米国株式 - 岡三証券

お客さま用資料
発行日:2014 年 12 月 22 日
(作成日:2014 年 12 月 18 日)
米国株式
・1月は原油価格急落をキッカケとする波乱に注意が必要だが、下値固めから反発へ
・内需主導の成長が続く米国を再評価へ、10-12月期決算を材料に選別物色が強まろう
・ NYダウの予想レンジは、17,200 〜 18,400ドル(12/18終値:17,778.15ドル)
3ヵ月後予想
NYダウの推移と想定図
(ドル)
18,000
17,000
16,000
15,000
NYダウは外部環境の悪化で反落
200日移動平均線
14,000
4,000
12月初旬の米国株式は堅調に推移し、NYダ
ウが18,000ドル目前に迫る場面もみられた。
しかしながら原油価格の急落をキッカケにロ
シアの通貨・株式が急落するなど、金融市場全
体に不安心理が広がり、NYダウも一時17,000
ドル近辺まで反落した。1月は引き続き産油
国の通貨・株式中心に不安定な値動きが予想
される一方、原油安が米国経済にもたらすメ
リットも徐々に顕在化するとみられ、NYダウ
は下値固めから反発へ向かう展開となろう。
3,500
原油安による波乱に注意もプラス面に注目
3,000
原油価格の急落が金融市場に波紋を広げて
おり、原油輸出への依存度が高いロシアでは
通貨ルーブルが急落。足元では新興国通貨や
株式へ売りが広がり、米エネルギー企業の発
行する債券も急落するなど波乱含みの展開と
なっており、投資家心理が一段と悪化するリ
スクには注意が必要だ。
ただ、原油の年平均価格が1バレルあたり
10ドル下落すると米国のGDPを約0.5%押し
上げる効果があると試算され、原油相場が落
ち着きを取り戻せばポジティブな側面にも注
目が集まろう。実際、11月の米小売売上高は
8ヵ月ぶりの大幅な伸びを記録しており、ガ
ソリン価格の値下がりによる消費押し上げ効
果が働いたことが読み取れる。12月のミシガ
ン大学消費者信頼感指数も約8年ぶりの水準
へ上昇しており、堅調な内需が米国の経済成
長のけん引役となろう。今後、米国経済に対
する原油安の好影響が顕在化してくれば、
徐々に米国株式の見直し機運が高まるとみる。
13,000
U.S. Equity Strategy
1月の米国株式相場は、原油価格の急落に
よる悪影響が金融市場の波乱要因となる一
方、原油安が米国経済にもたらすプラスの
効果が徐々に現われ反発に向かう展開を予
想する。NYダウの予想レンジは17,200〜
18,400ドルとする。
12,000
12年3月 12年9月 13年3月 13年9月 14年3月 14年9月
作成:岡三証券、12月17日現在
(ポイント)
ナスダック総合指数の推移(週足)
5,500
5,000
4,500
2,500
2,000
1,500
1,000
00年
02年
04年
06年
08年
10年
12年
14年
作成:岡三証券、12月12日現在
120
ミシガン大学消費者信頼感指数
消費者マインド指数
現在の景況感
先行きの景況感
110
100
90
80
70
60
50
40
04年1月
06年1月
08年1月
10年1月
12年1月
14年1月
出所:ミシガン大学サーベイ・リサーチセンター
直近は2014年12月分速報値
最後に重要な注意事項が記載されていますので、ご参照ください。
1
NYダウの4年サイクルごとのパフォーマンス
10.4%
米国では「大統領選の前年の株式相場は強
い」との有名なアノマリーがあり、NYダウ
の平均パフォーマンスは10.4%と他の年を大
きく上回る。また1月の相場が堅調であれば
その年の相場は堅調となる傾向があるといっ
たアノマリーも意識されやすく、1月の米国
株式相場が好調な滑り出しとなれば米国株式
市場への資金の流入に弾みがつく可能性もあ
りそうだ。
5.8%
4.2%
2.0%
大統領選挙の翌年
中間選挙の年
中間選挙の翌年
大統領選挙の年
出所:Stock Trader’s Almanac 2014、作成:岡三証券
企業の10-12月期決算発表が支援材料に
S&P500指数構成セクターの増益率予想
(%)
(2014年第4四半期、前年同期比)
U.S. Equity Strategy
25
20
10月1日時点
15
12月16日時点
10
5
0
Ͳ5
Ͳ10
Ͳ15
Ͳ20
出所:トムソンロイター、12月16日現在
(ドル)
160
140
S&P500指数構成企業の一株利益の推移
一株利益(左軸)
前年比伸び率(右軸)
米国株式市場のアノマリーに注目
50%
※2014年以降は予想
40%
120
30%
100
20%
80
10%
60
0%
40
Ͳ10%
20
Ͳ20%
0
Ͳ30%
出所:トムソンロイター、12月16日現在
航空・レジャー関連
〇デルタ・エア・ラインズ(DAL)
〇ユナイテッド・コンチネンタルHD(UAL)
