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パワーエレクトロニクス工学論
9.共振型スイッチング電源
9-1 各種共振型スイッチング方式
9-2 ZVS-PWM制御スイッチング電源
A) 降圧形ZVS-PWM電源
B) 昇圧形ZVS-PWM電源
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9-1
9.1 各種共振型スイッチング方式
(1)ソフトスイッチングの概要
●特徴
*メリット :スイッチング損失の低減・・・効率の向上
*デメリット:回路の複雑化(共振用LCの追加等)
●動作
*出力電圧・電流を共振・・・正弦波波形(ノイズ小さい)
*共振の V=0 (あるいは I =0)で スイッチを切換え
⇒ スイッチの損失がない
ZVS : Zero Voltage Switching
ZCS : Zero Current Switching
● 種類(多数の方式あり)
*電流共振/電圧共振/複共振
*直列共振/並列共振
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9-2
(2) ソフト・スイッチングの基本回路
●電流共振スイッチ と電圧共振スイッチ
*スイッチング電源に対して、共振素子(Lr,Cr,Dr)を追加
*電流(電圧)共振時、電圧(電流)は通常のスイッチング
*コンデンサの挿入位置の相違
*電流(電圧)=0 の期間にスイッチ切換え・・・スイッチ期間は限定
Lr
S
負荷電流源
Dr
VA
S
Ic
D
Cr
Ic
ON
OFF
S
iS
Vc
VS
iS
(A) 電流共振スイッチ(半波形)
Cr
Dr
P
S
Lr D
Vc
OFF
VAP
ON
(B) 電圧共振スイッチ(全波形)
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9-3
(参考1) 電流共振スイッチとコンバータ構成
●動作:・共振周波数は固定:SW周波数を可変して出力電圧制御
・半波形/全波形:半周期/一周期の電流をD で制限
A S
Lr
C
A
S
Lr
L
C
Vo
Ic
VAP
(A) 半波形
A
S
Lr
Vi
D
Cr
P
Cr
D
C
P
(A) 降圧形コンバータ(半波形)
C
L
C
D
P Vo
Ic
VAP
D
Cr
(B) 全波形
R
P
電流共振スイッチ(降圧形電源)
Vi
Lr
S
Cr
C
R
A
(B) 昇圧形コンバータ(全波形)
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9-4
(参考2) 電圧共振スイッチとコンバータ構成
*半波形/全波形:半周期/一周期の電圧供給を、Diで制限
S
A
P
C
Vi
Cr
D
L
Lr D
S
Cr
(B) 全波形
VAP
A
電圧共振スイッチ(昇圧形電源)
C
R
P
(A) 降圧形コンバータ
P
C
Lr
Cr
VAP
A
(A) 半波形
Ic
Vo
Lr D
S
Ic
L
C
C
P Vo
Lr D
Vi
S
Cr
C
R
A
(B) 昇圧形コンバータ
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9-5
9.2 ZVS-PWM制御スイッチング電源
(1)降圧形ZVS-PWM制御電源
●構成
*共振コンデンサ1個のみ追加
*Vc=Vinで SW = ON
⇒ スイッチング損失 =0
●特徴
*コイルに双方向電流
LC共振⇒Vc を立上げる
*制御周波数(周期)
・SWーOFF時間:共振条件
・SW-ON 時間 :制御条件
Vc
Vin
Vo
PWM
IL
Vc
Vds
M1
M2
M3
M4 M5
ZVS-PWM制御スイッチ電源の構成と動作
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9-6
● 動作説明
*モード1: t 0~t 1
・PWM信号=OFF ⇒ SW=OFF
・IL 順方向電流により、
共振Crの電荷は放出
⇒ Vc 低下
Vc(t)=Vin-(Io/Cr)・t (9-1)
・短時間で Vc=0V
T1≒Vin・Cr/Io
(9-2)
Vc
Vin
Vo
PWM
IL
Vc
Vds
M1
M2
M3
M4 M5
ZVS-PWM制御スイッチ電源の構成と動作
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9-7
*モード2: t 1~t 2
・Vc = 0 V ⇒ Di = ON
・IL は次式により、直線的に減少
IL(t) = Ioー(Vo/L)・t (9-3)
・短時間で IL =0 A
T2 = Io・L/Vo
(9-4)
Vc
Vin
Vo
PWM
IL
Vc
Vds
M1
M2
M3
M4 M5
ZVS-PWM制御スイッチ電源の構成と動作
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9-8
*モード3: t 2~t 3
