平成27年度 社会福祉法人コンプライアンス研修会資料(2)(PDF

Ⅱ.社会福祉法人で求められる内部統制とは
2.社会福祉法人における内部統制の5つの目的
⑤
社会福祉法人における業務効率化のための内部統制
業務効率化は内部統制の目的の1つです。様々な面から業務を見直すことにより、ムダな作業や、重複している作業を発
見することが可能となります。ムダや重複作業を削減することにより、業務効率化が図られコスト削減に繋がります。また、
業務を見直すことにより、職務責任と権限の明確化を図ることができます。ほとんどの組織においてムダや重複は多々あり、
これを見つけていくことにより、収益の拡大に繋がることもあることから、この作業は宝さがしとよばれることもあります。
社会福祉法人においては、職員は身体的・精神的負荷の大きな業務に従事しています。そのため、業務効率化によって、
職員の負荷軽減を実現することが重要となります。
なぜなら、職員の負荷を軽減することが職員満足度の向上に繋がり、それが、職員の定着率の向上に繋がると考えられる
からです。
業務効率化のための基本的なポイント
① 現状分析の実施
まずは、現状の業務を分析します。それぞれのポジションごとにヒアリングを行うことにより実施します。現状を把握し
ないことには、どこに問題があり、無駄が発生しているか発見できません。現状のマニュアルを見直し、業務フローと関連
付けることが大切です。
② 課題の発見と改善案の検討
現状分析を実施した後は、課題を特定し、その課題を解決する改善策を検討していきます。ムダや重複を削減し、あるべ
き姿の業務フローを作成します。そして、マニュアルと紐づけ業務を見える化していきます。
③ モニタリングの実施
改善案を実行に移すとともに、チェック機能が働いているか、ムダは減少したか、業務量削減に繋がった等を測定してい
きます。効果が出なかった場合は、再度①に戻り、新たな改善案を検討していきます。
1
Ⅱ.社会福祉法人で求められる内部統制とは
3.社会福祉法人の内部統制を確立するため取り組むべき事項
組織統治に関する
事項
・法人経営を行う、理事会・理事長の職務責任と権限を明確化するとと
もに、理事会の活性化を図る
・監事監査の機能強化と活性化を図る
・評議員会の牽制機能の強化と活性化を図る
・外部監査制度を導入し、法人として透明性の高い事業運営を担保する
・役職者の職務責任、権限を明確化する
・指揮命令系統を設計する
コンプライアンス
に関する事項
・職員全員を対象に教育研修を実施しコンプライアンス意識の向上を図る
・コンプライアンス体制を構築する
・公益通報相談窓口を設置する
リスク管理・不正
防止に関する事項
・職務責任と権限を明確化する
・正確な計算書類を作成し、正確な記録を取る体制を構築する
(会計担当と出納担当を分離する等)
・日常的なチェック機能、独立的なチェック機能を持たせる
・リスクを収集し、対策を実行しモニタリングする
業務効率化に関す
る事項
・業務の棚卸を実施する
・棚卸した業務を改善する
・業務の平準化、標準化を実現する
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Ⅲ.社会福祉法人アクションプラン2015のポイント
全国社会福祉施設経営者協議会の「社会福祉法人アクションプラン2015」は、社会福祉法人が、人々の安心を支える実
践を通して理解され、地域になくてはならない社会資源として信頼を得ていくため、全国経営協、都道府県経営協、会員法
人が一丸となって取り組むべき計画として策定されております。その中で、Ⅳ.マネジメントにおける基本姿勢、重点課題
の④組織統治(ガバナンス)の確立はまさに内部統制に関する項目です。そのポイントを説明していきます。
内部統制の必要性
全国社会福祉施設経営者協議会「社会福
祉法人アクションプラン2015」より抜粋
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Ⅲ.社会福祉法人アクションプラン2015のポイント
行動指針⑬ コンプライアンスの徹底
全国社会福祉施設経営者協議会「社会福
祉法人アクションプラン2015」より抜粋
実践のポイント
【ルールの明確化と適切な確認】
遵守すべきルール(法令、経営理念、その他社会的ルール等)を正しく認識するとともに、逸脱しないためのマニュアル
の策定や職員への周知徹底などの方策を講じているか。
【コンプライアンス体制の構築】
コンプライアンスプログラム、コンプライアンス規程の策定、コンプライアンス担当部署の設置等、倫理や法令等の遵守
の徹底に向けた管理体制や規程の整備を推進しているか。
【コンプライアンス教育の徹底】
職員に対する社会福祉関係法令、労務関連法令等の適切な理解を促す場の提供に努め、社会的ルールの遵守の重要性を普
及・啓発しているか。
【公益通報相談窓口の設置」
公益通報保護法による、公益通報相談窓口(コンプライアンスホットライン)の設置をし、職員等からの法令違反行為に
関する相談や通報の適正な処理の仕組みを定め、不正行為等の早期発見とその是正処置を図っているか。
