H26地域コンソーシアム支援事業 取組事例集 平成26年12月24日現在 H26地域コンソーシアム支援事業 取組一覧 米 7取組 ①業務用米 宮城県 金のいぶき(機能性) 茨城県 ふくまる(良食味、多収性) 愛知県 萌えみのり、あきだわら、てんこもり、たちはるか、にこまる (多収性、高温障害耐性) ②主食用米 山形県 山形95号(良食味、いもち病抵抗性) ③酒米 山形県 山形酒104号(酒造適性) 京都府 京の輝き等(酒造適性) 宮崎県 み系358、み系381(焼酎加工適性) 麦 1取組 ○小麦 長崎県 ちゃんぽん麺用小麦「長崎W2号」 (製麺適性) 豆類 4取組 ①大豆 北海道 黒千石(機能性)(調理用) 石川県 里のほほえみ(多収性)(豆腐用) 熊本県 すずかれん(病害虫抵抗性)(納豆用) ②小豆 石川県 能登大納言(在来種(地域団体商標登録))(和菓子) 園芸作物 15取組 ①野菜 栃木県 スカイベリー(いちご)(大きさ) 兵庫県 大玉生産技術(レタス)(業務用) 島根県 ゴールデンパール(メロン)(味わい) 福岡県 省太(なす)(単為結果性) 熊本県 アンジェレ(ミニトマト)(機能性) ②果樹 茨城県 恵水(なし)(良食味・大果)+樹体ジョイント仕立て(省力化・早期 成園化) 長野県 サザンスイート(なし)(早生高糖度・耐病性) 兵庫県 桝井ドーフィン(VF)(いちじく) (病害防除) 愛媛県 太天(かき)(食感・大果など) 愛媛県 タロッコ・モロ(ブラッドオレンジ)(かんきつ類)(機能性) 鹿児島県 津之輝(かんきつ類)(機能性) 鹿児島県 クイーンニーナ(着色性)、シャインマスカット(ぶどう)(良食味・皮ごと食べ られる) ③花き 石川県 エアリーフローラ(フリージア)(多色) 島根県 万華鏡、美雲(アジサイ)(オリジナル) 愛媛県 さくらひめ、パルフェライトブルー(デルフィニウム)(市場評価) 地域農作物 1取組 ○茶 静岡県 ゆめするが、つゆひかり(香気)、香り発揚技術(新需要) 畜産 8取組 ①酪農 山形県 地域飼料(稲WCS・放牧)活用(ブランド) ②肉用牛 兵庫県 神戸ビーフ美味しさ指標(モノ不飽和脂肪酸等)(ブランド) 鳥取県 鳥取和牛オレイン55(ブランド) 熊本県 えこめ牛(エサ米給与)(ブランド) 大分県 豊味いの証(オレイン酸含有)(ブランド) ③養豚 徳島県 阿波とん豚(イノシシ肉の特徴を持つ(赤身で多汁性)(ブランド) ④養鶏 山口県 長州黒かしわ(旨味(イノシン酸))(地鶏) 宮崎県 みやざき地頭鶏(地鶏)(ブランド) 金のいぶき(業務用米):宮城県 ポイント ○ 低アミロースで胚芽が大きく玄米中のGABA含量が高い新品種「金のいぶき」を導入する。 ○ 「金のいぶき」は、消費者の健康志向の高まりにより根強い需要がある「発芽玄米」に最適な品種であり、また、米の消費が減少する 中で「無菌包装米飯」(パックご飯)は需要が伸長していることから、「金のいぶき」の発芽玄米パックご飯の製品化に取り組むとともに、 産地ブランド化に向けた実需者とのマッチング活動を実施する。 コンソーシアム構成員 金のいぶき 品種・系統名 胚芽 胚芽長 胚芽重 (mg) 金のいぶき ひとめぼれ (g/500個) 2.97 2.23 0.87 0.30 GABA 含量 (mg/100g) 7.0 2.0 「ひとめぼれ」と比較し て、胚芽長は1.3倍、 胚芽重は2.9倍、玄米 中のGABA含量は3.5 倍。 名称:金のいぶき商品開発 コンソーシアム 県 宮城県古川農業試験場 宮城県北部地方振興事務所 生産者 実需者 資料:宮城県古川農業試験 場作成(2011年) (有)平柳カントリー農産 JA加美よつば (株)JA加美よつばラドファ 商品開発イメージ ○ 全国的な豊作と米消費減少により持ち越し在庫が増 加しており、米の販売環境は大変厳しく、実需のニーズ に沿った「売れる米づくり」が課題となっている。 