ペロブスカイト系太陽電池及びその 製造方法 兵庫県立大学大学 大学院工学研究科 材料・ 材料・放射光工学研究 准教授 伊藤 省吾 1 アメリカ化学会誌2009年、小島, アメリカ化学会誌2009年、小島 手島, 手島 白井, 白井 宮坂 , “Organometal halide perovskites as visiblelight sensitizers for photovoltaic cells” • <porous TiO2/(CH3NH3)PbI3/electrolyte/Pt> • η = 3.8% 2 しかし、当初は正孔電荷移動にヨウ素溶液を使用し、変換効率は4%弱 2 サイエンス誌 2012 (スネイス スネイス, スネイス 村上, 村上 宮坂) 宮坂 • <porous Al2O3/CH3NH3PbI2Cl/Ome-TAD/Au> • η = 10.9% 新しい太陽電池、 新しい発電機構、 新しい固体型太陽電池 3 3 ペロブスカイト太陽電池の 世界最高変換効率は20.1% 4 ペロブスカイト太陽電池の作製方法 (1液法) 1. フッ素ドープ酸化スズコートガラス(日板製) CH3NH3PbI3 (TEC15, t=2.2 mm) 2. 緻密酸化チタン層形成: スプレー熱分解法 Au 3.多孔質酸化チタン層形成: 酸化チタンナノ粒 子コロイドのスピンコート法、500 ˚C で 30 分 HTL 間加熱 4. 鉛ペロブスカイト層形成: スピンコート製膜 、 70~110˚C で 加熱 (1液法). 5. 正孔輸送層 (HTL)の形成: スピンコート、も TiO2 しくはドクターブレード法 FTO 6. 金の真空蒸着 (2から5までは大気圧プロセス) Glass 5 5 研究開発のモチベーション(材料コストについて) Au: 4000円 / g MeOTAD: 8万円 / g PTAA: 20万円 / g CH3NH3PbI3: 65円/ g TiO2(P25): 4円/ g FTO/glass (NSG-Pillkington) : 1500円 / m2 Nam-Gyu Park, Micael Graetzel , Scientific Reports (2012) CuSCN: CuSCN: 300 円/ g 6 6 伊藤省吾研究室(兵庫県立大学)・大阪ガス 【無機ホール輸送材(CuSCN 無機ホール輸送材(CuSCN) CuSCN)を使用した無機系ペロブスカイト太陽電池の作製】 を使用した無機系ペロブスカイト太陽電池の作製】 ・無機系ペロブスカイト太陽電池として12.4% [Nature Communication, (2014) ] ・ CH3NH3PbI3 ペロブスカイト層製膜 ペロブスカイト層製膜プロセスの 層製膜プロセスの最適化 プロセスの最適化 [Chem. Lett. (2015)] 7 伊藤省吾研究室(兵庫県立大学)・大阪ガス 【CH3NH3PbI3ペロブスカイト太陽電池 ペロブスカイト太陽電池の 太陽電池の劣化原因の 劣化原因の解明】 解明】 ・光、大気(水、酸素)、酸化チタンの 光、大気(水、酸素)、酸化チタンの共存下 チタンの共存下にて 共存下にて劣化 にて劣化が 劣化が進行 [Jpn. J. Appl. Phys. (2015)] ・酸化チタン 酸化チタン表面 チタン表面を 表面を他種半導体で 他種半導体で覆う事で、耐久性が 、耐久性が大きく向上 きく向上 [J. Phys. Chem. C (2015)] 【実用化に向けた特許取得多数】 実用化に向けた特許取得多数】 ・無機ホール輸送層を備えるペロブスカイト太陽電池(特開2014- -175473) ) ・無機ホール輸送層を備えるペロブスカイト太陽電池(特開 ・TiO2表面を無機半導体材料でコートしたペロブスカイト太陽電池(特開2014- -175472 ) 表面を無機半導体材料でコートしたペロブスカイト太陽電池(特開 ・鉛フリーで有機物フリーのペロブスカイト太陽電池(特願2015-028516 ) ・鉛フリーで有機物フリーのペロブスカイト太陽電池(特願 ・ペロブスカイト太陽電池の新型モジュール構造(特願2015-104682 )、他計8特許 ・ペロブスカイト太陽電池の新型モジュール構造(特願 )、他計 特許 8 従来技術とその問題点 [総括 総括] 総括 既に実用化されているものには、シリコンや化合物 (CuIn(S,Se)2)による太陽電池があるが、非常に高額であ ることから、その価格面で現状の電気代より低価格な発電 システムの構築が困難であり、基幹エネルギーとして火力 発電や原子力発電を凌駕するまでには至っていない。そ のような低価格太陽光発電システムを実現するものとして ペロブスカイト太陽電池が開発されているが、耐久性の問 ペロブスカイト太陽電池 題点から実用化は今後の開発課題である。 想定される 想定される用途 される用途[総括 用途 総括] 総括 • 新基幹エネルギーとなり得る低価格太陽電池 9 新技術の 総括] 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 [総括 総括 • 従来技術の問題点であった、真空装置を使用し た製造法により太陽電池が高額になってしまっ ていた為、作製方法を非真空・高速である印刷 プロセスに改良することに成功した。 • 本技術の適用により、太陽電池が印刷プロセス で作製できるため、製造コストが大幅に削減され ることが期待される。 企業への期待[総括 企業への期待 総括] 総括 • 大阪ガス(株)と兵庫県立大学との共同研究におけ る特許開発内容のペロブスカイト太陽電池製品化 10 本技術に 本技術に関する知的財 する知的財産権 知的財産権[1] 産権 • 発明の名称: ペロブスカイト系材料を用いた 光電変換装置 • 出願番号: 特願2013-187245 • 公開番号: 特開2015-056430 • 発明者: 伊藤省吾、西野仁、田中聡一郎、 真鍋享平 • 出願人: 兵庫県立大学、大阪瓦斯 11 従来技術とその 従来技術とその問題点 とその問題点[1-1] 問題点 既に研究開発が進んでいるペロブスカイト太陽電池として、 (CH3NH3)PbX3化合物(Xはハロゲン元素)による光吸 収材料があるが、太陽電池の光エネルギー変換効率をよ り向上させる必要が有る。 新技術の特徴・従来技術との比較[1-2] 新技術の特徴・従来技術との比較 従来の(CH3NH3)PbX3化合物(Xはハロゲン元素)に金属 ドーピングをすることで、より光電変換効率が高い光電変換装 置を提供する事が出来た。3次元太陽電池のセル構造として、 スーパーストレート構造< glass / F-doped SnO2 /TiO2/ porous TiO2 / チタン酸バリウム / Inド ドープ(CH ープ 3NH3)PbI3/ CuSCN / Au >構造の太陽電池を作製した。 12 実用化に 実用化に向けた課題 けた課題[1-3] 課題 • 現在、ドーピングによりCH3NH3PbI3ペロブスカイトの結晶 性が向上し、太陽電池としての耐久性が向上するところま で確認済み。しかし、再現性が未解決であり、その最適化 および長期耐久性に関して未確認である。 13 本技術に 本技術に関する知的財 する知的財産権 知的財産権[2] 産権 • 発明の名称:ペロブスカイト系材料及びそれを 用いた光電変換装置 • 出願番号:特願2015-033230 • 発明者: 伊藤省吾、西野仁 • 出願人: 兵庫県立大学、大阪瓦斯 14 新技術の特徴・従来技術との比較[2-2] 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来はペロブスカイト結晶作製の点でHOOC(CH2)4NH3+ のCH3NH3PbI3へのドーピング使用に限られていたが、本 特許では以下の点を明言した。 【請求項1】 一般式(1):(HOOCRNH3)xA1-xPbX3 [式中、Rは炭化水素基;AはK、Rb、Cs、又はFr;Xはハロゲ ン原子;xは0.01以上1未満である。]