SURE: Shizuoka University REpository

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http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/
Title
Author(s)
Zn(Mg,Cd)O混晶の光学特性評価とヘテロ構造発光デバイ
スの研究
山本, 兼司
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Issue Date
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2010-03-22
http://hdl.handle.net/10297/6369
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静岡大学
博 士論文
Zn(Mg,Cd)0混 品 の光 学特性評 価 と
ヘ テ ロ構 造発 光 デ バ イ スの研 究
2009年 12月
創 造科 学技術 大学 院 自然 科 学系 教 育部
ナ ノ ビ ジ ョンエ 学 専攻
山本
兼司
概要
ZnO系 可視域発光デバイスの実現 に向けて,Zn(Mg,Cd)0三 元混晶を リモー ト
プ ラズマ励起有機金属化学気相堆積
(RPE―
MOCVD)法 で成長 し,そ の光学特性
を中心に評価 を行 った。そ して励起子再結合 の増強 に伴 う高効率発光 をね らい
,
Znl_C島 0/ZnO多 重量子丼戸構造を作製 した。 さらに Zn(Cd,Mg)0系 ヘテ ロ接合
による発光デバイ スを作製 してバ ン ドライ ンア ップ を評価 した。
まず ,zn(Mg,Cd)0混 晶薄膜を RPE― MOCVD法 で a面 サ フ ァイ ア基板上に成長
した。 これ ら格子定数やバ ン ドギ ャップ と混晶組成 の関係 を系統的に調べ た
_
ラジカル を用 いた熱非平衡度 の高 い結晶成長条件 が広 い混 晶組成範囲で ウル ツ
鉱構造 ZncMg,Cd)0の 実現を可能 とし,特 に Znl_C島 0混 晶は Cd組 成 0.6ま での
広い範囲 で得 られ るこ とを示 した .Znl_c島 oの Cd組 成 を調 整す るこ とでその
バ ン ドギ ャップ を 3.3eV o=0)か ら 1.9ev← =0.6)の 紫外 か ら青 ,緑,赤 の可視
域全域 で発光波長 を制御 で きるよ うになった。また MgyZnlッ o混 晶について も同
様に,Mg組 成 を調整す ることでバ ン ドギャップ 3.3 eVレ =0)か ら 3.7 eVヶ =
で制御 できることを示 した。広い範囲でのバ ン ドギ ャ ップtll御 の実現に
よつて,RPE‐ MOCVD法 の混晶系材料 の成長 に対す る優位性 を示 した.さ らに
0.25)ま
,
Zn(Mg,Cd)0混 品 の発光エネル ギーや ス トー クスシフ トと混晶組成 の関係 を明 ら
かに した
.
Zn(Mg,Cd)0三 元混晶 の PLア ロイプ ローデ ニ ングを評価 した。Steady‐ state
PL
PL半 値幅 が混晶組成 に対 して大きく依存す るこ
とが分 かつた。Znlず C島 0混 晶の PL半 値幅 は Cd組 成 0.3で 極大 となるよ うに増
測定によつて,Zn(Mg,Cd)0の
大 し,MgyZnlッ o混 晶では Mg組 成 0.3の 範囲 においては Mg組 成 の増加 に伴 っ
て PL半 値幅 は単調 に増 大 した.こ の PL半 値幅 の増 大傾向は統計的な混晶ゆ ら
ぎに基 づ く PL半 値幅計算値 の増大傾 向 と良く一致 した。混晶組成ゆ らぎの程度
を表す パ ラメー タであ るス トー クス シフ トも混晶組成 に対 して 同様 の増大傾 向
を示 した ことか ら混晶組成 が PL半 値幅 の増大に影響す るこ とを示 した.し か し
,
PL半 値幅 が計算値 よりも 3倍 程度大きい ことか ら,他 にも要因があると考 えて
time‐ resolved
PL測 定か ら励起子 の局在化 を評価 した。励起子 の局在化 の増大傾
向は PLア ロイプ ローデ ニ ング傾 向 と良 く一致 した。
Zn(Mg,Cd)0混 晶の PLア ロ
イプ ローデ ニ ングは統計的な混晶組成 ゆらぎのみな らず,励 起子 のボー ア半径
が小 さい ことを反映 した励起子 の局在化 が大 きく影響す るこ とを明 らかに した
.
励起子再結合 の増強 による発光効率を増大をね らい,zno系 多重量子丼戸構
造 (MQWs)を 作製 した。
青緑色 PL発 光 の ZnO.85CdO.150井 戸層/Zno障 壁層 MQWs
は,c tt Znoバ ッファ層(100111■ 厚)/a面 サ ファイア基板上に成長 した.井 戸層
の Cd組 成 0.15は 薄膜 で広 い PL半 値幅 を示 した Cd組 成域 であ り,量 子丼戸構
造 の状態密度 を反映 した発光 スペ ク トル 半値幅 の狭化 をね らった 。MQWSは
戸層 と Zno障 壁層 (10 nln)と の積層 10周 期 で構成 され ,井 戸
層幅 を 21 nmか ら 2 rlmま で薄 した。ZnO.85ZnO.150井 戸な らびに ZnO障 壁 の各層
ZnO.85CdO.150井
厚 さは,予 備実験 か ら得た成長速度 に従 つて成長時間 で制御 した。XRDサ テラ
イ トパ ター ンによつて MQWSの 周期性 が設計値 と一 致す ることが分 かつた。
MQWsの 発光準位 を低温 cw― PL測 定で評価す ると,井 戸層幅 の薄化 に伴 った PL
ピー クのブルー シフ トを観測 した.こ のブル ー シフ トが有限矩形井戸型 ポテ ン
シ ャルで計算 した井戸層 内の量子準位 のシフ トと良 く一致 したことか ら,PLが
井戸層内での量子準位間遷移 による発光であ ることが分 かった。 さらに,PL発
光寿命 が井戸層幅の薄化 に伴 い短時間化す る こ とを時間分解 PL測 定に よつて明
らかに した。この寿命 か ら見積 もつた励起子 の振動子強度 は,薄 膜 の値 よりも
1.3倍 大きく,井 戸層 内で励起子再結合 の増 強 されてい ることが示 された。
Zn(Mg,Cd)0活 性層任 4H― SiC:Alヘ テ ロ接合を作製 し
ルMgO.18ZnO.820障 壁層ル…
そ のバ ン ドライ ンナ ップを EL特 性 か ら評価 した。そ して発光 メカニズム を明 ら
,
かにした。ルZnfMg,C00活 J性 層 として 4‐ Znl_c40← >0.05)を 用 いた場合 はタイ
Znl_c鵡 0層 へ の正孔注入 によつて
プ Iヘテ ロ接合 とな り,ル 4H口 SiC:Alか ら認‐
ZnOや
4-Znlザ C島 0層 で 効 率 良 く EL発 光す る こ とが 分 か っ た 。一 方 ,η ‐
,
MgO.13ZnO.870を 用 いた場合 はタイプ Ⅱヘテ ロ接合 とな り,2.9 eV付 近でプ ロー
η‐
ドに EL発 光す ることを示 した.こ のプ ロー ドな EL発 光 は 2つ の発光再結合過
程 が寄与 していると推測 され ,低 注入電流 での ELは ,タ イプ Ⅱヘ テ ロのために
ヘ テ ロ界面 で空間的 に分離 されたキャ リアの再結合 による発光 が支配的 となる
SiC:Al基 板へ電子 が注入 され て
高注入電流 での ELは ルZn(Mg,Cd)0層 か ら ノ‐
PSiC:Al基 板 でのキ ャ リアの再結合 による発光が支配的 となる
本研究 により Zn(Mg,Cd)0系 半導体 による可視域 のみな らず短波長発光ヘテ
.
ロデバイスの実現可能性 を示 した。
.
In order to fabricate ZnO― based light‐ emitting diodes,I have fabricated Zn(Mg,Cd)0
temary a1loys,Znl_κ C島 0/Zno multiple quantum wells and ZnO‐ based hetero」 unCtiOn
diodes
by
remote‐ plasma‥ enhanced
metalorganic
chelllical
vapor
deposition
(RPE― MOCVD)techniquc and characterized the optical prOperties.
I have cl冨 lied the dependency of the bandgap of Zn(Mg,Cd)O temary alloys on
a1loy content, which was analyzed with high accuracy by atomic absorption
spectroscopy.The bandgap ofZn(Mg,Cd)O iS ttnable from red(1.8eV)to UV(3.7 eV)
by changing a1loy content.
I have described the anoy broadening in PL from Zn(Mg,Cd)O by applying the
theow based on statistical aHoy fluctuation,I have clarlfled that the a1loy broadening in
PL is good agreement with the increment tendency of FWIIM of PL caused by the
statistical alloy■ uctuation.As another way to cOnflrllll alloy broadening,we derived the
localization of exciton in Zn(Mg,Cd)O a110yS.The increment tendency is of localized
depth is also good agreement.In ZncMg,Cd)O a110ys,the localization of exciton
strongly attects broadening ofPL FWHM due to small]Bohr radius of exciton.
Ih〔 Ⅳe fabricated Z■
0-based multiple quantum wells(MQWS),in Order to the
enhancerrlent of exciton recombinatiOn in ZnO.85CdO.150 Well layen The bluc PL from
MQWS COnsisting of 10-periods ZnO.85Cd0150/ZnO has been observed.PL peak energy
taken at 20 K increases with decreasing the ZnO.85CdO,150 Well width from 21 nm to 2
11m.PL is the elrllission of a transition between quantll■ lcvels in ZnO.85CdO.150 Well.
Moreovet an oscillator strength of exciton in MQWs estimated iom PL lifetime by
Feldmarlll's lnodel is l.3 tilnes larger than that in bulk.
I discussed the band line‥ up in ZnO‐ based heteroJunctiOn(HJ)diOdes utilizing
p‐ 4H― SiC:Al
substrate by evaluating the EL.I have clarifled the HJ is type I,when the
Cd content in 4‐ Znl_C鵡 O is less O,05,On the other hand,EL from the HJ consisting of
4‐
ZnO and刀 "MgO.13ZnO.870 iS broad due to type‐
II.
博 士 学 位 論 文 目 次
山本 兼司
Zn(Mg,Cd)0混 品 の光学特性評価 とヘテ ロ構造発光デバイ スの研究
目 次
第 1章
第 2章
序論
1.1 研 究 背 景
1
1.2 Z■ 0系 半導体材 料 の背 景
2
1.3 ZnO系 発 光 デ バ イ スの背景
3
1.4 ZnO系 量子 丼戸構 造 の背景
3
1.5 研 究 の 目的
5
1.6 論 文 の構成
6
実験方 法
2.1 結 晶成長技術
11
2.2 リモー トプ ラズマ励起有機金属 化 学気相堆 積法 ………
…
…
11
2,3 実 験 方 法
17
2.3.1成 長 基板
17
‐
‐
2.4 フォ トル ミネセンス (PL)測 定系 ………‐
…………… 20
2.4.1定 常 PL(Steady‐ state
PL)…
…
…
…
……
2.4.2時 間分解 PL(Time‐ res01ved PL)
第3章
21
Zn(Mg,Cd)0三 元混晶成長
3.1は じめに ―‐
…
………
24
3.2実 験 方法 …………………
25
3.3結 果 と考察 ……………
…
…‐
26
3.3.1結 晶構造 ―― ¨
26
3.3.2光 学 バ ン ドギ ャ ップ
28
3.3.3発 光特性 ……
31
3.4ま とめ
第4章
20
Zn(Mg,Cd)0三
32
元混晶 の PLア ロイプ ロー デ ニ ン グ
¨
‐
4.1は じめに 一― ―
…―
…
――
…
…
―¨
…… …
――一―
34
4.2実 験 方 法 ………… …… …… ¨
35
…
…
………………
4,3結 果 と考 察 ……………
4.3.l Steady‐
36
statc PL評 価 ………………………………………………………… 36
…………………………………………………… 41
4.3.2 Time― resolved PL言 平佃百 …
46
4.4ま とめ
ZnQ85CdO.150/ZnO多 重量子丼戸構造 の作製
第 5章
5,1は じめ に
49
5,2実 験方 法
50
5。
3結 果 と考 察
52
5.3.1周 期 性
52
5.3.3励 起 子再結合 の増強
‐
………
5.4ま とめ ―――――
―………………
…………
″型ZnⅣ Lc00/′ 型4H‐ SiCヘ テロ接合のバンドラインナップ 評 価
第6章
¨
……
………
……‐
………
6.1は じめ に …“
………
3
6
6.3結 果 と考 察
3
6
6.3.1電 流 電圧特性
4
6
6.3.2 ‐ レ ク トロル ミネ センス
0
7
/ノ
6.3.3 バ 〕
ドオ フセ ッ ト
3
7
6.4ま とめ
1
5
7
第7章
60
1
6
6.2実 験方 法
付録
3 5 8
5 5 5
5.3.2量 子 準位 間 PL発 光
結論
水 平型 RPE‐ MOCVD成 長 で の サ セ プ タ高 さに対す る Znoの
付録 2
非極性 αtt Znl_xC40混 晶成長
付録 3
励起子局在 にお ける発光寿命 のエネル ギー 分散 式 の導 出 ……
付録 4
¨
¨
―
―
………
――
Znl.C40/ZnO MQWSの 量子準位 の計算 ――
一― ―
謝辞
発 表論 文 リス ト
Vl
8 1 5 7 0 2
7 8 8 8 9 9
ロ
‐
‐
…
… ………… …… ……… ……
…
…… … ‐
……
膜 厚分布 の 依 存性 ロ
第 1章 序 論
1.1研 究背景
高度情報化社会 の根底 を支 えてい るシ リコン (Si)デ バ イ スはそ の優れた特性 や そ の
微細加 工技術 によっ て成 り立 ち,ェ レク トロニ クスの主役 の座 を 占めている。一 方化合
物 半導体 は Siデ バ イ スでは達成 し得 ない分野や , さらなる高性能化 を 目指 して研 究 が
進 め られて い る。そ の応用 として,発 光 ダイオー ド (LED:Light Emitting diOdc)や レー
ザ ー ダイ オ ー ド
は
(LD:Laser Diode)が 挙 げ
られ る .現 在
CD(Compact Disk),DVD(Digital Vcrsatile Disk)の
LEDは 信 号 機 に 用 い
られ
,LD
光 ピ ッ ク ア ッ プ ,光 フ ァ イ バ ー
通信 に用 い られ ,様 々 な分野 での応用 が見受 け られ る。半導体 レー ザ ーの波長 が短 い ほ
ど光デ ィス ク上に集 光 スポ ッ ト径 を小 さくで き,光 デ ィス クの記録密度 を上げる ことが
で きる。そ のため,次 世代光情報通信技術 には レー ザー 光源 の短波 長化 が必要 となる
.
これ まで発光デバ イ ス では,Ⅲ _v族 化合物半導体 が応用 されてい る。LDに 用 い られ る
化合物半導体は,光 フ ァイバ ー通信用 1.55 μm(近 赤外発光)に は InGttsPを
,CDピ
ックア ップ用 78011m(赤 色発光)レ ー ザ ー には GaAs系 量子 丼戸 を,DVDピ ッ クア ッ
プ用 66011m(赤 色発 光 )レ ー ザー には AlGalnP,Blu― Rリ ピ ックア ップ用 405 nm(紫 発
光)レ ーザ ー には InGaNが 用 い られ て い る。 さらに緑色発光半導体 レー ザ ーの 実現 を
目指 して
AlGJnPの 短波長発光化や逆 に InGaNの 長波長化 が検討 されてい るが ,両 者
ともに 500∼ 600 nmの 波長域 で発光出力 が急激 に低下す るために緑色発光 の半導体 レ
ー ザ ー は実現 されて い ない
.
GaNは 直接遷移型 の フイ ドバ ン ドギ ャ ップ半導体で あ り
結晶構造は六方晶系 ウル ツ鉱構造 を とる.GaN系 発 光デバイ ス は通 常 σ面 (極 性 面)を
短波長発光デバ イ ス材料
,
用 いた構造であるが ,こ の θ面構造 では発光効率が低 い とい う点 が課題 である。これ は
結晶構造が結 晶対称性 の低 い ウル ツ鉱構造 のために ,量 子丼戸構造 を形 成 した際 に丼戸
層 に生 じる 自発分極 と ピエ ゾ分極 に よっ て電子 と正孔 を空 間的 に分離す るよ うに内部
電界が発 現 (量 子閉 じ込 めシ ュタル ク効果 )す る.こ れ によって再結合確率が低 下 して
しま う.内 部量子 シュ タル ク効果 を取 り除 いて発 光効率 を増 大 させ るために,無 極性面
や 半極性面 のデ バイ ス構造 の研究が盛 んに行われ て い る.最 近では非極性 用 面紫色発
1・
卜
2)の
InGaN系 レー ザー が報告 され ,高 効率発光化に向けた研究
光 )や 半極性緑色発 光
がます ます盛 んに行 われ ている.そ の 中,高 発光効率 な短波長 か ら可視域 の発光材料 と
して酸化亜鉛 (Zno)力 `
注 目されて い る
.
1.2 ZnO系 半導体材料 の背景
Z■
0は 古 くか ら多結晶体 として用 い られて い る材料 で あ り,そ の応用 と して顔 料 ,蛍
光体 ,表 面弾性波素子 ,ガ スセ ンサー ,バ リス ター ,透 明導電膜 な ど広 く利 用 されて い
卜
31-l‐ 1の
の進 歩 に伴 い,半 導体 として
る材料 で ある。最近 では,ZnOの 薄膜結晶成長技術
の特性 が注 目され て い る。特 に励起子 を用 い た高効率 な発光デバ イ ス材料 として期待 さ
れ ,研 究 が盛 んに行 われてい る.Z■ 0は ,室 温で ワイ ドバ ン ドギ ャ ップ 3.3 eVを 持 つ
直接遷移型 半導体 で ある.特 長 は,励 起子結合 エネル ギー60 meVが 非常 に高 い こ とで
ある。励起子 とは結晶中に励起 され る素励起単位 であ り,電 子 と正孔が水素原子 の よ う
にター ロンカで互 い に結合 し安定 した状態 で ある。この励起子 の結合 エネ ル ギー が室温
の熱 エネルギーhr∼ 26 meVよ りも 2倍 以 上 高 いため,室 温 にお いて も励 起子が安定 し
て存在 で き,励 起子再結合 による高効率な発 光 を得 る。他 ワイ ドギャ ップ半導体 (Znsc:
13 meL GaN:24 meV)と 比 べ て も大きい.さ らに,屈 折率 は 2.0と 他 ワイ ドギャ ップ半
導体 (Znse:2.6,GaN:2.5)と 比べ て も低 い .そ のため高 い光取 り出 し効率 を持 つ も こと
か ら高効率な発光素子材料 として期待 され てい る。
半導体発光素子 はダブル ヘ テ ロ接合 の発 光波長 は活性 層 のバ ン ドギャ ップによつて
決 まるため,ZnO系 混晶に よるバ ン ドギ ャ ップエ ンジエ ア リングは重要な技術 である。
ZnO系 混晶 によるナ ロー ギ ャ ップ化 の候補材 料 としては Znl,CtO混 晶
方 ,ワ イ ドギ ャ ップ化 の候補材料 として MttZ助 ッ0混 晶
研究 されてい る。他 にも Zn卜 =cu__0卜
27)ゃ
,Befnl.o卜
289な
H7‐ 26)が
1…
11・
6)が
ぁる.一
主に検討 され ,盛 んに
ど様 々 な材料 で検討 されてい る
.
ZnliC40並 びに MgyZnlプ 0は 混晶材料 として適 してい る.Zn2+の イ
十
オ ン半径 (配 位 数 4)が 0.6Aで あ り,Cd)並 びに Mξ のイオ ン半径 (配 位数 4)は そ
卜
そ の た め,混 品化 に伴 う格子定数 の変化 が小
れ ぞれ 0.74A,o.57Aと Zn2+に 近 い
これ ら候補 の 中 で
29)。
さい ために,ヘ テ ロ構造 を形成 した際 の格子 不整合度 が小 さく抑 え られ るためである
.
ZnO系 半導体 は励起子 のボーア半径 が小 さい ため,混 晶組成 のゆ らぎが発光特性 に顕著
に現れ る.InGaNで も報告 されてい るよ うに ,混 晶材料 中 の局所的 に高 い 混 晶組成領域
に励起子が局在 化す るためである。結果 として ,発 光発光 スペ ク トルが広 い こ とが課題
となるが,発 光効率 の増 大 が期待 され る
.
Z■
0系 半導体 の結晶成長 は これまでに様 々 な方法で検討 されて い る.分 子線 エ ピタキ
シー (MBE;Molccular Bcarn Epitaxy)法 を始 め,パ ル ス レー ザー堆積法 ,有 機 金属化学
気相堆積法
(MOCVD;Metalorganc Chemical Vapor Depositio■
)法 ,
ミ ス ト CVD法 ス パ
ッタ リング法 ,ゾ ル ゲル法等 がある.し か し,混 晶成長 はどの結晶成長法 にお いて難 し
いが,ラ ジカル を用 いた MOCVD(リ モー トプ ラズマ励起 MOCVD)法 で高 い混晶組成
までの Zn(Mg,C00三 元混晶 が得 られてい る
.
13 ZnO系 発光デ バ イ スの背景
ZnO系 発光デバ イ スの実現 に向けて の課題 は大 きく下記 の 3つ がある
(1)ZnO系 混品 のバ ン ドギ ャ ップエ ンジニ ア リング
(2)′ 形伝導性制御
(3)ヘ テ ロ構造・ 接合 の作製
″ZnO
″ 接合 を形成す るために,′ 型及び ″型 の伝導性制御 が必要である 最近 ,P′ ―
31)ゃ
ホモ接合 か らの青色 EL発 光 卜
,P″ Z■0ホ モ接合 か ら EL発 光 1抑 が報告 されてい
るが,欠 陥を介 した発光であ る
・
3)znOは 酸素空孔や格子 間亜鉛 の ドナー性欠陥を生
じやす く,″ 型 にな り易い .Znoの ′型 ドー ピングは これ までに種 々の ドー パ ン トを用
い て研究 されてお り,I族 元素 Li,Nι K,Cuや ,Ⅵ 族元素 の N,R Asな どが検討 されて
きた.さ らに,Gaと
の理論的な提案
13oも
Nを 比 率
1:2で 同時 ドー ピン グす る ことで ′型 Znoを 得 られ る と
あ り検討 されてい るが ,現 在
性 良 く得 ることは難 しい
1013 cm‐
3程
度 の高 い正孔濃度を再現
そ の ため,″ ヘ テ ロ接合 の正 孔注入層 として様 々な ′型 ワ
イ ドギ ャ ップ半導体 が用い られ ,こ れ と ″型
れ てい る.′ 型半導体 として
Silう
Znoで 形成 したヘ テ ロ接合 が 多 く検討 さ
3o,N10・ 3つ
3o,GaN薄
u2Q・
,znTc・
。,Cu20卜
'",S£
140),61SiC基
1り
4H‐ SiC基 板
板
,ダ イ アモ ン ド薄膜 口助を用
",AIGaN薄 膜
い た ″型 Znoヘ テ ロ接合 が 作製 されてい る この 中で も ELに ついての報告 は極僅 かで
あ る どのヘ テ ロ接合 もタイ プ Ⅱ にな って しまい,ヘ テ ロ接合 か らの ZnOバ ン ド端発
光 による ELは 観測 されてい な い ″型 Z勁 ,C40系 発光デバ イ ス については,ρ 型 41SiC
基板 を用 い てヘ テ ロ接合 が作製 され ,青 ,緑 ,赤 色 ELが 観測 され ている :‐ Ⅳ 型
膜
1う
141な
Zn囀 C40を 型 4H― SiCヘ テ ロ接合発光デバ イ スがグ リー ンギ ャップ を補 う発光デバイ ス
として期待 されて い る
14 ZnO系 量子丼戸構造 の背 景
発光層 に量子 丼戸 (QW:quantum wdl)構 造 を用 い る
QWsの 最 も簡単な もの は単一
量子 丼戸 (SQW:Jnglc quant― wcl)構 造 で あるが,こ の構 造では QW層 に光 の波長 に
比 べ て薄す ぎるために光閉 じ込 めが弱 くなる そのため,多 重量子丼戸 (MQW:mdiple
quantum wcn)構 造が用い られ る これ ら量子丼戸構造 を形 成 し量子 閉 じ込 め効果を発
現 させ ると,Fし 11に 示す よ うに丼戸層 内に離散的な量子 準位 が形成 され る
また電
子や ホール状態密度 は,有 効状態密度 とフェル ミ・デ ィラ ック分布 の積 で決 まるが,半
導体 バル クでは点線 で示す よ うに有効状態密度がエネル ギー に対 して 1/2乗 で分布す る
が ,量 子丼戸では有 効状態密度 が階段状 にな り取 り得 る状態密度が制限 され る.従 つて
量子 丼戸構造 では ,量 子準位 間 の遷移 エネル ギー が限定 され ることで発光再結合 が増 大
し,階 段状状態密度 によつて発 光 スペ ク トル の半値幅 を狭化 で きる
最近 ,Zno系 量子丼戸構造 が作製 されてい る.特 に ZnO/MgJZnl,O MQWS'44)が 分子
線 エ ピタキ シー法に よる作製 され ,光 学特性 につい て多 く報告 され てい る.量 子丼戸構
造 な どの励 起子 のボー ア半径 よ りも十分 に小 さいス ケール で の低次元量子閉 じ込め構
造 によつ て励起子結合 エ ネル ギーがバ ル クの 2倍 程度まで増 大 し,高 温でも励起子が安
定に存在 できる
140
14,そ して
光励起 に よ り室温で の励起子再結合機構 による誘導放 出
14D,励 起子分子 の形
l・ つ
での励起子 による
や , レー ザ ー発振
成
14"が
,さ らには高温
誘導放出
観測 されて い る
Z助 ,C40/MgyZ助 ッ
O
効 率 の増 大や
5oの
MQW♂ ‐
作製 は,可 視域発光デバ イ スの 実現に向けて ,発 光
PL半 値幅 の狭化 の ために重要な技術 である しか し Znl∫ 40の 作製 が
困難 であ るために,MQWsの 特性 につい ては もちろん作製 の報告例 は これまでに極僅
Sl)に
つい て
かに限 られ ている それ ら報告 は発光効率に対す る重水素 ドー ピン グ効果「
,
MQWの 熱的安定性・ ,MQwS井 戸層 の分極 によつて誘発 され た内部電界 が電子 と正
5ヵ
孔 の空間的 な分離 を生 じ,結 果 として発光寿命 が急激に増大す る こ と
1つ
に限 られ る
ZnO/BcZnO MQWsが 作製 され ,活 性層 に MQWを 導入 した 夕BcZno:Aノ lZnO/BCZno
MQWS)/″ BCZnOダ ブル ヘテ ロ接合 か ら単色性 の 良い紫外 EL発 光 (波 長 360 nm,エ ネ
ル ギー3 44 cV,半 値幅 8 nln)も 報告 されてい る lS'.
Fig.l l Dens,ofState fora qumm wen stmcturc(solid Curvc)and fOr a bik semiconductor
(daSttd Curv→
1.5研 究 の 目的
紫外及 び 可視域発 光デ バ イ ス は 固体光源 として 今 後 の ニーズの大 き さが予想 され て
い る.ZnOは 励起子結合 エ ネ ル ギー が非常に大 きい特長 を持 つ ため,室 温での励起子再
結合 に伴 う高効率発 光材料 である.本 研 究 では,可 視域
目指 し,下 記 4つ の研 究 を行 つた
Zno系 発光デバ イ ス の 実現 を
.