【適切な補助金等の取扱い等】
補助金、交付金及び運営費等については適正に申請するとともに、その執行についても法令に基づき適正に行っているか。
また、介護保険や自立支援給付に係る報酬請求等については、専門職等の人員配置基準に適合した最低基準を守り、法令に
定められた基準に基づいて請求事務を行っているか。
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Ⅲ.社会福祉法人アクションプラン2015のポイント
行動指針⑭ 組織統治(ガバナンス)の確立
全国社会福祉施設経営者協議会「社会福
祉法人アクションプラン2015」より抜粋
実践のポイント
【組織統治機能の強化】
理事会、評議員会、理事、監事および評議員が各々の役割を認識し、法人経営と各事業経営のチェック機能、各機関(理
事会、監事、評議員会)の相互牽制機能の強化を意図した組織づくりに努めているか。
※評議員会については、設置を義務とされていない事業を経営する法人ついても、公益性の観点、つまり経営の透明性の向
上、相互牽制機能の向上のためにも設置する。
【業務執行機能の強化】
理事および理事長は、法人本部機能の強化をはじめとして、法人経営及び事業経営が良好に進展するような執行体制の機
能を強化しているか。
【内部統制機能の強化】
内部統制が正しく機能しているかを法人組織内部でチェックする「業務管理体制」を整備し、これが実効あるものになる
ように努めているか。
【事業経営の透明性の確保】
外務監査の積極的活用等により、事業、財務に関する外部からのチェックを行っているか。
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Ⅲ.社会福祉法人アクションプラン2015のポイント
行動指針⑮ 財務基盤の安定
全国社会福祉施設経営者協議会「社会福
祉法人アクションプラン2015」より抜粋
実践のポイント
【職務権限・役割の明確化】
会計処理に関する、業務分掌や職務権限を明確にし、適正な会計処理を行っているか。
【正確な計算書類の作成】
計算書類が法令、ルールにしたがって作成されているか。
【会計に関する十分な知識】
会計責任者および担当者が、社会福祉法人会計基準等に関する必要かつ十分な知識を有しているか。
【正確な記録】
必要な会計帳簿が整備され、適切に記録が行われているか。また、記録が正確に行われるためのチェック機能があるか。
【財務状況の把握】
財務指標等のもとづく経営分析等により、法人全体および各施設、事業ごとの経営状況が適切に把握されているか。
【適切な収益の確保】
適切な収益性の確保に向け、将来を見通した計画的かつ効率的な事業運営を行っているか。
【コスト意識の醸成】
職員全体のコスト意識を醸成するための取組を行っているか。
【適切な資金の運用】
資金の運用は、社会福祉法人制度関連通知等で示された「安全確実かつ換金性の高い方法」で行っているか。
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Ⅲ.社会福祉法人アクションプラン2015のポイント
行動指針⑯ 経営管理者の役割の遂行
全国社会福祉施設経営者協議会「社会福
祉法人アクションプラン2015」より抜粋
実践のポイント
【経営理念等の明確化】
経営理念、方針等を明確にし、良質かつ安心・安全なサービス提供に向けた経営組織の構築に努めているか。
【自己研鑽】
経営管理者は、自らの職責を深く理解し、不断の自己研鑽に努めているか。
【次世代の育成】
職員の研修・教育を充実し、常に次世代の経営管理者の育成に努めているか。
【公益性の高い非営利組織の自覚】
公益制度を基盤にした非営利・公益法人の経営管理者として、非営利性を確保するとともに、公益性の実現に努めている
か。
【事業の将来性・継続性を見通した経営管理】
常に利用者サービスを中心にした事業展開を図るとともに、そのための事業の将来性・継続性を見通した経営管理に努め
ているか。
【効果的・効率的経営】
限りある資源を有効に使い、効果性・効率性の高い経営管理を実現するよう努めているか。
【責任を持った問題解決】
日ごろから自組織のリスク管理に心がけると共に、発生した問題には責任をもって対処する姿勢を貫いているか。
【利害関係者との関係】
取引事業者、行政関係者等の利害関係者と公正かつ適正な関係を保持しているか。
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
厚生労働省「第4回社会福祉法人のあり方に
関する検討会(25.12.16)」資料より抜粋
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
厚生労働省「第4回社会福祉法人のあり方に
関する検討会(25.12.16)」資料より抜粋
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
事業の経済性(範囲の経済性)
範囲の経済性とは、法人が複数の事業を展開することにより、より経済的、
効率的に事業運営をしていくことが可能になることをいいます。複数の事業
