ー エ - Kyoto University Research Information Repository

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<総説>地球環境と木材利用
井上, 雅文
木材研究・資料 (1998), 34: 7-21
1998-12-01
http://hdl.handle.net/2433/51406
Right
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Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
総 説
(
Revi
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地球環境 と木材利用*
井
上
雅
文*
*
W oodUt
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obalenvi
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onme
nt
Mas
af
umiINOUE
(
平成 1
0年 9月1
6日受理)
1. は
じ め
に
「
鉄 の家 森林保護 うた う」「
木への愛着 克服 へ」。1
998年1月20日の 日経新聞夕刊第-面 に,木材関係
者 を ドキ ッとさせ るような見 出 しの記事 が掲載 された。 「
地球 にや さしい住宅」とい うタイ トルで組 まれ
た特集 の第- 回 目であ るが,森林資源 を保護 す るために鉄鋼材料 を構造材 に使 ったスチールハ ウスを啓
蒙 しようとい う内容 の記事 である。さらに,このためには,「
木 の温 もりに こだわ る日本人 に どうや って
鉄 の家 をな じませ るか (
木への愛着 を どの ように克服 させ るか)が課題 で ある」 とまで書かれてい る。
日本列 島 は気候 に恵 まれてお り,木 の種額 も豊富であ るため,世界的 に見て も, 日本人 はよ く木 を使 う
民族 である。世界最古,最大,最高 の歴史的木造建築が, それぞれ法隆寺,東大寺大仏殿,東寺五重塔
であ るように, 日本人 は様 々 な物 を木 で造 り,巧 みな木 の使 い方 によって,独特 な 「
木 の文化」 を築 き
上 げて きた。短絡的かつ一元的な考 え方 によって,長年 にわた って築 き上 げた文化 を捨 て よとい うので
あろうか。 スチールハ ウスの販売促進 のための記事 で ある と言 えばそれ までだが, 日本 を代表 す る新聞
紙上 で 「
木材 を利用す ることは環境 を破壊 す ることであ る」 と論評 された ことは,木材関係者 に とって,
まことに残念で ある。
地球温暖化 な どの地球環境 問題 に対 す る意識 が加速 し始 めた1
990年頃か ら,木材利用 と地球環境 に関
H.
Buc
ha
na
n33)の報告 を基 に,大熊,有馬 らを中心 として多 くの論文 3ト 43)が
す る議論 が盛 んにな り,A.
発表 され, ここで は木材利用が環境保全 に果たす役割 について論 じられてい る。最近 で は, ライフサイ
クルアセスメ ン ト法 によって,製品の環境 に与 える負荷 の程度が厳密 に評価 され,木材 の環境調和材料
PCC レポ一
一ト(
気候変動 に関す る政府間パ ネル
としての有意性 が確認 されている44)。 これ らの議論 は,I
報告書,1
996)45)や関係官庁 か ら発表 され る資料 に も取 り上 げ られ るな ど,研究途上で はあるが,かな り
の部分が認知 されつつあ る。
しか し,一方,非木質系材料 メー カーのホームペ ー ジな どで は,「--・
木材 の使用 を最低 限 に抑 え自然
との共生 を考 えた・
--」 と,誤 った認識 の基 で,環境保護 を楯 に木材利用が完全否定 されている。 また,
先 日,木材関連業界 の方 に講演 した際,「みなさんは木材 を商 ってお られ るが,最近話題 になっているよ
うに環境破壊 の一端 を担 ってい るようで心苦 し くあ りませんか ?」 と質問す る と, 8割程 の方が肯かれ
*第53回木研公開講演会 (
平成 10年 5月22日)において講演 した。
**機能性高分子分野
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o
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c
t
s
- 7--
木材研究 ・資料
第3
4号 (
1
9
98)
て しまう。 この ように,世論が,一部業界の利益のために指導 されているのが現実である。
ここでは,地球温暖化問題 を概説 し,環境保全 において木材利用の コマー シャルポイン トとな りうる
トピックスを挙 げ,「
木材利用 ≠環境破壊」であ り,木材利用が環境保全 に果たす積極的な役割 について
紹介 す る。
2. 地 球 環 境 問 題
2.1 地域公害か ら地球環境
十数年前 までは,環境問題 といえば, カ ドミウムの慢性 中毒 によるイタイイタイ病 (
1
95
5年)やメチ
ル水銀化合物 による水俣病 (
1
95
6年) な どの地域公害が話題 の中心であった。地域公害 のすべてが解決
されたわ けではないが,通信,運輸 システムが発達 した現在,環境問題 といえば,地球規模 でのそれが
一般的な概念 となっている。地球環境問題 に対 す る明確 な定義,分類 はないが,国際的な場 では,主 に,
地球温暖化問題,酸性雨,オ ゾン層の破壊,森林 の破壊,有害物質の越境移動,砂漠化,野生動物 の保
護,海洋汚染,発展途上 国 の公害 な どの 9分野 について議論 され る ことが多 い1
)
。 と りわ け,昨年,
COP3(
気候変動 に関す る国際連合枠組条約第 3回締約国会議)が京都で開催 された こともあ り,地球温
暖化 に対す る意識が急激 に加速 している。
2.2 温室効果 ガス2)
地球大気 は,窒素ガス (
容積比 :7
8.
11
%)
,酸素ガス (
2
0.
9
5%), アルゴンガス (
0.
9
3%) な どの準
定常成分 と水蒸気 (
0
-7%
.)
,二酸化炭素 (
平均3.
6×1
02%)
,メタン (
1.
7×1
040
/
.)
,フロン須 (
2.
8-4.
8×
1
018%)な どの微量 な変動成分で構成 されている。これ らは,太陽か らの 日射エネルギーに対 してほぼ透
明であるため, 日射 は大気層 を透過 し,地球表面 を暖 めた り,光合成作用 に使われた りす る。暖 め られ
た地球表面か らは, その温度 に応 じて,赤外線エネルギーが外部へ放射 (
赤外放射) され る。 この時,
大気中の準定常成分 は,赤外線 に対 して もほぼ透明であるが,熱力学的 にアクティブな変動成分 は,赤
外線 エネルギー を吸収 し,再 びェネルギーを放 出す る。 この ような気体が大気中に含 まれていると, ち
表 1 大気の化学組成 と温室効果2)
大気 中の濃度
1
7
5
0
-1
8
0
0年
1
9
9
2
年
1
9
8
0
年代 の増加量/年
赤外放射 の強 さ
( )内 は増加 率/年
(
W/
m2)
準定常成分
2
0.
9
5%
。
アル ゴ ン
。
7
8.
1
1
%
酸素
。
窒素
0.
9
3%
。
1
8.
2
ppmv
ヘ リウム酸素
5.