で示される化合物。 【請求項2】 一般式(1A):(HOOC(CH2)nNH3)x1A1-x1PbX3 [式中、A及びXは前記に同じ;nは3~10の整数;x1は0.02 ~0.9である。]で示される、請求項1に記載の化合物。 15 実用化に 実用化に向けた課題 けた課題[2-4] 課題 • 現在、 (HOOC(CH2)nNH3)xK1-xPb3 (HOOC(CH2)nNH3)xRb1-xPb3 (HOOC(CH2)nNH3)xCs1-xPb3 (HOOC(CH2)nNH3)xFr1-xPb3 [式中、xは0.01以上1未満、nは3~10] について考案した。実験のノウハウについては 現在構築中。 16 本技術に 本技術に関する知的財 する知的財産権 知的財産権[3] 産権 • 発明の名称:ペロブスカイト型太陽電池及びそ の製造方法 • 出願番号:特願2015-033605 • 発明者: 伊藤省吾、西野仁、坂本浩規 • 出願人: 兵庫県立大学、大阪瓦斯 17 新技術の特徴・従来技術との比較[3-2] 新技術の特徴・従来技術との比較 現在は、太陽電池の製造には高温処理が不可欠となっており、 特に、多孔質電子輸送層の存在がその一因となっている。し かしながら、多孔質電子輸送層は、光吸収層と電子輸送層と の接触表面積を増大させ、光電変換効率を向上させるために 使用される層であることから、多孔質電子輸送層を備えない ペロブスカイト型太陽電池は、通常光電変換効率が著しく低 下する。このような観点から、低 低温処理の 温処理のみで太陽電池を製 造しつつ、高い光電変換効率を維持することができるペロブス 造しつつ カイト型太陽電池を提供することを目的とする。さらに、本発 明は、特に下地層について、真空プロセス製膜のみに依拠せ ず、簡便に製造可能なペロブスカイト型太陽電池を提供する ことをも目的とする。 18 実用化に 実用化に向けた課題 けた課題[3-4] 課題 • 現在、低温焼成による多孔質TiO2を使用した電極について 変換効率8%強と、当時実施した高温焼成材料と同程度の 結果を得ることが可能なところまで開発済み。しかし、15% 以上の効率が可能かどうかの点が未解決である。 19 本技術に 本技術に関する知的財 する知的財産権 知的財産権[4] 産権 • 発明の名称:光電変換装置における光吸収層 の形成方法 • 出願番号:特願2015-045521 • 発明者: 伊藤省吾、西野仁 • 出願人: 兵庫県立大学、大阪瓦斯 20 新技術の特徴・従来技術との比較[4-2] 新技術の特徴・従来技術との比較 光エネルギーを電気エネルギーに変換する 光電変換装置における光吸収層の形成方 法。電子輸送層上のAPbX(2+n)(但し、Aは 1~4置換若しくは無置換アンモニウム、又 は第4周期以上のアルカリ金属原子を示し、 Xはハロゲン原子を示し、nは1又は2を示す )からなる層を、HOOCRNH2(但し、Rは炭 化水素基を示す)に接触反応させることで、 HOOCRNH2をドーピングする工程を含む、 方法。 21 実用化に 実用化に向けた課題 けた課題[4-4] 課題 • 現在、HOOCRNH2(但し、Rは炭化水素基を 示す)のドーピングについて太陽電池としての 変換効率が得られる事が可能なところまで開 発済み。しかし、耐久信頼性向上の点が未解 決である。 22 産学連携の 連携の経歴 • 2008年-2015年 大阪ガス株式会社と共同研究実施 • 2013年-2015年 JST ALCA(先端的低炭素化技術開 発)事業に採択(代表:桐蔭横浜大学 宮坂力教授) 23 お問い合わせ先 お問い合わせ先 兵庫県立大学大学 知的財産コーディネーター 宮武 範夫 TEL 079-283-4560 FAX 079-283-4561 e-mail [email protected] 24
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