メンタルヘルスケアを目的とした ニューロフィードバックシステムの開発 日本大学 生産工学部 機械工学科 教授 綱島 均 助手 栁澤 一機 1 精神疾患と脳活動 • NIRS(Near Infrared Spectroscopy)による精神疾患・ 発達障害の診断補助が注目されている. うつ病 → 前頭前野背外側部(DLPFC)の活動低下 自閉症スペクトラム(ASD) → DLPFCでの非効率な活動 2 ニューロフィードバックトレーニング • ニューロフィードバックとは 脳活動状態を知覚できるように呈示することで,訓練を 通じて,脳活動を随意制御する技術. 脳活動情報 使用者 解析用PC 映像・音声 自身の脳活動情報をフィードバック 3 現状のニューロフィードバックの問題点 • トレーニング効果の定量的評価が難しい. =どのようなトレーニングが効果的か評価できない! → どのくらいトレーニングしたらよいか? → どのように脳活動情報を提示したらよいか? バーによる表示 メーターよる表示 色変化よる表示 音による表示 4 NIRS( (Near-InfraRed Spectroscopy) )の原理 受光ファイバ 送光ファイバ 神経活動には酸素が必要 光ファイバ 酸素を供給するために局所 血流が増加 刺激 oxy-Hb Hb濃度変化 (mM cm) deoxy-Hb 時間 (s) 酸素化ヘモグロビン (oxy-Hb) 脱酸素化ヘモグロビン (deoxy-Hb)の変化 入射した光の減衰から血流 の変化がわかる 5 NIRS-NFシステム システム 実験参加者 信号解析 NIRS 大 oxy-Hb 濃度 小 視覚呈示 • 変動が顕著なチャンネル を選択し,その変動を色 の変化として提示する. • 色は65段階に変化. • 0.5sに画像を更新. oxy-Hbに対応した色を呈示 6 実験条件 • • • • • 訓練期間 : 7日間(1日あたり1時間のトレーニングを行う) タスク : 意識を集中させ,画面の色を変化させる 測定部位 : 前頭前野(全42チャンネル) 事前にインフォームドコンセントを実施し,実験参加者の安全と 人権の保護に十分に配慮した. ●:受光ファイバ ●:送光ファイバ 7 実験参加者の群分けについて • NFトレーニングの効果を検証するため,以下の3群を設定. NFトレーニング群 NFトレーニング群 (A群 N=14) N=14) • NFトレーニングを 7日間行う. トレーニング群 (B群 N=11) N=11) • 7日間トレーニング を行うが,画像は変 化しない. トレーニングなし群 (C群 N=12) N=12) • トレーニングを 行わない. ~♪ 8 oxy-Hbとその微分値を用いた特徴平面 • • oxy-Hbの値とその微分値に注目. oxy-Hbが上昇する領域,微分値が上昇する領域を 活動領域と定義. ① Rest ② Task ③ Rest d(oxy-Hb)/dt + Hb conc. ② - + ① oxy-Hb ③ - Time (s) oxy-Hb d(oxy-Hb)/dt Task Rest Activation area 9 チャンネルの評価方法 クラス内分散 クラスの平均的な広がり クラス間分散 クラス間の広がり 1 c σ = ∑ ni ( mi − m )T ( mi − m ) n i =1 1 c 2 σ W = ∑ ∑ ( x − mi ) T ( x − mi ) n i =1 x∈ X i 2 B xd xd ( x − mi ) ( mi − m ) 全データ の重心 xj xj x1 x1 分離度 Task d(oxy-Hb)/dt (mM cm/s) Rest 0.006 σ 2B Jσ = 2 σW d(oxy-Hb)/dt (mM cm/s) 0.004 oxy-Hb (mM cm) -0.04 - 0.04 -0.006 分離度:0.0020 oxy-Hb (mM cm) 0.0 3 -0.03 -0.004 分離度:1.2397 10 分離度による評価 • ニューロフィードバックによる特徴平面の変化 トレーニング後 トレーニング前 (脳活動を随意制御できない場合) (脳活動を随意制御可能な場合) d(oxy-Hb)/dt d(oxy-Hb)/dt0.3 -4 Task Rest d(oxy-Hb)/dt d(oxy-Hb)/dt 0.15 0.15 3 oxy-Hb oxy-Hb -0.3 分離度: 0.003 Task Rest -1.5 0 2.5 oxy-Hb oxy-Hb -0.1 分離度: 3.449 11 評価結果 トレーニング初日 トレーニング7日後 A群 分離度 1.5 B群 C群 0 0 分離度による脳活動変化の定量的評価の可能性 12 今後の課題 • 分離度・ニューロフィードバックトレーニングの メンタルヘルスケアへの応用. • より効果的なトレーニング方法の開発. コンピュータゲームによる トレーニング ロボットを利用したトレーニング 13 想定される用途 • うつ病、発達障害の治療・予防への応用の可能性. • NIRSを用いた脳活動計測による製品の評価 • 快・不快などの情動の計測評価 14 企業への期待 • 脳活動計測,メンタルヘルスケアに関心の ある企業との共同研究を希望. 当研究室は ・精神疾患治療の専門医との連携を確立しています. ・各種の光脳機能イメージング装置,生体情報計測装置を 保有しています. ・脳機能計測とその信号処理技術に多くの経験があります. 15 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :脳活動状態解析装置、 • 出願番号 • 出願人 • 発明者 脳活動状態解析方法、及び 脳活動状態解析プログラム :特願2012-168838 :日本大学 :綱島 均、酒谷 薫、柳沢 一機 16 お問い合わせ先 日本大学産官学連携知財センター(NUBIC) コーディネーター 渡辺 麻裕 TEL 03-5275-8139 FAX 03-5275-8328 e-mail [email protected] 17
© Copyright 2024 ExpyDoc