2
ppmv
。
ネオ ン
。
ク リプ トン
。
l.
1
ppmv
キセ ノ ン
O.
0
9
ppmv
変動成分
0
-3
0
0
0
ppmv
2
8
0
ppmv
3
5
5
ppmv
1.
5
ppmv(
0.
4%)
メタ ン
0.
7
0
ppmV
1.
7
1
ppmv
0.
01
3
ppmv(
0.
8%)
一酸化二窒素
31
1
ppbv
0.
7
5
ppbv(
0.
2
5%)
0.
0
5
0
3
ppt
v
1
8
-2
0
ppt
v(
4%)
代 替 フロ ン (
CFC1
2
)
0.
0
1
0
5
ppt
v
7
-8
ppt
v(
7
%)
- 8-
0
2
7
5
ppbv
フロ ン (
CFC-ll)
-・ 3
7
1・6
0
0・
二酸化炭素
0
霊
水蒸気
井上 :地球環境 と木材利用
ようど温室のガラスの ように働 き,地球か らの赤外放射 を遮断す るので, これ らの気体 は温室効果ガス
(
赤外放射活性気体) と呼 ばれている。
2
.3 温室効果 (
地球温暖化)のメカニズム2 5)
地球 の単位表面積 に吸収 され る日射 エネルギーの強 さ(
流束密度)は,平均 2
3
9
W/
m2である。地球表面
の温度が変化 しないのであれば,地球表面が吸収 したエネルギーは,すべて赤外線エネルギー として地
3
9
W/
m2
球表面か ら宇宙 に放出 されなければな らない。すなわち,地球表面か ら放出 され る赤外放射 も2
になるはずである (
図 LA)
。赤外放射で2
3
9
W/
m2のエネルギーを放 出す る物体 の表面温度 を計算 (ボル
ツマ ンの法則)す ると1
8
o
Cとなる。 ところが,現在の地球の平均気温 は,約 1
5
o
C(
1
9
61
-1
9
9
0
年の平均)
と観測 されている。表面温度が 1
5
o
Cの物体か ら放 出され る赤外放射の強 さは3
9
0
W/
m2であ り,これ は地
球表面が吸収す る日射エネルギー量 (
2
3
9
W/
mZ) よ り,151W/
m2も多い ことになる (図 LB)。 この分
が前述 の温室効果ガスによる赤外放射 の強 さと考 えられ る。すなわち,地球表面 を覆 う大気中に温室効
果ガスが存在 しなければ,地球表面 の温度 は一
1
8
o
Cとな り,人類が生存で きるような状態ではな くなる。
しか し,実際 には,温室効果ガスの赤外放射 によって,地球表面の温度 は,これ よ り3
3
o
Cも高い平均 1
5
o
C
に保たれているのである。
射
日
大気
1
5
6
W/
h2
大気のな い地球合
現CO2
(
355ppmv
)
大気下の地球
高 CO2
(
700ppmv
)
大 気下 の地球
内嶋原図)
図 1 地球温暖化のメカニズム(
に示す。水蒸気 (
6
5
%)と二酸化炭素 (
3
2
%)が温室効果のほ と
温室効果ガスの赤外放射 の強 さを表 1
ん どを担 っていることが分か る。ただ し,大気中の水蒸気含量 は,気温の変化 によって決定 され るもの
であるため,水蒸気 は地球気候 の変動 を引 き起 こす原因 にはな らない。 これに対 し,二酸化炭素, メタ
ン,一酸化二窒素, フロン類 は,大気中の濃度が上昇す ると,大気の恒常的な温室効果 を増大 させ るた
め,地球 の気候変動 (
地球温暖化) を引 き起 こす原因 となる。例 えば,大気中の二酸化炭素濃度が現在
の 2倍の7
0
0
ppmvになる と,大気の温室効果 は増大 し,大気か ら地 球表面への赤外放射 は,現在 よりも
W/
m2増加 し, これによって地球表面の温度 は,2
-5
o
C上昇す ると試算 され る (
図1
C)
。
約5
工業生産活動が活発化す るに伴 って,石油,石炭,天然ガスな どの化石燃料 の大量燃焼 によって二酸
化炭素,水田耕作や家畜飼育 によってメタンガス,窒素肥料や フロン類 の化学合成 とその利用 によって
一酸化二窒素や各種 フロンガスな どの温室効果 ガスが大気中に大量放出 されている。 また,森林伐採 を
- 9-
I
木材研究 ・資料
第3
4
号(
1
9
9
8
)
伴 う土地利用 の変化 によって,二酸化炭素 の吸収源が著 し く減少 している。二酸化炭素 について言 えば,
8
0
pp
mvで あ った濃度 が,1
9
9
4
年 には約 3
5
8
ppmvに まで上昇 した。IPCC レポー ト
産業革命以前 には2
(
1
9
9
6
)による と,1
9
世紀末 か ら現在 まで に,地球全体 の平均気温 は0
.
3
-0.
6
o
C上昇 し, これ に伴 って,
0
-2
5
c
m上昇 した と報告 してい る。温暖化 の影響 は,実際 に現れてい るのである。
海面が 1
PCC による地球温暖化 の予測 では,図 2に示 す よ うに,経済成長,人 口増加,対策 の有無,
さらに,I
1
0
0
年 までに地球上 の平
気候感度 (
二酸化炭素増加 による気温 の変化 しやす さ) な どの条件 を想定 し,2
-3.
5
o
C上昇す る と予測 してい る。 また,気温 の上昇 は高緯度地域 ほ ど大 き く,北極 や南極 で
均気温 は1
は1
0
o
C近 く上が る とい う予測 もある3
)
0
(
3
.
)頻脈BT計帯君側
2
0
0
0
2
0
2
0
2
0
4
0
2
0
6
0
2
0
8
0
2
1
0
0
西暦 (
年)
図2
I
PCC(
気候変動 に関す る政府間パネル)による地球の平均気温予測
2.4 温暖化 によ る影響2
11
)
地球規模 で気温が上昇す る と,海水 の体積膨 張や氷河 の融解 によって海面 が上昇 す る。I
PCC レポー
1
0
0
年 の海水位上昇 をほぼ5
0
c
m(
3
0
-8
0
c
m) と予想 して い
トで は,南極氷床 の融解 はない と仮定 し,2
る。もし,南極 の気温が
1
0
o
C上が って氷 が溶 け出す と,世界 の海水位 は 5
m上昇 し,さらに,南極 の氷 が
0
m上昇す る とい う試算 もある3
)
。海水位 の上昇 によ り,沿岸地域 での海岸
すべ て融解 す る と,海水位 は8
浸食,淡水帯水層への塩水 の進入,世界 の主要都市 の水没 な ど,深刻 な影響 を もた らす ことが予想 され
る。標 高の低 い島国や広 いデルタ地帯 を持 つ国で は,国土 の消失や台風,高潮 の被害が増大 し,膨大 な
m上昇す る と,海面 (
満潮水位)以
環境難民が発生 す る ことにな る。 日本 で は,温暖化 によ り海水位 が 1
.
