「再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会報告書(案

経済産業省
資源エネルギー庁
再エネ報告書担当
省エネルギー・新エネルギー部
宛
東京都生活協同組合連合会
会長理事
伊野瀬
十三
「再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会報告書(案)」に対する意見
・該当箇所
4P
3.コスト効率的な導入
②コスト低減他事業者の競争を促す買取価格決定方式
・意見内容
太 陽 光 発 電 の 買取 価 格に お い て ト ッ プ ラン ナー 方 式 や 入 札 に より 決定 す る 方 式 を 導 入す
ることについては再考すべきです 。
・理由
太陽光発電事業の認定手続きを強化することによってコストを低減することについては
賛成ですが、買取価格においてトップランナー方式や入札により決定する方式を 導入するこ
とについては再考すべきです。エネルギーミックスにおいて示された再生可能エネルギー導
入目標を達成するためには、ここ数年間は立地確保やコスト見積もりが比較的容易な太陽光
発電の新規参入がかかせません。トップランナー方式を導入すると、必然的に日射量が多い
地域や大規模事業者が優位となってしまうため、今まで以上に一部地域への設置集中や、ス
ケールメリットが出しにくい小規模事業者の事業参入が困難になります。また、入札制度に
おいては、買電収入が不安定になることを意味しており、小規模な事業者であればあるほど
事業計画立案が困難にな ります。また、ドイツにおいて行われた入札制度の実証実験におい
てもコスト低減にはつながっていません。FIT制度が始まってまだ3年です。エネルギー
ミックスにおいて示された再生可能エネルギーの導入水準を達成するためにも、地域密着の
新規発電事業者が事業を計画できるよう、当面は大規模な変更は行わず中長期的に買取価格
引き下げスケジュールを決定する 方式が良いと考えます。
・該当箇所
5P
3.コスト効率的な導入
③FIT制度に係る費用負担の在り方
・意見内容
電力多消費産業への賦課金減免制度については廃止し、電力少量消費者への減免を検討す
べきです。
・理由
賦課金は国民全てが等しく負担すべき費用です。一部電力多消費産業の国際競争力維持と
いう考え方は、平等の原則に反するとともに、エネルギー基本計画に定める「徹底した省エ
ネルギー社会の実現と、スマートで柔軟な消費活動の実現」を阻害する要因になります。
また、電力完全自由化に伴い、電力を多量に使用する事業者もしくは個人が、スケールメリ
ットによる恩恵を受ける一方、省エネルギーに積極的に取り組む事業者・個人や低所得 層は、
相対的にエネルギーコストが増大することが予測されます。エネルギー基本計画に定める「徹
底した省エネルギー社会の実現と、スマートで柔軟な消費活動の実現」を果たすためにも、
省エネルギーに貢献する個人・事業者の減免を検討すべきです。
・該当箇所
8P
5.電力システム改革を活かした導入拡大
③送配電事業者による買取義務等を通
じた広域融通等
・意見内容
新制度移行後の新規取引についても発電事業者と小売電気事業者との直接買取契約の枠組
みを認めるべきです。
・理由
発電事業者と小売電気事業者との既存分における直接買取既存契約の維持を認めることは
評価できます。しかしながら、新制度移行後に、発電事業者と小売電気事業者との間で合意
が成立している場合の送配電事業者から当該事業者に引き渡す仕組みについては、制度の詳
細設計が見えないため、三者による電気の引き渡し証明などの煩雑な手続きの発生や、小売
電気事業者の仕入れコストが卸電力取引所経由の価格よりも手間等により高くなるなどの不
利益が生じる可能性が懸念されます。新制度移行後も既存分の買取契約を認める仕組みがあ
るのであれば、新たな制 度を設けなくとも、対象範囲に新規取引分を加えるだけで対応が可
能です。新制度以降、今まで築きあげられた各地で行われる発電事業者を特定した小売電気
ビジネスが継続できるよう、新制度移行後の新規取引についても発電事業者と小売電気事業
者との直接買取契約の枠組みを認めるべきです。
・該当箇所
10P
おわりに
・意見内容
我が国のエネルギー自給率向上、地域活性化、技術革新の発展による国際競争力向上に向
けて、地域に密着したエネルギー源を後押しするための諸政策や多くの国民(消費者)の理
解と参画を促す政策を加えるべきです。
・理由
我が国における再生可能エネルギーの普及拡大を飛躍的に高めていくためには、国民(消
費者)の理解はもとより、事業規模の大きな事業者だけでなく中小事業者、地産地消型の地
域エネルギーを推進する事業者の育成が欠かせない要件と言えます。しかしながら、本委員
会報告で提案される改革は既存の電力システムや他国の先進事例の範囲での改革に留まって
おり、鍵となる地域密着エネルギーの拡大や、我が国が強みを持つ再生可能エネルギー発電
技術や蓄電技術・省エネ技術を組み合わせた地域分散型電力管理などを推進する具体的な方
向性が示されていません。
地元企業や地方自治体などの参加を促し地域の雇用創出や活性化を後押しするような規
制 緩和 や助成 制度 設計、 地熱 ・中小 水力 発電の 初期 投資へ の支 援制度 の拡 充策の 実施 、10
K W未 満の住 宅用 太陽光 発電 制度に 関す る太陽 光発 電・蓄 電池 ・HE MS 等を組 み合 わせた
次 世代 住宅へ の助 成など 、多 くの国 民( 消費者 )が 再生可 能エ ネルギ ーに より関 心を 深め、
積極的に参画できるよう諸政策を加えるべきです。