(1)ウ ル ツ鉱構造 Zn(Mg,Cd)0三 元混晶薄膜 の成長
Zn(Mg,Cd)0混 晶 (Znl_C40,Mが hlρ )薄 膜 のバ ン ドギ ャ ップエ ンジエ ア リン グ
を行 い ,可 視 か ら紫外域 での発光材料 としての特性 を評価す る。また混晶組成 を精度
良 く定量 し,物 性値 と混 晶組成 との 関係 を系統的 に 明 らかにす る。これによっ て ,今
後 のデ バ イ ス設計 の指針 となる重 要 な評価 である
.
(2)Zn(Mg,Cd)0混 晶 の PLア ロイ プ ローデ ニ ン グ評価
Zn(Mg,Cd)0混 晶 の発光特性 を評 価 してみ る と,PLス ペ ク トル の半値幅 が 大 きい こ
とが分 かつた。半値幅 を低減 させ るためには,発 光 メカ ニズム を統計的な混 晶組成 の
ゆ らぎや励起子 の 局在化 に注 目 して調 べ た。Zn(Mg,Cd)0混 晶 の混晶組成 ゆ らぎや励
起子局在 と発光特性 との関係 を明 らかにす る こ とで ,PL半 値幅 の低減 に向けて混晶
成長 に ア ィー ドバ ックす る
.
(3)Znlザ CtO/ZnO多 重量子丼戸構造 の作製
O MQWsの 作製 し,励 起子 のボーア半径 の小 さい Zno系 半導体 で量子
効果 を発 現 させ る.構 造評価で周 期性 を確認 し,発 光特性 よ り励起子が Z■.85CdO.150
Znlザ C40/Z■
井戸層 内に形成 され た量 子準位 間 を介 した再結合 発光 を観測す る。 さらに,MQWs
の発 光効率 の増大 を観測す る。発光効率 のパ ラメー タ として励起子 の振動子強度 を評
価 し,MQWSが バ ル クに対 して高効率 に発光す る こ と明 らかにす る。
(4)可 視域発光 Zno系 基本 ヘ テ ロ接合 のバ ン ドライ ンナ ップ評価
P型 4H… SiC基 板 を正 孔注入層 に用 いたヘ テ ロ接 合 ″ 型 Mg.18Zn■ 820障 壁層 /″ 型
Zn(Mg,Cd)0活 性層ゎ 型 4H― SiC:Al基 板 を作製 し,そ のバ ン ドライ ンナ ップ評価 を行 っ
た.′ 型
4H― SiCIAlは 1018 cm¨ 3台 の 高 い正 孔濃度 を供給 で き正 孔注入層 として ,さ
六方 晶構造 であるた めに
Z■
らに
0系 半導体成長基板 と して有用 である。また,バ ン ドギ ャ
ップが 3.26 eVと Zno(3.28 cV)に 近 く障壁層 と して も有用である。 しか し,4H― SiC
の電子親和力 の不確 定性 が大 きいために,″ 型 Zn(Mg,Cd)0活 性層 のバ ン ドギ ャ ップを
増大 (短 波長化)す る と,タ イ プ II型 ヘ テ ロを形成 して活性層で の効率 の良 い キ ャ リ
ア閉 じ込 めが難 しくな る。″型 Zn(Mg,Cd)0活 性層 のバ ン ドギ ャップを変化 させ て,ヘ
テ ロ接合 のバ ン ドライ ンナ ップを評価 した。短波長化 に向けたデバ イ ス構造 の知 見 を得
る。
1.6論 文 の構成
本研 究 では
Zno系 ヘ テ ロ接合構造発光デ バ イ スの実現 に向けて ,ZnO薄 膜 並び に
Zn(Mg,Cd)0三 元混晶薄膜 を α面サ フ ァイ ア基板 上に リモー トプ ラズマ励起有機金属化
学気相堆積法 で作製 した。Zn(Mg,Cd)0混 晶 の光学 メカ ニズム を明 らかにす る こ とで
,
混晶成長へ 特性 を中心に評価 を行 つた 。ZnCdO/ZnO多 重量子丼戸構造 を作製 し,ZncdO
井戸層 の量子準位 間 の遷移発光 を観測 し,バ ル クに比べ て高効率発光す る こ とを明 らか
に した。
最終的 に,P型 4H‐ SiCを 用 いたヘ テ ロ接合発光デ バイ ス として ,″ 型 Zn(Mg,Cd)0
活性層夕 型
4H‐ SiCヘ テ ロ接合 を作製
し,バ ン ドライ ンナ ップ評価 を行 つた
.
本論文 は 7章 で構成 され ,以 下に各章 の概 要 を説明す る。
第 1章 では,ZnOの 研究背景 ,な らび に発光デバ イ ス と量子 丼戸構造 の研 究背景 を説
明す る.本 博 士論文 の研究 の 目的につい て説 明す る。
第 2章 では ,本 研究 で用 い た結晶成長装置 の リモー トプ ラズマ励起有機金属化学気相
堆積法 につい て,特 徴 と装置図 を説明す る.さ らに,結 晶成長基板 として用 い たサ フ ァ
イ ア基 板評価 と して 光学特性評価 として行 つ た定 常 フ ォ トル ミネ セ ンス
(Steady‐ Sttte
photoluminescencc)並 び に 時 間 分 解 フ ォ ト ル ミ ネ セ ン ス (Time― resolved
photoluminescence)の 測定系 を説明す る
.
第 3章 では,Znl_C40三 元混晶及 び
MJhlザ 0三 元混晶を成長 し,バ ン ドギャップ
エ ンジニア リン グを行 った。混 晶組成 に対す る光学 バ ン ドギャップ,PLピ ー クエ ネル
ギー ,格 子定数 (`軸 長)の 関係 を系統的 に示す .混 晶組成 の定量は原子吸光法 で精度
良 く分析 した。
第 4章 では ,Zn(M3Cd)0三 元混品 の PLア ロイ プ ローデ ニ ングを評価 した。Znl_CtO
薄膜 の定常 PLス ペ ク トル の半値幅 が Cd組 成 に依存す る こ とを示す 。Cd組 成 の増加 に
伴 うPL半 値幅 の広が りは Cd組 成 ゆ らぎに よつて引き起 こ され る ことを明 らかに した。
Cd組 成 に対す る PL半 値幅 の広が りの結果 は励起子局在 に基 づ くZimmerrnannモ デル に
よる計 算結果 と傾 向 が良 く一致す る こ とを示 す .さ らに PLア ロイ プ ロー デ ニ ングを評
価す るも う 1つ 方法 として,時 間分解 フォ トル ミネ セ ンス を測定 して ,励 起子 の局在深
さを調 べ た。局在深 さは混晶組成 ゆ らぎが引 き起 こす ポテ ンシ ャル ゆ らぎを反映 し,こ
の局在深 さを発光寿命 のエ ネル ギー分散 よ り評価 した。PLア ロイプ ロー デ ニ ングは統
ヒが大 き く影響 してい る ことを明 ら
計的な混晶組成 の ゆ らぎのみな らず ,励 起子 の局在イ
かに した .大 きな PLア ロイ プ ローデ ニ ン グは ,励 起子 のボー ア半径 の小 ささを特徴 か
ら来 る Zn(Mg,Cd)0混 晶系 の特有な値 である ことが分 かつた
.
第 5章 では,Zn。 .sCd。 ,150系 多重量子 丼戸構造 の発光効率 がバル ク と比 較 して増 大す
る ことを観測 した。ZnO.35CdO,:50/ZnO MQWsを 作製 し,青 色 PL発 光 を定常 PL測 定に よ
り観測 して ZnO.85CdO.150井 戸層 内の量子準位 の形成 を確認 した.さ らに発 光寿命 が井戸
層 幅 の減 少 に伴 い 短 時 間化す る こ とを明 らか に した。 Feldmallllモ デ ル を考慮 して
6
Zn■ 85CdO.150井 戸 層 におけ る励起子再 結合 の増強 を示
第 6章 では,″ 型 Zn(Mg,CdOン 型
した
.
4H… SiCヘ テ ロ接合 を作製
し,EL特 性 か らバ ン ド
ライ ンナ ップを明 らかに した。″型¨
Zn(Mg,Cd)0活 性層 の混晶組成 に対す る,ヘ テ ロ接
合 か らの EL発 光 エ ネル ギーの 関係 よ り,タ イ プ Iヘ テ ロ接合 も しくはタイプ Ⅱヘ テ ロ
接合 を明 らかに した。さらに,Andersonモ デル で見積 もつたエ ネル ギーバ ン ド図を用 い
てタイプ I,も しくは タイプ Ⅱを考慮す る ことで,こ れ まで不確定性 の大きか った 4H― SiC
の電子親和力 を 3.9eVと 決定できた。 さらに,短 波長
った
EL発 光 デバ イ ス構造 の指針 とな
,
第 7章 では,第 3章 か ら第 6章 で明 らかにな った結 果 をま とめる,さ らに今後 の展望
を示 す
.
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10
2章
第
実験 方法
2.1 結晶成長技術
薄膜 を基板上に成長 させ る方法は,一 般的 に 2種 類あ り,化 学反応 を利用 した化学的
気相堆積 (CVDi Chemical Vapor Deposition)法 と粒子 の物理的な運動 を利用 した物理的
気相堆積 (PVDI PhyJcJ Vapor DepOsitiOn)法 である
.
PVD法 は 目的 とす る薄膜構 成原子 を含 む固体 の ター ゲ ッ トを物理 的な作用
(蒸 発や
パ
昇華 ,ス
ッタ リン グ)で 原子 ,分 子 ,ク ラス タ状 に して,基 板表面 に輸送 し,薄 膜 を
形成す る方法である.PVD法 には真空蒸着法や スパ ッタ リン グ法 ,分 子線 エ ピタキシ
ー (MBE:Molecular Bcarn EPitaxy)法 ,パ ル ス レー ザ ー 堆 積 (PLD:Pulsed Laser Deposition)
法が ある
.
CⅥ〕 法は,薄 膜構成原子 を含 む 化合物 ガス を原料 として ,化 学反応 を利用 して薄膜
化す る方法 である.化 学反応 の ため のエネル ギー を何 か ら得 るかによつて,あ るい は原
料 ガ ス の 違 い に よ っ て ,幾 つ か の 方 法 に 分 類 され る 。熱
法 を以 下 に示 す
熱
CVD,プ ラ ズ マ CVD,MOCVD
.
CVD法 は,堆 積 させ よ うとす る物 質 の構成元素 を蒸気圧 の 高 い化学種 を して,水
素や窒素な どのキ ャ リアガ ス とともに基板領域 に供給 して,基 板材料 上に結晶 を成長 さ
せ る方法である.主 として反応 を進行 させ る原動力が熱励起 され た化学反応過程 である。
プ ラズマ CVD法 は,プ ラズマ 放電 を利用 して原料 ガス をプ ラズマ状態 に し化学的に
活性 な励起分子 ,ラ ジカル ,イ オ ン を高効率に生成 させ て,化 学反応 を促進す る方法で
CVD法 よ りも低 い基板温度 で成膜 で きる。 また,熱 非平衡状態
で化学反応 が進 行す るために,熱 CVDで は得 ることの難 しい構造や組成 ,物 性 の薄膜
あ る。特徴 として,熱
が成長 で きる
.
MOCVD(MctJorga」 cCVD)法 は,原 料 ガス に炭素 ¨金 属結合 を持つ有機 金 属化学
物 を用 い る CVDで ある。MOCVD法 は,MBE法 に比 べ数多 くのプ ロセスパ ラメー タの
コ ン トロール が必要 となるが,大 面積 で成長 がで きるために,工 業的 に優れ た方 法 で あ
る
.
2.2 リモー トプラズマ励起有機金 属化学気相堆積法
MOCVD法 では基板力目熱 によつて原料分解 を行 うために,原 料 の種類 によって基板温
度 を原料分解 温 度 にす る制限があ る.本 研究で用 い た リモー トプ ラズマ励起 MOCVD
(RPE‥ MOCVD)法 は ,MOCVDと プ ラズマ CVDを 組み合 わせ た 薄膜成長法 である。
成長圧力は 1∼ 10 Paで あ り,一 般的 に行われてい る MOCVD法 の成長圧力 として用 い
られ る常圧 か ら減圧
(∼
102 Pa)域 よ りも 1桁 低 く,気 相 中で の反応 を抑制 してい る
.
本研 究 では,垂 直型 チ ャンバ ー な らび に水平型チ ャ ンバ ーの RPE‐ MOCVD装 置 を用
い て結晶成長 を行 つた。垂 直型 はマニュアルでバルブ開開を操 作 し,こ れ を用 い て基本
単膜や ヘ テ ロ接合 を作製 した.一 方 ,水 平型 は コンピュー タで の 自動 バルブ 開開制御 を
備 え,多 重量子丼戸構造 の作製 に用 い た。
まず垂直型チャ ンバ ー を備 える RPE… MOCVD装 置 のガ ス系統図 を Fig.2.1に 示す 。ロ
ー ドロ ック機構 を備 えてお り,成 長 チ ャンバ ー 内は常に外気 と遮断 されてい る。排気系
を
2ラ イ ン持 ち ,成 長 室 排気 と成 長前 室 排 気 用 の ター ボ 分 子 ポ ンプ (TMP:Turb0
Molccular Pump)に よ つて成長時か ら基板搬送 までオイル フ リー とな つてい る.こ れに
よ り,成 長 室 のバ ックグラ ン ド圧力 は 10 7 Paに 達す る。EtCP2Mg原 料供給 ライ ンは
,
原料供給中の ライ ン内 の原料液化 の防止 目的 で,ヒ ー タで温 めて られてい る.水 素 ガ ス
はパ ラジ ウム式水素精製機 を通 して高純度化 してい る。
成長反応炉 を Fig。 2.2に 示す .垂 直型 のステ ンレス製 チ ャ ンバ ー であ り,水 平 に置 か
れた基板 ホル ダーの上部約 10 cmの 高 さに位置す る石英導入管 を通 して有機金属原料
な らびに,キ ャ リアガ ス,原 料 ガ ス が供給 され る.基 板 ホル ダー表面 は SiCコ ー テ ィン
グ され てい る。本 装置 の特長 である,プ ラズマ 生成 部 はパ イ レ ックス製 であ り,基 板表
面 か ら約 30 cmの 高 さに設置 され て い る.VI族 原料 として用 い た酸素 ラジカル は,酸
素 ガ スがプラズマ 生成管 を経 由 して生成 され ,成 長 チ ャ ンバ ー に導入 された .プ ラズマ
生成部 に容量結合 型 で 』 3.56MHzを 印加 して ラジカル ,イ オ ン,電 子 ,光 ,が 生成 さ
れ ,比 較的寿命 の長 い 中性酸素 ラ ジカルのみ が輸送管 を通 つて基 板直上へ 供給 され る
.
Ⅱ 族 有機 金 属原料 と して ジエ チ ル 亜 鉛 (DEZtt Diethyl zinc),ジ メチル カ ドミウム
(DMCd:Dimcthyl cadmillm),ビ スエ チル シク ロペ ンタジエニル マ ダネ シ ウム (EtCP2Mg:
bお ‐
cthyicyclopentadienyl magnesium)を
用 い た。 これ ら有機 金属原料 は常温 で液体 であ
る。有機 金属原料 は恒温槽 内にて一 定温度 に保持 され ,水 素 キ ャ リアガ スでバ ブ リング
され て ,有 機金属原料気体 と水素 の混合ガ ス として反応容器 内 の基板表面 に供給 され る。
12
MFCiMass F o喘 Controlに「
TMP:Turbo Mol剛 la「 Pump
RPi Rotary pump
Fig 2 1 Schcmatic diagram ofga.s■
ow linc ofRPE MOCVD systcm
DEZn,
Fig. 2.2 Schematic diagram of the vertical reaction chamber of RPE-MOCVD
13
次 に水 平型 RPE‐ MOCVD装 置 の ガ ス 系統 図 を Fig 2 3に 示 す .排 気 系 は 2ラ イ ン あ り
,
成 長 チ ャ ンバ ー は メカ ニ カル ブ ー ス ター ポ ンプ
(EDWARDS製 ,EH250)と
ロー タ リー
(EDWARDS製 ,E2M40)を 備 え ,ベ ン トは ロ ー タ リ ー ポ ン プ (ア ル カ テ ル 製
2015SD)を 備 えてい る チ ャ ンバ ー 圧 力 は これ ら真 空υF気 ポ ンプ と 自動圧 力調整器
ポ ンプ
(NIKS製 ,″ pc651C)で
,
1∼ 10 Paの
圧力範囲 で制御 一 定に保 つ
キ ャ リアガス として
用 いた水素は,パ ラジ ウム透過膜式水素高純度精製装置 によつて純化 され てい る
.
成長反応炉 を Fig 2 4に 示す
水平型石英製 チ ャンバ ー であ り,有 機金属原料 は基 板
に対 して水平方向 か ら供 給 され る Ⅵ 族原料 の酸素 ラ ジカル は基板上部 よ リシャ ワー
ヘ ッ ドを通 して供給 され る 成長基板 は,カ ー ボ ンホル ダー 上石英サセプ タの上に置 か
れ る 基板加熱は,石 英 チ ャンバ ーの外部に設置 された高周波誘 導加熱用発振機 (第 一
機 電社製 ,TR‐ 01001)か ら高周波(ro20周 陀 印加 によるカー ボ ンホル ダーの誘導力日
熱に
よつて行われ る 基板温度 の制御 は,熱 電対で計測 した温度 を フィー ドバ ック し rf電
力 の PID制 御 で行 なわれ る.プ ラズマ 生成部 は誘導結合型 で f1356MHzを 印加 してプ
ラ ズマ生成す る プ ラズマ 生成部 は基 板直上か ら 50cm離 れ てお り,寿 命 の長 い 中性 酸
素 ラ ジカル が基板 上に供給 され る
II族 有機 金 属原料 として DEZn,DMCdを 用 い た .こ れ ら有機金属 原料 は恒 温槽 内に
て一 定温度 に保持 され ,水 素 キ ャ リアガ スでバ ブ リング され て,有機 金属原料気体 と水
素 の混合ガ ス として反応 容器 内 の基板表面 に供給 され る
供給す る原料流 量は,卜
c
FIH整 の水素キャリアガ ス流量 と,恒 温槽調整 の原料温度 ,圧 カ バ ルブ調整 のバ ブ『
リング
圧 力によつて決まる
14
距
V M
”“
Шt
rr
RP
Ercprfrg
MFC:Mass Flow Controller
MBP: Mechanical Booster Pumo
RP: Rotary Pump
Fig. 2.3 schematic diagram of qas flow line of RPE-MocvD system with horizontal reaction
chamber.
rt coil (rf 20 kHz)
--...-'-.-+
DEZn, DMCd, H?
●xh● ust
Fig. 2.4 Schematic diagram of the horizontal reaction chamber of RpE MOCVD.
l5
Ⅱ族有機 金属原料 の飽和蒸気圧 曲線を Fig 2.5に 示す .DttL DMCd,EtCP2Mgの 飽和
,温 度 の関数 として表 され る式(21),(22),(23)で 見積
供給す る原料流 量は,マ スフロー コン トロー ラ (MFC:mass■ ow ⑩由 ollcr)
蒸気圧 PDEZn,PDMC`,PEtCP2Mgは
もつた
調整 のキャ リアガス流量 と,恒 温槽調整 の原料温度 ,圧 力調整 バルブFII整 のバ ブ リング
圧力によつて決まる.基 板 は約 25 rpmで 回転 させ なが ら成長 を行 う
―
器
b%陽幽 =乙 ―
"司 “器
鋼 7-器
b%[‰
b%[PDEDけ 1=&郎
(21)
,
(22)
,
2拗
(23)
,
"司
103
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︵
Loし o﹂
10°
L 0
5
一‘
・ ハu
300
Temperamre(K)
Fig.2 5 Vapor prcssurc ofDE"L DMCdand EtCP夕 し
MOCVD法 による Zno成 長 では,通 常 DEZnが
Ⅱ族有機 金属原料 として使用 され る
が,DEZnと 酸素 が爆発的 に反応 して気相中で Znoパ ウダー が生成 し成膜 が難 しい そ
のために,比 較的 に反応不活性 な酸素源 を用 い る.例 えば,C02,N20,NQ,H20,ア
ヒ反 応 を抑 えて,基 板 上で酸化 させ る
ル コール を用 い る ことで,気 相 中の有機 金属 の酸イ
よ うに工大 してい る。また ,酸 素 との反応性 が低 い Zn原 料 として亜鉛 アセチルアセ ト
よりこの
成長法 では Zno成 長条件 は,酸 素空子Lの 低
ナー トを用 いてい る報告例 もある
減 のために Ⅱ族原料流 量 に対す る Ⅵ 族原料流量比,V1/11比 を大 きく して い る 気相 中
16
で の酸化反応 を抑 え基 板表面上で の 酸化 を促進 させ るためには,基 板温度 を高 くす る必
要 が ある
しか し,高 温 では基板 へ の原料 の付着係数が低 く初期核 生成 が遅 いために製
膜 が 困難 である RPE― MOCVD法 では 中性酸 素 ラジカルが原料 の分解 エネル ギー に寄与
す るために低 い基板温度 で製膜 で きる
23
実験方法
ZnO系 半導体 の成長基板 として a面 (11-20)サ
フ ァイ アを用 い た .成 長基板 の洗浄 は
,
まず 有機 溶剤 アセ トン,メ タノール の 有機溶剤 で超音波洗浄す る
そ の後 100° Cに 加
熱 され た ,リ ン酸 と硫酸 との混合酸 中でエ ッチ ン グを行 う さらに反応 装置内 で成長前
の基板表面 ク リー ニ ン グ として,基 板温度 800° Cで 水素 ラジカル を照射 した
成長 した試 料 の評価 として,膜 厚 は触針式段 差計 (Vccco社 製 ,Dcktど )で 計測 し
,
混品薄膜 の混晶組成 を原子吸光分析 (AA,Atomた AbsoⅢ 10n spectroscow)装 置 (TherFnO
r S4‐ AA)で 評価 した 結晶構造 と配
sdcn■ ■c社 製,SdЯ Я
向性 は X線 回折 (XRD:X‐ Rγ
D綱 ぃ面On)装 置
(リ
ガ ク製 ,ULTIMA‐ III)で 調 べ た
光学特性 と して,光 学バ ン ドギ
ャ ップ の 見積 りを分光透過率測定 (島 津製作所製 ,IJV‐ 3100PC)で ,発 光エネル ギーや
そ の 半値幅 (FWHM:Fu‖ 宙dth at halimttimum)を 低温並びに室温 におけるフォ トル ミ
ネセ ンス で調 べ た さらに,発 光寿命 を低温での時 間分解 フォ トル ミネセ ンス (TRPL:
■mc‐ Rcsolvcd PL)に よって評価 した。stca″ ―
■atC PLと TRPLの 測定系は次節 で示 す
キ ャ リア濃度 を Van dcr Pallw tt Hall測 定で調べ た
ヘ テ ロ接合デ バ イ スには電流電圧
特性 ,エ レク トロル ミネセ ンス を評 価 した
231成 長基板
ZnOの 結晶構造は大 方晶系 の ウル ツ鉱構造である
して用 い られ るな ど比較的に安価 に手 に入 る
2‐
"
サ フ ァイアは
GaNの 成長基板 と
サ フ ァイ アの結 晶構造は コランダム
構造 と呼ばれ る,大 方最密 充填 した 02の 層 が あ り,ア ニオンの間 に人 面体配位 の穴の
2/3を AP・ カチオ ンが埋 め られてい る構造 である 正確 には菱面体晶系 であるが六方 晶
系 で近似 され ,Znoの ウル ツ鉱構造 と同 じで ある 一般 に,サ フ ァイアの よ うな酸化物
はイオ ン結晶であ り,ア ニ オンがカチオ ンをきつ く引き付けてい るために,結 品 の表面
は酸素原子 で覆 われてい る 結晶成長基 板 として用 い られ る面方位 は(0001),(11‐ 20),
(10‐ 12)で
,こ れ らはそれぞれ c面 ,a面 ,r面 と呼 ばれ る 面方位 を Fig
17
2 6に 示す
●面 :10001)
a面 :(11-20)
1価 :(1● 12)
al
Fig. 2.6 Schematic diagram ofhexagonal-type crystal structue and typical Miller index.
本研究では Zno系 半導体 の成長 基板 として ,a面 サ フ ァイ ア及び r面 サ フ ァイ アを用
い た 。ZnOの 格子定数 は α軸長 が 3.250A,c軸 長 が 5.213Å である 一方 ,サ フ ァイ ア
の α軸長 とο軸長 はそれぞれ 4.754A,12.99Aで ある。α面 サ フ ァイ ア基板 上では Zno
で成長す る これはサ フ アイ アの ″面 に沿 つて Znoの α軸長 の 4倍 がサ フ ァイ
は
`面
アの ο軸長 に一致 し,3回 対称 の ZnOは 2回 対称 のサ フ ァイ ア α面の ι軸長 と整合 し
,
ZnOく 11‐ 20>と サ フ ァイア101X11]が 平行 となるよ うに して高品質 な
Zno薄 膜 が得 られ る
2,)
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,
Fig. 2.? Schematic diagram ofthe atom positions for basal ZnO grown on a-plane sapphire. The
dots mark the Zn-atom position and the dashed lines show the sapphire a-plane unit cells. The
open circles mark the O-atom positions.
18
R面 サ フ ァイ アの面内格子定数 は Znoの c軸 長 の 3倍 と一致 し,等 倍格子整合す る
ZnOは ′面成長す るため回転 ドメイ ンの無 いエ ピタキシャル成長 が得 られ る.Fig 2 8o
に ′面サ フ ァイア基板 上の
ZnOエ ピタキシ ャル成長面方位 を,(b)に 面内方向の格子 の
関係 を示す
!(1001
(12q
【
Sapphire 100011
azn
剛
Q
o r epetrir
L躙
●方向
-2nO膜
―ALO,こ 根
○
0521
Fig 2.8 Schematic
representati on Of(→ thc cphaxi」 relationship between a-plane
r-plane sapphire substrate and (b)
a planc vic、 v Ofthc surface atoms,
ZnO surface.
19
ZnO and
which lie on the a-plane
24
フォ トル ミネセ ンス (PL)測 定系
24.1
定常 PL(Stcady‐ statc PL)
Fig 29に 示す 励起 光源 には H← Cdレ ー ザ ー
(Kimmon製 ,IK5652R‐ G)の 波長 325 nlnを 用 いた 最大出力 は 3mWで ある Hc‐ Cd
低 温 で の ゞcady‐ statc PL測 定 系 を
レー ザー は レンズ系 で集光 され ,試 料表面 上ではスポ ッ ト径 0.5 mmoで まで絞 られ る
試料 はクライオス タ ッ ト(イ ワタニ ブランテ ック製)ヘ リウム冷凍機 によつて冷却 され
バ
到達最低温度 は 16Kで ある フオ トル ミネセ ンス は レンズ系 で集光 され ,フ アイ プ
,
ロー プを通 り分光器 に送 られ る.光 入射部 の構造は,光 フ アイ バ を複数本 ラ ンダム にバ
ン ドル 状 に東ね られ ,分 光器側 出射部 では ス リッ ト形状に一 列 に並べ られて い る.分 光
器 は浜松 ホ トニ クス製 の C5094で あ り,構 造 は ツェル ニ ターナ型である 通常 の測定
で使用す る回折格子 は 150 gr/mmで ある 高分解波長測定 で は 1200 gr/mmを 用 い る
光検 出器 は浜松 ホ トニ クス製 C4564の 1024チ ャ ンネル MOS型 リニアイ メー ジセ ンサ
である
スペ ク トル デー タを コ ンピュー タで取得す る
He-Cd laser
clf,
-_-- --__
_
---- -- --------::t-
wavelength 325
nm,
power d-nsity 2 Wcrnz
\
Fig. 2.9 Experimental setup for cw-photoluminescence system.