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 ○生産対策 新品種「金のいぶき」の実証ほ設置による栽培適応性の確認、 栽培マニュアルの作成を行い、普及拡大と作付誘導を図る。 また、「金のいぶき」発芽玄米パックご飯の製品化(無菌包装米飯 加工)に取り組む。 取 組 計 画 ○販売額(25年度) 2.6億円 ○販売対策 「金のいぶき」発芽玄米パックご飯の試作品の作成・配布によ るPR活動、市場調査、求評会の開催等のマッチング活動を行う とともに、パックご飯の包装デザインの検討等に取り組む。 ○販売額(28年度目標) ・原料米生産量 239トン、単価297円/kg ・パックご飯出荷量 480トン、単価401円/kg 2.9億円(1.1倍) ・ 原料米生産量 280トン、単価276円/kg ・ パックご飯出荷量 571トン、単価374円/kg 1 ふくまる(業務用米):茨城県 ポイント ○「ふくまる」は平成24年4月に茨城県の奨励品種に採用された。粒が大きく多収、高温年においても品質が安定しており、炊きぶえが良 く、冷めても粘りがあり、食味が低下しにくい。 ○「ふくまる」について、高品質生産技術を確立し、計画的に作付けを拡大するとともに、認知度向上と安定販売に努める。 コンソーシアム構成員 収量(kg/10a) 収量(㎏/10a) 650 千粒重(g) 600 550 500 450 400 ふくまる 25 24.5 24 23.5 23 22.5 22 21.5 21 20.5 20 19.5 19 18.5 18 名称:ふくまる推進協議会 千粒重(g) 700 左:「ふくまる」 右:「コシヒカリ」 コシヒカリ 茨城県、全農茨城県本部、 茨城県食糧集荷協同組合、 茨城県食糧販売協同組合、 (公社)茨城県農林振興公社、 (株)イクタツ、(株)常陸物産、 JA水戸管内生産者、JA茨城みなみ管 内生産者 「ふくまる」と「コシヒカリ」の収量,千粒重比較 ※ 平成24~25年の現地実証試験結果の平均値 事業実施概要 ○生産対策 土壌別栽培マニュアルの作成、品質に応じた出荷を行う ための葉色診断によるタンパク質含量予測技術の確立、 ICTを活用したほ場管理システムの確立 茨城県の水稲品種は「コシヒカリ」を主とする中生品 種が作付けの大半を占めており、収穫作業の集中が 取 組 問題となっている。また、近年、食の外部化が進み、 前 実需者は安定した量と良好な品質の米を求めている。 の 産 地 の 課 題 取 組 計 画 ○販売対策 集荷団体と連携して消費者、小売店などの多様なニーズ を把握し、それに対応することで安定した取引の推進と需 要拡大を図る。 ○販売額(30年度目標) 25.4億円(5.5倍) ・生産量:12,000トン、単価12,700円/60㎏ ○販売額 4.6億円 ・生産量:2,180トン、単価12,700円/60㎏ 2 「萌えみのり」「てんこもり」「たちはるか」「あきだわら」「にこまる」 (業務用米):愛知県 ポイント ○年々、米消費量が減少しているが、外食・中食の市場は拡大が見込まれている。 他方、愛知県では、出穂期が高温と重なる早生品種において、品質・収量が不安定となっている。また、県下の作付は「あいちのかおり」 (中生)が約40%を占めており、作業ピークの平準化のためにも、早生品種の収量・品質の安定化が急務である。 ○このような状況下において、マーケットインの生産提案により、不安定な需給環境に左右されず、外食・中食等の実需向けに適する多収 性品種を選定・生産し、継続的に生産者-実需者がWIN-WINの関係となる産地形成を図る。具体的には、他県において多収性や高温障 害耐性が確認されている「萌えみのり」「てんこもり」「たちはるか」「あきだわら」「にこまる」の5品種について、3年間で有力な1品種を絞り 込み、中食・外食実需者において、本格使用を開始する。 