ニュースレター15号 - 分子ロボティクス

News Letter No. 15
2015 年 12 月 24 日発行
BIOMOD2015 特集号
巻頭言
BIOMOD2015 大会報告
ある)
。また、審査においては、例年に比べて厳しいジャッ
ジが行われたようで、Project Award Gold(金賞)が大幅
に減り、Bronze(銅賞)が大幅に増え、(例年と比べると)
変則的な結果となった。
このように異例づくしの大会において、Team Sendai(東
北大学)の強さは変わらなかった。大会のレベルは年々高まっ
ており、今年は上述のように参加するための費用負担が求め
られたこともあり、本気で勝ちを狙った 30 チームによるハ
イレベルな大会であった。その中で、2012 年大会に続き総
九州工業大学
中茎 隆 合優勝という大金星を挙げた Team Sendai、金賞を受賞し
た Team Hokudai(北海道大学)は、世界に対して、分子
デザイン領域における日本のプレゼンスを印象づけたに違い
ない。
日本チームの学生にとって、海外で英語でプレゼンをする
BIOMOD2015 は、例年通りハーバード大学を会場として、
ことは挑戦的な課題であり、初めての経験であったという学
世界中から 30 チームが参加しての開催となった。昨年に比
生も多かったのではないかと想像する。また、通常の国際会
べ、アメリカ、ヨーロッパからのチームが減り、東アジアか
議での発表と異なり、300 名程の聴衆の前でエンターテイ
らのチームが全体に占める割合が増えた。特に、日本からは
メント性にも富んだプレゼンを披露するには勇気と度胸が必
最多の 7 チームが参加したため、大会において日本チーム
要である。筆者がメンターを務める YOKABIO(九州工業大
の存在感は高かったと感じた。
学)の学生を見ていると、BIOMOD が始まる 4 月頃と大会
振り返ると、今回の 2015 年大会は、最初から最後まで異
後にハーバードから帰ってきた後とでは、一回り大人に成長
例づくしの展開が続いた。4 月のチームレジストレーション
しているように感じている。このような感覚は、他チームの
では、参加チーム数を制限し、先着順とする旨が HP 上で告
メンターも感じていることと思う。大会を通じて、若者が逞
知され、9 月には学生メンバー全員のレジストレーション、
しく成長することこそ最も貴重な結果であると考えている。
ホテルの支払いが求められ・・・と例年との違いに困惑した
最後に、BIOMOD 本大会、日本大会にご協力、ご支援く
チームや資金集めに奔走したメンターも少なからずいたので
ださいました関係者の皆様にこの場を借りて、心より御礼申
はと想像する(もちろん、筆者は奔走したメンターの一人で
し上げます。
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
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PRESS RELEASE
新学術領域「分子ロボティクス」
2015 年 11 月 4 日
新学術領域「分子ロボティクス」事務局
報道関係 各位
東北大学チームが国際生体分子デザインコンペティションで総合優勝
-11 月 2 日ハーバード大学(ボストン)での本大会にて <概要>
BIOMOD(国際生体分子デザインコンペティション)は、米国ハーバード大学 Wyss 研究所主催による「生体
分子を設計して,ナノ~マイクロメートルのものづくりを目指す」国際学生コンペティションです。11 月 1 ~ 2
日にハーバード大学 Wyss 研究所(ボストン)で行われた第 5 回大会には、世界 11 ヵ国から 30 チームが参加し、
それぞれのプロジェクト内容を 3 分間にまとめた YouTube ビデオ、各プロジェクトのウェブサイト、そしてハー
バード大学で行われるプレゼンテーションで成果を競いました。日本からは本領域が支援する学部生からなる 7
チームが出場しました。東北大チームは、
ねじれを利用した新しい分子結合技術を提案して、グランドプライズ(総
合優勝)および、ベスト YouTube ビデオ賞 1 位、ベストプレゼンテーション賞 2 位、ベスト Wiki( ホームページ
制作 ) 賞 3 位を獲得しました。東北大学は 2012 年に続き、2 度目の総合優勝です。
総合優勝した東北大チーム.ハーバード大学 Wyss 研究所で(11 月 2 日)
後列中央は大会創始者の Shawn Douglas 博士
※ 2015 年 11 月 10 日(火)17:00-18:00 に東京工業大学キャンパスイノベーションセンター 506 号室(田町)
にて、帰朝報告会が開催されました。
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Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
BIOMOD2015 参加者の感想
の成長を感じる場面が多々ありました。まがりなりにも自分たち
がやってきたことがようやく軌道に乗ってきたという自信を得ら
れたのが何よりの収穫です。
全体に目を向けてみると今年は新興国からの参加が増え、国内
からも2校が新規参加されるなど、新しい仲間を加えこれから大
北海道大学
会も少しずつ変わっていくのかなという印象を受けました。プ
ロジェクトのテーマ設定はどのチームも悩むところではあります
が、去年の優勝校の影響かやや抽象度の高い目標を掲げるプロ
氏 名:西井 建人
所属チーム名:BIOMOD Hokkaido Univ.
ジェクトが多かったようにも見受けられます。
登録費の新設やこれまで全面的に BIOMOD を支えてくださっ
学 年:2 年
た分子ロボティクスが再来年度以降どうなるのかなど、大会の将
学部・学科名:農学部生物環境工学科
来に不安も残りますが、この素晴らしい大会がこれから益々盛り
昨年から 2 年目となる BIOMOD への参加で今年度はリーダー
上がってくれることを切に願います。
としての参加だった。
昨年まで北海道大学代表チームは組織としての形態がまったく
氏 名:前田 裕斗
整っておらず、メンバー間の意思疎通や作業の分担などがまった
所属チーム名:BIOMOD Hokkaido Univ.
くと言っていいほど出来ていなかったため、自分が組織を一から
学 年:2 年
作り直さなければいけず、またそれをする事で昨年度よりもはる
学部・学科名:農学部生物機能化学科
かによい結果が得られると確信していた。その結果、GoldPrize
プレゼンについては申し訳ない、の一言に尽きる。ぶっつけ本
という昨年度から掲げていた目標を達成でき、結果を見ると成功
番となってしまったことや、打ち合わせの不足、オーディエンス
したといえるのかもしれないが、振り返ってみると苦難ばかり
の反応を想定の欠落、といったことに対し反省と改善の余地を感
だった。
じる。
リーダーを受け持った当初思い描いていたものと現実は大きく
全体を通して感じたことは、タイムマネジメント能力の無さで
離れており、リーダーとしての役割を見失ってしまうこともあり、
ある。基本的にすべてが〆切に近くならないと本腰が入らない、
チームとしてのプロジェクトの進捗状況を俯瞰し、能力に見合っ
というか入れようとしない姿勢は個人としてもチームとして動い
た仕事をメンバーへ割り振るというリーダーとして最も重要な事
ていくうえでも今後改善していかねばならないと痛感した。作業
のむずかしさを痛感した。また、組織の形態も新しく作ったもの
の細分化、それに対する所要時間の想定、バッファの加味、等々
ばかりであったため、どのようにすればよいか定まるまで時間が
できることは多くあると思う。
かかりメンバーに迷惑をかけた事も多かった。
プロジェクトについては、どのようにしたらよく見えるかを考
しかし、そんなときにアドバイスをくれたり、未熟な私に一年
えることに終始したものであった。常に一貫性を持たせる、目標
間ついてきてくれたメンバーには本当に感謝してもしきれないほ
から結果までが直結していることをわかりやすく伝える、といっ
どで、このメンバーで出来て本当によかったと思っている。
たスキルをこのプロジェクトを通して身に着けることができたと
これから先の人生で、今回 BIOMOD を通した経験や反省をい
思う。
かして、人の上に立ったときもっとメンバーが効率よく動けるよ
最後になりますが、運営の皆さま、お世話になった先生とメン
うな環境を生み出せるような人間になりたい。
ターの方々、そして運営してくださった方々、貴重な機会を与え
てくださり本当にありがとうございました。
氏 名:山本 隆博
所属チーム名:BIOMOD Hokkaido Univ.
学 年:3 年
学部・学科名:理学部生物科学科高分子機能学専修分野
大会に参加されたチームの皆様、今年もお疲れ様でした。特に
総合優勝を果たされたチーム仙台は本当におめでとうございます。
北大チームもメンバーに恵まれ金賞という当初の目標をなんとか
達成することができました。この場を借りて改めて先生方とメン
ターの皆様に感謝の意を表したいと思います。
昨年に続けての参加で、技術的な側面はもちろんチームとして
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氏 名: 岡 碧幸
氏 名: 福嶋 智輝
所属チーム名:BIOMOD Hokkaido Univ.
所属チーム名:BIOMOD Hokkaido Univ.
