エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) 特集■グローバルに先進技術開発を実践するNTTデータのR&D 1 インタビュー 海外 R&D 拠点における活動を 強化しグローバル R&D を より一層推進 NTTデータ技術開発本部はソフトウェア開発・PM 領域、先進技術領域の R&D、技術トレンド 予測等、さまざまな活動を進めている。なかでも2014 年 4月に中国やAPAC 地域において相 次ぎ R&D 拠点を設置するなど、グローバル R&D 活動を強化している。 同本部の本部長を努め る木谷強執行役員にお話を伺った。 ㈱ NTT データ 執行役員 4 つの枠組みで取り組む グローバル R&D 基盤システム事業本部長 兼 企画部から成り立っています。 技術開発本部長 木谷 強氏 術やビッグデータ処理基盤等、日本 ̶グローバル R&D を積極的に推進 ̶まず貴本部の概要について、改め する背景をお聞かせください。 てお聞かせください。 の技術を海外に展開する取り組みで 木谷 NTT データは今でも国内ビ す。生 産 技 術 の 展 開 は 特 に 中 国 や 木谷 ソフトウェア開発・PM 領域 ジ ネ ス の 比 率 が 大 き い の で す が、 APAC 地域で進んでいます。2 つめ に取り組む“ソフトウェア工学推進 M&A を積極的に進めたこともあり、 は 海 外 拠 点 に お け る R&D で す。3 センタ” 、“プロジェクトマネジメン 近年の伸びが大きいのは海外ビジネ つめはグループ横断のチームが共同 ト・イノベーションセンタ” 、 “ALM スです。今後も伸びが期待でき、グ で 1 つのテーマに取り組む“Global ソリューションセンタ”に加え、先 ローバル R&D の重要性がますます One Team(以下 G1T)”です。技術 進技術領域に取り組む“サービスイ 高 ま っ て い る た め、 グ ロ ー バ ル 開発本部は QAT(Quality Assurance ノベーションセンタ”、さらに技術 R&D に対する投資も年におよそ 20 Testing)、BI(Business Intelligence)、 トレンドの分析・予測やグローバル ∼ 30% 伸ばしています。 Mobile、AMO(Application R&D に関する取り組みを担当する 1 2 ̶具体的には ています。4 つめは海外研究機関と 生産技術、Big Data処理基盤などの展開 どのようにグロ ーバル R&D を推 協力して進める先進的技術の R&D TERASOLUNA自動化ソリューション、ITSM WB など 日本保有技術の海外展開 海外拠点におけるR&D強化 現地ビジネスに即したソリューション開発 Social/Gamification (北米) 、Industry4.0 (ドイツ) など 3 Global One Teamにおける共同研究 各センタにおける個別連携、Global R&D initiative Testing/BI/Mobile/AMO Global One Team など 4 海外研究機関とのR&D 先進的技術の研究開発 スマートシティ (インドネシア) 、交通 (シンガポール、中国) など 図 1 グローバル R&D 活動の枠組み 72 Management Outsourcing) に参画し です。 進されているの でしょうか。 木谷 大きく分 海外に設置した各拠点における R&D 活動を強化 けて図 1 に示す ̶2014 年は特に R&D 拠点の設置が ような 4 つの枠 目立ちました。 組みでグローバ 木 谷 は い。G1T の よ う に グ ル ー ル R&D に 取 り 組 ん で い ま す。 1 つめは生産技 プで同一のテーマに取り組むグロー バル R&D には以前から力を入れて いました。 ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.1 エンタープライズICT総合誌 月刊ビジネスコミューニケーション(Webサイトへ) 一方でビジネス規模など、現地の 事情は地域により異なるため、各地 域の違いに応じたソリューション開 発も必要です。日本の技術をグロー バル展開するにしても、現地の事情 中国科学院共同研究センター 地域:中国 設立:2014年4月2日 SNSとヘルスケア分野における 研究成果創出と実証実験 TSO (NTT DATA China) 地域:中国 設立:2010年 生産技術展開 Advanced Initiatives 地域:北米 設立:2014年11月 Innovation活動の推進 Practice部門との連携活動の推進 に合わせて地域ごとにアレンジを加 えるなど、工夫が必要になります。 そうした理由から、図 2 に示すとお り、過去1 年の間に多くの R&D拠点 を設置することで、各地域の特色に 合わせたR&D を推進しています。 Innovation Laboratories Singapore 地域:シンガポール 設立:2014年4月1日 Innovation Laboratories Bandung 地域:インドネシア 設立:2014年4月1日 APAC技術戦略の統括と実行 先進R&D及び実証実験の推進 先進R&D及び実証実験の推進 図 2 海外 R&D 拠点の現状 り、実証実験の機会が多いためです。 ションの要素を取り入れることにな またシンガポールの研究機関であ った際も、同社が大きな役割を果た 木谷 中国や APAC 地域には日本か る I2R と協力するなど、現地での しています。同社のイノベーション らプロジェクトマネージャーが派遣 技術開発も進めています。 に繋がるような R&D 活動をバック ̶各拠点でどのようなことに取り組 まれているのでしょうか? されるなど、欧米に比べて日本の生 産技術を展開しやすい環境にあるた アップし、グループ全体でその知見 ̶欧州には R&D 拠点を設置しない を 活 用 し て い く こ と が Advanced め、技術展開・普及を中心に進めて のでしょうか? い ま す。APAC 地 域 に 多 い ODA 案 木谷 現時点で具体的な計画はあり よりビジネス化に近い取り組みが 件に対応していくためにも、今後生 ませんが、将来的に設置したいと考 中心であることも、当面の目標が実 産性の向上は重要な課題です。NTT DATA China に担当者が常駐し、自 動化開発案件における生産性の向上 に取り組んでいます。 このほか APAC 地域では、先進 国と比較して交通渋滞等の社会問題 が深刻なことに加え、社会インフラ えています。欧州における R&D 活動 は現在もグループ会社と個別に進め ̶北米の新たな拠点は役割が少し異 木谷 今年は中国や APAC 地域にお 木 谷 2014 年 11 月 に ス タ ー ト し マートシティの実現に役立てるため には、実証実験が欠かせません。シ ンガポールやインドネシアに R&D 拠点を設置したのは、今まさに社会 インフラの整備が進もうとしてお ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.1 実証実験を確実に実施していく ̶今年の抱負をお聞かせください。 ンシング技術を起点としてサイバー コンピューティングを交通制御やス 地域と異なる点です。 北米ではイノベーションを重視 した取り組みを強化 の整備も進んでいません。一方でセ を制御するサイバー・フィジカル・ 証実験の実施である中国や APAC ています。 なるようですが・・・ 空間からフィジカル空間(実世界) Initiatives の役割です。 た Advanced Initiatives は、正確には 拠点ではなく、現地で活動するイノ ベーションのチームです。 北米の NTT DATA, Inc. は、特に ソーシャルやスマートフォン、ゲー ミフィケーションの分野に早くから 取り組み、先見性を発揮してきまし いて、交通、エネルギー、ヘルスケ ア分野で、社会イノベーションに関 する各種実証実験の実施が見込まれ ています。まず、そうした実証実験 を確実に実現していきたいと考えて います。また、海外グループ会社と の R&D 連携も加速していきます。 ̶本日は有難うございました。 た。たとえば日本でゲーミフィケー 73
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