20
242
時 間 分 解
PL(■ me― rCSdVcd PL)
キ ャ リア再結合 にお けるダイナ ミクス特性評価 で用 い た時間分解 フ ォ トル ミネセ ン
ス(TRPL;Time‐ Rcsolve PhOtolumincscencc)測 定 した
よつて TRPL測 定 してい る 測定系 を Fig 2 10に
試料はヘ リウム冷凍機 によつて到達温度
本研究では ス トリー クカメ ラ法に
,構 成 装置名 ,メ ー カ と併せ示す
8Kま で冷却 され る
励起光源 はモー ド同期チ タンサ フ ァイ ア (TI:sapphic)レ ー ザ ー第 2高 調波 を用 い試
料 に照射 した
パル ス幅 1 5 psの パ ル ス光 が繰 り返 し周波数
40 MHz,800鳳 セ で 出射
す る 波長 は 355 nrn(エ ネル ギー3 49 cV),パ ワー密度 は 1 6 1tJ/cm2で ぁる チタンサ
フ ァイ ア レー ザは Nよ YVOレ ーザ ー 第 2高 調波 (波 長 532 nln)に よって励起 されてい
る
分光器 はツ ェルニ ター ナ型 で構成 され ,通 常測定で使用 す るグ レー テ ィン グは 300
gr/mmで ある 波長分散 された フォ トル ミネセ ンス光は,ス トリー クカメラによって時
間情報 を持 たせ る ス トリー クカメ ラでの掃 引開始 の タイ ミングは,Tisapphireレ ーザ
ー のパ ルス 光 を フォ トダイオー ドで受光 して トリガーデ ィ レー ユニ ッ トで 同期 してい
る フォ トル ミネセ ンス光 は CCDで 検 出 され ,デ ー ター を コ ン ピュー ター で取得 した
く ゴ
modelocked Ti:sapphire laser
excitation
け
Dulse. ,.=710 nm
second harmonic
generator
,■ =532
nm
il
---
/
n
- -l----i
--
--
--------- ---*
= JCC n|n,
P = 1.6 Nlcmz,
a.l = 1.5 ps,
f=40.0.8MH2
Fig. 2.10 Experimental setup for time-resolved photoluminescence sysrem.
21
■sapphlrcレ ーザー(710
Spectra Pけ JCS製
mm)
MILnnh Xs SpcctrttP,dcS製
■sapphirc励 起 レーザー(532 mnl
Nd:YV01(波 長 1064no光 の非線形光学結晶 LiB30Sに よる第 2高 調波
第 2高 調波発 生器 (355
nrll)
Tunarni 3980
Spcctra Physics'1
分光器
C5094
浜松 ホ トニ クス製
ス トリー クカメラ
CS680-14
浜松 ホ トニ クス製
CCD光 検出器
C4742‐ 95
浜松 ホ トニ クス製
ス トリー クカメラの原理を Fig 2 Hを 用 いて説明す る ス トリー ク管 の構成はス リッ
ト,レ ンズ,光 電面 (光 を電子 に変換 ),掃 引電極 ,MCP,蛍 光面 (電 子 か ら光 に変換 )
である 被測定光はス リッ ト, レンズ系 を介 して,ス トリー ク管 の光電面 に入射す る
MCP(MにrO chamd Pl試 c)は 電子増倍器 であ り,チ ャ
10∼ 20mm程 度 )を 多数束 ねた厚 さ 05∼ lmm程 度 の大 きさ
光電面 上で光は電子 に変換 され る
ネ ル は細 いガ ラス管 (内 径
であ る チャンネル に入射 した電子 は,チ ャ ンネル 内壁 に コー テ ィングされ た 2次 電子
放 出材料 によつて ,内 壁 へ の衝突 を繰 り返 しなが ら増倍 す る 増倍率は最 大 104程 度 で
ある
ヘ
時 間的 にも空間的に もずれ た ,強 度 の異な る 4つ の光パル ス が ス リッ ト 入射 して光
電面 に達 した場合 を考 える 入射 光 は光電面 でそ の強度 に応 じた数 の電子群 に変換 され
これ ら電子群は加速電極 によつ て蛍光面に向か つて飛び出す 4つ の光パル ス によつて
,
生 じた電子群 は,掃 引電極 を通過す ると同時に掃引電圧 を印加す る ことで,通 過 タイ ミ
ン グの少 しず つ異な る電子群 は角度 の異な つた進行方向へ進 む そ の先 の MCPで 数千
倍 に増倍 された電子群 は蛍光面 で再び光 に変換 され る 蛍光面 で垂 直軸 が時 間軸 とな り
,
実際 の計測 では,こ の掃引を繰 り返 して積算 して微弱光信号 を高
SNで 取得す る
実際 のス トリー クカメラ法 の測 定では分光器 と組み合わせ て使 用 し,Fig2 12に 示す
よ うに,蛍 光面上で被測 定光 の強度変化 を時間情報 (縦 軸)と 波長情報 (横 軸 )の 輝度
分布 に置 き換 えられ る ス トリー クカメラの時間分解能 は非常 に高 く,本 研 究 で使用 し
た ス トリー クカメラ (C5680,浜 松 ホ トニ クス製)の 時間分解能 は 2 psで ある
22
■¨
Streak image on
phosphor screen
/^l
t0 \l
I 0oo)!'^"
ll
r
\
n
photoelectron
surface
ttength
:ll!1lectr°
(eleCt「 On→ photon)
(photon-electron)
Fig. 2. I I Schematic diagram of Streak-camera system.
Waveiength(nm)
480
490
500
0 0
0 0
4 6
→0︶oEF
Fig 2 12 Datatakcn by timc― rcsolvcd PL mcasurcmcnt
参考文献
2-1)K Haga,T Suzuki,Y Kashiwaba,H Watallabc,B R Zhang,Y Scgawa,Thin Solid
Films 433,131(2003)
2-2)R Fons,K Iwtta,A Yamada,K Matsubara,S Niki,K Nakahara,T Tanabc,H Takasu,
AppI Phys Le■ 77,1801(2000)
2-3)J Bai,T Nsgc,H D Lib,N Jimga,S Sakal,」
Cwst Gro、 vth 231,41(2001)
^
j
つ乙
3章 Zn(M3Cd)0三 元 混 晶成 長
第
31は じめに
可視 ,紫 外 の発光デ バ イ ス を実現す るた めには,Zno系 ヘテ ロ構造 の作製 は必 須 であ
る
そ のためには,ZnO系 三元混品 のバ ン ドギ ャ ップエ ンジニ ア リングが必 要 である
混 品 の 候 補 と して は ,ア ニ オ ン の イ オ ン半径 が 近 い こ とか ら,ZttiCCO並 び に
Mttζ 軸ッ
0が ある
3り
しか し,二 元 の 結晶構造 が異 な り,Znoは ウル ツ鉱構造 であるが
,
CdOと MgOは 岩塩構造 であるために, Z助 ,C40や Mg・ZnIッ 0の 結晶構造 は ウル ツ鉱
構造 も岩塩構造 もとり得 る 混晶組成 (Cd組 成 xや Mg組 成 y)が 小 さい ときはウル ツ
これ までに,Z軸 ,C40
め,分 子線 エ
(PI´ D)法
鉱構造 を保 つ が,大 き く した場合 に岩 塩構造をとるよ うになる
薄膜 は幾 つ かの方法で 作製 され てお り,パ ル ス レー ザー堆積
ピタキシー
(MBE)法 3)341,MOcVD法
3‐
3つ
3‐
"‐
3‐
が報告 されて い る Z島 ,C40混 品化 は
難 し く,い かに非平衡 条件下で作製す るかが重要 となる,本 研 究 では酸素 ラ ジカル を
Ⅵ 族原料 として導入 した MOCVD法 で Cd組 成 06ま で ウル ツ鉱構造 Znl,c40を 作製
3m3■ 0他
グループの報告 で もラジカル を用 いた MBE法 では最 大 Cd組 成 03
3■ l,3■ )ゃ
レ
まで混品化 された と報告 されてい る.一 方 ,MgIZnけ 0薄 膜成長 は PLD法
‐
3■
3Joで の
ー ザー MBE法 3:),MBE法 ●
報告 がある 大面積成長 が 可能 であ り産業的 に
コη
有用 な MOCVD法 で の報告例 は少 な い MOCVD法 では Mg有 機金属原料 に Cp2Mピ
2o321)を い
用 て成長 され てい る 本実験 ではそ の 中で最
や McCp♪Иgコ つ.コ 9,EtCp2Mピ
して い る
も飽和蒸気圧 の高 く混晶成長 に適 した EtCDMgを 用 いた
ヘ テ ロ構造発光デ バ イ スの設計 には,Zn(Mg,Cd)0の 発光特性や光学特性 と混品組成
との 関係 が必要 とな るが ,広 い 混 晶組成域 で あ き らか にな つて い な い
RPE―MOCVD法 に よ つて作製 した ウル ツ鉱構造 Znl∫ 40,MglZnlッ
特性 と混晶組成
(χ
本章 では
,
0の 構造特性 や光学
,y)と の関係 を系統的に評価 した 混晶組成 の定量 は原子吸光分析
(AAS:Atomic Absorption Spcc■ oscopy)に よつて精度良 く行われ た バ ン ドギャップや
PL発 光エ ネルギーの混晶組成 に対す る変化を明 らかにし,そ の結果 よリバ ン ドギャ ッ
プが大 きくボ ウイ ングすることも明 らかに した
24
.
3.2実 験方法
0を a面 サ フ ァイ ア基板上 に RPE“ MOCVD法 によって成長 し
た。Ⅱ族有機金属原 料 には DEZn,DMCd,EtCP2Mgを ,VI族 原料 には酸素 ラジカル を用
いた.Znl,c4o並 び に MgyZnlッ 0の 典型的な成長条件 をそれぞれ Table 3.1,3.2に 示す
Z■ 0,Znl,C島 0,MgJ2Znlッ
.
混晶組成 (x,y)の 制御 は Ⅱ族有機金属原料 の調整 によっ て行 つた .試 料膜厚 は 0.5∼
l
μm
である
.
Table 3.l Typical grOwth condition ofZnl,C軋
Chamber pressure
1.3 Pa
Substrate temperafure
300° C
Rf power
30W
O ternary anoy
(DEZn+DMCd)■ OW rate
TOta1 6 μmo1/min
02■ OW rate(for plasm→
5 sccm
l0
H2 Carrier gas
sccm
Table 3.2 Typical glrowth conditio■ ofMttznlッ O temary a1loy
Chamber pressure
1.3 Pa
Substrate temperature
450° C
Rf power
30W
(DEZn + EtCp2Mg) flow rate
Tota1 2 μmo1/min
O2
5 sccm
flow rate (for plasma)
10 sccm
H2 Carrier gas flow rate
成長基板 に用 い たサ フ ァイ アは,ア セ トン,メ タノール ,超 純水 で超音波洗浄 した後
硫酸 とリン酸 との混合酸
(害 J合
,
3:1)160° Cに 浸 け,15分 間 の表面エ ッチ ング処理 を
した。
Zn(Mg,Cd)0三 元混晶薄膜 の混晶組成 は原 子吸 光分析 (AAS)法 によつて精度 良 く分
析 した .3mm角 試 料 を酸 で溶 か し出 して組成定量す るため,得 られ る混晶組成 は試 料
全体 の平均的な値 で ある.結 晶構造 の評価 として XRD測 定 を行 つた。光学特性 として
光学バ ン ドギ ャップ を分光透過率測定 よ り評価 し,発 光 エ ネル ギー を室温並びに
でのフ ォ トル ミセ ンス測定 よ り評価 した。
25
,
16K
3.3 結果 と考察
3.3.1 結晶構造
ウ ル ツ 鉱 構 造 Z助 ,C40並 び に MttZniッ 0の
XRDパ
タ ー ン を Fig.3.3に 示 す
(b)Zno.86CdO.140,(C)Zn。 .70CdO.300,(d)ZnO.47CdO.530,(C)MgO.07ZnO.930,(OM駒
.o ZnO,
.26ZnO.740で
あ る.oで 34,42° に Z■ 0(0002)の 回折 ピー クのみ が観測 され ,c tt ZnO単 結晶 が得 られ
て い る こ とが分 か る.37.78° の回折 ピー クはサ フ ァイ ア基板 (11-20)で ある。(b)∼ (d)は
徐 々に Cd組 成 を大き くした Znl_C40の
XRDパ ター ンを示 してい る.Cd組 成 の増加
に従 つて,Znl_C島 0(0002)の 回折 ピー クが低角度側 に シフ トしてい ることが分 かる.こ
2+(ィ ォ ン
れ は Z■
半径 0.60A)サ イ トにイオ ン半径 の大 きい Cd2+が 置換 され たために
`
一 方 ,o,(c),(0は 徐 々 に Mg組 成 を大 き く した MJhlッ 0
軸長 が伸 びて い る こ とを示す 。
0(0002)の 回折 ピー クが高角度
の XRDパ ター ンを示す。Mg組 成 の増 加 に伴 い MttZ軸 ッ
十
側 ヘ シフ トしてい る こ とが分 かる.こ れ は Zn2+サ ィ トにイオ ン半径 の小 さな Mピ (ィ
オ ン半径 0.57Å )が 置換 されて ε軸長 が縮 んだためである
.
“
ご雫 〓 ︶ OJく
匡一
︵
∽︺
Eコ00︶ゝ〓のE〇一
C一
︵
匡コ00︶ゝだ∽LO一
”
︺
ヽOF
︵
︲
く
N
▼
▼
O
︵
NO一一︶O CN
(b)Zn。 _86Cd014°
(C)Zn070Cd030°
(O Mg026ZnOB4°
(d)Zn047Cd053°
o
35
35
40
2d (degree)
2a (degree)
Fig.3.3 XRD pattems iom Zn(Mg,Cd10 J10y■ lms:(尋 Zno,(b)ZnO.86Cd0 140,(C)
Z■ 0.70CdO.300,(C)MgO.o7ZnO.930,and(o
MgO.26Z■ 0.840,Open circle shows XRD peak position of
Zn(Mg,Cd)O(0002).
26
Z■
0の 結晶構造は ウル ツ鉱構造であるが,CdOと MgOは ともに岩塩構造 を とる。そ
の ため,Z助 .C40や MgyZnlッ 0は 混晶組成 の大 きな領域 では ウル ツ鉱構造 と岩塩構造
が存在す る相分離 が生 じる。Figure 3.3よ り α面サ フ ァイ ア基板上 の
Znl_C40並 びに
MgyZnl_yO三 元混晶は ウル ツ鉱構造 を とり θ面 で成長 してい ることが分 かつた。Bragg
の回折条件 の式 を用 い て算 出 した Zn(MgCd)0の 格子定数 (`軸 長 )と 混 晶組成←,y)の
関係 を Fig.3.4に 示す 。 ウル ツ鉱構造 Zn(Mg,Cd)0の みを示 してい る。Znl,C島 0の
`軸
長 を黒丸で,Mがhl_y° の c軸 長 を黒四角 で示す 。
0.550
0.545
Mgρ lヂ
I for Zn1-ICdxO
| +
this wo「 k
十
thiswork
―訃 ‐Laser・・MBE(Matsurl100 eF al,ぼ 卜1311 -0‐ MBE(sadOfev er al,は cH)
0.540
o匡型 ∽一
︵E こ 〓一
x冊3
0
0.535
0.530
0.525
f
c{x)=0. SZOT+0. 056x-0 .929
0.520
0.515
c(y)= 0. 52
07
a .023y-0-n0 5f
0.510
1
.0
0,3
0.6
0.4
0.2
0.0
0.2
Mg content,y
0.4
0.6
0.8
1.0
cd cOntent,χ
Fig.3.4 Dcpcndence of`¨ axis lcngth in Znl_C島 O and Mg.Znlッ O on a1loy cOntent(χ ,勁
ZnOの c軸 長 は 0.5207
rlmで ある。ウル ツ鉱構造 Znl_c40が
い範囲 で得 られ ,Cd組 成 の増 加 に伴 い Znl_C40の
`軸
.
Cd組 成 0か ら 0.6の 広
長 は増 大す ることが分 か つた 。
Zna47CdO.530で は ε軸長 0.5416 nmと なる.c軸 長 の 実験結果 を Cd組 成 χに対す る 2次
関数 で最 小 二乗法 によ リフ ィ ッテ ィ ングす る と
,
c(x)
: 0.5207 + 0.056x - 0.029x2
(x < 0.6),
(3.1)
で表 され る。Cd組 成 に対す る Znl_Cム 0の c軸 長 の増大傾 向 について,Fig.3.4に 自丸
と破線 で示 した,極 最近 SadOfevら によって報告 された MBE成 長 Znl,c40の 結果
3-→
と比較す る。本研究結果に よる混 品化 に伴 う Znl,CtOの c軸 長 の増大傾 向 と良 く一致
27
してい る こ とが分 か る。
Mg組 成 0か ら0.3の 範囲 で ウル ツ鉱構造 であ り,Mg組 成 の増加 に伴 い
長 は減少す る。MgO.29ZnO,710で は σ軸長 0,514… である.`軸 長 の実験結果 を Mg
MgyZnlッ 0は
`軸
組成 ノに対す る 2次 関数 で最小 二乗法 によ リフ ィッテ ィングす る と
,
r (y)
: 0.5207 - 0.023y - 0.005y2
(y < 0.3),
(3.2)
で 表 され る .Mttsumotoら に よ つ て 報 告 され た レー ザ ーMBE成 長 MgyZnlッ 0の ε軸長 の
結果
3‐
13)と
比 較す る。Mg組 成 の 定 量 方 法 は RBS(Rutherford Back Scattering)で あ る 。
結果 を 自四角 と破線 で示 す 。Mg組 成 に対す る σ軸長 の 変化 は これ ま で の報告値 と傾 向
が 一 致 して い る こ とが 分 か る
.
3.3.2 光 学 バ ン ドギ ャ ップ
Zn(Mg,Cd)0の 室温 にお け る透過 率 ス ペ ク トル 並 び に PLス ペ ク トル を Fig。 3.5に 示す 。
左 縦軸 は透 過率 を示 し,右 縦軸 は PL強 度 を示 す 。
100
0
︵
S ︶oo匡裏 だE oEE ト
0
100
Zn086Cd014°
0
100
ゝ一一
OEO︺E一JL ﹁ON〓口Fヒ O Z
100
0
100
0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
Photon energy(eV}
Fig.3.5 Transmittance spectra and PL sPcctra from Zn(Mg,Cd)O al10y五
28
lms.
ZnOの 吸収端 エ ネ ル ギー は PLピ ー クエ ネル ギー にほぼ一 致 し,3.3 cVで ある
.
Znl_CtOで は Cd組 成 の増大 に伴 って吸収端 エ ネル ギーや PLピ ー クエネル ギー は とも
に低 エ ネル ギー側 ヘ シフ トす る こ とが分 か る。また吸収端 エ ネ ル ギー と PL発 光エ ネル
ギー との差 が Cd組 成 0.3付 近 まで増 大 し,Cd組 成 0.5付 近で再び小 さくなることが分
か る.MgJ7Znlッ 0で は Mg組 成 の増 大に伴 つて吸収端 エネ ル ギー や PLピ ー クエ ネル ギー
は ともに高エ ネル ギー側 ヘ シフ トす る ことが分 かる
.
光学 バ ン ドギャ ップが分光透過率 か ら導 出 した♂ プ ロ ッ トに よつて 見積 もる こ とが
で きる。ウル ツ鉱構造 Zni.ctO(0<x<0.6)並 びに ウル ツ鉱構造
Mがhlッ 0(0<ノ
<0.3)
の光学バ ン ドギ ャップ の Cd組 成 x,Mg組 成 y依 存性 を Fig.3.6に 示す .ZnnC島0を 黒
丸で表 し,MttZnlブ 0を 黒 四角で表す
5。
.
WuFtZite
0
RPE¨ MOCVD
― ―PLD(Ohtom● er d)lyCO.5)in Ref.3¨ 11
4.5
:
RPE‐ MOCVD
― ‐PLD(MakinO er d)(χ くo.07)in Ref.3… 2
:」 D―
「
:
l
:
Q0
︵
0■︺
>o︶Q●o ﹁E輛0 一
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1
.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0日 0 0■ 2
yin Mg/nlP
0.4
0.6
0.8
1.0
X h Znttχ Cdx0
Fig 3.6 Dependence of optical bandgap forZn(Mg,Cd)O at room-temperature on alloy content
IX,勁・
29
0の バ ン ドギ ャ ップは 3.28 eVで ある.Znlィ C40は Cd組 成 の増加 に伴 い 1.9eVま
0は Mg組 成 yの 増加 に伴 い 3.75 cVま で増 大す る。光学 バ ン ドギ ャ
で減少 し,Mg17Z助 ッ
Z■
ップの混晶組成は,y)に 対す る 2次 関数 を最小 二乗法 でフ ィッテ ィ ングす ると,式 (3.3),
(3,4)の よ うになる。
E, (*) :3.28
En
-4,02x+3.04xt
(y) = 3-28 + 1 .05y +3.47
yt
(o (x(0.d),
(3.3)
(o < v < 0.3),
(3.4)
他 グルー プの報告結果 を破 線 で示 した
Makinoら による
,3■
3-η
znl.C化 0に つい て ,本 研 究結果 を
1)。
PLD成 長 Znl,c40の 結果 と比較す る.Cd組 成定量方法 は EPMA
ICP(Induction Coupling Plasma)で ある.Cd組 成 0.07
(Elcctron Probc Micro Analysis)と
まで の領域 ではあるが,本 実験 の傾 向 と良 く一 致 している (Fig.3.6で は線 が重な つて
い る).MJhlッ 0に ついては,Ohtomoら の PLD成 長 M∫ no3‐ 11)の 結果 と比較す ると
,
傾向が一致 していることが分かる
.
ここでバ ン ドギャップボ ウイ ングを議論す る.バ ン ドギャップボ ウイ ングは二元半導
体 のバ ン ドギャップ間 を直線近似 した ときの,直 線性 か らのずれ意味する.式 (3.3),(3.4)
を式(3.3'),(3.4')に 変形 してボ ウイ ングパ ラメー タ らを求 める
.
圧
も(χ )=馬
,zn。
。
(1-X)+馬
icd。
・
・χ一b・ χ
(1-χ
)
(3.3')
=3.28・ (1-χ )+2.3・ χ-3.04・ χ,(1-χ )'
(1-y)+馬
鳥{y)=凡 ・
izn。
,M9。
・
y一
b・ y・
(1-y)
(3.4')
=3.28,(1-y)+7.8,y-3.47・ y.(1-y)リ
Znl.C島 0,MttZnlッ 0の ボ ウイ ン グパ ラメー タはそれぞれ 3.0,3.5で ある.他 ワイ ドギ
ャ ップ 半導体 と併せ て Table 3.4に 示す 。Znl.CtSeの 0.5や ILG■ _Nの 2.5と 比較 して
も大 きい値 であるこ とが分かる。 これ は Zn(Mg,Cd)0混 晶 はイオ ン性 が強 く,Znoと
CdO IMgO)と の電気陰性度 の差 が大 きい ためである.こ の よ うな二元半導体間 の直線近
似 か ら離 れ た特性変 化 を持 つ材料 系 でバ ン ドギャ ップ と混晶組 成 の 関係 を明 らかに し
た意義 は大 きい。発光波長 のデ バ イ ス設計 で重要な知見 であ る
.
Table 3.4 Bowing parameter of various ternary alloys
Materials Bowing parameter 6
Mg.Z■ 0 3.5
ZnけC島 0 3.0
Electron negativity
1LGaltN
2.5
1.25
Znl,CdzSe
O.5
0.88
1ッ
30
1.96
1.77
3.3.3 発光特性
Znl_C40な らびに MgllZnlッ 0室 温測定 の PL発 光エ ネル ギー を Fig,3.7(→ に示す。併
せ ,Fig 3.6で 示 した光学バ ン ドギ ャ ップ も示す .光 学バ ン ドギ ャ ップか ら PL発 光 エネ
ル ギーの差 で定義 され るス トー クスシフ トを Fig。 3.7(b)に 示す。Znl,C島 0の ス トー クス
シフ トは Cd組 成 0.2∼ 0.3で 最大 400 meVで ある。 この組成領域 で Cd組 成 の ゆ らぎが
大 きい ことを示唆す る。混晶組成 ゆ らぎの詳 しい評価 は次章第
4章 で示す 。MglZnlッ o
で も同様 に Mg組 成 yの 増加 に伴 うス トー クス シフ トの増大 が観 測 された
.
Wu‖ 日 te
4.0
room temperature
3.5
I
PL peak energy
Optical band gap
0 5
3 2
︵
﹂
OEШ
>0︶ゝo
O
2.0
1.5
(b)
■ ■
300
■ .
.
200
■
■
■
︵
>oE ︶嘔 〓” bo〓o︺
∽
400
100
0
1
.0
0.8
0,6
0.4
0.2
0.0
Mg content,y
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
cd cOntent,χ
Fig.3.7 Dependence of(⇒ PL Pcak enerw and(b)StOkes's shin for zn(Mg,Cd)O atr00m
temperature on a1loy contentは ,y).
31
3.4ま とめ
Zn(Mg,Cd)0三 元混晶薄膜 を RPE=MOCVD法 で α面サ フ ァイ ア基板 上に成長 し,光 学
バ ン ドギ ャ ップ及 び格子定数 (`軸 長 )と 混晶組成 は,y)と の関係 を系統的に明確 に した
.
本 研 究 で は ,混 晶組 成 を原 子 吸 光 分 析 に よ つ て 精度 良 く定 量 した 。 ウル ツ鉱 構 造
Zn(Mg,Cd)0は 広 い範 囲 で得 られ ,Znl_CtOは Cd組 成 0<χ く0.6の 範囲 で ,Mが hlッ 0
は Mg組 成
0<y<0.3の 範囲 で得 られた。ウル ツ鉱構造 Znl.c島 0は これまでに Cd組 成
0.07の 狭 い範囲で得 られ ると報告 されてい たが ,本 研究 によ り広 い範 囲で混品化実現 で
きる こ とを明 らかに した.M」mlザ 0に つい て も これまでに報告 されて い る同程度 の
Mg組 成 0.3ま で作製 できた.こ の結果 か ら,Zn(Mg,Cd)0混 品 のバ ン ドギャップを紫外
か ら貸 し全域 まで制御可能である ことを示 した。光学バ ン ドギャップ と混晶組成 の関係
か ら Z疇 .C島 0,Mg12Z助 ッ0の バ ン ドギャップボ ウイ ングを見積 もる とそれぞれ 3.0,3.5
と比較的大きく,酸 化物 の特徴 である電気 陰性度 の差 が Znoと CdO(MgO)と の間で大
きい ことを反映 してい ることが分か つた。バ ン ドギャップボー イ ングのために,CdOの
バ ン ドギャップは 2.3 eVで あるが,光 学バ ン ドギ ャップが 1.8 cVま で小 さくなること
を明 らかにした。一方 ,Mがhlッ0の 光学バ ン ドギ ャップは Mg組 成 の増加 に伴 い 3.3 eV
む =0)か ら 3.7 eVレ =0.25)ま で増 大するこ とを明 らかに した .こ れ らZn(Mg,C00混 晶
の
長や光学バ ン ドギャップ と混 晶組成 との関係 を系統的に明 らかにす る ことで,ヘ
`軸
テ ロ発光デバイスの発光波長 を設計す る際 に必要 となる有用 な結果を得 た。
参考文献
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32
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10)A,Nakarnllra,J.Ishihara,S.Shigcmori,K,Yamamoto,■
Aoki,H.Gotoh,J.Temmyo,
Jpn.J.Appl,Phys,43(2004)L1452.