で法人の経営資源を共有化することにより、経済性を高める効果があります。
例)インターネット
通販事業者
介護事業
共有コスト=物流コスト
共有コスト= 事務人件費、事務費等
の固定費
顧客獲得コスト
B施設
A施設
収
入
1
共
有
コ
ス
ト
0.8
収
入
1
共
有
コ
ス
ト
0.8
共
収 有
入 コ
2 ス
ト
1.6
以
下
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
人材確保と流出に歯止め
(千円)
4400
介護事業従事者
組織規模別年齢別平均年収(男女共)
26年
4200
4000
3800
3600
3400
3200
3000
2800
2600
2400
1,000人以上
2200
100~999人
10~99人
2000
~19歳
20~24歳
25~29歳
30~34歳
介護福祉士の離職理由(複数回答)
35~39歳
40~44歳
45~49歳
50~54歳
55~59歳
H26年賃金構造基本統計調査資料加工
1位「結婚、出産、育児」
2位「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」
3位「職場の人間関係に問題があった」
4位「収入が少なかった」
財団法人社会福祉振興・試験センターの12年度調査
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
本部機能の整備・強化における法人のニーズ
複数施設の経営を考えている(している)。今のうちに組織で意思決定
できる体制を整えたい。
誰が何を決めているのか分からない。その時によって異なる決定が下
る。一定のルールが必要。
役職者の役割を明確にしたい。
施設長クラスのリーダーシップや経営手腕を育てたい。
部門別損益を把握したい。(介護事業、保育事業等事業区分より、必要
であれば施設ごとといった、より小さい単位で)
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
本部機能の整備・強化の概要
❶ポジションごと
職務責任&権限
の明確化
❷意思決定ルート
の設計
(会議体&稟議)
・会議種、目的、審議内容一覧
・稟議規程(ルール)
・業務フロー図
・職務記述書
・職務権限一覧
・業務フロー図
・組織図
組織の4原則
指示命令一
元化の原則
統制範囲
職務分担
権限委譲
の原則
の原則
の原則
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
取組例①:職務責任&権限の明確化(本部機能一覧)
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
取組例②:職務責任&権限の明確化(職務記述書)
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
取組例②:職務責任&権限の明確化(業務一覧表の作成)
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
取組例③:職務責任&権限の明確化(業務フロー図)業務の平準化
① 既存のマニュアルを検証、整備して機能性のあるものにします
② マニュアルは存在するが、浸透していないという状況をなくすために業務フローによって可視化し、職責に沿って実行
できるように内部統制を構築します
③ 各部門での業務平準化のために、マニュアルが業務フローに付随するものとし、統一性を持たせます
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
職務責任&権限の明確化の活用策
人事考課
目標設定
研修計画
❶ポジションごと
職務責任&権限
の明確化
職務内容の
明確化
キャリア
パス
複数施設の職務
責任の調整
と能力格差の
見える化
必要な
知識・技術
仕事の難易度
賃金制度
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
意思決定ルートの設計の効果・狙い
チームで意思決定を行うため、
・好き嫌いでない、公正で妥当な意思決定を行うことができ
る。
・後継者不足に対応できる。(所有と経営の分離)
・組織の繁栄が継続できる。
コミュニケーションの機会が増えるため、
・職場改善を促進することができる。
・人材の流出を防ぐことができる。
・優秀な幹部を育成することができる。
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Ⅳ.法人本部機能の強化について
意思決定ルートの設計(会議体の見直し)
① 現状の会議体をベースに必要な会議と必要でない会議に整理します
② それぞれの会議において、目的・審議事項・開催頻度・収集者・収集方法・議事録のルール等を明確化します
③ 稟議のルールをまとめるとともに、組織としての意思決定ルールを明確化します
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