資料9-6 超高速・高効率 無線LAN 標準化動向 2014年7月11日 NTTアクセスサービスシステム研究所 鷹取 泰司 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. モバイル通信分野におけるパラダイムシフト スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスの普及に伴って、より多くの人 がリッチコンテンツを楽しむようになっている 今後もさらにモバイルトラヒックが増大していくことが予想されている 無線LANの利用形態 特定のユーザが 利用 誰もが 利用 無線LANはどこに? PC ---> スマートフォンやタブレット、 ゲーム機などの多様な端末 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 1 無線LAN技術の発展 無線LANはセルラに対し約10倍のピーク速度を提供しながら発展してきています 1 AP 対 1 高速化 通 信 SUMIMO 技術 OFDM 技術 Aggregate throughput [bit/s] 1 AP 対 1 下り効率化 通 信 1対多 AP 通信 下りMU-MIMO 技術 Wireless LANs 100G 11ax 10G .11ad .11ac 1G .11n 100M 1M 100k 802.11 GSM PDC 1995 AP: Access Point MIMO: Multiple-Input-Multiple-Output WCDMA 2000 2005 LTE-A LTE .11a .11g .11b HSDPA 10M Cellular 2010 2015 Year Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 2 超高速無線LAN(802.11ac)の高速化技術 11acでは11n技術の拡張と下りリンクMU-MIMO技術によって高速化を実現しています A. 11n技術の拡張による高速化 ①伝送帯域拡大 ②空間多重数拡大 ③ 変調多値数増大 ④フレームアグリゲーションの拡張 B. 下りリンク MU-MIMO-MIMO技術 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 3 MU-MIMO技術 APの複数アンテナを用いて高精度なビームフォーミング制御を行い、複数のユーザに対し て空間分割多元接続(SDMA)を提供し、高い通信容量を実現します SU-MIMO MU-MIMO 無線LAN親機と端末1台が複数のアンテナで 並列にデータ伝送する空間多重通信を実現 AP APの送信指向性制御により,多種多様な 端末との空間分割多元接続通信を実現 STA AP IEEE 802.11n, WiMAX, LTE等に採用 小型端末など,アンテナ数の少ない端末で は並列伝送できず,APの能力が十分に活 用されない 空間分割多元接続 (同時に複数端末で周波数共用) 複数端末へ同時に並列伝送 → 小型端末との通信でも通信容量を向上 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 4 超高速無線LAN(802.11ac)の最大スループット 簡易な端末から高度な端末まで幅広く対応する規格としたため、サポートするスループット の幅が最大で37.3倍となっています 11ac 高速化機能 /特性 11n 最高規定 必須条件 最高規定 1. 空間多重数 4 1 8 2. 伝送帯域幅 40 MHz 80 MHz 160 MHz 3. 変調方式 64QAM 64QAM 256QAM 4. Frame Aggregation 65,535 Byte 8,191 Byte 1,048,575 Byte PHY伝送速度 600Mbps 292.5Mbps 6933.3Mbps PHY最高速度時のス ループット(MAC効率) 485Mbps (81.0%) 157Mbps (53.4%) 5.85Gbps (84.4%) 必須条件機能のみの利用だと, 11nの最高規定の約1/3の スループットにとどまる. 必須/オプション機能間の格差が大きい. ・PHY伝送速度: 23.7倍 ・スループット: 37.3倍 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 5 さらなる大容量化に向けて:セルラと無線LANの連携 2020年代に最大1000倍(2010年比)と予測されるモバイルトラヒックを収容するため、 セルラと無線LANの連携等、異種ネットワーク連携技術が注目を集めています モバイルトラヒック(倍) 1000 1000 3G マクロセル LTE セルラNW LTE-A LTE-B/C ピコセル NW 800 600 6 400 11n 11ac Smart phone 2012 2014 セルラNWと 無線LANの連携 (ユーザが何もしなくても、 セルラとWiFiの電波を最適利用) 無線LAN 200 1 2010 高効率無線LAN M2M networks 2016 2018 Year 2020 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 