7
倍 (
2,
3
0
0
km2-国土 の0.
6
%)に拡が り,人 口1
5
4
0
万人 (
1
5
%)
,資産 1
0
9
兆 円が危険 にさ
下 の地域 が2
らされ る と予想 されてい る4
)
。
現在 の速度 で温暖化が進行 す る と,気候帯 は 1年間 に4
-5
km北上 (
水平移動)し,樹木植生 の分布 が
著 し く変化 す ることにな る。表 2に ヨー ロ ッパ地方での樹木 の分布地域移動速度 を示すが,マ ツや カエ
km/
年か ら最高で も1
.
5
km/
年と
デの ように種子が風 でかな り飛 ばされ る樹種 で も,分布 の移動速度 は1
/
3
-1
/
5にす ぎない。すなわ ち,気候帯 の変化 に追 いつ けず絶滅
観察 されてお り,気候帯 の移動速度 の1
す る樹種 が激増 す る ことにな る。特 に,中緯度帯 の森林 に影響 が大 きい と考 え られてい る10)。この ような
森林 の衰退 は,林業 の活動 と配置 に影響 す るだ けでな く,野生生物 の生息場所 の崩壊, さらに水資源 の
- 1
0-
井上 :地球環境 と木材利用
表 2 最近 1.
5万年間におけるヨーロッパの樹木分布移動速度2)
樹
種
モ ミ類
マツ
トウ ヒ
カエ デ
コナ ラ
クリ
クル ミ
ブナ
シナ ノ キ
移動速度 (
m/
年)
4
0
-3
0
0
1
5
0
0
8
0
-5
0
0
5
0
0
-1
0
0
0
2
0
0
-3
0
0
2
0
0
-3
0
0
4
0
0
2
0
0
-3
0
0
5
0
-5
0
0
滴蓑 に も大 きな打撃 をもた らす と予想 され る。
小麦のような穀物類 の栽培北限 は,平均気温が lo
C上昇す るだけで,数 1
0
0
km も北へ移動す ることに
なる。 この他,大洪水,継続的な干 ばつな どの異常気象,森林火災,虫害な ど, 自然災害の規模 と回数
が急速 に増加す ることによって,食料生産への激 しい衝撃が予想 され る3
)
0
夏期 の気温が高 くなる頻度 と期間が増加す ると,熱中症,熱射病 な どの発生率 と死亡率が増加す るこ
とになる。 また,死亡率の高 い熱帯熱マラ リアや,1
99
8年夏 にカンボジアで大流行 し多数の死亡者がで
たデ ング熱 な どの流行危険地域が北上 す る とい う調査結果が ある4)。最悪の場合,2
1
0
0
年 には, 中国北
部,韓国,西 日本一帯 までが流行危険地域 に入 る可能性がある。
これ らの他,温暖化 は,光化学オキシダ ン ト濃度の増加や水質汚濁 な ど, さまざまな公害の影響 を助
長す ることも懸念 されている4
)
0
3. 地球温暖化対策 と森林の機能
3
.1 地球上での炭素循環
地球上の炭素 は,大気中,海洋中,地上 において,有機物 あるいは無機物 として存在 し,図 3に示す
ように,それぞれの環境が炭素 の貯蔵庫 としての役割 を担 っている12
)
。地球全体が保有す る炭素の量 は一
定であるので,大気中に気体 として存在す る炭素 (
二酸化炭素)の割合が増 えることが,地球温暖化の
最大 の原因 となるのである。地球大気中の二酸化炭素濃度が上昇す る主な理 由 として,化石燃料の大量
使用 (
石油換算で約 7
2
億 トン/午) と森林 の大規模伐採 (
約1
5
4
0
万- クタール/年)が挙 げられ る。 そし
て,大気中の二酸化炭素濃度 を安定 させ,地球温暖化の進行 を阻止す るには,発生量 の抑制 と吸収固定
量の増加 を図 るしかないO発生量の抑制 については,エネルギー節約やエネルギー効率 の向上 な どの使
用エネルギーの削減 と,燃料の転換,代替エネルギーの利用 な どによる発生量 の削減が試 み られている。
また,後述す るが,森林伐採 の抑制 も二酸化炭素発生量 の削減 と考 えられている。吸収固定量 の増加 に
ついては,炭素蓄積林 の育成 な どによる植物固定量の増加 と,化学的手法 による人為的固定量 の増加 に
ついて研究が進 め られている2)0
ここで は,発生量抑制 と吸収 固定量増加 の両者 に関わ る森林 の機能 について整理 してみ よう。地球上
の炭素循環か ら見た森林 の機能 は,①二酸化炭素の吸収固定,②貯蔵の二つに分 けられ る。
3
.2 二酸化炭素吸収体 と しての森林 1卜 22)
樹木 は,二酸化炭素が約 1
.
5
kg,水が約3
0
0
kg, 日射エネルギーが約 1
5.
7
kJあれ ば,光合成 によって,
約 1k
gの炭素化合物 (
ぶ どう糖)を生産す ることがで きる。 その際,副産物 として約 1k
gの酸素が空
気中に放 出 され,水のほ とん どは水蒸気 として空気中に放 出され る14)。ただ し,生産 された炭素化合物 の
一一1
1-
木材研究 ・資料
第3
4
号(
1
9
9
8
)
(
単位 :億 トン)
図 3 地球規模での炭素収支 (
桑原原図を一部改編)
約半分 は,樹木が生命活動 を維持 す るための呼吸 によって消費 (
二酸化炭素 として放 出) され るので,
7
5
kgと計算 され,これが幹 ,枝 ,根 な どになる。いずれ に
上記 によって固定 された二酸化炭素量 は約 0,
せ よ,樹木が生産 し,私たちが材料 として利用す る木材 とは,大気 中の二酸化炭素が,太陽エネルギー
でセル ロース, リグニ ンとい う形 に変化 した ものである。 いわ ば,"
樹木 とは二酸化炭素固定装置〝であ
0%,酸素 :4
4%,水素 :6%)なのであ る。
り,"木材 とは炭素 のかた ま り〟(
炭素 :木材 の乾燥重量 の約 5
樹木が固定 す る二酸化炭素量 は樹木 の生長量 か ら計算す ることがで きる。例 えば,地表部分 の直径 が
5
0
c
m で高 さが 1
5
m のスギが,一年間 に 5
mm の年輪 を形成 して相似形 で成長 した とす る。樹幹形状 を円
3
5として計算す る と,この樹 は,全乾重量 で1
8.