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11)A.Ohtomo,M.Kawasaki,■ Koida,K,Masubuchi,H.Koinuma,Y Segawa,Y Yoshida,
■
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Yasuda,Y Segawa,Appl.Phys,Lc世 .72(1998)2466.
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ちY
G sado攣 e■
F.
HcrlncbctteL Appl.Phy,Lctt.87,091903(2005).
3-16)H.Shibata,H.Tampo,K.Matsubara,A.Yamada,K.Sakurai,S,Ishizllka,S.Niki,M.
Sakai,Appl.Phys,Lett,90,124104(2007),
3-17)W.I.Park,G‐ C.Yi,H`M.Jang,Appl.Phys.Lc■ .79,2022(2001).
3-18)S.Muthukum町 ,J.Zhong,I Chen,V Lu,■ Siegrist,Appl,Phys.Lct.82,742(2003).
3‐
19)Th.Grubcち C,Kirchnett R.Kling,F,Rcuss,A.Waag,Appl.Phys.Lctt,84,5359(2004).
3‐
20)A.Nakamura,K.Yamttnoto,J.Ishihara,■ Aoki,J.Temmyo,Jpno J.Appl.Phys.44,7267
(2005).
3¨
21)K.Yamamoto,K.E■ omoto,A.Nakarnurち
(2007)468.
■
Aoki,J.Temmyo,J.Cryst,Growth 298
ウJ
●J
第
4章 Zn(Mg,Cd)0三 元混 品 の PLア ロイ プ ロー デ ニ ン グ
4.1 は じめに
第 3章 で ウル ツ鉱構造 Znl,c島 0混 晶薄膜 の Cd組 成 0,6ま で RPE¨ MOCVD法 によつ
て成長 できる こ とを示 した。MgyZnlッ 0混 晶薄膜 について も Mg組 成 0.3ま で成長 に成
功 している.Zn(Mg,Cd)0混 晶薄膜 の混晶組成 を調 整す る こ とで,そ のバ ン ドギャップ
を紫外 3.7 cV(波 長 33511m)か ら 1,8 eV(690 rlm)ま での可視全域 で制御 で きる こ とを
ZnO系 発光ダイ オー ドについ て 実現可能性 が検討 され ,紫
外 か ら可 視 域 で の 発 光 ダイ オ ー ドに対す る ZnO系 混 晶 の 応 用 が示 され て きた
Znl,CtOが 可視域 Zno系 発光デ バ イ スの発光層 として有用 である こ とを前章で示 した。
高性能な Z■ 0系 ヘ テ ロ接合 を精密 に設計す るために,ZIMg,Cd)0混 晶薄膜 の発光 エ
V族 半
ネ ル ギーやそ の半値幅 の詳細 な情報 を必要 とす る。様 々な三 元混晶 VI族 ,Ⅲ ―
明 らかに した.こ れ までに
.
II‐
導 体 の 半値幅 の混晶組成 に対す る依存性 は統計的な混晶 ゆ らぎに基 づ く理論的 なモ デ
ル で解析 されてきた 。酸化物半導体 で の励起子 の局在化は ポテ ンシ ャル ゆ らぎの最下点
牛1)が
で生 じると思われ る.MgyZnlッ 0混 晶系 に対す る報告 は未 だ極 僅 かである
,典 型的
な AlzGal二 N混 晶系
4■ )と
比較 して ,Zn(Mg,Cd)0の PL半 値幅 が 大 きい こ とを示 してい る
.
本章 では RPE― MOCVD法 によつて成長 した Zn(Mg,Cd)0混 晶系 の PL半 値幅 を中心 に
光学特性 を系統的 に評 価す る.Znl_∫ 40の
Cd組 成 に対す る PL発 光エ ネル ギー と半値
幅 の依存性 を評価 した。MJh卜 ρ について も同様 に行 つた。実験結果 を励起子 モデル
に基 づ く計算結果 と比 較す ると,PL半 値幅 のプ ローデ ニ ン グは Zn(Mg,Cd)0混 晶 で の
混 晶 ゆ らぎによつて 引 き起 こ され る ことを明 らかに した.も う 1つ のア ロイプ ローデ ニ
ン グを確 かめる評価方法 として ,時 間分解 PL測 定 を Zno系 混品 の励起子 の局在深 さを
調 べ ると,PL半 値幅 プ ローデ ニ ン グ と良 く一 致す る ことを示す
.
4.2 実験方法
ウル ツ鉱構造(0001)`面 Z助 ,C40薄 膜並び に Mg/nlデ Э 薄膜 を ШI‐ MOCVD法 で
(H‥ 20)α
面サ フ ァイ ア基板 上に成長 した。Znl_∫ 40膜 は Cd組 成 xの 異 なる 6水 準 の試
M」 hlッ 0膜 は Mg組 成 0.03を 評価 した.Tablc
料 0,0,H,0.18,0.19,0.30,0.55を 評価 した。
4.1に これ ら評価 した Zn(Mg,C→ 0試 料 の 20Kで の PLピ ー クエ ネルギー (発 光色 ),膜
厚 を示す 。
34
Table 4.1 PL peak enerry and thickness of Zn(Mg,Cd)O samples
Znr-,Cd,O MgrZnlro
PL peak energy (eV) at 20
K
Thickness (pm)
0.55
……
1.88(red)
1.4
0.30
¨
…
2.18(ye110W)
1.2
0.19
‐
‐
‐
2.50
0.18
‐
コ
‐
2.68
0.11
¨
―
…
2.79
(bluC)
2.8
0
-… …
3.34
(UV)
0.5
‥
―
-
0,03
3.39
(green)
(bluc‐ green)
(L「 V)
2.3
0.5
0.5
Z<Mg,Cd)混 晶 薄 膜 の 発 光 特 性 と して 発 光 ピー ク エ ネ ル ギ ー と 半 値 幅
(FWI― IMI
ml_width at hJfmaximum)を 評価 す るた めに ,steady… state PL測 定 を 20Kで 行 つ た 。励
起 光源 は Hc― Cdレ ー ザ ー で あ り,励 起 エ ネ ル ギー は 3.82 cV(波 長 325rlln),励 起 パ ワー
密度は 1.5W/cm2で ぁる。レーザー径は 0,5 mmψ である.さ らに発光寿命 と励起子の局
在 深 さ を 評 価 す る た め に ,Timc‐ resolved
PL(TRPL)測 定 を 8Kに お い て ス ト リ ー ク カ メ
ラ法で行 った.励 起光源 はモー ド同期 Ti― sapphireレ ーザーの第 2高 調波 を用 いた.励 起
光エネル ギー は 3.49 eV(波 長 35511m),パ ルス幅 は 1.5 ps,パ ルス繰 り返 し周期は 40 MHz
(シ
ンク ロスキャン)も しくは 800H七
(ス
ロース キ ャン)で ある.励 起パ ワー密度は
1.6ば /cm2で ぁる.ス トリー クカメラの時間分解能 は 5psで ある
.
35
4.3 結果 と考察
4.3.l Steady‐ stttc PL評 価
Zn(Mg,Cd)0混 品 の 20Kに お ける 試eady¨ state PLス ペ ク トル を Fig.4.loに 示す .PL強
度 は規格化 されてい る.Znoの .PLピ ー クのエ ネル ギー は 3.36 cVで あ り,そ の半値幅
は 36 meVで ある.Znl.CtOの PLピ ー クは Cd組 成 χの増 加 に伴 つて低 エネ ル ギー側
FO.Hで は 2.8eV, χ=0.19で は 2.5 eV, x=0.55で は 1.89 cVに 至 る.そ の
半値幅 は Cd組 成 の増加 に伴 つて増大 し,肝 0,19で は最大 280 1neVに 達 し, さらに Cd
組成 が増大 しFO.30,0.55と なると半値幅 は減少す ることが分かる.一 方 Mtthlッ 0混
にシ フ トし,
晶 では,PLピ ー クは Mg組 成 の増加に伴 い高エネルギー側 にシフ トし,Mg組 成 声 0.19
では 3.66 eVに 至る.半 値幅 は Mg組 成 の増加 に伴 って単調 に増大 し,FO.19で は 130
meVと
PL強 度 の S/Nが 低 い の は ゲ イ ン を 下 げ て 測
な る 。 こ こ で ,M助 .19ZnO.810薄 膜 の
定 したためである.MgO.19ZnO,810薄 膜 の光学 バ ン ドギャ ップは 3.60 eVで あ り,励 起 光
源 の Hc‐ Cdレ ーザーの励起 エネ ル ギー3.8 cVに 近 い。そ の ため He‐ Cdレ ー ザ ー光 の カ
ッ トフ ィル タを取 り外 し,ゲ イ ンを 1桁 下げて Hc‐ Cdレ ー ザ ー とともに PLを イ メージ
セ ンサに取 り込んで い るためである。
Zn(M3Cd)0混 品 の PLピ ー クエ ネル ギーの混晶組成 (Cd組 成 x,Mg組 成 y)依 存性
を
Fig.4.1(b)に
す る
様 に
2次
示 す 。Znl_Cム
0混
品 の
PLピ
ー ク エ ネ ル ギ ー 昴
関 数 に よ つ て 最 小 二 乗 法 で フ ィ ッ テ ィ ン グ す る と 式
,MgyZnlッ 0混
品 の
PLピ
ー エ ネ ル ギ ー
LZnCdO,20Kを Cd組 成 χ に 対
(4.1)の
EPLMgZnO,20Kも Mg組
で 式 (4.2〕 の よ う に う ま く フ ィ ッ テ ィ ン グ で き る
よ う に 表 さ れ る 。同
成 ノ に 対 し て
2次
.
2_4.49χ +3.36,
(4.1)
圧
Ъ
LMgZoO:20K(y)=3,71y2+0.75y+3.36,
(4.2)
FPLZnCdO,20K(χ }=4.18χ
関 数
フ ィッテ ィ ング結果 を実線 で Fig,4.1(b)に 併せ示 してい る
.
Zn(Mg,Cd)0混 品 の PL半 値幅 の混晶組成依存性 を Fig.4.1(c)に 示す .Znoの PL半 値
幅 は 38 meVで ある。Cd組 成 0.2以 下 の Z恥 すC40混 晶 では,PL半 値幅 は Cd組 成 の増
加 に伴 つて増大 し,Cd組 成 0.2で 最 大 280 meVに 至 る。Cd組 成 が 0.2よ りも大きくな
る と,Cd組 成 の増大 に伴 つ て
PL半 値幅 は減少す る。Mがhl―yOで は,Mg組 成 の増加
に伴 つて PL半 値幅 は増大 し,Mg組 成 0.2に お いて 140 meVと なる。ア ロイプ ロー デ
ニ ングは他 の三元 Ⅲ ¨
V族 ,II‐ VI族 化合物混晶 で も報告 され て い る。特 に,AifG助 =As4¨ 助
‐
や Al`G■ _N4-場 ,znl√ tS,Znlィ ctSe4-41,cds.Seピ 助な どの小 さな励起子 のボー ア 半径 を持
つ 混晶材料系 でみ られ る。そ こで Zn(Mg,Cd)0混 晶 に統計的 な混晶ゆ らぎに基 づ く理論
的 な PLア ロイ ブ ロー デ ニ ング計 算結果 と比較す る。理論的 な PLア ロイプ ローデ ニ ン
3)4‐ 動
グは Zillmermallnモ デ ル と Schubc■ モデル を組み合 わせ て計算 した
4‐
.
36
ヽ〓∽Cの
、00①一
ω一
∽︲
一C一コa Φ︺
の
oZ
OΦN扇E﹂
(a) _^´
_ ^^^
^^ ^
x=0.55
0.30^´
0.190.'18
2.5
0.11
)FO,
20K
rlj1,f\jg
3.0
Photon energy (eV)
40
昴
卸
“
¨
︵
>← 、P ocΦ 〓ωΦα コL
0 0 0 0 0 0
0 0 。 0 0
5 4 3 2 1
︵
>ΦE ︶Σ 工≧﹂ コ住
,\I\
a
af
o
ooo
10 08 06 04 02 0.0 02 04 06 08 10
yinMgZnr
x in Zn,-"Cd,O
-O
Fig. 4.1 (a) steady-state PL spectra from Zn(Mg,cd)o alroy firms, which were measured at 20
K.
The PL intensity is normalized. Dependencies
of(b) pL
peak enerry and (c) pL FWHM on
alloy content. Broken line shows results calculated by Zimmermarn'sas) and Schubert'sal)
model.
37
‐
混品 Al∴ の励起子線 の半値幅べx)は Lifshitzの 式(43)で 得 られ る
yO(X)
姻型師 Ψ
χ(1-X)
3)
4x(χ )'
“
L∈ )は 励起子遷移エ ネルギー
であ り,Zn(Mg,Cd)0混 品 の PLが 励起子再結合 によるもの と考え,L← )=昴 LO)と して
ここでは PLス ペ ク トルがガ ウス分布 であると仮 定す る
い る △島x← )/drは 式 (41),(42)を 用いて
,
dEo.tn"oo,ro^ (x )
ox
Ψ
である
= g.36x
(44)
-4.49
ゴ ″ 片 げ
5
につ
Lo)は 励起 子 の体積 ,為 oは 基本セル の体積 である.励 起子 の体積 L← )は
Schubc■ らによつて励 起子 のボーア 半径 /Bを 用 い て
tx(X)=子
り
,
6)
l13,
{rB(χ
“
と表 される ここで 亀oは ZnlMg,C00混 晶中の励起子 のボーア半径 である ウル ツ鉱
構造の Znug,Cd)0の 基本 セルの体積 殉oは
,
χ
%o=寺 手條
12∝ 対
(47)
■6で ある
マ
Ⅳ は単位胞 中のカチオ ン数 で有 り, ウルツ鉱構造 で は リ
れ Zく Mgβ d)0混 品 の α軸長並びに
`軸
o,(り
まそれぞ
長 である
ウル ツ鉱構造 CdO膜 は利用可能 でな く,ウ ル ツ鉱構造 Z助 ,C↓ O(0く Xく 1)の 励起
子 のボー ア半径 は未 だ明 らかではな いが,ウ ル ツ鉱構造 Znl∫ 40(0く Xく 06)の Cd
い
組成 に対す る PL半 値幅 の依存性 は同 じ物理的 メカ ニ ズムによつて支配 され て る と推
測 できる PL半 値幅 (ポ テ ンシャル ゆ らぎ)は Znl,C40系 で約 03の 中間 Cd組 成 で
最 大 となる
zno並 びに CdO,MgOの 励起子 のボー ア半径 rB,励 起子 の体積 4x,格 子定数 (a軸
長 ,ο 軸長 ),基 本 セル の体積
7。
を Table 4 2に 示す
CdOと MgOの 安定相 は岩塩構造
であるが,こ こでは Zn(M3Cd)0が 全混晶組成域 で ウル ツ鉱構造 である と仮 定 し,CdO
(MgO)の 格子定数 (α 軸長 ,ι 軸長 )は 第 1原 理計算 による報告値 を用 いた .さ らに
,
z助 ∫ ●0混 品 の励起子 ボーア半径 rBlx)及 び格子定数 arx),coが 組成 χに伴 い線形的 に
変化す ると仮定す る
38
Tablc 4 2 ExcitOn BOhr radius(rB)and laticc constant(″
,C‐ axis
lcnglh)fOr Zno,CdO,and
MgO
rB
ZnO
(nm)
4-
18
(nm')
(nm) c (nrn)
0.3250 0.s205
a
24
CdO
25a
65
0.3546 b
0.5n4b
MgO
08C
21
0.3281 0.5033
Zo
(nm)
0.024
0.031
0.023
a CdOの 励起子 ボー ア 半径 は知 られ て い な いため,仮 定 した値 である 他
II―
VI族 化
合物半導体 Znl,ctc,Znlィ CtS系 半導体 の励起子ボー ア半径 とバ ン ドギ ャップの関
Ft 42に 示す よ うに Zttrdzse,znl,CtSの
勾配 を Znl_c40系 に用 いて,CdOの 励起子ボー ア半径 を仮定 した
係 を Znt√ 40系 半導体 に適用 した
7
b:Rc■
4‐
c:Rc■
4‐ 8
c9 一
ox o ﹂O T ︶ど
゛口 O E
4 3 2
︵E E
﹄〓 O m
00
Znt∫ d
―一
02
04
06
Cd content,xin Znl収 Cdχ
08
a‖
10
oy
Fig 4 2 Bohr radius ofcxcitOn as a function OfCd cOntcnt,jt in Znl.Cdx alloy
Zn(M3.C00混 品 の PLア ロイブ ローデ ニ ン グ計算結果 を Fig 4 1(c)に 破線 で示す
Zn(Mg,Cd)0混 品 の PL半 値幅 の増大傾 向は計算結果 と良 く一 致す る こ とが 分 か る 計
算結果は Znl,C40で は Cd組 成 015で 最大 を とり,Mg.Znlッ 0で は組成 085で 最大 と
なる しか し,PL半 値幅 は計算値 よ りも大 きく,zn081Cdo pOの PL半 値幅 270 mcVは
計算値約 90 mcvよ りも 3倍 程度大 きい こ とが分 か る 0'Domdlら は I■ Ga洲 混晶 系
で大 きな PL半 値幅 を示 し,PLピ ー クエ ネル ギー25cV@15Kの IttGalち Nで は 200 mcV
であることが 報告 されて い る 49)zn(Mg,Cd)0の 大 きな PL半 値幅 は ,統 計的な混晶ゆ
らぎだけではな く,ILG■ _N系 で観測 され て い るよ うな励起子 の局在化 が大 きく影響 し
て い ると考 え られ る .・ の これ までに Zn(Mg,Cd)0系 の PLア ロイブ ローデ ニ ングの報告
39
は,Hciも chら による MJ昴 中0に つい てのみである.彼 らは MgFnッ0の
Zinlmcnnarmと Schubc■
PL半 値幅 を
の統計的な混品ゆ らぎモ デル で計算 した理論的 な PLア ロイブ
,
ローデ ニ ングと比較 し,PL半 値幅 の増大傾 向 がア ロイ プ ローデ ニ ン グと一致す る こと
を示 して い る
ここで,第 3章 で述 べ た ス トー クスシフ トは吸収端 エ ネル ギー と PL発 光 ピー クエ ネ
ル ギーの差 で定義 され ,混 品ゆ らぎ程度 を表すパ ラメー タである Zn(Mg,Cd)0の
(al
(b)PL半 値幅 の混品組成依存性 を Fig 4 3に 示す .ZnOの ス トー
クスシフ トは 4 mcVと 小 さいが ,Znl,C40の ス トー クスシフ トは Cd組 成 02付 近で最
大 210mcVに 達 し,高 Cd組 成 (x>03)で は減少 し,PL半 値幅 の傾 向 とよく一 致 して
い るこ とが分 か る.し たが つて,Znl,C40の 混品化 に伴 うPL半 値幅 の広が りは混晶 ゆ
ス トー クス シフ トと
らぎによつて 引き起 こされてい ると考 え られ る
.
の
oy9∽
ぐらE︶﹂〓∽︶
r∞ m temperature
(a)
0 0
0 0
2 1
●
●
0
300
0 0
0 0
2 1
︵
>oE︶〓工≧匠 コa
00
01
Fig 4 3 Dependcnce of(al StOkCS'shi■
02
03
Cd∞ ntent,χ
04
05
06
and o)PL R謳 ■ 4 on Cd contcnt,x in Znlぶ
40
こ0
432 Time― rcsOlvcd PL評 価
Z《 M&Cd)0混 品 の励起子 の局在深 さを評価す るために,TRPLを
8Kで 測定 した
TRPLに お い て励起 光源 の エ ネル ギーの制限 のために MglZnlッ 0は Mg組 成 003ま でを
測定 した まず TRPL測 定 で得 られた 8Kで の zn(Mg,Cd)0混 品薄膜 の PL減 衰 を Fig 4 4
(a),(b)に 示す (a)は Mg。 03Zn09,0,7nO,Zn。 8,CdDl10に つい て ,(b)は
Zn・ 70Cdo]。
0,
PL減 衰 曲線 は指数関数 で うま く描かれ る
低 Cd組 成 ZnIダ 40に 対 して は二重指数関数 ,高 Cd組 成 Znl,c40に 対 しては二重指
Zn04SCd0550に ついて示 す Zn(Mg,cd)0の
数 関数で うま くフ ィ ッ トされ る
′
(f)=r4exp(_::)+r2eXp(_」
:)
′
(r)=rl exp(_::)+r2eXp(_J:)+rO exp(―
」
:)
(48)
(49)
Znl,C40の 発光寿命 の結果 を説明す る前 に,ま ず ZnOに ついての発光寿命 をこれ ま
でに報告 され てい る寿命 と比較 し,Znoの 寿命 を示す 本研究 で測定 した水熱合成法成
長 の Z■ 0バ ル クの 8Kに お ける発光寿命 は 200 psの 1成 分である 報告 され てい る水
熱合成法成長 の ZnOバ ル クの 2Kに お ける発光寿命 は 322 psで あ り 4Jl、 測定結果 は同
程度 の もの であ る こ とが分 かる 本研究で ロ ッ ド状 の薄膜は早 い成分 ■が 40 ps,遅 い
成分 ぅが 130 psで ある 報告 されてい る有機金属気相 エ ピタキシャル
(MOVPE)成 長
ZnOナ ノロ ッ ドの発光寿命 は 2成 分あ り,早 い成分 ■が 60 ps,遅 い成分 。が 330 psで
・ 0レ ー ザーMBE成 長 Zno薄 膜 の発光寿命 」ま293Kで はあるが 40 psで ある )
ある
.・
この よ うに Znoの 発光寿命 は 40 psか ら300 psで ある
Zn(Mg,Cd)0の 発光寿命 の混晶組成 依存性 を Fig 4 5に 示す まず Znl,C4oに つ いて
Cd組 成 が 019よ り低 い場合 は,PL発 光寿命 は Cd組 成 の増加 に伴 つて長 くな り,遅 い
成分 の寿命 ■は 125 ps(χ
=019)と なる 発光 の長寿命化は混品化 に伴 う励起子 の局在
化 が生 じてい るためである Cd組 成が 03よ りも高 い領域 では寿命 っが急激 に長 くな り
,
Zl10の 寿命 ぅに比べ て 2桁 長 くなる さらに発光強度 と して は弱 いが 3成 分 目の発光寿
命 が現れ る
ここで高 Cd組 成 の Znl,C40は 長 い PL寿 命 であるが狭 い PLス ペ ク トル
を持 つ こ とが特徴 である
間接遷移型半導体 の PL発 光寿命 は直接遷移型半導体 の寿命
よ りも長 い こ とが知 られ てい る 03よ りも高 い Cd組 成で znl,C40の 寿命 が 2桁 長 く
なる原因 と して ,ウ ル ツ鉱構造 をとる Znl,c40の 臨界 Cd組 成 06付 近 で あ る こ とか ら
,
XRD測 定で岩塩構造 CdO(1‖ )の 回折 ピー クを観測 してい ないが,岩 塩構造 CdOに 起因
した間接遷移成分が存在 しているためで あ る と推測す る
41
o︶、
のC
①C一
︵
∽
︺
︺
コ■
〓Cコ.
0﹂
一
(a)
8K
0.2
04
0.6
Decay lme(ns)
のcp ニ コ■
→一
cコ .
e C お一
一
(b)
x=055
laser
0
x=030
100
200
300
400
500
Decay lme(ns)
Fig 4 4 PL decay curvcs of Zn(M&Cd)O at8 K(al Mゎ
ZnO,。 Cd。 300,Zn。 41Cd0 550
o3Z恥
970,ZnO,Zn。 89CdOl10.(b)
うん
”十
106
105
び ぴ
→ 0︶いoE 〓綱 一
一コL
102
101
01
00
01
y
h Mg/L′
02
03
x
04
05
06
in ZL∫ dρ
Fig 4 5 PL lifctimc(■ ,め ,■ )OfZn(Mg,Cd)O al10y fllms On a1loy cOntcnt at 8K
Fig 46 oは
8Kに お ける規格化 され た時 間積分 PL(■ PL:ime― intcgratcd
トル を示 す .Fig 4 6(b)は スペ ク トル にお ける遅 い発光寿命
(■ ,■
PL)ス ペ ク
)の エ ネル ギー分散
を示す 発 光寿命 のエネル ギー分散に励起子 の局在 モデ ル を適用 して ,混 品ゆ らぎを評
価す るす る_混 晶ゆらぎに よ りZ《 Mg,Cd)0混 品 のテイ リングで伝導帯 の裾準位が形成
され るため,そ の裾準位深 さ (局 在深 さ)は 発光寿命 のエ ネル ギー 分散 を評 価す ること
で評価できる Fig 4 5(b)よ りぅや らは スペ ク トルの高エ ネル ギー側 では短 く,低 エ ネ
ル ギー側 では長 くなる ことが分 か る
これ は Fig 4 6に 示す よ うに,励 起子 の局在化 に
伴 う輻射再結合 と励起子 の裾準位 へ の移動過程が含 まれ た るためである 局在深 さは裾
準位 の状態密度 がエネ ル ギー に対 して指数分布 cxp[蓼ヽ )]し てい ると仮定 され ,光 子
エ ネル ギー 分散 を Gourdonと LavJlardら の励起子 の局在 モデルで導 かれ る式
(410)で フ
・
エ
ィッテ ィングす ることで評価 され る
“' 発光寿命 <oは 発光 ネル ギーEの 関数 とし
て
,
τ([)=
(410)
1+exp(号
)'
ここで,■ は励 起子 の発光再結合寿命 である.ム は局在深 さ (ポ テ ン シャル ゆ らぎ)で
あ り,状 態密度 に関す る特 徴的 なエ ネル ギーで ある.端 eは 発光寿命 が遷移時 間の半分
に等 しい ときのエネル ギー であ り,移 動度端 エネル ギー に似 た物理量である 4■ o.
43
■,■ のエネルギー分散 は式(410)で うま くフィッテ ィングで き,局 在深 さ EOを 見積 も
る ことが出来た
ヽ一
oFヒ oZ
∽一
C〇一C一コ住 一
卜 一ON一
一
(a)
x=055
x=030
x=019X=018x=011
0
■
Q
︸
ゎ
墜
瀞
﹁
0
△
一 o
Q
´
﹄
ぴ
■
♂
ぴ
ぴ
き
→ a︶ ♂ ①E 〓理 コ
101
2.O
2.5
3.0
3.5
Photon energy (eV)
Fig. 4.6 (a) Time-integrated PL (TIPL) spectra from Zn(Mg;Cd)O alloy films at 8 K and (b)
slow component PL lifetime r"bw (r2 and
the open triangles show
12
and
13,
13) dispersion
to photon energr. The open circles and
respectively. The solid curves are the fitting results by using
Eq. (4.10).
44
] ヽヨ Oc0
Transfer of exciton
Density of state
dE)
Fig. 4.7 Schematic representation of localized excitonic states and processes in Zn(Mg,Cd)O
alloys.
l.r)
is the density of localized states. E is the energr of an excitonic state and is
nesative.