6 無線LANが克服すべき課題 従来の制御・マネジメント手順を踏襲するだけでは、高密度に設置された環境では十 分な性能を確保できません 高密度に設置された環境における周波数利用効率の改善が課題となります ・無線LANエリアの急激な増加 ・セルラー契約者に対する家庭向け無線LAN APの無償提供 ・スタジアム等、新たな無線LAN利用シーンの増加 Residential Area Airport / Station Coffee shop / Restaurant Stadium Shopping mall Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 7 無線LAN技術の発展 ・無線LANはセルラに対し約10倍のピーク伝送速度を提供しながら発展してきています ・11axでは高密度環境に対応した高効率無線LAN標準の策定が進められています 1 AP 対 1 下り効率化 通 信 1対多 AP 通信 A宅 AP 大容量化 干渉 1 AP 対 1 高速化 通 信 AP 干渉が発生し、 B宅 スループットが 低下 AP間干渉制御 SUMIMO 技術 Aggregate throughput [bit/s] OFDM 技術 10G 1G 100M 10M 100k AP Wireless LANs 11ax .11ad Cellula .11ac LTE-A r .11n LTE .11a .11g .11b HSDPA 100G 1M 下りMU-MIMO 技術 802.11 GSM PDC 1995 WCDMA 2000 高効率分散アクセス技術 AP: Access Point MIMO: Multiple-Input-Multiple-Output 2005 2010 2015 Year AP 多対多 通信 2014年5月からタスク グループ(TG)axにおいて 規格策定活動を開始 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 8 11ax標準の策定予定 11ac標準よりも策定期間を短縮化し、2017年前半にドラフト2.0を発行し、2019年に 策定作業を完了させる予定となっています 9 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 9 候補技術:同時送信によるシステム容量拡大 現在の時間軸上の技術(CSMA/CA)に加え、空間軸上の技術(ビームフォーミング)や 周波数軸上の技術(OFDMA)を活用し、無線LAN間の干渉を回避する検討が進めら れています この方法によって、アンライセンスバンドにおいても複数の無線局が同時に送信するこ とが可能になります ⇒同時送信による送信機会を拡大し、システム容量を増加させます AP-1 STA 1 STA 2 AP-N AP-2 Mutual Interference Suppression STA 3 STA 4 STA x STA y Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 10 まとめ 1. IEEE802.11無線LAN標準化動向 IEEE802.11は無線LANのデファクト標準 高速化のニーズに応じて新たな規格が追加: • 2.4GHz帯高速化: 11b→11g→11n • 5GHz帯高速化: 11a→11n→11ac 2. 超高速無線LAN標準IEEE802.11ac 11acの高速化技術は,以下の二つに分類される • 高速化は11nの拡張で実現: 伝送帯域,空間多重数,変調多値数の拡大 • システムスループット増大のために下りリンクMU-MIMOを新規規定 3. 次世代無線LAN(IEEE802.11ax)に向けて セルラと無線LANの連携が進む タスクグループでの議論が開始 将来無線技術に関する主要な議論: • アクセスポイント・端末が高密度に配置された環境での通信容量の拡大 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 11 IEEE802.11, 802.15及びITU-Rにおける 標準化活動状況(NTT研究所) IEEE会合における活動状況(2013年度~現在) ・参加状況: IEEE802.11(WLAN), 802.15(WPAN): 奇数月に同時開催: 3~7名 ・オフィサー: TGax (IEEE802.11ax): Secretary(2014.5~現在) HEW-SG : Secretary(2013.5~2014.5) TGac (IEEE802.11ac): COEX-ad-hoc co-Chair (2013.12の標準化完了まで) ・表彰: IEEE802.11ac標準策定における活動功労賞:2件 ITU-R会合(2013年度~現在) ・会合参加状況(Working Partyの活動を含む): SG3: 電波伝搬 : 2013年 6月 : 2名 SG4: 衛星系業務: 2013年10月、2014年1月、7月 : 1~2名 SG5: 地上系業務: 2013年11月、12月、2014年5月: 1名 ・議長職: DG Chair:2名 ・表彰: 日本ITU協会賞国際活動奨励賞 1件 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 12 以下、参考スライド Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. IEEE802.11 May meeting 参加国内訳 US: 42% CN: 9% JP: 9% KR: 11% (blank): 18% Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 14 (参考)IEEE 802.11 WG ★IEEE802.11部会: 無線LANの標準規格を策定を目的として,1990年に設立. 1997年に最初の標準規格を発行してから,以降多数の追加仕様を策定. 