合計
個数重量g
3
2.
2
3
4.
3
7
1
9.
0
7
1
0.
3
2
2.
3 5
2
3.
3
14
7
.
3
47.
0 1
1
2.
8 3
6
8.1
57.
1
1
5.
5 4
2
0.1 5
0
6.
5
1
7
.
0 4
1
7.
1
1
3.
6
1
6.
4 4
長野県林総セ研報第 1
5号
(
2
0
01)
ロ98年
g
1
2
0
0
・ 97~手
図9
6年
1
0
0
0
・
ロ95年
子 8
0
0
実
体 6
0
0
発
生 4
0
0
9
4年
量
2
0
0
。
菌興 1
1
5 明治 9
0
4
森1
2
1
森1
2
3
I菌 興 115
明治 9
0
8
森1
2
1
森1
2
3
9
3年植菌ほだ木
92年値菌 t~ だ木
図 -2 低温性品種のほだ木 1:本あたりの発生量(生重量)
•
E
4
5
0
^ ・ 0
4
0
0
平 3
5
0
生 2
5
0
量 2
0
0
1
5
0
。
5
0
~
L.J
9
4年
4月の降水量
目前1
、250
9
2年植薗 l
まだ木平均発生量
・ 昨 植 菌 防 木 平 時 生量
/¥』、
~
2
0
0
1
0
0
11
I
'
_
二/イ-I
1
.
"r
. +0.1.. .
1
-6│
',' .
9
5年
','
9
6年
9
7年
9
8年
図 -3 春子発生量の推移と 4月の降水量
3
.
1
.
2 生シイタケ用市販品種の栽培試験
9
4年 3月および 9
5年 3月に植菌し、それぞれ
2夏ほだ化させた後の 9
5年 1
0月 ・9
6年 9月に初め
を増やし過ぎないようにすることが必要と恩われ
て浸水発生させた計 9品種の発生量を表 -2と
次に、品種ご とのほだ化状況を 調べるために、
9
4年植菌 ほだ木の中には発生量
植菌から 7ヵ月後のほだ木 の重量減少率を 測定し
が5
0gに満たない品種もあったが、 その 他 の品種
た ( 図 -4)。オガコ種菌を植菌したほだ木の方
は全般的に良好な発生を示した。品種によって ほ
が種駒を植菌したほだ木よ り重量減少率が高かっ
だ化の進行状況に差があるものの 、 2夏ほだ化 さ
たことから 、 ほだ化の進行が速いと考え られた。
せることで安定した収量が得られ ることが確認さ
なお 、最も重量減少率が高かったのは菌興 5
3
5の
れた。
オガ コ種菌
表 -3
'こtjえした。
は、よ り早い時期から浸水を行い 、子実体原基数
た。
0
4
.
8
%
) であった。
表 -4に
、 9
4年 3月に 植菌し、 9
5年 8月下旬に
種駒を用いた森 4
6
8と菌興 6
1
0・6
90は、 発 生個
6-9個とやや少な かったものの 、平均個重
が2
5g以上の大却の子実体が多く発生した。 一方、
オガコ種 簡 を接種した品種のうち森 4
6
5と秋山 5
6
7
は、 9月上旬の発生量が 4
0
0
g以上の集中発生と
以外は良好な発生を示した。 摘薗から 18ヶ月経
なり 、 子実体個重は小さかった。これらの品種で
過したこの時点では、 重量減少率はどの品樟て、も
数は
初めて浸水した新ほだ木の 重量減少率と発生量を
示し た。この年は 梅雨明け後にほとんど降雨がな
く、ほ だ木は乾燥した状態であったが、明 治 7
¥7
。
。
原木 γ イタケ栽培における適品種選定と施設利用に関する試験
次に 、各品種に適する休養期間を調べるため 、
20%以上となった。 30%以上ほだ木重量が減少し
た富士 3
0
5と森4
6
5は特に発生量が多く 、 3
5
0g以
9
6年に植菌した 4品種について、休養日数と発生
6
5は2