Zn(Mg,Cd)0の EOの 混晶組 成 に対す る依存性 を Fig 48 oに 示 す Z■0の ら は 8 mcV
であるが ,Znl∫ 4oで は Cd組 成 の増 加 に伴 って局在深 さ ら は急激 に増大 し,cd組 成
02に お い て最大 160 mcVと なる Cd組 成 03以 上での ZttiC40の 局在深 さ E。 は cd
組成 の増大 とともに減少 し,Cd組 成 0.55で は約 30 mcVと なる Buyanovaら によつて
報告 された
MBE成 長 Znl√ 40の 励起子 の局在深 さは本研究結果 と傾 向が一致 し,Cd
組成 χ=009,016の Znl,C40の 局在深 さは 55‐ 70 mcVで ある
・ り
これ ら cd組 成 に
対す る Zn:,c40の 励起子 の局在深 さの依存性 は,Fig 4 7(b)に 示す Z助 ,C40混 品 の時
間積分 PL半 値幅 の Cd組 成 に対す る依 存性 と良 く一 致す る
MJhiッ0に ついては MgO。 3ZnO"0の 励起子局在 E。 は 9 meVで あ り,Znoの EOよ り
も僅 かに増 大す る 併せて PLD成 長 MgO。 8Zn09204oゃ 、
8E成 長 M8oい Zn03504■ つもの
E。
並びに時間積分結果 を示すが,こ れ ら Mg/niッ 0の 結果 か らも,MglZnl,0の 混品化
に伴 うら の増 大は時間積分 PLの 半値幅 に一致す ることが分か る
これ ら結果 よ り,Zn(Mg,Cd10の
PLア ロイブ ローデ ニ ングは統計的な混晶ゆらぎだ
けではな く励起子 の局在化が大きく影響 している ことが分かつた
混晶系特有 の励起子 の小 さなボーア半径 を反映 してい るためである
45
これは Zn(Mg,Cd)0
0
。
2
8oBN
こ ピ ビ“
8£
9o
一
一
RPE‐ MOCVD
PLD(Muler ot al)
MBE(Shibala er al)
0
5
1
0
0
︲
0
5
0
0
0
2
0 0 0
5 0 5
︵
ト
>oE︶Σ〓そこ コC一
0
︲
0
08
06
04
02
yh Mg/ヽ P
00
02
04
06
Xh ZLρ
08
dρ
1 0
Fig 4 8 Dcpcndcncc Of(a)thC 10Calizcd dcpth,EO and(b)tlmc_intcgrated PL FWHM on alloy
contcntin Zn(Mg,Cd)O at8 K
4_4 まとめ
ウルツ鉱構造 Zn(Mg,Cd)0三 元混品 の PLア ロイ プ ロー デ ニ ン グを解析 した ZllliC40
は Cd組 成 0か ら 06の 範囲 を,M5昴 1ッ 0は Mg組 成 0か ら 03の 範 囲で調 べ た
Zn(MBCd)0混 品 の PL半 値幅 は統計的な混品 ゆらぎに加 えて励起子 の局在化 も大 き く
影響 してい る ことを明 らかに した
■ate PL測 定を 20Kで 行 い,Zn(MsCd)0混 品 の
StCa″ ―
PL半 値幅 の Cd組 成 に対す る
依存性 を評価す ると,PL半 値幅 の増大傾 向は統計的な混晶ゆ らぎによつて 引き起 こさ
れ る PL増 大傾向 と良 く一 致 した Z助 ,C40の PL半 値幅 は Cd組 成 02で 最大 300 mcV
とな り,MglZnけ 0は
Mg組 成 03ま で の範囲 で単調 に増 大す ることが分 か った
また
,
室温で簡便 に測定できる混晶 ゆらぎの程度 を表す パ ラメー タ として,ス トー クスシフ ト
を評価 した 混品ゆらぎに対す る依存性 を評価す る と,PL半 値幅 の Cd組 成 に対す る増
大傾向 とよく一致 した Cd組 成 02付 近 で最大 とな つた
さらに,Timc― rcsolvcd PLを
8Kで 行 い励起子 の局在イヒを評価 した
発光寿命 はエ ネ
ル ギー分散 を持 ち,ス ペ ク トルの高 エネル ギー側 で の寿命 は短 く,低 エ ネル ギー側 での
寿命 は長 くな ることが分 かつた 発光寿命 のエネル ギー分散結果に Zn(Mg,Cd)0混 品 の
裾準位 へ の励 起子 の局在化 に基 づ く理論か ら,Zn(Mg,Cd)0混 品の励起子 の局在深 さを
導出す る と,PL半 値幅 の増 大傾 向に一致 した znl,Cd.o混 品 での
Cd組 成 に対す る局
在深 さの増大傾向は PL半 値幅 の増大傾 向 に 良 く一 致 し,cd組 成 02で 局在深 さは最大
160 mcVと な つた 一方 ,M3znlザ 0混 品 にお いて も励起子 の局在深 さの増大傾向は PL
半値幅 の増 大傾向に一 致 した zn(Mg,Cd)0混 晶では励起子 のボー ア半径 が小 さい (Zno
中の励起子 のボーア 半径 は 18nm)た めに混晶ゆ らぎによつて生 じるポテ ンシ ャル ゆ ら
ぎの影響 を受 けやす く,励 起子が容易 に局在化す ると考 えられ る
Zn(Mg,Cd)O混 品 の PLア ロイブ ローデ ニ ングは,Zn(Mg,Cd)0混 品 が小 さな励起子ボ
ー ア半径 を有する こ とを反映 し,統 計的 な混品ゆ らぎに加 えて励起子 の局在 化 が大 きく
影響 してい る ことを明 らかに した
参考文献
4‐
1)S HCitSCh,CI Zimcmallann,D FHtsch,C Stllrm,R Schmidt― Grund,C Schulz,H
Hoclunuth,D Spcmarm,G Bcnndoc B Rhcinlandet Th Nobis,M Lorcnz,M
Grtlndmann,J AppL Phys 101,083521(2007)
4■ )G StudC,B K McycL A GoldncL A Hofflllann,F Bcrlralll,J Christcn,H Amano,I
Akasaki,Appl P,S Lc■ 74,2456(1999)
4‐
3)E F Schubc■ ,E O GObcl,Y Horikoshi,K PIoog,H J QuCiSSCL Pけ s Rcv B30,813
(1984)
4‐
4)Y Ka、 vabml M Funato,Sz F可 託a,Sg Fll“ a,y Ytllnada,and Y MasumOtO,Phys Rcv
B50,14655(1994)
45)R Zimmcrmann,J Cwst Gro、 vth 101,346(1990)
4-6)IMI.ifShitz,Ad Phys 13,483(1965)
47)H Rozalc,B Bouhafs,P Ruterana,Supcrlatlccs and Microstrtlcturcs 42,165(2007)
4-8)D M Rocssicr md W C Walkcr,Phys Rc・ v159,733(1967)
4-9)KRO'Donncl,I Brchkopl H Kalt,W Van dcr Stricht,I Moerman,P Dcmccstc■ RG
Middlcton,Appl Phys Le■ 70,1843(1997)
410)S ChiChibu,■ Azuhata,I SOta,SNよ amura,AppI Phys Lctt 70,2822(1997)
4-H)D C Rcynolds,D C Look,B JOgai,J E Hoclschct R E Shcrric M T Harris,MJ
Callahan,J AppI Phys 88,2152(2000)
4-12)ヽ ヽ
LI
Park,SJ An,JI′ Yang,G C Fl,S Hong,T Joo,M Kim,J Phys Chem B 108,
15457(2004)
4-13)■ Koida,S F Chichibu,A UcdOno,A Tsukazaki,M Kawasaki,T Sota,Y Scgawa,H
Koinuma Appl Phys Lctt 82,532(2003)
47
4‐
lo C.Gourdon and R Lavallard,Phys.Stam Solid cbp 153,641(1989).
4‐
15)I.A.Buyanova.J.R Bq即 田LCPぬ na.lM M CheL S.R3ml,D.P NortoL S J
PcartoL A.Osil皿
4‐
%J W Don3 Appl.Phys.Ltt.90,261907● 00つ
lo A.Mulerl M stOlzel,C.DicticL G Bemd¨
.
M LoreL M G珈 山 回 、J.Appl.Phys.
107,013704o010)
4‐
17)H Shbt H TampO,K.Maciint K.M由 崚
朦
、(56dl
30a‐ ZK‐ 1[h
Sr面 唱
A.…
S.IShimに S.N腱 ,Ext.
Med.,20")Japan sclcI"ofApplH Physhs and Rclatcd Materid、
Japanese]
48
第
5章 Zn。 85CdO■ 50/ZnO多 重 量子 丼 戸 構 造 の 作 製
51
は じめに
Znぃ CcO系 多重量子丼戸構造(MQWゝ Muliple Quantum wclヽ )の 作製 は可 視域発光デ
バ イ ス として ,発 光効率の増大や PL半 値幅 の狭化 の ために重要な技術 で ある しか し
,
Z勁 ,C40/Zno
MQWsS‐
1)は
,Znl,c40の 作製 が困難 であるために,MQWsの 特性 につい
ては もちろん作製 の報告例は これまでに極僅 かに限 られて い る.そ れ ら報告は発光効率
に対す る重水 素 ドー ピング効果 oに つい て ,MQWの 熱的安定性 り,
5‐
S‐
MQWs井 戸層 の
分極 によって誘発 された内部電界 が電子 と正 孔の空 間的な分離 を生 じ,結 果 として発光
寿命 が急激 に増大す る こ と 54)が 報告 され てい る
しか し,未 だ
MQWの
光学的特性 の
報告例 は少 な い
ウルツ鉱構造 の
ZnOは 空間反転対称性 が無いために 自発分極 を有す る
またエ ピタ
キシ ャル歪み を与えると圧電 分極 を生 じる.し たが って,格 子定数や 自発分極 の異なる
ウル ツ鉱構造 同 士のヘテ ロ界面 では分極電圧 の差分 に相 当す る圧電分極 を生 じる この
平面電荷に よ つ て生 じた内部電界 は量子 丼 戸構造 において電子正孔対 の 空間分離 を引
き起 こ して 発 光 効 率 を減 少 させ る量子 閉 じ込 め シ ュ タル ク効 果 (QCSE:Quantuln
Conincment Stark cfFcct)が 発 生 す る
Zno/MglZnl,O MQWSで は QCSEの 発光特性 に与
える影響 が調 べ られてい る
よって 発光エネ ル ギーが減少 ,し ,さ らに発光効
QCSEに
5‐
率 の減少や発 光寿命 の長時間化 な どで ある 非極性面 MQWsの 作製 も試み られている
本章 では,極 性
す
`面
構造 の周期性 は
Zn0 85Cd0150/ZnO MQWに お ける励起子再 結合 の増 強 について示
XRDサ テ ライ トピー クによつて確認 してい る MQWsか
らの PL
発光 エネル ギー が,井 戸層幅 の減少に伴 つて ,高 エネル ギーヘ シフ トす る ことを観測 し
た
これは励起子が Zn。 8SCd0150井 戸層 内に形成 され た量子 準位間を介 して再結合 して
い ることを示 唆す る
ることを明 らかに した
さらに,井 戸層幅 の減少 に伴 い,MQWSの PL発 光寿命 が短 くな
これ は井戸層 内で効率良 く励起子再結合 してい るためである
発光効率 のパ ラメー タ として励起子の振動子強度 を評価 し,MQWSで の振動子強度が
増大する こ とを明 らかに した
49
52
実験方法
ウ ル ツ 鉱 構 造 (0001)Znα 8SCdO■ 50/ZnO
MQWsを
(11‐
20)サ フ ァ イ ア 基 板 上 に
MOCVD法 で作製 した MQWSの 構造 を Fig 5 1に 示す Zn。 .5CdO[50井 戸層 (為
と Zno障 壁層 10周 期 か らなる MQWsは ,100nln厚 (0001)Znoバ ツフ ア層 /a面 (11‐ 20)
RPE―
)
サ フ ァイ ア基板上に積層 され ,上 部 か ら 30 nln tt Znoキ ャ ップ層 で挟 まれて い る
.
Zn085Cd0150井 戸層幅 れ を 21 nlnか ら 2mの 間 で 変化 させた
MQWsの 各層幅 は
,
Zn08SCdO● 0な らびに ZnOの 成長速度 に従 つて ,成 長 時間 で制御 した Zn085CdOi50,ZnO
の成長速度は,Fig
耐
52に 示す膜厚 と成長時間 の傾 きか ら見積 も られ ,そ れぞれ
2_37
min,170m耐 而 nで ある
.
ZnO cap:ayer 30nm
Zn0 85Cd0 15° Welν ZnO barier
10 periods MQWs
ZnO bufFeriayer 100 nm
a-sapphire sub.
Fig. 5.1 Schematic diagram of Znn.ssCdo.rsO/ZnO MQWs.
0
0
0
0
2 1
︵
Ec︶o
o
oc〓
0こト
Fし
ぼ
月
。 237
F“ =1 70nm′ min
0
20
40
60
80
100
Growth ime(min)
120
Fig 5.2 Thickness ofZn08SCdO■ 50 and ZnO as a価 面 on ofthc gronth timc Each gronh rates
On Zn085CdO■ 50 and ZnO arc 2 37 nln/min and 1 70肛 ゴmin,rcspcct市 cly
50
Ⅱ族原料 には DEZn,DMCdを 用 いた.サ フ ァイ ア基板は ,ア セ トン,メ タノール
,
超純水で超 音波洗浄 をそれぞれ 5分 間行 つ た 後 ,硫 酸 とリン酸 との混合酸 (割 合 3:1)
100° Cで
10分 間表面 エ ッチす る。最後 に超 純水 で超音波洗浄す る.成 長前 に水 素プ ラ
ズマ雰囲気 で基板温度 800° Cに 加 熱 し,表 面清浄化 した。
作製 した MQWSは 周期性 を調 べ るために XRDサ テ ライ トピー クを評価 した。発光エ
ネル ギー及び半値幅 を調 べ るために Steady… stdc PLを 低温 16Kで 測定 した。励起光源
は Hc_Cdレ ー ザ ー を用 い た ,励 起 エネル ギ ー は 3.81 cV(波 長 325 nrn),励 起 パ ワー密
度 は 1,2W/cm2で ぁ る。 さらに発 光寿命 を評価す るために,ス トリー クカ メラ法 による
Time― resolvcd PL測
定を 8Kで 行 つた。励 起 光源 にはモー ド同期 Ti:sapphhcレ ー ザー の
第 2高 調波 を用 い た .エ ネル ギー は 3.49 eV(波 長 355 11rn),パ ワー密度 は 1.6ばたm2,
パル ス幅は 1.5 ps,パ ル ス繰 り返 し周波数 は 4 MIIzで ある。
51
5.3 結果 と考察
5,3.1 周期性
MQWの XRDサ テ ライ トパ ター ンを Fig.5,3(a)に 示す 。
井戸幅 二wは 2 nln,ZnO障 壁幅 五Bは 10 mllで あ り, この MQWsの 周期幅¢w+ム B)設 計
値 は 12 rlmで ある.MQWsの ¢w十 二B)の 周期性 を反 映 したサテ ライ トパ ター ンは 0次
ZnO.85Cda150井 戸/Zno障 壁
,
-1次 まで観測 され ,ZnO.85Cd0150/ZnO(0002)の 0次 回折 ピー クは 34.412° ,‐ 1次 は 33.782
°
に現れ てい る。また 測 定時に Niフ ィル ター で完 全 に除去できない Cu Kβ X線 に よる
(H-20)A1203回 折 ピー ク も 34° 付近 に含 まれて い る。サテライ トピー ク角度
2θ を用 いた
」n(2J/2)と サテライ トピー クの次数 ″の関係 は,ブ ラ ッグの回折条件 を用 いて ,式
(5.1)
の よ うに表 され る
.
n{2%}=tttX月
」
(5.1)
,
ここでたじ
血は Cu Kα X線 の波長 1.5045Å であ り,ど は同期幅(ご =二 w+上 B)で ある
サテ ライ トピー クの 角度
2θ を用 いて求 めた
.
sin(2θ2)と サテ ライ トピー クの次数 の 関
係 を Fig.5.3‖ に示 す 。破線は MQWの 設計値 帷w十 二B)12 rlmを 示 している。 実線 の傾
きが ,式 (5.1)か ら分 か るように,周 期幅(ご =二 w÷ 二3)を 反映 して い る.プ ロ ッ トで示 し
た傾 き よ り見積 もつ た 周期幅 ごは 14.6 nmで あ り,MQWsの 周期幅 は設計値 に近 い こ と
が分 か る。
n 劇
﹂y●0さ 甲 〓 ︶O 一
く
103
0.32
(b)
0.31
/
.
0 0
0 9
3 2
︵
製①SE覇
0
ノ
oE理 ≦
︵
コ Eコo← む 一
︷N000︶
O CNヽ
0 ■O EN
1♂
101
0.28
0.27
32
33
34
35
20(degree)
36
-3
¨
2
-1
0
1
2
3
Order of satellite peak, n
Fig.5。 3(→ XRD satellite pattem of(0002)difFraction from ZnO.85CdO.150/Z■
O MQWs haVing
二w of2 rlm,(b)Sin(2α 2)as a function ofthe order ofthe satenite peak=The dashed line shows
design value of periodicity.
52
5.3.2 量子準位間 PL発 光
MQWsか
らの
20Kに
ZnQ85CdOJ50(14伽 血
ZnO.85Cd0150成 分
厚
お ける
Stm申 ‐State PLス
)の PLス
ペ ク トル を
Fig.5.4oに 不 す .バ ル
ク
ペ ク トル も 併 せ 示 す 。 PL強 度 は 規 格 化 さ れ て い る
ピ ー ク に は 三 角 印 を 付 し た 。バ ル ク Zn085CdO.150の
PLピ ー
.
クエネル ギ
ー は 2.77 cVで あ る 。MQWsの 井戸層幅 の減少 に伴 いブル ー シフ トし,4rlm以 下 の井戸
層幅 では急激 に高 エ ネル ギー側 ヘ シフ トして い る.Zn085CdO.150井 戸層 か らの PLピ ー ク
エネ ル ギー と井戸層幅 に対す る変化 を Fig,5.4(b)に 示す 。実線 は実験結果で破線 は計 算
結果 で ある.MQWsの PLピ ー クエ ネル ギー は 2.77 eVか ら 2.97 eVに 高エ ネ ル ギー側
ヘ シフ ト (ブ ルー シフ ト)す る。PLピ ー クエ ネ ル ギーの シフ トが計算結果 と良 く一致
し,こ の発光遷移 は井戸層 の伝導帯 と伝導帯に生 じた量子準位 間 によるもの と考 える
.
量子準位 の計算 は 有 限矩形 ポテ ンシ ャルモデル で
Schr● dinger方 程式 を解 い て 見積 もつ
た・ Znα 95CdO.050/ZnOの 伝導帯 と価電子帯 のオ フセ ッ ト比
(AEc/AEv)は XPS(Xィ ay
photodcc廿 On spectroscopy)分 析 によって 64/36で あると報告 され て い る 5-o.本 実験では
,
ZnO,85CdO.150/ZnOの オ フセ ッ トはAEc/AEv=64/36と して計算 した。Z■ 0,85CdO.150井 戸層
と ZnO障 壁層 との 光学バ ン ドギ ャ ップのエネル ギー 差 は 390 meVで あるか ら,AEc及
び
AEvは
それぞれ
250 meV,140 meVで ある.ZnO.85CdO.150中 の電子 の有効質量 ″
e
と正 子Lの 有効質量 鍋 は,ZnO中 の値 と同 じで あ る と仮定 して ″e=0.28x“ 。
,解 h=0.59x
胸
5-→
を用 い ることで 実験結果 のシフ トと一致 した。 ここで,“ 0は 自由電子 の 質 量であ
る.本 実験では観 測 され ていないが ,通 常 σtt ZnO系
MQWsに は構造内 に形成 され
る内部 電界 によっ て量 子 閉 じ込 めシ ュ タル ク効果 (QCSE;Quantllm coninemcnt Stark
Effect)が 観測 され てい る 54).Fig.5.5(→ の極性 面井戸構造では QCSEが 生 じ,井 戸層
内 の電子 と正孔の 波動 関数 が空 間的 に分離 され るために,発 光 ピー クが低エ ネ ル ギーヘ
シフ トして発光効 率 が減少す る.ま た QCSEは 六方晶系 の結晶構造 を有す る GaN系
や
5‐
⊃
ZnO系 量子丼戸構 造で発現す る.Z■ 0は ウル ツ鉱構造であ り,低 い結晶対称性 か ら
自発分極 を有す る .さ らに Znl,C40/ZnO積 層構 造 を形成す ると,ZnI.C4oは 面内に圧
縮歪み を受けて圧 電分極 を生 じる.井 戸層 内の 内部電界 は これ ら自発分極 と圧 電分極 に
起因す る。本研究 で 作製 した ZnO,85Cda150/Z■ O
MQWsに お い て QCSEが 観測 され てい な
いの は,MQWSの Zn.85CdO.150井 戸層 の キ ャ リア密度 が高 いために ス ク リー ニ ン グが生
じ,Fig.5,5(b)の バ ン ド図 を形成 してい ると考 え られ る。
PL半 値幅 の井戸層幅依存性 を示す .ZnO.85CdO.150バ ル クか らの PL阪
値幅 はお よそ 200 meVで ある,MQWsの 構造化 に伴 い半値幅 が低減す ると理論的 に考
Figure 5,4(c)に
え られ るが,MQWSで 井戸層幅 を 8nmで は半値幅 は一 定である.さ らに丼戸層 4nm以
下 で 半値幅は僅か に増 大す る。この半値幅 の増大 は井戸層 と障壁層 の界面の 乱れ が原因
である。Znoの ボー ア半径 が 1.8nmで あることか ら,井 戸層幅 4nm程 度で界 面 の乱れ
が現れ ると考 える。
53
(a)
Zncdo
zo K
お一
OZ
oc理圧 コ﹂﹁oN橿E﹂
2.4
2.5
3.0
Photon energy (eV)
2
2
0 5 0 5
8
0
9
9
2
oEo C理 n塑E o コL
︵
>o︶ゝ0﹂
3
2.80
2.75
300
︵
﹂ コL
>oE ︶〓 〓≧′
250
200
150
100
50
0
0
5
10 15 2g 25
I* (nm)
bulk
Wellwidth,
Fig
5.4 (a) PL spectra from Zns.s5Cds.rsO/ZnO MQWs at 20 K. The intensity is normalized. The
peaks with a hiangle show PL from Zns.s5Cds.rso
energy and (b) FWHM of MQWs on
well layer. The dependency of (b) PL peak
I*. A solid circle and a broken line are the experimental
result and the calculated result, respectively.
54
(a)
(b)
︵
>0︶ゝ0﹂oE0
鳥
f7プ (く
力yl
Fig.5.5 Schematic diararn Ofthe conduction and the valence bands ofwLlrtZitic quantum wens
under the spontaneous and piezoolectric Polarization ficld,(aウ
QCSE and(b)SCreCning
5.3.3 励起子再結合 の 増 強
MQWs(井 戸層幅 2,4,8 nm)と バ ル ク ZnQ85CdO■ 50に ついて時間分解 PL測 定 を 8K
で行 った。MQWS及 び バ ル ク Zn.85CdC150の PL発 光減衰 を Fig.5.6に 示す .(⇒ はバル
ク ZnO.85CdO.150,(b)は MQWS(井 戸層幅 2 nm)か らの PL発 光減衰 を示 してい る.PL
発光減衰 は式 (5.2)の 二 重指数関数 で最小 二乗法 に よつて うま くフ ィッテ ィ ン グで き
た。そ の結果 を Fig.5.5に 実線 で示す
.
J(1)=ム exp(― f/■ )+亀 exP(一 r/72)'
Z■ 0.35CdO.150バ
(5.2)
ル ク の PL発 光寿命 ■,■ はそれぞれ 16 ps,80 psで ある.MQWsの ■
,
■はそれぞれ 13 ps,54 psで あ り,
MQWsは 発光寿命 が短 時間化す る ことが分 か る
.
さらに,MQWsの 励起 子 の局在深 さ 島 と移動度端 エ ネ ル ギー島 cは ,局 在励起子 モ デ ル
に基 づ くGourdonと Lavallardの 式
5‐
8)で
見積 もると,そ れ ぞれ 200 meV,2.88 eVで あ る。
ここで,第 4章 にお いて示 した よ うに,早 い発光寿命 ■は ドナー東縛励起子 の発 光成分
であ り,遅 い発光寿命 成分 亀は局在励起子 の発光成 分 であると考 えている。
ZnO/MJ軌 lρ MQWSの 発光寿命 が QCSEの 影響 に よってμsオ ー ダー まで長時 間化す
る報告がある 5).GaN tt QWsで も同様 に QCSEの 影響 による発光寿命 の長時間化 が報
告 されて い る .発 光寿命 がμsオ ー ダー まで長時 間化 してい な い ことか らも,MQWs
5‐
5-η
のス ク リー ニ ングに よつて QCSEの 影響 は弱 い と考 える。
こJ
こJ
8K
(a}
16 ps
l〓
r2=80 ps
0 0 00
一一
Eコ .
0匡0”E一選L
一﹂o︶ゝ︺一
0 0 0 0
0 0 00
00
Zn085Cd015° bulk
MQWs,と w=2nm
r4=13 ps
r2〓
54 ps
400
Decay Jme(ps)
200
600
800
Fig.5.5 PL decay cllrvcs from(→ ZnCdO bulk and(b)Zno.85CdO,150/ZnO MQWs haVing wcll
width,二 w of2 11m recorded at 8 K.The solid lines show the decay curves fltted by double
exponential functio■ ofIの =」 lexP(― r/rl)+J2eXp(… J/■ ).
MQWsの 発 光寿命 ■,っ
と ZnO.85CdO.150井 戸層幅 の関係 を Fig,5.6‖ に示 す .併 せ バ
ル ク ZnO.85CdO,150も 示す .■ は MQWs(13 ps)に お いてバ ル ク(16 ps)と 同程度 であるこ と
が分 か る。 ■は ドナー東縛励起子 での再結合成分 であ り,東 縛 の空間(乾 .。 /4∼ 0.lrlm)か
ら考 えると井戸層幅(2… 8nm)は 1桁 大 きい た めに,井 戸層幅変化 の影響 が小 さいためで
あると考えて い る。一方 ,■ は MQWS(70 ps)に お いてバ ル ク(80 ps)よ り短時 間化す るこ
とが分 かる。さらに,MQWsの 二wが 811mか ら 21mへ 減少す ることで,70 psか ら 55 ps
に さらに短時 間化す る ことが分 かる。■は局在励起子 の再結合成分であ り,井 戸層 の体
積 が減少す る こ とで揺 らいだポテ ンシ ャル に捕獲 され る確 率 が減少 した た めである と
考 えている。 ここで,発 光寿命 ■の短時間化 は Znc85CdO.150井 戸層 で の励 起子再結合 の
増強 を示 してい る と考 え,発 光寿命 の短時 間化 につい て Ploogら によつて GaAs系 で扱
5oの
われた励起子再 結合 モデル
観点 で議論 す る.GaAs/Al=Ga¨ AS MQW系 は MQWsで
56
の キャ リアの局在化 のために増強 された再結 合 は減少傾 向 を示す 5り ),5‐ lo.こ の傾 向 は
Z■
,
0系 MQWsに ついて の本研 究結果 の議論 と うま く合 う。
100
0 0 0 0
8
6
4
2
JoE〓
→Q︶どぃ
理一
一
J﹂
ぃ
﹂ 三︺0匡①﹂響∽ ﹂0︼輻一
〓0”0
0
1.5
1.0
0.5
0.0
5
10
15
20
25
Wdi width,と w(nm)
Fig.5,6 Dcpendency ofPL lifctimc(■ and■ )and Oscillator strcngth in ZnO.85CdO.150/Zn0
MQWSOn znO.85CdO.150 Well width,takcn at 8 K.
