「インドネシアの経済発展: 日本とアジア NIEs からの教訓」: Sebelas

SURE: Shizuoka University REpository
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「インドネシアの経済発展 : 日本とアジアNIEsからの教
訓」 : Sebelas Maret University(Surakarta,Indonesia)経済学
部主催講演会での報告要旨
鐵, 和弘
静岡大学経済研究センター研究叢書. 10, p. 14-25
2012-03
http://doi.org/10.14945/00009149
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「イン ドネシアの経済発展 ∼ 日本 とアジア N[Esか らの教訓∼」
Sebelas Maret U五versity Curahtta,IndonesiD
経済学部主催講演会での報告要旨
鐵
不日
弘
は じめに
私が担当す る経済学科・国際経済学ゼ ミでは,毎 年,ア ジアヘのスタディーツアー を実施 し
ている。本年度 は,静岡の企業が
CSR活動の一環 として行 つている,イ ン ドネシアでの植林
活動に参力目させていただくことになり,10月 16日 より23日 まで,ジ ョグジャカル タの山奥
アーで
でこの植林活動への参加 をメイ ンとしたスタディーツアー を行 らた このスタディ
=ツ
のイベ ン ト 淋 ゝ山奥の村でのホームステイ,カ ランガニアル県知事公邸訪問,イ ンターナ
1。
ショナルスクールでの交流会)に ついては,学生達で書き上げた 「スタディーツアー・イ ン・
イ ン ドネ シア 活動報告」 健緊論集第 14号 2011年 )を 参照 されたしゝ
また,我 々はスタディーツアーの一環 として,静 岡大学の提携
校であるガジャマダ大学の位置するジョグジャカルタからさらに
ソロ)に ある Sebelas
車で 1時 間半ほど行つた吼 スラカル タ征勁ヽ
Maret University(通 称 ソロ用
を訪問 した。 この大学は,イ ン
ドネ シアの国立大学のひとつで 9学部 を持つ立派な総合大学であ
る。 キャンパスはイ ン ドネシア風の建築様式で統一 されてお り
,
バスをい ヽ
広いキャンパスを見学させていただいた。そして,校
内見学の後で行われた,経 済学部 と OIS僻 ゝによる講演会&学生
交流会に参加 し,そ の とき,「 イ ン ドネシアの経済発展 ∼ 日本 と
アジア NIEsか らの教訓∼」 とい うテーマで私が行 つた講演の内
容を本稿 で紹介する%
1本 活動は,平成 23年度の学科重点課題として財政支援を受けて行われた。また,静 岡大学人文学
「
部経済学科の OBで あり,イ ン ドネシアでの植林活動を続けておられる お仏壇のやまき」社長
ー
ー
浅野秀浩氏には大変にお世話になつた。満足度の高いスタディ ツア となつたことは,浅 野氏の
バ 同 ,心 より感謝 している。
おかげで,我 々ゼ ミメンン
2 olscAは 日本に本部があるNGO団 体である。この地域では精力的に農業関連の支援を実施 して
おり,ソ ロの町の近くには OISCAカ ランガニアル研修センターがある。
,
-14-
1。
日本 における戦後 の復興
第二次世界大戦でさまざまな生産施設が破壊 され,日 本 の産業はほぼ全滅 してしまいました
しかしながら,こ のよ うな状況から短期間で, 日本は復興を遂げることができたのです。そ し
て,こ の 日本の復興は 「蜀 ヽ と呼ばれ,ア ジアの多 くの国々において,手 本 となるもの と見
なされま した。本 日は,戦後 の 日本経済 とその他のアジアの国々における経済の発展の歴史を
振 り返 り,そ れがイ ン ドネシアの今後 の発展 にどのように参考になるのかを見ていきたい と思
います。
スライ ド1.