0gの平均
上の発生があった。しかし 、 森 4
量の関係を調査した。 9
7年の 6月上旬に初回の浸
0
5はl
1gとかな
個重があったのに対して 、 富 士 3
水を行い、その収穫終了 1
2日後の 7月上旬に 2回
り小さかった。また 、一部の品種では ロー ソク状
目の浸水を行った場合(表-5) は、どの品種で
の奇形子実体の発生が見られ 、品種によっては更
も 2回目の収量は l回目に比べて極端に少なく 、
にほだ化を進める必要があると考えら れた 。
1
2日の休養では原基の形成 ・成熟が不十分である
次に 、降雨と散水による水分管理が、新ほだ木
と考えられた。それに対し 、休養を 2ヵ月程度与
の子実体発生に与える影響を調査した。 9
3年に植
えた場合(表-6) は、 2回目の発生時には 1回
菌した 3品種のほだ木を用いて、植菌翌年の 9月
目と同等かそれ以上の収量が得られ、原基の成熟
の3
0日間雨水を遮断して一切水を与えなかったほ
が十分図られ たと考えられた。ただし 、 森 4
6
5は
0
だ木と、雨水を当て散水管理も行った ほだ木を 1
3
0
0g近い発生量が得られたものの平均個重は小
月に浸水発生させ、子実体の発生量を比較した
さかった。
(
図 - 5)。発生量は 、 3品種中 2品種で散水管理
以上の結果から、比較的ほだ化 が速く 、かっ高
を行った試験区が高く 、 l品 種 は 差 が なかった。
い発生量 を期待できる品種は、森4
6
5・6
0
2・7
6
3、
しかし、散水管理で発生量が増加した 2品種は 、
6
7
等であった。ただし 、 十分ほだ化してい
秋山 5
1回で 4
5
0
gも発生するという著しい集中発生を
るにもかかわらず浸水時期が遅れた場合や、休養
示した。したがって、今回のように植菌から 2夏
期間が長すぎた場合などには、これらの品種は集
経過後の秋に初回発生させる場合は 、極端な集中
中発生し やすく個重が小さくなる傾向があったた
発生を避けるためにある程度ほだ木を乾燥させ 、
め、浸水発生の開始時期や休養期間を更に検討す
子実体原基が増えすぎないようにすることも必要
る必要がある。
と考えられた。
表 -2
9
4
年植菌ほだ木の子実体発生量
品種 / 穫 菌 形状
富士 3
05/オガコ種菌
明治 7
V7/オガコ種菌
明治9
K4/オガコ種種
森4
68/棲駒
森6
02/種駒
供試平均直
本数 径 c
m
1
;
本当り発生 量
重 量g 個 重E
個数
1
3 5
.
8 1
0.
9 1
7
4.
6
1
4 6.
8 1
.4 4
4
.3
1
7 5
.9 1
6.1 2
9
2.
9
1
6 6.
3 6
.4 1
6
3.
8
3
8 5
.
5 2
0.
0 2
7
1
.1
1
6.
0
31
.6
1
8.
2
2
5.
6
1
3.
6
表 -3 9
5
年値菌ほだ木の子実体発生量
品種/種菌形状
菌
興6
1o
/t
l駒
菌
興6
90/種駒
秋
山5
67/オガコ t
l菌
明
治9
K4/オガコ種菌
a465/オガコ 種菌
森6
02/オガコ種菌
{
共 試 本 数 平 均直 発生操作時 期
m
径 c
6
5
1
2
1
7
3
3
3
2
3
2
5
2
2
3
2
8
3
6
3
5
1
2
7
.
6
7
.
5
9
.
7
6
.
5
8
.1
8
.
2
-29-
月上旬
9
月下旬
9
月上旬
9
9
月下旬
月上旬
9
月下旬
9
月上旬
9
9
月下 旬
月上旬
9
月下旬
9
月上旬
9
月下旬
9
1
;
本当 り発 生 量
個 数 重 量E 個 重 E
8
.2
7
.