5kg肥大成長 した ことに
錐形 と仮定 して,全乾比重 を0.
7
kgの二酸化炭素 を吸収 した ことを意味 す る19)0
な り, これ は,一本 のスギが,一年間 に3
二酸化炭素 の吸収能力 (
成長速度) は,森林生態系や それ を構成 す る樹種 によって も異 な り,熱帯多
9
0,温 帯常緑樹林 で5
8
5,亜寒帯林 で3
6
0トン/(
km2・
年)程度 である。 また,二酸化炭素吸収能力
雨林 で9
1
で述べ る。
は,林齢 によって も異 な るが, これ については4.
5
0
0
万ヘ クタールで,この森林 が 1年間 に固
日本 は,国土 の約 3分 の 2が森林 であ り,その面積 は約 2,
4
0
0
万 トン と概算 されてい る。地球全体 で考 える と,地球上 には約 5
0
億 ヘ クタール
定 す る炭素 の量 は約 5,
2
8
億 トンである と推定 され,これ を二酸化炭素 に
の森林 が あ り,それが固定 す る炭素量 は, 1年間 に約 3
2
0
3
億 トンとなる。
換算 す る と,約 1
3.3 二酸化炭素貯蔵庫 と しての森林 15
25)
もう一 つの森林 の機能 は,炭素の貯蔵庫 としての役割 である。
0
c
m,高 さ :1
5
m,樹幹形状 :円錐形,全乾比重 :0・
3
5
)の樹幹 の容積 は約
前述 のスギ (
地表直径 :5
1
m3であ り,このスギの全乾重量 は3
5
0
kgとなる。全乾重量 の約半分が炭素 なので,この一本 のスギにつ
- 1
2-
井上 :地球環境 と木材利用
いてみて も,1
75
kgもの炭素が貯蔵 されていることになる19)。
表 3 地球上の森林 の炭素収支概算 16)
二酸化炭素吸収体 としての森林
6
5
6
億 トン/年
光合成 による吸収炭素量
-3
2
8
億 トン/年
呼吸 による放 出炭素量
3
2
8
億 トン/年
実質吸収炭素量
二酸化炭素貯蔵庫 としての森林
1
6,
5
0
0
億 トン(
地球全体 の9
0%)
7,
3
5
0
億 トン(
乾燥重量 の4
/
9
)
植物現存量 (
乾燥重量)
その貯蔵炭素量
7,
3
5
0
億 トン(
上記 とほぼ等量)
土壌 中の貯蔵炭素量
1
4,
7
0
0
億 トン(
大気 中の炭素 の約 2倍、
化石炭素の約 1/
7
)
貯蔵炭素量合計
二酸化炭素放 出源 としての森林
-3
2
8
億 トン/午
分解 による放 出炭素量
伐採、燃焼 な どによる放 出炭素量
-3
0
億 トン/午 (
化石燃料起源の約 1
/
2
)
全地球上の森林 についてみると,表 4に示す ように,
表 4 代表的森林の貯蔵炭素量 (トン/
ha)
20)
植物 内
温帯常緑林
温帯落葉林
北方針葉樹林
合計
1
5
3 9
8 9
2 6
4 1
1
1 3
1
熱帯季節林
5 7
3 7
6 5
1 0
0
2
2
1 1
1 1
熱帯多雨林
森林土壌 内
植物現存量 は,地球全体 の植物量の約9
0%である約 1兆
65
0
0
億 トンと推定 されている。 これ を炭素換算す ると,
森林植物が貯蔵す る炭素の量 は約 7
35
0
億 トンと計算 され
る1
5
)
。さらに,森林土壌 には,枯死体 としての有機炭素が
多量 に含 まれている。 この量 は,表 3に示す ように,気
候や森林 の種類 によって大 き く異 なる2
0
)
。気温が低 い亜
寒帯では,枯死体 の分解が遅 いため土壌 中の貯蔵量が多
8
2
5
81
0
く,現存量 の約 1.
5
倍で ある。一万,分解 の早 い熱帯 で
は,貯蔵量が少な く,現存量の0.
5
倍 ほ どである (
表4
)
。
地球上全体では,植物 内 と土壌 中に含 まれ る炭素量 は,
ほぼ同 じであると考 えられ るので,森林全体 に貯蔵 されている炭素の合計 は, 1兆4
7
00
億 トンと概算で
きる。これは,石油や石炭 として地下 に埋蔵 されている炭素量の約 1
/
7
,大気中に二酸化炭素 として保有
されている炭素量 (
約7
2
0
0
億 トン)の約 2倍 に当た る1
5
)
。 もし,地球上の森林の半分 を燃やせ ば,即座 に
倍 になるのである。
大気中の二酸化炭素濃度 は2
3.4 森林伐採が放 出す る二酸化炭素
現在の森林面積 の消失速度 は,1
54
0万- クタール/年 と推定 されている。これは 1分間 に約30ヘ クター
ル もの森林が消失 している計算 になる15)。伐採 されて も,す ぐに炭素が放 出され るわ けではないが,いず
れは燃 えるか分解 され ることによって,植物中あるいは森林土壌 中に貯蔵 されていた炭素 は,二酸化炭
素 として大気中に放出 され る。森林破壊 によって,大気中に放出され る炭素量 は,平均的な熱帯林 の植
物現存量か ら推定すれば,年間約 3
0
億 トンと概算 され る。これ は,化石燃料の燃焼 による炭素放 出量 (
約
6
0
億 トン/年)の約半分 に当た る膨大 な量である。少 な くとも現状 の森林消失 は,膨大 な量の二酸化炭素
を大気中に放 出 している。 また,最近では,森林破壊 による森林土壌か らのメタンガスの大量放出 も指
摘 されている2)0
森林 を伐採す る とい うことは,炭素吸収源 を減少 させ るばか りでな く,時間的な遅れはあるが,結果
的には,蓄積 されていた炭素 を燃焼,腐朽 によって大気中に放 出す ることになる。 この ことだけを見れ
- 1
3-
木材研究 ・資料
第3
4
号(
1
9
9
8
)
ば,森林伐採 は,地球環境 に対 し,二重 の罪 を犯 す ことにな る。 ここで,木材利用 -森林伐採 -環境破
壊 とい う短絡的 な考 えが成立 し,非木質系業界 は, これ を楯 に木材利用 を否定 しているのである。 また,
彼 らの誤 った認識 に基 づ く誇大広告 によって,木材関連業者 を含 め,一般消費者 もこの短絡的 な図式 に
肯 いてい るようである。
表 5 熱帯諸国における1
9
8
0
年代の森林破壊の要因2
8
)
要
因
ブ ラジル
牧場
定住農業
他
工業
発電施設
他
0
探鉱
69
04
52
431
84112
移動農業
全世界
00
09
038
1 0 0 0
日
H7
農業
99
09
81 0 01
5032
29
11
50
27222
443
林業