∼ A brief history ofJapanese Econornic Development∼
・ Postwar
Reconstruction
(1)Dissolulon of“ giant corporalons(zalibarsυ )"
(2)Agncuttural and iand reform
(3)Enactment oflabor standards iaw
戦後, しばらくの間,ア メリカ軍が実質的 に日本を統治 しました。アメリカは自分たちの仲
間になり,自 分たちに従 う国を作 りたかつたのです。アメリカ軍がとつた政策は
(1)戦前に
日本経済 をコン トロール していた大企業財 問 を解体,(2)農 業 と農地改革の実施 ,(3)労
働者 を守る法律の制定
(民主化 を推 し進めるため)で した。 さらに,
日本 に多 くの援助 を行い
速させることとな り
ました。そ してこのよ うな,ア メリカ軍による政策は日本経済の復興を力日
ました。
その後,1950年 6月 に朝鮮戦争が勃発 し,1953年 7月 まで続きました。戦争の間, 日本は
アメリカ軍から毛布, トラック,鉄 鋼,そ のほかの軍事物資 にたいする巨額の注文卿
を受
OISCAの スタッフの皆 さんには植林の時にも非常にお世話になった。この場を借 りて御礼を申し上
げたい。
-15-
けることとな り,結 果 として, 日本の輸出は急速に成長 しました。朝鮮戦争でのこれ らの特別
な注文が日本経済の完全な復活を開始 させることとなり, 日本経済は戦前の水準にまで戻 り
,
その後,急 速な成長期に入らていきま した。
スライ ド2.
Japanese ftonomic Gowth
=
fute
auarage:l00/o
avarage'.2.70/o
口O O倒
,
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.
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,
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卜00
,
二
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一
卜∞ 0
一
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,
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一
,
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一 F∞ 0
一
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.
F卜一 一
一
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卜一0 一
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,
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一
一
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一
〇 〇0
卜ゆ O ”
,
00 F
.
,
0ゆ0 一
一
$ure:
funn world Table 6.3
スライ ド2を 見て くださしヽ1950年 代半ばか ら1970年 まで,著 しい経済成長が見 られま丸
この間の成長率は,平 均 10%で す 麟
成長に関 して 7%と い う数字は重要な意味を持ちま丸
毎年 7%の 成長 を 10年 間続けると,所 得は 2倍 になるので つ 。そして,こ の急速な成長は
,
安 く,高 品質の労働力がた くさん供給 されたこと,高 い貯蓄率,企 業が活発 に投資をお こなつ
た結果なので 九
ではスライ ド3を 見て くださし札
-16¨
メライ ド3,
魏oo鶴 躊(鯰 靱暑
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2艤
%域 F鑢 :V颯 ‐
ここには, 国本,ア メリカ アルゼンチンの一人蹴
,‐
り所得の変化が示 されていま丸
かつて,ア ルゼンチンは繭アメリカでも非常に裕櫨な国でした。(今 では,始 うではありません
づ 0奎 つ。)国 からわ力る ように,著 しい経済発展を遂げている日本でしたP,1954年 の時点
〇年)で は,ア ルゼンチ ンに追いついていません。アルゼンチンカ`どうして,治 の後
(戦 後 蹴
,
経済発展をす ることWで きなかつたかを知ることは,イ ン ドネシアのこれからの経済発展 を考
えるのに役 に立つ と思い,こ こに挙げま した(こ のことは:後 で触れたい と思いまつ 。
図から,薯 し1/b経 済成長の結果,1180年 代の後半には,一 人あた り所得がアメリカを抜 くま
で 爾本経済は成長 したこと弔わか りますЭでは,第 二次世界大減の数北以降,何 もない状態か
像が重要であると
ら,ど うしてこれだけの経済発展を遂げることPで きたのでしょう力ゝ 次の′
`
考 えられま九
量7-
│
I
:
スライ ド4.
