ISO 規格 - 日本下水道事業団

JS技術開発情報メール №169 号掲載
◇ 国際戦略室からのお知らせ ◇
禁無断転載
ISO/TC275 シドニー会議に参加しました
国際戦略室 山下喬子
世の中には色々な国際規格(ISO 規格)が存在します。一般的には、ISO9000 シリーズ
(品質マネジメントシステム)や ISO14000 シリーズ(環境マネジメントシステム)など
をよく耳にするでしょうか。下水道分野ですと、ISO/TC224(上下水道サービス)や
ISO/TC251(アセットマネジメント)、ISO/TC282(水の再利用)などがあります。
ISO/TC275 は「汚泥の回収、再生利用、処理及び廃棄」に関する専門委員会です。…「TC」
というのは Technical Committee の略で、規格を開発するために設置された専門委員会の
ことです。TC の下には個別のテーマについて議論するための分科委員会(Sub Committee,
SC)
、さらにその下に作業グループ(Working Group, WG)が設置されますが、TC275 に
ついては SC が設置されず、TC の直下に WG が設置されています。最終的に規格が完成す
ると、ISO9000 などと番号が付与されて発行されるのです。
…さて、本題です。去る 2015 年 11 月、TC275 の第 3 回全体会議が開催されたので、筆
者を含め 5 名で結成した「チーム JAPAN」で参加してきました。日本下水道事業団(JS)
は(一社)日本下水道施設業協会と共に、TC275 の国内審議団体として、日本の汚泥処理
技術の国際展開に資するため、国内の意見を集約し WG へ提案するための窓口の役割をし
ています。なお、TC275 は 2013 年 2 月に発足し、第 1 回パリ会議、第 2 回トロント会議
に続き、今回初めて南半球での開催となりました。
全体会議は 11 月 9 日(月)~13 日(金)、オーストラリアのシドニーにある、オースト
ラリア規格協会で開催されました。初日はワークショップが行なわれ、有志の各国代表者
が、自国の汚泥処理の現状について紹介をしました。日本からは、国内審議委員長によっ
て、焼却やエネルギー回収などの熱操作技術、リンなどの資源回収技術の事例紹介を中心
とした講演がなされました。オーストラリアやカナダ、イスラエルなど、コンポストなど
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汚泥の土壌還元が盛んな地域の人々から見ると、これら日本の技術への熱の入れようは新
鮮に映るそうで、特に広大な国土を持つ国の方からは「日本はわざわざエネルギーをかけ
て減容化するのよね…」などと後でボソっと言われました。
2~4 日目は半日ずつ区切って各 WG 会議が開催されました。第 3 回会議ともなると議論
が進み始め、規格案の構成がおおよそ決まった WG では記述作業の分担をしたり、既にあ
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る程度文章ができている WG では原案にコメントや修正案を反映させていく作業をしたり
と、活発に議論がなされていました。どの WG も普段からメールベースでやり取りをして
いるのですが、こうして顔を合わせて議論すると話が一気に進展するのを実感します。
そして 4 日目午後~5 日目にかけては総会が開催され、各 WG での議決結果が報告され
ました(写真-1)
。それぞれの議長が作成した議事メモがスクリーンに表示され、発表され
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ていきます。その中で、筆者が出席していた某 WG のメモの中で「M r s . XXX(筆者の名前)
will…」と表示されており、ざわつくチーム JAPAN(一応、筆者は独身女性ですので…)
。
そう、日本の英語教育では「Mrs. は既婚女性に使う」と教えられたはずですからね。筆者
は暢気に(おー、年相応に見られたか、よかったよかった)などと思っていましたが、イ
タリア人の議長に後で聞くところによれば、
「イタリアでは 18 歳以上の女性に Mrs. を使う
んだ」とのこと。…やはり年相応(?)でした。
ところで、シドニーはコンパクトな街でした。その気になれば主要ポイントへは歩いて
回れますし、市内を 7 種類の電車が走っています。筆者らも宿泊場所近くのセントラル駅
(シドニーのターミナル駅)から電車に 10 分弱乗って会場に通ったのですが、会場の最寄
駅(サーキュラーキー駅)からは、かの有名なオペラハウスやハーバーブリッジを眺める
ことができました(写真-2)
。ちなみにこの電車の出入口付近にはロングシートがあり、前
には吊り革と思しき何かが(写真-3)。持ち辛い上に高さはオーストラリア仕様。筆者には
使いこなせませんでした。
そうして 1 週間の会議は無事終了しました。次回の全体会議は来年 10~11 月頃に、ウィ
ーンまたはパリで開催される予定です。本邦技術の海外展開に役立つよう、JS は今後も引
き続き国際標準化業務に取組んでまいります。
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写真-1
総会の様子。前で着席している方が TC275
の議長、立って説明している方は TC275 の
秘書。
写真-2
会場最寄駅ホームからの眺め。左手奥がハー
バーブリッジ、右手奥がオペラハウス。手前
には出航を待つフェリーが泊まっている。
写真-3
シドニー市内を走る電車の吊り革。
写真-4
筆者が記念スタンプ代わりに収集している
ご当地(?)マンホール写真。上部に
「SEWER」の文字が確認できる。1 週間散々
歩き回ったのになかなか歩道にマンホール
が無く、車道にあったものを撮影した。ちな
みに、シドニーでは分流式下水道が採用され
ている。
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