イ ン ドネ シア カ メル ー ン
(
単位 :%)
3.5 森林伐採の理 由28
29)
確 か に,木材 を利用 しようとす るな らば樹木 を伐採 しなけれ ばな らない。 しか し,1
5
4
0
万ヘ クタール
5
4
0
万ヘ クター
もの森林 が消失 しているの は用材利用 のためだ けで はない。実 は,毎年,消失 してい る1
ルの森林 のほ とん どは,農地化 や都市化 による土地利用 の改変 なのである。統計的 には,用材伐 出のた
9
8
0
年代 の森林破壊 の要因 を
めに伐採 され る森林 は, ほんのわずかである。表 5に,熱帯諸国 にお ける1
示すが,熱帯雨林 の破壊 と林業 との相関 は極 めて低 い ことが分 か る。全世界 で は,森林破壊 の9
0%が農
% は他 の工業 に起因 し,林業 による ものはわずか に 6%である1
6
)
。1
9
8
0年代, 日本 は,東南 アジ
業 に,4
ア諸 国 にお ける森林破壊 の元凶であ るか ように非難 されたが, イ ン ドネ シアについて見 て も,用材伐 出
のための森林伐採 は 1割 に満 たな い
。
28)
森林破壊 の中で,地球 の炭素循環 に最 も悪影響 を与 えてい るの は,熱帯域 の農地化 である と考 え られ
てい る。農業 目的で伐採 され る森林 の約半分 は移動農業, いわ ゆる焼 き畑農業 による森林 の農地化 であ
る。農地 開発 で は,伐採 された樹木 は, その場 で焼 かれ るため,貯蔵 されていた炭素 はす ぐに二酸化炭
素 に戻 る。 また,開発 された農地 は,数年で生産力が低下 し, その後 は放棄 され ることになる。
4% (
1
8.
7
億 m3/午 ,1
9
9
2
年)
さらに, もう一 つ注 目 してお くべ きことは,世界 の木材使用量 の内,約 5
%, フィ
が燃料用 として利用 されている ことである。 その割合 は,熱帯域 の国々で特 に高 く, イ ン ド91
1
%, イ ン ドネ シア7
9%, ブラジル71
% と,高 い割合 で,森林 が燃料用 として消失 してい る16)0
リピン9
わずかな量 であって も,無秩序 に使 って も良 い とい うことで はないが,地球環境 に多大 な影響 を与 え
てい る熱帯雨林 な どの森林 消失 のすべてが木材生産 のためだ けで はない ことを承知 いただ きたい。環境
保護 のための森林保護 であるな らば,他 に考 えるべ きことの方が大 きい ようである。
次 に,木材利 用が地球環境保全 に果 たす積極的 な役割 について紹介 しよう。
4
. 地球 環境 に貢 献 す る木材利用 3ト 43)
4.1 森林 も若 い頃の方が よ く育つ
樹木が光合成 によって生産 した有機物 の総量 を総生産 とい うが, その一部 は,樹木 自体 の生命維持 の
- 1
4-
井上 :地球環境 と木材利用
0
1
[
(
廿
5
00
3
5
2
○
′
∴`
丁T.
T.
0
2
総生産量
●
;呼 吸消費量 ;
:
.
5
1
0
1
mW i
l
:.
-
∴o'∴
存量の増加量
5
Q
Dm-別姓野OT招 mI酬他州匝廿
・t
2L
1)Ju O l] 呂聖
純 生産量
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
林齢 (年)
図 4 森林の物質生産量 と各部位への分配
(
大畠らの解釈 を基に,Mol
l
e
r
,C.M.
らのデータを再プロッ ト)
ために,呼吸 として消費 され る。残 った有機物が,樹体 の形成,翌年の成長のための蓄積物 とな り, こ
れが純生産 と呼 ばれ る。 さらに,純生産量の一部 は,樹体 の枯死 (
落葉落枝,根の枯死,幹 の枯損)や
動物 の摂食 によって消費 され るので,これ らを差 し引いた分が現存量 として森林 内に蓄積 され る2
0
)
。図 4
に,森林 の物質生産量 と各部分への分配 を示す。本図 は,ヨーロッパ ブナ林で測定 されたデータ (
Mol
l
e
r
,
C.M.
,1
954) を,大畠 ら2
3
・
2
5
)
の解釈 に従 いプロッ トし直 した ものである。若 い森林では,総生産量,純
生産量 は林齢 とともに増加す る。 しか し,30年以降 になると,生産 の担 い手である葉量が最大 となるた
め,両者 ともに最大値 を とる。熱帯 における早生造林樹種 では, お よそ1
0
年 目で純生産が最大 となるこ
とが報告 されている2
6
)
。 日本の森林 において も,物質生産 の最大点が比較的若 い森林 (
1
0-30年)で現れ
ることが確認 されている21,24)。純生産量 は,最大値 を とった後,若干降伏す るが, その後 は平衡 とな り,
ほぼ同量で増 え続 ける。 しか し,生産 された物質がすべて蓄積 され るわ けではない。若 い森林であって
ち,純生産の一部 は枯死や動物摂食 によって消費 され るが,純生産量が枯死量 を上回 るので,現存量 (
蓄
積量) は次第 に増加す る。林齢が経過す ると,枯死量が増加 し,純生産 は林木の枯死 を埋 め合わせ,回
復 させ るだけになる。 これ に従 って,現存量の増加 は小 さ くな り,現存量 は上限に達 しやがて一定 とな
る。すなわち,純生産が維持 して も,現存量 の増加 はな くなるのである2
3
)
0
この ような森林では,人間が樹木 を伐採 して木材 を利用 しない限 り,生産 された物質のほ とん どが枯
死量 とな り,動物や菌類 の生産,分解 に利用 され ることになる。 この段階の森林では,固定す る二酸化
炭素 と放出す る二酸化炭素の量 の収支がゼロになる。すなわち,成熟 した森林 では実質的な二酸化炭素
吸収能力 はな くなるのである。
従 って,樹木 はある程度成長す る と計画的 に伐採 し,材料 として木材 を利用 し, その替わ りに若 い苗
木 を植 える方が,結果 として炭素の吸収固定量が多 くなるのである。計画的な木材利用 は,森林 を破壊
- 1
5-
木材研究 ・資料
第3
4
号(
1
9
9
8
)
す る ものではな く, む しろ,地球上 の炭素循環 においては,環境保全 にプラスの効果が ある。伐採 され
た樹木 も,木材 として利用 されてい る間 は,製品中に炭素が保管
(
4.