Key points
for economic development {Japan}
External factCIrs
'Good economic conditions in the world
'American supports for Japanese economy
lnternal factors
'High level of technology
'Big market {large population)
' Capable bureaucrats {good education}
好調であつた,(2)日 本を支援す るアメリカの
外部的要因 として,(1)世界経済り鉢シ ゞ
存在があった 側 ,大 量の 日本製品の朝 ,と いつた点が挙げられま九 内部的要因として
,
(1)日 本は戦前より優れた技術力をもつていた
期
(例 え│£
優れた日本製戦闘機,巨 大軍艦の
,(2)国 内市場が大きいことも析 暇こ働いたび』 が多しう,(3)優 れた官僚が存在鯖
水準が高しつしていたことが挙げられま丸 これらの条件が,相 互に作用 して,高 い経済成長が
達成 されたと考えられま丸
しかしながら,1970年 代に起こつた重大な出来事は日本経済に陰を落とすことになりました
とりわけ,1973年 に起こつた中東戦争がきつ力■すで発生した「石油ショック」により,石 油価
格が大幅に上昇 し,こ れにより,石 油を大量に使用 していた産業は大きなダメージを受けるこ
ととなりました。そして,こ れらの外部的ショックによつて, 日本の急速な経済成長は終わり
をとげたのです。これ以降, 日本の経済成長はゆつくりと安定 したものとなりました。
…18‐
2.韓国の経済発展 か ら教訓
イ ン ドネシアの今後 の経済発展 を考える上で,前 述の 日本のケースよりさらに参考になるケ
ースがあると考 えられますしそれは韓国の経済発展で 九 日本 より後で経済発展を経験 した
,
韓国の経験 の方がより新鮮で役に立つ と思われるからですD
朝鮮戦争で大きなダメージを受け,全 く何もない状態か ら経済復興を始めた韓国は, 日本が
約 30年 かけて達成 した工業化 を,10年 で達成 したと言われていま丸
スライ ド5を 見て くださし、1970年代の途中から日本 と入れ替わるかのよ うに高い経済成長
率を達成 しています。韓国はどのよ うにしてこのよ うな経済発展を達成できたのでしょう力、
日本のケース と比較 しながら考 えていきま しょう。
スライ ド5.
ftonomic0owth Rate in Japan and l6rea
(崎
15
Korea
-Japan
゛〇〇N
ゆ〇〇倒
00〇 一
0い0 一
∞0〇 一
〇〇0
,
卜∞〇 一
寸∞0 一
-19-
一∞0
,
∞卜〇 一
いい0 一
N卜O F
00Φ r
000 F
∞OO r
卜ЮO ”
00〇 一
寸ЮO F
Soure. funn world Table 6.3
スライ ド6.
Key points
for economic development (Korea)
Externai factors
Gbood economic cond■ ionsin the wo‖ d
∈ゝmeHcan
supports
in add離 ion
・ Relationship with」
apan
Taiwanese case
internal factors
・1デHl雪十
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市
・
,1,tオ 十モFtiて,11〕 F==
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1日 Hl:Fllll=r嗜 く電Ft,(1モ デ丁1ョ です
'電
apable
(〕 じ
bureaucrats(good education〕
外部的要因 として,(1)世 界経済(帥 が好調であつた。 また,(2)韓 国を支援す るアメ
リカの存在があった動
,大 量の韓国製品の輸対 。 これ らの条件は日本 と同じです。 さらに
韓国の場合では,(3)経 済発展 した 日本が隣にあつたとい うことが非常に重要です。自由貿易
の発展期であつた ともいえます。内部的要因 として,(1)戦 前 より優れた技術力をもつていたし
これは韓国については成立 していませれ
多しう。これも成立 していませれ
(2)国 内市場が大きいことが有利 に働いたび』 が
水準が高しうしていた これに関
(3)優 れた官僚が存在惨扉妻
しては,非 常に強い リーダシ ップを持つた指導者がお り,成 立 していたと考えられます。
実は,こ れ らの要因は,韓国同様:こ の時期に著 しい経済発展を遂げた台湾のケースにもほ
ぼ当てはま りますD
では, 日本 にあつて韓国 になかった要因について検討 してみましょう。まず 技術力 の問題
で 九 これに関 しては,そ の国の教育制度が整 っていれば,後 から効率的に導入す ることが可
£ テ L/ビ の生産で考えてみま しょう。次の資料 を見て下さし■
能です。例 えヤ
…20-
ステイ ド7.
