IEA HP 実施協定(ヒートポンプセンター)ニューズレター 国内版 第 31 号(平成 25 年 12 月 (一財)ヒートポンプ・蓄熱センター発行) ニューズレター国内版は、IEA ヒートポンプ実施協定の事務局、ヒートポンプセンター(在:スウェーデン)発行の IEA HPC NEWSLETTER を日本語要約したものです。IEA HPC NEWSLETTER はヒートポンプセンターのホームページ http://www.heatpumpcentre.org/ からダウンロードが可能です。 目 次 1. IEA HPC NEWSLETTER Volume 31 2013/1 からピックアウト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1.3 Heat Pump News・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 1.4 IEA HPC NEWSLETTER 原稿募集 9 1.1 巻頭言 1.2 特集記事 2. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ANNEXES(国際共同研究) 2.1 On-going Annexes ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 2.2 Annex Ideas ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 2 1. IEA HPC NEWSLETTER Volume 31 2013/3 からピックアウト 1.1 巻頭言 ヒートポンプ製品の環境評価 Oliver Sutton, Department of Energy and Climate Change (DECC), UK イギリスは 2050 年までに CO2 排出量を 80%削減するというこれまでにないほど困難 かつ大胆な目標を掲げている。何十年にも渡り、イギリスは主に北海から取れる天然ガ スを享受し、国内の暖房のエネルギー源として利用してきた。2010 年には、93%の暖 房システムにガスが使われている。これは、オランダを除いた殆どの欧州の国々と対照 を成している。オランダでは、電気をエネルギー源とする暖房が高い比率を占めている が、それは電気グリッドが極めて低い二酸化炭素排出量であることに因るところが大き い。イギリスでは、ガスボイラーがメジャーとなったことで、石油、石炭、電気、その 他の固形燃料から脱却し、大幅な CO2 排出量を削減できている。しかし、今、高い CO2 排出量削減の目標値を達成するためには、天然ガスからの脱却が必須である。その解決 策の一部にヒートポンプがある。 現在のイギリスの電力グリッドの大部分は、石炭(39%)、ガス(28%)、そして原子 力(19%)のミックスであるが、再生可能電力(11%)がかつてないほどシェアを増や している。この熱源のミックスでヒートポンプが、コンデンシングガスボイラー(季節 性効率を 90%と仮定)より低炭素になるためには、最低 SPF2.3 の効率を達成しなけ ればならない。つまり、原子力発電の増加とかつてないほど増えた再生可能エネルギー とともに、大きな比率を占める家庭用暖房セクターをヒートポンプでもって脱炭素化す ることにより、低炭素エネルギー網が可能となる。 しかし、ヒートポンプの動力源である発電所から排出される CO2 だけが気候変動に影 響を与えているわけではないことを認識する必要がある。家庭サイズのヒートポンプに 最もよく使われている冷媒は、R134a (GWP 1430)、 R407C (GWP 1774)、R410A (GWP 2088) で、R407C は R134a をブレンドしたものである。温暖化係数(GWP)が高い これらのガスが大気中に漏れた場合、相当量の CO2 が排出されることになる。例えば、 GWP が 2088 の R410A が 3kg チャージされた家庭サイズのヒートポンプは、機器寿命 の半分の期間で故障や漏れで 50%の冷媒を漏えいすると仮定すると、これは、事実上、 約 3,100kg の CO2 の排出に匹敵する。つまりこうだ。UK でガスボイラーを SPF 値 3 の機器に置き換え、機器寿命が 15 年だと仮定すると、前述のシステムがライフタイム で排出する CO2 は、約 11,100kg である。ガスボイラーをヒートポンプに替えた際、冷 媒漏れ量を削減することにより、CO2 排出量を著しく削減することができる。これは、 机上の計算の一例に過ぎないが、冷媒漏えいを最小限に抑えることの重要性を物語って いる。大きなヒートポンプ市場を持つ他の多くの EU 諸国と違い、電気グリッドの二酸 化炭素排出量が高いイギリスにおいては、このことは特に重要である。