Title 「楽しい薬学部への一日体験入学」について Author(s

Title
「楽しい薬学部への一日体験入学」について
Author(s)
染井, 正徳
Citation
ファルマシア = FURUMASHIA, 25(8): 777-778
Issue Date
1989
Type
Journal Article
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/2297/43963
Right
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http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/
学部講堂で全員持参の弁当をとった後,北陸大学に配属
を持った人材が育成されると筆者は考えている. また全
された者はパスで移動し,参加高校生80名は協力18講座
国の高校生を対象とする最初の発想からは大きく後退し
の各研究室に4~5名ずつ別れ,卒業研究生並に実験体
ている. さらに薬学を理解してもらうためには少なくと
験をしてもらった. 片道2時間以上もかかる遠路からの
も三つのテ ー マを体験する必要があるが,
参加者もいることから実験体験時聞はわずかに4 時間 し
かとれなかったが,各講座の先生方, 院生遠の努力と工
施案は講座側に負担が多く,協力講座が激減してしまう
ー
泊二日の実
危棋がある. また各講座で作製した実験用プ!1 :yトはテ
マの懇切丁寧な楽しい解説書であり, そのまま印刷に
夫により, 様々な興味を惹きつけられる実験が可能とな
ー
った. 取材に来,見ていた新聞記者達の「私もやってみ
回しても素晴らしい本になると恩われ, 製本し前以って
たい」という言葉に象徴されるように, 我々も一高校生
となって他講座の実験を体験してみたい衝動 に駆ら れ
Tこ.
各高校へ配布する案を実現すること. さらに薬学部卒業
後の進路として,製薬企業の研究室や工場見学,病院諜
「第二回楽しい薬学部への一 日体験入学」は, 昭和63
各大学ごとに宣伝パンフレットも作られ,この傾向は
剤部の実態等を全員に適切に紹介出来たら良いと思う.
年8月2自に「体験入学を存続してほしい」という石川
年々激化するであろうが,より次元の高い視野から薬学
県高等学校校長会からの要請にも応え,また第一国体験
入学に対する高校生および協力講座側の批判を踏まえて
会の事業として, 全国的な規模で体験入学が実施され,
好評のうちに実施された. 前回同様に支部長, 両大学薬
学部長の挨拶と「薬学とは何か」の講義を行い10時35分
られることを筆者は念願している. 薬学の裾野を広げる
こと,薬学の理解者と我々の後に続く者は,我々が積極
から金沢大学,北陸大学の協力26講座において参加者90
的に働きかけなければ生まれ出て来ない. 「やる気がな
名による実験体験に入った. 今回は特に昼食時間 は設け
い」と学生に対し発する批判の言葉は, 「両刃の剣」で
ず,各講座の自主性にまかせ,適当な時聞に教授や院生
あり我々自身にも鋭くっき刺さるのである.
希望者は日本中のどこかの薬学部で体験出来る体制が作
達と討論や懇談をしながら持参の弁当を食べてもらうと
以上二回の体験入学と予行演習の実施状況について簡
いう企画は成功したようである. しかし依然として実験
単に紹介した. これらの事業は,上述文中にあげた諸先
生始め,現金沢大学薬学部長,花岡美代次および北陸大
時聞は5時間45分しかとれなかった. 前回同様報道関係
者の取材も大変好意的であった. 今回はテレピの放映が
学薬学部長, 久野栄進の両先生の深いご理解と協力欝座
北陸地区だけでな4中部地区でも行われたことが, 「来
の多くの先生方,院生諸君の献身的な奉仕と,黒子とな
年も体験入学が実施されるのならば是非参加させてほし
って働いた両大学の事務の方々,石川県教育委員会, 石
川県高等学校文化連盟理科部のご支援があって初めて実
い」と遠い他県からの高校生の電話で知った.
高校生側のア:y :?" ー ト結果では, 高校や塾に常備され
ている進路指導書の「薬学部は薬剤師養成学部Jという
紹介が間違いで「幅の広い奥の深い学問 分野である」と
現可能となった. ここに記し深甚の謝意を表します.
現在さらに北陸支部長, 藤井澄三先生のもとで北陸三
認識し驚いている者が多かった. 大部 分の者が「薬学と
県の高校生を対象とする「第三国楽しい薬学部への ー自
体験入学」の準備が着々と進みつつある.
は面白い学問である」と興味を示していた. 大学とは何
金沢大学薬学部量産援
となく近寄り難い所と思っていた高校生逮が,「実験の
あと研究室のみんなで食べたアイス夕日 ー ムがとてもお
いしかった」とか,
「指導に当ったお兄さん,お姉さん
達がとても親切だった」と薬学部との精神的な親密感を
形成出来たことはこの上ない喜びである, この二回の体
験入学に二固とも参加した者もいて,二つのテ ー マを経
験出来たことを心から喜んでいた. 参加者全員が今後も
体験入学が継続して実施されることを希望していた.
現在実施している体験入学は多くの制約の枠の中にあ
る. 理想的には大学の全学部で同様の体験入学を高校生
〈あるいは中学生も対象として〉実施すれば, 頭の柔軟
な空想力も豊富た若い段階でしっかりと自分の将来を見
据え, 進路を間違えることもなく, 目的意識と夢主意欲
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Vol. 25, No. 8 (1989)