7
9.
2
8.
6
31
.
5
1
5.
2
1
0.
8
1
5.
5
2
9.
4
1
5.
6
1
7.
7
1
0.1
2
2
4
1
7
7
2
5
3
2
29
4
1
9
2
3
8
1
6
7
2
9
6
4
6
0
2
9
5
3
3
1
1
9
9
2
7.
3
2
2.
9
2
7.
5
2
6.
6
1
3
.
3
1
5.
7
1
5.
5
1
9.1
1
5.
6
1
8.
9
1
8.
7
1
9.
7
長野県林総セ研報第 1
5号 (
2
0
01
)
15%
重 1
2
量
i
戚
; 9
少
率 6
3
0
薗興 5
3
5
図 -4 植菌から 7カ月後のほだ木の重量減少率
表 -4 干天時の子実体発生状況
{共紋本数平均直ほだ木重量 k
g 重量減少
I
まだ木 1
本当り発生霊
径 cm 針重時 H
7年 8月 率 % 個 数 重 量 E 奇形子実体個数
品種
t
.9
1
5 8
.9
1
8 7
1
7 7
.9
1
7 7
.
7
1
9 7
.9
富士 305
明治 7V7
明治 9K4
森
森
465
468
5
0
0
8
.
9
5
.6
6
.
0
6
.
1
6.
3
4.
7
4
.1
4.
7
4.1
4.
7
.2 31
.3
47
2
6.
8 4.1
21
.7 1
0.
0
3
2.
81
8.
6
2
54 1
01
3
5
5
1
1
4
2
5
4
3
8
2
2
7
6
O
4.
3
O
O
9.
9
邑
守
nununU U
内
nu
nunU U
︽
nu
a
u
qd?ι1
・
子実体発生量
-散水管理
ロ雨水遮断
菌興 6
5
0
森4
6
5
秋山 5
6
7
図 -5 雨水遮断による子実体発生量の減少
表 -5 休養を短くした場合の生シイタケ発生量
品種/種菌形状供試本数
465/種駒
763/種駒
森 763/村 .J
f
重菌
秋山 567/種動
秋山 567/村.オ重菌
秋山 550/村・ J
f
重菌
2
6
2
1
2
5
2
4
2
3
1
8
森
森
1回目 (
6月9白
2回目(7月 7日) 発生量
個数
重量 E
包数
7
.6
50
4
.
0
4
.
4
4
.
4
9
.
3
1
8
8.1
1
0
4.
8
1
0
2.
0
9
7
.5
9
6.
5
2
2
6.
7
3
.
3
1
.7
3
.
2
O
.
5
1
.3
2
.
2
重量 E 比 率 %
51
.9
3
4
.8
5
5
.
6
8
.
8
21
.7
4
2.
2
2
7
.6
3
3.
2
5
4
.
5
9
.
0
2
2.
5
1
8.
6
注)発生量比率は 1回目の重量に対する 2回目の比率
表 -6 休養を 2ヶ月程度とした場合の生シイタケ発生量
1回目
個数重量
品種/極 菌 形 状 供 試 本 数 休 養 日 数
森 465/種駒
~763 /種動
~763 /村 .
J
f
量菌
秋山 567/種駒
秋山 567/村 .
J
f
量菌
秋山
;
主)
550/村.J
f
重菌
1回目の浸水は 7月上旬
1
6
1
4
7
1
3
1
5
1
3
下旬、
E
2回目
個数重量
発生量
E 比率 『
2
73
.1 1
8.
5 2
9
3.
8 1
07
.6
1
9
8.
6 1
5.
5 3
2
5.
0 1
63
.7
2
3
5.
0 1
.2
3
.
0 1
9
5.
7 97
0
8.
5 1
1
0
8.
5 1
7
.2 2
9
2.
2
8
5
.3 7
.9 1
6
4.
7 1
9
3
.