CO2 を削減でき 1 るか否かは F ガスの放出による更なる CO2 換算の排出量にかかっている。 ヒートポンプや、冷媒を使うその他の機器は、F ガスの漏えいがないよう最大限の努 力が払われてきている。しかし、まだ、できることはある。もっと高性能な漏えい探知、 冷媒チャージ量が少なくて済む機器の開発や温暖化係数が低い冷媒の利用などがその 例だ。 このニュースレターは、この分野で現在議論されていることをハイライトしている。 更に、ヒートポンプからのトータルの環境インパクトを調査し最小限化するため現在進 行中の優秀な研究についての論文も満載である。 2 1.2 特集記事“ヒートポンプ製品の環境評価” Refrigerant Charge in Heat Pumps – Part I –Charge Inventory Analysis and the advent of charge reduction T. Oltersdorf, S. Braungardt, C. Sonner, Fraunhofer/ドイツ ここでは、ヒートポンプの冷媒充填量削減取組の概観と近年の冷媒充填量調査方法と冷媒 の系内分布などについてあらわしている。適切な冷媒充填量は、性能に寄与し、デフロス ト時間の削減、圧縮機の信頼性確保につながる。熱交換器では細径化したマイクロチャン ネル熱交換器や満液式から流下膜式(falling film)に変更などによる冷媒充填量削減技術が 発表されている。冷媒充填量の調べ方には、熱交換器や容器は両側にクイックバルブを取 り付けて冷媒を液体窒素などで冷やした容器に液化した冷媒を充填しそれを測定する方法 がある。また、圧縮機の冷媒量の測定には油と冷媒の分離、溶け込んだ冷媒の分離が必要 になる。また計算で行う方法としては、ボイド率を推定して計算する方法がある。 系内の冷媒量の分析結果を比較すると、冷媒充填量の少ないモデルでは、熱交換器内の 冷媒量の比率が小さくなっていることがわかる。レシーバーやアキュムレータの無いモデ ルでは冷媒充填量はコンデンサーのサブクール温度によく影響が表れていることがわかる。 また、冷媒充填量と COP の表で、その関係も紹介している。 充填量と COP の関係 3 A Tool for Life Cycle Climate Performance (LCCP) Based Design of Residential Air Source Heat Pumps Reinhard Radermacher University of Maryland, et al. / 米国 エアソースヒートポンプの LCCP(Life Cycle Climate Performance)の評価方法について の紹介。LCCP は、製造時から、使用、そして破壊までのプロセスでの CO2 排出量を求め る。これまでは実際の機器の評価のためにしか用いられてこなかったが、ここでは LCCP を考慮しての設計を可能としている。直接放出では、製造時や事故時、サービス時の漏れ 量や大気放出時の分解副生成物の効果などを考慮している。間接放出量は、冷媒製造時の 使用エネルギー、リサイクル時のエネルギー、使用時のエネルギー消費などが考慮されて いる。使用時のエネルギー計算は AHRI210/240 の基準を用いる。 LCCP 評価結果の一例 4 Risk assessment study of mildly flammable refrigerants Eiji Hihara, The Tokyo University / 日本 2011 年から METI と NEDO の支援をうけ、日本冷凍空調工業会のもとで微燃性冷媒のリ スク評価のための委員会を設置した。日本冷凍空調工業会と日本自動車工業会は、最終的 なリスクアセスメントを行い、その結果は研究員会で議論されている。ここでは 2012 年の レポートを紹介する。 燃焼性の指標は、冷媒の体積率上限と下限(可燃上限/下限濃度)、及び燃焼速度、最小 着火エネルギーとなる。着火は、冷媒の濃度が LFL(Lower flammability limit)より高く、 MIE(Minimum ignition energy)より高い着火エネルギー源があり、気流が燃焼速度 BV(Burning velocity)より低いことが着火条件になる。 LFL は、試験方法が確立しているが、MIE は試験方法が確立していなかった。MIE 自 体の計測は困難だったので、燃焼速度と、消炎距離(冷却の影響がなくなる電極間距離) と理論上結びついていることを用いて、それをもとにデータを整理し、プロパンより 1 ケ タ以上 MIE が高いことが分かった。 また、冷媒が室内に漏れたとしてのシナリオで、危険性の評価を R32、R1234yf、R410A の 3 種類で検討比較した。有害な HF の濃度で比較すると 3 種類ともほぼ同等であること が分かった。