秋 の 風

秋 の 風
市川茂子
秋の雨つづきて庭に伸びきたる彼岸花咲くを待つなつかしく
あ
亡き人の吾を呼ぶごとく彼岸会の近づく頃に花咲きはじむ
ビルの上に満月かかり喧噪の街のひと日を寝に誘なうも
秋の風静かに通る今朝の空良き便りなど当てもなく待つ
澄みわたる秋の陽まぶしわが前の一鉢に咲く小花紫
にび いろ
高きより覗く夕ぐれ街の灯を包む鈍色冬の兆しに
高層の階より見渡す空と街とけ合う夜の明り彩る
オリオンの流星ひとつは過去の星ボヘミアンなる人を恋いし日
反対の声上げて広場に集う人わたしを守れるか問いただしたく
骨粗鬆症の予防に効くゴマその量を二倍に入れてゴマ和え作る
18
展景 No. 80
展景 No. 80
19