学 年:2 年
学 年:2 年
学部・学科名:農学部生物環境工学科
学部・学科名:工学部環境社会工学科
本大会はプレゼンテーションのみであり、評価対象である
今回は 2 回目の参加ということや発表順が最初ということも
wiki と youtube が終わっていたため比較的楽な気持ちで臨めた。
あり昨年より余裕を持って他チームの発表を見ることができた。
だが自信のある内容だったかといわれると、そういうわけでもな
そこで感じたことはプレゼン上位チームやオーディエンス賞を受
かった。プレゼンテーションの仕方云々よりも、プロジェクトそ
賞したチームとの差である。内容的には自分達のチームも劣って
れ自体に自分が自信を持てていなかったため、話す言葉もなんと
いたとは思わないがプレゼンの見せ方という面で負けていたと思
なく上滑りな感じがした。発表自体はうまくまとめることができ
う。これらのチームのプレゼンは見ていて飽きなかった。これは
たし、わかりやすくプロジェクトの内容を伝えることもできた。
プレゼンに笑いの要素を盛り込んでいたからだと思う。奇抜なこ
それが今回北海道大学のチームとして初めて Gold Prize を得た
とをすれば良いというわけではないと思うがこういった笑いの要
という結果にもつながっているし、
「見せる」という面では成功
素をいかにうまくプレゼンに組み込むかということが印象的なプ
したのだと思う。ただ恐らく足りなかったのは、プロジェクトの
レゼンにするために大事なことのひとつであると感じた。
核心への踏み込みと改善、そしてオーディエンスの想定だろう。
個人の反省としては 2 年目の余裕というものがいい意味でも悪
うまく大会の雰囲気をつかむことができていなかったのは、事前
い意味でも影響してきた点が多々あった。今後は個人・チームの
の調査不足だ。これら反省点は個人としてはもちろん、チームと
反省共に強く意識して生活していきたいと思う。
して今後改善していくべきだと思う。大会は終始良い雰囲気だっ
最後にこのような機会を与えてくれた関係者の皆様、本当にあ
た。時間を守るのは大切なことだと思う。
りがとうございました。
氏 名: 白川 稜
氏 名: 乙井 春樹
所属チーム名: BIOMOD Hokkaido Univ
所属チーム名:BIOMOD Hokkaido Univ.
学 年: 2年
学 年:1年
学部・学科名: 工学部情報エレクトロニクス学科
学部・学科名:工学部
個人として今年で二年目となる BIOMOD。今年は昨年とは異
初の参加であった。周りが上級性であったためか最初のうちは
なり “本大会で金賞をとる” という明確な目標をもとに活動を行っ
緊張して何も発言できなった。もっと意見を積極的に述べるべき
てきた。今年からは各部門に合わせた分業制をとり、個々人が責
であったと感じる。他のメンバーがみな優秀なので甘えすぎてい
任感をもって作業を行うというスタイルをとった。技術面のとこ
たことに途中で気が付いた。そんなこともあり、与えられた仕事
ろでうまくいかずに行き詰ったりもしたが、各人の学習や、周り
はしっかりこなそうと心に決めた。
からの教えもあり、それぞれの分野で去年よりも大きな進歩を遂
主に動画の編集を担当したが、編集技術不足で時間締め切りぎ
げたのではないかと思う。しかし、反省点は数多く残ったと思う。
りぎりまでかかってしまったし、
粗も残ってしまった。上位のチー
自身の活動でいうと、締め切りに追われる日々で他メンバーには
ムの動画を見ると編集技術は言わずもがな、何を伝えようとして
大変迷惑をかけてしまった。長いスパンでプロジェクトをとらえ、
いるのかが明確である。編集者も実験内容を十分に理解している
最終目標のために日々すべきことを積み重ねていく必要があっ
ためだろう。ぱっと見て何を伝えようとしているかすぐわかる、
た。また、チームの面でいうと、各分野が孤立しすぎていると感
これほど重要なことはない。我々の動画は実験パートまで少し間
じたので、もっと分野間での連携がとれていたらなと感じる。
延びしてしまったと感じた。
反省点は残るものの、かねてから目標としていた本大会金賞受
来年度活動するならば、もっと背景知識について基礎勉強が必
賞を達成することができたのが何よりの収穫である。メンバーの
要だと感じた。共通知識を十分にもつことでチームとしての表現
みんなには本当に感謝したい。ありがとう。
方法に統一感がでてよりよいものを作ることができるだろう。
今大会で得ることができた貴重な経験は次の代に引き継ぎ、
チームとしての発展、またそれを通した BIOMOD の発展に貢献
できればなと思う。
最後に、チームを支えてくださった先生、メンターの方々、支
援していただいた団体の皆さま、そして素晴らしい機会を与えて
くださった大会関係者の皆さま、誠にありがとうございました。
4
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
えた時の感情は、筆舌に尽くし難いものになりました。そして、
東北大学
そこに至るまでの先生方、先輩方のご指導、ご助力には感謝して
もしきれません。TeamSedai として BIOMOD に参加できて、本
当によかったと思います。
氏 名:遠藤 佑真
所属チーム名:Team Sendai
氏 名: 内田 健央
学 年:3 年
所属チーム名:TeamSendai
学部・学科名:工学部機械知能航空工学科
学 年:3 年
「Grand Prize……Team Sendai!」その瞬間、私の半年間に及
学部・学科名:工学部機械知能航空工学科
ぶ戦いが幕を閉じた。4 月にチームが発足してから大会が終わる
思い返すと、あっという間の半年間でした。4 月に研究室に配
11 月まで、辛かったことはいくらでも思い浮かぶ。決まらない
属されてからというもの、ほぼ毎日 BIOMOD の活動に費やしま
プロジェクト内容、浮かばないアイデア、犠牲になった夏休み、
した。夏期休暇中、旅行中の友人が写真の中で楽しそうに笑って
先輩方やメンターの先生方からの厳しくも温かい指導、締切前の
いる様子を恨めしく思ったこともありました。
焦燥感、眠れない日々……チームで力を合わせ、数々の難所を乗
プロジェクトを進める上で特に苦しかったのはアイデア出しで
り切ってきた。しかし、辛かったことばかりではない。学部生の
した。これが決まらないと wiki の文章も書けませんし、実験に
うちから研究に触れられたこと、実験が上手くいったこと、自分
も着手できません。良いアイデアが出たと思っても、一晩置いて
たちのプロジェクトが形になっていったときの達成感、世界中
頭を冷やすと、一日前には気が付かなかった問題点が翌日発見さ
の学生と競い合い、互いの健闘を讃え合ったこと、そして一番欲
れ振出しに戻る、ということも度々ありました。結局実験に取り
しかった「Grand Prize」の称号を得たこと……。苦労した分、
組み始めたのは大会一か月前でした。
「BIOMOD をやっていて良かった」と思える瞬間も数多く存在し
それでも、プロジェクトの本筋、アイデアが決まったときや実
た。今思い返してみればあっという間に感じられるが、本当に様々
験で良い結果で出たときに感じた、自分たちのチームが確実に
な出来事があり、そして多くのことを学ぶことができた。チーム
ゴールへ近づいているという達成感は、何事にも変えられない喜
のメンバーをはじめ、先生方や先輩方、そして私を支えて下さっ
びでした。Team Sendai の一員として、この半年間を BIOMOD
た方々に心から感謝申し上げたい。最後に、もし BIOMOD に参
に捧げられたことを誇りに思います。
加していなかったならば、このようなドラマが私の人生に起こる
ことはなかっただろう。この半年間は間違いなく、
一生私の宝物だ。
氏 名:秋田 賢
所属チーム名:TeamSendai
氏 名: 安部 桂太
学 年:3 年
所属チーム名:TeamSendai
学部・学科名:工学部機械知能航空工学科
学 年:3 年
9 月 20 日、僕は日本に残る決断をした。というのも、メンバー
学部・学科名:工学部機械知能航空工学科
10 人中 8 人までしか入場を認められないからだ。4 月から 9 月ま
研究内容を決め、実証し、それを伝えるということにどんな困
での半年間のモチベージョンはもとより、この研究室を選んだ一
難が伴うのか、私は少しだけ学んだように思います。
番の理由が BIOMOD に参加してハーバードに行きたかったから
BIOMOD は、プロジェクトの内容を決めるところから始まり
である僕にとってこの決断は非常に辛いものであった。夜は中々
ます。最初の困難はここにありました。自分たちも、周りの方々
眠れなかったし、日中研究室に行ってメンバーと会い、会話をし
も面白く、新しいと思わせるような案をひねり出すのはなかなか
て、作業をする間「何のためにやっているんだろなあ」と心の片
に骨が折れました。実験においては技術が壁になります。器具や
隅で考えてしまっていた。また気持ち的に一生懸命になれない事
薬品の使い方を学び、身につける必要があります。そうでないと、
が手伝ってくれる先輩方、先生方への罪悪感を感じさせた。僕が
実験がうまくいかなかった時、設計や条件だけでなく、技術も疑
Web ページの制作を担当したのはなるべく一人で、没入できる
わなければなりません。また実験結果に価値を見出すためにほか
作業をしたかったからだ。様々な気持ちが思い起こされる中、あ
にどんな結果が必要か、よく検討しなければなりません。そして、
まり考えないようにして Web ページを作っていった。この時期
研究内容と実験結果を伝えるうえでは、正しさ、わかりやすさが
の僕を理解して、励ましてくれた高校の友人や学部の友人には感
求められます。何を、どう伝えるか、人に見てもらいながら工夫
謝してもしきれない。
を重ねる必要があります。
終わってみてやはりもやもやとした、何とも言い難い感情が残っ
私にとっては、あるいはチームのみんなにとっても、どれも慣
た。このままで終わらないよう、今の感情を忘れずに、エネルギー
れないことで大変に苦労しました。だからこそ、それらを乗り越
にして次の活動を精力的に行っていきたい。
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氏 名: 市堰 翔成
を議論したりするのは私にとって斬新な体験でした。最初は辛
