公益社団法人 日本造園学会 2011〜15 学会活動の概要 2016. 01. 09 学術フォーラム 「防災学術連携体の設立と東日本大震災の総合対応の継承」 東日本大震災からの復興 に資する活動と知見 東日本大震災復興支援調査 東日本大震災復興支援調査 発災直後から復興支援緊急調査委員会を立ち上げ、被災状況全般及び沿岸部の植生と 景観への影響を調査、復興支援のための技術的検討を重ねてきた。 防災・減殺効果の限界 防災・減災効果の限界 1933年3月「昭和三陸津波」翌年に農林省山林局が実施した「三陸地方防潮林造成 調査」。津波の減災効果を期待した海岸林造成計画が提案されたが、・・・・・ 生存・救助・復旧拠点としての公園緑地 都市公園の仮設避難所・南駒栄公園(1995年1月) ©神戸新聞社 ©根元暁生氏 公園への緊急避難・仙台市海岸公園冒険広場(2011年3月) 神戸市「阪神・淡路大震災『1.17の記録』」 救援物資の輸送・神戸市東遊園地(1995年1月) 都市公園内の仮設住宅・七ヶ浜町総合スポーツ公園(2012年4月) 生存・救助・復旧拠点としての公園緑地 公園緑地やグラウンド・公共施設の空地には、発災直後からの一次避難・安全確保、 救助までの待機から、支援物資の供給・復旧活動の拠点形成、さらに仮設住宅の建設 用地まで多様な役割が求められた。 災害危険区域の土地利用 模型写真提供:設計組織 PLACEMEDIA 災害危険区域に整備される津波防災緑地・都市公園(宮城県七ヶ浜町) 災害危険区域の土地利用 被災地の復興計画における災害危険区域の非居住用途の土地利用は、異なる立地環境 によって多様な可能性が認められる。津波防災緑地や都市公園、保安林等の緑地はそ の1つだが、土地利用を誘導する財政制度的な適用基準等の裏付けは十分ではない。 被災体験の継承と復興を象徴する場 画像提供:設計組織 PLACEMEDIA 復興祈念公園計画案(宮城県南三陸町) 被災体験の継承と復興を象徴する場 復興事業の一環として整備される都市公園では、犠牲者の追悼慰霊に加え、将来的な 防災・減災のために継承されるべき被災体験の記憶を空間と景観のかたちとして整備 し、併せて復興を象徴する場として永く維持管理していくための仕組みが必要である。 復興まちづくりにおけるランドスケープ的視点 多様な復興まちづくり事業の中でも、特にランドスケーププラ ンニングやデザインの視点からの対応が必要になっている ①発災時の迅速な避難誘導を可能とする避難経路のイメージを共有する ための景観的な構造の顕在化。 ②被災した低平地と高台に新たに整備される居住地との景観的一体性を 確保するための土地利用コントロール、既存緑地の保全、造成形態の 検討、修景緑化の計画、長期的な維持管理方策等。 ③復興祈念公園等の都市公園の整備による、被災の記憶と教訓を次世代 に継承していく場の形成ならびにそこを拠点する防災訓練等の継続や 防災意識の発揚。 ④河川の流域を単位とした土地利用のコントロールと環境管理による、 山から海へと連続する環境のエコロジカルな関係の再構築と持続可能 なランドスケープマネジメント。 ⑤交流人口の増大をはかる多様なグリーンツーリズムの振興と、それに 資する景観資源の保全と活用、環境負荷を抑制したモビリティの向上 等を含む総合的な地域振興計画との連携。
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