また冷媒の室内の拡散の様子についても調べ、可燃空間体積時間(m3*min)で 検討すると、非常に小さい値で安全性が高いことが明らかになった。 現在の計画では、微燃性冷媒使用のガイドラインのドラフトが 2013 年に作成、2014 年 に新しい基準が制定されることを期待している。 燃焼メカニズム 5 Low GWP R410A Alternatives in Heat Pumps: Performance and Environmental Characteristics Ankit Sethi, Samuel Yana Motta, Mark Spatz, Honeywell / 米国 R410A の代替として開発された L41 混合冷媒(R32/R1234ze(E)/Butane:68%/29%/3%)の 特性についての紹介。L41 は GWP461 と R410A の約 1/4 で、ミニスプリットをモデルと してシミュレーション結果では能力や効率は R410A とほぼ同等。LCCP 評価においてもほ ぼ同等で、2~3%程度 L41 の方が良いという結果が得られている。 6 European experience of CFC, HCFC and HFC restrictions Andy Pearson, Star Refrigeration / イギリス 欧州の政策決定の構造は外部の人々には、大変分かりにくいものになっている。いろいろ なタイプの法制化があり、一つは欧州連合(European Union)が、独占的に権限を持つ場合、 また別の場合は、メンバー各国がそれぞれの国で法制化の権限を共有する場合もある。 欧州連合政府は、欧州委員会(European Commission)、欧州議会(European parliament)、 閣僚評議会(Council of Ministers)、の3つの組織からなる。欧州委員会は、それぞれの国 の代表からなり、立法権をもつ。欧州議会は欧州市民の選挙で選ばれた 766 人の代表から なり、閣僚評議会は、28 の国の大臣からなる。法律は、欧州委員会で提案され、欧州議会 と閣僚評議会の間でディスカッションが行われ、その後指令や基準として制定される。 1990 年代、モントリオール議定書に基づき、CFC の削減、廃止が定められた。また続い て R22 など HCFC の削減廃止も定められた。 F-gas 規制は 2006 年に導入され、効果を発揮しており、デンマークやオーストリアは、 F-gas 規制より厳しい規制を設けている。またスイスやノルウェーはメンバー国ではないが 同じ行動をとっている。現在第 2 世代の F-gas 規制が進みつつある。2012 年 11 月に欧州 員会から提案書が発行された。それは 2006 年のものより厳しく、HFC の削減計画や、あ る種の HFC の禁止などが含まれている。強化された理由は、現時点ではフロンガスの効果 は全 CO2 排出量の 2%しか占めていないが、このままのペースで F-gas の放出が続くと 2% が 2050 年には 40%になると試算されているからである。現在この提案書は討論されて 2014 年 1 月に投票の予定であるが、環境主義者は、この提案書では十分ではないと言い、 産業界からは、この提案では速すぎて対応できないと、ギャップは大きな状態にある。 また、この提案は小型のヒートポンプに最も影響を与える可能性があり、そうすると、ヒ ートポンプの設置が進まず、化石燃料ヒーターが結果として増加することになってしまう。 欧州の政策決定 7 1.3 Heat Pump News <一般> ・研究者がオフィス用にローエネルギー個人用冷暖房システムを開発 カリフォルニア大学バークレー校の建造環境センターは、カリフォルニア州エネルギー委 員会から 1,600 万ドルの補助金を受け、建物内の居住者からの情報、ウェブベースのネッ トワーク及びユーザーに反応するパーソナルコンフォートシステム(PCS)を使って、効 率的な室内温度制御を可能とする新しいツールセットの開発とプロモーションを手掛けて いる。PCS は、椅子や足用ヒーターやファンのシステムに低消費電力のデバイスを埋め込 み、個々人が必要に応じて速暖、即冷が使えるようにしている。このシステムは建物全体、 あるいはひとフロア全体を同じ温度で空調するのではなく、身体の中で最も熱を感知しや すい、顔面・頭部、胴体・脚などに希望通りの暖房・冷房が可能となることをターゲット にしている。 <政策> ・欧州で HFC 税が年間 12 億ユーロに 冷媒メーカーは、企業と消費者の負担する、欧州での HFC 売上に対する税金が課税される と年間、最高で 12 億ユーロになるとの試算を出している。最近のヨーロッパ議会環境委員 会の提案した、CO2 換算で 1 トンあたり最高 10 ユーロの税額により、欧州フルオロカーボ ン技術委員会はすでに不振な市場で苦戦しているところに追い打ちをかけることになると 警戒を示している。 <作動流体> ・最新の SAE テスト結果:R1234fy のリスクは極めて低い 自動車のエアコンシステムの R1234yf の安全性を研究している最新の SAE 共同研究プロジ ェクト(CRP1234)は、あらゆる車両火災の原因と比べ、はるかに低リスクであることを確 認した。また、一般に受け入れられる常識的なリスクに比べるとはるかに低いとのことだ。 この最新の CRP1234 のテストは、昨年ダイムラー社が、R1234yf は前回 CRP1234 が出し た分析よりもはるかに高リスクであることを示唆したことを受けて行われた。このテスト では、ふたつの新しいフォルトツリーシナリオに基づいている。車中の人が、冷媒やオイ ルが漏れた場合で、漏えいにより引火し火災が起きた場合の、それぞれ衝突を伴う事故と 伴わない事故を想定している。このフォルトツリー分析は、全世界の車両の平均的なリス クを調査対象とし、控えめな仮定をおいて、リスク推定の結論が、実際のリスクを過小評 価せず、むしろ過大評価側になるように確保して、行った。 ・MAC 不遵守の取り締まりを強化するようデュポンが EU に要求 デュポンが、 MAC 指令の不遵守に対し厳しく取り締まるよう EU に要求しており、加えて、 ドイツの自動車業界に対し HFO-1234yf 冷媒用に設計されたテスト車のオープンで協力的 8 試験に参画するよう要求している。デュポンの要求は、現在禁止されている R134a をカー エアコンシステムに使用しているメルセデス社の一部の車種の禁止を表明しているフラン スを EU が支持する意向であることが、今週発表されたことを受けている。 法令の不遵守を黙認すれば、EU は環境要求事項を今後執行するのに支障が生じ、今後の革 新への投資のための安定したベースがなくなるであろうと DuPont Chemicals & Fluoroproducts 社の社長、Thierry F. J. Vanlancker 氏は語っている。また、EU は、この ことを大変よく認識しており MAC 指令が受け入れられないことがないよう尽力すること を明言している。フランスの当局が、前述の登録を拒否した件は、加盟国がどれだけ真剣 にこの問題をとらえているかを表している、と同氏は続ける。 ・HFOs は CO2 よりも低温暖化係数 ある新研究により、新 HFO 代替冷媒は、二酸化炭素よりも低温暖化係数であることが分か った。 Reviews of Geophysics 誌の最新号掲載の論文が、R1234yf と R1234ze はどちらも CO2 よ り温暖化係数が 1 以上低いと述べている。それは当初の予想より大幅に低い数値である。 これまで R1234yf の公表された温暖化係数は 4、1234ze は 6 である。 包括的な見直しをまとめている前述の論文「Global warming potentials and radiative efficiencies of halocarbons and related compounds」は、49 物質の放射効率が、最新の気 候変動に関する政府間パネルの IPCC 第 4 次評価報告書(AR4)が公表している数値と大 幅に違うと述べている。さらにこの論文は、100 以上のガスの、AR4 には載っていない RE 値を示している。 この論文は、数人の著名な欧州と米国の化学者と環境科学者の共著で、ローカルの大気パ ターンが考慮され、入手可能なすべての大気データを使って継続的に、すべてのフロンベ ースの冷媒の温暖化係数を計測した初めての研究と言われている。 1.4 原稿募集 2014 年に発刊予定の IEA HPC ニューズレター記事(Article)およびニュース(News)への 寄稿を募集しています(随時)。下記のトピックス(特集)記事以外の一般記事も歓迎いた します。投稿に関するお問い合わせは事務局までお願いします。 号 発行予定日 論文締切予定日 (年月日) (年月日) Topic Policy and standards 2/2014 2014-05-31 2014-04-30 Highlights from research 3/2014 2014-09-30 2014-08-31 The 11th Heat Pump Conference: Market and Policy 4/2014 2014-11-30 2014-10-31 Innovative Technology * * Note: HPC will select material from the Montreal Conference for this issue 1/2014 2014-02-28 2014-01-31 9 2. ANNEXES(国際共同研究) 2.1 On-going Annexes (1) ANNEX 35:産業用ヒートポンプの応用(Application of Industrial Heat Pumps) IETS ANNEX13 とのジョイントアネックス 幹事国:ドイツ。