資料5 心に響くPR戦略 ~地方発PR戦略について~ 2015年 1月7日 株式会社TMオフィス PRプロデューサー 殿村美樹 内 容 1.なぜ、地域活性化にPRを活用するのか。 2.事例にみる地域活性化のポイントと課題。 3.ヒットする「地域ストーリー」の作り方。 Ⓒ miki.tonomura 1 はじめに 私は、約30年間、地方のPR戦略にこだわり続けてきた PR(パブリック・リレーションズ)の専門家です。 PRの概念は日本社会に馴染まず、ビジネスにもなりにくいため、 当初は、地方にいながらも大企業や地方博、巨大テーマパークをPRしていました。 しかし1995年、兵庫県西宮市で、阪神淡路大震災により被災しました。 そのとき「生き残ってしまった」思いとともに、価値観が180度変わり、 PR(パブリック・リレーションズ)の本来の効力を役立てたいと思いました。 以来、PR(パブリック・リレーションズ)こそが、 地方活性化に必須のノウハウと確信し、これまで約2500件の実績を積んできました。 その過程で「ご当地グルメ」「漢字ブーム」「ゆるキャラ」「自虐PR」などが生まれ、 「地方発国民的ブームの仕掛人」と言っていただけるようになりました。 本日は、私が独自に培ってきたノウハウの中から、 「ヒットする地域ストーリーの作り方」を提案します。 参考にしていただければ幸いです。 Ⓒ miki.tonomura 2 なぜ、地方活性化にPRを活用するのか(基本概念) PR=パブリック・リレーションズ アメリカ発祥の「Win&Win」コミュニケ―ション 「広報」は誤訳。日本では理解されにくい概念。 日本人の7割を占める地方在住者 日本の99.7%を占める中小企業を元気にする特効薬 PRは、お金を使わず、いつのまにか、 イノベーションを起こすことができる。 Ⓒ miki.tonomura 3 なぜ、地方活性化にPRを活用するのか(効果) PR戦略とは、 「太陽の戦略」の仕組みづくりです。 イソップ童話「北風と太陽」に例えれば、 広告は「北風」、PRは「太陽」 PR戦略とは、戦略的に周りの空気(気運)を変えて、 人々がみずから動く「仕組み」をつくること。 外資系企業の「太陽の戦略」新市場開拓に効果 ⇒ 地域PRに効果 Windows iphone Ⓒ miki.tonomura ツイッター 4 ブームづくりの基本展開(事例:漢字ブームづくりのプロセス) 「漢字」SWOT分析(1995年当時) 強み 弱み 機会 脅威 世界有数の表意文字 → 一文字で様々な意味を 語ることができる 一年の世相を清める「奉納儀式」 テレビに 「漢字バラエティ」 「漢字クイズ番組」 いつも使うから無し! → 作る! 記念日「漢字の日」 新聞・雑誌に 「漢字パズル」 古くてダサいイメージ → 子供は粗相すると罰 に漢字ドリル 英語や外国語重視の 日本社会 →日本人が日本語を 正しく使えなくなる! 検定リリースに 「過去最高の志願者」 大学で単位認定 ①象徴的なニュースをつくり、②マスコミを味方につけて ③「現実的なデータニュース」を継続発信する。 Ⓒ miki.tonomura 5 地域では「現実的データニュース」つくりが課題 ①象徴的なニュースづくり ⇒ 時代にマッチした演出ができれば可能 ②マスコミを味方につける ⇒ 継続的な仕掛けができれば可能 (専門家が支援する場合、単年度契約が壁に) ③現実的なデータニュースを仕掛ける ⇒ 地域に自主的活動が生まれなければ不可能 Ⓒ miki.tonomura 6 地域PRでは「排他的風土」の逆活用がポイント。 地域PRでは「もともとある資源」に「時代にマッチした演出」を施すことで 排他的風土が逆転して自主的な活動が発生します。 ~ そのデータを継続的に発信することでプラスのスパイラルに発展します~ ◆地域PRのポイントは「排他的風土」の逆活用と考えます。 基本=地域の大半の人々は変化が嫌い(ゆで蛙状態)。 背景=東京と異なり、地域では「変化への抵抗」の方が大きく「変化=悪い」のイメージがある。 機会=「もともとある資源」に「時代の光」が当たると「変化」に火がつく。 理由=排他的風土がプラスに働き「自分たちのものを、よそものにいじられたくない」と思うから。 結果=「外部から賞賛されたものを自分たちで守り育てる」気運が生まれる。 成果= いつのまにか変わる。変化を好まない風土ほどその状態が定着する(持続可能性が生まれる)。 「地域ストーリー」は、 「もともとある資源」に「時代にマッチした演出」になると考えます。 