《Я》膊 眸彦隧瘍又鍼痣鰈鑽
芍躙v鸞 儡茫鸞蜀珀心
憮睫枡鼈り0屹 鯰ε
畿 N褥 蛉鰊辣 膠鰈兆 鶴贔褥 燎 鰈珀 會
●雉夕
咆颯鰺阜蓬欝‡
鰺鰊麟颯竃‡
鞣
炒
爵
』
ぶ
ず
‡
炒 鼈脩ぽ 鐵F隧 貯‡
蟷‡
豫
辣了隧磯埒屏貶隧睫勒颯鸞 Nは M夢
蜀 魏‡
隧鰊 ‡
恣ねむ難議鞠醸機鶴雄遷 丁曹
藝鰈
辣
蝋 晰
躊
餞
鍼
│
議篭3む 鮮
ee輸 務
「‡
鰊
剋核
聰麒山
螂
このように,後発 の国は:優 れた技術を獲得す るのに時間ン掛か りませれ
したがつて,経
済発展の初難の範 轄で鋳術力写低 くて も, しつか りと教育 を受けた労働者がいれば,こ の問題
はぐれほど重要ではか と考えられます。
小さひことに関 しては,韓 国!理 を鯖 れこ求める 「颯臨指向開発戦略」を実施
国曲蔵瘍諦`
が良好な
してその限界を打ち鍍ろうとま した。また,知 要因として述べたよ うに,嚇
こと, とりわ‡
す,隣 国の 日癬
が良好であつたことなどが,こ の靱 を後押 ししました。
轟
趾廂鍮祠鸞隆饂なか
3,オ ンドネシア鰊颯鮨鼈洟‡
'
`
につ1/1て 考えてみましよう。インドネシアが圏騨 国と大きく違
インドネシアの輸
天然ガス,ギ ム,コ ーヒ∵などの農麓物といつた資源を豊富に持つていること
う点は,石 油 後
です。では, 日本や韓国の経験に照らし合わせて見ていきましょう。
,
鐵
スライ ド8.
Present situation in lndonesia
Externai factors
ln addition
口
intense
・Oil
competttion{Thailand′ Malaysia′ +Vietnam}
price incFeaSe{(・ advantagel
lnternal factors
{1}High ievel oftechnologv
{2〕
Big market〔 large population}
{3)Capable bureaucrats tg00d education〕
まず夕陪5的 要因ですが, 日本や韓国が経済発展 した頃 とはずいぶん変わっています。現在の
時点では,外 部的要因はイ ン ドネシアにとつてあま り良くあ りません。例えば,世界的に経済
が停滞 しています
(但 し,中 国を除いてですが)。
さらに,厳 しい競争
(タ イ,マ
レーシア,+
ベ トナム)が 存在 しま七 日本のケースでは,そ の当時,競争相手がいませんでした ただ し
,
韓国のよ うに,そ の他の競争相手 と共に経済発展 した
(N[Es)と い う例もあります。また
,
現在の石油価格の上昇はイ ン ドネシア経済 にとつて有利な点であるといえるでしょう。
内部的要因について考えてみましょう。まず;市場規模に関しては,イ ンドネシアは文句の
ない大市場です。次のスライ ド10を 見てください。
-22…
スライ ド9.