日本は参加。日本国内分科会主査;筑波大学 内山洋司 教授 2010 年 5 月にスタート。産業用途に利用される温熱・冷熱及び廃熱などの情報を整理 し、ヒートポンプを応用して一次エネルギー使用量の削減及び CO2排出量を削減する ための市場・計算モデル・技術・システム技術を明らかにする。 住宅用市場は、標準化された製品と設備によって対応することが可能であるが、産業 用ヒートポンプの用途の場合は、特異な条件への適合が必要になることが多い。しか も、高度の専門知識が不可欠である。本アネックスにおける産業用ヒートポンプは、 産業プロセスでの熱回収・熱改善だけでなく、産業用ビル、商業ビルにおける加熱、 冷却と空気調和に利用することができるヒートポンプと定義される。 (活動経過) ・2010 年 4 月 ・2010 年 10 月 ・2011 年 6 月 ・2011 年 9 月 ・2012 年 6 月 キックオフミーティング ドイツ、マインタールにて 第 1 回専門家会議及びワークショップ ドイツ、ニュルンベルグにて 第 2 回専門家会議 フランス、モレ・シュル・ロワンにて 第 3 回専門家会議及びワークショップ ドイツ、ニュルンベルグにて 第 4 回専門家会議及びワークショップ ドイツ、フランクフルトにて ・2012 年 10 月 第 5 回専門家会議及びワークショップ ドイツ、ニュルンベルグにて ・2013 年 3 月 第 6 回専門家会議及びワークショップ スウェーデン、ヨーテボリにて (2) ANNEX 36:据付時及びメンテナンス時の品質感応度研究(Quality Installation / Quality Maintenance Sensitivity Studies) 幹事国:米国。日本は参加していません。 計測方法、部品の組み合わせ方、設置され方、機器の使われ方によって、住宅用及び商 業用建物のヒートポンプ機器が多大な性能ロスを被ることは周知の通りである。本 Annex の目的は実験室での試験とコンピューターシュミレーションを通して据付けとメ ンテナンスの欠陥を定量化することであり、主な対象は、米国などで主流のユニタリー 方式である。 (3) ANNEX 37:建物におけるヒートポンプの現場計測の実施 ―最新技術のよい事例 (Demonstration of Field Measurements on Heat Pump Systems in Buildings – Good Examples with Modern Technology) 幹事国:スウェーデン。日本は参加していません。 10 本アネックスでは実際に設置されているヒートポンプの現場計測を行い、その値を省エ ネルギー値、CO2 削減量の計測に利用していく。それにより異なる地域(気候)ごとに 適した特定のアプリケーションのための最適な熱源とヒートポンプの予測が可能となる。 (4) ANNEX 38:ソーラーシステムとヒートポンプシステム(Solar and Heat Pump Systems)SHC Task44 とのジョイントアネックス 幹事国:スイス。 日本は参加していません。 建物用の冷暖房システムの市場ではヒートポンプとソーラーを統合したシステムがシ ェアを伸ばしているが、本アネックスでは空気熱源および地中熱源の家庭用給湯と住居 用建物のヒーティングにおけるソーラーシステムの組み合わせを主な対象としていく。 本アネックスでは、実際に運転中のヒートポンプ機器のモニタリングと実験室データに よって、統合されたシステム評価と性能の定義付けを行う。それにより、システム間の 共通した性能評価を可能にし、ひいては新しいシステムの市場拡大を狙える。 (5) ANNEX 39:住宅用ヒートポンプとエアコンの年間/季節性効率の共通した試験方法及 び評価方法の確立(A common method for testing and rating of residential HP and AC annual/seasonal performance) 幹事国:スウ ェーデン。日本は参加。日本国内分科会主査;早稲田大学 齋藤潔 教授 国毎に期間性能係数(SPF)は数多く存在するが、全世界で共通のものは存在しない。 メーカーが機器を輸出する際にも、ラベル表示用にも共通の SPF が必要である。実際、 ヨーロッパでは再生可能電力指令の施行により SPF ≧ 2.63 W/W が再生可能エネル ギーと認定されるなど SPF が重要な指標になっており、また、日本でも APF の改善の 必要性が指摘されている。 (活動経過) ・2011 年 9 月 第 1 回専門家会議及びワークショップ ドイツ、ニュルンベルグにて ・2012 年 1 月 第 2 回専門家会議及びワークショップ アメリカ、シカゴにて ・2012 年 10 月 第 3 回専門家会議及びワークショップ ドイツ、ニュルンベルグにて ・2013 年 5 月 第 4 回専門家会議及びワークショップ ベルギー、ブラッセルにて ・2013 年 11 月 第 5 回専門家会議及びワークショップ 東京にて (6) ANNEX40:ニアリーゼロエネルギービルディングのためのヒートポンプのコンセプト (Heat pump concepts for nearly zero-energy buildings) 幹事国:スイス。日本は参加。日本国内分科会主査;名古屋大学 奥宮正哉 教授 Annex32 の継続のプロジェクトとして、2012 年 7 月開始、活動期間は 36 カ月を予定。 2020 年までに導入が予定されているヨーロッパ、北米でのニアリーゼロエネルギービ ルディング(NZEB)が対象として見込まれている。ローエネルギーハウスやパッシブ ハウスがドイツ、オーストリアやスイスを中心に既に市場を確実に伸ばしている一方 で NZEB は世界中でまだ 300 戸程度でデモンストレーションの段階である。 11 (活動経過) ・2012 年 7 月 キックオフ会議及びワークショップ スイス、ラッパーズウィルにて ・2013 年 5 月 第 2 回専門家会議及びワークショップ ノルウェー、トロンハイムにて ・2013 年 10 月 第 3 回専門家会議及びワークショップ デルフト、オランダにて (7) ANNEX41:低外気温度での空気熱源ヒートポンプの性能改善(Improving low ambient temperature performance of Air-Source Heat Pumps) 幹事国:米国。日本は参加。日本国内分科会主査;早稲田大学 勝田正文 教授 本 Annex の目的は寒冷地におけるヒートポンプシステムにおいて、コスト、効率、省エ ネルギーのポテンシャルなど、システム構成の最適条件を見出し、それを説明すること である。 主要な技術目的は EU で再生可能エネルギーと認定されるために最低の値である SPF ≧ 2.63 W/W の能力を伴った改善後の空気熱源ヒートポンプに導く技術的解決策を特定 することである。 アメリカで本プロジェクトは DOE(アメリカエネルギー庁)の 優先リストの中に入って いる。アメリカ(ORNL の Mr. Van Baxter)が幹事国である。 (活動経過) ・2012 年 6 月 ・2013 年 7 月 キックオフ会議及びワークショップ アメリカ、サンアントニオにて 第 1 回専門家会議 アメリカ、パデュー大学にて (8) ANNEX42:スマートグリッドにおけるヒートポンプ(Heat Pumps in Smart grids) 幹事国:オランダ。日本は参加していません。 本アネックスの目的は、省エネルギーと温室効果ガス排出量の削減を実現するため、ヒ ートポンプがスマートグリッドに取り入れられるべき技術であることを発信すること である。具体的には、現在の関連するヒートポンプ技術などについて見識を深めること、 新しい技術の実装、技術開発のニーズの具体化、グリッドにおける再生可能エネルギー 生産とヒートポンプの相乗効果の模索、専門家のネットワーク作り、政策決定者、ステ ークホルダーなど向けの情報をまとめ発信していくことなどである。 (9) ANNEX43:燃料駆動ヒートポンプ(Fuel-driven heat pumps) 幹事国:ドイツ。日本は参加していません。 Annex34 の継続のプロジェクト。本アネックスの目的は、家庭用から小型業務用のレン ジで、吸着式ヒートポンプでの暖房条件でのフィールド試験により性能評価を行い、伴 わせて市場調査も行い、普及策を検討していくことである。予備試験では、ソーラー加 熱や地下熱利用と組合せることにより、1 次換算 COP で 1.3 程度が得られている。ドイ ツ、イギリスが参加表明。ヨーロッパで数カ国興味をもっている。 12 2.2 Annex Ideas 提案・検討中のアネックステーマは下の通りで、現在アネックスの立ち上げの可能性を検 討中です。 その他、新しいテーマのご提案などがありましたら、事務局までご連絡をお願いします。 (1) Charge reduction and zero leakage (2) Total refrigerant management system (提案国:オーストリア) (提案国:スウェーデン) このニューズレターの効果的な活用のために、今後、改善を図っていきたいと考えており ますので、忌憚のないご意見、ご要望など下記事務局までお寄せ下さい。 事務局連絡先:(一財)ヒートポンプ・蓄熱センター 技術研究部 IEA ヒートポンプ実施協定 日本事務局 檜皮 武史 (TEL: 03-5643-2404/ FAX: 03-5641-4501/ e-mail: [email protected]) 13
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