0
3
7
6.
9 1
3
.
5 3
0
6.
9 81
.4
2回目の浸水は 9月中旬 -10月上旬に行った 。
7
0
4
5
5
8
7
0
5
9
5
9
1
6.1
8
.
2
1
0.
8
4.
2
3
.5
1
5.
8
nu
qu
1
京木シイタケ 栽培に おける 適品種選定と施設利別 に関 する誠験
る短期栽培方式で 、本伏せ場所の検討を行った。
3.
2 栽培方法と施設の改善試験
9
4年 3月に 3品種のオガコ種菌を値菌したほだ木
本伏せ管理場所がほだ化 と子実体発生に与える
影響 を調べるため 、当センタ ー内の異なる 5ヶ所
を当 セ ンターのビ ニールハウス内で仮伏せした後、
で本伏せ方法を検討した。 9
3年 3月 に 森 4
6
5を植
専業生シイタケ生産者のパイプハウスと 、当セン
菌したほだ木をビ ニールハウス内で仮伏せした後、
ターのビ ニー ルハウス 、 および当センター の人 工
ビニ ールハウス ・人 工 ほだ場 ・林内ほだ場 ・裸地
ほだ場の 3ヶ所で本伏せを行 った 。 ほだ (
、
Iき本と
A (ほだ木に直接 ヨシズを掛けたもの)・裸 地 B
ほだ木重量減少率の調査は植菌当年の1
0
J
'
J
に行い、
(
50cm上に ヨシズを掛けたもの)の 5ヶ所におい
0月お よび翌年の 6・
浸水発生操作 は植菌 当年の 1
て、井桁積みで本伏せ管理を行い、 ほだ付き率 と
7・8月に行っ た (表 -8、 図 -7
)
。
ほだ木重量減少率は 、当セ ンター の ビニ ールハ
子実体発生量 を調査した。
ウスで本伏 せを行ったものが最も 高く 、次いで生
植菌年の 1
1月 下 旬 の ほ だ 付 き 率 ( 表 - 7)は、
ビニールハウスや人工ほだ場で 本伏せ管理したほ
シイタケ生産者のパイプハウス 、当 セ ンタ ーの人
だ木の方が、林内 ・裸地 で管理したものに比べて
工 ほだ場の順という結果であ った。 ほだ付き率に
低かった 。ハ ウス内での本伏せは野外より高い温
つ いても、人工ほだ場に比べ両 ハウス内の方が高
度が得られるため 、 ホダ化 には好条件と推察され
い傾 向が認められた。野外の人r.ほだ場よ り、 ハ
たが、今回は散水管理が不十分であったと考えら
ウス内の方が有効積算温度を確保 しやすく 、 シイ
れ、 ほだ化の促進は図れなかった。
タケ菌の伸長が活性化 された ものと考えられた 。
続いて 、本伏せ方法と 子実体発生量 の関係を調
子実体発生量については 、品種によ って売 はあ
べるために、植菌翌年の 9月と 1
1月に浸水発生さ
るものの 、 ハ ウス内でほだ化した 2試験t{で 発生
せたところ 、発生量に大きな 差 は認められなかっ
量が多かった。 3品種の平均で比較すると 、生シ
。 この時点では 、ほだ付き率
た(表 -7、図 -6)
イタケ専業者の ほだ木は初回の発生量が特 に多 く、
を調査した植菌 当年の 1
1月から 1年近く経過し 、
ほだ化 が最も進んでい た と推察された。
以上の結果か ら、 ハ ウス内で本伏せ 管理 を行 う
L、ずれの試験区でもほだ化が進行し、ほだ付き率
ことによってほだ化 の促進が図られ 、植菌当年の
の差 が小さ くなったと考えられた。
次に、前述の試験の結果を受け、本伏せ方法が
秋には 子実体の発生が十分可能で あることが確認