3
参照)されている ことを考慮 す る
と,「
成長 した樹木 は伐 って木材 として使 う。すなわ ち木材製品 として炭素 を保管 す る。そ して伐 った後
に必 ず新 しい苗木 を植 える。」 こ とが,積極 的 に大 気 中の二 酸化 炭 素 を減 少 させ る こ とにな るので あ
る35)。
だか らといって,天然林 か ら大径 の木材 をい くらで も伐採 して も良 い と言 うわ けで はない。二酸化炭
素 を固定 し,木材 を提供 す るだ けが森林 の機能 で はない。森林 には,水資源,土資源,生物多様性 な ど
の保全,防災,水質,汚染物質 の浄化 な どの様 々 な機能が ある。人工造林 であって も, これ らの機能 を
担 っているのであるか ら, 自然の恵 みであ る木材 を利用す る場合, これ らの ことを忘れてはいけない。
4.2 炭素放 出量の少 ない木材加工
高度 に発達 した社会生活 を営 む上 で,私 たちはさまざまな物 を作 る。 また, そのための材料が必要 と
なる。家 を建 て るに して も,机 や窓枠 を作 るに して も,必 ず そのための材料 が必要 となる。 そ して, そ
れ らの材料 を調製 す るために火力や電力 な どのエネルギーが消費 され る。 エネルギーの大半 は化石燃料
の燃焼 によって得 られ るが,その際,大量 の二酸化炭素が大気 中 に放 出 され る。石油換算で5
0
MJのエネ
ルギー を消費 す る毎 に,約 1
kgの炭素が放 出 され る計算 になる3
4
)
。電力 としてエネルギー を利 用す るの
であれ ば,火力発電 の熱効率が 3割程度 なので,化石燃料 に換算す る と約 3倍 の燃焼 エネルギーが必要
にな り, その分 の炭素が大気 中 に放 出 され る。 これ らを基 に,各種材料製造時 に消費 され るエネルギー
と放 出炭素量 が,A.
H.Bu
c
ha
na
nらに よって試算 されている33) (
表6
)
。1
m3の木材 を製造 す るために,
天然乾燥 で は,約 1
5kgの炭素 を放 出す るが,人工乾燥 す る と加熱 のためのエネルギーが必要 とな るため
約 2倍 の炭素が放 出 され る。合板 で は,単板切 削,乾燥,加熱圧縮 な どの行程が増 え,接着剤 も必要 と
20kg(
素材 の約 8倍)もの炭素が放 出 され る ことになる。パ ーテ ィクル ボー ドも2
00kg と意
な るので,1
300kg,22
000kg と桁違 いに
外 に多 くの炭素が放 出 され る。一方,鋼材 や アル ミニ ウムで は,それ ぞれ 5
多 い ことが分か る。 ただ し,鋼材や アル ミニ ウムで も, リサイクル によって製造 され る場合, これ らの
試算 よ り炭素放 出量 は少 な くなる と考 え られ る。
表 6 各種材料製造時 における消費エネルギー と炭素放出量
消費エネルギー
(
MJ
/kg) (
kg/
m3)
1.
5
2.
8
3.
1
1
2
2
0
3
5
4
3
5
2.
0
(
MJ
/トン) (
kg/
m3)
7
5
0
3
0
1,
3
9
0
5
6
1,
5
4
0
6
2
6,
0
0
0
2
1
8
1
0,
0
0
0
3
0
8
2
6
6,
0
0
0
7
0
0
上1
0
0,
0
0
0 8,
7
0
0
4,
8
0
0
5
0
1
5
2
8
3
1
1
2
0
2
0
0
5,
3
2
0
2
2,
0
0
0
1
2
0
製品中の炭素貯蔵量 ±放出炭素量
(
kg/m3) (
炭素含有率) (
kg/m3)
2
5
0(
5
0
%)
2
5
0(
5
0
%)
2
5
0(
5
0
%)
2
4
8(
4
5
%)
2
6
0(
4
0
%)
0(
0
%)
0(
0
%)
0(
0
%)
5598 0 0 0
3
3
1
2
6
2
00
2
2 2 2 1 一っ
バ 0ー1
一 ︻ 一 ︻
5 2
2
天然乾燥製材(
比重 :0.
5
0
)
人口車
乞
燥製材 (
0.
5
0
)
防腐処理木材 (
0.
5
0
)
合板 (
0.
5
5
)
パーティクリボー ド(
0.
6
5
)
鋼材 (
7,
6
)
アルミニウム(
2.
5
3
)
コンクリー ト(
2.
4
0
)
炭素放出量
これ らの材料 を用 いて,延べ床面積 が 1
36
m2の平均的 な住宅 を建築 す る場合 の主要構成材料 の炭素放
出量 を比較 す る と,木造住宅 で は,一戸 あた り51
4
0kgの炭素 を放 出す るのに対 し,鉄筋 コンク リー ト造
81
4kg (
木造 の4.
24
倍),鉄骨 プレハ ブ造住宅 で は1
4,
7
4
3kg (
木造 の2.
87
倍) もの炭素 を放 出
住宅 で は21
す ることになる3
6
)
。木造住宅が, いか に地球 に優 しい住宅 であ るかが分か る。
さらに,工業生産 の過程 で は, エネルギー消費 によって放 出 され る二酸化炭素以外 に も,地球環境 に
- 1
6-
井上 :地球環境 と木材利用
Pi
ne)
, プラスチ ック (
HDPE),鉄鋼 (
St
e
e
l
)
おいて負荷 となる物質が放出 され る。北村 ら4
4
)
は,木材 (
の 3種類 の素材 を用いて,50kN の引張力 に耐 えうる長 さ 1m の柱材 を製造す ることを想定 し,その際に
排出され る環境負荷物質 とその排出量 を LCA 手法 を用いて計算 している。その結果 を表 7に示すが,秩
鋼, プラスチ ックに比べ,木材加工 において,各環境負荷 の原因物質の排出が極 めて少ない ことが読み
とれ る。
いずれにせ よ,「
環境保護 のため,木材 の使用 を最低限 に抑 え・
--」な どの広告文句 には,疑問 を感 じ
ざるをえない。
表 7 50kN の引張力 を持つ柱材 を製造する際に排出される環境負荷原因物質 とその排出量4
4
)
単位 ・代表物質
木
材
プラスチ ック
鉄
鋼
kg/
m3
N/
mm2
5
3
0
5
6
9
6
0
3
3
7
8
0
0
5
0
0
必 要断面積
m 2
8
9
3
/1
06
1
51
5×1
0
6
1
0
0×1
0
6
柱の重量
kg
0.
4
7
1.
4
5
0.
7
8
kg・COS
1.