・IL = 0 A ⇒ コイル電流は反転(反転電流)
⇒ D1=OFF より LC共振 (Co=電源)
⇒ Cr は充電を開始し、Vc上昇
Vin
Vc= 宿題
(9-5)
・Vc は上昇し、遂には Vc=Vin
T3= 宿題
(9-6)
Vc
Vo
PWM
IL
Vc
Vds
M1
M2
M3
M4 M5
ZVS-PWM制御スイッチ電源の構成と動作
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9-9
*モード4: t 3~t 0
・Vc = Vin ⇒ ボディ・ダイオード D2=ON
Vc = Vin をコンパレータで検出
・PWM =“H”により、SW = ON
Vin
⇒ Vin の供給により、
IL の微小反転電流は
すぐに順方向に流れる
IL (t) ≒ t・(VinーVo)/L (9-7)
・Vo は徐々に上昇し、
遂には Vo = Vr に達する
PWM
⊿Vo(t) = (1/C)∫IL・dt
IL
= (Vin-Vo)/2LCo・t2 (9-8)
・ Vo = Vr を検出し、PWM =“L”
Vc
Vc
Vo
Vds
・モード1 に戻る
M1
M2
M3
M4 M5
ZVS-PWM制御スイッチ電源の構成と動作
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9-10
● シミュレーション結果
*回路構成:
・出力誤差電圧とSAW信号を比較 ⇒ セット信号S を発生
・Vc=Vin により、リセット信号R を発生
⇒ FF出力 = PWM信号
So
PWM
Vc
SAW
PWM
R
S
ZVS-PWM制御電源のシミュレーション回路
主要波形
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9-11
● シミュレーション結果(動作波形)
*シミュレーション波形:
・共振コンデンサCrの値により
モード1の時間を制御可能
・コイル値Lの値により
モード2の時間を制御可能
PWM
IL
Vc
Vds
Vgs=ON
Vds
モード2
Vc
0A
ZVS-PWM制御電源のシミュレーション結果
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9-12
●シミュレーション結果(出力リプル)
条件:
結果:
Vi=10V,Vout=6.0V
定常リプル
Io=0.6A/1.2A, L=10uH,
過渡応答
Cr=10nF, C=1000uF
Vo [V]
<2mVpp @Io=0.6A
<±15mV @Io=0.6/1.2A
8mVpp
+15mV
Vout
2mVpp
-15mV
Io=0.6A
Io=1.2A
Io=0.6A
[ms]
出力リプル・過渡応答特性
13
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PWM
● 実測波形
IL
*動作条件は、シミュレーション回路と同様
*実測波形は、原理波形と類似
Vc
Vds
● 共振条件
*共振条件:2・Vo>Vi
* Crの動作範囲:Vc=0~Vin
* 起動時の出力電圧:
Vo>Vi/2 に充電必要
★起動時のチャージアップ回路必要
Vds
PWM
Vc
IL
ZVS-PWM制御電源の実測波形
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9-14
(2)昇圧形ZVS-PWM制御電源
● 構成
*ダイオードに並列に
共振コンデンサを接続
●動作
* 共振原理は、降圧形と同様
・M1:SW=OFF
⇒ IL により Cr は充電
・M2:Vsw = Vo ⇒ Di = ON
IL は次式で減少
IL(t) = Io - t・(Vo-Vin)/L (9-9)
・M3:遂には IL=0 A となり反転
⇒ Co より逆電流
Cr は充電し Vswは低下
・M4:Vsw=0V となり、ボディD=ON
・M5:Vsw=0V をコンパレータで検出
⇒ SW=ON し、コイルにチャージ
・Vo=Vr により、PWM=OFF
PWM
IL
Vc
Vds
M1
M2
M3
M4 M5
昇圧形ZVS-PWM電源の動作
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9-15
● シミュレーション結果
*回路条件
Vi=3.5V, Vo=6.0V, Io=0.12A
L=3.9uH, Co=470uF, Cr=100nF
Fop=162.5 kHz
昇圧形ZVS-PWM電源のシミュレーション結果
● 実測波形
*動作周波数
Fop=129 kHz (< Fsim=162.5 kHz)
N-MOS、OPアンプ等の遅延
により、動作周波数は低下
*スイッチング損失比較
⊿Pzvs=0.55W ⇔ ⊿Pnor=29.3W
損失低減率=98 %
昇圧形ZVS-PWM電源の実測波形
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9-16