◎ウォルト・ディズニー(DIS)◎エクスペディア(EXPE)
〇マリオット・インターナショナル(MAR)
消費関連
◎ウォルマート(WMT)◎ベスト・バイ(BBY)
〇メーシーズ(M)◎スターバックス(SBUX)
〇TJXカンパニー(TJX)〇チポトレ・メキシカン・グリル(CMG)
バイオ医薬品関連
◎ギリアド・サイエンシズ(GILD)〇アムジェン(AMGN)
◎セルジーン(CELG)◎バイオジェン・アイデック(BIIB)
◎岡三証券国内店頭取引取り扱い銘柄、○岡三証券委託勧誘可能銘柄
1月12日のアルコアを皮切りに企業の10-12
月期決算発表がスタートする。S&P500指数
構成企業の増益率の市場予想は前年同期比
+4.6 % ( 12 月 16 日 時 点 ) と 10 月 1 日 時 点 の
+11.1%から下方修正が進んでおり、事前の期
待値は低い。好決算が発表されれば素直に評
価される展開となり、株式相場の上昇を後押
しそうだ。2015年通期の一株利益は前年比
+8.9%の増益が見込まれており、2014年の
+6.9%から増益率が拡大する見通し(12月16
日 時 点 ) 。 た だ 足 元 の S&P500 指 数 の 予 想
PERは長期平均の水準をやや上回っている。
今後は、業績の伸びが見込まれる銘柄に資金
が集中する業績相場の色彩が強まることが予
想されるため、強い成長シナリオを持つ企業
への選別投資が重要だと考える。
航空、消費、バイオ医薬品銘柄に注目
投資対象として、原油安のメリットを受け
る銘柄に注目。国際航空運送協会(IATA)
は、燃料価格の下落を追い風に世界の航空業
界が2014年・2015年に過去最高益を計上す
るとの見方を示した。今後、燃油サーチャー
ジ(燃料価格に追随し航空運賃とは別立てで
徴収される料金)も低下する見通しで、航空
株やレジャー関連株は堅調な展開が続きそう
だ。また、ガソリン安による消費支出の拡大
が見込まれることから、レストランセクター
やディスカウントチェーンのウォルマート、
百貨店のメーシーズといった小売セクターな
ど、幅広い消費関連銘柄に投資妙味があろう。
更に、新薬の販売拡大による業績拡大が見込
まれるバイオ医薬品企業にも注目したい。
最後に重要な注意事項が記載されていますので、ご参照ください。
2
今月のグローバル投資テーマ ①
開花期へ向かう米国バイオ医薬品業界
希少疾病薬の開発を後押しするFDA(米食品医薬品局)の制度改革から約2年、米国のバイオ医薬品業
界は急激な成長を遂げている。高齢化に伴うヘルスケアサービス需要の増加や、オバマケアの一層の普
及、新薬開発の更なる進展など、バイオ関連企業を取り巻く環境は2015年も良好の見通し。業績拡大が
一段と進むとみられる来年以降は業界の「開花期」と言えそうだ。成長が期待されるバイオ関連企業に注
目したい。
2014年のセクター別上昇率TOP10
好調なパフォーマンス
90.8
旅客航空輸送業
35.2
バイオテクノロジー
コンピュータ・周辺機器
半導体・同製造装置
不動産管理・開発
24.4
ヘルスケア・プロバイダー/サービス
U.S. Equity Strategy
不動産投資信託
販売
陸運・鉄道
21.3
ヘルスケア機器・用品
0
25
50
100 (%)
75
岡三証券作成、S&P500指数の67業種分類
※期間は2013年12月31日〜2014年12月15日 ※67分類
(億ドル)
市場は長期的な成長へ
世界のバイオ医薬品の売上高予想
3,000
2,500
2014年から2020年
にかけて規模は1.6倍へ
2,000
1,500
1,000
500
0
06年
8年
10年
12年
14年
16年
18年
20年
各種資料より岡三証券作成、2014年以降は予想
主なバイオ医薬品関連銘柄
企業名(ティッカー)
注力分野
米国の景気回復が本格化し始めた2014年とい
う年にあって、景気敏感セクターと肩を並べてヘ
ルスケア関連セクターがパフォーマンス上位に複
数ランクインしていることは注目に値する。中で
も、ランキング2位に躍り出たバイオ医薬品業界
への期待が高い。米国のバイオ医薬品業界は、
2012 年 7 月 か ら 始 ま っ た FDA の 「 ブ レ イ ク ス
ルー・セラピー(画期的治療薬の指定)」という
制度改革に後押しされる形で、新薬開発が進んで
きた。2014年はそうした研究開発が業績に結び
つき、バイオ医薬品業界全体が再びその 成長
性 を評価された年だったと言える。
主力治療薬
◎ギリアド・サイエンシズ(GILD)
C型肝炎
「ソバルディ」、「ハーボニ」
○バーテックス・ファーマシューティカルズ
(VRTX)
C型肝炎
「インシビック」
◎バイオジェン・アイデック(BIIB)
多発性硬化症
「テクフィデラ」
◎セルジーン(CELG)
多発性骨髄腫
骨髄異形成症候群
「レブラミド」
