第 18 回(平成27年度) ヤグチ電子工業株式会社 ◆企業の概要 企 業 名:ヤグチ電子工業株式会社 代 表 者:代表取締役 渡邊 俊一 住 所:石巻市鹿又字嘉右衛門 301 設 立 年:昭和 49 年 業 種:電気・電子機器製造 資 本 金: 10 百万円 従業員数: 30 名 代表取締役 渡邊 俊一 氏 ◆事業の概要 当社は、昭和 49 年神奈川県にて創業、平成 21 年河南 工場のあった石巻に本社移転した電気・電子機器製造 会社。大手電機メーカーからの受託生産が主であった が、大震災を機に開発型のメーカーを目指し、特殊 ディスプレイ加工技術を用いた弱視児童のための在宅 治療機「Occlu−pad(オクルパッド)」を北里 大学と共同開発、全国への普及を図る。 Occlu−pad(オクルパッド) 本社 16 七十七ビジネス情報 2016 年新年号(No.72)2016.1.4 特殊ディスプレイ加工技術を用いた弱視治療のための タブレット型視能訓練装置を開発、ゲームを遊びなが ら行うストレスフリーな治療方法の普及を目指す ⇨ 特殊なサングラス装着時の画像 裸眼時の画像 ◆受賞の理由 作業風景 弱視は、視力の発達の感受性期(生後 1 ヵ月~ 8 歳頃)に片眼または両眼に適切な視覚刺激がな かったために視力の発達が止まったり遅れたりすることで、眼そのものは健康だが、視覚情報が伝わ る経路のどこかに支障があり生じる病気である。日本では小児の約 2 ~ 3 %で発症しており、年間 2 ~ 3 万人の新規患者が発生している。適切な治療を 6 歳頃までに行うことで完治が可能とされており、 現在は眼帯のようなシールを健康な眼に貼ることで弱視の眼を使う訓練の治療法が一般的となってい る。しかし、この治療法は、皮膚のかぶれ、健康な眼を使わないことによる健康な眼の弱視化、その 見た目によるいじめ等、肉体的・精神的なストレスが大きく、また治療期間も約1年間の長期を要す るため患者の負担が大きい。 当社は、液晶ディスプレイを構成する複数のフィルム層から偏光フィルム層のみを剥離することで、 裸眼では真っ白な映像が偏光特性に合わせたサングラスをかけることにより本来の画像を見ることが 可能となる特殊なディスプレイを開発・製造。この技術を応用し、北里大学と共同で眼をふさぐこと なく弱視の訓練が可能なタブレット型視能訓練装置「Occlu−pad(オクルパッド)」を開発 し、携帯できるタブレット端末でゲームを遊びながら行う新しい弱視の治療方法を提案。従来の治療 の問題点を克服するとともに、治療期間も約 2 ヵ月と従来から大幅な短縮を実現しており、患者の負 担軽減に大きく貢献する治療機器として高く評価される。 平成 26 年 11 月に医療機器の登録済みで、平成 27 年 5 月より販売を開始。まだ専門医への周知を 図っている段階であるが、弱視治療の需要は大きく、小児弱視患者にストレスフリーな治療法を提供 する社会的貢献度は大きい。また今後海外展開も進めていく予定であり、将来的にも活躍が期待でき る企業である。 七十七ビジネス情報 2016 年新年号(No.72)2016.1.4 17
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