ここで,Znl_CtO系 の励起子振動子強度 につ いて議論す る。Z■ 0,85CdO.150/ZnO MQWs
の励起子 の振動子強度 /は ,式 (5.3)の 式を用 いて,測 定 した PL発 光寿命 亀から見積 も
られ る。
5‐
11)
降
(5.3)
ここで ,は 屈折率 2.2(ZnO)で ある.rRは 発光再結合で あ り,こ の値 は低温
8Kで 測 定
した発光寿命 ηLに 同 じで ある と仮定す る。 そ の他 の記 号 は一般的な物理量であ り,島
は真空 の誘電率 ,″ 。は電子 の質量 ,ε は光速 ,′ は電子 の電荷 ,″ は発光 エ ネル ギー に
おける角振動数 である.こ こで,実 験値 と計 算値 との間 のノ値 の一致 は GaAs/ALGal_鼻 s
MQWsに お い てで さえ未 だ 明 らかにな っ て い ない .5つ )し たが って,井 戸幅 2 rlrnの
ZnC85CdO■ 50/Z■ O MQWsで の典型的な振動子強度 ノは 1.28と 計算 された。 この ノ値 は
57
ZnCdOバ ル クの励起子振動子強度 で規格 化 されて い る.こ の結果 か ら MQWsで は励起
子再結合 が増強 されて い る ことを示唆す る。
5,4 ま とめ
ZnO.85CdO.150/Zn0 10周 期
MQWsを
εtt ZnOバ ッフ ア層(100 rlm厚 )/a面 サ フ ァイ ア基
板 上に作製 し,励 起子再結合 の増強 につ い て評価 した .Zn.85Z■ 0.150井 戸な らび に Zno
障壁 の作製 した MQWSの 周期性は XRD測 定か らサテ ライ トピー クの存在 によつて確 か
め られ ,0次 ,¨ 1次 の サテ ライ トピー ク間隔 か ら見積 もつた周期幅 は ,設 計 した周期幅
に近 い ものが 出来てい ることが分 か つた 。MQWs試 料 の発光準位 を低 温
Stcadyttstatc PL
測定 で評価 す ると,井 戸層幅 の薄化 に伴 った PLピ ー クのブルーシフ ト (高 エネ ル ギー
側 へ のシフ ト)を 観測 した。有限矩形井戸 型ポテ ンシ ャル で井戸層 内 の量子 準位 を計算
す ると,実 験 で得 たブル ー シフ トと一 致す るこ とが分 か り,PL発 光準位 が井戸層 内で
の量子準位 間遷移 であ る と推測 され る.さ らに,PL発 光寿命 につい て も井戸層幅 の薄
化 に伴 い短 時間化す る こ とを時間分解
PL測 定 か ら明 らかに した _こ の寿命 を用 いて
Feldmalmモ デルで見積 も つた励起子 の振動子強度 │ま 薄膜 の値 よ りも大 きく,さ らに丼
戸幅 を 811mか ら211mに 狭 くす るとよ り振動子強度 が増 大す る ことが分 か り,井 戸層内
で の励起子再結合 の増強 が示 された
.
参考文献
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58
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59
第
6章
η tt Zn(Mg,C00を 型 4H― SiCヘ テ ロ接 合 の バ ン ドライ ン ナ ップ 評 価
6.1 は じめに
ZnOは 酸素空孔や格子間亜鉛 に起 因す る ドナ ー性欠陥 のために ″型 を生 じや す く,さ
3程 の い正
らに補償 効果 によつてア クセプ タを ドー ピング して も 1018cm‐
孔濃度 を再
度 高
1)に
よる EL発 光が報告 されて
現性 良 く得 ることが難 しい。これ まで に ZnOホ モ接合
い るが ,欠 陥 を介 した発光 で主ある ← そ のため, μ 接合 を実現す るために これまで
6…
2)。
型 Znoヘ テ ロ接 合 が多 く検討 され
“
EL発 光 に ついて報告 されてきた .本 研 究 ではρ型 4H‐ SiC基 板 を採 用 し,η ttZn(Mg,Cd)0
に種 々 の P型 半導体 を正 孔注入層 と して用 いた
,
Znoの 正孔注入層 として 4H‐ SiCを 用 い る優位 点は 3
つ ある。 1.高 い正 孔濃度 2x1018 cm 3の ものが市販 で購入可能 で あ る。 2.フ イ ドバ
とのヘ テ ロ接合 を形成 した .″ 型
ン ドギ ャ ップ 3.26 eVで あ り,ZnOの バ ン ドギ ャ ップ 3.28 eVに 近 い .3_結 晶構造 が
六方晶系 で あ り,c tt ZnO/c面 4H‐ SiCヘ テ ロ構造 の面内格子 不整 合 は 5.3°/0(α 軸長
z.。
:3.240A,α 軸長 4H― 騎C:3.076Å )と 比較的小 さい。 これ ら特長 に よつて,高 品質 な
ZnO系 発 光デバイ スの 実現 が期待 で き る。さらに,発 光デバ イ スの構 造は η型 基板 上の
′型層 を成 長 したヘ テ ロ接合 ,い わ ゆ る 認側ダ ウンで あるが ,本 研 究構造では P側 ダ ウ
ン構造 の試 みである.4H― SiCの 熱伝 導率 が 4.9 Wcm lK・ 崎 と ZnO(約 0,3 Wcm4K・ )よ
りも 1桁 高 く,放 熱 に優れてい るた め可能 である と考 える.P型 4H‐ SiCは ワイ ドギ ャ
ップ半導体 ″型 Sno2と のヘテ ロ接合 形成で用 い られ ,電 気特性評価や EL評 価 が検討
されて い る →.こ れ までに,″ 型 Znl,c40/p型 4H… SiC系 ヘ テ ロ接 合デバイ ス を作製 し
6‐
赤 ,緑 ,青 色 EL発 光 が観測 されて い る 助,“ o,6¨ η.短 波長発光
型 Zn(Mg,Cd)0/イρ型
“
4H‐ SiCヘ テ ロ接合構 造 を設計す るた めに,互 いの電子親和力 とバ ン ドギャップ の大小
6‐
関係 の た めに,タ イ プ Ⅱヘ テ ロ接合 となると予 測 で きる。 しか し,4H‐ SiCの 電子親和
力 の不確 定性 が大きい ために,タ イプ Iも しくは タイプ Ⅱの判断 は電子親和力 とバ ン ド
ギ ャ ップの計算か らでは難 しい.そ こで本章では,ZnO系 ヘ テ ロ接合
障壁層
/″
型 Zn(M8,Cd)0活 性層 ノ
P型
4H“ SiC:Al基 板 を作製
し,4型
型 MgO.19ZnO.810
“
Zn(M&Cd)活 性層
のバ ン ドギ ャップ を変 えた ときの EL発 光エネル ギーの変イ
ヒを調 べ る ことによつ て,ヘ
テ ロ接合 の バ ン ドライ ンナ ップを評価 した。さらに,ヘ テ ロ接合界面 のバ ン ドオ フセ ッ
トを考慮 して ηtt Zn(Mg,Cd)層 へ の正 孔注入や再結合過程 を議論す る。
60
6.2
実験方法
ヘ テ ロ接合 ,4‐ MgO.19Zn。 .10障 壁層/4‐ Zn(Mg,Cd)0活 性層
← 4H‐ SiC:Alを RPE‐ MOCVD
法で作製 した。そ の構造 を Fig.6.loに 示す 。ヘ テ ロ接合 は,″ 型 ctt ZIMg,Cd)0(200
nm厚 )と ρtt
c tt SiC:Al基 板 で構成 さる。さらに,ヘ テ ロ接合 上部 に
型 MgO.19Zn.810
“
障壁層 (400nm厚 )と ″型 Znoコ ンタク ト層 30nm厚 を成長 した.″ 型 Zno層 へ の オ
ー ミック電極 にはイ ンジ ウム (In)を 用 い ,裏 面 SiC:Al基 板 とのオー ミック電極 にはア
ル ミニ ウム (Al)を 用 い て い る.″ 型 Zn(Mg,Cd)0層 のバ ン ドギャ ップが異 なる 5水 準
のヘ テ ロ接合試料 を用 意 した.ZnO,87CdO.130(バ ン ドギ ャ ップ 2.80 eV),Zn。 .92CdO.080(3.00
cV), ZnO.95CdO.050(3.1l eV), ZnO(3.28 eV), MgO,13ZnO.870(3.52 eV)で あ り, Fig.6.1
(b)に Z■ (Mg,Cd)0層 のバ ン ドギ ャップ を,4H― SiCと MgOJ9znO.810障 壁 層 のバ ン ドギ ャ
ップ と併せて示す 。ηtt Mg。 .9ZnO.810障 壁 層 のバ ン ドギ ャ ップは 3.60 eVで ある。′型
4H‐ SiC:Al基 板 の キ ャ リア 濃度 は 2x1018
cr3で ぁる.″ 型 MgO.19Znc810と ″型 Zno層
の電子濃度 はそれぞれ 6x1019 cm‐ 3,7x1018 cm 3と van Dcr Pauw法 による HJl測 定で
見積 もられた 。DEZn,DMCd,EtCP2Mgを Ⅱ 族有機金属原料 として用 い,0ラ ジカル
を Ⅵ 族原料 に用 いた。成長 条件 を Tablc 6.1に 示す .ヘ テ ロ接合作製前 に P tt SiC基 板
はアセ トン とメタノール で超音波洗浄 した後 に,フ ッ酸 に 30分 間浸 して基板表面酸化
膜 を除去 した .そ の後 ,成 長反応管内で 800° Cに 加 熱 された基板 は水 素 ラジカル 雰囲
気 で 30分 間表面清浄 した。
予備実験 として,Zn(Mg,Cd)0薄 膜 の吸収端 エネル ギー か ら試料 の混晶組成 を見積 つ
た。ヘ テ ロ接合作製では同条件で成 長 を行 つた。各層厚 さは,予 備実験 で得 た成長速度
か ら見積 もつた成長時間で制御 した .リ フ ァ レンス混 晶薄膜 の混晶組成 は原子吸光分析
(AAS)か ら見積 もつてい る
.
ヘ テ ロ接合形成後 ,リ ー ク電流 を防 ぐために試料端 4辺 を硝酸でエ ッチ ング してい る。
″型 Zn(Mg,Cd)0夕 型 SiC:Alヘ テ ロ接合 の電流電圧
(ル の
16Kか ら室温までの範囲 で行 つ
nmを 用 いた.励 起 パ ワー は 2mWで ある。
行 われた。 さらに,′ 型 4H‐ SiC基 板 の PL測 定は低温
た .励 起光源 には Hc‐ Cdレ ー ザ の 325
測定並びに EL測 定は室温 で
61
(b)
(a}
7nO contact r30 nrnヽ
・
Mgi■
rnbjO・
‐
・ …………………
・……
………
・…Ⅲ
…
│…
M9o.,oTno*o
︵
ン●︶0■00E“m
n-Mgo.,rZno.r,'O barrier (400 nm)
r
‐ …
…………力■…_… …
4H― SC…
.
Zn。
。
Fd。 。
5° ●
Zn092Cd008°
°
Zn087Cd013°
・
Zn(Mg,Cd)O active layer(200 nm)
r7‐
2.5
p4H-SiC:Al (0001 ) substrate
F=2x 1018 cm€
2_0
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
0.1
0.2
0.3
Cd content,x
Mg content,y
in Znl,CdxO
in MgyZnlッ
0
felectrode Al
Fig.6.l (a)
Schematic diagram
of the heterojunction with
n-Mgo.rqZn0.go barrier/
n-Zn(Mg,Cd)O active layer on a p4H-SiC:Al substrate. (b) Bandgap
of Zn(Mg,Cd)O
active
layer consisting of heterojunctions are shown. And bandgap of 4H-SiC and Mgs.1eZng.s1O barrier
is also shown.
go*l
Chamber pressure
Substrate temperature
Rf power
(DEZn + DMCd) flow rate
Oz flow rate (for plasma)
H2 push gas
t
T#l* 6.l Typi.ul
62
1.3 Pa
450 - 600 "C
20 W
Total 6 pmol/min
25 sccm
12 sccm
6.3 結果 と考察
6.3.1電 流電圧特性
ルZn(Mg,Cd)0を -4H‐ SiC:Alヘ テ ロ接合 の電流電圧 特性 を Fig 6.2に 示す。活性層 に(a)
″―ZnO,95CdO.050,(b)″ ‐
Zno,(c)4・ ・MgO.14Zn0860を
用 い た ヘ テ ロ 接 合 の 結 果 で あ る
.
2
0
(a)r―ZnO.95Cd005°
rp_sic
8
6
4
2
0
ビIり さ …
2
2
0
8
6
4
2
0
2
oco﹁t世﹂
コ0
ごE理くE︶お一
(b)r7‐ ZnOrp_sic
2
0
(C)η
―
Mg014Zn086° /prSiC
8
6
4
2
0
2
…
10
-5
10
VoLage(V)
Fig.6.21-V characte面
s輔 cs
of″ ‐
Zn(Mg,Cd)0/P‐ 4H― SiC:Al heterdtlnC10■ :(a)″ ―
Zn。 95CdO,050,
(b) nZnO, (c) n-Mgo.r+Zno.re0.
63
試料 によつて逆方 向バイ ア ス 印加時に リー ク電流 が観測 され るもの もあるが ,全 ての
Znc95CdO■ 50活 性 層 ,(b)ル Zno
試料 にお いて整流性 を示 してい る.立 ち上が り電圧 は村 ″‐
MgO.4ZnQ860活 性層 についてそれ ぞれ
活性層 ,(c)η ¨
6.05V,6.44V,7.24Vで あ り,活
性層 のバ ン ドギャ ップの増加 に伴 って立ち上が り電圧 が増 大 してい ることが 分 かる.し
か し,立 ち上が り電圧 が活性層 のバ ン ドギ ャ ップ よ りも約 3 eV高 い ,こ の エ ネル ギー
の起源 を,結 果結果 と設計 で見 積 もった立 ち上 が り電圧 とを比較 して考察す る.ま ず
4H‐ SiCの 接合 を考 える.Inは 仕事関数 φnが =4.09
In電 極/ル Z■0な らび に Al電 極夕‐
eV6¨
,
助
で あ り,Znoの 電子親和カル.。 =4.05 eVに 近 い ため,In電 極 /ル Znoは オ ー ミック接合
で あると考 え られ る。一方 ,Al電 極♭ 4H‐ SiC:Alは シ ョッ トキー接合 と考 え られ る。
Alの 仕事関数 は 4.17
3.5± 0.3
eV6‐
3)で
ぁる.4H… SiCの 電子親和力 とバ ン ドギ ャ ップはそれぞれ
3の
ときのフェル ミ準位 Efと 価電
eV,3.26 cVで ある。正 孔濃度 ′=2x1018 cm‐
子帯 島 とのエネル ギー差 Ef― 島 =(亀 7■ )iS、 便}=0・ 07 eVで あるため,4H… SiC:Alの 真
空準位 か らフェル ミ準位 までの エネル ギー が 6.69± 0.3 cVと なる.し たが つて ,障 壁高
さ 2.52± 0.3 eVの シ ョッ トキー 接合 の形成 を示唆す る。このシ ョッ トキー接 合 の障壁高
さが ,ヘ テ ロ接合 の立 ち上が り電圧 を高 くす る原因 であると考 え られ る。
6.3.2エ レク トロル ミネセ ンス
ヘ テ ロ接合 か らの典型的な ELス ペ ク トル を Fig,6.3に 示す 。注入電流 は 200 mAで あ
る .ル Z■ 0.87C島 .130ケ 4H… SiCは
2.8 cVに ELピ
2.4 eVに ELピ
ZnOを
ー ク を 持 つ 。一 方 ,η ‐
4H‐ SiCは
ー ク を 持 つ .4・・
ZnO.92Cd0 080″ ‐
-4H‐ SiC及 び ル MgO.14ZnO.860夕 4H― SiCは
の メイ ンピー クに力日えて 2.5 eV付 近に肩 ピー クを含 んでい る ことが分 かる
64
.
2.9 cV
(a)ル Zn087CdO.13° /pu4H‐ SiC
▼
、一一
OEO︺E一コШ ﹁ON〓苺Fヒ 0〓
Zn095CdO.05° /p_4H‐ SiC
{b)Л ‐
▼
Zno/p‐ 4H‥ SiC
(C}月 ―
/p-4+日 C
個)n‐ MgoJ4Zna“ °
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
Photon energy(eV}
Fig.6.3 EL spectra from“ ―
Zn(Mg,Cd)0/P…4H― SiC:Al heterttunCtiOnsi(a)″ ―
ZnO,87CdO.130,(b)
″―
ZnO.95CdO.050,(C)″ ‐
Zno,and(d)η ‐
Mg。 .14ZnO.860・ EL takcn at r00m tempcrature under an
itteCtiOn cllrrent of 200 mA.The triangle alld the circle show the main peak and the shoulder
pcak,respectivcly.
Figllre 6.4(a)は
ヘテ ロ接合 の ELピ ー クエネル ギーの ″―
Zn(Mg,Cd)0活 性層 の混晶組成
缶,y)依 存性 を示す 。併 せて横軸 に活性層 の混晶組成 に対応するバ ン ドギャップを示
す。実線はヘ テ ロ接合 か らの ELピ ー クエ ネル ギー を示 し,破 線は Zn(Mg,Cd)0薄 膜 (a
面サ ファイ ア基板上)の PLピ ー クエネル ギー を示す .活 性層 の ELピ ー ク,PLピ ー ク
エネル ギー を比較 して い る。
Znl,Cd.0活 性層 の Cd組 成 x>0.05(バ ン ドギャップ 3.l eV
以下)で は,Cd組 成 の減少に伴 い ELピ ー クエネル ギー が増大す る。これは PLピ ー ク
エネル ギーの増大傾 向 と良 く一致 してお り,ル Znl_C島 0層 でのキ ャ リア再結合 による
65
発光 である.し か しなが ら,Z<Mg,Cd)0活 性層 に Znl,C40(0,05>x>0)や MgJ2Znlッ o
Znoゃ
を用 いた (Zn(Mg,Cd)0活 性層 のバ ン ドギ ャ ップを 3.l eVよ り大き く した)η ‐
ルMgO■ 4Znc860の 場合 ,Zn(Mg,Cd)0の
PLピ ー クエネル ギー は組成 に依存 して増 大す る
にも関 わ らず ,ELピ ー クエ ネル ギー は 2,9 cVで 一 定 とな る。これはタイ プ Ⅱヘ テ ロ接
合 の形成 による p‐ 4H‐ SiC:Al中 の Alア クセ プ タ準位 を介 した発光 で あ る。Fig.6.4(b)は
)に 対す る EL半 値幅 の依存性 を示す 。 タイプ Iヘ テ
ロ接合 となる Cd組 成 0.05以 下 では,EL半 値幅 は Cd組 成 の減少に伴 い ,0,6 cVか ら
MgO.4ZnO.860を 用 い たタイプ Ⅱヘ テ ロ接合
eVに 増大す る。一方 ,活 性層 に ルZnoや ″―
の場合 は,P4H‐ SiC:Al基 板 でのキ ャ リア再結合 が寄与 して い るために ,EL半 値幅 は混
″…
Zn(Mg,Cd)0層 の混晶組成
(χ
,ノ
1
晶組成 によ らず leVで 飽和す る
.
3.5
(a)
PL(on A牲 OJ′
0 0 0
0 5 0
4 4 5
0 5
3 2
o>籠〓
︵
Eこ 52 o一
﹂
oEO〓輛OQJШ
︵
>0︶ゝ0
…
…………ギト4H― SiC… …
2.0
1.5
0 5
1 0
言← Σ工≧L
(b)
0.0
0.3
0.2
0.0
0.1
χin Znlィ Cdρ
日
2.4
1
1
2.6
:
i
2.8
3.0
l _
0.1
yh M9/LP
0.2
1
3.2
3.4
3.6
0ptica:bandgap(eV)
Fig. 6.4 (a) ELpeak energy and (b) the FWHM of
(x, y) in n-Zn(Mg,Cd)O active layer.
66
a
heterojunction
as a
function of alloy content
ヘ テ ロ接合 ルZno♭ 4H― SiC:Alか らの室温 ELス ペ ク トル に注 目 し,Fig,6.5(a)に 示す 。
注入電流 は 200 mAで ある .ELピ ー クは 2,9 cVを メイ ン ピー クとして 2.5 cV付 近 に肩
ピー クを もつ プ ロー ドな
ELス ペ ク トル である.ELス ペ ク トル を 2つ のガ ウス関数 で
ピー ク分離す ると破 線及 び点 線 で うま く ピー ク分離 で き,分 離 した ピー クのエネル ギー
は 2.93 ev 2.51 cVで ある。 これ ら発光 ピー クが基板 で の発光 であることを確認す るた
めに 4H― SiC基 板 の発光 スペ ク トル を低温か ら室温 の範 囲 にお けて
Fig.6.5(b)に 示す ル4H― SiC:Al基 板 の温度 依存
PL測 定 を行 つた
.
PLス ペ ク トル よ り,P‐ 4H‐ SiC:Al基 板 は 3
つの発光遷移準位 が 2.9,2.5,1.9 eVに 存在す る ことが分 か る.2.9 eV付 近 にメイ ンピー
クを もつ 発光準位 が低温
16Kか ら 80Kの 範囲で観測 され ,こ の発光強度 は温度 上昇 に
伴 い小 さくなる。これ は ,3.06 eVに 位置す る 4H¨ SiC tt Al準 位
(Fig。
6.5(b)中 矢印位 置 )
の LOフ ォ ノ ン を介 した 発 光 で あ る。
4H‐ SiCの バ ン ドギ ャ ップ は 3.26 eVで あ り,4H‐ SiC
中の
Alア ク セ プ タ準位
と価 電 子 帯 の 頂 上 の エ ネ ル ギ ー 差 が 0.19 evで あ るた め ,価 電
子帯 の電子 とアクセ プ タ準 位 の正孔 の再結合す るエネル ギー は 3.26 cV‐
0。
19 eV=3.07
eVで ある ").2.5eVの 発光 ピー クが温度 80Kか ら 200Kの 範囲 で,2.9 eVの 発光強度
に比べ て 1/700と 極 めて弱 い が現れ る.さ らに 1.9eVの 発光 ピー クが 200Kか ら室温 付
近で,1/700と 同様 に極 めて 弱 い発光 ピー クが現れ るが ,現在 は 2.5,1.9 eVの 発光準位
の起源 は明 らかにな って い な い .こ の よ うに 4H― SiC:Alに は 3つ の発光準位 が存在す る
ことが分 か る。 ここで,4‐ ZnO/P-4H― SiC:Alヘ テ ロ接合 か らの 2.9 eV付 近 のプ ロー ドな
EL発 光 スペ ク トル は ρ-4H― SiC:Al基 板 の PL発 光準位 2.9,2.5 eVと よ く一致 し
,
‐
ルZnOヶ ‐
4H… SiC:Alヘ テ ロ接 合 か らの ELは η
ZnOか ら流れ込んだ電子 とル4H口 SiCの 正
孔 の キ ャ リア再結合 による もの である.特 に ELで の電流注入 によって ′-4H‐ SiC:Al内
での励起 キ ャ リアの密度 は PLの 光励起に よる励起キャ リアの密度 よ りも高 いため,励
起 キャ リアは発光遷移準位 2.9,2.5,1.9 eVを 介 して発光す る と考 え られ る.こ の結果 か
ら,Fig.6.4(a)で 示 され た 2.9 eVを メイ ン ピー ク と した
EL発 光 は高注入電流下で
ρ-4H"SiC:Al基 板 の発光準位 を介 した再結合過程 による もの である
.
67
︵∽ギ一
OEO︺E一コШ
Cコ .
0﹂“︶ゝ響一
(a)EL o 200 mA
月‥
ZnOrp‐ 4H‐ SiC
ゝ一一
OC〇一C一コ﹂
oZ
E 里﹂
﹁oN一
{b)PL p-4H― SiC
9° K J‖
上 20K
i■
x70QJヨ ¬ L X70留
ノ ゝEIAり
290K.J出
「
2.O
2.5
3.0
Photon energy (eV)
Fig.6.5(a)EL spectrulrl from the 4¨ ZnO/p‐ 4H‐ SiC:Al heterttunCtiOn at room temperature
under an ittCCtiOn current of200 mA.(b)PL spcctra from the′
¨
4H¨ SiC:Al substrate at various
temperatures.
Fig.6.6は ヘ テ ロ接合 か らの EL発 光強度 の注入電流依存性 を示す .ル Zn(Mg,Cd)0層
Zno,(c)ル MgO.14ZnO.860に つい て評 価 した。EL強 度 は
として,C卜 ZnO.95CdO.050,(b)″ ―
,
エ ネル ギー 2.9 eVで の ELピ ー クの最大値 である.全 ての注入電流 で ELス ペ ク トル は
2.9 eVで の 発光 が支配 的 である。実線 は EL強 度 の注入電流依存 を示す ,式 (6.1)で 表 さ
れ る,フ ィ ッテ ィング曲線 である.べ き乗 ル値 は Fig.6.6で 勾配 にあた る。
ELttfenslify∝ CJrrerfた
(6.1)
,
ルZnO.95CdO.050/P 4H‥ SiC:Alヘ テ ロ接合 では,ル ∼ 1で あ り,注 入電流 の増加 に伴 つて
Zn.95CdO■ 50層 へ の正 孔注入 を示唆す る。一 方
EL強 度 が線形的 に増 大す る。 これ は ″―
4-Z■
0や 4-MgO.4ZnO.860を 用 い たヘ テ ロ接合 では,弱 注入電流条件 にお いて,ル
,
はそれ
ぞれ 0.16,0.36で ある。この小 さい た値 は,タ イ プ Ⅱヘ テ ロ接合 の界面 で空 間的 に分離
されたキャ リア遷移 で生 じた低 い発光効率 のためであると推測 され る.高 注入電流条件
では 1∼ 1で あ り,EL強 度 が注入電流 の増 加 に伴 っ て線形的 に増大す る。この高注入条
68
件 では,Fig.6.3(d)に 示す よ うに,ELス ペ ク トル は 2,5eV付 近 に肩 ピー クを持 つ ,こ の
肩 ピー クは,小 さいAEcに よ つて電子 が容易 に ル4H‐ SiC:Al領 域 へ 注入 され ,p‐ 4H‐ SiC:Al
の発光遷移 であると考 える
.
(a)「 ZnO.95Cd005° /p_4H‐ SiC
︵0︺一
Cコ .
OC〇一E一コШ
0﹂”︶ゝ”
一
(b)ル ZnoJp‐ 4H‐ SiC
(C),M90J√
oo
nO.6° rp_4H‐ SiC
1ol
102
103
Injection current (mA)
Fig.6.6 1ttectiOn cllrrent dependence of the EL intensity of the heterttllnctiOns at roOm
temperatllre.The slope is the value ofル in equation EL intensity∝
69
Cllrrentl.
6.3.3バ ン ドオ フセ ッ ト
ア ン ダ ー ソンモ デ ル を適 用 して 描 い た ルZ<Mg,Cd)0♭ 4H‐ SiC:Alヘ テ ロ接 合 の エ ネ
ル ギ ー バ ン ド図か ら,EL発 光 の 起 源 が
4型 Zn(Mg,Cd)0層
か ら生 じて い るか , も し く
は ノ型 4H‐ SiC:Al基 板 か ら生 じてい るか を議論す る。Fig.6.7に ,ア ンダー ソンモ デル
6■ ‖
),6■ 2)で
ZnO♭ 4H‐ SiC:Alヘ テ ロ接合 のエ ネ ル ギー バ ン ド図 を示す .(→ は熱平
描 いた η‐
衡状態 ,(b)は 順方向バ イ アス 2.5V印 加 時を示す 。アンダー ソンモ デ ル では,電 子親和
力 とバ ン ドギャップ を用 いて,ヘ テ ロ界面 のバ ン ドオ フセ ッ トを見積 る こ とができる。
ZnOと
4H‐ SiCの 電子親 和力〃は ,そ れ ぞれ 4.05 eV 6…
13),3.5±
0,3 eV`‐
14)と
報告 されてい
る.4H‐ SiCの 電子親 和力は不確定性 が大 きいが,本 実験 で 3.9 eVと 決定す る事で うま
く説明がで きる。ヘ テ ロ界面 の伝導帯 オ フセ ッ トAEcと 価電子帯 オ フセ ッ トAEvは それ
ぞれ 0.25 cV,0.27 cVで あ る。 これ らの 値 は ,式 (6.2),(6.3)で 求 ま る
△Eb=ガz"。 一χ4月 ―
SiC=4.05-3.9=0.25ey,
.