9
7×1
01
2.
4
6
0 .0
8.
9×1
09
密度
引張強 さ
温暖化
0.
81
4
kg・CFCll
1.
6
8×1
03
酸性化
kg・Sod
2.
1
1×1
0ー3
6.
5
7×1
03
3.
9
6×1
03
富栄養化
kg・poヰ
1.
1
5×1
04
5.
6
5×1
04
2.
4
2×1
04
kg・Pb
5.
3
4×1
0
オ ゾン層破壊
0 .0
4.
1
8×1
07
kg・B(
a)
P
3.
7
6×1
08
1.
6
6×1
0 10
4.
6
0×1
07
煤塵
kg・SPM
1.
5
7×1
03
3.
8
0×1
0
3
3.
5
7×1
03
光化学 スモ ッグ
kg・C2H4
1.
4
5×1
04
5.
4
3×1
0
3
9.
3
2×1
03
kg・Sol
i
d
1.
3
4×1
01
0.
0
0.
5
3
3
重金属
発 ガ ン性
固形廃棄物
7
4.3 炭素 を貯蔵 す る木材製品
アル ミニ ウムや鉄 な どの材料 は,製造時 に大量の炭素 を放出す るだけでな く,で きあが った製品の中
に炭素 をまった く含んでいない。 それに対 し,木材 は,製造時の炭素放 出量が少ないばか りでな く,木
材 として存在す る期間,すなわち,燃 えた り,腐 った りす るまでの間 は,固体 として固定 された炭素 を
保管 し続 ける。 いわば,木造住宅や木材製品 は,炭素の保管庫 としての役割 を担 っているのである。表
6中に,各種材料で製造 された製品中の炭素貯蔵量 を示す。アル ミニ ウムは,製造時 に22000kg/m3の炭
素 を放出す るが,製品中には全 く炭素が含 まれていないため,アル ミニウム利用 による炭素放出は,正
味 22000kg/m3となる。一方,木材の場合,天然乾燥材 についてみれば,製造時 に15kg/m3の炭素 を放出
す るが,製品中には250kg/m3の炭素が貯蔵 されているため,正味 -235kg/m3の炭素放出 と考 えることが
で きる。「
樹が伐 られた後 には, また樹が植 えられ,生育す る過程で二酸化炭素 を吸収す る」と仮定すれ
ば,木材利用 はマイナスの炭素放出なのである。
地球上 の炭素循環 における森林 の機能 は,炭素の吸収源 と貯蔵であるが,成熟 した森林 については,
もはや炭素の吸収能力がな く,貯蔵庫 としての働 きしか果たさない。樹木 は,伐採 され ると同時 に炭素
を吸収固定す る能力 を失 うが,木材 として利用 されている間 は,貯蔵庫 としての働 きを維持す る。従 っ
て,木造住宅や木製品 は,成熟 した森林 と同 じ機能 を持つ ことになる。 これ らの観点か ら,有馬 は,木
造住宅群 を 「
都市の森林」 と位置づ け,木材製品の環境保全 に対す る有意性 を評価 している。
岡崎 ら36)の試算 によると,1
99
3年の我が国の全住宅 に使用 されている木材量か ら計算 され る炭素貯蔵
量 は約 1億 4000万 トンであ り, これは,我が国の全森林 に貯蔵 されている炭素量 (7億 8000万 トン)の
7kg/m2で あ るた
約 18% に も及ぶ。木造住宅 と非木造住宅 が貯蔵 す る炭素量 は, それぞれ43kg/m2,8.
- 17-
木材研究 ・資料
第3
4
号(
1
9
9
8)
め,我が国の全住宅が貯蔵 す る炭素量 の内訳 は,木造住宅が 1億 2
8
5
9
万 トン,非木造住宅 が 1
2
3
4
万 トン
とな る。木造住宅 が全体 の 9割以上 を担 っている ことにな り,炭素貯蔵庫 としての木造住宅 の価値 が評
価 され る。
木材製品中に貯蔵 されてい る炭素 も,使 用期 間が終了す る と,やがて は消却 (
焼却,分解) され,同
時 に二酸化炭素 を放 出す る。 しか し,木材 を消却 す る量が森林 の生長量 を上 回 らなけれ ば,大気 中の二
酸化炭素 の量 は,木材 の利用 によって積極的 に減少 させ ることがで きる。他 の建築材料 は,使用すれ ば
必 ず大気 中の二酸化炭素 を増加 させ るのに対 し,木材資源 は使用 しなが ら大気 中の二酸化炭素 を減 らす
可能性 を持 つ唯一 の資源 なのである。
4.4 材料変換 によ る地球環境 への貢献
近年 の金属加工 や石油化学 の発達 に伴 って,従来,木製 であった部材 の多 くが,他 の工業製品 に代替
されている。木造住宅 であって も, アル ミサ ッシや その他多 くのプラスチ ック製品が使 われてい る。 サ
ッシについて比較 す る と,表 8に示す ように,木製 サ ッシ (
2.
8kg/
m2) 製造時 の炭素放 出量 は, アル ミ
9
7
kg/
m2) のそれの約 3
5
分 の 1であ り, それだ け地球環境 に与 える負荷 が少 ない と言 える。 さ ら
サ ッシ (
5.
6
kg/
m2) されているが, アル ミサ ッシ中には炭素が全 く貯蔵 され
に,木製 サ ッシ中には炭素が貯蔵 (
ていない。 これ を加味す る と, アル ミサ ッシを木製 で代替 す る ことによって,窓枠 1平 方メー トル あた
り約 1
0
0
kgもの炭素放 出 を減少 で きることにな る。従 って,プラスチ ックや金属製 によって代替 された部
材 を,再 び木材製品 に置 き換 えることがで きれ ば,炭素放 出量 を減少す ることがで きる。 また, これ に
伴 い,廃棄物 も減少す ることが可能 とな るだ ろう。
表 8 アル ミサ ッシと木製サ ッシの製造エネルギー と炭素放出量3
5
)
アルミサッシ
木製サッシ
日
2
1
7
3. 5
3
k
g)
サッシ全重量 (
単位製造エネルギー(
MJ
/
k
g)
全製造エネルギー(
MJ
)
炭素放出量 (
k
g)
製品中の炭素貯蔵量 (
k
g)
木材代替 による炭素放 出量 の軽減 (
k
g/
k
g)
8.9
99 8
±放出炭素量 (
k
g)
炭素放出量の差 (
k
g)
現在,木材製 品が利用 されている部材 において も, さらに他材料 によって置 き換 え られ ようとしてい
る。例 えば,材料 の信頼性 とコス トによって,一部 の工業化住宅 で は,床組仕様 が木製 か ら鋼製 へ と替
27
m2のモデル住宅 を例 に試算す る と,木製床組 で は,土台,大引 き,根太 な
え られつつあ る。床面積 が 1
01
m3の防腐処理木材が使用 されてい る。これが鋼製 に置 き換 え られ る と,0.