Ⓒ miki.tonomura 7 成功事例に見る、地域ストーリーづくりのポイント。 地域ストーリーづくりのポイントは、 時代のニーズにマッチした地域資源に、時代のスポットライトを当て、 過去のストーリーではなく、未来に向けてストーリーを「生む」こと。 【ひこにゃん】2007年「彦根城築城400年祭」に女性観光客を誘致。 ・「彦根城築城400年祭」のマスコットとして公募で決定。 ・地元の彦根市は地味なイベントばかりを企画。滋賀県が客観的なPRを依頼。 ・「ひこにゃん」で少子化時代の女性を誘致するために、女性記者達を取材誘致。 ・「女性観光客に人気」とニュースになり、「ゆるキャラ」ブームに火をつけた。 地域ストーリー ⇒ 彦根城に「ひこにゃん」武勇伝が生まれる。「ゆるキャラ」元祖となる。 【うどん県】2011年 香川県の新しい取り組みをPRするために。 ・当初、まったくマスメディアに相手にされなかった。 ・ネット時代を背景に、カリスマブロガーに戦略的PRを仕掛けた。 ・香川県のサーバーがダウンして、新聞の三面記事になってブレーク。 ・「動画PR」「自虐PR」ブームに火をつけた。 地域ストーリー⇒ 香川県に「うどん県」ストーリーが生まれる。「自虐PR」「動画PR」元祖となる。 Ⓒ miki.tonomura 8 失敗事例にみる地域ストーリーづくりの課題 最も大切なポイントは、よそもの感覚でストーリーを作らないこと。 地元の気持ちを尊重し、変化を「見える化」することも重要。 【青森パワースポット】2011年「恐山」のようなスポット100カ所で観光PR ・青森県に点在するパワースポット100カ所を発掘。ブームに乗り観光PR提案。 ・記者発表すると地元トップの話題に。雑誌社主催のツアーも販売へ。 ・地元の市民は「恥ずかしい」と協力せず、受け入れ体制まったく整わず。 ・話題づくりだけで終了。 外部からみた「旬の観光ストーリー」は、地元にとって「恥ずかしい」だけだった。 【大分県宇佐市の宇佐神宮】2012年 宇佐最大の歴史ストーリーを発掘。 ・八幡社の総本宮「宇佐神宮」は「伊勢神宮」「出雲大社」と並ぶ大社。 ・「宇佐神宮」をしっかりアピールすれば観光客はやってくるはず。 ・地元の市民に「誰が掃除するの?」と言われる。 ・結局、から揚げのご当地映画で盛り上がる。 外部からみた「凄い歴史ストーリー」は、地元にとって「よそものに荒らされる脅威」だった。 9 ヒットする「地域ストーリー」の作り方 地域の「今」から、時代の価値観とマッチする「資源」を発掘する。 発掘した資源を、「今」の情報に加工・演出して発信。 未来に向けた「地域ストーリー」を仕掛ける。 (地域の風土を考慮して、メディア、旅行会社、オピニオンリーダー等の協力を得る) 地域の人々が「地域ストーリー」を守り育てる。 (排他的風土の逆活用で、地域がみずから動く仕組みが生まれる) 地域に新しい文化や歴史が生まれる。 キーワードは「今から始まる地域ストーリー」と考えます。 Ⓒ miki.tonomura 10 (参考)ニュースづくりに必要な「三原則」 ケータイ、スマホの影響で・・・ 共感できるストーリー 10文字以内 インパクトの強いビジュアル 長い説明や、長文のパンフレットは逆効果! Ⓒ miki.tonomura 11 (参考)いまどきの話題は「3つのメディアを連動」させてつくる。 マスメディアで 紹介された情報を 自社メディアで 正しく深く伝える。 マスメディア (社会的評価) マスメディアで 紹介された情報を ソーシャルメディアで 拡散する。 ソーシャル メディア (クチコミ) 自社メディア (情報公開) ソーシャルメディアでの 誤解を自社メディアで 正しく伝える。 Ⓒ miki.tonomura 12 おわりに 地域活性化は、地域の人々が自発的に動く仕組みづくりから始まると思います。 地域の文化や歴史は、地域の人でなければつくることができないからです。 「よそもの」は、そんな地域をリスペクトし、 「よそもの」ならではの「今の感性」で魅力を見つけて「褒める」ことが 新たなストーリーをつくるポイントと考えます。 キーワードは「今から始まる地域ストーリー」 過去を掘り起こすのではなく、「今」にスポットをあてて、 未来に向けたストーリーをつくることが、地域に新しい文化や歴史を生むと思います。 ご清聴、ありがとうございました。 Ⓒ miki.tonomura 13
© Copyright 2024 ExpyDoc