(6.2)
△馬 =(△ 鳥,加 。一△鳥 ―
島 =(3.28-3.26)+0.25=0.27ey,(6.3)
SiC)十 △
,4″
Figllrc 6.7(b)の
時 では,ル ZnO領 域 の電子 が P‐ 4H… SiC:Al領
順方 向 バイアス 2.5V印 力躍
域 へ注入 され ,′ -4H― SiC:Al領 域 の正 孔 はヘ テ ロ界面 の価電子帯 オ フセ ッ トAEvに よつ
てブ ロ ック されてい る と考えられ る.こ のエネル ギーバ ン ド図 か ら,Fig.6.6(→ で 2.9 eV
EL発 光 は 2つ の発 光 再 結合過程 に起 因す る と考 え られ る.1つ は
ル4H‐ SiC:Al領 域 で の キ ャ リアの再結合遷移 である.も う 1つ は,ヘ テ ロ界面 で空 間的
で 飽 和 した
,
4H‐ SiC基 板 での発光 は先に述 べ た よ う
に分離 され た電子 と正 孔 の再結合遷移 である.′ ‐
にAlア クセ プタを介 した発 光 が支配的 である.4H‐ SiC中 の Alア クセ プ タ準位 は 0.19 eV
であるた め,キ ャ リア の遷移エネ ル ギー は 3.07eVで ある.Alア クセ プタ準位 の LOフ
ォ ノンが発 光 に大き く寄与 して PLピ ー クが 2.9 eVに 現れ る (Fig.6.5(→ ),一 方 ,ヘ テ
ロ界面 で空 間的に分離 された ―
ZnO層 伝導帯 の電子 と′-4H¨ SiC価 電子帯 の正 孔 との再
“
結合は,電 子 と正孔 の波動関数 の重 な りが小 さく,発 光確率 は低 い。
これま での報告 で 4‐ZnO/P‐ 6H‐ SiCヘ テ ロ接合 では,4‐ ZnO側 か らル6H‐ SiC側 へ の電
子注入に よ つて,P-4H‐ SiC側 で発 光す ると報告 されてい る
の電子親 和力 3.9eVが
6H‐ SiCの 電子親 和力
6‐
l動
,本 研 究 では P4H‐ SiC
ZnO/P-4H― SiCヘ
4.O eVと 同程度 であ り,“ ‐
4H‐ SiC基 板 へ 注入 されて
Z■ 0層 か ら′‐
テ ロ接合 で は ルZ■ 0/P‥ 6H‐ SiCと 同様 に電子が ―
“
い ると考 え られる。
70
為Hsic=3.9 eV
(3.5± 0.3 eVl
△Ec-0.25 eV
EF
ふ辟烏
△EA(Al)=0.19 eV
Ec
!lⅢ
Ev
Eg.zno= 3-2E eV
r7‐
ZnO
…1.… 型 プま
言
p-4H‐ SiC
ΔEfO.27 eV
Fig.6.7 Anderson modcl cncrgy¨ band diagrarns of″ "ZnO/P-4H― SiC hctcrttllnCtiO■ llndcr(→
the111lal cquilibrium and under(b)a fO岬 ard bias v01tage of2.5V
Figllre 6.8に ″―
Zn(Mg,Cd)Oヶ -4H― SiCヘ テ ロ 界 面 の バ ン ドオ フ セ ッ ト(→
と″‐
zn(Mg,Cd)0層 の混晶組 成 の関係 を示す .CdOと
eV,1.37 eVで ある
6-lη
AEc,(b)AEv
M30の 電子親和力はそれぞれ 4.35
.znl_C40(MttZnlッ o)の 電子親和力 は,Zno 4.05 cVと Cd0 4.35
eV(M301,37 eV)の 間 を xに 対 して,線 形的 に変化す る と仮定す る。Znl_rC40(0<χ <
0.6)と Mが 昴 0(0<ッ <0.3)の バ ン ドギ ャ ップ は第 3章 の結果 で示 したバ ン ドギ ャップ
lッ
と混晶組成 の関係 を用 いて い る.Fig.8で は 4嘲 Zn(Mg,Cd)0の 具 (島 )に 対す る 4H¨ SiCの
民 (島 )の オ フセ ッ ト」 c(AEv)を 正 に とってい る.そ のため ,AEvが 負 とな る混 晶組成領
域 がタイプ Iヘ テ ロ接合 を示す 。これ までの結果 で明 らかな よ うに,活 性層 にルZnl_C島 0
o>0.05)を 用 い た ときのヘ テ ロ接合 はタイプ Iで ある。 この結果 を用 い て 4H‐ SiCの 電
子親和力を 3.9 eVと 決定す る と,Fig.8(b)で AEvが ″‐
Znl,c40← >0,05)で 負 となる。
ルZni,CtOけ <0.05)を 用 い たヘ テ ロ接合 では,Cd組 成 の 減少 とともにJvが 急激に増
大 して P-4H― SiC領 域 の正 孔 がヘ テ ロ界面でブ ロ ックされ る。 しか し,″ _Znl,C40は <
0.05)の 電子 は△島 でプ ロ ック され るために,電 子 と正孔 はヘ テ ロ界面 で空 間的 に分離 さ
れたタイプ Ⅱ ヘ テ ロ接合 となる.空 間的 に分離 された電子 と正 孔 の波動 関数 の重な り
は小 さくな り,再 結合確率 が 低下 して EL強 度 が低 くな る と考 えられ る.Fig.6.3(c)か
ら分かるよ うに,″ ‐
ZnOを 活性層 に用 いた場合 は EL発 光強度 が(a),(b)に 示す タイプ
I
ヘ テ ロの EL強 度 よ りも 1/4程 度低 くな ってい る。一方 ,″ ―
Mg17Zniッ 0活 性層 を用 いたヘ
71
テ ロ接合 で は,Mg組 成 の増 大に伴 っ て ,電 子 の障壁 ポテンシ ャル の意味を持 つAEcが
急激 に減少 す ることが考 え られ る。そ の ため,0.2<y<0,3の
Mg組 成領域 では,4H‐ SiC
が活性層 となるような タイプ Iヘ テ ロ接合 とな り,4-MgyZnlッ 0層 の 電子 が P-4H― SiC:Al
領 域 へ 注 入 され ,基 板 で の発光す る よ うになる 。 そ のために ,Fig.6.4(c)に 示 した
ヘ テ ロ接
r‐ MgO■ 4ZnO■ 60活 性層 を用 い たヘ テ ロ接合 の EL強 度 は ルZ■ 0活 性層 を用 い た
合
(タ
イ プ Ⅱ)よ りも強度 が高 くな る .や 場合 は ,4-Zn(Mg,Cd)0層 の電子 が 容易 に
P-4H‐ SiC:Al領 域
へ注入 され ると考 え られ る。
以 上 ,Fig.6.4oに 示 した,ピ ー クエ ネ ル ギー2.8 eV以 下の EL発 光 を示すヘ テ ロ接合
Zn(Mg,Cd)0活 性層 で のバ ン ド端遷 移再結合過程 が支配的 であ る.EL半 値幅 が大 き
は ″―
い ことか ら,ヘ テ ロ界面 で再結合セ ン ター が存在 も しくは再結合遷移 も ELに 寄与 して
い ると考 え られる。一 方 ,ヘ テ ロ接合 か らの 2.9 eV EL発 光 は ル4H‐ SiC:Al基 板 での遷
移やヘ テ ロ界面での空 間的 に分離 され たキ ャ リア の遷移 によって生 じている
.
0.5
(a)△ 亀
︵
>o︶ゝ0﹂ocШ
…
0.0
…
■
上`へ______
‥
0.5
-1.0
0.5
(b)△
馬
0 5
0 0
︵
>0︶ゝPoEШ
上
_三 ■
=
-1.0
0.6
0.5
0.4 0.3 0,2
xin Znl.Cdx0
0,1
0.0
0.1
0.2
/h Mg「
0,3
LP
Fig. 6.S Band offset of heterojunction interface between n-Zn(Mg,Cd)O and p4H-SiC as a
function of alloy content
(r,y) in r-Zn(Mg,Cd)O
72
active layer: (a) AE", (b)
M".
6.4 ま とめ
η―
Mg。 .9ZnO,810障 壁 層 /ル Zn(Mg,Cd)0活 性層 /ル 4H― SiC:Alヘ テ ロ接合 ダイオー ドを
作製 し,EL特 性 か らバ ン ドライ ンナ ップ を評価 した.ル ア特性 か ら脚 ヘ テ ロ接合を確
認 した。 さらに P″ 接合 が うま く形成 してい る こ とが,活 性層 のバ ン ドギ ャ ップの増カロ
に伴 つて立ち上が り電圧が増 大 した ことか ら考 え られ る.″ "Zn(Mg,Cd)0活 性層 のバ ン
ドギ ャ ップ を変化 させ てヘ テ ロ接合 か らの EL発 光エネル ギーの変化 を測定す る ことで
,
ヘ テ ロ接合 のバ ン ドライ ンナ ップ を評価 した。 そ こか ら,タ イプ Iヘ テ ロ とタイプ Ⅱ
ヘ テ ロを考慮 して発 光再結合過程 を議論 した。″―
Znl_Cも 0← >0.05)活 性層 を用 い たヘ テ
‐
ロ接合 はタイプ Iで あ り,正 孔 が ′‐
4H‐ SiC:Alか ら ″
Znl_CtO活 性層 へ 注入 されて
″―
Znl.C40層 で
,
EL発 光す る こ とを明 らかに した ,ヘ テ ロ接合 EL発 光エ ネ ル ギーが
ルZnl√社0層 の PL発 光エ ネ ル ギー に一致す る こ とか らも,タ イ プ Iヘ テ ロ構造であ り
ルZnl,C40活 性 層 の バ ン ド端 で電子 と注入正 孔 が 効率 良 く再結合 してい る .一 方
,
ルZnO活 性層 ,ル MgO.4Zna860活 性層 を用 い たヘ テ ロ接合 は ,そ れぞれ タイ プ Ⅱ,電 子
が 4H… SiCに 電子 が 注入 され るタイプ Iと な り,ヘ テ ロ接合 か らは 2.9 eV付 近 に ピー ク
を持 つ プ ロー ドな EL発 光 を観 測 した。これ は 2つ の発光再結合過程が ELに 寄与 して
い る と推 測 してい る。低注入 電流 にお ける ELは ,タ イプ Ⅱのために,ヘ テ ロ界面での
空間的 に分離 され た キ ャ リア の発光再結合 が支配的 である。高注入電流 にお ける ELは
,
ルZn(Mg,Cd)0層 か ら ル4H‐ SiC:Al基 板 へ の電子注入 のた めに,′ ‐
4H‐ SiC:Al基 板 での キ
ャ リア の再結合 が支配的であ る。
Pサ イ ドダ ウンの ダイオー ド構造で可視域発 光 (2.9eV
′よ り低 いエネル ギー )デ バ イ スの実現可能性 を示 した.ま た本 実験結果 か ら, 4H口 SiC
の不確 定性 の大きい 電子親和力 が 3.9 eVと 決定す る こ とが 出来 た
.
参考文献
6¨
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74
第
7章
結論
ZnO系 半導体は励起子再結合 によって室温で 高効率に発光す る こ とが特長 であ り,可
視 か ら紫外域 の高効率発光デ バ イ ス材料 として期待 されて い る.Zno系 ヘ テ ロ接合構造
に よる高効率発光デ バ イ ス を実現す るために,Zn(Mg,Cd)0系 混晶 のバ ン ドギ ャ ップエ
ンジエ ア リン グ,デ バ イ ス クオ リテ ィーの結晶品質 の実現 ,ヘ テ ロ接合構造 の形成 を課
題 と して研 究 を行 つた .具 体的 には ウル ツ鉱構造 Zn(Mg,Cd)0混 晶 を リモー トプ ラズマ
励起有機金属化学気相堆積 (RPE‐ MOCVD)法 に よって広 い 混 晶組成域 で実現 で きるこ
と明 らかに し,そ れ らのバ ン ドギャ ップや格子定数 (c軸 長 )と 混晶組成 との 関係 を系
統的 に明 らかに した。Zn(Mg,Cd)0混 品 の
PLア ロイプ ロー デ ニ ン グが統計的 な混晶組
成 の ゆ らぎに加 えて励起子 の局在化 が大 きく影 響 してい る こ とを明 らかに した。高効率
な発 光を得 るために,青 色発光 Z■.85CdO.150/ZnO多 重量子丼戸構造 を作製 し,ZnCdO井
戸層幅 の薄化 に伴 う量子準位 間遷移 の PLピ ー クブル ー シフ トを観測 した。 さ らに発 光
寿命 を評価 して発光効率 の増大 を観測 した.ヘ テ ロ接合ダイ オ ー ドとして,′ 型
4H‐ SiC
を用 いた ″型 Zn(Mg,Cd)0ヘ テ ロ接合構造 を作製 した。ヘ テ ロ接合界面 のバ ン ドライン
ナ ップ を明確 にす る とともに,Pサ イ ドダ ウン構造 のデバイ ス 実現性 を示 した。以下に
本研 究で得 られた結 果 を纏 め,結 論 とす る。
Znl,CtO薄 膜 な らび に MgJ7Znlッ 0薄 膜 を RPE‐ MOCVD法 で a面 サ ファイ ア基板上に
成長 し,こ れ ら格子定数やバ ン ドギ ャ ップ と混 晶組成 の関係 を系統的 に調べ た。混 晶組
成 は原子吸光法 によつて精度 良 く定量 した。ラジカル を用 い た熱非平衡度 の高 い成長条
件 に よって広 い混晶組成域で ウル ツ鉱構造 Zn(Mg,Cd)0を 実現 し,特 にウル ツ鉱構造
Znl_C島 0は
Cd組 成
0.6ま での広い範囲 で得 られ る こ とを示 した。 これによ って,Cd
組成 を調整 す る こ とでバ ン ドギ ャ ップを 3.3 eVけ =0)か ら 1.9 ev← =0.6)ま で制御 でき
,
紫外 か ら青 ,緑 ,赤 の可視域全域 で発光波長 を制御 で きるよ うにな った。ウル ツ鉱構造
Mがmlッ 0に つ いて も同様 に,Mg組 成 を調整す る こ とでバ ン ドギ ャ ップ 3.3
eVレ =0)
か ら 3.7 eVけ =0.25)ま で制御 を可能 にな った.広 い範囲でのバ ン ドギ ャップ制御 の実現
に よ って,混 晶成長 に対す る RPE‥ MOCVD法 の優位性 を示 した .さ らに,Zn(Mg,Cd)0
混 晶 の混晶組成 と物性値 (格 子定数 (`軸 長 ),光 学 バ ン ドギ ャ ップ ,発 光エ ネル ギー
,
ス トー クス シフ ト)の 関係 を系統的 に明確 に した。今後 のデ バ イ ス設計 にお ける重要な
知 見 を得た
.
発 光 の単色性 を調 べ るために,Zn(M&Cd)0三 元混品 の
評価 した。Sに ady― state
PLア ロイプ ローデ ニ ン グを
PL測 定 に よ って得 られた Zn(Mg,Cd)0の PL半 値幅 の混晶組成 に
対す る依存性 か ら,PLア ロイプ ロー デ ニ ン グが混晶組成 に対 して大 きく依存 す る こと
が分 か つた .Znlィ C40混 晶 の
PL半 値幅 は Cd組 成 0.3で 極 大 となるよ うに増 大 し
Mがmlッ 0混 晶 では Mg組 成 0.3の 範 囲 にお いては Mg組 成 の増 加 に伴 つて PL半 値幅は
,
75
単調 に増 大 した。 この
PL半 値幅 の増大傾 向は統計的な混晶組成 ゆ らぎに基 づ く PL半
値幅計算値 の増大傾 向 と良 く一致 した。さらに,同 様 に混晶組成 ゆ らぎの程度 を表す パ
ラメー タであるス トー クス シフ トも混晶組成 に対 して増 大傾 向 が一 致 した。しか し,PL
半値幅 が統計的な混 晶組成 ゆ らぎに よる計算値 よ りも 3倍 程度 大 きい ことが分 かつた。
も う 1つ の ア ロイブ ローデ ニ ン グを確 かめる方 法 として time‐ resolved PLを 測定 し,発
光寿命 のエネルギー 分散 か ら励起子 の局在化 を評価 した。励起子 の局在化 の増 大傾 向は
PLア ロイ プ ローデ ニ ン グ傾 向 と一 致 した。Zn(Mg,Cd)0混 晶 で の PLア ロイ プ ローデ ニ
ン グは統計的な混 晶組成 ゆ らぎ の み な らず励起子 の局在化 が大 き く影響す る こ とを示
し,励 起子 のポーア 半径が小 さい酸 化物特有 の広が りである こ とを明 らかに した。
励 起子再結合 を増 強 させて発 光効 率を増大 させ るために,ZnO系 多重量子丼戸構造
(MQWs)を 作製 した。青緑色 PL発 光 の Zn。 .85CdO.150井 戸層/Zno障 壁層 MQWsを c
面 Znoバ ッファ層 (100 nm厚 )/a面 サ ファイ ア基 板 上に成長 した。井戸層 の Cd組 成 15
は薄膜 で広 い PL半 値幅 を示 した Cd組 成域 で あ り,量 子丼戸構造 の階段 状状 態密度 か
0。
ヒを望める と考 えた.MQWSは ZnO.85CdO.150井 戸層 と
らくる発 光 スペ ク トル 半値幅 の狭イ
ZnO障 壁 層
(10 rlln)と の積層
10周 期 で構成 され ,井 戸層幅 を 2111mか ら 2mま で薄
く変化 させた。ZnO.35ZnO.150井 戸層 な らびに ZnO障 壁層 の各層厚 さは成長速度 に従 つて
成長 時 間 によつて制御 した。作製 した MQWSの 周期性 は XRDサ テ ライ トピー クの存在
と一 致す る ことが観 測 された。MQWS試 料 の低温
Steady‐ stttc PLに
よる発光準位 を評 価
す る と,井 戸層幅 の薄化 に伴 つ た PLピ ー クのブル ー シフ トを観 測 した。ブル ーシフ ト
は,有 限矩形井戸型 ポテ ンシャル で 計算 した井戸層 内の量子準位 のシフ トと良 く一致 し
,
PL発 光準位 が井戸層 内での伝導帯 と価電子帯 の量子準位 間遷移 である ことが分 かつた
.
さらに Time‐ resolvcd PL測 定に よ つて PL発 光寿命 が井戸層幅 の薄化 に伴 い短時間化す
る こ とを明 らかに した .発 光寿命 の短時間化 に Feldmalmモ デ ル を適用 して計算 した励
起子 の振動子強度 は ,薄 膜 の値 よ りも 1.3倍 大 きい ことが分 か っ た 。この結果 か ら発 光
遷移確 率 が
による
MQWs構 造 によつて増 大 された こ とを明 らかに した .課 題 として ,MQWs
PL半 値幅 の狭化 には至 らなか つた。 これ は層間 の Cd組 成分布や ,井 戸/障 壁
で の 界 面 の急峻性 の改善 が必要 で あ ると考える。
″MgO■ 8ZnO.820障 壁層
SiC:Alヘ テ ロ接合 ダイ オー ドを
Z<Mg,Cd)0活 性層 /P佃 ‥
/″ ‐
Zn(Mg,Cd)0活 性層 のバ ン ドギ
作製 し,EL特 性 か らバ ン ドライ ンナ ップを評価 した.″ ―
ャ ップ を変化 させ た ヘ テ ロ接合 か らの ELピ ー クエ ネル ギー を評価 し,正 孔注入 による
Zn(Mg,Cd)0層 に 4‐ Znl.C島 0(X>0.05)を 用 い た場合 ,ヘ
発光再結合過程 を評 価 した。″‐
Znl.CtO層 へ の正孔注入 によつて
テ ロ接合 はタイプ Iで あ り,P-4H― SiC:Alか ら ″―
ルZnl_CtO層 で 効 率 良 く
,
EL発 光 す る こ と を 明 らか に した 。 一 方 ,4・・ZnOや
ルMgO.13ZnO.870を 用 いた場合 はタイ プ Ⅱヘテ ロ接合 とな り,2.9 eV付 近で プ ロー ドに EL
発光す ることを示 した。このプ ロー ドな EL発 光 は 2つ の発光再結合過程 が 寄与 して い
76
ると推測 され る 低注入電流 での L発 光 は,タ イ プ II型 の ために,ヘ テ ロ界面での空
間的 に分離 されたキ ャ リア の発光再結合 が支配的である.高 注入電流 にお ける
4‐
ELは
,
Zn(M3Cd)0層 か らメ H_siC:Al基 板 へ の電子注入 のために,p‐ 4H― SiC:Al基 板での キ
ャ リアの再結合が支配 的 で ある ′サイ ドダ ウンの ダイオー ド構造で可視域発光 (2 8cV
よ り低 いエ ネ ル ギー)デ バ イ スの実現可能性 を示 した .ま た本実験結果 に よつて,こ れ
までに不確 定性 の大 きか った 4H― SiCの 電子親和力 を 3 9cVと 決定す ることがで きた
.
以上,ウ ル ツ鉱構造 ZnOし cd)0三 元混品 を広 い組成範囲で成長 できた こ とによって
,
紫外 か ら可 視 全 域 での発光波長制御 を同一ホ ス ト材料 で 実現 で きる こ とを明 らかに し
た そ して ,そ れ らの物性 値 と混 晶組成 の 関係 を系統的に明 らかに し,ヘ テ ロ接合構造
発光デバイ ス を設計す るため の重要な知見 を得 た ヘ テ ロ構造 として,多 重量子 丼戸構
造 を形 成す る こ とで励起子 再結合 を増 強 させ発 光 の高効率 化 を可能 に した
実際 に
なZnCMg,Cd)0/P‐ 4H‐ SiCヘ テ ロ接合デバ イ ス を作製 して可視域発 光デ バ イ ス を実現 した
今後は紫や紫外 の短波長発 光 デバイ スの 実現が強 く望 まれ る。その ためには,ヘ テ ロ
発光デバイ ス の障壁層 として用 い る Mg2Znッ 0混 品 のρ型伝 導性制御 の実現が必須 であ
る 本研究結 果 の知見を基 に して,PttMgyZnl,o層 を導入 した″‐
Mg2znl,0障 壁 層″ Zno
活性層←MgIZnlッ 0障 壁層/F‐ 4H‐ SiCダ ブルヘテロ接合構造を形成することで,zno活
性層でのバ ン ド端紫外発光が実現可能であると考えている
77
付録
1
水 平型 RPE‐ MOCVD成 長 で の サ セ プ タ高 さに対す る Znoの 膜厚 分布 の
依存 性
第 3章 3.34で 示 した attZnJ“ ρ 薄膜,な らびに第 5章 で示 したZn。 8SCd0 60/ZnO MQWs
は水平型 RPE‐MOCVDで 成長 した 装置図は第 2章 の 町 24で 示 しているが,こ こで改 め
サセプタ上に置かれる.基 板に対
して水平方向から Ⅱ 族有機金属原料が流れ,上 方か ら酸素 ラジカルがシャワーヘ ッドを通
つて流れ る.カ ーボンヒータの高さ (サ セプタの高 さ)を 変えることで成長薄膜の膜厚分
て Fig.Allに 示す 基板はカーボンヒー タ上の 1.5
111ull厚
布の最適化を図つた.基 板配置箇所の拡大図を種々のサセプタ高 さについて Fig.A.1.2o∼
oに 示す.oシ ャワーヘ ツ ドから基板 までの距離 6 nIIll(サ セプタ高 さ34 mo,o ll lmll(29
mo,o16
RPE‐
Шn t24 nlln),0201111n(20 mmpで ぁる。成長は Tablc Al l水 平型反応管
MOCVD法 での ZnOの 標準的な成長条件を示す .用 いた反応管は 2nd石 英管である
.
la)
rf cdl(r20 kH21
0000
plasma genedor
rr13 50 MHz
0000●
lhe.mo-coude
Fig.
Al.l
0000
Schematic diagmm of RPE-MOCVD utilizing horizontal reactive camber.
78
(a)
Fig.
Al.2
Schematic diagram of RPE-MOCVD utilizing horizontal reactive camber.
Table Al l GrOmh cOndiion ofZnO
基板 温 度
300° C
Rf電 力
20W
チ ャ ンバ ー 圧 力
10 Pa(0 08 torru
DEZn流 量
4 pmol/min
02流 量
100 sccm
ZnOの 膜厚分布 を FL A13に 示す
(a)は 線形軸を,(b)は 対数軸を示す
ー方向の試料 位置 であ り,試 料 の上流端を原点に とってい る
(a)よ
横軸は原料 フ ロ
り,サ セ プタ高さを下
げて,シ ャヮーヘ ッドから基板までの距離 み を離す ことで膜厚分布が小 さくなることが分
かる.卜 16 nlln,20 mmの 条件 で試料の膜厚分布 が小 さく抑えられ るため,薄 膜成長に採用
している o)の 結果より,境 界層モデル を適用 して,膜 厚 Gを 試料位置 ″の関数で表す と
,
CIXl=協
p←
卜
#う
∝ exp1 4→
,
御 →
となる ここで,Gは 初期位置での濃度,Mは 分子量,う は反応 管な内径 ,管 壁 までの距離
である.膜 厚 は試 料位置に対 して指数関数的 に薄 くなるこ とを示す lb)の プ ロ ットに式
(Al-1)で フ ィッティング した結果を直線で示す サセプ タ高 さを下げた こ とで境界層厚
が原料 フロー 方向に対 して均― にな り,膜 厚分布 が小 さく抑 え られてい る
(a)
-.-
h=6mm
0
0
0
今
ヒc︶●
0
0C
〇一
y
〓
ト
-+h=11mm
--a- h=16mm
+-h=20mm
Qぴ
ぴ ♂
,
︵E c︶∽oocy 〓ト
101
0
5
10
15
●
力=6mm
ロ
カ=1lmm
◆
▲
力=16mm
力=20mm
20
25
Pos面 on,x(mm)
Fig A1 3 Thickllcss diStihtion ofZnO grown"horttDntal RP3MOCVD(→
1。
ganlun
80
lhcar and(b)
付録
2
非極性
極性 σ面 の
a tt znl_C4o混 晶 成 長
ZnO系 量子 丼戸構造では内 部 電界
(自
発分極 と圧電分極 )に よって電子 と正
孔 の波動 関数 が井戸層 内 で空 間的 に分離 され るために発光効率 を低 下 させ る こ とが 問題 で
ある い わ ゆ る量子閉 じ込 めシュタル ク効果 (QCSE:Quanttlm_Confmelnent ttark cffcct)で
QCSEを 克服す るには非極性面で量子丼戸構造 を形成す る必 要 が 有 り,同 じウル ツ鉱
構造を持 つ Gぶ 系井戸構 造 を 中心に ZnO/M動 0系 井戸構造で非常 に盛 ん に研 究が進 め ら
ある
れてい る
非極性 a tt znCdO/ZnO系 井戸構造 を実 現す るために,ま ず初期検討 として,高 効率 ο面
Znl,C40を ′面サ フ ァイ ア基板 上に水 平 型石 英反応管 RPE‐ MOCvD法 で成長 した 試料構
造は,Fig.A21に 示す よ うに, ′面サ フ ァイ ア基板 上の ZnlF40薄 膜 直接成長
(al,と α
レー
面 Znoテ ンプ
ト上 の Znl,Cら 0薄 膜成 長 (b)の 2水 準 を検討 した Fig.A22に 基板温度
の タイ ム チ ャー トを示す
(a)は a tt znOテ ン プ レー ト層 を導入 しない場 合,(b)は ´面 Zn0
テ ンプ レー ト層 を導入 す る場合である.″ 面サ フ ァイア基 板 へ の直接成 長 の場合 は水 素 プラ
ズマ による 800℃ での基板 前処理後に ,基 板温度 400℃ で成長する
一 方 ,α tt znOテ ン
プ レー ト層 を導入 した場合 は ,基 板前処理 後 ,基 板温度 550° C成 長 α tt ZnOテ ンプ レー ト
上に,350℃ で Znl,c■ o薄 膜成長する Table A2 1に 典型的な Znl∫ 40の 成長 条件 として
,
Ⅱ族有機 金 属原料流量や酸 素 流量 ,プ ッシュ水素流量 ,rf電 力 ,成 長 チ ャ ンバ ー圧力 ,基 板
温度を示 す
(a)
a‐
ZnlⅨ CdxO(300
Znl xCdxo(300 nm)
nm)
a-ZnO template ('100 nm)
r-sapphire substrate
Fig.
