三相インバータ1台で磁気浮上回転する 冷却ファン用ベアリングレスモータ 静岡大学 学術院工学領域 准教授 朝間 淳一 1 従来技術 従来技術とその 技術とその問題点 とその問題点 ベアリングレスモータとは 磁気軸受の機能が磁気的に統合されたモータ (A. Chiba, et al., “Magnetic Bearings and Bearingless Drives”, Elsevier) 回転体を磁気力により非接触支持する軸受 トルクのみならず磁気支持力を発生可能 どのようにして実現 どのようにして実現するか 実現するか? するか? 固定子にモータ・磁気支持用の2種類の巻線 固定子に1種類の巻線を施して2種類の電流を重畳 固定子に1種類の巻線を施して流す電流を工夫 2 従来技術 従来技術とその 技術とその問題点 とその問題点 ベアリングレスモータの ベアリングレスモータの特長 磁気軸受とモータを組み合わせた構造よりも小形 → 部品点数が少なく低コスト → 軸長が短く危険速度が高域のため高速駆動 磁気軸受+モータ ベアリングレスモータ 3 従来技術 従来技術とその 技術とその問題点 とその問題点 多軸能動位置制御形ベアリングレスモータ 多軸能動位置制御形ベアリングレスモータ x, y, z, θx, θy : 5軸を能動的 変位センサ に位置決め制御 θz : 回転制御 問題点 固定子 z, θz y, θy スラスト 磁気軸受: z制御 回転子 鉄心 x, θx 固定子 多数の構造材・電磁石・ インバータ・変位センサ コントローラが必要 → 高コスト 回転子 回転子 センサ ターゲット ベアリングレス モータユニット: x-y-θx-θy-θz 制御 コイル 5軸制御形ベアリングレスモータ 4 従来技術 従来技術とその 技術とその問題点 とその問題点 1軸能動位置制御形ベアリングレスモータ 能動位置制御形ベアリングレスモータ 軸方向のみ能動的に位置 決め制御 他の自由度:永久磁石に より受動的に安定化 問題点 2台のインバータで駆動 → 高コスト コイル形状が複雑化 1軸制御形ベアリングレスモータ (ヨハネスケプラー大,2013) 5 従来技術 従来技術とその 技術とその問題点 とその問題点 シングルドライブベアリングレスモータ 三相インバータ1台のみで磁気浮上と回転が可能 -d軸電流:浮上 -q軸電流:回転 単純な構造 問題点 負荷をどのように 取り出すか? 1軸制御形ベアリングレスモータ(静大,2011) 6 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 提案するベアリングレスモータ 提案するベアリングレスモータ構造 するベアリングレスモータ構造 アキシャルギャップ形コアレス磁石モータ 反発形永久磁石カップリング 提案構造(静大,2014,特許出願番号:2014-100222) 7 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 受動支持原理 永久磁石の反発力により - 半径方向の変位に対して反発力発生 - 傾きに対しても反発トルク発生 半径方向2自由度(x, y) 4自由度 受動安定 傾き方向2自由度(θx, θy ) 永久磁石の反発力を用いた受動安定 8 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 軸方向へ 軸方向への支持力発生原理 支持力発生原理 磁束の半径方向成分Brと 周方向のコイル電流Iθ Y #1, l1 θ V-phase 軸方向に支持力発生 Axial force Reaction: suspension force Current #2, l2 N W-phase 軸方向への支持力発生原理 Z ωt S −π/3 X #4, l4 U-phase X Radial component of magnetic flux π/3 #3, l3 簡略モデル(3コイル-2極) 9 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 軸方向へ 軸方向への支持力発生原理 支持力発生原理 磁束の軸方向成分Bzと 半径方向のコイル電流Ir Y #1, l1 θ V-phase 周方向に力(トルク) 発生 Magnetized direction Reaction: N torque Magnetic flux, Bz W-phase S θ Tangential force #2, l2 Fixed winding #1 トルク発生原理 π/3 Z ωt S −π/3 X #4, l4 U-phase #3, l3 簡略モデル(3コイル-2極) 10 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 三相インバータ 三相インバータ1 インバータ1台による駆動 