ほだ化と発生量 に与える影響をより明確化するた
された。ただし、ハウス内では野外よりきめ細か
めに 、ハウス内での本伏せが一般的に行われてい
な散水管理と温度管理が必要と考え られた。
表 -7 各本伏せ管理場所のホダ付き率と子実体発生量
本伏せl;p
J
i
l
まだ付 き $ %
表通
ビニールハウ ス
人工ほ だ場
林内 I
まだ場
襟地 A(
直 綾ヨシズ燐け)
探地 B(
5
0
c
m
上にヨ
シズ働け)
4
5
6
0
8
5
8
5
7
2
注) 種 薗 は 森 4
6
5 (種 駒 )
-31-
断面
5
3
4
5
6
6
8
0
7
0
発生量
1回目
2
0
8
1
8
0
1
8
4
1
93
1
0
4
E
2回目
1
7
4
2
0
1
2
1
8
1
7
0
1
9
5
長野県林総セ研報第 1
5号 (
2
0
01
)
g
nu
ハHV
EJ
・
ロ2回目
‘
内
子実体発生量
dnJι
nHvnHVAHV
︽
a--U n u n u
1回目
1
0
0
。
ヒコールハウZ
人工 I
lだ場
林内ほだ窃
裸 地A
線 地B
国一 6 本伏せ管理別子実体発生量(森4
65種駒)
表 -8 各本伏せ管理場所のほだ化状況と子実体発生量
本伏せ場所
試験区
品4
重
l
まだ木重量断面l
まだ
減少率% 付き率%
豊科町生シイタケ専業者秋山 5
0
0
パイプハウス
A
(
270m、標高 520m)
B
~763
当センヲー
秋山 5
0
0
簡易ビニールハウス
秋山 5
6
7
(
47
m
'、標高 8
5
0m)
C
6
7
秋山 5
森7
6
3
当センター
秋山 5
0
0
人工 l
まだ場
秋山 5
6
7
(
600m、標高 850m)
森7
6
3
2
0.
6
2
1
.6
2
0.
4
2
5.
8
2
6.
9
2
6.
7
1
8.
8
1
6.
2
1
8.
7
9
2.
3
7
9.
2
9
8.
3
7
8.
3
9
5.
7
9
8.
3
7
7
.7
8
9.
7
.7
81
子実体発生霊
E
1
回目
2
回目
3
回目
4
回目
1
0
8.
0
1
7
3.
5
2
5
2
.5
1
9
3.
5
2
4.
0
21
.0
1
9
3.
5
8
4.
5
9
.
0
871
1
9
6
.5
4
2.
9
1
0
2.
4
1
3
7.1
3
8
.2
1
0
3.
5
1
1
5
.
9
37
.1
8
9.
4
8
4
.7
2
5
5
.3
2
3
2.
4
1576
9
2.
9
1
4
6.
5
1676
6
8.
2
7
8.
2
1
0
6.
5
1
5
2.
9
.8
1
31
2
3
4.7
1
5
2.
9
3
5.
9
1
11
.2
図4
回目
E
回目
回3
∞
7
E悶
ロ2回目
.1回目
6
0
0
子5
0
0
実
体
発
。
4
0
0
生 3
0
0
量
2
0
0
1
0
0
。
B
秋山 5
0
0
秋山 5
6
7
森7
6
3
平均
A
:生シイタケ専業者ハイ 7・ハ
ウ
ス B
:当セント簡易ビニールハウス C
:当センチ人工 I
lだ場
図 -7 短期栽培における本伏せ管理別子実体発生量
η〆u
qu
原木シ イタケ ;
J
;
J
(
:J
古における適品種選定と施設利用に関する試験
え られた。
4 総合考察
乾シイタケ栽培用の低温性品種の栽培試験では、
5
.