所属チーム名:Team Sendai
かったですが、だんだん慣れてきて、この仕事に夢中になりまし
学 年:3 年
た。先生方からコメントをもらったり、文章を書き直したりする
学部・学科名:工学部機械知能航空工学科
中で、科学的な文章の書き方や論理的な考え方を学んできました。
自分は主に実験班で AFM を用いてオリガミの観察をしていま
しかし、プレゼンターとしてハーバード大で発表する時、英語
した。今回、私たちが設計したオリガミは 3 次元の DNA オリガ
ではなく日本語が出てしまった瞬間、
「やっぱりまだまだですね」
ミなので2次元の DNA オリガミより壊れやすく、AFM の観察に
と思いました。
は高度な技術が必要でした。もちろん、僕は今まで AFM を使っ
最初のラボトレにメンターの村田先生は「純粋な気持ちを持っ
たことは無かったので、とても苦労しました。そんな時に助けて
て、本当の研究者のマインドを体験できるように行こう」と言い
くださったのは先輩や先生方でした。AFM のノウハウを分かり
ました。BIOMOD をやってきたこの半年間、
確かに「ものづくり」
やすく教えていただき、なんとか観察に成功することができました。
の面白さや本当の研究に必要なセンスなどをきちんと体験しまし
そして、ボストン大会本番では見事、優勝することができました。
た。チーム仙台の一員として、BIOMOD をやってきたのは最高
みんなの苦労が報われ、自分たちの研究の成果を認めてもらえた
でした。この経験を大切にして、立派な分子ロボティクスの研究
のは、とても嬉しく思いました。今後は BIOMOD で培った AFM
者になるために、これからも一生懸命頑張りたいと思います。
テクニックを活かして、DNA オリガミを用いた構造体を研究し
最後に、お世話になった村田先生、野村先生、川又先生と先輩
ていきたいと考えています。
方に心から感謝を申し上げます。アイディア出し、設計、実験、
wiki 作成、youtube、プレゼン準備の各段階で、多大なるご迷惑
氏 名:劉 詩韻
をおかけしたにもかかわらず、最後まで温かく見守って下さり、
所属チーム名:Team Sendai
本当に心強く感じました。一緒に戦った五代目チーム仙台の皆さ
学 年:3 年
んも本当にありがとうございました!
学部・学科名:工学部機械知能航空工学科
桜が咲いていた時から始まった BIOMOD は紅葉の季節に終わ
氏 名: 荒舘 笙
りました。私は分子ロボティクスへの憧れを抱いて、「面白そう
所属チーム名:Team Sendai
だからやってみたい」という気持ちを持って、チーム仙台の一員
学 年:2 年
になりました。
学部・学科名:工学部機械知能航空工学科
はじめに、研究室の先生方や先輩方からの特別講義「ラボトレ」
今年の BIOMOD で、
僕は主に youtube の動画作成を担当しました。
で DNA ナノエンジニアリングの基礎、ソフトウェアの使い方、
振り返ってみて、youtube 部門の難しさは、3 分を超える長さ
グループワークの仕方などを身につけました。それに加えて、上
の動画を作らねばならないために、時間的、作業量的にも、いっ
級生とコンビになり、英語の論文を読んで発表する「論文読み」
たん形になったものに対して大きな修正を加える事が困難な点に
もやりました。これらの活動を通じて、知識が足りない不安を払
あったと思います。
拭しました。
今回部門 1 位を取れたのは、動画作成の前段階においてチーム
しかし、一番肝心なアイディア出しはうまく行かず、出遅れて
の皆でよく議論し、わかりやすく内容を伝えるためのシナリオが
しまいました。いろんなアドバイスを頂いて、やっとアイディア
十分練れていたことが非常に大きかったと考えています。
を決めましたが、設計は非常に難しくて結局実験をせずに国内大
また、大きく反省しなければならないのは、作業工程の分担を
会に出ました。国内大会は無事に優勝しましたが、実験をしない
うまく行えず、時間の見積もりが甘かったことも重なって、作業
と世界と戦えないという危機感を持って世界大会の準備をし始め
の進捗が想定を遥かに超えて遅れてしまったことです。
ました。設計を直して、いよいよ実験に進みましたが、いい結果
なんとか締め切り 3 分前に動画のアップロードを完了すること
を得ることがあまりできなくて焦っていました。幸い、wiki の
ができたのは、直前になっての急なお願いにもかかわらず、嫌な
締め切り前に奇跡といえる結果が出ました。本大会前の「死の十
顔ひとつせずに作業のお手伝いをしてくださった先輩方のおかげ
日間」にチーム全員が徹夜して精一杯に wiki、youtube とプレ
としかいいようがありません….. どうもすみませんでした、そし
ゼンをやっていた熱意と研究室のメンバーが全力でサポートして
て本当にありがとうございます。
くれていた姿は私に強い印象を与えました。「グランドプライス、
その他にも、声優としてキャラクターに命を吹き込み、動画を
チーム仙台!」を聞いた瞬間、「一緒にやってきた!」という想
一層魅力的なものにしてくださったり、CG アニメーション作成
いしか浮かびませんでした。
のコツを教えていただいたりなどと、先輩方には本当にお世話に
私は主に wiki や脚本の英訳などの英語関連の仕事を担当して
なりました。
いました。日本語の文章を英文化したり、日本語で英文の書き方
6
BIOMOD 経験のある先輩が研究室に在籍し、わからないことを
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
身近で聞けること、そして連日の原稿チェック、修正点の指摘を
に難しかった。社会で使われている技術に隠された苦労を知るい
はじめ、精力的にご指導してくださる先生方の存在といった、研
い経験になった。次に英語のレベルの差である。相手の話してい
究室全体で支えていただける環境こそが Team Sendai の強みだ
ることが聞き取れないことが多くあった。スピードが速く、まさ
と思いました。
になにを言っているかわからない時があった。理解以前の問題
今回の活動でノウハウや反省点など、個人的に多くのものが得
だったように思える。相手の意図を理解し、それに対して答えて
られたと感じており、来年度、再来年度の BIOMODer、そして
もうまく伝わらないことがあった。これは、こちらの発音やイン
Team Sendai 含め日本勢のさらなる活躍のために、これらの経
トネーションに問題があるのか、単語のチョイスや文法に問題が
験を少しでもお役に立てていければと思います。
あるのかだと思う。今の自分の英語は使える英語からは程遠いと
いうことが実感できたので、ジャンボリー参加はこれからの英語
氏 名:福地 成彦
の学習へのいい刺激になった。
所属チーム名:Team Sendai
学 年:1 年
氏 名: 斎藤 正崇
学部・学科名:理学部物理系
所属チーム名:TeamSendai
大学に入学して間もない頃、講義棟に貼ってあった「そうだ。
学 年:1 年
分子ロボ創ろう。
」というポスターが目につきました。「面白そう
学部・学科名:工学部機械知能航空工学科
な学生プロジェクトがあるな」と単純な気持ちで BIOMOD の説
私が BIOMOD に参加するきっかけになったのは友達からの誘
明会に参加しましたが、私は BIOMOD で自分がチームの力にな
いでした。そこから半年間 TeamSendai の一員として活動して
れるのか不安でした。プロジェクトが進み、私はシミュレーショ
きました。一番印象が残ってることは youtube、wiki の締切近
ンとオリガミの設計、実験を担当することになりました。シミュ
くでメンバー全員で夜通し作業したことです。皆さんの顔がやつ
レーションは、モデルが現実と対応していなかったり、シミュレー
れていましたが個人的には夜通しの作業で研究室の雰囲気がお
ションのソースコードにミスがあったりして思うように進みませ
祭りみたいになっていて楽しかったです。また私は BIOMOD を
んでした。最終的に、先輩方の協力でなんとかシミュレーション
通して単純に生体高分子のことだけでなく多くのことを学びま
を完成させられましたが、自分の知識不足を実感させられました。
した。それは私のこの半年間に値するものだと私は信じていま
オリガミの設計では私は工学部でないので設計が本当にうまくい
す。ぜひ多くの方に BIOMOD に参加してほしいと思っています。
くのか不安でしたが、AFM で実際に設計通りの構造の画像が得
BIOMOD で辛いこと、嬉しいこと、様々なことを経験すると思
られたときは、安心しましたし、BIOMOD をやってきて良かった、
いますがそれを仲間で乗り越えていってください。きっと素敵な
と心から思いました。
思い出になると思います。
BIOMOD を通して、チームのメンバーと協力して活動できた
最後に、この半年間私はひとりで頑張ってきたわけではあり
こと、自分に足りないものを発見できたことは自分のこれからの
ません。教授方々や先輩の方々や同学年のみんな、そして日常生
大学生活の大きなアドバンテージになると確信してしています。
活でお世話になった方々の力に支えられて半年間頑張ることがで
最後に、一人でも多くの学生に BIOMOD を知ってもらって、実
きました。ですからこの半年間で私と関わった人皆様に感謝を伝
際に参加して欲しいです。
えたいと思います。本当にありがとうございました。
氏 名:吉川 太陽
所属チーム名:Team Sendai
学 年:1 年
学部・学科名:工学部機械知能航空工学科
BIOMOD を通して学んだことは二つある。一つ目は新しいも
のを作る難しさ、二つ目は自分の英語と世界の英語のレベルの差
である。まず、新しいものを作る難しさについてである。これに
気付いたきっかけはアイディア出しである。分子ロボティクスの
知識がないうちは様々なアイディアが出た。しかし、どうやった
ら実現できるのか、その具体的方法が思いつかなかった。知識が
ついてくるとアイディアと実現のための方法まで思いついたが、
今度は地味で新しさのないものばかり挙がった。今までの研究に
はなかった新しさとそれを実現する具体的な案、この両立が非常
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氏 名:瀬尾 昂紀