による駆動 提案するベアリングレス モータは三相Y結線のみ d軸電流id:磁石界磁制御 Y #1, l1 θ V-phase q軸電流iq :トルク制御 #2, l2 理論計算では Fz = K S id :軸方向支持力 Fθ = K T iq :トルク N π/3 Z ωt S −π/3 X #4, l4 U-phase W-phase 三相インバータ1台で磁気浮 上回転可能 #3, l3 簡略モデル(3コイル-2極) 11 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 有限要素計算モデル 有限要素計算モデル 回転子直径:40mm コイル表面から磁石までのギャップ:1mm 解析モデルの2次元図 12 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 有限要素計算結果 トルク:平均10.2mNm 支持力:平均0.9N 10%程の脈動分 1 Suspension force (N) Torque (mNm) -9 -10 -11 id = 0.217 A id = 0.433 A id = 0 A -12 0.9 iq = 0.433 A 0.8 iq = 0.217 A iq = 0 A 0.7 0 10 20 30 40 50 Rotating angle (deg.) トルク(iq=8A/mm2) 60 0 10 20 30 40 50 60 Rotating angle (deg.) 支持力(id=8A/mm2) 13 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 有限要素計算結果 ラジアル変位に対する復元力の傾き:正 傾きに対する復元トルクの傾き:正 磁気的に 安定 軸方向剛性は負となるため能動制御必要 ラジアル変位に対する復元力 傾きに対する復元トルク 14 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 第一次試作機 コアレスコイルをエポキシ樹脂で充填 ホール素子による角度検出 渦電流変位センサで回転子の軸方向変位を検知 回転子 固定子 15 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 実験結果 最大回転数:4000rpm 無負荷電力:1.5W以下 実験装置 回転子部拡大 16 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 実験結果 軸方向振動振幅:50µm未満 磁石A 磁石B 軸方向(制御方向)振動振幅 17 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 実験結果 永久磁石を変更することで共振点を調整可能 磁石A 磁石A 磁石B 磁石B 半径方向(非制御方向)振動振幅 18 新技術の 新技術の特徴・ 特徴・従来技術との 従来技術との比較 との比較 従来技術との 従来技術との比較 との比較 三相インバータ1台(パワースイッチング素子6個) で磁気浮上回転が可能 コイル形状・モータ構造がシンプル 回転子外周部にブレードを取り付けて冷却ファン等 に応用可能 19 想定される 想定される用途 される用途 高寿命・低騒音冷却ファン 回転子外周部にブレード取付可能 非接触のため摩耗・摩擦音無し メンテナンスフリー 軽負荷で連続運転が必要な用途 20 実用化に 実用化に向けた課題 けた課題 支持力・トルク脈動が問題となる場合, 永久磁石の形状を変更することで解決可 能と考える. 永久磁石の量が問題となる場合,反発力 が発生する部分のみに永久磁石を用いる ことでコストダウンが可能と考える. 変位センサの小形化・低コスト化 システム全体のさらなる低コスト化 21 企業への 企業への期待 への期待 モータ製作のノウハウ・技術を持つ企業 との共同研究を希望. 冷却ファンの高寿命化・低騒音化を考え ている企業には,本技術の導入が有効と 思われる. 磁気浮上ファンの低コスト化を考えてい る企業にも,本技術の導入が有効と思わ れる. 22 本技術に 本技術に関する知的財産権 する知的財産権 発明の名称:ベアリングレスモータ 出願番号:特願2014-100222 出願人:静岡大学 発明者:朝間淳一 23 お問い合わせ先 わせ先 静岡大学 イノベーション社会連携推進 イノベーション社会連携推進機構 社会連携推進機構 コーディネータ 鈴木 正人 TEL 053- 053-478- 478-1702( 1702(代表) 代表) FAX 053- 053-478- 478-1711 e-mail: [email protected] 24
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