2 生 シイタケ栽培用の市販高温性品種 04品
当センターの気象条件下でも子実体が発生しやす
種) について試験栽培を行い、発生量を比較した。
L、品種を検索した 。 その結果、森 1
2
3・菌興 1
15・
比較的ほだ化が速く、高収量を期待できる品種は、
明治 9
0
4等の品種 の発生量が多かった。ただし、
森4
6
5・6
0
2・7
6
3、秋山 5
6
7等であった。
年による気象条件 の差 により 、品種聞に明確な 差
化させた場合には多 くの品種でほだ付き率 ・発生
が表れない こと もあっ た。特に 冷涼で乾燥す る地
量 とも良好であったが 、オ ガコ種菌を植菌したほ
域では、自然の降雨のみでは十分にほだ化するま
だ木は集中発生することが多いため、より早い時
で長期間 を要する と考えられた。したがって、こ
期に浸水発生が可能と考えられた 。
れらの品種を使用する場合でも、適切な温度管理
5
.
3 施設内での本伏せ管理がほだ化と発生量 に
と水分管理に留意する必要が認められた。
与える影響を調査した。その結果、ハウス内で本
2夏ほだ
生シイタケ栽培用の高温性品種の当センターに
伏せ管理を行うことによってほだ化の促進が図ら
おける栽培試験では 、森4
6
5・6
0
2・7
63
、秋山 5
6
7
れ、植菌当年の秋には十分子実体の発生が可能で
等の品種の発生量が多かった。これらの品種では、
あることが確認された。ただし 、ハウス内では野
ほだ化が比較的速く進行するため、浸水時期が遅
外よりきめ細かな散水管理と温度管理が必要と考
れた場合や 、休養期間が長すぎる場合などには 、
えられた。
集中発生して個重が小さくなりやすい傾向があ っ
た。今後、浸水発生の開始時期や休養期間を更に
キーワード
適品種、ほだ付き率、子実体発生量、施設栽培、
検討する必要がある。
施設の改善試験では、ハウス内で本伏せ管理を
休養期間
行うことによってほだ化の促進が図られることが
確認された。したがって、植菌 当年の秋には子実
謝辞
体の発生が十分 口
J
能である 。 また、生シイタケ用
本試験を行うにあたっては、 豊科町でシイタケ
品種の栽培試験で発生量 の多かった品種は、 ハ ウ
栽培を営む曽根原茂氏に多大なご指導 ・ご協力を
ス内でのほだ化を行 っても良好な発生を示した 。
頂いた 。 ここに深く感謝申し上げる 。
ハウス内でのほだ化は、 有効積算温度を得やすい
反面、高温による シイタケ菌糸の障害 や害菌の繁
引用文献
殖等の危険性もあるため 、今後は 、 より有効な温
1)一 ノ瀬幸久(19
9
4
)原 水 シ イ タ ケ 栽 培 指 標 、
きのこ栽培指標、 3
2
3
p
p、長野県 ・長 野 県 経
9
6
6
済連他、 3
1
9
9
7
) きのこ栽培の最新技術(生
2)中沢武他 (
シイタケ原木栽培)、 '
9
8
年版きのこ年鑑、 4
7
8
2
1
1
43
p
p、農村文化社、 1
3
)気象庁(19
9
6
) 月別平年気温他、理科年表 、
1
0
5
4
p
p、丸善、 1
9
8
2
0
9
度管理 ・散水管理技術の確立が必要と考えられた。
5 要旨
長野県の気候に適した市販品種の選定を行うた
め、乾シイタケ用低温性品種と生シイタケ用高温
性品種の試験栽培を行った。また 、栽培の施設化
がほだ化と子実体発生に与える影響を調査した。
これらの結果は、以下のとおりである。
5
.
1 乾 シ イ タ ケ 栽 培 用 の 市 販 低 温 性 品 種 (6品
種)について試験栽培を行い 、春子の発生量を比
較した結果、森 1
2
3・菌 興 1
1
5・明治 9
0
4などは比
較的発生量が多かった。しかし、毎年の気象条件
によ ってほだ化状況が異なったことから、冷涼で
乾燥しやすい 地域では、 安定した発生量を得るた
めには適切な温度管理および.散水管理が必要と考
-3
3