○アムジェン(AMGN)
リウマチ
「エンブレル」
各種資料より岡三証券作成
◎岡三証券国内店頭取引取り扱い銘柄、○岡三証券委託勧誘可能銘柄
米国ではベビーブーマー世代の退職により、日
本と同様に高齢者が増加しており、ヘルスケア需
要は拡大している。それに伴い、オバマケアも今
後一層普及していく可能性が高く、構造的な変化
はバイオ医薬品業界のサポート要因となろう。業
界団体によると、世界のバイオ医薬品売上高は
2014 年 の 1,810 億 ド ル か ら 2020 年 に は 1.6 倍 の
2,910億ドルへ拡大するとの見通し。長期的な成
長が期待されるバイオ医薬品市場は2015年も引
き続き注目されそうだ。
収益力に差が出る可能性、選別が重要
一方で、開発の進展によって企業の優勝劣敗も
進みそうだ。画期的な新薬を開発したバイオ医薬
品企業は利益を元に更なる研究開発やM&A(買
収・合併)を進めることで、収益力の面で他社と
の差を広げる可能性があるだろう。新薬開発の実
績や競争環境など、複合的な観点で選別をする必
要がありそうだ。バイオ医薬品企業の中でも、C
型肝炎治療をリードするギリアド・サイエンシズ、
多発性硬化症治療薬のバイオジェン・アイデック、
多発性骨髄腫治療薬を手掛けるセルジーンなど、
業績拡大への期待が高い銘柄に注目したい。
最後に重要な注意事項が記載されていますので、ご参照ください。
3
今月のグローバル投資テーマ②
観光産業の急成長と原油安で航空業界の純利益は過去最高へ
世界的な旅行需要の拡大を受け航空会社の事業環境が好転しつつある。加えて、原油先物価格が約5
年ぶりの安値まで下落しており、燃料コスト削減による収益改善期待の高まりから、足元で航空株は堅調
推移を続けている。原油安に歯止めがかからない中、関連銘柄を物色する流れは一段と強まりそうだ。
航空業界の純利益は過去最高へ
世界の航空業界の純利益推移
(億ドル)
(%)
300
5
4
200
3
2
100
1
0
0
-1
U.S. Equity Strategy
-100
-2
-200
純利益(左軸)
-3
純利益率(右軸)
-4
-5
-300
02年
05年
08年
11年
14年(予)
出所:IATA、14年以降は予想
新興国の所得水準別人口推移
2010年
富裕層
世帯収入
3万5千ドル〜
2020年
上位中間層
世帯収入
1万5千〜3万5千ドル
下位中間層
世帯収入
5千〜1万5千ドル
0
5
10
15
国際航空運送協会(IATA)は、世界の航空
業界の純利益が2015年には過去最高の250億ド
ルになるとの見通しを発表した。特に北米で
は大手の再編で路線の集約が進んだほか、価
格競争に落ちつきがみられることも業績に貢
献するとみられる。加えて、ここ数ヵ月にわ
たる原油先物価格の下落が航空業界の収益性
改善に寄与するとの期待が高まっており、足
元で航空関連株の上昇が目立っている。
世界的な旅行需要拡大が追い風に
新興国における所得水準の向上などを背景に、
世界の旅客需要は年間5〜6%の範囲で拡大し
ている。旺盛な旅行需要を受けて、米3大航空
会社の2014年7-9月期決算はいずれも増収と
なった。こうした中、アジア太平洋地域では、
近年急増する旅行需要の取り込みを狙う総合
エンターテインメント企業の進出が活発化し
ており、向こう数年の間に米系テーマパーク
が開業ラッシュを迎えようとしている。テー
マパーク集客数は北米を抜き、世界最大規模
となる見込みだ。一段と重要性が増していく
アジア市場を中心に旅行需要の拡大は続くと
みられ、航空会社には追い風となりそうだ。
20 (億人)
原油安を背景に収益改善が続く
各種資料より岡三証券作成
アジアで新設予定の米系テーマパーク
中国
企業名
上海ディズニーランド(2015)
ウォルト・ディズニー
上海ドリーム・センター(2016)
ドリームワークス・アニメーション
北京ユニバーサル・スタジオ(2019)
コムキャスト
シックス・フラッグス(〜2024、複数) シックス・フラッグス
マレーシア
20世紀フォックス・ワールド(2016)
21センチュリー・フォックス
WTI原油先物相場は2014年6月20日の1バレ
ル107ドル台をピークに約5年ぶりの安値まで
下落。当面は需給環境が好転する可能性は低
そうだ。こうした中、原油安が燃料コスト削
減につながり収益性改善を後押しするとの見
方から、米航空デルタは10-12月期に過去最高
益を達成できるとの強気見通しを発表。原油
先物価格の下落に歯止めがかからない状況下、
原油安の恩恵を受けやすいとされる航空会社
などは業績拡大期待が一段と高まりそうだ。
各種資料より岡三証券作成、()内は開業予定年
最後に重要な注意事項が記載されていますので、ご参照ください。
4
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