筑波大学
所属チーム名:Team Tsukuba
学 年:2 年
学部・学科名:生物資源学類学
氏 名:日原 奨希
発表チームは、米国、カナダ、メキシコ、ドイツ、イタリア、
所属チーム名:Team Tsukuba
インド、日本、中国、韓国、台湾などさまざまであった。日本以
学 年:3 年
外のチームは英語が流暢で質疑応答されても即座に返していた。
学部・学科名:生物資源学類
日本のチームは総じて質疑応答にかける時間が長いと感じた。ま
私たちは今回、Team Tsukuba として初めて BIOMOD に参加
た、どのチームもプレゼン時間中に劇を組み入れたり、動画を挟
させて頂きました。学生の有志で集まった企画だったので、最初
んでみたりするといった工夫をしていて、かつその完成度がとて
は分からないことだらけで右も左も分かりませんでした。しかし、
も高かった(例を挙げると分子の立体変化を人や蛍光ライトを
色んな方々の手助けもあり、無事完走することが出来ました。結
使って実演する、プレゼンの動画中で、説明した人が説明後ドア
果は参加賞であるブロンズ賞で、やり遂げたという達成感半分、
を開けて出ていくが、同時に会場のドアを開けて入ってくる演出
もっと上手くやれたのではないかという悔しさ半分です。何が良
をするなど)
。プレゼンの内容を聞いていると、この大会で扱っ
くなかったのかを考えるといくつか心当たりがあるのですが、一
ている内容が工学寄りの生物学の為、“畑違い” でプレゼンの内
番の心当たりは「参加学生の専門の多様性の低さ」です。私たち
容が理解できないこともあった。ただ、今回の BIOMOD に参加
は今回、全員同じ学部の学生であったため、それぞれの学生の専
してこのような分野もあるのかという、自分の専攻とは異なる世
門が偏っている節がありました。BIOMOD という大会は、様々
界を知ることができてよかった。筑波大学の発表では直前に台詞
な分野の学生が結託することによって、よりクオリティの高いも
の分担を変更したことと質疑応答が不安であったが無事に終える
のを作ることが出来る大会であると思います。また、BIOMOD
ことができてよかったと思う。
から得られたことも多くありました。それは、英語によるプレゼ
ン・質疑応答のノウハウ、多様な研究分野に関する知識、実験計
画の方法などです。この機会で学んだことをこれからの人生に役
立てていきたいと考えています。
氏 名:神谷 健
所属チーム名:Team Tsukuba
学 年:2 年
学部・学科名:生物資源学類
私がボストンにて感じたことを一言でまとめるとするならば、
「これはまともに取り組まないと何も出来ないし、何も達成され
ないぞ」ということでした。
研究課題。実験の正確性や高度さについて他大学とはかなりの
氏 名:宮田 真衣
所属チーム名:Team Tsukuba
差がついていました。他大学は専任のメンターがついていたり、
学 年:2 年
そもそも学生側が学部 4 年生だったり院生だったりで私たちより
学部・学科名:生物資源学類
も経験を積んでいる人もいたのですが、そういった大学ではうま
今回の BIOMOD の大会に参加して多くのことを学んだ。研究
く後輩へのカリキュラムとして成立させている大学がほとんどでした。
発表というとお堅いイメージがあったが、海外の大学の発表は途
また、wiki や紹介のムービーなど、伝える力が殊の外足りなかっ
中でジョークを挟んだり劇風にしてみたりとイメージとは違って
たと言う他ありません。研究することに重きを置きすぎて、BIO-
ユニークで面白かった。また、自分たちの発表ではうまく英語を
MOD にてどうやって伝えるかについて事前のリサーチが足りな
喋れたかは自信がないが、英語でプレゼンをするということ自体
かったと言わざるを得ません。BIOMOD に向かう体制としては、
がよい経験になったと思う。
初参加ということを抜きにしても、あまりにも貧弱でした。
私は今回の渡航が初めての海外だったのでとても良い刺激に
予算にしても、大学からは今年度分が拠出されただけなので来
なった。今まで実地英語に触れる機会がなく、今回初めて生で英
年度も決まって活動できるかというとこれも不明確です。私自身
語に触れた。そして、座学の英語だけではだめだなと痛感した。
は来年も BIOMOD に参加したいのですが、周囲の状況を踏まえ、
ネイティブの人たちの英語は聞き取れないことが多かった。ほか
判断したいと思います。
の大学の発表は聞き取れない上に専門用語が多く理解に苦しんだ
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Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
が、パワーポイントと身振りなどでなんとなく要点はつかめた。
会での発表の裏に、数え切れないほどの失敗と改良の積み重ねが
しかし、いざ会話となると緊張もあって、身振りも理解できない
あったのだろう。また、wiki 提出直前に際し、もう少し時間に余
上まったく聞き取れず会話が成り立たないこともあった。リスニ
裕があれば、早めに試行錯誤していれば、wiki の構成がより明瞭
ングを含め英語をもっと勉強したいと感じた。そんな中でも他の
になったかもしれないと後悔した場面がなかったわけではなかっ
国のチームとも仲良くなれたことはとてもうれしかった。一緒に
た。このように、時間をかけることでおのずと改善点を洗い出す
食事をしたり買い物に行ったりと国際交流を楽しめたと思う。
ことができるのだと、今回の大会で身をもって実感した。
今回の大会前の準備から大会本番を通してとてもいい経験と
二点目として、他大学から学ぶことのできる環境の大切さであ
なった。この経験を今後の研究や将来に生かせるよう努力してい
る。wiki の作成では日本勢の過去の wiki から学ぶことは多く、
きたいと思う。
また本番の発表で海外大学の発表を見る中でも自チームに取り入
れられそうな良いところが多く見つかった。BIOMOD のように
切磋琢磨できる環境を大切にしたい。
東京大学(駒場)
氏 名: 木口 利公
所属チーム名:UTokyo-KomabaTeam
氏 名:足立 悠理子
所属チーム名:UTokyo-KomabaTeam
学 年:2 年
学部・学科名:教養学部文科三類
BIOMOD の授業は東京大学の前期教養学部の授業の一環とし
て 4 月から文理問わず開講されており、文系の私が理系の学問を
垣間見ることのできる最後の良い機会なのではないか、と考えて
参加することにしました。
授業では最初に BIOMOD のまとめと題して先輩が作ってくだ
さっていた厚みのある資料を渡されたきり、先生からは何も教え
て貰えずまさに右も左も全く分からない状況でのスタートとなり
ました。それでも何とかアイデアを出して研究室を訪問したり、
他のメンバーの尽力により実験や wiki の作成や youtube、プレ
ゼンに至るまで、本当にゼロからのスタートでしたがハーバード
での本大会においてブロンズ賞という結果をいただきました。
文系の私が BIOMOD に貢献できる面はほんの僅かでしたが、
他大学の BIOMOD の様子を聞く限り、一番手放しにされていた
であろう駒場チームがブロンズ賞に選ばれたのは、ひとえにメン
バーの努力の賜物であり、メンバーやメンターの先生方には感謝
の念を禁じ得ません。本当にありがとうございました。
氏 名: 岡本 宇弘
所属チーム名: UTokyo-KomabaTeam
学 年:2 年
学部・学科名: 教養学部文科一類
教養学部の授業の一環として、最後に理系をやる機会、として
参加した。結果として私は wiki のコード作成での貢献にとどまっ
たが、しかし今回の体験を通じて私なりに感じ、学んだものは多
かった。そのうちの二点を、ささやかながら感想として述べたい。
まず、当然ではあるものの、時間をかけることの重みを強く実
感した。大会での評価も、時間をかけ実験の結果を着実に出した
チームで高かったという印象がある。そういったチームには、大
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
学 年:1 年
学部・学科名:教養学部理科一類
10 月 29 日から 11 月 3 日まで主題科目 “分子ロボティクス”
の授業のためにアメリカに行ってきました。入学から 7 ヶ月近く
かけて国内大会を経てこの授業の集大成である BIOMOD という
生物の世界大会(10 月 31 日〜 11 月 1 日@ハーバード大学)に
準備してきたので、授業の遅れを不安に思いつつも楽しみでいっ
ぱいでした。簡単に概要を説明すると、この大会は大会当日まで
に各々のチームが、生物学に関する実験を行い、科学者になりき
り、論文を書き、最終的に内容を披露するものです。
僕がこの授業を履修し、大会に出場したのは友人に誘われたた
めです。東大では毎年教養の授業として出場し、海外(ボストン)
に行ける授業と知り僕は履修しました。結果、大会出場最低限の
レベルに値する銅賞をもらいました。もちろん金賞を目指してい
たし、惨敗でした。他の日本の出場大学もそうですが、他大学と
の明らかな力量の差を感じさせられました。正直、直前で頑張っ
て仕上げた僕らとは大きな違いがありました。他の大学は専門や
部活のような形で本格的に参戦している中、僕らは予備知識も何
もなく(生物履修0人、文系もいる)半年間、よく頑張ったほう
かなとも思いました。
予備知識はなかったものの、僕らの各々の能力はそんなに他大
と変わらないと思いました。実際に大きな差が生まれたのは、研
究内容とチーム力だと感じました。優勝したチームに話を聞いた
ところ、彼らは熱い気持ちでこの半年間大会に向けて頑張ってい
たのが感じられました。僕らは個人個人が実験やプレゼンといっ
た役割を数人で別れて行動していたため、最後まで十分に実験内
容を理解してない人も中には数人いました。逆に良い成績を残し
た他大のメンバーは、全員が一丸となって他のメンバーを補うレ
ベルまですべてを理解していた点で大きく違っていました。
また、準備期間として春から本大会を視野に入れていたため、6、
7 ヶ月あったのですが、十分でもないこの期間を存分に活用でき
なかった点も反省するべきであると感じました。
来年も東大で出場し、是非リベンジしたく思っています!