0
4
m3の鋼材
どが あわせ て1.
が使用 され る ことになる。表 6のデータを利用 して一戸 あた りの炭素放 出量 を計算す る と,木製仕様 が
31
kg,鋼製仕様 が21
3
kgとな る。木製仕様 の場合,炭素貯蔵量 が一戸 あた り2
5
3
kgと計算 され るので,
2
2
kgとな り,鋼製 との差 は4
3
5
kgと計算 され る。一戸 の住宅 が木製 か ら鋼製 に代
正味の炭素放 出量 は -2
4
3
5
kgもの炭素が余分 に放 出 され る ことにな る。これ を全着工件数 に換算す る と一年間
替 され るだ けで;
に4
1
万 トンもの炭素が現在 よ りも多 く放 出 され る計算 になる。 これ は,我が国 に約 1
0
万台の乗 用車が増
PCC予測 に基ず く地球温暖化 への貢献度 0.
01
% に相 当す る。
えた ことに等 し く,I
- 1
8-
井上 :地球環境 と木材利用
表9
1棟あた りの床組製造時の製造エネルギー と炭素放出量 (1階床面積 1
27m2)
鋼鉄仕様
0.
0
4
1.
01
2
6
6,
0
0
0
1,
5
4
0
1
0,
6
4
0
1,
5
5
5
床組全村積 (
m3)
単位製造エネルギー(
MJ/m3)
全製造エネルギー(
MJ)
木製仕用
炭素放 出量 (
kg)
21
3
31
炭素貯蔵量 (
kg)
0
2
5
3
21
3
-2
2
2
正味炭素放 出量 (
kg)
4
3
5
kg
炭素放 出量 の差
1
5
9
5
kg
二酸化炭素換算
1
2.
6
kg
41
万 トン
床面積 あた り二酸化炭素放 出量
全着工件数 に換算 (
1
9
9
7
年)
4
.5 持続可能 な木質資源
石油,石炭,鉄鉱石 な どの埋蔵資源 は,掘 り出 して使 って しまえば,いつかは底 をつ く。 ところが,
木質資源 (
木材,竹材) は,伐採 して使 って も, その後 に新 しい苗木 を植 えておけば, 30- 50年で, ま
た材料やエネルギー源 として使 えるように成長 して くれ る。使 う木材 の量が成長す る樹木 の量 を越 えな
い限 り,すなわち,一度伐採 した樹木 (
木材) を リサイクル を繰 り返 し,樹木の生長期間利用す ること
がで きれば,木材 は,永久 に持続可能 な資源 として利用で きるのである。これに関 し,大熊 37
)
は,木材 の
生産 と利用過程 における炭素 ス トックの変化 について,興味深いモデル を提供 しているので図 5に紹介
す る。
炭素の総 ス トック量
0
5
L
]l
0
5
G r・⊥ Y腫臓
0
0
r
l
(t
2u Jl)
樹木 による炭
J
素 固定
住 宅千
建設
0
十
植林1
25
50
十
植林2
家具
75
100
十
植 林3
125
150
十
175
200
年
植林 4
図 5 造林伐期50年,住宅使用33年,家具使用を17年 とした場合の炭素ス トックの
持続性 (
大熊原図を一部改編)
林地 に植林 された樹木 は,大気中の二酸化炭素 を吸収固定 して現存量 を増加 (
成長) してい く。ただ
- 19-
木材研究 ・資料
第3
4
号(
1
9
9
8
)
し,植林時 に もエネルギーが必要 なので,炭素 ス トックはマイナスか ら始 まる。一定期間経過後,成長
した造林木 は伐採 され,木材 として住宅 な どの部材 に利用 され る。 この時,歩留 ま りによって一部が廃
棄 され, これ らは焼却,分解 され るので,一部 の炭素が放出 され る。 また,伐採,輸送,製材, その他
の加工 に要す るエネルギー消費 によって炭素が放出 され るため,炭素 ス トックは減少す る。 しか し,木
材製品中には,炭素がス トックされた ままの状態である。何年か後 に, この住宅 は解体 され る。解体材
の一部 はチ ップ化 されてパーテ ィクルボー ドな どの木質材料 に再加工 され,家具 な どに リサイクル利用
され る。 この時 に も,一部 の廃棄 とエネルギー消費 によって炭素 は放 出 され るが,家具材 としてさらに
炭素 をス トックす ることになる。一定期間使用後, これ らは解体 され廃棄 され るが, この時点で,樹木
が生育期間中に蓄積 した炭素 はすべて大気 中に戻 ることになる。第 1回目の伐採 と同時 に第 2回目の植
林 を行 えば, この樹木の生長 による炭素 ス トック と住宅や家具材 としてス トックされ る分 を合わせた総
炭素 ス トックは極 めて高いレベル を保 つ ことがで きる。 このモデルは,樹木 の生長期間 を50年,木材が
完全 に廃棄 され るまでの期間 を50年 としているので,長期的 に見た炭素ス トック量 は一定である。 しか
し,樹木 の生長期間が短縮 され るか,木材製品の高耐久化技術, リサイクル技術 によって製品の使用期
間が長期化す ることによ り,大気 中の二酸化炭素の量 を減少 させ ることがで きる。すなわち,木材の加
工エネルギー と消却量が森林 の生長量 を上 回 らない ように工夫すれば,木材利用の促進 によって,積極
的 に地球温暖化 を防止す ることがで きるのである。
4. お わ
り
に
木材 は,持続的 に再生産が可能 な資源であ り,他材料 に比べ,加工 に要す るエネルギ一
一が少 な く, そ
れに伴 って排 出され る二酸化炭素の量 も少 ない。 また, その他の環境負荷原因物質の排 出 も極 めて少 な
い。 さらに,木材製品中には大量 の炭素が保管 されてお り,廃棄す る段階 において もバ イオマス燃料 と
して利用す ることが可能である。以上の観点か ら,森林 の炭素吸収機能,炭素貯蔵機能 を損 なわない範
囲であれば,積極的に木材 を利用す ることこそが地球環境保全 の切 り札 となることが確認 された。
我々,木材 に関わ る者 に とっては,樹木 の伐採が環境破壊 につなが るとい う短絡的な考 えを持 つ方々
に対 し, これ らの ことを辛抱強 く説得す る必要がある。 また,木材 の用途拡大,利用促進 のため,高機
能性木質系材料 の開発 において も,一層の努力が求 め られているのであろう。
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chi
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chi
t
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eToday,2,3
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i
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er
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- 21-