「ID倉庫」のビジョンを具体化する - 大塚倉庫

共通プラットフォーム
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神戸に医薬品専用のBCP拠点を整備
「ID倉庫」のビジョンを具体化する
第 回
今秋、
大塚倉庫は神戸市北区に延べ床面積約1万坪の「西
日本ロジスティクスセンター」を稼働させる。グループの
BCP(事業継続計画)拠点として運用すると同時に、医薬
品の共通プラットフォームの基地として機能させる。
「ID倉
庫」のビジョンを具体化するモデル拠点と位置付けている。
(進行役:本誌編集部)
物流拠点をショールームに
── 医 薬 品 専 用の西 日 本ロジスティクスセン
ターが、2015年秋に完成します。
大 塚 倉 庫 濵 長 一 彦 社 長「アクセスが良く
地 震リスクの低い内 陸 部に、 免 震 構 造の施 設
を建 設して医 薬 品 専 用の共 同 物 流センターの
せなくなる恐れがあります。 とりわけ大 塚 製
BCP拠点として利用します。それと同時に、
当社が『ID倉庫』と銘打って開発を進めて
薬工場が約
%のシェアを握っている輸液は、
いる新しい庫内オペレーションを全面的に導入
大塚倉庫 濵長一彦
代表取締役社長
で、力の出しがいがありました」
具 体 化していく過 程は非 常にクリエーティブ
を強く求められていた。 それを一 緒に考えて
な物 流 戦 略をお持ちで、 それに合 致する施 設
大塚倉庫さんの場合は全く違いました。明確
話ばかりになってしまうことも多いのですが、
決まっていて、 後はいかに安く造るかという
りました。 倉 庫の建 設は初めからスペックが
竹中工務店 豊増史郎 常務執行役員「われ
われにとって大 変にやりがいのある仕 事にな
──設計のポイントは?
置を提案して承認を受けました」
その二つの役 割を併せ持った大 規 模 施 設の設
なる拠 点を大 消 費 地に求めていましたので、
トフォームを大きく展 開していく上での核と
アです。 一 方、 大 塚 倉 庫としては共 通プラッ
み増して、 それを消 費 地に置くというアイデ
災した場 合に復 旧にかかる日 数 分の在 庫を積
することを提 案しました。 万が一、 工 場が被
検討するグループの全体会議で、物流でカバー
それがなければ手術ができなくなってしまう、
──BCP拠点とは?
竹 中・ 豊 増「 医 薬 品の共 通プラットフォーム
して先 進モデル拠 点にします。 I D 倉 庫をお
大 塚 倉 庫・ 濵 長「 大 塚グループは医 薬 品の主
として運 用するということでしたので、 提 案
絶 対に切らすことのできない製 品ですので関
要 工 場を四 国に置いています。 そのため懸 念
に当たって医薬品に強い人材をプロジェクトメ
客さまに見ていただくショールームとしての役
されている南 海トラフ地 震が発 生して工 場が
ンバー に加えて社 内で侃々諤々 の議 論を重ね
係者には強い危機感があります」
被 災したり、 本 州とのアクセスが寸 断されて
ました。 倉 庫の設 計では縦の動 線をどこに置
割を持たせます。 その設 計と施 工を竹 中 工 務
しまうようなことが起きれば、 安 定 供 給とい
くか、柱のスパンをどう取るかということが、
店さんにお願いしました」
う医 薬 品メーカーとしての社 会 的 責 任を果た
「 しかし、 そのために工 場を分 散するのは
いかにも負 担が大きい。 そこでリスク対 策を
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企 画 広 告
大塚倉庫 西日本ロジスティクスセンター
所在地
神戸市北区赤松台1丁目2番
(中国自動車道 神戸三田 IC 至近地)
規模
敷地面積約 4 万平方メートル、
延べ床面積約 3 万 2000 平方メートル
構造
地上 4 階建て 基礎免震構造
建物構成
1∼3階:輸液 4 階:治験薬およびピッキングエリア
トラックバース 両面バース
(7 台+2 台)
設備
発電機能付きガス空調(GHP/ 1∼30 度)、
LED 照明、非常用発電機(72 時間対応)
など
着工・完成
2014 年 9月着工、15 年秋完成予定
オペレーションや保 管 効 率に大きく影 響して
きます。 柱の位 置がたとえ センチ違っ ても
るというアプローチで設 計に取り組みました。
ロー を考え、 それに合 致したハードを設 計す
「 そこでまず、 入 荷から保 管、 ピッキング、
出 荷までの作 業を最も効 率 的に処 理できるフ
1パレット置けなくなってしまう恐れがある」
大 震 災 以 降、 人を守るという観 点から建 物の
かなり広 範 囲で起きたことでした。 阪 神 淡 路
物が崩れてしまって出荷できないという事態が、
建 物はそれほど被 害を受けていないのに、 荷
──免震機能については?
成長に向け決意を示す
その結果、例えば最上階の4階は多品種管理
耐 震 性の改 善が進みましたが、 3・
以 降は
竹 中・ 豊 増「 東 日 本 大 震 災の教 訓の一つは、
を伴う、治療薬を効率的に保管するため、屋
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て細 部を詰めていきます。 そうやって仮 説を
仮説ですので、それを大塚倉庫さんに確認し
ただし、 われわれが考えたフロー はあくまで
その分、 広く使えて自 由にレイアウトできる。
根を軽くすることで柱を2本ずつ飛ばしました。
のかという判 断が大 事になります。 その点で
崩れを防いで、 なおかつ経 済 性を確 保できる
で性 能が変 動しますので、 どう計 画すれば荷
ました。ただし、免震装置の種類、配置など
ワードの一つになり、倉庫への免震適用が進み
それに加えて『荷物を守る』という言葉がキー
きましたので、
解析力には自信を持っています」
検 証する中で、 また化 学 反 応のようにお互い
ました」
──かなり大規模な投資になります。
当社は独自のシミュレーションツールを開発し、
大 塚 倉 庫・ 濵 長「 トラックバースの位 置や幅
大塚倉庫・濵長「当社が工場隣接型以外の自
からプラスアルファのアイデアが出てくる。そ
なども、 ちょっとした違いで作 業 効 率が全く
社センターを建設するのは実は今回が初めてな
他のどこよりも多く荷崩れの実験を繰り返して
変わってくる。感覚的には分かっていましたが、
内外にはっきりと示すつもりです」
高 1 千 億 円の実 現に向けたわれわれの決 意を
して展 開することで、 当 面の目 標とする売 上
共通プラットフォームのインフラを自社施設と
センター の設 置を検 討しています。 消 費 地に
並行して現在、関東地区と中部地区にも自社
共 同 物 流センター を構 築します。 また関 西と
供給を効 率 的に実 行するため、 消 費 地に近い
品で培ってきたノウハウを外部へ提供し、安定
のです。 しかし現 在は、 大 塚グループの医 薬
れを設 計に反 映させるという作 業を繰り返し
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竹中さんのシミュレーション結果を見て、あら
ためて驚かされました」
竹中工務店 豊増史郎 常務執
行役員