コンソーシアム構成員 名称:水稲多収性品種導入協議会 JAあいち経済連 愛知県農林水産部農業経営課、園芸農 産課、農業総合試験場、愛知県農林水 産事務所農業改良普及課、愛知県米麦 振興協会、JA愛知西、JAあいち海部、J Aあいち知多、JAあいち中央、JA西三河、 JAあいち三河、JAあいち豊田、JA豊橋、 生産者 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 ○生産対策 5品種について、 愛知県における早生熟期での栽培 適性を確認。3年間で有力な1品種を絞り込み、栽培暦を 作成するとともに、本格栽培を実施する。 ○近年、早生品種において、出穂期と高温時期が重 なる年が多く、品質が不安定。 ○愛知県の水稲作付品種の構成比率は、「コシヒカリ (極早生)」3割、「あいちのかおり(中生)」4割となっ ており、この2品種で全体の7割。上記の状況もあ り、近年は中生品種が増加傾向にある。 ○このため、早生熟期で多収・安定品質の品種を導 入し、農作業の分散及び農家所得の安定・向上を 図ることが課題。 取 組 計 画 ○販売対策 実需者も品種検討に関わり、精米・炊飯米の品質・ 食味分析を行うことで、外食・中食需要に適する多収性 品種を選定し、安定した需要を確保する、 ○販売額(28年度目標) 販売量の向上により、平成25年度実績に対して1.1倍 の増加 3 山形95号(主食用米):山形県 ポイント ○ いもち病抵抗性が高く、強い耐冷性を持つ良食味の新品種「山形95号」を導入する。 ○ 新品種「山形95号」の導入によって有機栽培における減収リスクの低減を図るとともに、乗用除草機や紙マルチ田植機の乗用機械除草を組み 込んだ省力低コスト新技術体系を整備することで有機栽培米の生産拡大を図る。 ○ また、地理的表示など県産有機栽培米の知的財産の獲得に向けた検討を行うことにより、有機栽培米産地としてのブランド化を推進する。 コンソーシアム構成員 穂いもち激発圃場における生産力検定試験 精玄米重 穂いもち被害度 40 100 80 30 60 20 40 10 20 0 山形95号 はえぬき ひとめぼれ 名称:やまがた有機農業 推進コンソーシアム 穂 いも ち 被 害 度 精 玄 米 重 (k g/ a) 50 県 生産者 実需者 山形県 山形県有機農業者協議会 生活クラブ生協やまがた 生活協同組合共立社 農業関係機関 山形県農業協同組合中央会 (公財)やまがた農業支援センター 学識経験者 山形大学 0 穂いもち検定圃場 平成16~21年の平均 資料:山形県農業総合研究センター水田農業試験場作成 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 ○生産対策 ○ 山形県では、「全県エコエリア構想」を推進し、有機栽 培米をはじめ環境保全型農業の拡大を推進しているが、 規模拡大や農地集積による省力化・低コスト化とともに、 有機栽培米等の高価格米の生産拡大等によるブランド化 が大きな課題。 ○ しかしながら、有機栽培米は、病害虫の発生や雑草被 害等により収量が不安定であり、また労働強度も高いた めに規模拡大がなかなか進まない状況。 ○販売額(25年度) 取 組 計 画 1.4億円 (有機栽培米) 有機栽培に適した新品種「山形95号」の栽培実証と機械除草 等の省力低コスト新技術体系の実証を行い、経験の浅い農業 者でも有機農業が実践できるような技術マニュアル、経営モデ ル指標を作成する。併せて、機械等リース支援事業を活用し需 要に見合う生産拡大体制を構築する。 ○販売対策 有機栽培米の優位性の科学的検証や、有機栽培米の評価会 等の開催、地理的表示など知的財産の獲得に向けた検討を行う。 ○販売額(28年度目標) ・ 栽培面積95ha、平均収量384kg/10a、 出荷量364トン、平均単価386円/kg 1.6億円(1.2倍) ・ 栽培面積100ha、平均収量414kg/10a、 出荷量414トン、平均単価397円/kg 4 山形酒104号(酒米):山形県 ポイント ○ 収量性があり、タンパク質が少なく、心白発現率が高い、醸造試験においても全国トップクラスの酒造好適米とほぼ同等の特性を 持つ新品種「山形酒104号」を導入し、100%使用した大吟醸酒を製造する。 ○ 実需者の意向を十分に踏まえた大吟醸酒向けのコメを生産する栽培マニュアルを作成しコメの品質確保に取り組むとともに、製造し た大吟醸酒を山形産高級酒としてブランド化を図り、全国、海外向けに販売する。 (109) (100) 玄米タンパク (106) 400 300 200 100 0 山形酒104号 出羽燦々 美山錦 7.2 (-0.2) (-0.3) 6.8 6.6 6.4 6.2 もろみ 日数 名称:山形酒104号ブランド化 推進協議会 70 60 50 40 6.0 山形酒104号 出羽燦々 「山形酒104号」の醸造試験結果 品種系統名 80 (±0.0) 7.0 コンソーシアム構成員 心白発現率 心白発現率(%) 600 500 収 量 玄米粗タンパク含有率(%) 収量(kg/10a) 700 アル コール (%) 山形酒104号 美山錦 出羽燦々 美山錦 600kg仕込み、平成24年 日本 酒度 酸度 (ml) アミノ 酸度 (ml) 粕歩合 (%) 山形酒104号 29日 18.0 +5 1.2 1.0 53.5 全国トップクラスの 酒造好適米A 28日 17.5 +1 1.2 1.0 59.2 県 山形県 生産者 山形県内各酒米研究会 実需者 山形県酒造組合 集荷団体 全国農業協同組合連合会山形 県本部 研究機関 山形県工業技術センター 山形県農業総合研究センター 資料:山形県工業技術センター作成 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 ○ 山形県の酒米は、多数の酒造好適米を配し「吟醸 王国やまがた」という評価を得てきたが、大吟醸酒な どに使用する酒米では、全国トップクラスに並ぶ評価 は得られていない。 ○ 生産対策 ・ 実証ほのデータや実需者の意見を踏まえた栽培マニュアルを 策定し、これに基づく指導を徹底。 ・ 必要な種子については、県が県種子計画策定会議で過不足が ないように調整するとともに、種子の管理を徹底。 取 組 計 画 ○ 販売額(25年度) ・ 実績なし ○ 販売対策 ・ 県内の酒蔵を対象に研修会を開催し、製造技術の向上を図る。 ・ 商標の取得、市場調査、県内外へのPR等を行い、販路の 拡大を図る。 ○ 販売額(30年度目標) 2億円(皆増) ・ 農畜産物販売額 64.8トン×250,000円/トン ・ 加工品販売額 80,000本(720ml/本)×2,500円/本 5 京の輝き等(酒米):京都府 ポイント ○酒造用新品種 「京の輝き」は、多収性かつ優れた酒造適性を有する掛米用水稲品種で、京都府と(独)農業・食品産業技術研究機構 が共同研究に取り組み、酒造組合等の関係機関と協力しながら、育成した。(平成26年に品種登録) ○ 「京の輝き」の迅速な導入と、京都府育成の酒造好適米「祝」の省力安定生産新技術の普及を図り、酒造業界の要望量に応える生産 体制を構築する。また、これら品種を100%使用した清酒を「京の酒」としてブランド化し、消費拡大に向けてPRする。 コンソーシアム構成員 精玄米重 比率 品種 稈長 穂長 穂数 (cm) (cm) (本/㎡) (kg/10a) (%) 京の輝き 日本晴 79.8 82.8 18.6 20.2 380 343 636 569 112 名称:「京の米で京の酒 を」推進会議~京都酒米 振興プロジェクト~ (100) 京都府、JA京都中央会、 JA全農京都、京のふるさと産品協会、 酒米振興プロジェクト地域部会(京都乙訓 部会、京都丹波部会、中丹協議会、丹後 部会)、京都府酒造組合連合会 京の輝き 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 日本晴 ○生産対策 栽培マニュアルの作成、新規酒米農家の掘り起こし、 新技術の検討、栽培研修会の開催等 ・主食用米は、全国的な需要低下等の理由から、今後 も価格低下が予想され、府内稲作農家の経営への影 響が懸念される。 ・輸出を含む吟醸酒等の好調な売上を背景に、京都 産の原料用米は府内酒造業界から多くの需要がある 一方で、産地では、十分な生産量が上げられず、需要 に応えられていない。 取 組 計 画 ○販売対策 生産者と実需者の情報交流、京都の独自品種(「京の輝 き」等)を使用した清酒のブランド化の検討とPR活動の実 施等 ○販売額(30年度目標) 9億円(9.0倍) 農産物(酒米)と加工品(清酒)の販売額 ・生産量2,000トン(京の輝き、祝) ○販売額 1億円(25年度) 農産物(酒米)と加工品(清酒)の販売額 ・生産量416トン(京の輝き、祝) 6 み系358・381(加工用米):宮崎県 ポイント ○ 宮崎県総合農業試験場において加工用として育成された晩生品種で、両品種とも玄米700kg/10a以上の収量性があり、いもち病抵抗 性を持つ。両品種ともアミロース含量が25%程度あり、主食用米品種(23%程度)と比べて高く、焼酎製造適性が高いと考えられる。 ○ 県内全市町村(22ヶ所)における現地適応性実証ほを設置するとともに、、品種比較試験及び焼酎製造適性等より1品種を選定し、県 内産焼酎原料用加工用米の生産と利用の長期にわたる拡大を進める。 コンソーシアム構成員 み系381 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 名称:宮崎県加工用米等生産・利用拡 大推進協議会 JA宮崎中央会 生産者 集荷・販売 JA宮崎経済連 県主食集荷協同組合 霧島酒造(株)、京屋酒造(有)、 実需者 千徳酒造(株)、県酒造組合 (株)ミヤベイ直販 県もみすり業組合連合会 生産拡大 県農業再生協議会 推進 NOSAI連合 生産指導 県産米改良協会、県土連 宮崎県、市長会、町村会 県等 み系358 ○県内焼酎メーカーが使用する県産加工用米の供 給率は約3%にとどまり、需要量と供給量が大きく 乖離しており、県内メーカーからは県内産加工用米 の大幅な供給拡大が望まれている。 ○現在、加工用米は主に主食用品種を用いて作付 が行われているが、原料農産物として安定供給が 可能な多収性品種の導入が必要となっている。 取 組 計 画 ○生産対策 現地適応性の検証、安定多収栽培技術の実証、省力・低 コスト栽培技術の実証を通じて作付拡大を図る。 ○販売対策 県産加工用米使用の表示を行い、他商品との差別化を図 る。 ○販売額(29年度目標) 330億円 ・農産物販売 8,320トン(栽培面積1,300ha) 11億円 ・加工品販売 焼酎45百万L 320億円 ○販売額 なし ・農産物販売 なし ・加工品販売 なし 7 ちゃんぽん麺用小麦「長崎W2号」(小麦):長崎県 ポイント ○長崎には「ちゃんぽん」、「島原そうめん」など麦を使用した特産品が数多くあるが、原料のほとんどが外国産であり、県内産麦を生産拡大するために は、麦を使用した製品需要を拡大しつつ、外国産から県内産麦への転換を進めることが重要となっていた。 ○小麦新品種「長崎W2号」は、①稈長が短く、耐倒伏性に優れ、収量が多い。②収穫期に雨に遭遇しても発芽しにくい。③原粒灰分含有が少なく、製 粉歩留が高い。④製麺するとモチモチ感が強く、のどごしが良い。ことが特徴である。 コンソーシアム構成員 生育および収量 出穂期 長崎W2号 左:長崎W2号、中:ミナミノカオリ、右:シロガネコ ムギ 成熟期 名称:長崎県育成麦活用開発協議会 稈長 穂長 穂数 収量(子実重) 千粒重 検査等級 4月8日 5月30日 85cm 8.7cm 420本/㎡ 43.0kg/a 38.0g 1.8 ミナミノカオリ 4月6日 5月30日 89cm 7.5cm 440本/㎡ 40.2kg/a 38.0g 4.7 製粉特性 左:長崎W2号、中:ミナ ミノカオリ、右:シロガネ コムギ 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 粗蛋白質含量 原粒灰分含量 製粉歩留 ミリングスコア 長崎W2号 11.1% 1.56% 73.4% 85.8 ミナミノカオリ 13.3% 1.62% 66.2% 75.9 左:長崎W2号、右:ミナミノカオリ 本県には「長崎ちゃんぽん」という全国的にも有名 な特産品があり、県内の製麺業者からも「長崎ちゃ んぽん」用オリジナル品種の育成が求められていた。 