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氏 名: 西田 裕信
の実力だけで結果を残してきた自分にとっては新鮮な発見だっ
所属チーム名:UTokyo-Komaba Team
た。本大会では、これまで自分が見たことがないようなスタイ
学 年:2 年
リッシュなプレゼンや、ユーモアあふれるプレゼンが多かったが、
学部・学科名:教養学部理科一類
それらの自分の中の評価と最終の結果が大きく食い違っていたの
2015 年 10 月 29 日から 11 月 3 日の間、BIOMOD の国際大
だ。つまり、本番のプレゼンだけを上手くやってもだめで、地道
会に出場したので、以下にそのご報告を致します。
な努力に裏打ちされた誠実な実験や論文の結果こそが評価に繋が
自分がこの大会に出場したのは、友人に誘われたためであった。
ると知ったのだ。これが2つ目の学びである。
BIOMOD とは、分子ロボティクスと呼ばれる分野において行わ
他にも様々な学びがあったが、この2つが自分にとっては大き
れる学生コンペであり、参加チームは各々自由な発想で、分子レ
な学びであった。初めての理系の大会への出場で得られたこれら
ベルの新たな装置を発案・実験し、それを論文・動画・プレゼン
の学びを存分に生かし、今後の理系としての人生に繋げて行きたい。
によって紹介する。東大では教養の授業の一環としてその大会へ
毎年出場しているのだが、自分は単にボストンに行ける授業があ
氏 名: 二宮 孝太
ると誘われたために本大会への出場を決意した。
所属チーム名:Team UTokyo-Komaba
結果から言うと、惨敗だった。大会最低限のレベルを意味する
学 年:2 年
銅賞をいただいた。しかし、他校との努力量の差を見れば非常に
学部・学科名:教養学部理科一類
妥当な結果であるし、直前の自分の時間を最大限割いた結果であ
今回の世界大会で、人生で初めて国境を越えた。パスポートを
るため、反省はあれど後悔はあまりない。それよりも、この体験
取得し、旅行用の大きめのスーツケースも購入した。発表に行く
記では大会で得た学びに注目して報告したい。その学びとは、
チー
ことよりも、海外に旅行に行けることへの期待のほうが大きかっ
ム力の大切さを改めて実感したこと、今後の競争においては内容
た。大会期間を含め、一週間以上日本を離れた。ボストンの街を
が重視されると知ったこと、の2点である。
散歩し、NY で遊び、何と素晴らしい時間であったことか。それ
最初の点については、本大会で見事総合優勝を果たした東北大
もこれも BIOMOD のおかげである。
学の仙台チームを見て感じた。傲慢な言い方になるが、彼らを見
さて、BIOMOD である。かけた時間が少なかった。実験デー
て思ったことは、個人力では負けていないと言うことだった。も
タの議論が不十分であった。魅力的なストーリーの組み立てとそ
ちろん、彼らを深く知った訳ではないので事実は分からないが、
れに対する論理的根拠が不足していた。至らない点はたくさん
自分の勝手な第一印象である。では、何が彼らを総合優勝する素
あった。しかし、後悔はない。実際に自分たちでアイデアを出し
晴らしいチームにさせたのか。それは、その圧倒的な努力量と個々
合い、試行錯誤を重ね実験をし、結果を議論し、理系研究者とし
人の熱意、そしてそれらを支えるチーム力にあったと感じた。彼
ての一連の流れを経験でき、そしてアメリカにも行けた。終わっ
らは昼夜を惜しまずこの半年間を本大会に費やし、一人一人がと
てみれば、実験も wiki 作成も、チームメイトと楽しみつつやっ
ても熱い気持ちを持って、全員が一丸となって本大会に望んでい
ていたのではないか。とてもいい経験をしたと思う。BIOMOD
たと感じた。一方で我々のチームは、個々人が自分の持ち分をこ
の存続が危ぶまれているらしいが、ぜひ続けてほしいものだ。
なしていて、例えば自分はプレゼンをほぼ一人で作り上げたもの
の、他のメンバーの持ち分に関してはあまり知らず、より良いも
のを作り上げるための努力はできていなかったと言える。また、
氏 名:船木 健人
個々人が本大会を単に自分の行う一活動として捉えていたため、
所属チーム名:UTokyo-KomabaTeam
彼らに比べると熱意はそれほどなく、自分の持ち分をこなせば良
学 年:2 年
いという、半ば個人主義的なチームになってしまっていた。しか
学部・学科名:教養学部理科二類
し、今回実際に結果として突きつけられたため、改めて、目標に
国内大会のおかげで危機感を持ち、自分の使える時間の中で
対する情熱や努力、そして他人とも分野横断的に協力し合うこと
できることを行った。実験に参加することができなかったため、
の大切さに改めて気付かされた。これが一つ目の学びである。
wiki の取りまとめを行っていたが、自分の英語力のなさを痛感
2つ目の学びは、各国のプレゼンを見たときに感じたものであ
し、とても苦労した。その中でも精神的に削られたのは、実験内
る。これまで文系の活動で大会などに出場する機会の多かった自
容が少し変わることで、wiki の内容を大幅に変えなくてはいけな
分の印象では、ある程度見た目がしっかりしていれば、内容に関
い時だった。締め切り近くなり徹夜したのはいい思い出だ。将来
係なく良い評価を得られると感じていた。しかし、今回初めて理
行う研究では更なる努力と辛さが伴うのかもしれないが、その一
系の大会に出場して思ったことは、理系の世界は表向きの体裁は
部の辛さを体験したのだと思う。チームが個人個人でバラバラに
ほとんど評価されず、内容こそが重要な要素である、ということ
作業し、全体として協力できていない時もありとても残念だった
だった。考えてみれば当たり前の話なのだが、これまで見せかけ
が、最後の期間は皆協力することができ、皆が同じ方向を向いて
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Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
頑張っているという感覚はとても刺激的で自分のやる気の維持と
て実際の実験。すべてが困難続きでした。しかしメンバーで考察
向上につながることを実感した。
を加えたり、先生方の助言をもとになんとか形にすることができ、
東京大会の懇親会のおかげで、他大の方と仲良くなれたので企
大会に臨むことができました。その過程でも色々な壁がありまし
画していただきとても良かった。ボストン大会では、同年代の人
たが、実験で実際に結果がでたときの感動はいまでも鮮明に記憶
がとても高いレベルで研究していることを知り自分も頑張らねば
しています。それでもやはり他のチームはもっともっとしっかり
と思った。とても良い経験ができて将来自分の進む道に何か糧と
しており、理系の世界で戦うこと、世界で戦うことの厳しさを知
なったら嬉しい。
りました。同時に、その楽しさというのも味わうことができまし
最後に、メンターとしてアイデアを出していただいた陶山先生、
た。東京大会では多くの日本チームの仲間ができ、ボストン大会
wiki の直しを最後まで付き合っていただいた萩谷先生、実験に付
でも海外チームの友人ができました。この大会を通じて得たすべ
き合っていただいた庄田先生、ありがとうございました。
てのものを、今後の人生に生かしていきたいと思います。
最後になりますが、メンターの先生方、今まで様々なことをご
教授くださり、大変お世話になりました。ありがとうございます。
以上で BIOMOD2015 の感想とさせていただきます。
お茶の水女子大学
氏 名: 松迫 翔悟
所属チーム名:UTokyo-Komaba
学 年:2 年
学部・学科名:教養学部理科一類
私は、UTokyo-Komaba チームの YouTube 用動画の作成を担
当しました。苦労した点としては、初めて 3DCG の動画を作るこ
とを試みたため、習得に少し時間がかかったことです。また、チー
ムの研究方針が後半で大きく変更になったため、実験が終わるギ
リギリまで実験パートの動画を作りはじめることができず、締め
切りにギリギリに作ることとなってしまいました。しかし、嬉し
かったこととしては、今後に生かせる 3DCG 動画の作成になれた
ことと、BIOMOD の仲間たちと仲良くなれたことです。一方で
悔しいのは、実験の方針と結果をギリギリまで待ったために、動
画にユーモラスなアイデアを盛り込む時間がなく、ただの説明動
画になってしまったことです。
この大会を通して、海外の文化や風土を学ぶことができ、先生
方には感謝しております。BIOMOD を通して手に入れた人々と
のつながりを大事にしていきたいです。
氏 名: 吉岡 康太
所属チーム名:UTokyo-Komaba
学 年:2年
学部・学科名:教養学部理科一類
4 月から BIOMOD に取り組んできて、私は数多くのものを得
ました。人生において初めて、研究テーマ決めから実験・考察まで、
自分たち学生が中心となって行うという経験。学部に進んだらこ
のようなことが当然になってくるとは思うのですが、専門課程に
進んでない身としては非常に新鮮な体験でした。どのようなアイ
