印刷用 - ジャスネットコミュニケーションズ

活動領域が広がる中で今、
会計士に求められるものは何か
日本公認会計士協会 副会長
日本公認会計士協会
組織内会計士協議会 会長
新日鐵住金 財務部 予算室長
日本公認会計士協会
組織内会計士協議会 議長
ジャスネット
コミュニケーションズ
代表取締役社長
山田 治彦
池田 悟
黒崎 淳
で会計士はどういうスキルを身につけ、どういう役割を果たすべきなのか。3 氏が語り合った。
ル化の進展とともにそういうこと
ろいろ問題が生じます。グローバ
変 化 し て い ま す が、 こ れ ら に つ い
企業会計を取り巻く環境が大きく
黒崎
IFRS ︵国際財務報告基
準 ︶ の 導 入 や 会 社 法 の 改 正 な ど、
す。
以上に増えていると感じていま
専門性を求められる機会が今まで
り、国境を越えた取引などではい
制も国ごとに異なるところがあ
池田 私の場合、企業の中で仕事
を し て い ま す が、 会 計 に 限 ら ず 税
ます。
従来IFRSの導入を推進してい
しょうか。日本公認会計士協会は
対応を検討しているのではないで
ています。各社とも今は現実的な
り、任意適用の企業数も相当増え
昨年から急速に動きが活発にな
ます。IFRSを取り巻く環境は
わせていく必要があると考えてい
山田
企業活動がグローバル化し
ているので、会計基準もそれに合
し、 池 田 さ ん に は 積 極 的 に リ ー
策を進めています。
を担当する会員をサポートする施
IFRS を適用しようという会社
規公開会社なども適用できるよう
海 外 展 開 を し て い な い 会 社 や、 新
I F R S の 適 用 基 準 が 緩 和 さ れ、
す る 支 援 を 中 心 に 行 っ て い ま す。
山田
日本公認会計士協会は会員
である監査法人や公認会計士に対
か。
ポートをされているのでしょう
本公認会計士協会はどのようなサ
ると思いますが、そういう面で日
監監
査法
社会
に社に
査人
法か
人ら
か事
ら業
事会業
よ る ネ ッ ト ワ ー ク に は、 す で に
だ い て い ま す。 組 織 内 会 計 士 に
1000名近い会員が入会してい
な場合もあります。しかしIPO
体制の整備が追いつかず、不十分
山田 IPO を目指す会社の中に
はビジネスの拡大に比べて、管理
ズは高まっています。
的な知識を持った会計士へのニー
から多くなっています。特に専門
会社やコンサルティングファーム
材が欲しいといった要望が、事業
ますが、M&AやIPOに強い人
支援や派遣のサービスを行ってい
認会計士や税理士の方などの転職
ション能力なども含めて、業務を
ン能力とか折衝力、プレゼンテー
部門ですから、コミュニケーショ
ことではなく、企業組織の中の一
せん。会計のプロならいいという
かというと、そんなことはありま
一 方 で、 専 門 性 だ け で 評 価 す る
求められる傾向はあります。ただ
にいますが、専門性の高い人材が
す。私の場合、比較的大きな企業
められる役割も業務の幅も違いま
すし、中小企業から大企業まで求
池田
組織内会計士ということで
言 え ば、 企 業 の 実 情 は そ れ ぞ れ で
すね。
広がっているという感じはありま
会計士の活躍できるフィールドが
黒崎
M& AやIPO といった
テ ー マ が 増 え て き て い る こ と で、
に、 組 織 内 会 計 士 協 議 会 を 設 置
山田
一昨年、事業会社などで活
躍する公認会計士を支援するため
をされているのではないですか。
の方を後押しするような取り組み
も、事業会社で活躍される会計士
ています。日本公認会計士協会で
力も含めて意識している人が増え
かっていて、コミュニケーション能
最 近 は 会 計 士の 方々も そこを 分
い る こ と が 前 提 に な っ て い ま す。
が、今はビジネススキルを持って
門 性 が あ れ ば、 と い う 感 じ で し た
ス ペ ッ ク の 水 準 が 高 い。 昔 は、 専
す。しかもひところよりも求める
を求めるニーズは高まっていま
と い う 声 が あ り ま し た の で、 組 織
みを共有できる人が身近にいない
計士からは、社内に自分一人しか
なっていました。当初、組織内会
ロジェクトチームでもメンバーに
池田
私も協議会発足時から議長
という形で参加し、準備段階のプ
にも評価されているようです。
を見てきたことが、転職先の会社
ときに監査業務でいろいろな会社
も増えています。監査法人にいた
では事業会社に転職するパターン
タ ー ン が 多 か っ た の で す が、 最 近
監査法人を辞めると独立するパ
会計士試験に合格した多くの人
は監査法人に就職します。従来は
ます。
をするとなると管理体制をしっか
遂行する全般的な能力や対人能力
黒崎 環境の変化ということで言
えば、M&AやIPOが増えてい
ることも挙げられます。当社は公
ジャスネット
コミュニケーションズ
代表取締役社長
ビビ
ジネ
要必
に要に
ジス
ネス
スキ
スル
キも
ル必も
りと整備しなければなりませんの
はベーシックに必要です。そのう
黒崎 淳
いないとか、同じような立場で悩
で、専門的な知識や経験のある公
えで、高度化している会計、税務
黒崎 当社に対しても、資格の有
無 に か か わ ら ず、 そ う し た ス キ ル
じ人
るが
人増
が加
増加
転転
じる
ダーシップを持って活動していた
