平 成 27 年 度 教 育 行 政 方 針 根室市教育委員会 Ⅰ はじめに …… 1 Ⅱ 根室市における教育行政推進の基本姿勢 …… 1 1.社会を生き抜く力を育む学校教育活動の充実 …… 2 (1)「確かな学力向上」等の取組みの推進 …… 2 (2)特別支援教育の充実 …… 4 (3)教育効果を高める教育環境の整備・充実 …… 4 2.市民の学びを高める生涯学習の振興 …… 6 (1)地域で子どもを育てる環境づくりの充実 …… 7 (2)歴史・文化・スポーツ振興と社会教育活動の充実 …… Ⅲ むすびに 8 ……11 Ⅰ はじめに 平成27年の根室市議会3月定例月議会の開会にあたり、教 育行政の基本的な考え方と主要な施策について申し上げます。 今日、社会が急速に変化する中で、少子高齢化による社会活 力の低下、更には地域における人口減少の問題などの課題が生 じており、社会生活にさまざまな影響を及ぼしています。 こうした中、人々の個性や能力を伸ばし、地域の発展を支え る基盤となる教育の重要性が改めて認識されており、今後とも、 教育に携わる関係者すべてが、それぞれの果たすべき役割と責 務を自覚し、より一層市民の期待に応えていくことが求められ ております。 Ⅱ 根室市における教育行政推進の基本姿勢 このような認識の下、子どもたちが心身ともに健全に成長し、 「生きる力」を身につけていくためには、児童生徒の個々の能 力を引き出しながら「確かな学力」の育成を図るとともに、思 いやりの心や「いのち」の尊さ、ふるさとへの愛着、社会性な どの豊かな人間性を育むことが必要です。 また、それとともに、市民一人ひとりが生きがいをもって充 実した生活を送るためには、生涯にわたって、いつでも、どこ 1 でも、だれでも、自由に学習し、その成果を生かすことができ る社会の実現が求められています。 こうしたことから、根室市教育委員会においては、平成27 年度からスタートする第9期根室市総合計画に基づき、市民一 人ひとりが生涯を通じて学び、そして活躍し、住み慣れた故郷 の豊かさを実感できるまちづくりを目指して、子どもたちの「社 会を生き抜く力を育む学校教育活動」を更に充実させるととも に、 「市民の学びを高める生涯学習」を一層振興させていくこと を基本として、教育行政を推進してまいります。 次に、こうした基本姿勢のもと、主な施策について申し上げ ます。 1.社会を生き抜く力を育む学校教育活動の充実 (1)「確かな学力向上」等の取組みの推進 まず第一は、「社会を生き抜く力を育む学校教育活動の充実」 について、その1点目は「「確かな学力向上」等の取組みの推進」 であります。 全国学力・学習状況調査の結果、根室市の児童・生徒の学力 は、これまで一定の底上げがなされてきたものの、全道・全国 2 平均には依然として達していない状況にあることから、今後と も、昨年3月に策定した「根室市確かな学力向上に関する取組 方針」に基づき、学力の向上に取り組んでまいります。 ○ そのため、学校におきましては、改めて「基礎・基本」の 徹底を基盤として、日常的な教育活動の充実を図る必要があ ることから、引き続き、巡回指導教員による若手教員の指導 や、学力向上補助教員を活用した習熟度別指導・ティーム・ ティーチングなどにより、教室における子どもの"学び方"の 定着を図るとともに、学力にかかわる各種調査の結果を詳細 に分析することにより課題を明確化し、各学校の状況に応じ た学力向上への取組みを進めてまいります。 ○ また、引き続き学校と保護者とが連携して「生活リズムチ ェックシート」の活用に取り組み、家庭学習や生活習慣の定 着化を図るとともに、専門的な知識や経験を有する地域の人 材を小中学校の教育活動に活用する「教えて地域の先生」事 業等の活用により、 「地域全体で子どもを育てる」意識を高め るよう、努めてまいります。 ○ なお、心の教育にかかわりましては、全小中学校において 「いじめ対策委員会」が設置され、基本方針を策定したとこ ろであり、今後、根室市においても、いじめ防止に向け、地 3 域の実情に応じた基本的な方針を策定し、いじめの芽はどの 児童・生徒にも生じ得るということを十分に認識しながら、 いじめは絶対に許されることではないということを、常に子 どもたちに指導し、いじめの根絶を目指してまいります。 ○ また、北方領土問題にかかわりましては、返還要求運動原 点の地として、各学校において資料コーナー等を活用するな どして、引き続き積極的に取組みを進めてまいります。 (2) 特別支援教育の充実 学校教育活動の2点目は「特別支援教育の充実」であります。 ○ 近年、根室市においては、特別な支援を要する児童生徒の 割合が増加しており、子どもたち一人ひとりの教育的ニーズ に応じた支援を行っていくためにも、個々のニーズに応じた 早期からの一貫した支援を図っていく必要があることから、 本年度、市独自の「個別の教育支援計画」の基本ツールとな る「子育てファイル"りんくす・ねむろ"」を乳幼児から中学 生までの全対象者に配布し、今後の全市的な普及促進につな げてまいります。 (3)教育効果を高める教育環境の整備・充実 4 学校教育活動の3点目は「教育効果を高める教育環境の整 備・充実」であります。 4月から、昆布盛小学校と落石小学校の両校が統合し、また、 厚床小学校が厚床中学校の敷地内へ移転改築し小中併置がスタ ートいたします。根室市におけるこのような状況を踏まえ、今 後とも、児童・生徒が充実した学校生活を送ることができるよ う、各学校における教育環境の整備を地域の方々とともに進め てまいります。 ○ まず、昆布盛小学校と落石小学校の統合につきましては、 恵まれた教育環境と豊かな自然、歴史ある文化などの地域性 が、今後も十分に反映される教育を進めてまいります。 ○ また、厚床小学校の移転改築につきましては、小中併置と いう新たな学校の特質を十分に生かすことができるよう、創 意工夫ある教育活動の展開に努めてまいります。 ○ 次に、小中学校の適正配置につきましては、市街地地区に おける望ましい方向性を検討するため、保護者や地域住民の 意識調査に取り組んでまいります。 ○ また、学校施設の整備につきましては、耐震化・老朽化対 策として、厚床中学校屋内運動場改築工事及び歯舞中学校校 舎等耐震改修設計を実施するとともに、施設整備における長 5 年の懸案であった落石中学校グラウンドの改修設計に着手す るほか、啓雲中学校の給水管改修や、老朽化の著しい鉄棒・ ジャングルジムなど各小学校の遊具について計画的に整備を 進めてまいります。 ○ 次に、ICTを活用した教育環境の充実につきましては、 これまで年次計画で進めてきた各小中学校の校務用パソコン の導入を引き続き進めるとともに、今後の根室市における情 報教育の方向性を明らかにしながら、学校の情報化を推進し てまいります。 ○ また、多子世帯につきましては、学校給食費や幼稚園入園 料・保育料の無料化を拡充することにより、保護者の経済的 負担を軽減し、子育て世帯における教育環境の整備・充実を 図ってまいります。 2.市民の学びを高める生涯学習の振興 基本姿勢の第二は、 「市民の学びを高める生涯学習の振興」に ついてであり、教育委員会といたしましては、第9期根室市総 合計画の分野別個別計画として本年度からスタートする社会教 育計画、スポーツ推進計画等に基づきながら、市民の多様な学 習活動を支援し、生涯学習の振興を図ってまいります。 6 (1)地域で子どもを育てる環境づくりの充実 生涯学習の1点目は「地域で子どもを育てる環境づくりの充 実」であります。 社会全体で学校や子どもたちの活動を支援するためには、社 会教育施設などでの活動や、それぞれの地域コミュニティを核 とした取組みが必要であるとともに、家庭が抱えるさまざまな 課題に対応した支援の充実が求められていることから、家庭・ 学校・地域が連携し、子どもたちを健やかに育んでいくための 取組みを進めてまいります。 ○ まず、子どもの放課後活動につきましては、本年度からス タートする新たな「放課後子どもプラン」に基づき、地域の 方々の参画を得ながら、すべての子どもたちが安全・安心で 多様な体験・活動を行うことができる居場所づくりを目指し て、各種事業を推進してまいります。 ○ また、 「ねむろわんぱくチャレンジ」につきましては、これ まで多くの子どもたちが地域活動に積極的に参加するという 効果をあげてきており、今後も、子どもたちが社会教育事業 等に参加する「きっかけづくり」として活用されるよう、内 容充実を図ってまいります。 ○ さらに、これからの地域活動やまちづくりに参画する青少 7 年活動リーダーの養成を目指し、中高生が姉妹都市の富山県 黒部市において、地元生徒との交流や産業・自然等を体験・ 研修する「根室市中高生友好のかけ橋事業」を、新たに実施 してまいります。 ○ 次に、 「根室市子ども読書活動推進計画」に基づく子どもの 読書普及活動につきましては、地域と連携した「ブックスタ ート事業」や「読書推進・学校等訪問事業」など各種事業を 通じて、普及活動の推進に努めてまいりますとともに、本年 度新たに「ブックスタート事業」に続く「セカンドブック事 業」を小学校1年生児童に対し実施し、子どもの「心」を一 層育むとともに、乳幼児期に続く読書活動支援の環境づくり や読書習慣の形成を目指してまいります。 ○ また、少子化や核家族化が進む中、育児不安やしつけへの 自信喪失など家庭の教育力が低下していることから、学校・ PTAと連携し「教育講演会」を開催し、家庭の教育力の向 上に取り組んでまいります。 (2)歴史・文化・スポーツ振興と社会教育活動の充実 生涯学習の2点目は「歴史・文化・スポーツ振興と社会教育 活動の充実」であります。 8 市民一人ひとりが心豊かで充実した人生を送るには、さまざ まな学習機会や情報を提供することが必要であり、今後とも、 社会教育活動の充実と文化・スポーツ活動の振興に努めてまい ります。 ○ まず、根室市が誇る道内有数の歴史遺産と自然環境を次世 代に正しく伝え、貴重な郷土資料を適切に展示・保管するた め、歴史と自然の資料館を拠点とした博物館活動の充実に努 めてまいります。 ○ また、日本百名城の選定により来訪者が増加している国指 定史跡「根室半島チャシ跡群」につきましては、文化財とし ての適切な保護のもと、受入体制の充実に向けた環境整備に 取り組むとともに、歴史と自然の資料館における情報スポッ ト機能の充実や、根室市における博物館活動拠点施設の在り 方等について、今後、検討を進めてまいります。 ○ 次に、公民館活動につきましては、市民が自主的・主体的 に参画する社会教育活動の推進と、幼児期から高齢期までに わたる学習機会の充実に努めてまいります。 特に、公民館分館活動につきましては、積極的に地域に入 り、住民が求めるニーズを把握しながら、 「分館講座」、 「移動 公民館講座」の充実に努めてまいります。 9 ○ さらに、姉妹都市黒部市において、北陸新幹線開通と黒部 市国際文化センターオープン20周年を記念して、根室市民 が交響組曲「北国讃歌」を演奏する文化交流活動を支援して まいります。 ○ 次に、スポーツ活動につきましては、 「市民一人1スポーツ」 を達成するため、スポーツ指導者の養成をはじめ、スポーツ 少年団の育成・活動支援、ニュースポーツの普及、各種スポ ーツ教室の開催など、各スポーツ団体との連携・協力のもと、 だれでも気軽に参加できる各種事業を推進し、それぞれのラ イフステージに見合ったスポーツ環境を整えてまいります。 ○ また、小・中・高校生の全道・全国大会出場の遠征費を補 助する「根室市みらいのアスリート・アーティスト応援事業」 につきましては、その制度の拡充に努めてまいります。 ○ さらに、社会体育施設につきましては、地域の少年団や市 民のスポーツ活動の場とするため旧華岬小学校校舎・体育館 を改修して新たに歯舞スポーツセンターとして整備するとと もに、パークゴルフ場に用具類の洗浄設備を整備するなどス ポーツ環境の充実に努めるほか、総合体育館の建設について 検討してまいります。 ○ 次に、図書館につきましては、コンピュータシステムの更 10 新に伴い、新たに外部からの蔵書検索・予約サービスや館内 インターネット環境が整備され、利用者の利便性が向上する ことから、更に各種事業の活性化に努めてまいりますととも に、引き続き、高齢者施設への配本サービスなど、より市民 に身近なところでの読書の楽しみを支援してまいります。 ○ また、昨年10月から実施いたしました「雑誌スポンサー 制度」につきましては、企業・団体へのPRを推進し、図書 館資料の整備・充実に一層の理解と協力をいただくことがで きるよう努めてまいります。 Ⅲ むすびに 以上、平成27年度の教育行政方針と主な施策について申し 上げました。 教育委員会といたしましては、人材の育成が豊かな未来を創 り上げるための礎となるものであるとの認識を強く持ち、未来 を担う子どもたちが明るく笑顔にあふれ、健やかに成長できる 学校づくりに努めますとともに、市民一人ひとりが生涯にわた り生き生きと学習できる環境づくりに最善の努力をしてまいり ます。 議員の皆様、並びに市民の皆様にはご理解とご協力を心から お願い申し上げます。 11
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