デアがいいか、そのアイデアをいかに理論的に実証するか、そし
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
氏 名: 奈良 香織
所属チーム名:Ochadai
学 年:4 年
学部・学科名:理学部生物学科
限りある時間を精一杯使って取り組んできた BIOMOD。何も
かも分からなかった状態からボストン大会に辿り着くだけでも十
分な成果、賞も銅賞で当たり前…。そんな気持ちで本大会に挑ん
だものの、結果発表で銅賞を言い渡されたとき、そこには悔しが
る自分しかいませんでした。このレベルでは世界には歯が立たな
いことを痛感しました。しかし、この悔しさを味わうことができ
たのも、他チームのすばらしい発表を聞いて強い刺激を受けたの
も、今まで一生懸命このプロジェクトに取り組んできたからこそ
だと思っています。大学生活の最後に、チームとして一つのプロ
ジェクトに取り組む経験ができたのは価値あることであり、今後
の糧になると信じています。私自身、来年また参加できないのが
非常に残念ですが、後輩には今回の反省を活かしてさらに上を目
指してもらいたいと思っています。
最後に、BIOMOD という心に残る貴重な経験をするにあたり、
支えてくださったすべての方々に感謝したいと思います。ありが
とうございました。
氏 名: 板垣 舞
所属チーム名:Ochadai
学 年:4 年
学部・学科名:理学部生物学科
4月初め頃にお茶大チームメンバー募集のポスターを学内で見
て、面白そうだからという単純な動機で BIOMOD への参加を決
めました。プロジェクトに参加するまではこのような研究分野が
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あるということすら知らず、手探りで進めて行くという状況でし
とされました。私はシミュレーションを担当したのですが、言語
た。未知の分野に関わることに戸惑ったり、自身の卒業研究との
を習ったばかりで思うようにいかず、また、物理が1人というこ
両立に苦労しましたが、今まで知らなかった分野の勉強をしたり、
とで頼る人もいなく、苦労しました。結局、技術上のせることは
所属研究室ではやらないような実験をすることは楽しさもあり、
できなかったのですが、wiki 用の画像や動画も tutorial を見なが
とても良い経験だったと思います。東工大の小長谷先生の研究室
ら Blender で作成しました。結果は悔いの残るものではありまし
にて AFM の実験もさせていただきましたが、作った DNA オリガ
たが、BIOMOD 参加をきっかけに新しい技術に触れ、習得する
ミの構造がきちんと見えた時はとても嬉しくなりました。
ことができました。また、学術的な内容を英語で発表するという
大会当日は、他のチームの発表に大いに刺激を受けました。工
貴重な機会を得ることもできました。
学、化学、生物学など各チーム様々な視点から分子をデザインし
ハードな半年間でしたが、参加した甲斐のあるものだったと
ており、この分野は学際的な側面もあると感じました。私は今後、
思っています。今年の活動を皮切りにお茶大での BIOMOD 参加
この分野を主専攻にするわけではないのですが、どこかでつなが
が続いていくことを願っています。
りを見つけられたら面白いな、と思います。
最後に、大会参加にあたってお世話になった日本各チームのメ
氏 名: 藤本 香菜
ンターの先生方、実験でご協力いただいた小長谷先生と研究室の
所属チーム名:Ochadai
皆様、そして約半年に渡ってご指導いただいたナット先生に感謝
学 年:3年
したいと思います。とても貴重な経験ができました。本当にあり
学部・学科名:理学部生物学科
がとうございました。
お茶の水女子大学から BIOMOD 大会への参加は今年が初めて
で、私自身もこのような自主的に考えてそれを形にしていくとい
氏 名: 金子 はるひ
うプロジェクトに参加したのは初めてでした。
所属チーム名: Ochadai
このプロジェクトを通して多くの新しいことを学びました。ま
学 年:4 年
ず、アイディアを考えることです。何に着目し、自分たちはどの
学部・学科名:生活科学部 人間・環境科学科
ような物を作りたいのか、そして何ができるのか。今回は ‘でき
プロジェクト全体を通し、将来に役立つ経験・研究をたくさん
ることが何か’ さえも分からない状態から始まったので、最終的
することができました。Jamboree では世界の学生と交流できた
な案に落ち着くまで時間がかかりました。また実験を考える時に
ことがとても刺激的で、将来海外で活躍したいとさらに強く思う
は、実験の前に何度もシュミレーションを行い条件などを試行錯
ようになりました。当日のプレゼンのクオリティはどのチームも
誤する必要があることを学びました。また、今大会では wiki の
高く、研究内容が興味深いことはもちろん、発表方法も非常に勉
作成という普段の授業ではなかなか得ることのできないスキルを
強になりました。自分の専門とは離れた世界に触れることができ、
身に付けられたので良い経験になりました。
将来の可能性が広がったことは嬉しく思いますが、その分ゼロか
小さな女子大という閉じた環境から日本での大会はもちろん、
ら知識を入れるのに苦労しました。また、チームをどうまとめる
アメリカにまで行くことができ、他の大学のアイディアを知るこ
かなど、プロジェクトテーマ外で学ぶことがたくさんありました。
とができて大変刺激になりましたし、感動しました。もしまた次
とりわけ、お互いのコミュニケーション不足による作業効率の低
の機会があるのであればこの経験を生かしてより良い結果を残せ
下、今まで触れたことのない wiki や YouTube の作成には頭を悩
るように頑張りたいと思います。最後に、今回このプロジェクト
まされました。締め切りに追われる状態で毎日研究を続けてきま
に参加させていただけたことを感謝します。有り難うございました。
したが、最終的にはみんなで一つのものを作り上げることができ、
今は安堵感と達成感で満たされています。学生のうちにこのよう
氏 名:大庭 ジーナ未来
な経験をできたことは貴重で、この機会を与えてくださった人々
所属チーム名:Ochadai
への感謝でいっぱいです。今後もこの経験を生かしながら、次世
学 年:2 年
代を代表する科学者になれるよう日々努力していきます。
学部・学科名:理学部生物学科
今回 BIOMOD に参加するにあたり、初めて DNA オリガミの
氏 名: 恩田 理奈
技術について勉強した。今までは、DNA は遺伝情報をコードす
所属チーム名:Ochadai
る生体物質という認識しかなかったが、DNA を材料に構造を作
学 年:3 年
るという新しい技術に大きな衝撃を受けた。
学部・学科名:理学部物理学科
大会参加には、アイディアを考えることのほか wiki ページ、
お茶大初の BIOMOD 参加ということで、とても大変でした。
youtube ビデオの作成、実験やプレゼンテーションなど課題が多
DNA という名前からしてもっと生物よりの内容だと思っていた
くあり、想像していたよりも大変だった。東京大会では他大学の
のですが、実際は wiki や youtube 作成といった PC 技術が必要
チームの学生と交流し、ボストン大会に向けてのモチベーション
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Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
を上げ、改善点も見つけることもできたので、締め切りまでのタ
を効率よく運ぶ作品は、その実用性に本当に感動しました。この
イトなスケジュールに苦戦もしたが、いい機会だったと思う。ボ
ような機会を与えてくださったお茶の水女子大学とメンターの先
ストン大会では海外の大学の学生が、堂々と自分たちの成果を発
生であるナサナエル先生に感謝の気持ちでいっぱいです。
表していたのが印象に残った。今後のプレゼンテーションに向け
て、大変参考となった。貴重な経験を活かせるよう、今後も機会
を見つけていきたい。
関西大学
氏 名: 飯田 晶子
所属チーム名:Ochadai
学 年:3 年
学部・学科名:理学部生物学科
お茶の水女子大学が BIOMOD に参加するのは今回が初めてで、
テーマの選び方やアプローチ法、タイムスケジュール等分からな
いことばかりで苦労しました。実際に分子の設計を行う段階では
自分たちでは見落としていた問題点をメンターのナット先生に指
摘していただき、先生やチームメンバーと話し合って改善してい
く過程は大変ではありましたがやりがいを感じました。結果は
Bronze 賞となってしまいましたが、東京大会とボストン大会で
各チームのプレゼンや wiki を見て、作りたい構造や観察したい
現象に対して様々な方法が深く検討されていると感じ、内容、発
表法ともに自分たちのチームに足りないものを理解する良い機会
となりました。
また私の専門は生物学なので、DNA や脂質等の生体内分子を