しかし、本県で栽培されている日本めん用の品種 は軟質小麦でちゃんぽん麺には適さないため、パ ン・中華麺用の硬質小麦品種の育成が必要となって いた。 取 組 計 画 長崎県農産園芸課 長崎県生麺協同組合 島原雲仙農業協同組合手延素麺部会 鳥越製粉株式会社 株式会社増田製粉所 下田製粉所 全国農業協同組合連合会長崎県本部 島原雲仙農業協同組合 一般社団法人長崎県米麦改良協会 ○生産対策 ・次年産生産計画の策定(生産量、作付面積、作付地域)、 栽培マニュアルの作成、長崎W2号実証圃の設置 ・実需者のニーズに応じた高品質な麦、需要量に応じた生 産量を確保するため、生産者へ管理指導を行う。 ○販売対策 ・試作試験を行い、最適な小麦粉の製品化に取り組む。 ・新製品の開発、販売促進により、需要拡大と計画実現を図る。 ○販売額(30年度目標) 1.2億円(100倍) ①生産量107.5t(面積25ha) ②地域農家目標単収430kg/10a ③県内中華麺消費量1,655tの約5%を長崎W2号に置換え ○販売額 0.012億円 ①生産量23t(面積5ha) ②栽培農家平均単収460kg/10a ③加工品販売実績なし 8 くろ せん ごく 黒千石(大豆):北海道 ポイント 「黒千石」は他の大豆品種よりも機能性成分の含有率が高く、抗酸化力が大きいことが評価され、 実需者からの要望も近年増加しているが、極晩生、耐倒伏性極弱などによる少収等、実需者が求 める収量を確保できない状況にある。 耐倒伏性、多収系統を実証栽培し、収量の増収・安定生産により販売額を拡大する。 コンソーシアム構成員 一般的な国産大豆と比べ、 黒千石の栄養成分は、タン パク質は若干少なめ、脂質 は多く、ナトリウムは国産大 豆の5倍近く。また、機能成 分であるポリフェノール含量 は、豆類の中で最も多く含 まれている小豆(0.4〜0.6g) の約2倍(1.3g)。(日本食品 分析センター・データより) 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 極晩生で降霜の前に成熟期に達しないため、通 常コンバインで収穫できる茎やさやの水分が低下 するのが10月下旬以降。また、一般的な子実用品 種と比較して耐倒伏性が著しく劣り、倒伏による着 莢不良や腐敗粒などが多く、品質低下や収穫にお ける刈り取り損失が多く、実需者が求める数量を 確保できない状況。 取 組 計 画 ○販売額(平成25年度) 0.86億円 ・単価、平均反収など販売額増の主要因項目・数値 農産販売 単価 400円/kg 平均反収 173kg/10a 加工販売 単価 800円/kg 取扱数量 17トン 名称:北竜町地域コンソーシアム 生産者 実需者 実需者 実需者 実需者 市町村 学識経験者 技術支援 黒千石事業協同組合 株式会社 豆蔵 池田食品株式会社 中村食品産業株式会社 株式会社北竜振興公社 北竜町 きたそらち農協北竜支所 空知農業改良普及センター ○生産対策 耐倒伏性、多収、品質及び機能性成分の向上と安定など を兼備した系統の実証栽培等を行い最適な系統を選定し、 栽培技術を生産者に伝え、実需者が求める数量確保を 図る。 ○販売対策 新品種での商品を開発し黒千石大豆の需要拡大を図る。 ○販売額(30年度目標) 1.1億円(1.3倍) ・単価、平均反収など販売額増の主要因項目・数値 農産販売 単価 400円/kg 平均反収 221kg/10a 加工販売 単価 800円/kg 取扱数量 19トン 9 里のほほえみ(大豆):石川県 ポイント ○新品種「里のほほえみ」は、「エンレイ」(石川県大豆主要品種)に比べ百粒重が重く、収量が多いことや、大粒の比率が高く、 しわ粒の発生が少ないこと、最下着莢節位が高く、裂莢が少ないため、コンバイン収穫への作業適性が高いことが特徴。 ○実需者への県産大豆の安定供給に向け、コンソーシアムが核となり、加工適性の評価等を行いつつ、栽培技術の確立・普 及を図り、作付拡大を推進する。 コンソーシアム構成員 ○名称: 里のほほえみ生産拡大推進協議会 ○構成員: ・石川県 ・大豆生産農業協同組合 ・(有)美川タンパク ・(株)金沢豆腐 ・全農石川県本部 ・大豆生産市町 【石川県提供】 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 ○生産対策 大規模実証ほを設置し、品種に応じた栽培管理技術の 確立を図るとともに、栽培マニュアルの作成・配布、栽培 研修会の開催などを通じ、作付けの拡大を推進する。 県産大豆の主要品種である「エンレイ」は、大粒 でタンパク含量も高く、実需者からは一定の評価を 受けているが、近年、小粒化やしわ粒の発生等、 品質や収量が不安定となっており、実需者からは 安定した供給を求められている。 また、産地により、形質等のバラつきがあるため、 均一性の高い大豆の生産が求められている。 取 組 計 画 ○販売対策 大豆加工業者による、当該品種を利用した製品の試作 と評価を行うとともに、生産対策へのフィードバックを行い、 生産技術の改善へと繋げる。 【平成28年度】 ○生産量 : 1,800t(64倍) ○販売額 : 113円/kg ○販売額 : 2億円(64倍) 【平成25年度】 ○生産量 : 28t ○販売額 : 113円/kg ○販売額 : 0.031億円 10 すずかれん(大豆):熊本県 ポイント ○既存品種「すずおとめ」と比較し葉焼け病やハスモンヨトウの病虫害抵抗性及び収量が高く、生産経費の削減及び粗収益の向上が期待 でき、納豆加工適性試験においても従来品種より評価が高く、さらにタンパク含有率も高いことから、豆腐など他の用途への利用も期待で きる大豆の小粒品種。 ○本事業では、生産者、実需者及び関係機関が一体となったコンソーシアムを設立し、「すずかれん」の生産体制を強化するとともに、同品 種を使用した新商品の開発PRを行い、「すずかれん」の生産から販売までの一連の体系を確立し、生産拡大を図る。 コンソーシアム構成員 小粒大豆「すずかれん」の草姿・特徴 名称:すずかれん生産拡大協議会 主茎長(cm) 67 74 213 171 有効莢数 (莢/株) 最下着莢 11.9 節位高(㎝) 0.5 写真 9.3 0.5 30 k g 20 / 10 a ) 倒伏程度 (1-5) 12.7 平成 19 年 平成 21 年 平成 23 年 収 40 量 ( 百粒重(g) 14.5 50 グラフ すずおとめ 県 市 生産者 収量増加 0 すずかれん すずかれん 農業関係者 実需者 平成 20 年 平成 22 年 平成 24 年 すずおとめ フクユタカ 収量の比較(平坦地・普通畑) JA鹿本 (株)丸美屋 古閑産業(資) JA熊本経済連 熊本県 山鹿市 中分田ファーム 農匠なごみ アグリつぶくろ 写真、データ提供:九州沖縄農業研究センター 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 実需の国産大豆のニーズは高まっているが、県産 大豆の生産面積及び生産量は減少している。熊本 県では、生産の低コスト化、生産者の所得向上を図 るため、納豆用途の既存品種に比べ収量が高く病 害虫抵抗性に優れる品種「すずかれん」を平成23 年に県の認定品種に採用し、普及を図っているとこ ろであるが、作付け面積は思うように伸びていない。 ○生産対策 生産性向上・低コスト化の実証ほ展示、耕種基準の作成 取 組 計 画 ○販売額 0.0017億円 ・農産物販売 1.64トン(栽培面積1ha) ・加工品販売 なし 11 ○販売対策 新商品の開発、サンプリング調査(学校給食・イベント等)、 新商品のPR ○販売額(30年度目標) 1.06億円(624倍) ・農産物販売 77トン(栽培面積35ha) 0.1億円 ・加工品販売 0.96億円 納豆 0.45億円 豆腐等 0.51億円 能登大納言(小豆):石川県 ポイント ○奥能登地域で栽培されている能登大納言は、全国にある大納言小豆の中でもひときわ大きな粒と、艶やかで宝石のような 鮮やかな赤い色が特徴で、高級和菓子の原材料に用いられ、県内外の和菓子店からの引き合いも強い。 ○能登大納言のブランド確立に向け、コンソーシアムが核となり、栽培体系の確立・普及による生産量の拡大を図るとともに、 新商品の開発やPR活動を行い、販路の確保を図る。 コンソーシアム構成員 ○名称: 能登大納言産地協議会 ○構成員: ・石川県 ・生産農家(2戸) ・のと珠姫 ・関係JA ・関係市町 ・(株)ヰセキ北陸(オブザーバー) 【石川県提供】 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 ○生産対策 実証ほを設置し、機械による一斉収穫が可能な栽培体 系の確立や土づくり等の実証を行うとともに、研修会を開 催し、栽培技術の普及を図る。 「能登大納言」は、多数の系統が混在していたこ とから、H16から系統の選抜を進め、H20に1系統 を選抜し、種子を統一して栽培を進めている。 現状の栽培では、約1ヶ月にわたり手作業で収 穫を行っているが、生産者の高齢化などから栽培 面積の維持・拡大が困難となっており、収穫作業 の機械化が可能な栽培体系の導入・確立が課題 となっている。 取 組 計 画 ○販売対策 和菓子製造業者と連携し、当該品種を利用した和・洋菓 子の試作を行い、新商品の開発を行うとともに、首都圏を はじめとしたPR活動を行い、販路の確保を図る。 【平成28年度】 ○生産量 : 70.0t(3.0倍) ○販売額 : 1,100円/kg ○販売額 : 7,700万円(3.0倍) 【平成24年度】 ○生産量 : 23.2t ○販売額 : 1,100円/kg ○販売額 : 2,552万円 12 スカイベリー(いちご):栃木県 ポイント ○ 新品種「スカイベリー」は、贈答用いちご市場の需要にあった、「果実が極めて大きい」、「果形が整った円錐形」、「甘さが際立ちジュー シーな味わい」 などの優れた特性を持つ。 ○ ICTを活用した栽培管理データの収集・分析による栽培技術の確立と普及、品質や食味の高位平準化に向けた非破壊糖度計を活用し た糖度調査やインターネットを介した即時的な意見収集などにより産地のブランドづくりを推進。 コンソーシアム構成員 67% 名称:スカイベリーコンソーシアム 18% スカイベリー とちおとめ 生産者 とちぎ農産物マーケティ ング協会いちご部会 実需者 全農とちぎ 行政 栃木県農政部 その他 とちぎ農産物マーケ ティング協会 図 25g(3L)以上の果実の大きさの割合 事業実施概要 取 組 前 の 産 地 の 課 題 ○生産対策 ・ いちごの単価がここ数十年で約1割低下し市 場での産地間競争も激化しているなか、既存品 種の「とちおとめ」より収量が2割程度多く、高級 感もあるスカイベリーを開発。 ・ 栽培管理が「とちおとめ」と異なるため果実の着 色や食味のバラツキなどの課題があった 栽培技術レベルの高い生産者の栽培管理情報を一般 栽培者に情報提供するとともに現地指導の迅速化に より高位安定生産技術を確立。 取 組 計 画 流通段階で得られた食味や品質の調査結果を生産サ イドに提供し栽培技術の高位平準化を図る。 ○販売額(28年度目標) 6億円(5.0倍) ・生産量の増加と販売単価の向上により目標を実現。 (数量500トン 単価1,200円/㎏) ○販売額 1.2億円(平成25年度) ・数量 106トン 単価 1,121円/㎏ 13
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