lnternal factors
(1
)Big market (large population)
VVorid Population Tbp 1 0
■2■ 6
3■ 0
234
■93
■67
■64
■56
■40
■27
イ ン ドネシアは世界第 4位の人 口規模を誇 ります。また,近 年めざましい経済成長を続けて
いる,中 国,イ ン ド,ブ ラジルなどもこの表のよ うに大きな人 口を抱 えた国ですLこ の点から
見れば,イ ン ドネシアは非常に有望な国だと言 えま丸
技術力の問題 に関 しては,経済発展の開始時点ですでにかな りの技術力を持つていたのは日
本,台 湾ですが,韓 国やシンガポールなどはほとんど何も持 つていませんでした。 これを考 え
れば,開 発 の初期段階ですでに技術力を持っているか持つていないかの問題は,あ ま り重要で
ない と考 えられま九
最後に,一番重要なのが,「 教育」であると考えられると思います。国を正しい方向に導いて
0や 新 しい技術を受け入れるこ
くれる有能な官僚 (例 え│£ 適切な行政指導を実施できる役ノ
とができる質の高い労働者などは,質 の高い教育からしか生まれてきませれ
また,先 ほど少 し述べましたが,イ ン ドネシアには石油や天然ガスといった天然資源が豊富
にあります。これは, 日本や NIEsに はなかつたものです。では,こ れらの天然資源の存在は
工業化にとって有利なものとなるのでしょう力、 これは‐概には言えませれ 天然資源のブー
…23-
ムで,工業化が遅れた例はこれまでにもい くつかあります。実際に,天 然ガスの発掘 によリオ
ランダの製造業が衰退 した例は 「オランダ病」 として知 られています。
これは,1970年代のオイ ルショジクと相まつて,天 然ガスの輸出が急激に伸びたオランダで
は,オ ランダ通貨の価値が他の通貨に対 して急速に上昇 し,そ の結果,輸 出産業の競争力が低
下 してしまつたの観
その他 には,石 油資源の豊富な中東 なども決 して工業化が進んだ国 とは言 えません6ま た
これ らの天然資源は価格が安定 しないことも大きな問題です。先 ほど話に出てきた,ア ルゼン
,
チ ンがどうして工業化に遅れたのかとい う理由も,実 はこの国が資源を豊富に持ちすぎていた
ことと関係があるの電
4。
ま とめ
では,イ ン ドネシアが今後,順 調に経済発展を遂げてい くためには何が必要力ヽこついて 「ま
とめJを 行いたいと思いますLこ こでは, 1国 の力ではどうしようもない,外部的要因につい
ては無視 しますが, どのよ うな外部的要因の変化にも対応できるよ うになるために実行 しなけ
ればならない と思われる点について挙げてみることにしま丸
スライ ド10.
Summary
・ CaFefui Consideration of utilizing natural resources
ヨProvision of a good education for everyone
口ConseⅣ ation of nature
-24-
(1)天 然資源の利用方法の熟考
天然資源は工業化 を有利 にする可能 性もあるが,遅 らせ る疇 旨性もあることがわかっていま
す。天然資源を豊富に持つイ ン ドネ シアでは,そ れ らカテJ害 者間の争いのもとになるのではな
く,国 民のために有効に利用 しなければな りませれ
(2)環 境破壊のない経済発展
日本は経済発展の過程で,lfrllえ ば 1960年 代の後半に)公害関連の問題が多発 し,ま た多 く
の 自然を破壊 しました。 このよ うに,急 速な経済成長が負 の側面を持つ ことを我々は体験 して
います。 自然を破壊 しながら,経済発展 を達成 した国々が偉そ うにイ ン ドネシアの国民に向か
って,「 自然を破壊す るな」とい う権利 はないか もしれませ れ しかし,い つたん失われた自然
を回復するのには想像できないほどの年月が必要 となります。イン ドネシアは珍 しい動植物が
たくさんすむ貴重な大自然を持つています。 この 自然を守 りながら,経済発展の努力 を続ける
ことは,の ちの世代のイ ン ドネ シア国民の幸せのためにも必要であると考えられます。
(3)教 育制度の充実
今回の公演の中で,最 も強調 したいのが優れた教育の機会をすべての人に与えるとい うこと
で 九 教育 とい うものは時間の掛かるものですが,長期的見点で経済開発 を考えることが非常
に重要だと思います。人が経済を作 り出すので 九 教育 こそが,す べての経済活動を活発にす
る源であるとい うことで 九
以上,2011年 10月 17日 ,イ ン ドネシア ◆スラカル タ,Sebelas Maret Universityで 行わ
れた経済学部主催講演会&学生交流会での講演内容である。
-25¨