生命システムではたらく物質としてではなく、新たな分子を作成
する材料として捉えるのは初めての経験でした。材料としてどの
ような特性や利用法があるのか勉強し、作りたい機能に対して効
果的なアプローチ法を模索できるようになりたいと思います。遺
伝子工学、医学、薬学、生物学などの幅広い分野でツールとして
も役に立つ生体分子デザインに大きな魅力を感じました。
氏 名:赤松 直秀
所属チーム名:Team kansai
学 年:4 年
学部・学科名:化学生命工学部化学・物質工学科
今回 Team kansai は三人での参加となりました。人数が少な
いために実験や wiki ページの作成などは、常に締め切りに追わ
れていた覚えがあります。しかし少人数であったことは、マイナ
スの影響ばかりではなかったと思います。少ないからこそ各々が
責任を持って自身の役割をこなし、メンバー同士が結束して作業
に取り組むことができました。東京大会では 4 位入賞、ボストン
大会では銅賞という結果となりましたが、当初掲げていた” 提灯
お化けを DNA origami で再現する” というプロジェクトの目標
を達成できたことは嬉しく思っています。半年という期間、仲間
と協力してプロジェクトに取り組んだこと、自分が暮らす環境と
異なる海外へ行き発表を行ったことなど初めてのことばかりで良
い経験になりました。
氏 名:西田 奈央
所属チーム名:Team Kansai
学 年:4 年
学部・学科名:化学生命工学部化学・物質工学科
私たち Team Kansai は3人という人数で BIOMOD に挑みま
氏 名: 中嶋 有彩
所属チーム名:Ochadai
学 年:3 年
学部・学科名:理学部生物学科
私は今回 BIOMOD に初めて参加し、今まで何か分子を研究し
てきたわけでもなく右も左もわからない状態でのスタートでし
た。生体分子であれば、何でも作って良いという条件が逆に自分
のやりたいことややれそうなことが解らなくなってしまい、苦労
したことも多かったですが、大会の結果はともあれチームの目標
であった「紫外線を吸収する」を達成することができたのですご
くやりがいを感じました。東京大会はボストン大会に向けての大
きなモチベーションになり、また東京大会で見たほかの発表が一
か月後どのように良くなっているのか、プレゼンを聞く楽しみに
もなり非常に有意義であったと思います。ボストン大会は本当に
実用的なものも多く同じ年ぐらいの学生が作ったとは思えなくて
非常に刺激的でした。特に DNA ニードルという遺伝子ベクター
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
した。他のチームと比べて一人当たりに対する負担がかなり大
きく、時間的にも厳しいところがありました。しかし私たちは
これをマイナスと考えず、3人だからこそより結束して、実験や
wiki、YouTube の作製に取り組むことができました。日本大会で
は wiki に重点を置くことで4位に入賞することができ、モチベー
ションを高く持つことができました。本大会に向けては研究室に
泊まり込み、毎晩 AFM と格闘し、自分のスキルも上がりました。
そして私たち一人一人は自分の限界を超え、実験結果を出し、自
信を持って本大会に挑みましたが、結果はブロンズと悔しい結果
になりました。しかし、日本チームだけではなく、様々な国のチー
ムから3人で BIOMOD に参加するなんてすごい、おもしろかっ
た等、賞賛して頂き、苦労が報われました。BIOMOD を通して
勉強面や実験スキルだけではなく、様々な国の方と一つのコンテ
ストで自分たちの 100 % を見せ合う経験ができたことが一番良
かったと思います。今後、この経験を自分の糧にしていきたいで
す。でもやっぱりゴールド欲しかった。笑
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氏 名:遊上 晋佑 MOD のためにもさらに研究が必要だと思いました。しかし、こ
所属チーム名:Team Kansai
こまで自信を持ってハーバード大学でプレゼンを行えたのも、良
学 年:4 年
きチームに恵まれたからだと思います。最後に、BIOMOD2015
学部・学科名:化学生命工学部化学・物質工学科
で携わった大会関係者様、私たちのプロジェクトで常にアドバイ
私たちのチームは 3 人という少人数で参加しました。そのため、
スをしてくださった中茎准教授、一緒に頑張ったチームメンバー
分担してもやることが多く大変でした。wiki の締め切り前日に学
に感謝を申し上げます。
校に泊まったのは良い思い出です。BIOMOD に参加しようとお
考えの方は、3 人以上で参加することを強くお勧めします。
氏 名:佐藤 大樹
BIOMOD 本大会では、思っていた以上にフランクな雰囲気に
所属チーム名:YOKABIO
驚きました。しかし、いざ発表が始まるとどのチームも流暢な英
学 年:修士1年
語で発表を始めます。私にとって英語で話すということは簡単な
学部・学科名:学際情報工学専攻システム創成工学分野
ことではなかったのです。言い忘れていましたが、BIOMOD に
BIOMOD への参加は昨年に続き 2 度目となりました。今年は
参加しようとお考えの方は英語のできる方を探しましょう。作業
新しいメンバーを 6 人迎え、班のリーダーとしての位置に立つこ
が大分はかどると思います。
とで、リーダーに必要なことは何か考える機会を得ました。B4
私は自分の発表が終わるまで緊張で他のチームの発表を楽しむ
のメンバーはそれはもう大変な作業量をこなし、理論班、動画班、
余裕はありませんでした。しかし、他チーム、特に海外のチーム
実験班ともに全力を尽くしてくれたと思います。更に、チームの
の多くはとても楽しみながら聞いていたように感じます。メリハ
メンバー以外の手助けも様々受けることで、理論に基づいた綿密
リがあって羨ましい限りでした。
なシミュレーションや 3D によるプロジェクトの視覚化などクオ
結果は銅賞でしたが、海外で発表したことや様々な課題に打ち
リティの高いものを作り上げる事ができました。実験については、
込んだことは良い経験になったと思います。次の大会は機会があ
チームの全員が初心者であり、失敗してしまいましたが、この失
れば、是非参加したいと思います。
敗もまた次の成功のための経験として活かしたいと思います。全
力でプロジェクトに臨んだ私たちでしたが、ブロンズという結果
にチームの全員が悔しい思いで一杯だったと思います。結果は
ブロンズでしたが、BIOMOD のプロジェクトの中で学んだ忍耐、
努力、連帯の大切さはこれから先必ず活かせる貴重な経験となり
ました。この経験をこれからの研究、就職活動などに活用してい
けたらと思います。最後に、大変お世話になった中茎先生、チー
九州工業大学
ム仙台の皆様、実験を手伝ってくださった方々に心より感謝を申
し上げます。ありがとうございました。
氏 名: 瀬口 竜大
氏 名: 藤本 圭伍
所属チーム名: YOKABIO
所属チーム名:YOKABIO
学 年:修士 1 年
学 年:修士1年
学部・学科名: 学際情報工学専攻
学部・学科名:学際情報工学専攻
今回の BIOMOD では、私はチームリーダーとしてプロジェク
今回は4年生のサポート等を担当しました。去年は基礎知識が
トを頑張ってきました。昨年の経験を元に、チーム内でメンバー
欠如している構成メンバに院生を入れて6名で参加しましたが、
を動画班、wiki 班、理論班 ( 実験班 ) など役割分担を細かく分け
全員がボロボロの交代で東京大会を乗り越え、世界大会終了後1
てプロジェクトを進めてきました。国内大会では 3 位という結
週間は誰一人として顔を出さなかったという苦労ものでした。が、
果を出し、自分たちの中で自信が芽生え、世界大会に向けてさら
今年は6人の優秀な4年生が活躍してくれたおかげで負担が少な
にクオリティを上げて、ウェットな実験も行いました。半年間、
かったです。あの地獄の日々が今年は嘘のようでした。若さって
BIOMOD にほとんどの時間を費やして頑張ってきたので、結果
凄い。今年から BIOMOD の敷居が高くなった影響からか、世界
に拘り、特に今回初出場でプロジェクトに大きく貢献してくれた
大会ではトップレベルのプレゼンを体感し、資料やその他の項目
後輩に金賞を獲らせたいという気持ちが強かったです。しかし結
についてもまだまだ学ぶべきことが多そうです。今年度は銅賞と
果は私たちの期待とは反対で、世界の壁を痛感しました。自信が
いうことで上位との格差を感じ、来年度は現在の体制を見直して
あった作品なだけにショックを隠せませんでした。上位チームと
新たな体制を導入すべきだと思いますが、彼らは非常によくやっ
の差は何か、自分たちには何が足りなかったのか、来年の BIO-
てくれたと思いますよ、先生。
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Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
氏 名: 梅田 陽平
氏 名: 西島 勝浩
所属チーム名: YOKABIO