になりました。このような会社で
られているのだと思います。
め財務会計担当者には、社内外で
てどうお考えですか。
黒崎
IFRS 導入は企業のすべ
ての業務プロセスにかかわってく
が多くなってきています。そのた
グロ
い伴い
グー
ロバ
ール
バ化
ルに
化伴に
山田 治彦
より
るれ
専る
門専
性門性
よ一
り層
一求
層め
求ら
めれら
日本公認会計士協会 副会長
日本公認会計士協会
組織内会計士協議会 会長
認会計士を積極的に採用している
新日鐵住金 財務部 予算室長
日本公認会計士協会
組織内会計士協議会 議長
に対応できるだけの専門性が求め
会社法の改正や IFRS の導入など、企業会計をめぐる環境が大きく変わろうとしている。
のではないでしょうか。
専専
門ス
門キ
スル
キに
ル加
にえ
加てえて
一方では活躍の場を監査法人ではなく、事業会社に求める会計士が増えている。そうした中
池田 悟
東洋経済 PROFESSIONAL 最強の財務戦略 90
91 東洋経済 PROFESSIONAL 最強の財務戦略
━ 鼎談:会計士の現状に詳しい3氏が語る ━
の中で孤立していた人たちが問題
会員数は急速に増えました。企業
シ ョ ン が 取 れ る と い う 声 が あ り、
う 機 会 が で き る、 コ ミ ュ ニ ケ ー
ちろん多いのですが、経営企画や
黒崎
当社がいただくオーダー
も、経理、財務のポジションはも
マネジメントに近い仕事ですね。
画 を つ く る よ う な 立 場 に い ま す。
らいです。今は予算室で、事業計
でのキャリアの半分弱で、8年く
で制度会計に携わったのはここま
以上事業会社にいますが、決算室
れる人材は、会社の経営に関して
理解できます。その場合に求めら
池田
社外の方が何らかの形で牽
制機能として必要だということは
多な
様選
な択
選肢
択へ
肢のへ
多様
橋の
渡橋
し渡
をしを
広が
広る
がフ
るィ
フー
ィル
ードルド
ないかと考えています。
会計の知見のある人物が必要では
られるということであれば、財務、
そういう機能が社外の役員に求め
法 人 の 採 用 が 増 え て い ま す が、 そ
し い 時 期 が あ り ま し た。 今 は 監 査
黒崎
かつて公認会計士試験に合
格 し て も、 監 査 法 人 に 入 る の が 難
なっています。そういう意味で日
ム で、 税 務 も 重 要 な サ ー ビ ス に
験をしたほうがいい。外国の監査
の育成という点ではいろいろな経
そ う な っ て い る の で す が、 専 門 家
ています。独立性の問題などから
内会計士によるネットワークを立
意識を交換する、そういう役割も
事業開発といった分野で専門家が
は当然、社内の人間のほうが詳し
んな中でもあえて企業を選ぶ方も
池田
大 学 時 代 に 試 験 に 合 格 し、
そのまま会社に入りました。 年
担っていると思います。
必要とされているケースも増えて
いですから、専門性に加えて、高
います。特に若い人たちは、監査
黒崎
池田さんはずっと企業で?
ち上げたところ、お互いに知り合
社取
外締
取役
締に
役最
に低最
社外
1低
名1
は名は
いると感じています。コーポレー
い 見 識 と か 経 験 を 持 ち、 牽 制 機 能
法人以外にもいろいろな活躍の場
言えます。
本の監査法人にはハンデがあると
法 人 は ア カ ウ ン テ ィ ン グ・ フ ァ ー
財会
務計
会の
計専
の門
専家門
財務
を家を
トガバナンスという観点でも、専
が働く方だと思います。
締役に重きが置かれたのは、社長
ています。今回の法改正で社外取
る人物を就任させることを要望し
て最低1名は財務会計の知見のあ
しては、社外取締役・監査役とし
ています。日本公認会計士協会と
の役員として公認会計士が就任し
ち、900社くらいに監査役など
山田
厳密な数字ではありません
が、上場会社3500社ほどのう
けやりなさいという制度になって
の法律では、監査法人は、監査だ
こ と が と て も 重 要 で す。 し か し 今
山田
監査法人の会計士も組織内
会計士も、いろいろな経験をする
があると思います。
なるので、業界として考える必要
定的に採用していくことが必要に
ませんでした。企業としては、安
たが、去年は応募がほとんどあり
始めて3年連続で採用してきまし
ところで、当社は5 年ほど前か
ら公認会計士試験合格者の採用を
んチャレンジしていただきたいで
もっと広めて、若い方々にどんど
も 広 が り ま す。 そ う い う 理 解 を
キ ャ リ ア を 積 め ば、 将 来 の 選 択 肢
面 白 い 仕 事 で す。 会 計 士 と し て
山田
監査業務は潜在的なリスク
を と ら え て、 こ れ に 対 応 す る と い
かと思っています。
もいい影響が出てくるのではない
に と っ て も い い し、 社 会 に 対 し て
な 選 択 肢 を 橋 渡 し で き れ ば、 企 業
います。そういう人たちに、多様
があると考えるようになってきて
の暴走を止めるには、社内の役員
います。昔と比べると監査以外の
すね。
ね。
だけでは限界があるからというこ
業務をする機会がかなり限定され
う、 ク リ エ イ テ ィ ブ な 要 素 の 多 い
と だ と 思 い ま す。 ガ バ ナ ン ス 上、
割は今後、高まっていきそうです
門家として会計士に求められる役
20
東洋経済 PROFESSIONAL 最強の財務戦略 92