802 Executive Committee 有線系WG 802.1 (HILI) 802.3 (Ethernet) 802.15 (WPAN) 802.16 (WMAN) 802.19 (Coex) 無線系WG 802.21 (MIHS) 802.24 802.22 (WRAN) (Smart Grid) Media Independent WLAN/WPAN間の Handover 共存機能 システム間の (3G-Wi-Fi) 周波数共用 映像伝送機能で 協調活動 802.11 (WLAN) 802.18 (RR-TAG) 周波数規則 各外部団体とリエゾンを組み、定期的な意見交換や共同検討を行っている Wi-Fi Alliance IETF 無線LAN機器間の 無線LANの上位層や 相互接続性の認証 NW側のプロトコルを検討 Bluetooth 3GPP ISO/IEC JTC1 2.4 GHz帯の共同 利用に関する検討 ネットワーク連携 機能に関する検討 ISO標準化 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 15 標準化作業の進捗状況 Discussion Topics Study Group Task Group Making Draft TGak GLK TGaq PAD Ad Hoc Groups TGax HEW WNG SC WG Ballot Sponsor Ballot TGai FILS 2013.12 標準化完了 TGah Sub 1GHz TGaj China mmW • ユース ケース, • スコープ の議論 • TG設立 準備 • 要求条件 の明確化 • 提案募集 • ドラフト作 成 Published Base Standard 802.11aa Video Transport 802.11-2012 802.11ae Management Frame QoS 802.11ad VHT in 60GHz 802.11ac VHT < 6GHz • ドラフト改定 • 審議 • Letter Ballot • Sponsor Ballot 802.11af TVWS 802.11-1997 802.11a OFDM(5GHz) 802.11n HT 802.11b HR (2.4GHz) 802.11p WAVE 802.11d Multi-domain 802.11r Roaming 802.11e QoS 802.11s Mesh NW 802.11g 2.4GHz OFDM 802.11u Inter-working 802.11h SMa 802.11v WNM 802.11i Security 802.11w PMF 802.11j JPN 5GHz 802.11y U.S. 3.65GHz 802.11k RMM Copyright©2014 802.11z TDLS NTT corp. All Rights Reserved. 16 802.11WG配下の活動中の主なサブグループ サブグループ ミッション 状況 Task Group mc (TGmc) IEEE 802.11標準規格の統合とメンテナンス IEEE 802.11-2015の ドラフトを策定中 Task Group ah (TGah) 1 GHz以下の周波数(TVWSは除外)を利用する 無線LANシステム ドラフト改定中 (WG Letter Ballot) Task Group ai (TGai) 高速初期リンク設定 (FILS: Fast Initial Link Setup) ドラフト改定中 (WG Letter Ballot) Task Group aj (TGaj) 中国におけるミリ波を利用する無線LANの標準化 初期機論 (802.11adの改定) Task Group ak (TGak) 802.11と802.1とのアーキテクチャ的なギャップを 解消するための技術 初期議論 Task Group aq (TGaq) 接続処理の前に利用可能なサービをス検出機能 (Pre-Association Discovery) 初期議論 Task Group ax (TGax) 高効率無線LANの標準化 (802.11acの次のPHY & MAC標準化) 初期議論 Copyright©2014 NTT corp. All Rights Reserved. 17
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