所属チーム名: YOKABIO
学 年: 4 年
学 年: 4 年
学部・学科名:情報工学部システム創成情報工学科
学部・学科名:情報工学部システム創成情報工学科
この BIOMOD への参加は自身の研究の知識を向上させるだけ
BIOMOD に参加して、たくさんの新しい知識をつけ、また様々
ではなく、海外で英語で発表することで語学力、プレゼン能力の
な経験をすることができたのでとても良い経験になったと思いま
成長にもつながりました。専門外の分野を研究し、理論を構築し、
す。私たちの大学は情報系の大学であるため、生物系の知識や実
実験をすることは安易なものではなく、多くの課題に直面しまし
験に関する基本的な知識も持っていませんでした。そのためチー
た。今回チーム YOKABIO として発表したテーマの理論の構築
ムメンバーで同じ参考書を読むなどして、基礎知識をつけていく
を担当をし、数々の論文に目を通し、シミュレーションをしまし
ことから始めました。その他にも実験に関する基礎知識がないこ
た。プログラムの行数も膨大なもので何度も試行錯誤を繰り返し
とから、実験についての勉強のため東北大学へ伺ったりするなど
成功できた時の達成感は凄いものでした。国内大会のプレゼンの
の経験もすることができました。また、普段は英語で発表する機
作成も担当しましたが、うまく本質を伝えられなかったのが課題
会はないのですが、東京大会やボストン大会で英語で発表したこ
となりました。次に国内大会後 Visual DSD でのシミュレーショ
とも良い経験だと思います。英語で発表をする機会を得たことで、
ン及び塩基配列設計をしました。Matlab によるシミュレーショ
自分自身の英語力のなさを痛感するとともに、英語の重要性を知
ンのようにうまくいかず、成功までにかなりの時間を費やしまし
ることができました。
た。実験班が実験をしている間に wiki やプレゼンを作成しました。
約半年間の長いプロジェクトでしたが、得たものが多く、また
当日、世界各国から様々なチームが来て、英語にふれあい刺激を
参加しないと絶対に経験することができないことばかりでしたの
受けました。どのチームも素晴らしい発表の中、東北大学が優勝
で参加して良かったと思っています。すばらしいチームメンバー
したことは日本としての誇りであり、同時に GOLD 取れなかった
で今回の BIOMOD に参加できたことを誇りに思います。
悔しさを実感しました。しかし、BIOMOD で得たものは非常に
大きく、成長できたのではないかと思っています。
氏 名: 水田 安昭
所属チーム名:YOKABIO
学 年:4 年
学部・学科名:情報工学部システム創成情報工学科
BIOMOD という学生プロジェクトに参加することは、今後の
学生生活において、そして迎えるだろう会社での生活において多
いに役立つであろうと考えている。今回参加して強く感じた。例
氏 名:宮原 裕紀
えば半年間という長い時間を十数人の人たちと仕事を分担してひ
所属チーム名:YOKABIO
とつの課題を作り上げることが挙げられる。自分自身も動画作成
学 年:4 年
や wiki ページ作成を担当して、動画、wiki ページの作り方を学
学部・学科名:情報工学部システム創生情報工学科
ばさせてもらったが、このプロジェクトに参加しなければ到底出
BIOMOD を通して、多くのことを経験することができました。
来なかったことだと思う。そう思うと、よくボストン大会まで続
私の専門は制御・情報系なので、こういった生物化学系の分野の
けられたものだと感慨深い。これもこのチームメンバーであった
学習は何もかもが初めてのものでした。慣れない分野での学習は
からこそ続けられたものだ。
大変でしたが、私の視野を広げるいい機会となりました。また、
今回はブロンズという悔しい結果になってしまったが、なによ
チームで取り組むことの強さや大切さを学ぶこともできました。
りもこのチームでこのプロジェクトに参加できたことは今後一生
研究室の先輩方や同階のみんなと協力することで、辛く大変な作
経験できないことであり、この経験ができたことはゴールドを超
業でも乗り越えることができました。そのたびに達成感を共有し、
えるものだと胸を張って言える。
チームとしての一体感を得ました。
今後は、動画を制作するにあたって、分子デザインの理論構築
そして何より、アイディアから設計やシミュレーション、実験
に関して深い興味を持ったので、そこに深く関わっていきたいと
までを自分たちの力でやり遂げることのできたという事実は、私
思う。今回参加させていただいたことに、国内大会で関わった他
にとって大きな自信となりました。BIOMOD で得た知識や技術、
大学の方達を始め、チームメンバーのみんな、そして中茎先生に
経験、そして自信を、これからの私の研究や人生に生かしていき
深く感謝いたします。
たいです。
Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15
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氏 名: 緒方 研仁
発表はシンプルな資料を使っているのはわかったのですが、私は
所属チーム名:YOKABIO
生物系の知識が少なく、BIOMOD での他のチームのアイディア
学 年:4 年
が全く分かりませんでした。せっかく他のチームの発表が聞ける
学部・学科名:情報工学部システム創成情報工学科
のに理解できないのはもったいないと感じました。次回までに工
私は今回のプロジェクトの動画班として活動しました。CG ソ
業系以外の分野も勉強したいと思いました。
フトや動画編集ソフトを用いて、私たちのアイディアを動画にす
る役割です。CG ソフトは全く触ったことがなく 1 からのスター
トでした。私たちのチームのアイディアを動画一つで誰にでもわ
かりやすく表現するのは非常に難しく苦労しました。今回、他の
チームの動画やプレゼン資料を見て思ったことは、私たちのもの
よりシンプルだと思いました。私たちは多くのものを詰め込み過
ぎていて分かりにくくなっていたと思います。これから作るであ
ろう、プレゼン資料などはできるだけ分かりやすく、シンプルな
ものを作ることに徹底したいと思います。
日本チームの成績
大会結果
■北海道大学 Project Award 金賞
■ Grand Prize
1st Prize: 東北大学(日本) 総合優勝
2nd Prize: ルートヴィヒ・マクシミリアン大学・ミュンヘン校(独)
http://biomod-hokkaido-univ.github.io/wiki2015/
■東北大学 Project Award 金賞
http://teamsendai.github.io/
3rd Prize: 華中科技大学(中国)
■筑波大学 Project Award 銅賞
■ベスト YouTube 賞
http://biomodtsukuba.github.io/
1st Prize: 東北大学(日本)
■東京大学駒場 Project Award 銅賞
2nd Prize: ベルリン工科大学(独)
http://teamkomaba2015.github.io/
3rd Prize: 華南理工大学(中国)
■ベスト Wiki 賞
■お茶の水女子大学 Project Award 銅賞
1st Prize: 華南理工大学(中国)
https://rawgit.com/biomod-ocha/2015/master/sample.
2nd Prize: ルートヴィヒ・マクシミリアン大学・ミュンヘン校(独)
html
■関西大学 Project Award 銅賞 3rd Prize: 東北大学(日本)
http://openwetware.org/wiki/Biomod/2015/Kansai
■ベストプレゼンテーション賞
1st Prize: ルートヴィヒ・マクシミリアン大学・ミュンヘン校(独)
■九州工業大学 Project Award 銅賞
http://biomod2015.github.io/yokabio_kyutech/
2nd Prize: 東北大学(日本)
3rd Prize: 国立台湾大学(中華民国)
■聴衆賞
1st Prize: ブリティシュ・コロンビア大学(カナダ)
2nd Prize: 東北大学(日本)
3rd Prize: サンパウロ大学(ブラジル)
■達成度で与えられる賞
金賞:東北大学、北海道大学
Molecular Robotics Research Group. News Letter No. 15
発行:新学術領域 分子ロボティクス 感覚と知能を備えた分子ロボットの創成
事務担当 :村田智(東北大学 [email protected])
広報担当 :小長谷明彦(東京工業大学 [email protected]) http://www.molecular-robotics.org/
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Molecular Robotics Research Group. News Letter No.15