A2.l
r-sapphire substrate
Sample structure of znr-rcdro films on (a) a-Zno template on r-sapphire substrate, (b)
r-sapphire substrate.
81
10∞
(al W70 ZnO temFIate
darlng
"0(lh 9¨
0 0
0
0
O)waOGlrTld.
¨
¨
0
Eo
︵
ち一コ
一
薔﹂
の
oしgヨEoo
:コ
Z∝
"0(lho●
岬●)
120
60
Time(min)
Fig A2.2 Timc chart of sllbsittc tCmpcramre Of nOn‐ polar a‐plane Znl,CtO ilm gronth:(a)
wttmtand(b)宙 th
ZnO template
TableA2.l Typical growth condition of aalane Znr-,C4O temary alloy
10 Pa
Charnber Dressure
Substrate
temperature
350 "C
Rfpower
20-40w
DEZn flow rate
4 pmoVmin
DMCd flow rate
0.6 lrmoVmin
02f10W rate(fOr plasm→
v1/11
100 SCCm
2000
l0 sccrn
H2 Carrier gas
82
″面サ フ ァイ ア基板 上 znl,c■ 0薄 膜 の XRDパ ター ンを Fig
ァイア基 板 上 の直接成長
Znlic40(基 板 温度 400° C),(b)は
板 )テ ンプ レー ト上成長
Znl,c4o(基 板 温度
Zn卜
αtt ZnO(″ 面サ フ ァイ ア基
350° C)で あ る ″面サ フ ァイ ア上 直接成長
xC40は ,回 折角度 2θ 5651° の 2hlザ C40(10‐ 12)ピ ー ク と 3440° の Znl,C∝ 0(0002)ピ ー
クが観測 され ,α 面 と r面 の 多結晶で あ る こ とが分 か つた
zll卜
A23に 示す (alは r面 サ フ
一方 α tt znOテ ンプ レー ト上
rdxoは ,Fig A2 3(b)に 示す よ うに ,Znl.C40(H‐ 20)5581°
ピー クが znOテ ンプ レー
ト(H‐ 20)56.62° ピー ク とと もに観測 され ,α 面単結品 であ る こ とが分 か つ た
lal a● Zncdo′ Fsapphire sub
Lb 400℃
︵
cコ eG︶≧一
●cef
ψ一
(bl aZncdo′ a ZnO′ FSapttre sub
20
30
40
2θ
50
∞
70
(degree)
FL A2 3 XRD patems frOm Znl,C4o■ Ln grOun On(a)″ ―Sapphirc substrate and On(b)α ‐ZnO
tcmplate(/r‐ Sapphic substrate)
高温成 長 α tt ZnOテ ンプ レー ト上で成 長 で きる αtt Znl,C40の 光学特性 を示す Figure
A24は Znl,C4oの 低温 20Kで の PLス ペ ク トル である
薄膜″ 面サ フ ァイ ア基板 ,(b)は αtt
フ ァイア基板 を示す
である
oは
Zn。
(a)は 多結晶 (α 面 ,c面 )Zn。 95CdO“
o
32Cd0180単 結晶薄膜々 面 Znoテ ンプ レー ト/r面 サ
3 188 cV(Cd組 成 005)で あ り,oは 2 689 cV(Cd組 成 018)
CdOの 飽和蒸気圧 は znoょ
りも 2桁 高 いため,高 温 成長では
Cdが 優先的 に脱離
す る 直接成 長 Z助 9sCd。 ぃ0は 基板温度 が 400° Cで あ るた めに Cd脱 離 が生 じた ことで cd
組成 が抑制 され た と考 えて い る テ ンプ レー ト使用 した 350℃ 成長 a
tt zn。 82Cd0 180は
Cd
組成の脱離 が抑 えられた
.
′面サフ ァイア基板上に直接 Znl√ 40成 長す る場合,基 板温度 を 400° Cま で上げたが
多結晶で α面,c面 の存在 が確認 された
,
この基板温度 では Cd脱 離が支配的で,Znl,C40
成長の Cd組 成制御が難 しい.一 方 ,基 板温度 550° C成 長 Znoテ ンプレー ト上への Znl,CC0
薄膜成長 は低 い基板温度 350° Cで α面単結晶成長 を可能に した
0■ ●ZnCdOrtaphi腱 8ub
____
A“ 葛羅咸
L4● │℃
o o5
Photon energy leVl
Fig A2 4 PL spccta■ om Znl,C40 flLn grom on(al r‐ Sapphtt substrate and● )ZnO tCmplatc
(/r‐
Sapphtt substratc),takCll at 20 K
α tt Znt,C40単 結晶薄膜 が,′ 面 Zno(″ 面サ ファイア基板上)テ ンプ レー ト上において成
長可能であること明 ら力ヽこした
350° Cの 比較的低温にお いて も αtt
Znl,Cdp薄 膜成長 で
きた 一方 ,Znl,C40薄 膜 を″面サ ファイア基板上に直接成長 した場合 は基板温度を 400℃
まで上げた成長を試み たが,α 面及び σ面を含む多結晶 となることが確認 された 400° Cの
高い基板温度 では Cd脱 離が支配的になるため,Znl,C■ 0薄 膜の Cd組 成制御 が難 しい 以
上,α tt Znl∫ 40薄 膜 を安定 して成長す るためには α tt ZnO(r面 サ フ ァイア基板上)テ
ンプレー トの導入が必要 であることを明 らかにした。
84
付録
3
励 起 子 局在 にお け る発 光 寿 命 の エ ネ ル ギ ー 分散 式 の 導 出
発光寿命 はエネルギー 分散 を持ち,発 光 ピー クの高エネル ギー側では寿命が短 く,低 エ
ネルギー側 では寿命が長 くなる これは OucJatiら によって提唱された,励 起子局在 モデル
で説明が付 く このモデル では励起子の寿命を,励 起子 の発光再結合寿命 (7R)に 加 えて
裾準位 へ の励起子局在効果であるより低 エネル ギー準位 へ の励起子移動成分 (rtr)を 考慮す
,
る
光励起 によってエネル ギーム の局在励起子が,ラ ンダム混晶ポテ ンシャル によつて誘発
されるノンフォノン吸収を介 して生成 され る この励起子は,確 率 J/Rで 再結合するか,も
しくは確率 略 でより低 いエネルギーの励起子状態に移動す る 再結合確率 殊 はエネルギ
ーEに 対 して依存 しない定数である 一方 ,励 起子移動確率 1/tは Eの 増大 によって急速に
減少する
これは,励 起子状態がより局在化 され,取 りうる状態密度が減少するためであ
る 励起子移動確率が再結 合確率 と等 しい ‰ lEl=殊 なるエネルギーEmeを 考える エネル
ギーEm咤 よ り高いエネル ギー では,局 在励起子はより深 いエネルギー状態 へ向かって移動 し
,
E朧 より低いエネル ギーでは再結合する
しか しこのエネル ギーEmeは ,純 粋な電気的 トン
ネルや励起 トンネル を含 む本物の移動度端 とは関係 しない
%の の変化を E暉 での ″家Elの 対数 の微分によつて特徴付ける
α
=譜 [n町「
F月
(A3-1)
,
(A3-1)を 積 分す ると式(A3‐ 2)が 得 られ る
嘱「=喝 eXp[α (E― ら。
)],
(A3‐ 2)
温度 卜 0や 弱励起で生成 した エネル ギ ーEで の励起子状態密度 Щ oは ,式 (A3‐ 3)の 連続方程
式によつ て与 え られ る
Gに うは 光励 起 の項
“
﹃
F
”
ン
SQ=ete'rl*
ω(E}→ E)rv(Eり
[叫 +嘱「(EttJV(E),(A33)
(励 起子 生 成 の項 )で あ り,強 度 は 兵 で の状態密度 に比例す る ここで
緩和確率 ″ E‐ E')も また終 状態 の密度 に比 例す る
ω
(E→ E:)=寿 eXp〔 1肇
(A3‐ 4)
),
Ⅳは,式 ぃ 3-5)を 満 たす正 規 化 因子 で あ る
Σ ω(E→ E:)=叫 (E),
い 3-5)
E.
(F.く F)
したが つ て ,式 lA3-2)並 び にrA3‐ 4)よ り″ l朽 を得 るため ,式 (A32)は
,
叫
=叫 eXp[千
cA3‐ 6p
],
となる.確 率 zと 寿命 ■は 巧 =ば
1な
る関係 を持つ
.
寿命 Jま 発光再結合寿命 ■,非 発光再結合寿命 rnr,励 起子移動時間 ■に分解 される
.
1111 +― +――
-=―
―
7 ■ 7r 年
KA3‐ 7)
,
r=0で は非発光再結合寿命 が無視 できること,4は 式に 3‐ 6)で 関係付けられ ることか ら
ネ ルギーEで の寿命 (り は,式 ぃ 3‐ 8)と なる
,
exp(守
浩二
十
■
=÷
)
≒
ξ
は
3‐ 8)
LL)│'
{1+exp(三
これを式変形した式 69pは ,式 ●5)で ある。
個
=楠“
(A3‐9D
'
参 考 文献
A2‐ 1)M
Ch」 ,CB.―
,M ZOu電 Ц PLys b B3■ 3037(1988).
“
86
付録 4 Znl_xCdρ /ZnO
MQWSの 量 子 準位 の 計 算
第 5章 で Zn085Cd0150/ZnO MQWsの 量子準位 間の遷移発光に よる発光効率の増大を述
べた
MQWS(井 戸層 2
nln,障 壁層 10 oln)の エネル ギー図を Fig.A41に 示す
ファイ ア基板表面か らの距離である
横軸はサ
10月 期 ZttxC40/ZnO MQWsの 井戸層に量子準位 が
伝導帯 と価電子帯に形成 され,こ れ ら量子準位 の遷移発光により量子丼戸が形成 されて い
5 0 5
3 3 2
︵> o ︶ 、 0﹂① c Ш
る 量子 準位 は SchrO血 gcr方 程式を解 いて計算 したが,こ こではそ の計算方法を示す
q Su,
ZnO bufFer
zn。 35Cd015° ノ
ZnO MQWs ZnO cap
らし
2 nm/10 nm
亀
20
15
10
05
00
Distance(nm)
Fig A4 1 Encrgy diagram ofZn085Cd0150/ZnO MQWs
Fじ A4.2に 示す井戸深 さ れ の有限 ポテンシャル矩形井戸に対 して
(A4‐ 1)を 解
量子準位
Schd咤 er方 程式
く エネル ギー原点を井戸底 にとり,領 域 1,II,Ⅲ で表す 3領 域 に区別す る
Eが ポテンシャル
70よ りも小 さい場合を考 える 領域
I,Ⅲ では波動関数
"`)は
の原
原点か ら離れ るにしたが つて 0に 収束 し,領 域 Iで はその解は正弦関数 となる 領域
点を井戸 の 中心にとる
.
87
‰
︵
>o︶、P oco
region
I
region ll
region lll
Fig. A4-2 Schematic diagram offinite-potential squme well.
Sch“ dhgcr方 程式を解 く
―
ン=E/,
嘉半+Ⅵ χ
(A4‐ 1)
たとαを次 の よ うに置けば,こ れ らの 関数 は S壷ぬ血 gcr方 程 式 を満 足す る
件ギ 昨T,
(A42)
F■■/2で 産 よび dノ ↓ の連続条件が満た されなければな らない
領域 I,Ⅱ ,Ⅲ での波動関数 Иまそれぞれ式ぃ牛3)の よ うになる
χ
%=ハ eα
711=Bcos撤 ,
y/111=パ e α
A4‐ 3)
〈
X
これ らκr)を ■で微分す ると
,
α
ぴ
畑
輌
撤
α
ハ
σ
;
,い 4→
一
ず
等
粋
摯
=“
F■Z/2で
ハe―
=―
連続であると
"ゞ
α
1/2=B∞
,
s(1:),
(A4-5)
となる FJlι /2で d/dxが 連続 であると
,
αハe―
α
L/2=kBsin(1:),
lA4‐ 6)
テ
ヽ(A4‐ 5),(A4‐ 6)よ り
88
tan〔
(A4-7)
li)=1:,
式(A4‐ 7)は 偶関数 の解 が存在す る場 合 の エ ネル ギー 値 を与える。Fig.A4,2に Ftan(屁 /2)と
Fノ ルを描 き,そ の 交点 を求めて式(A4-7)の 解 を求 め る
.
本 実験 で扱 った ZnCdO/ZnO多 重量子丼戸構造 の井戸 ポテ ンシ ャル を Figo A4.3に 示す .伝
導帯 で は 電子 に対す る井戸 を計算 し,価 電子帯では正孔 に対す る井 戸 を計算 した .バ ン ド
不連続 の 分配貝JAEc:AEv=6436と して 考 え,AEc並 び にAEvは それ ぞれ 250 meV,140 mcV
である.ZnO.85CdO.150の 電子 ,正 孔 の有 効質量
(“ c,“
h)は
Z■
0の 値 を用 い,そ れぞれ e=
0.28x“ 。
,“ h=0.59x″ 。として計算 した。
we‖
“
width嶋
C
OE●
﹂
PO︶ゝD
Fig.A4,3 Schematic diagram Ofenergy l■ ZnO,85CdO.150/ZnO MQWs,
参考文献
A3‐
1)A.Rフ
レンチ ,E.Rテ イ ラー 共 著/平 松惇 監訳 ,量 子カ ギス 魔私 (賠 風館 ,2001年 )
89
謝辞
本研究 は 2007年 4月 か ら 2010年 3月 まで静岡大学創造科 学技術 大学院 自然科学系教
育部 ナ ノ ビジ ョンエ学専攻 (博 士後期課程 )に お いて行 われ た もの である。
本研究 を行 うにあた り,静 岡大学電子 工学研究所 天明 二 郎教授 には,終 始 ご指導 と
ご助言 を賜 りま した .こ こに深 く感謝 いた します 。また 中村篤 志助教 には,実 験手法 の
ご指導や実験結果 の御討論 をい ただき深 く感謝 いた します 。
本論文 の作成 にあた り,御 多忙 中,内 容 を親切 に検討 して い ただ き,有 意義 な御助言
を賜 りま した創造科学技術 大学 院 永津雅章教授 ,電 子 工 学研 究所 早川泰弘教授 ,電 子
工 学研 究所 原和彦教授 ,工 学部 岩 田大准教授 に深 く感謝 い た します 。
時間分解 フォ トル ミネセ ンス (PL)測 定,顕 微 PL測 定 で御指導 いただき,ま た解析
結果 につい て御討論 い ただきま した ド
「T物 性科学基礎研 究所光量子デ バイ ス グループ
後藤秀樹博 士 ,俵 毅彦博 士 ,G Zhang博 士 に深 く感謝 い た します 。
電子 工学研究所 青木徹准教授 には MOCVD装 置 の構造や操作方法 につ いて御指導 い
ただきま した。電子 工学研究所 田中昭准教授 には実験装置 の ご指導や SiCの 光学特性
を御討論頂 きま した。 中西洋 一 部名誉教授 ,小 南裕子准教授 には PL測 定法 ,結 果 の御
討論 をいただ きあ りが とうご ざいま した ,XRD,分 光透過 率 ,FE‐ SEM観 察 はナ ノデ
バ イ ス作製・評価セ ン ター にて測定を行 い ま した。セ ンター長 村 上健 司准教授 を始め
,
下村勝准教授 ,浦 部和雄技官 ,青 山満技官 ,小 山忠信技官 には技術的御協力 をいただ き
ま した.電 子 工学研究所 勝野廣 宣技官 には EPMA,高 圧 ガ ス 取 り扱 い に関 して御指導
,
御討論 いただ きま した。電子 工 学研究所 百瀬与志美技官 にはプラズマ生成部 の技術的
な御協力 を頂 きま した .こ こに深 く感謝 いた します 。
工学部 東直人教授 ,共 通講座 生駒修治准教授 には原子吸光分析 の実験方法 を御指導
いただ き,解 析結果 を御討論 い ただきま した。
Institutc for Systems bascd on Optoolectronics and MicrOthcchnololy, Univcrsidad
Politechnica de Madridの Elias M面 oz教 授 ,AdriaEI HiCro准 教授 には発 光特性 について御
討論 い ただ きま した .心 よ り感 謝 い た します
.
本研究 を行 うに際 し,静 岡大学電子 工学研 究所 フォ トニ ックデバイ ス分野 ,ビ ジ ョン
イ ンテ グ レーシ ョン分野 ,ア クテ イブデ ィスプ レイ分野 の 事業 生 ,在 学 生 の皆様 には常
日頃か ら公私に渡 り大変お世話 にな りま した .有 意義な学 生生活 を送 る ことが 出来 ま し
た こ と感謝 します。特 に,石 原純 二氏 (現 日立電線株式会社 )に は
MOCVD装 置 の操
作 を御指導 いただ きま した .大 橋俊哉 氏 (現 日本特殊陶業株 式会社 ),榎 本 圭悟氏 (現
林 テ レンプ株式会社 )に は結晶成長 の御協力 いただきま した。安達允彦 氏 (現 本 田技研
工業株 式会 社)に は多重量子丼戸試料 の作製 に御協力 い ただ きま した .坪 井貴子氏 (現
大 日本 ス ク リー ン製造株 式会社 )に は Zn(Mg,Cd)0混 品 の組成定量 で御協力 を頂 きま し
た。工学研究科 1年 金子寿氏 には MOCVD装 置 につ いて御討論 いただ きま した。藤井
哲雄研究員 ,吉 井直樹研究員 ,青 木謙介研 究員 には測定方法や実験結果 について御討論
いただ きま した .こ こに深 く感謝 い た します 。
本論文 の完成 を支 えて くだ さい ま した多 くの皆様 に感謝 い た します
.
最後 に 9年 間 の大学・大学院生活 を快 く援助 して くだ さ り,励 ま し続 けていただいた
両親や 家族 に心 よ り感謝 い た します
.
91
発 表 論 文 リス ト
筆頭著者分 5件 (他 連名 2件 )
I.査 読付き論文
1.K.Yamamoto,K.E■ omoto,A.Nakamura,T.AoH,J.Temmyo
“MgFZnl,O f1lms grown by remote― plasma¨ enhanced MOCVD with EtCP2Mg''
J.Cryst.G}routh 298,pp.468‐ 471,2007.
2,■
Ohasli,K,Yamamoto,A.Nakamura,J.Temmyo
Optical properties of wurtzite Zni_CtO fllms grown by remote…
“
plasma― enhanced
metalorganic
chenlical vapor deposition"
Jph.J.Appl.Phys.,Institute ofPllre and Apphed Physics,46,pp.2516-2518,2007.
3.K.Yalllamoto,■ Ohashi,A.Nakamuraテ J.Temmyo
Zn(Mg,Cd)0/P-4H― SiC:Al heterttllnCtiOns''
“Electroluminescence ttbm“ ―
Jollmal ofthe Korean Physical Society 53,pp.2929‐
2933,2008。
4,■ Ohashi,Ko Yamamoto,A.Nakamura,J.Temmyo
Red emission frOm ZnO‐ based
“
double hetemttlmctiOn diode"
Jp■ .J,Appl.Phys.47,pp.2961‐
2964,2008.
5.K.Yamamoto,T.Ohashi,T.Tawara,H.Gotoh,A.Nakamura,J.Temmyo
“Photoluminescence lifetime and potential■ uctuation in wllrtzite Znl,C島 O al10y ilms''
Appl.Phys.Lett.93,171913,2008.
6.K.Yamamoto.M.Adachi,■ Tawara,H.Ootoh,A.Nakamura,J.Temmyo
“Synthesis and characterization of ZnCdC)/ZnC)multiple quantllm wells by remote―
plasma‐ enhanced
MOCVD"
J.Cryst.Growth
7.K.Yamamots T.Tsuboi,■ Ohashi,T.Tawara,H.Ootoh,A.Nakamura,Jo Temmyo
``Analysis ofalloy broadening in PL from Zn(Mg,Cd)O al10y flims''
J.Appl.Phys.(Submitted).
H.口 頭発表
・ 国際会議
6件
(arar 4件 ,PaFrar 2件
1.K.Yalnamoto.K.Enomoto,A.NakamuFa,■
)
Aoki,J.Temmyo
“M&Znl.O flims grown by remote― plasma― enhanced
13血
Ora′
MOCVD whh EtCP2Mg",
Intemational Conference on Mcta1 0rgallic Vapor Phase Epitaxェ
We‐ B3.3,Miyazaki,May
2006.
2.■
Ohashi,K.Yamamoto,A,Nakamura,T,Aoki,J,Temmyo
“Z■ 0‐ based senliconductors for visible light ernission devices"
92
Oraf
23-26,
2006 1nternational Conference on Solid State Devices and Materials,I-2-8L,Yokohama,Sept. 12‐ 15,
2006.
3.K.Yamamoto,T.Ohashi,A.Nakamura,J.Temmyo
Band
“
Pasr″
ofFset analysis on ZnO‐ based heterttunCtiOns''
The 13山 Intemational Conference on H¨ VI Compounds,Tu‐
P‐
127,Jttu,KOREA,Sept.10-14,2007,
4.K.Yamamoto,T.Ohashi,A.Nakamura,J.Temmyo
Pο
JJ″
ZnO¨ based system on′ ‐
4H‐ SiC substrate"
“Electroluminescences■ om single heterOJunction with″ ‐
The 9・ Takayanagi KettirO MemOrial Symposium and The 4轟
Intemational Symposium on Nano宙 sion
Science,Session 6‐ 9,Hamamatsu,JAPAN,October 30,2007.
5.K.Yamamoto,T.Ohashi,■ Tawara,H.Gotoh,A.Nakamurap J・
Temmyo
OraJ
“PL lifetime and potential■ uctuation in ZnO… based alloy flllns"
5山
6。
二J
Intemational Workshop on ZnC)alld Related Materials,Session lD2¨
6,MI,I」
Sメ 、Sept,24,2008,
Yamamoto,M.Adachi,T.Tawara,H.Gotoh,A.Nakamtlra,J.Temmyo
OraJ
“Blue― green PL emission iom ZnCdO― based multiple quantum wells grown by RPE‐ MOCVD''
The 14th lntemational Conference on II‐
VI Compounds,St.Petersburg,RUSSIA,Aug.23-28,2009.
・ 国内学会/シ ンポジ ウム 全 28件
1.山 本兼司,中 村篤志,石 原純二,青 木徹,天 明二郎
「リモー トプ ラズマ MOCVD法 による M&Z助 ,0薄 膜 のス トー クスシフ ト評価」
第 52回 応用物理学 関係連合講演会 ,lp― ZN‐ 1,埼 玉 大学,2005年 3月 29日 -4月 1日
2.山 本兼司,中 村篤志 ,石 原純 二 ,青 木徹 ,天 明 二 郎
「リモー トプ ラ ズマ
MOCVD法 による M&Znl.0薄 膜成長 と光学特性評価」
電子情報通信学会技術研究報告 Vol.105,ED2005-26(pp.57‐ 62),二 重大学 ,2005年 5月 26日
3.山 本兼 司,中 村篤 志 ,石 原純 二J後 藤秀樹 ,青 木徹 ,天 明 二 郎
「 リモー トプ ラ ズマ 励起 MOCVD法 による Zncdoナ ノ ドッ トか らの紫色発光」
9月 11日
第 66回 応用物理 学会学術講演会 ,7p‐ ZA-16,徳 島大学 ,2005年 9月 7日 ‐
4.山 本兼 司,榎 本 圭 悟 ,中 村篤志 ,青 木徹 ,天 明 二 郎
「リモー トプラ ズマ 励起 MOCVD法 による MJml_o薄 膜 中 Mg組 成 の M出 力依 存性」
第 67回 応用物理学会学術講演会 ,la_zE-6,立 命館 大学 ,2006年 8月 29日 -9月 1日
5.山 本兼司,大 橋俊哉 ,中 村篤志 ,天 明二 郎
「p tt SiC基 板 を用 い た Zno系 ヘ テ ロ接合評価」
第 54回 応用物理学 関係連合講演会 ,30p― ZC‐ 3,青 山学院大学 ,2007年 3月 27日 -3月 30日
6.山 本兼司,大 橋俊哉 ,俵 毅彦 ,後 藤秀樹 ,中 村篤志 ,天 明 二郎
「a面 サ フ ァイ ア基 板 上 Znl,c島 0混 晶膜 の発光寿命 」
第 68回 応用物理学会 学術講演会 ,5p… E‐ 8,北 海道 工 業大学 ,2007年 9月 4日 -9月 8日
93
7.山 本兼 司,大 橋俊哉 ,俵 毅彦 ,後 藤秀樹 ,中 村篤志 ,天 明二 郎
「赤色発光 Zncdo混 晶膜 の発光寿命 とポテ ンシ ャル ゆ らぎ」
第 55回 応用物理学 関係連合講演会 ,30p¨ V‐ 3, 日本 大学 ,2008年 3月 27日 -3月 30日
8.山 本兼 司,安 達九彦 ,中 村篤 志 ,天 明 二郎
「a面 サ フ ァイ ア基板 上 Zncdo/Z■ 0多 重量子構造 の RPE‐ MOCVD成 長」
9月 5日
第 69回 応用物理学会学術講演会 ,3p‐N‐ 6,中 部大学 ,2008年 9月 2日 …
9.山 本兼司 ,坪 井貴子 ,中 村篤志 ,天 明二郎
「極性 。非極性 Zncdo混 晶 の RPE― MOCVD成 長 」
4月 2日
第 56回 応用物理学 関係連合講演会 ,2p― ZK‐ 8,筑 波 大学 ,2009年 3月 30日 ‐
10.山 本兼司 ,安 達允彦 ,俵 毅彦 ,後 藤秀樹 ,中 村篤志 ,天 明 二郎
「Z■ 085CdO150/Z■
0多 重量子丼戸 の PLブ ルーシフ ト」
第 28回 電子材料 シ ンポジ ウム,I_7,ラ フ ォー レ琵 琶湖 ,2009年 7月 8日 -7月 10日
H.山 本兼 司,金 子寿 ,中 村篤志 ,天 明 二郎
「ZnCdO/ZnO多 重量子構造 の成長 温度 依存性」
第 70回 応用物理学会 学術講演会 ,9a_J― H,富 山大学 ,2009年 9月 8日 -9月 11日
12.山 本兼司 ,中 村篤 志 ,天 明二郎
「Zn(Mg,Cd)0混 品 の励起子 モ デル による光学特性 解析」
第 57回 応用物理学 関係連合講演会 ,19p― TM-15,東 海大学 ,2010年 3月 17日 -3月 20日
(口
頭発表等 ,他 16件 )
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